特許第5961852号(P5961852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社GameFactoryの特許一覧

特許5961852ゲームプログラムおよびコンピュータ制御方法
<>
  • 特許5961852-ゲームプログラムおよびコンピュータ制御方法 図000002
  • 特許5961852-ゲームプログラムおよびコンピュータ制御方法 図000003
  • 特許5961852-ゲームプログラムおよびコンピュータ制御方法 図000004
  • 特許5961852-ゲームプログラムおよびコンピュータ制御方法 図000005
  • 特許5961852-ゲームプログラムおよびコンピュータ制御方法 図000006
  • 特許5961852-ゲームプログラムおよびコンピュータ制御方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5961852
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】ゲームプログラムおよびコンピュータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/49 20140101AFI20160719BHJP
   A63F 13/46 20140101ALI20160719BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20160719BHJP
   A63F 13/843 20140101ALI20160719BHJP
   A63F 13/30 20140101ALI20160719BHJP
【FI】
   A63F13/49
   A63F13/46
   A63F13/80 E
   A63F13/843
   A63F13/30
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-21381(P2016-21381)
(22)【出願日】2016年2月6日
【審査請求日】2016年2月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516010113
【氏名又は名称】株式会社GameFactory
(74)【代理人】
【識別番号】100167667
【弁理士】
【氏名又は名称】安高 史朗
(72)【発明者】
【氏名】上西 恒輔
(72)【発明者】
【氏名】深谷 崇成
【審査官】 宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−188052(JP,A)
【文献】 特開2006−262985(JP,A)
【文献】 特開2004−073589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00−13/98,9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
フィールド内にオブジェクトを発生させるオブジェクト発生機能と、
利用者による入力データを取得する入力取得機能と、
取得した入力データに基づき、フィールド内のオブジェクトを移動させるオブジェクト移動機能と、
オブジェクトの移動結果に基づき、フィールド内の効果を発生させる効果発生機能と、
オブジェクトの移動結果および発生する効果に基づき、オブジェクトの移動場所が確定したときに、当該移動場所へオブジェクトを移動させるのに要する予め設定された最短の時間またはフレーム数、および、効果の発生に要する時間またはフレーム数をカウントするカウント機能と、
複数の利用者のカウントされた累計時間または累計フレーム数の各利用者間の差が所定値以内か否かを判定する判定機能と、
を実現させるためのプログラムであって、
前記判定機能は、累計時間または累計フレーム数の前記差が所定値を超えると判定した場合に、累計時間または累計フレーム数の多い方のプレイヤーの前記オブジェクト発生機能、前記入力取得機能または前記効果発生機能を停止させることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
前記ゲームプログラムが提供するゲームは、対戦落ちものパズルゲームであり、
前記判定機能は、対戦相手との累計時間または累計フレーム数の差が所定値以内か否かを判定することを特徴とする請求項に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
フィールド内にオブジェクトを発生させるオブジェクト発生ステップと、
利用者による入力データを取得する入力取得ステップと、
取得した入力データに基づき、フィールド内のオブジェクトを移動させるオブジェクト移動ステップと、
オブジェクトの移動結果に基づき、フィールド内の効果を発生させる効果発生ステップと、
オブジェクトの移動結果および発生する効果に基づき、オブジェクトの移動場所が確定したときに、当該移動場所へオブジェクトを移動させるのに要する予め設定された最短の時間またはフレーム数、および、効果の発生に要する時間またはフレーム数をカウントするカウントステップと、
複数の利用者のカウントされた累計時間または累計フレーム数の各利用者間の差が所定値以内か否かを判定する判定ステップと、
を含み
前記判定ステップにおいて、累計時間または累計フレーム数の前記差が所定値を超えると判定した場合に、累計時間または累計フレーム数の多い方の前記オブジェクト発生ステップ、前記入力取得ステップまたは前記効果発生ステップを停止させることを特徴とするコンピュータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対戦ゲームを提供するゲームプログラムおよびゲーム提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆる落ちものパズルゲームというジャンルが知られている(例えば、特許文献1を参照)。フィールドの上部からオブジェクトが現れ、利用者の操作に応じた速度により左右方向と下方向へ移動する。また利用者が操作せずともオブジェクトは一定の速度で下方向へ移動する。オブジェクトを複数設置していき、特定の条件を満たす設置をした場合(例えば横に一列揃った場合や、同色のオブジェクトが4つ隣接した場合など)、オブジェクトが消えるといった効果が発生し、得点を得る。
【0003】
対戦をする場合は、2つのフィールドが並び、利用者Aは左のフィールド内のオブジェクトを、利用者Bを右のフィールド内のオブジェクトを操作する。利用者AとBは、得点に応じて相手フィールドへ妨害オブジェクトを発生させ、オブジェクトがフィールド上部まで達すればと負けるといったルールで競い合う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−78967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
落ちものパズルゲームで対戦をする場合、早くオブジェクトを積み上げて得点を稼いだ方が有利になるため、下キーを押して高速落下させながら操作をするなど、高い操作性が求められる。しかし、スマートフォンなどの携帯情報端末では、タッチパネルによる操作となり、高い操作性を実現することができない。
【0006】
そこで、操作のスピードを不要とするゲームシステムとすることで、操作性の低いスマートフォンでもゲームを楽しむことができる。また、時間をかけて熟考することで、純粋にパズルゲームとして、各オブジェクトをどこに設置するのが最適かという理論を突き詰めることができる。
【0007】
そのためには、例えば囲碁や将棋のような、1手ごとのターン制とすることが考えられる。つまり、利用者Aのフィールドにオブジェクトが現れ、それを設置するまでを1手とし、次いで利用者Bがオブジェクトを設置するまで利用者Aは待つというシステムである。
【0008】
しかしそれでは、1手1手、相手がオブジェクトを設置するのを待つ必要があり、リアルタイム性とエキサイティングさに欠ける。また特に重要な点として、同じ1手であっても、オブジェクトをどこにどのように配置するかによって、実際の操作時間は異なる。つまり、フィールドの上の方に配置するのと、下のほうにまで移動させて配置するのでは、必要な操作時間は異なり、それを同じ1手とすれば、どの設置が最適かというパズルの理論に悪影響を与える。
【0009】
本発明の目的は、高い操作性を不要としながら、通常モードのゲームと同じ理論のゲームを実現することができるゲームプログラムおよびゲーム提供方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様におけるゲームプログラムは、コンピュータに、
フィールド内にオブジェクトを発生させるオブジェクト発生機能と、
利用者による入力データを取得する入力取得機能と、
取得した入力データに基づき、フィールドのオブジェクトを移動させるオブジェクト移動機能と、
オブジェクトの移動結果に基づき、フィールド内の効果を発生させる効果発生機能と、
オブジェクトの移動結果および発生する効果に基づき、オブジェクトの移動に要する時間またはフレーム数、および、効果の発生に要する時間またはフレーム数をカウントするカウント機能と、
複数の利用者のカウントされた累計時間または累計フレーム数の差が所定値以内か否かを判定する判定機能と、
を実現させ、
前記判定機能が、累計時間または累計フレーム数の差が所定値を超えると判定した場合に、累計時間または累計フレーム数の多い方のオブジェクト発生機能、入力取得機能または効果発生機能を停止させることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、本発明の一態様における前記カウント機能は、利用者による入力データに基づき、オブジェクトの移動場所が確定したときに、当該移動場所へオブジェクトを移動させるのに要する最短の時間またはフレーム数を算出し、当該時間またはフレーム数を累積することを特徴とする。
【0012】
また、好ましくは、本発明の一態様におけるゲームプログラムが提供するゲームは、対戦落ちものパズルゲームであり、
前記判定機能は、対戦相手との累計時間または累計フレーム数の差が所定値以内か否かを判定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様におけるコンピュータ制御方法は、
フィールド内にオブジェクトを発生させるオブジェクト発生ステップと、
利用者による入力データを取得する入力取得ステップと、
取得した入力データに基づき、フィールド内のオブジェクトを移動させるオブジェクト移動ステップと、
オブジェクトの移動結果に基づき、フィールド内の効果を発生させる効果発生ステップと、
オブジェクトの移動結果および発生する効果に基づき、オブジェクトの移動に要する時間またはフレーム数、および、効果の発生に要する時間またはフレーム数をカウントするカウントステップと、
複数の利用者のカウントされた累計時間または累計フレーム数の差が所定値以内か否かを判定する判定ステップと、
を含み
前記判定ステップにおいて、累計時間または累計フレーム数の差が所定値を超えると判定した場合に、累計時間または累計フレーム数の多い方のオブジェクト発生ステップ、入力取得ステップまたは効果発生ステップを停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高い操作性を不要としながら、通常モードのゲームと同じ理論のゲームを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るゲームシステムの構成の一例を示す図である。
図2】利用者端末の制御部の構成の一例を示す図である。
図3】フレーム数テーブルの構成の一例を示す図である。
図4】表示部に表示されるゲーム画面の一例を示す図である。
図5】表示部に表示されるゲーム画面の別の例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るゲームにおけるフローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るゲームプログラムおよびコンピュータ制御方法について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るゲームプログラムおよびコンピュータ制御方法を提供するシステムの全体構成を示す。
【0018】
利用者端末100とゲームサーバ200とは、有線および/または無線のネットワークに接続されている。ゲームサーバ200はWebサーバの機能を有し、利用者端末100とゲームサーバ200とは、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)等を用いて通信する。
【0019】
利用者端末は、CPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)等で構成される主メモリと、ハードディスク等で構成される記録部102とを有する。利用者端末の記録部140には、ゲームプログラムと、フレーム数テーブルとが格納されている。利用者端末100のCPUが記録部140からゲームプログラムを主メモリに読み出して実行することで、制御部120の各機能が実現される。
【0020】
利用者端末は、例えば、利用者が有するスマートフォン、タブレット等の携帯情報端末や、PC等の情報端末である。ネットワークを介してゲームプログラムをダウンロードして、インストールすることで、ゲームを実行することができる。
【0021】
また、ネットワークを介して利用者端末100からゲームサーバ200へアクセスすることで、他の利用者端末100とマッチングするための処理を行い、オンライン上でゲーム対戦をすることができる。
【0022】
利用者端末100は、タッチディスプレイやマウス・キーボード・ゲームパッド等の入力部110と、制御部120と、ディスプレイ等の出力部130とを有する。
【0023】
続いて、図2を用いて、利用者端末100の制御部120の構成について説明をする。
【0024】
制御部120は、オブジェクト発生部121と、入力取得部122と、オブジェクト移動部123と、効果発生部124と、カウント部125と、判定部126と、表示制御部127とを有する。
【0025】
オブジェクト発生部121は、ゲームがプレイされるフィールド内に、オブジェクトを発生させる。オブジェクトは、ブロックやキャラクターやオーブなど、様々なものであり得る。
【0026】
入力取得部122は、入力部110に入力された入力データを、利用者の操作として受け付け、オブジェクト移動部123へと伝える。オブジェクト移動部123は、入力データに基づいて、オブジェクトを移動させる。例えば、左右上下方向に移動させるキー、回転キーの入力に基づいて、オブジェクトを左右上下方向へ移動させ、回転させる。
【0027】
効果発生部124は、オブジェクトの移動結果に基づいて、所定の効果を発生させる。例えば、フィールドの横一列にオブジェクトが揃った場合に当該オブジェクトを消去させる効果や、同じ色のオブジェクトが4つ隣接した場合に、当該オブジェクトを消去させる効果などがある。また、オブジェクト同士の接触でダメージや得点を与えるなど、様々な効果が考えられる。
【0028】
カウント部125は、オブジェクトの移動結果および発生する効果に基づいて、これらに要する時間またはフレーム数をカウントして累計する。ここでカウントする時間またはフレーム数は、現実に要したオブジェクトの操作時間や利用者が考えていた時間ではなく、利用者による入力データに基づき、オブジェクトの移動場所が確定したときに、当該移動場所へオブジェクトを移動させるのに要する最短の時間またはフレーム数をカウントする。つまり、通常モード(背景技術に記載の技術)の場合に、理想的な操作を行って、目的とする場所へオブジェクトを移動させるのに要する時間またはフレーム数である。例えば、オブジェクトの発生と同時に左右方向へ移動し、左右方向の場所が合った後に下入力を続けた場合の時間またはフレーム数をカウントする。このようなカウントの方法とすることによって、利用者は急いで操作をする必要がなく、操作性の悪い端末でも熟考しながらゲームをプレイすることができる。
【0029】
また、効果発生部124が発生させる効果にも時間またはフレーム数を要する場合は、当該効果の発生に要する時間またはフレーム数もカウントする。
【0030】
ここで、フレームとは、ゲームの描画を行う際の1コマの単位である。一般的に1フレームは1/60秒または1/30秒ごとに描写される。
【0031】
利用者端末100のカウント部125は、カウントした結果の累計時間またはフレーム数を、当該利用者端末100の判定部126へ送信すると共に、ゲームサーバ200へも送信する。ゲームサーバ200を介して、当該フレーム数は対戦相手である別の利用者端末へ送信される。
【0032】
判定部126は、カウント部125から送信された自身と対戦相手との累計時間またはフレーム数の差分が所定の閾値を超えているか否かを判定する。そして、判定結果に基づき、差分が閾値を超えている場合に、フレーム数が多い方の端末のオブジェクト発生部121、入力取得部122または効果発生部124の機能の一部または全部を停止させる。
【0033】
図3は、フレーム数テーブルの構成の一例を示す。フレーム数テーブルは、利用者端末100の記録部140またはゲームサーバ200の記録部220に記録されている。
【0034】
フレーム数テーブルには、オブジェクトの操作や効果の発生に対応する時間またはフレーム数が記録されている。ここでは、落ちものパズル対戦ゲームの場合を例にしたフレーム数テーブルを示している。例えば、オブジェクトを下へ一マス移動させるのに2フレーム、オブジェクトが設置されるモーションに20フレーム、消去の効果が発生するのに34フレームといった内容が記録される。
【0035】
なお、これらの動作に対応するフレーム数は、ゲームのルールの一部であり、任意に設定をすることができる。
【0036】
カウント部125は、フレーム数テーブルに記録されている内容とオブジェクトの移動結果に基づいて、オブジェクトの移動と効果の発生に要するフレーム数をカウントし、累計していく。
【0037】
続いて、図4図5および図6を用いて、提供するゲームが落ちものパズル対戦ゲームである場合の具体的なフローについて説明をする。
【0038】
ここでは、2つ1組のオブジェクトがフィールド上部から現れ、フィールド下部へ設置していき、同じ色のオブジェクトが4つ隣接すると消去するという効果が発生するゲームルール(出願人が提供するゲーム「Magical Stone」等)を前提に説明をする。
【0039】
図4は、ゲームが開始された最初の画面の一例を示す図である。図6に示すように、ゲームが開始されると、オブジェクト発生部121が、フィールド上部に2つ1組のオブジェクトを発生させる(ステップS1)。
【0040】
通常の落ちものパズルゲームの場合は、利用者が操作をせずとも、オブジェクトは自由落下をする。しかし、本発明の実施形態に係るゲームにおいては、高い操作性を不要とするため、自由落下はしない、または非常にゆっくりとした自由落下をする。
【0041】
続いて、入力部110に入力された入力データを、入力取得部122が取得する(ステップS2)。取得した入力情報に基づき、オブジェクト移動部123がフィールド上のオブジェクトを移動させる(ステップS3)。
【0042】
ここでは、左右方向のキーを入力することで、オブジェクトを左右方向に一マスずつ、下のキーを押すことでオブジェクトを下に一マスずつ、上を押すことでオブジェクトを上に一マス動かす。あるいは上のキーを入力することでオブジェクトを初期位置へ戻すことにしてもよい。また、回転キーを押すことでオブジェクトを時計回りまたは反時計回りに1/4回転させることができる。
【0043】
そして、オブジェクトがフィールドの下部に設置することをもって、オブジェクトの移動結果が確定する。フィールドに設置するまでは、利用者はゆっくりと考えながらオブジェクトを移動させることができる。
【0044】
続いて、オブジェクトの移動結果に基づいて、効果発生部124が所定の効果を発生させる(ステップS4)。ここでは、4つ同色のオブジェクトが隣接すると消えるという効果が発生するが、初回の設置では効果が発生しないため、次のステップへ移る。
【0045】
オブジェクトの移動結果が確定し、効果の有無が確定すると、カウント部125が当該操作に要するフレーム数をカウントする(ステップS5)。
【0046】
例えば図4中に示す(a)の場所へそのまま真っすぐ設置した場合は、下へ12マス移動させることになるため、12×2フレーム=24フレームを要することになる。また、(b)の場所へ設置させる場合は、右へ2マス移動させ、1/4回転させながら下へ12マス移動させることになるため、28フレームを要することになる。
【0047】
ここで、カウント部125がカウントするフレーム数は、実際の操作に要した時間やフレーム数ではなく、確定したオブジェクトの設置場所へ移動させるための最小の(通常のモードであれば理想的な操作をした場合の)フレーム数である。したがって、左右方向に移動させたり回転させたりしながら、悩んだ結果(a)の場所へ設置したとしても、カウントされるフレーム数は、真っすぐ下のみを押した際のフレーム数となる。また、実際に操作をしている最中にはカウントは増えずに、オブジェクトを設置させてオブジェクトの移動結果が確定した瞬間に、カウントが増加する。
【0048】
このようなカウントの数え方にすることによって、高い操作性を不要とし、パズルについて熟考する時間を与えながらも、フレーム数としては通常モードの理想的な操作をした場合のフレーム数としてゲームを進めることができる。
【0049】
続いて、カウント部125がカウントした累計のフレーム数の対戦相手との差分が、所定の閾値を超えているかを、判定部126が判定する(ステップS6)。この閾値は、小さすぎると、多少の差分であっても待ちが発生するため、ゲーム進行のリズムが悪くなり、大きすぎると、フレーム数の差が大きくなりすぎ、ゲームバランスが崩れることになる。そのため、10フレーム〜200フレームが好適であり、さらには20フレーム〜50フレームがより好適である。ここでは、閾値が50フレームである場合を例に説明をする。
【0050】
初回の設置では、(a)に設置しても(b)に設置しても、累計フレーム数は50フレームを超えないため、対戦相手がまだ初手の設置をしていなくても、差分が閾値を超えることはなく、フローは終了する。フローが終了するとまた開始へ戻り、新たなオブジェクトが発生する(ステップS1)。
【0051】
次に、ある程度ゲームが進行し、図5の場面になったときを例に、もう一度フローを説明する。図5の場面では、左の利用者の累計フレーム数は700に、右の利用者の累計フレーム数は690になっている。
【0052】
例えば、現在現れているオブジェクトを図5中に示す(a)の場所へ設置した場合、累計フレーム数は34フレーム増加する。これではまだ累計フレーム数の差分が閾値である50フレームを超えないため、引き続き新たなオブジェクトが発生する。
【0053】
一方、オブジェクトを図5中に示す(b)の場所へ設置した場合、設置をする場所に段差があるため、オブジェクトは千切れて1つずつ設置される。このちぎりが発生することで、通常の設置よりも余計にフレーム数を消費し、累計フレーム数は45フレーム増加する。その結果、累計フレーム数の差分が閾値を超え、フローが停止される(ステップS7)。
【0054】
フローが停止されると、対戦相手のプレイが進行して対戦相手の累計フレーム数が増加して差分が閾値を下回るまで、新たなオブジェクトは発生されず、操作も受け付けないまま画面の進行が停止する。対戦相手がプレイを進め、累計フレーム数が増加して差分が閾値を下回ると、再び新しいオブジェクトが発生し、操作が受け付けられるようになる。
【0055】
最後に図5中に示す(c)の場所にオブジェクトを設置した場合について説明をする。図5中に示す(c)の場所に設置すると、同じ色のオブジェクトが4つ隣接するため、効果発生部124が当該オブジェクトを消去させ、消去したオブジェクトの上に乗っていたオブジェクトはその分下へ落下する。そして、当該落下の結果、また異なる色のオブジェクトが4つ隣接することになるため、その4つのオブジェクトも消去し、その上に乗っているオブジェクトは下へ落下する。このようなオブジェクトの消去が連続して発生することを連鎖と称する。
【0056】
このようなオブジェクトの消去にも一定のフレーム数を要するため、連鎖が発生している間は、利用者が何らの操作をせずとも、フレーム数は増加を続ける。したがって、図5中に示す(c)の場所に設置した瞬間の累計フレーム数の差分は閾値を超えていないが、連鎖の進行の途中で閾値を超えることになる。
【0057】
判定部126が、そのフレームの増加により閾値を超えたと判定すると、フローが停止し、連鎖の途中で効果発生部124による効果の発生が一時停止する。その間は新しいオブジェクトも発生せず、利用者の操作も受け付けない。
【0058】
そして、対戦相手のプレイが進み、累計フレーム数の差分が閾値を下回ると、再び効果発生部124が動作し、連鎖が進行する。
【0059】
上記のような構成とすることにより、高い操作性を不要としながらも、通常モードにおけるゲームにて理想的な操作をした場合と同じ理論環境にて対戦ゲームを行うことができる。単純なターン制ではなく、フレーム数を考慮したことで、どこにオブジェクトを置くのが最適かというパズルの理論を突き詰めながら、熟考してプレイをすることができる。また、累計フレーム数の差分が閾値を超えたときのみ、一方の進行を停止させる構成とすることで、両者が同じようなリズムでプレイをした場合は、待ち時間がなく、ストレスを感じることなくゲームを楽しむことができる。
【0060】
なお、上記では、落ちものパズル対戦ゲームを例に説明したが、高い操作性を求められるゲームであれば、格闘ゲームやアクションゲームなどにも適用できる。また、必ずしも人と対戦する対人ゲームでなくとも、コンピュータと対戦するゲームにおいても適用できる。また、本実施例では、スマートフォンのタッチパネルでは操作性が低く、操作性の高いゲームには不向きであるという説明を行った。スマートフォンに操作性が高いゲームパッドを接続する構成も考えられるが、常にゲームパッドを携行しなければならず、ユーザにとっては不便になり、現実的ではない。
【0061】
また、フレーム数のカウントは、ゲームの種類に応じて任意に設定することができる。上記の落ちものパズル対戦ゲームの場合であっても、得点に応じて相手フィールドに送る妨害オブジェクトの落下にもフレーム数は発生する。また、ゲーム戦略上、任意のフレーム数を消費させる「待ち」ボタンのようなものを設けてもよい。
【0062】
また、フレーム数の差分が閾値を超えているときに停止させる機能は、ゲームの種類によって任意に設定させることができる。例えば、オブジェクト発生部、入力取得部、効果発生部のいずれか一つを停止すること、いずれか2つの組み合わせを停止すること、3つ全てを停止すること、いずれの構成とすることも可能である。
【0063】
また、上記では2人対戦の場合を例に説明したが、3人以上の対戦ゲームに適用することも可能である。その場合は、累計フレーム数が最大の利用者と最小の利用者との差分が閾値を超えているか否かを判定することで、どの利用者同士の累計フレーム数の差分も閾値を超えないように制御をする。
【0064】
また、上記の構成では、ゲームを進行するうえでの制限時間が全くないため、熟考をすることができる反面、対戦相手によっては長時間待たされ、ゲームの進行に滞りが生じる可能性もある。そこで、1手ごと、あるいはゲーム全体を通しての制限時間を課す構成としてもよい。例えば、制限時間を超過すると即負けとなるルールや、制限時間を超過すると自動的にオブジェクトの設定場所が決まってしまうルールなど、任意に設定することができる。
【0065】
また、上記では、利用者端末100にゲームプログラムをインストールし、利用者端末100の制御部120に各機能を実現させる構成を説明したが、利用者端末がWebブラウザを有し、各機能をWebブラウザの機能で実現される構成とすることもできる。この場合、利用者端末100は、Webブラウザからゲームサーバ200にアクセスして必要な情報を送受信する。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0067】
100…利用者端末、110…入力部、120…制御部、121…オブジェクト発生部、122…入力取得部、123…オブジェクト移動部、124…効果発生部、125…カウント部、126…判定部、127…表示制御部、130…表示部、140…記録部、200…ゲームサーバ、210…制御部、220…記録部
【要約】
【課題】高い操作性を不要としながら、通常モードのゲームと同じ理論のゲームを実現する。
【解決手段】取得した入力データに基づき、オブジェクトの移動に要する時間またはフレーム数、および、効果の発生に要する時間またはフレーム数をカウントするカウント機能と、複数の利用者のカウントされた累計時間または累計フレーム数の差が所定値以内か否かを判定する判定機能とを備え、前記判定機能が、累計時間または累計フレーム数の差が所定値を超えると判定した場合に、時間または累計フレーム数の多い方のオブジェクト発生機能、入力取得機能または効果発生機能を停止させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6