【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
実施例1におけるダンプトラックの可動バンパーの構成を、「全体構成」、「可動バンパーの要部構成」に分けて説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、実施例1の可動バンパーを適用したダンプトラックの一例を示す全体側面図であり、
図2は、バンパー使用位置を示し、
図3は、バンパー収納位置を示す。以下、
図1〜
図3に基づき、全体構成を説明する。
【0012】
実施例1の可動バンパーA1を適用したダンプトラックは、
図1に示すように、乗員キャビン1と、サイドフレーム2と、サブフレーム3と、荷台4と、前輪5と、後輪6,6と、フロントバンパー7と、を備えている。
【0013】
前記荷台4は、
図1に示すように、サブフレーム3に対して荷台傾動支点8を中心とする車両後方側への回動により、最大傾斜荷台ラインLmaxの位置まで傾動可能に設けられている。
【0014】
前記前輪5及び後輪6,6は、
図1に示すように、車両前後方向に延びる一対のサイドフレーム2,2に対し、リーフスプリング式サスペンションにより懸架されている。
【0015】
前記フロントバンパー7は、
図1に示すように、車両前部に固定された固定バンパー構成によるもので、可動バンパーA1は、フロントバンパー7に対して車両後部のリヤバンパーとして設定されている。
【0016】
前記可動バンパーA1は、
図2に示すバンパー使用位置と、
図3に示すバンパー収納位置との間で手動操作により回動可能な構成としている。この可動バンパーA1は、
図2及び
図3に示すように、一対のバンパーステー10,10と、一対のバンパーアーム11,11と、丸パイプ型バンパー12(バンパー本体)と、を有する。
【0017】
前記一対のバンパーステー10,10は、車両前後方向に延びると共に、クロスフレーム9により連結された一対のサイドフレーム2,2に対して締結固定されている。前記一対のバンパーアーム11,11は、それぞれ一対のバンパーステー10,10に対して回動可能に軸支持されている。前記丸パイプ型バンパー12は、一対のバンパーアーム11,11に一体に溶接固定され、車幅方向に延びる。
【0018】
前記一対のバンパーアーム11,11及び丸パイプ型バンパー12のバンパー使用位置は、
図2に示すように、道路運送車両法の保安基準に基づき、一対のサイドフレーム2,2の後端下部位置に設定している。
【0019】
前記一対のバンパーアーム11,11及び丸パイプ型バンパー12のバンパー収納位置は、スペース効率良く収納したいという意図に基づき、
図3の仮想線で示すバンパー使用位置から、
図3の矢印Bにて示す車両上方側へ回動させて到達する位置としている。
【0020】
[可動バンパーの要部構成]
図4は、実施例1の可動バンパーA1を示す拡大側面図である。以下、
図4に基づき、可動バンパーA1の要部構成を説明する。
【0021】
前記可動バンパーA1の要部構成として、
図4に示すように、サイドフレーム2と、バンパーステー10と、バンパーアーム11と、丸パイプ型バンパー12と、固定ピン13と、を備えている。そして、可動バンパーA1の周辺構成として、
図4に示すように、緩衝材14と、サスペンションブラケット15と、チェーン16と、近接スイッチ17と、を備えている。
【0022】
前記バンパーアーム11及び丸パイプ型バンパー12のバンパー使用位置は、
図4に示すように、道路運送車両法の保安基準に基づいて規定されるサイドフレーム2の後端下部位置に設定している。具体的には、地面から丸パイプ型バンパー12までの高さ寸法Hを約500mm(<規定寸法550mm)とし、荷台4の後端位置から丸パイプ型バンパー12までの前後方向寸法Dを約350mm(<規定寸法400mm)としている。
すなわち、リヤバンパーとしての可動バンパーA1は、バンパー使用位置において、追突等の事故の際に乗用車等が下に潜り込むサブマリンという現象を防止するために、地面からの高さ寸法Hと荷台後端からの前後方向寸法Dが厳しく制限されている。
【0023】
前記バンパーアーム11及び丸パイプ型バンパー12のバンパー収納位置は、
図4の破線に示すように、荷台の最大傾斜時における最大傾斜荷台ラインLmaxより車両前方側位置であり、かつ、サイドフレーム2の上端面フレームラインLhighと下端面フレームラインLlowにより規定されるフレーム高さ範囲ΔFH内の位置に設定している。
【0024】
前記サイドフレーム2は、
図4に示すように、フレーム後端面に、荷台4の最大傾斜時における最大傾斜荷台ラインLmaxに沿う角度を持つ傾斜面2aと、バンパー収納位置にて丸パイプ型バンパー12を収納する収納凹部2bと、を形成している。この収納凹部2bは、バンパー収納位置において、最大傾斜荷台ラインLmaxと下端面フレームラインLlowにより規定される領域に丸パイプ型バンパー12が嵌り込む形状とされる。
【0025】
前記緩衝材14は、サブフレーム3の上面位置に設定され、荷台4から車体枠部材が受ける衝撃を和らげる。前記サスペンションブラケット15は、リヤサスペンションのリーフスプリングの端部を支持する。前記チェーン16は、固定ピン13の紛失を防止するため、固定ピン13とバンパーステー10(車体側部材)を連結する。前記近接スイッチ17は、可動バンパーA1を突入防止装置として機能する位置(バンパー使用位置)以外の位置(バンパー収納位置)にあるとき、運転者から確認しやすい位置(例えば、インストルメントパネル位置)に取り付けられたパイロットランプまたはブザーにより警報するためのスイッチであり、バンパーアーム11が所定の隙間以下まで近づくことで反応する。
【0026】
[可動バンパー構成要素の詳細構成]
図5は、可動バンパーA1の構成要素であるバンパーステー10とバンパーアーム11と丸パイプ型バンパー12と固定ピン13を示す分解斜視図である。以下、
図5に基づき、可動バンパー構成要素の詳細構成を説明する。
【0027】
前記バンパーステー10は、高張力鋼を素材として形成され、サイドフレーム2に対して4本のボルト・ナットにより強固に固定され、バンパーアーム11を軸支持する構成要素である。このバンパーステー10は、
図5に示すように、ステー本体10aと、アーム支軸10bと、第1ステー側ピン穴10cと、第2ステー側ピン穴10dと、4個のボルト穴10eと、3枚の補強プレート10fと、補強兼ストッパプレート10gと、を有する。
前記アーム支軸10bは、ステー本体10aの車両前方側下部位置に溶接固定される。前記第1ステー側ピン穴10cは、ステー本体10aの車両後方側下部位置に溶接固定された短筒部品の内面により形成され、バンパー使用位置にて固定ピン13が挿通する。前記第2ステー側ピン穴10dは、ステー本体10aの車両上部位置に溶接固定された短筒部品の内面により形成され、バンパー収納位置にて固定ピン13が挿通する。前記4個のボルト穴10eは、ステー本体10aを貫通して形成される。前記3枚の補強プレート10fは、ステー本体10aに溶接固定される。前記補強兼ストッパプレート10gは、第1ステー側ピン穴10cの上部位置に固定され、バンパーアーム11の回動を規制するステー側ストッパ面10hが形成される。
【0028】
前記バンパーアーム11は、高張力鋼を素材として形成され、バンパーステー10のアーム支軸10bに対し回動可能に軸支持されると共に、丸パイプ型バンパー12が溶接固定される構成要素である。このバンパーアーム11は、
図5に示すように、アーム本体11aと、アーム支軸穴11bと、アーム側ピン穴11cと、抜け止めプレート11dと、第1補強プレート11eと、第2補強プレート11fと、ストッパプレート11gと、を有する。
前記アーム支軸穴11bは、アーム本体11aの車両前方側上部位置に溶接固定された短筒部品の内面により形成され、アーム支軸10bが挿通する。前記アーム側ピン穴11cは、アーム本体11aの車両後方側上部位置に溶接固定された短筒部品の内面により形成され、バンパー使用位置とバンパー収納位置にて固定ピン13が挿通する。前記抜け止めプレート11dは、アーム本体11aのアーム側ピン穴11cを覆う外周面に固定され、固定ピン13の抜け止め突起13cを挟み込む隙間空間を形成すると共に、下側領域に部分円弧形状(180度より少し狭い範囲)による抜け止め切り欠き11iを形成する。前記第1補強プレート11eと前記第2補強プレート11fは、アーム本体11aの車両前方側端面と車両後方側端面に沿って固定される。前記ストッパプレート11gは、アーム本体11aと第2補強プレート11fの上端部位置に固定され、ステー側ストッパ面10hに符合する位置にバンパーアーム11の回動を規制するアーム側ストッパ面11hが形成される。
【0029】
前記丸パイプ型バンパー12は、高張力鋼を素材の円筒パイプにより形成され、一対のバンパーアーム11,11の下端部に対し、溶接により一体に固定される。なお、丸パイプ型バンパー12の両端位置は、円形プレートにより閉鎖されている。
【0030】
前記固定ピン13は、高張力鋼を素材として形成され、バンパーステー10とバンパーアーム11との相対位置を固定する。この固定ピン13は、
図5に示すように、ピン軸13aと、ピン操作レバー13bと、抜け止め突起13cと、を有する。
すなわち、固定ピン13の後端面にピン軸13aと直交するピン操作レバー13bを固定すると共に、ピン軸13aの後端部にピン周面から径方向に部分突出する抜け止め突起13cを設けている。この抜け止め突起13cは、ピン操作レバー13bを中心とし、180度より少し狭い範囲で部分突出させている。
【0031】
前記ステー側ストッパ面10hと前記アーム側ストッパ面11hは、バンパーアーム11を固定ピン13によりバンパー使用位置で固定するとき、第1ステー側ピン穴10cとアーム側ピン穴11cが連通する位置でアーム動作を接触規制するストッパ構造を構成する。
【0032】
前記抜け止め突起13cと前記抜け止め切り欠き11iは、バンパーアーム11を固定ピン13により固定するとき、抜け止め突起13cと抜け止め切り欠き11iが軸方向に重なり合わないレバー角度位置で固定ピン13を差し込み、抜け止め突起13cと抜け止め切り欠き11iが軸方向に重なり合うレバー角度位置まで回すことで固定ピン13の軸方向への抜けを規制するピン抜け止め構造を構成する。実施例1の場合、レバー下向き角度位置まで固定ピン13を回すと、その後、手を放してしてもピン操作レバー13bの自重により、抜け止め突起13cと抜け止め切り欠き11iが軸方向に重なり合う下向き角度位置を保つ。
【0033】
次に、作用を説明する。
実施例1のダンプトラックの可動バンパーA1における作用を、「可動バンパーの強度要件及び構造要件達成作用」、「バンパー使用時作用」、「バンパー収納時作用」に分けて説明する。
【0034】
[可動バンパーの強度要件達成作用]
可動バンパーA1はバンパー使用位置において、突入防止装置としての機能を発揮するため、予め定められた強度要件及び構造要件を達成することが必要である。以下、
図6に基づき、これを反映する可動バンパーA1の強度要件及び構造要件達成作用を説明する。
【0035】
まず、実施例1の可動バンパーA1における変位量計算の概要を説明する。
この計算では、
図6(a)に示すP1の位置に5トンの負荷荷重を加え、
図6(a)に示すP2の位置に10トンの負荷荷重を加えたときの丸パイプ型バンパー12の変位量δ1とバンパーアーム11及びバンパーステー10の変位量δ2を計算した。
【0036】
この計算において、丸パイプ型バンパー12については、高張力鋼(SS400)を素材とし、
図6(b)に示すように、外径114.3mm・厚さ4.5mmとしたことで、断面2次モーメントI1として、2340000mm
4の値が得られた。
バンパーアーム11については、高張力鋼(SS400)を素材としにし、
図6(c)に示す補強断面形状としたことで、断面2次モーメントI2として、23799855mm
4の値が得られた。
バンパーステー10については、高張力鋼(SS400)を素材としにし、
図6(d)に示す補強断面形状としたことで、断面2次モーメントI3として、5845518mm
4の値が得られた。
【0037】
そして、上記P1,P2の負荷荷重と、断面2次モーメントI1,I2,I3と、長さL1,L2,L3を用いた計算式による計算結果は、
丸パイプ型バンパー12の変位量δ1が、δ1=10.97mmとなり、バンパーアーム11及びバンパーステー10の変位量δ2が、δ2=0.086mmとなり、2の変位量δ1,δ2を合わせた総変位量は、δ1+δ2=11.1mmとなった。
すなわち、可動方式突入防止装置の強度要件としては、「規定された負荷荷重を突入防止装置に加えたとき、総変位量が50mm以下であること。」という基準があるが、
δ1+δ2=11.1mm≦50mm
というように、実施例1の可動バンパーA1(突入防止装置)は、規定された変位量基準値を楽にクリアする計算結果が得られた。
【0038】
また、固定ピン13(高張力鋼、直径30mm)について、10トンの負荷荷重による強度確認を行ったところ、ピン単体としての強度基準値をクリアすることが確認された。そして、可動方式突入防止装置の構造要件には、「突入防止装置として機能する位置に確実に固定できるものであること。」という基準があるが、この点についても、固定ピン13により突入防止装置として機能する位置(バンパー使用位置)に確実に固定されることが確認された。
【0039】
さらに、可動方式突入防止装置の構造要件には、「突入防止装置の位置を変えるための操作力は400N以下であること。」という基準があるが、この点についても、実施例1の可動バンパーA1(突入防止装置)の位置を変えるための操作力は350Nであることで、基準をクリアすることが確認された。
【0040】
上記のように、バンパー本体として丸パイプ型バンパー12を用いることで、可動バンパーA1の軽量化を図りながら、可動バンパーA1の強度要件を達成することが確認された。そして、可動バンパーA1の軽量化が図られたことに伴い、バンパー使用位置からバンパー収納位置まで持ち上げるのに必要な操作力が、基準操作力以下に軽減されることも確認された。
【0041】
[バンパー使用時作用]
可動バンパーA1のバンパー使用位置にピン固定する際、ピン固定作業性を容易にすると共に、走行中等による振動入力に対しバンパー使用位置での固定ピンの抜け止め機能を確保することが必要である。以下、
図7に基づき、これを反映するバンパー使用時作用を説明する。
【0042】
バンパー収納位置で固定ピン13を取り外し、可動バンパーA1をバンパー収納位置からバンパー使用位置まで回動させてピン固定作業を行うときの作用を説明する。
このように、可動バンパーA1をバンパー収納位置からバンパー使用位置まで回動させると、
図7に示すように、第1ステー側ピン穴10cとアーム側ピン穴11cが連通する位置で、アーム側ストッパ面11hがステー側ストッパ面10hに当接し、バンパーアーム11の動作が規制される。したがって、バンパーアーム11を固定ピン13によりバンパー使用位置で固定するとき、固定ピン13の差し込み作業が終了するまで、丸パイプ型バンパー12を操作者が手で持ち上げた状態で支えておく必要が無くなる。つまり、第1ステー側ピン穴10cとアーム側ピン穴11cが連通する位置で、バンパーアーム11のアーム動作が接触規制されていることで、作業者は、固定ピン13を差し込むだけの作業を行えば良く、ピン固定作業性が容易になる。
【0043】
次に、バンパー使用位置にてバンパーアーム11を固定ピン13により固定するときの作用を説明する。
このとき、固定ピン13を、抜け止め突起13cと抜け止め切り欠き11iが軸方向に重なり合わないピン操作レバー13bのレバー角度位置(
図7の右上の固定ピン角度位置)とし、
図7の矢印E方向に動かし、第1ステー側ピン穴10cとアーム側ピン穴11cに差し込む。そして、固定ピン13の差し込みが終了すると、ピン操作レバー13bを
図7の矢印F方向に回し、抜け止め突起13cと抜け止め切り欠き11iが軸方向に重なり合うレバー角度位置(レバー真下位置)とすることで、固定ピン13による固定作業を完了する。
この固定ピン13による固定作業の完了後、手を放してしてもピン操作レバー13bの自重により、抜け止め突起13cと抜け止め切り欠き11iが軸方向に重なり合う下向き角度位置が保たれる。したがって、バンパー使用位置での悪路走行中等において、振動入力により固定ピン13が抜けるのが確実に防止される。
【0044】
[バンパー収納時作用]
可動バンパーA1のバンパー収納位置では、荷台4の傾斜を含めた様々な作業を行うため、できる限り作業の邪魔にならない位置に可動バンパーA1を収納することが必要である。以下、
図8に基づき、これを反映するバンパー収納時作用を説明する。
【0045】
まず、バンパー使用位置で固定ピン13を取り外し、可動バンパーA1をバンパー使用位置からバンパー収納位置まで回動させてピン固定作業を行うときは、丸パイプ型バンパー12と、サイドフレーム2に形成された収納凹部2bとの接触がアーム動作を規制することでなされる。
また、バンパー収納位置にてバンパーアーム11を固定ピン13により固定するときは、固定ピン13を、抜け止め突起13cと抜け止め切り欠き11iが軸方向に重なり合わないピン操作レバー13bのレバー角度位置(
図8の上部の固定ピン角度位置)とし、
図8の矢印G方向に動かし、第2ステー側ピン穴10dとアーム側ピン穴11cに差し込む。そして、固定ピン13の差し込みが終了すると、ピン操作レバー13bを
図8の矢印I方向に回し、抜け止め突起13cと抜け止め切り欠き11iが軸方向に重なり合うレバー角度位置(レバー真下位置)とすることで、固定ピン13による固定作業を完了する。
【0046】
実施例1では、一対のバンパーアーム11,11及び丸パイプ型バンパー12のバンパー収納位置を、荷台の最大傾斜時における最大傾斜荷台ラインLmaxより車両前方側位置に設定する構成を採用した。
このように、最大傾斜角の荷台を想定して丸パイプ型バンパー12の収納位置を設定したことで、停車して荷台4を傾斜させての荷下ろし作業時、様々な角度で傾斜する荷台4と丸パイプ型バンパー12の干渉が防止される。
【0047】
実施例1では、一対のバンパーアーム11,11及び丸パイプ型バンパー12のバンパー収納位置を、サイドフレーム2の上端面フレームラインLhighと下端面フレームラインLlowにより規定されるフレーム高さ範囲ΔFH内の位置に設定した。つまり、バンパー収納位置では、あたかも一対のサイドフレーム2,2を繋ぐクロスメンバの如くフレーム高さ範囲ΔFH内に一対のバンパーアーム11,11及び丸パイプ型バンパー12が収納される構成とした。
例えば、バンパー収納位置でバンパー本体とバンパーアームがサイドフレームから下方に突出する構成の場合、地面からバンパー本体までにスペースが制限される。また、バンパー収納位置でバンパー本体とバンパーアームがサイドフレームから上方に突出する構成の場合、サイドフレームと荷台との隙間寸法が短いタイプのダンプトラックには適用できないことがある。
これに対し、バンパー収納位置で地面からのスペースが丸パイプ型バンパー12により制限されることなく、地面からサイドフレーム2の下面までの広いスペースが確保される。そして、サイドフレーム2と荷台4との隙間寸法により適用制限を受けることがないことで、様々なタイプのダンプトラックへの適用が可能になる。
【0048】
このように、バンパー収納位置において、サイドフレーム2の後端部にバンパーアーム11及び丸パイプ型バンパー12をスペース効率良く収納する構成にすることで、「傾斜荷台と丸パイプ型バンパー12の干渉防止」と、「地面からの広いスペースの確保」と、「適用トラックの制限解除」と、が併せて達成される。
【0049】
次に、効果を説明する。
実施例1のダンプトラックの可動バンパーA1にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0050】
(1) 車両前後方向に延びる一対のサイドフレーム2,2に対し軸支持された一対のバンパーアーム11,11と、前記一対のバンパーアーム11,11に一体に固定され、車幅方向に延びるバンパー本体(丸パイプ型バンパー12)と、を有するダンプトラックの可動バンパーA1において、
前記一対のバンパーアーム11,11及びバンパー本体(丸パイプ型バンパー12)を、バンパー使用位置とバンパー収納位置との間で回動可能に設け、
前記一対のバンパーアーム11,11及びバンパー本体(丸パイプ型バンパー12)のバンパー使用位置を、前記一対のサイドフレーム2,2の後端下部位置に設定し、
前記一対のバンパーアーム11,11及びバンパー本体(丸パイプ型バンパー12)のバンパー収納位置を、前記バンパー使用位置から車両上方側へ回動させて到達する到達位置とし、
前記到達位置を、荷台の最大傾斜時における最大傾斜荷台ラインLmaxより車両前方側位置であり、かつ、前記サイドフレーム2,2の上端面フレームラインLhighと下端面フレームラインLlowにより規定されるフレーム高さ範囲ΔFH内の位置に設定した。
このため、バンパー収納位置において、傾斜荷台とバンパー本体(丸パイプ型バンパー12)の干渉防止と、地面からの広いスペースの確保と、適用トラックの制限解除と、を併せて達成することができる。
【0051】
(2) 前記サイドフレーム2の後端面に、荷台4の最大傾斜時における最大傾斜荷台ラインLmaxに沿う角度を持つ傾斜面2aと、前記バンパー収納位置にて前記バンパー本体(丸パイプ型バンパー12)を収納する収納凹部2bと、を形成した。
このため、(1)の効果に加え、可動バンパーA1を車両後方側限界位置に設定することができる構成としたことで、既存部品(例えば、サスペンションブラケット15)との干渉を防止できると共に、道路運送車両法の保安基準に基づくバンパー使用位置での寸法規定(D,H)を容易に達成することができる。
【0052】
(3) 前記サイドフレーム2に固定され、前記バンパーアーム11を軸支持するバンパーステー10と、
前記バンパーステー10と前記バンパーアーム11の相対位置を固定する固定ピン13と、を備え、
前記バンパーステー10は、ステー側ピン穴(第1ステー側ピン穴10c)とステー側ストッパ面10hを有し、
前記バンパーアーム11は、アーム側ピン穴11cとアーム側ストッパ面11hを有し、
前記ステー側ストッパ面10hと前記アーム側ストッパ面11hを、前記バンパーアーム11を前記固定ピン13によりバンパー使用位置で固定するとき、前記ステー側ピン穴(第1ステー側ピン穴10c)と前記アーム側ピン穴11cが連通する位置でアーム動作を接触規制するストッパ構造とした。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、バンパー使用位置での固定ピン13の差し込み固定作業時、バンパーアーム11及びバンパー本体(丸パイプ型バンパー12)を支えておく必要が無くなることで、固定ピン13の差し込み固定作業負担を軽減することができる。
【0053】
(4) 前記固定ピン13の後端面にピン軸13aと直交するピン操作レバー13bを固定すると共に、前記固定ピン13の後端部にピン周面から径方向に部分突出する抜け止め突起13cを設け、
前記バンパーアーム11に、前記抜け止め突起13cを挟み込む隙間空間を形成する抜け止めプレート11dを設け、該抜け止めプレート11dに部分円弧形状による抜け止め切り欠き11iを形成し、
前記抜け止め突起13cと前記抜け止め切り欠き11iを、前記バンパーアーム11を前記固定ピン13により固定するとき、前記抜け止め突起13cと前記抜け止め切り欠き11iが軸方向に重なり合わないレバー角度位置として前記固定ピン13を差し込み、軸方向に重なり合うレバー角度位置まで回すことで前記固定ピン13の軸方向への抜けを規制するピン抜け止め構造とした。
このため、(3)の効果に加え、バンパー使用位置での悪路走行中等において、振動入力により固定ピン13が抜けるのを確実に防止することができる。
【0054】
(5) 前記固定ピン13を、車体側部材(バンパーステー10)に対し変形可能な連結部材(チェーン16)により連結した。
このため、(3)又は(4)の効果に加え、固定ピン13を抜いたままにしても地面へ落下することなく、地面に散在物や堆積物等が存在するような作業環境下において、固定ピン13の紛失を防止することができる。
【0055】
(6) 前記バンパーステー10とバンパーアーム11とバンパー本体(丸パイプ型バンパー12)と固定ピン13を、高張力鋼素材により構成し、
前記バンパー本体を、円筒パイプによる丸パイプ型バンパー12とした。
このため、(3)〜(5)の効果に加え、可動バンパーA1の軽量化により位置を変える操作力の軽減を図りながら、可動バンパーA1への強度要件を達成することができる。