特許第5961828号(P5961828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961828
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】固定構造および固定部材
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/10 20060101AFI20160719BHJP
   F16L 3/10 20060101ALI20160719BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20160719BHJP
   H02G 3/32 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
   F16B2/10 E
   F16L3/10 A
   H02G3/22 260
   H02G3/32
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-147024(P2012-147024)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-9763(P2014-9763A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000242231
【氏名又は名称】北川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 良昭
【審査官】 保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−224003(JP,A)
【文献】 特開2002−315162(JP,A)
【文献】 特開2003−079036(JP,A)
【文献】 特開2010−011723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B2/00−2/26
F16L3/00−3/26
H02G3/22−3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物に長尺部材を固定する固定構造であって、
前記取付対象物に設けられた固定部と、
前記固定部に固定される本体部であって、係止部を内部に有する差込穴と、前記本体部が前記固定部に固定された状態において前記取付対象物に沿う面に設けられる係合部と、を有する本体部と、
前記差込穴に差し込まれると前記係止部に係止される被係止片と、前記係合部と係合する被係合部と、前記被係止片と前記被係合部とを連接するバンドと、を有するバンド部と、を備え、
前記本体部が前記固定部に固定された状態において、前記バンド部は、前記被係止片が前記差込穴に差し込まれない状態から前記差込穴に差し込まれた状態に遷移可能であり、前記被係止片を前記差込穴に差し込んで係止すると、前記バンド部と前記本体部とが協働して、前記長尺部材を固定可能な把持環部を形成し、
前記本体部が前記固定部に固定された状態において、前記被係合部は前記本体部および前記取付対象物に挟み込まれて前記係合の解除が抑制される
ことを特徴とする固定構造。
【請求項2】
前記固定部は、
前記本体部を前記取付対象物の表面に沿ってスライドさせることで前記本体部を差し込み可能であって、前記スライドと反対の方向以外への移動を抑制して前記本体部を保持する保持部と、
前記本体部が前記保持部の所定の位置まで差し込まれた際に、前記本体部と係止して前記本体部が前記スライドと反対の方向に移動することを抑制する移動抑制部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の固定構造。
【請求項3】
前記バンドを前記本体部から離脱する方向に付勢する付勢部を備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固定構造。
【請求項4】
取付対象物に設けられた固定部に固定される本体部であって、係止部を内部に有する差込穴と、前記固定部に前記本体部が固定された状態において前記取付対象物に沿う面に設けられる係合部と、を有する本体部と、
前記差込穴に差し込まれると前記係止部に係止される被係止片と、前記係合部と係合する被係合部と、前記被係止片と前記被係合部とを連接するバンドと、を有するバンド部と、を備え、
前記本体部が前記固定部に固定された状態において、前記バンド部は、前記被係止片が前記差込穴に差し込まれない状態から前記差込穴に差し込まれた状態に遷移可能であり、 前記被係止片を前記差込穴に差し込んで係止すると、前記バンド部と前記本体部とが協働して、長尺部材を固定可能な把持環部を形成し、
前記本体部が前記固定部に固定された状態において、前記被係合部は前記本体部および前記取付対象物に挟み込まれて前記係合の解除が抑制される
ことを特徴とする固定部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線やワイヤハーネスなどの長尺部材を筐体などの取付対象物に固定する際に利用する固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器内の配線やワイヤハーネスは、機器内部が乱雑になることを防止するために結束されて筐体などに固定される場合がある。従来、配線を筐体に固定するために、配線に巻きつけて配線を固定するためのバンド部と、筐体に本体部を固定するための係止部およびバンド部を挿入して係止するバンド止め部が形成された本体部と、を有するバンドクランプが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−48901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線を結束する封緘具として、一度バンド部で配線を固定するとバンド部を切断したりして破損させなければ取り外しができないように構成されたものがある。このような封緘具では、破損の痕跡をチェックすることで配線が取り外されたことを明らかにできる。
【0005】
ところで、特許文献1に記載のバンドクランプは全体が樹脂で一体成形されている。バンド部は配線に巻きつけるなどして曲げられた状態でバンド止め部に挿入する必要があるため、柔軟性を有する材質で形成される。
【0006】
その結果、本体部に形成されたバンド止め部も柔軟性を有する材質で形成されることとなるため、バンド止め部に工具等を差し込んでバンド部とバンド止め部との係止を解除することが比較的容易であり、破損の痕跡を残すことなくバンド部が開放されやすくなってしまう。
【0007】
バンド部と本体部とを別の材料で作製すると、バンド止め部の強度を高めてバンド部との係止を解除されにくくすることが可能となる。しかしながら、バンド部と本体部とが別体であることから、当然にそれらの連結部分の強度が一体成形した場合よりも低下して分離しやすくなってしまう。
【0008】
このように、バンド部と本体部との係止を解除されにくくしつつ、バンド部と本体部との連結を強固にすることは困難であった。
本発明の目的は、バンド部と本体部との連結を強固に行うことができる固定構造および固定部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決するためになされた発明は、取付対象物に長尺部材を固定する固定構造であって、取付対象物に設けられた固定部と、上記固定部に固定される本体部と、バンド部と、を備える。
【0010】
本体部は、係止部を内部に有する差込穴と、本体部が上記固定部に固定された状態において取付対象物に沿う面に設けられる係合部と、を有する。
バンド部は、上記差込穴に差し込まれると上記係止部に係止される被係止片と、上記係合部と係合する被係合部と、被係止片と被係合部とを連接するバンドと、を有する。
【0011】
そしてこの固定構造では、上記被係止片を上記差込穴に差し込んで係止すると、バンド部と本体部とが協働して、長尺部材を固定可能な把持環部を形成する。また、本体部が固定部に固定された状態において、上記被係合部は本体部および取付対象物に挟み込まれて上記係合の解除が抑制されることを特徴とする。
【0012】
このように構成された固定構造では、本体部と取付対象物とでバンド部を挟み込むことでバンド部と本体部との係合の解除が抑制されるため、バンド部と本体部との連結を強固に行うことができる。また、バンド部と本体部との係合する部分は、本体部と取付対象物とによって覆われて外部から視認や操作が行い難くなっているため、その点においてもバンド部と本体部との係合の解除が抑制される。
【0013】
なお、上述した把持環部とは、全体として環状を形成していればその具体的な形状は特に限定されない。また上述した長尺部材とは、配線やワイヤハーネスなどのほか、棒状、板状のものやリング状のものであってもよく、バンド部と本体部とにより形成される把持環部の内部に収容できるものであればその対象は特に限定されない。
【0014】
また把持環部による固定とは、把持環部の内部に長尺部材が収容されて、長尺部材をその長手方向と交差する方向に移動させても把持環部から取り外せない状態を意味している。従って、把持環部の内部において長尺部材が移動可能であってもよい。
【0015】
上記係合部および上記被係合部は、被係合部が本体部および取付対象物に挟み込まれて係合の解除が抑制される構成であればその具体的な形状は特に限定されない。例えば本体部に係合部として凹部または凸部を形成しておき、バンド部に被係合部として上記凹部や凸部と係合する凸部や凹部を形成することが考えられる。
【0016】
また、上記固定部は、本体部を固定できる構成であればその具体的な形状は特に限定されない。例えば取付対象物に固定部として貫通孔を形成し、本体部にその貫通孔を貫通する鏃型等のスナップを設け、スナップを貫通孔に貫通させて貫通孔の周縁に係止させることで固定を実現してもよいし、それとは反対に、取付対象物にスナップを設け、固定部に貫通孔を設ける構成であってもよい。
【0017】
また固定部は、本体部を取付対象物の表面に沿ってスライドさせることで本体部を差し込み可能であって、上記スライドと反対の方向以外への移動を抑制して本体部を保持する保持部と、本体部が保持部の所定の位置まで差し込まれた際に、本体部と係止して本体部がスライドと反対の方向に移動することを抑制する移動抑制部と、を備えるように構成してもよい。
【0018】
このように構成された固定構造では、本体部を取付対象物の表面に沿ってスライドさせることで取付対象物に固定できるので、スナップなどの取付対象物の表面と交差する方向に大きく延び出すものを有する構成と比較して、全体を薄くすることが可能となる。
【0019】
また、係合部と被係合部とを係合させて本体部と取付対象物とでバンド部を挟み込んだ状態とした後に、その状態のまま本体部をスライドさせて本体部を固定することができるため、本体部を固定部に固定させるときに係合部分がずれたり係合が解除されたりして、正しく取り付けできなくなる危険を低減できる。
【0020】
また、バンドを本体部から離脱する方向に付勢する付勢部を備えるように構成してもよい。
このように構成された固定構造であれば、被係止片が差込穴に差し込まれてしっかりと係止されており、かつバンドに破損がない状態でなければ、バンド部が本体部に対して所定の位置に存在せず、バンド部が破壊されたり破損したときにはバンド部が本体部から離れることとなる。よって、バンド部が破損した状態を容易に視認することができるようになり、把持環部が開放されたか否かのチェックが容易になる。
【0021】
なおこの付勢部は、バンド部に設けられていてもよいし、バンド部以外の本体部や固定部に設けられる構成であってもよい。
また本発明の別の態様は、取付対象物に設けられた固定部に固定される本体部であって、係止部を内部に有する差込穴と、固定部に本体部が固定された状態において取付対象物に沿う面に設けられる係合部と、を有する本体部と、上記差込穴に差し込まれると上記係止部に係止される被係止片と、上記係合部と係合する被係合部と、被係止片と被係合部とを連接するバンドと、を有するバンド部と、を備える固定部材であって、上記被係止片を差込穴に差し込んで係止すると、バンド部と本体部とが協働して、長尺部材を固定可能な把持環部を形成し、また、本体部が固定部に固定された状態において、上記被係合部は本体部および取付対象物に挟み込まれて上記係合の解除が抑制されることを特徴とする。
【0022】
このように構成された固定部材では、上述した固定構造の一部を構成することができる。なおこの固定部材は、上述した固定構造を構成する固定部に対して固定されるものであってもよいし、バンドを付勢する付勢部を設ける構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例の固定構造を示す図であって、(a)が正面図であり、(b)が平面図であり、(c)が左上方から見た斜視図であり,(d)が右上方から見た斜視図である。
図2】実施例の本体部を示す図であって、(a)が正面図であり、(b)が平面図であり、(c)が底面図であり、(d)が左側面図であり、(e)が右側面図であり、(f)が左上方から見た斜視図であり、(g)が左下方から見た斜視図であり、(h)が右上方から見た斜視図であり、(i)が右下方から見た斜視図であり、(j)が図2(d)のA−A断面図である。
図3】実施例のバンド部を示す図であって、(a)が正面図であり、(b)が平面図であり、(c)が底面図であり、(d)が左側面図であり、(e)が右側面図であり、(f)が左上方から見た斜視図であり、(g)が左下方から見た斜視図であり、(h)が右上方から見た斜視図であり、(i)が右下方から見た斜視図である。
図4】実施例の固定部を示す図であって、(a)が正面図であり、(b)が平面図であり、(c)が底面図であり、(d)が左側面図であり、(e)が右側面図であり、(f)が左上方から見た斜視図であり、(g)が右上方から見た斜視図であり、(h)が図4(b)のB−B断面図である。
図5】実施例の固定部材(バンド部と本体部とを組み立てた状態)を示す図であって、(a)が正面図であり、(b)が平面図であり、(c)が底面図であり、(d)が左側面図であり、(e)が右側面図であり、(f)が左上方から見た斜視図であり、(g)が左下方から見た斜視図であり、(h)が右上方から見た斜視図であり、(i)が右下方から見た斜視図である。
図6】実施例の固定部材を示す図であって、(a)が図5(d)のC−C断面図であり、(b)が固定部材を固定部に固定した状態を示す図6(a)と同じ視点の断面図であり、(c)が被係止片を差込穴に差し込んで係止させた状態を示す図6(a)と同じ視点の断面図である。
図7】固定部材を固定部に取り付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[実施例]
(1)全体構成
本実施例の固定構造1は、図1(a)〜(d)に示すように、長尺部材の一例である配線3を固定する固定部材5と、電子機器の筐体である取付対象物7に設けられ、固定部材5を取付対象物7に固定する固定部9と、を有するものであって、取付対象物7に配線3を固定する際に用いられる。
【0025】
なお、各部の相対的な位置関係を簡潔に説明するために、以下の記載では前後・左右・上下の方向を規定しているが、これらの方向はあくまでも各部の相対的な位置関係を示すための定義にすぎず、本実施例の固定部材5を使用する際の取り付け方向や固定部9の配置方向などを規定するものではない。なお、取付対象物7の表面に沿う方向が前後および左右方向であり、その表面と交差する方向が上下方向である。
【0026】
固定部材5は、本体部11と、2つのバンド部13と、からなる。
本体部11について、図2(a)〜(j)に基づいて説明する。本体部11は、一例としてポリカーボネート(PC)などの透明で硬く弾性の低い材質からなるものであって、右側に設けられる係合部21および仕切り壁23と、中央に設けられる溝部25と、左側に設けられる差込穴27および係止壁31と、前後方向の端部に設けられる係止片33と、を備える。
【0027】
係合部21は、図2(j)に示すように、右端が肉厚部分となっていて柱状に前後方向に延びており、その肉厚部分の左側は、上側の段差21aと下側の段差21bを経て肉薄となっている。上側の段差21aは、下側の段差21bよりも右側に位置している。この係合部21は、図6(b)に示すように、本体部11が固定部9に固定された状態において取付対象物7に沿う面に設けられる。
【0028】
係合部21の前後両端および中央には上下方向および左右方向に拡がる仕切り壁23が設けられており、係合部21は中央の仕切り壁によって2つに分けられている。また中央の仕切り壁23の下端部23aは、前後端部に設けられた仕切り壁23の下端よりも下方に突出している。
【0029】
係合部21および仕切り壁23の左方には、配線3が配置可能である前後方向に延びる溝部25が形成されている。溝部25の左側には、上述した2つの係合部21に対応し、上面に開口を有する2つの差込穴27が形成されている。各差込穴27は、差込穴27の内部壁面のうち右側の壁面において左方に突出する突起29を有している。なお、突起29が本発明における係止部の一例である。
【0030】
本体部11の左端には、前後方向に拡がり下向きに延びる係止壁31が設けられている。また本体部11の前後両端には、本体部11の中心から離れる方向に延び出した後、左側に屈曲して僅かに外側に広がりながら左側に延びている一対の係止片33が形成されている。
【0031】
バンド部13について図3(a)〜(i)に基づいて説明する。バンド部13は、一例としてポリプロピレン(PP)などの本体部11よりも弾性が高い材質からなる。バンド部13は本体部11とは異なり透明以外の色を有している。この色は材料自身の色であってもよいし、着色したものであってもよい。
【0032】
バンド部13は、左側の端部に設けられた被係合部41と、右側の端部に設けられたスナップである被係止片55と、被係合部41および被係止片55を連接する左右方向に長さを有するバンド49と、を備える。
【0033】
被係合部41は、上下方向に長さを有する縦壁43と、縦壁43の上下両端において連接され、それぞれ左方に延び出す上壁45および下壁47と、を有する。下壁47は上壁45よりも肉厚に形成されている。
【0034】
上壁45の先端(左端)には下方を向くロック片45aが形成されており、下壁47の先端(左端)には上方を向くロック片47aが形成されている。下壁47のロック片47aは、上壁45のロック片45aよりも左側に位置しており、ロック片45aおよびロック片47aは段違いになっている。
【0035】
バンド49は、左端において上壁45と連接している。バンド49の左側部分であって上壁45との連接部分近傍には、周囲よりも厚さの薄い屈曲部51が形成されている。またバンド49の中央部分付近には、上方かつ左方に延びるばね片53が設けられている。このばね片53が本発明における付勢部の一例である。
【0036】
またバンド49の右側部分には、上方に向かって被係止片55が形成されている。被係止片55におけるバンド49との接続部分近傍には幅および厚みが薄い切断部57が形成されている。また被係止片55の先端部59は左方向に折り返されている。
【0037】
固定部9について図4(a)〜(h)に基づいて説明する。固定部9は、取付対象物7の平面状の部分に取付対象物7と一体に設けられており、取付対象物7と同様の材質で形成されている。
【0038】
固定部9は、前後方向に長さを有し、取付対象物7から上方向に延びる前壁71と、前壁71の上下端部から左方向に拡がり、取付対象物7から上方向に延びる一対の側壁73と、一対の側壁73それぞれの上端から対となる側壁73方向に拡がる一対の天壁75と、取付対象物7の表面に沿って拡がる底壁77と、を有する。
【0039】
一対の側壁73の内側面には段差面79が形成されており、側壁73同士の間隔はその段差面79よりも奥側(右側)が広くなっている。一対の天壁75は、前後方向に間隔をあけて配置されている。また底壁77の前後方向の中央には左右方向に延びる溝81が形成されている。また一対の天壁75の下方に対応する領域は、底壁77および取付対象物7を貫通する貫通孔83となっている。
【0040】
なお、固定部9における前壁71、側壁73、天壁75、底壁77が、本発明における保持部の一例であり、段差面79が、本発明における移動抑制部の一例である。
(2)固定部材の取付対象物(固定部)への取り付け
本実施例の固定構造1では、まず、本体部11とバンド部13とを係合させて固定部材5を組み立てる。具体的には、本体部11の係合部21とバンド部13の被係合部41とを係合させる。
【0041】
係合部21に被係合部41を係合させた状態を図5(a)〜(i)、および図6(a)に示す。バンド部13は、2つの係合部21に並ぶように2つ取り付けられる。被係合部41の上壁45と下壁47との隙間に係合部21を通過させるためには、上壁45と下壁47との隙間が広くなるように弾性変形させる。係合部21がロック片45a、47aの間を通過して図6(a)に示す位置に収まると、上壁45と下壁47の隙間も元に戻る。
【0042】
このとき、係合部21は、周囲を被係合部41の縦壁43、上壁45、下壁47によって3方向から囲い込まれた状態となる。そして、上壁45のロック片45aが上側の段差21aと係合し、下壁47のロック片47aが下側の段差21bと係合する。なお、ロック片45aとロック片47aとに段差が設けられることにより、その隙間に係合部21を通過させやすくなっている。
【0043】
次に本体部11(固定部材5)を固定部9に取り付ける。ここでは、本体部11の係止片33およびその周辺が天壁75と底壁77との間に挟まれる位置関係となるように、本体部11を取付対象物7の表面に沿って右方向にスライドさせて、本体部11およびバンド部13を固定部9の左側から差し込む。このとき、仕切り壁23の下端部23aが底壁77の間の溝81に挿入されてガイドされるため、本体部11は固定部9に対してずれることなく差し込まれる。
【0044】
本体部11が固定部9に差し込まれた状態を図7に示す。本体部11における仕切り壁23、溝部25、差込穴27、およびバンド部13は一対の天壁75の間から露出している。本体部11は前壁71、側壁73、天壁75、底壁77に小さなクリアランスで囲まれるため、スライドと反対の方向以外、即ち、前後、上下、および右方向への移動が抑制された状態で固定部9に保持される。
【0045】
また、本体部11における前方の係止片33の前端と後方の係止片33の後端と、の間隔は、一対の側壁73同士の内側の間隔のうち、段差面79よりも左側の間隔よりも大きく、段差面79よりも右側の間隔とほぼ同じである。本体部11を差し込むと、係止片33の端部は段差面79を通過するまで内側に弾性変形した状態となり、段差面79を通過すると弾性変形していた部分が開く。よって、一度本体部11を固定部9に対して所定の位置まで差し込むと、段差面79が係止片33と係止して、本体部11のスライドと反対の方向(左方向)への移動が抑制される。
【0046】
このようにして、本体部11(固定部材5)が固定部9に固定される。図6(b)にこの状態の側面断面図を示す。下壁47は、係合部21と底壁77との間に挟み込まれており、また上述したように本体部11は上下方向に移動できないため、下壁47は係合部21から離れることができずロック片47aと段差21bとの接触した状態が維持される結果、係合部21と被係合部41との係合の解除が抑制される。
【0047】
なお、係止片33は前壁71、側壁73、天壁75に囲まれているため外部から操作することが難しく、固定部材5の固定部9からの取り外しが困難となるように形成されている。但し、取付対象物7の裏面からであれば貫通孔83を通して係止片33の操作が可能である。
【0048】
(3)配線の取り付け
図6(c)に示すように、配線3を溝部25に配置して被係止片55を差込穴27へ所定の深さ以上差し込むことで、被係止片55の先端部59が差込穴27の突起29に係止され、本体部11とバンド部13とが協働して溝部25を中心とした把持環部が形成されて、この把持環部に配線3が固定されることにより配線3が取付対象物7に固定される。
【0049】
また、被係止片55を差込穴27に係止させた状態では、ばね片53が本体部11と接触してバンド49を本体部11から離脱する方向である上方に付勢している。
また、バンド49は屈曲部51にて屈曲するため、バンド49は本体部11に沿った位置となる。
【0050】
(4)効果
本実施例の固定構造1では、本体部11と取付対象物7(底壁77)とでバンド部13の被係合部41の下壁47を挟み込むことでバンド部13と本体部11との係合の解除を抑制しており、また、係合部21は本体部11と取付対象物7とによって覆われるため外部から視認や操作が行い難くなり、バンド部13と本体部11との係合の解除が抑制される。従って、バンド部13と本体部11との連結を強固に行うことができる。
【0051】
また、バンド49は、図6(c)および図1に示すように差込穴27を閉塞しており、また被係止片55の先端部59が把持環部の内側方向を向いて差込穴27に挿入されているため、先端部59の突起29への係止を解除することが難しくなっている。よって、被係止片55を差込穴27に差し込んで係止されると、被係止片55の係止を解除することにより把持環部を開放して、配線3を抜き出すことが容易にはできなくなる。
【0052】
把持環部を開放しようとして被係止片55を差込穴27から抜こうとすると、切断部57が切断されて被係止片55が差込穴27の内部に残る。よって、そのような痕跡を視認することで、把持環部を開放させたことを容易に確認できる。また本体部11は透明であるため、切断された被係止片55を容易に視認することができる。
【0053】
また、ばね片53が本体部11と接触してバンド49を上方に付勢しているため、切断部57が切断されるとバンド49は被係止片55が形成される側の端部が上方に押し上げられる。また、切断部57以外の部分、例えば屈曲部51を切断して把持環部を開放しても、ばね片53に付勢されてバンド49の切断された屈曲部51側の端部が上方に押し上げられる。よって、ばね片53によって把持環部が開放された状態を容易に視認することができる。
【0054】
また本実施例の固定構造1において、本体部11とバンド部13とからなる固定部材5は、係合部21と被係合部41とを係合させることにより1つの部品として組み立てられており、本体部11やバンド部13の自重で上記係合が解除されて分離してしまうことがない。よって、固定部材5は簡便に取り扱うことができる。
【0055】
また、係合部21と被係合部41とを係合させて、本体部11と取付対象物7とでバンド部13の下壁47を挟み込んだ状態のまま、本体部11をスライドさせて固定部9にて本体部11を固定できる。よって、本体部11を固定部9に固定させるときに係合部分がずれたり係合が解除されてしまったりする危険を低減できる。
【0056】
また、取付対象物7の表面に沿ってスライドさせることで固定する構成であるため、例えばスナップなどを用いて取付対象物7の表面と交差する方向にスナップを差し込んで本体部を固定する構成と比較すると全体の厚さを薄くすることが可能となる。
【0057】
[変形例]
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0058】
例えば、上記実施例においては、取付対象物7として電子機器の筐体である構成を例示したが、電子機器の筐体に限定されることなく、様々な物品を取付対象物とすることができる。
【0059】
また、本体部11にバンド部13を2つ取り付け可能である構成を例示したが、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
また、被係合部41は係合部21に対してロック片45aとロック片47aとで係止する構成を例示したが、ロック片47aのみであっても十分にバンド部13が本体部11から脱落することを抑制できる。なお、ロック片45aを有する場合には、係合の解除がさらに困難になるうえ、本体部11と取付対象物7(底壁77)とで被係合部41の下壁47を挟み込むことなく本体部11とバンド部13との係合状態を維持させることができ、固定部材5を1つの部品として簡便に扱うことができる。
【0060】
また、上記実施例においては被係合部41を係合部21と底壁77とで挟み込む構成を例示したが、本体部11における係合部21以外の部分で挟み込む構成であってもよいし、取付対象物7の底壁77以外の部分で挟み込む構成であってもよい。
【0061】
また、上記実施例においては本体部11を取付対象物7の表面に沿ってスライドさせて固定部9に固定させる構成を例示したが、それ以外の構成により固定するものであってもよい。例えば本体部11と取付対象物7にスナップと貫通孔を形成して、それらによって固定する構成であってもよい。
【0062】
また、上記実施例においてはばね片53がバンド49に取り付けられる構成を例示したが、本体部11や固定部9、または取付対象物7に設けられていてもよい。その場合、ばね片53がバンド部13を閉じた状態でバンド49と接触してバンド49を本体部11から離脱させる方向に付勢するように構成するとよい。
【符号の説明】
【0063】
1…固定構造、3…配線、5…固定部材、7…取付対象物、9…固定部、11…本体部、13…バンド部、21…係合部、21a…段差、21b…段差、23…仕切り壁、23a…下端部、25…溝部、27…差込穴、29…突起、31…係止壁、33…係止片、41…被係合部、43…縦壁、45…上壁、45a…ロック片、47…下壁、47a…ロック片、49…バンド、51…屈曲部、53…ばね片、55…被係止片、57…切断部、59…先端部、71…前壁、73…側壁、75…天壁、77…底壁、79…段差面、81…溝、83…貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図7
図6