(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961849
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】好ましくは木材を原料とする多層可撓性要素、及び、関連するレーザー彫刻及び/又は切削による製造方法
(51)【国際特許分類】
B44C 3/02 20060101AFI20160719BHJP
B32B 21/10 20060101ALI20160719BHJP
B23K 26/40 20140101ALI20160719BHJP
B23K 26/36 20140101ALI20160719BHJP
B44C 1/22 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
B44C3/02 Z
B32B21/10
B23K26/40
B23K26/36
B44C1/22 B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-540638(P2014-540638)
(86)(22)【出願日】2012年2月7日
(65)【公表番号】特表2015-502272(P2015-502272A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】IT2012000042
(87)【国際公開番号】WO2013069035
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年2月6日
(31)【優先権主張番号】RM2011A000592
(32)【優先日】2011年11月9日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514096317
【氏名又は名称】マイ マントラ エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】MY MANTRA S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】アントネッリ,マルセロ
(72)【発明者】
【氏名】アントネッリ,マルタ
【審査官】
水野 治彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−536211(JP,A)
【文献】
特開2001−070005(JP,A)
【文献】
特開平07−195315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 3/02
B23K 26/36
B23K 26/40
B32B 21/10
B44C 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー彫刻及び/又は切削による多層可撓性要素(10)の製造方法(50)であって、前記多層可撓性要素(10)は、
その表面にスロットの構造を有する木材製の硬質材料層(11)と、
前記硬質材料層(11)に接合された可撓性サポート材料層(12)、例えば、ティシュと、
前記硬質材料層(11)を前記可撓性サポート材料層(12)に接合する接着剤等の手段(13)と、
を有し、前記方法(50)は、
−例えば、接着剤により、前記硬質材料層(11)を可撓性サポート材料層(12)に重ね合わせることで接合するステップ(51)と、
−線の構造を規定するベクターグラフィックのテクスチャ(14)をデザイン(52)し、これを、高出力レーザービームの発生及び焦点合わせに適したレーザー装置と呼ばれる産業装置の制御システムにダウンロードするステップと、
−レーザービームにより生じる融解と高温の蒸発により、前記テクスチャ(14)に従って前記硬質材料層(11)を彫刻及び/又は切削する(53)ことで前記硬質材料層(11)に前記スロットの構造を形成するステップを有し、
前記多層可撓性要素(10)が、ファッション、家具及びデザイン産業での利用ための装飾的及び/又は機能的要素としての使用が可能な可撓性のある新材料(18a),(18b),(18c)を提供し、
前記新材料(18a),(18b),(18c)に、ティシュの部分の接着及び/又は縫製の更なる処理が施されるステップ、
を更に有することを特徴とする前記多層可撓性要素(10)を製造するための方法(50)。
【請求項2】
前記新材料を硬質化し、そして、例えば、家具又は乗り物産業で適用できるようにするように、
前記新材料(18a),(18b),(18c)が、その形状を固定する硬質化樹脂で処理されるステップ、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の前記多層可撓性要素(10)を製造するための方法(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は好ましくは木材を原料とする多層可撓性要素、及び、レーザー彫刻及び/又は切削による製造方法に関する。さらに詳しくは、この製造方法は、元々硬質の材料が加工後に、好ましくは、衣類、家具及びデザインの素材に適するように、ティシュ(tissue/織物)に特有の性質・特質を獲得する材料の処理を含む。この製造方法は、加工の後に、可撓性材料と同じように使用できる多層材料の表面層に溝の模様を実現することが可能なレーザー装置の使用に基づく。
【背景技術】
【0002】
最新の技術では、様々な形材やプロファイルに適合し得る可撓性の構造を生成するように適切に加工された木や他の硬質材料からなる製品を作成できる手順が開発されており、この製品は、衣類、アクセサリー又は家具として使用され得る。時には、これらの構造は、実際の衣類である。
【0003】
今まで使われてきた技術は、繋がれたような基本的な構造を実現することにある。例えば、他の部品の回転を許すようにピンでつないだ金属部品を繰り返し繋げ、この構造(この金属構造の内部は、寄せ集めの形に木で出来た合わせ釘を打ったもの)のように、繋げられた基本的な構造の実現にある。その処理は、最終製品を形成するまで、一つずつ、合わせ釘のカットや手動装置を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この方法は、製品の実現にオペレータが介在するという事実により精度が決定され、処理は、マニュアルの操作にしたがわなければならないために、タイミングの問題がある。単一の製品を実現するために、特定量の原材料、製品を設計し、マニュアルでその製品を製作するための一定の時間が必要であり、また、直接介在することが必要な作業が必要であるため、コストの問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の全ての問題は、その性質及び特色が硬質であり、制限された成形性(modeling/モデリング性)を有する材料(望ましくは、木や積層物、アルミニウムなど)を、ティシュや他の可撓性材料と同じ態様で使用可能にすることを主目的とした本願発明により解決される。
【0006】
更なる目的は、適切に処理されたそのような材料が、ティシュや皮革用の両方に使用されている用途で使用できることである。
【0007】
他の目的は、特にテキスタイル及び皮なめしにおける衣類及びデザインで既に使用可能な材料の範囲を広げるように、これらの材料(木材、積層物、プレキシガラス、アルミニウム、銅等)を使用することである。
【0008】
更なる目的は、処理の態様が、高速及び高精度を確実にすることである。
【0009】
他の目的は、この処理技術は、極めて用途が広く、衣類から備品、自動車産業までの他の分野で使用できることである。
【0010】
他の目的は、オペレータの最大の安全を提供するように、材料に直接接触せずに処理を行うことである。
【0011】
他の目的は、レーザー彫刻及び/又は切削が永続的で、変化せず、変容しないことである。
【0012】
従って、本発明の特定の目的は、好ましくは木材を原料とし、ファッション、家具及びデザイン産業において好適に採用される多層可撓性要素、及び、関連するレーザー彫刻及び/又は切削による製造方法であって、前記要素は、
シート状あるいはプレート状で供給される、好ましくは木材を原料とする硬質材料層と、
前記硬質材料層に接合されたティシュ等の可撓性サポート材料層と、
高い弾性及び温度変化に対する抵抗性を有する接着剤等の前記硬質材料層を可撓性サポート材料層に接合する手段と、
被加工物の切削方法を規定したベクターグラフィックスのテクスチャであって、可撓性及びその結果の成型性及び柔軟性を規定したテクスチャを有し、
前記方法は、
例えば、木材及び類似の材料などの硬質材料を可撓性にし、ファッション、家具及びデザイン産業に適用するための装飾的及び/又は機能的要素として適切にするために、
例えば、接着剤により、前記硬質材料層を可撓性サポート材料層に接合するステップと、
ベクターグラフィックの前記テクスチャをデザインし、高出力レーザービームの発生及び焦点合わせに適した産業装置のコントロールシステムにダウンロードするステップと、
前記テクスチャによりガイドされ、レーザービームにより生じる融解と高温の蒸発により前記硬質材料層を彫刻及び/又は切削するステップを有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで、添付図面の各図に特に参照し、制限目的ではなく、例示目的で本発明が説明される。
図1は、すでにカットされた要素として提供され、後にその間が接着される硬質材料と可撓性支持体の斜視図である。
図2は、接着剤又は接合剤の層で上述の層を接着させた段階の斜視図である。
図3は、硬質材料の切削を規定するテクスチャーの正面図である。
図4は、多層材料の加工を提供するレーザー装置の斜視図である。
図5は、そのような加工手順の最終結果である可撓性材料の第1の例の斜視図である。
図6は、そのような加工手順の最終結果である可撓性材料の第2の例の斜視図である。
図7は、そのような加工手順の最終結果である可撓性材料の第3の例の斜視図である。
図8は、新しい材料を実現させる手順の様々な段階の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
下記に、本願発明につき、制限的なものを除いて、技術効果が確認されているものの内、一部のものの実例を示す。複数の図面において、同じ要素のものは、同じ番号で示されます。
【0015】
この製造工程を実現するために最初に行うことは、
図1で示される材料の取得である。硬質材料11は、必ず、すでにカットされたプレート、コイル又はシートとして入手ことが必要であり、その意図する用途や、適正に接着されることが必要な可撓性のサポート12に応じて、各シートの厚みは1/10mmから10mmまで変化する場合がある。
【0016】
硬質材料11のサイズは、また、レーザー彫刻及び切削機で取り扱い可能であるべきである。可撓性サポート12は、高い柔軟性及び可撓性が保証されるティシュ、網状のサポート、例えば、ガラス繊維、アマの繊維から作ることができ、可撓性サポート12は、後で接着する硬質材料11と同じサイズを有し、また、適切な接着を可能にする均一表面を有することが必要である。特に、
図1に硬質材料11が図示され、特に、その硬質材料11は、製造を通してティシュとして使用可能にされる木材である。木材は、軽量、(音及び電磁気の)絶縁性などの極めて良好な特性を有し、エコロジカルな材料で、生体適合性(自然の原材料であり、再生可能、再利用可能で、低いエネルギーコストで作られる)であり、また、審美的に満足感を与えるがために、選択される。これらの特性により、この材料は、様々な分野で広く使われる。
【0017】
この材料を一旦準備すると、
図2で図示されるように、多層要素10を形成するように、硬質材料11を可撓性サポート12に最終的に接着する段階に進む。
【0018】
接合には、乾燥後の温度変化への抵抗性と、耐水性と、適切な弾性を維持し、そして、しっかりと2つの材料層を結合できる接着剤13を使用することが望ましい。加工される材料に応じて、ビニール接着剤、熱接着剤、コンタクト接着剤、接着剤シーラントを使うことができる。
【0019】
その後、ベクターグラフィクス(例えば、
図3に示される)のテクスチャ14が実現され、これが、
図4に示す層の彫刻及び/又は切削を行うレーザー装置16により硬質材料層11上に再現される。特に、レーザーは、蒸発、結合、燃焼を通して材料を切削し、全ての材料は、硬度、化学組成、表面仕上、反射力、及び、明らかに厚みの違いにより、異なる態様で反応する。彫刻工程は、材料の除去、燃焼又は微小融解で表面にマーキングする可能性を含む。その違いは、化学燃焼や様々な材料の熱に対する反応に依存する。
【0020】
グラフィック・プログラムや特定のソフトウエアでコンピュータに生成された上述のテクスチャー14は、データ記憶装置15に保存できる。テクスチャー14は、好ましくは可撓性サポート12に前もって接着された硬質材料11の単層を彫刻及び/又は切削している間、レーザー装置16をガイドする。これは、接着剤13と表層下にある可撓性サポート12の層が不変の状態で、レーザー装置16の出力、速さ、精度が、接着剤層12及びその下の可撓性サポート12を変化させずに、硬質材料11の厚さにだけ影響を及ぼすように調整されなければならないことを想定する。
【0021】
テクスチャー14がベクトルグラフィックにされるという事実は、同等のラスターより少ないスペースを使用するフォーマットでデータを表現することを可能にし、また、処理の間の最大精度を得るための基礎的要請である解像度の損失無しに、拡大の可能性を保証する。テクスチャー14のタイプ(その構成、サイズ、線間のスペースなど)は、繊維の方向や折り曲げの方向だけでなく、強靱さの度合い(degree of armor)及びその結果の処理された材料の柔軟性及び成形性を規定する。テクスチャー14は、基本的に彫られた表面の装飾的な面を与え、可撓性の程度と多層材料10のやわらかさを定める。テクスチャ14の要素19は、条件や造り出したい効果に応じて、1mm
2から10mm
2までか、それ以上のサイズであり得る。
【0022】
図5に関して、多層材料10(特に硬質材料11の層)上にテクスチャー14のレーザーにより再現される結果としての新しい材料18aは、硬質ではなく、テクスチャー14を構成する一連の線を定める何百/何千の要素19に分画される。
【0023】
図6において、同じ技術処理により、入手できるさらに新しい類型の材料18bが図示される。
【0024】
図7に、テクスチャー14の部分19のいくらかを除去する可能性を考えられる新しい材料18cの更なる類型が図示され、これにより、可撓性を増加させ、上述の新しい材料18cをより多くの方向に折り曲げることを可能になる。それゆえ、硬質材料11の層に再現されるテクスチャー14の類型の選択が基本であり、テクスチャー14は、単に新しい材料18a、18b、18cの審美的な外見だけでなく、機能と結果としてのその考えられる用途も規定する。テクスチャー14で規定される溝のパターンに応じ、多層材料10のレーザー彫刻及び/又は切削による上記製法で得られた新しい材料18a、18b、18cは、便宜上”ソフト材料”と呼ばれ、服や家具、デザインの区画に用途を見出し得る。
【0025】
図8は、新材料を実現し得るレーザー装置による全体の製造工程50のステップをブロックで概略的に示し、レーザー装置53は、彫刻及び/又は切削により、多層材料10の表面層上にデータ記憶装置54に記憶されたテクスチャ52を再現し、もはや硬質ではなく、ソフト材料と便宜上呼ばれる新しい材料18a、18b、18cを形成する。一度、新材料18a、18b、18cの使用が準備できると、衣服やテント、アクセサリー等を作るための仕立てに適した態様での接着及び/又は裁縫のさらなる工程の対象となる。又は、新材料18a、18b、18cは、硬質化させて、例えば、家具や車両産業に適用できるように、硬化剤樹脂で処理され得る。
【0026】
上の例で説明するように、本願発明は、提案する全ての目的を達成する。特に、性質や特性上、硬質構成と限られた成形性をもつこれらの材料(望ましくは木材であるが、積層物、アルミニウムなどでも良い)を、ティシュ又は他の可撓性材料と同じように使用することを可能にする。
【0027】
更に、適切に処理されたそのような材料が、ティシュや皮革用の両方に使用されている用途で使用できる。
【0028】
更に、特にテキスタイル及び皮なめしにおける衣類及びデザインで既に使用可能な材料の範囲を広げるように、これらの材料(木材、積層物、プレキシガラス、アルミニウム、銅等)を使用することができる。
【0029】
更に、処理の態様が、高速及び高精度を確実にする。
【0030】
更に、この処理技術は、極めて用途が広く、衣類から家具、自動車産業までの種々の分野で使用できる。
【0031】
更に、この処理は、材料との直接の接触が無く、オペレータの最大の安全を提供する。
【0032】
更に、レーザー彫刻及び/又は切削は、永続的で、変化せず、変容しない。
【0033】
本願発明は、限定事項を除いて、好適な具体化を実例で述べられる。それは、従属項で定義する保護範囲を除外せず、いくらかの変更が専門家により行われることを意図する。