(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の複数のトレーニングデータユニットは、前記第1の局において、前記通信システムのネットワークコントローラによって割り当てられたタイムスロットで受信される請求項1または2に記載の方法。
前記第2の複数のトレーニングデータユニットは、前記第1の局において、前記通信システムのネットワークコントローラによって割り当てられたタイムスロットで受信される請求項5または6に記載の第1の局。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1A〜1Cは、無線チャンネルを通じてデータを送受信するために効率的な利得パターンを特定するのに、以下に記載するセクタスイーピングを使用する通信システムの幾つかの例を示したブロック図である。
図1Aは、送信デバイス12が、無線通信チャンネル上で受信デバイス14へと情報を送信する無線通信システム10を示してしている。デバイス12及びデバイス14はそれぞれ、例えば、基地局又は移動局であってもよい。
図1Aの例では、送信デバイス12は、アンテナアレイ17を構成する2つ以上のアンテナ16を備え、受信デバイス14は、1つのアンテナ18を備える。無線通信システム10は、したがって、複数入力単一出力(MISO)システムである。説明を簡潔に及び明瞭にするため、ここでは、送信デバイス12は、2つのアンテナ16A及び16Bのみを有するとしている。しかしながら、送信デバイス12は、通常、所望の数のアンテナを有していてもよい。
【0011】
伝送の間、送信デバイス12は、アンテナ16A及び16Bそれぞれにおける信号の位相及び/又は振幅を制御して、放射パターン又は利得パターン19を規定してもよい。特に、位相の制御に関しては、送信デバイス12は、位相シフト角のセットを規定するステアリングベクトル(又はフェーザー:phasor)を選択して、選択したステアリングベクトルをアンテナアレイ17に適用することにより、フェーズド(位相配列)アンテナアレイを規定してもよい。例えば、ステアリングベクトルは、アンテナ16Aに対しては0°の位相シフトを、アンテナ16Bに対しては35°の位相シフトを規定するものであってもよい。このように、ステアリングベクトルにより、"セクタ"と称されるアンテナアレイ17の送受信の方向を規定する。
【0012】
同様に、
図1Bに示された無線通信システム20は、1つのアンテナ26を有する送信機22及びアンテナアレイ29を構成するように配置された複数のアンテナ28を有する受信機24を含む単一入力複数出力(SIMO)システムである。送信機22は、1つのアンテナ26を介して、信号を受信機24へと送信してもよい。受信機24は、対応するステアリングベクトルを使用してアンテナ28A〜28Bにおける位相シフト角を制御することにより、利得パターン30を規定してもよい。
【0013】
一方、
図1Cに示された無線通信システム31は、複数入力複数出力(MIMO)システムであり、送信機32及び受信機34はそれぞれ、複数のアンテナ(アンテナアレイ37を構成するアンテナ36A〜36B、及びアンテナアレイ39を構成するアンテナ38A〜38C)を有する。送信機32及び受信機34はそれぞれ、ステアリングベクトルを、アンテナアレイ37及び39に適用して、利得パターン40を規定してもよい。
【0014】
複数のアンテナを備え、MIMO環境(又は、SIMOやMISOのようなMIMOの変性型)で動作する局は、送信ステアリングベクトルu
TXを使用して、アウトバウンドデータを送信する時の利得パターンを規定し、受信ステアリングベクトルu
RXを使用して、インバウンドデータを受信する時の利得パターンを規定してもよい。さらには、複数のアンテナデバイス(例えばデバイス32及び34)の組がデータを双方向に交換する場合、これらのデバイスは、ステアリングベクトルu
TX1、u
RX1、u
TX2及びu
RX2を規定してもよい。また、時には、アンテナアレイは、無指向性受信パターンモード又は準無指向性受信パターンモード(すなわち、無指向性モードに非常に近いモード)omni
RXで動作してもよく、このモードでは、アンテナアレイは、特定の方向からの信号のパワーを強化又は抑制することをしない。また、アンテナアレイは、無指向性送信パターンモード又は準無指向性送信パターンモードomni
TXで動作してもよく、このモードでは、アンテナアレイは、特定の方向に送信される信号のパワーを強化又は抑制することをしない。ここでは、説明を明瞭にするため、以下の記載では、無指向性モード及び準無指向性モードの両方を、"無指向性"モードと称している。
【0015】
ここに説明するようなセクタスイーピングによるビーム形成は、概して、少なくとも一方が複数のアンテナを有する局の組における通信に実装可能である。セクタスイーピングによるビーム形成の一例を、複数アンテナを備える局50(Rx)及びもう1つの局60(Tx)を例に挙げて
図2を参照して説明する。
図2は、局50と局60との間で送信されたデータを示したタイミング図である。局50は、2つ以上のアンテナを含み、局60は、1つ以上のアンテナを含む。効率的な(又は少なくとも相対的に優れた)受信ステアリングベクトルu
RXを特定するため、複数アンテナ局50は、一連の受信ステアリングベクトルu
1、u
2、・・・、u
nを繰り返し局のアンテナアレイに適用し、受信ステアリングベクトルu
1、u
2、・・・、u
nの全て又は一部に対するアンテナアレイにおけるトレーニングデータユニットd
1、d
2、・・・、d
n(例えば、パケット、フレーム等)を受信してもよい。この場合、受信ステアリングベクトルu
1、u
2、・・・、u
nのそれぞれは、トレーニングデータユニットd
1、d
2、・・・、d
nのうちの1つに対応(例えば、u
1はd
1に対応し、u
2はd
2に対応する等)するが、トレーニングデータユニットd
1、d
2、・・・、d
nの一部が、局50に到達しない場合も考えられる。局50は、受信されたトレーニングデータユニットd
1、d
2、・・・、d
nそれぞれの品質を所望の技術を用いて評価する。好ましくは、ピア局60が、同じ送信ステアリングベクトル(若しくは、無指向性又は準無指向性送信パターンモード、1つのアンテナ等)を使用して、トレーニングデータユニットd
1、d
2、・・・、d
nを送信し、受信局50が、受信されたトレーニングデータユニットd
1、d
2、・・・、d
nの品質を、受信アンテナアレイのパラメータのみを考慮して評価する。そして、局50は、受信されたトレーニングデータユニットの相対的な品質を考慮して、ステアリングベクトルu
1、u
2、・・・、u
nのセットから、又はセットに基づいて、受信ベクトルu
RXを選択してもよい。このようにして、局50は、セクタスイープを実行することにより、インバウンド方向におけるビーム形成(Rxビーム形成)を行う。
【0016】
幾つかの実施形態では、受信ステアリングベクトルu
RXが、ステアリングベクトルu
1、u
2、・・・、u
nのいずれかと、正確に合致している必要はなく、局50は、受信されたトレーニングデータユニットd
1、d
2、・・・、d
nのシーケンスに関連付けられた品質測定値を利用して、望ましい受信ステアリングベクトルu
RXを推定してもよい。他の実施形態では、局50は、複数のステアリングベクトルu(例えば、上位2つ、または上位3つ等)の平均値をとって、受信ステアリングベクトルu
RXを決定してもよい。通常、ステアリングベクトルのセットu
1、u
2、・・・、u
n(または、それらのサブセット)のそれぞれに対応したデータユニットの評価品質に基づいて、好適なアルゴリズムを適用することにより、受信ステアリングベクトルu
RXを生成することが可能である。
【0017】
局50は、受信されたトレーニングデータユニットdの品質を評価するのに、所望の技術を使用してもよい。例えば、局50は、受信された信号の強度を計測する、トレーニングデータユニットdに関連付けられた信号の信号対雑音比(SNR)を計算する、データユニットdにおけるデータのビット誤り率(BER)を評価する等、様々な方法で評価してもよい。通常、ここで述べるビーム形成技術は、無線受信状態の品質を測定するためのあらゆる方法を併用することができる。
【0018】
幾つかの実施形態では、局60は、局50及び60が利用可能な最も信頼性の高い変調符号化スキーム(MCS)セットを使用して、トレーニングデータユニットd
1、d
2、・・・、d
nを送信してもよい。すなわち、ある場合においては、局60は、最も遅いデータレート、及び、局50及び60がサポートする無線規格(例えば、IEEE規格802.15)で規定されている最も長いプリアンブルを選択してもよい。このようにすることで、局50及び60は、局60から局50へとトレーニングデータユニットdを問題なく伝播させる確率を上げることができる。しかしながら、ここに記載するビーム形成技術が、特定の変調スキーム又は符号化レートを必要としているということではない。
【0019】
図2に戻り、局50は、要求メッセージ62を局60に送信して、ピア局60に、一連のデータユニットd
1、d
2、・・・、d
nの送信を開始するよう要求してもよい。幾つかの実施形態では、要求メッセージ62は、シーケンスd
1、d
2、・・・、d
nに含まれるデータユニットの数Nを特定するカウント64を含んでもよい。他の実施形態では、データユニットの数Nは、局50及び局60が共有する通信プロトコルが規定してもよいし、ネットワークコントローラ(図示せず)によって予め設定されていてもよい。また、別のプロトコル段階の間に、局50及び局60が交渉して決定してもよいし、局50及び局60で合意してもよい。また、別の実施形態では、ピア局60は、シーケンスd
1、d
2、・・・、d
nの各トレーニングユニットdに、カウントダウン識別子66(C)を含んでもよく、トレーニングデータユニットdに続いて、何個のトレーニングデータユニットがスケジュールされているかを示してもよい。また、局50は、何個のデータユニットで、シーケンスd
1、d
2、・・・、d
nが構成されているかを知ることなく、別の条件を検出した場合には、トレーニングデータユニットの処理を停止してもよい。別の条件の例としては、十分に条件を満たしたステアリングベクトルuが特定された、タイマーが満了した、設定された数の様々なステアリングベクトルuを用いたデータユニットの受信が終了した等が挙げられる。
【0020】
局50及び局60が動作するネットワークの関連付け段階又はビーコン段階の間に、局50が要求メッセージ62を送信してもよい。例えば、ネットワークコントローラが、ネットワーク形成の様々な段階のタイムスロット、及びRx及び/又はTx方向におけるビーム形成のタイムスロットをスケジュールするようなピコネットで、局50及び局60が動作してもよい。少なくとも幾つかのピコネットの実施形態では、局50及び局60は、ネットワークコントローラを通じてビーム形成プロセスを開始する及び/又は交渉を行ってもよい。特に、局50は、Rxビーム形成を開始する要求をネットワークコントローラに送信し、局60が局50に送信すべきトレーニングデータユニットの数を規定してもよい。要求は、スケジュールされていてもよいし、通信プロトコルによって特定の段階に行われることが決定されていてもよいし、また随時、開始されてもよい。
【0021】
必要であれば、局50及び局60は、局50が要求メッセージ62を局60に送信するのと同じタイムスロットで、Rxビーム形成を行ってもよい。WPANの特定の例では、要求メッセージ62及びRx及び/又はTxビーム形成が行われるタイムスロットが、チャンネル割り当てタイムスロット(CTA)と呼ばれる。また、別の例として、要求メッセージ62が受信されると、ネットワークコントローラは、特定の数のトレーニングユニットが送信されるタイムスロットを1つ又は複数割り当てて、ネットワークコントローラが、局50及び局60に、スケジューリング情報を伝達してもよい。これに加えて又はこれに替えて、ネットワークコントローラは、Rx及びTxビーム形成を一方向又は双方向に(すなわち、局50におけるRx及びTxビーム形成及び局60におけるRx及びTxビーム形成)スケジュールしてもよい。
【0022】
図2に示すように、局50は、トレーニングデータユニットd
1を受信する前に、最初に、ステアリングベクトルu
1を自身のアンテナアレイに適用し、次に、トレーニングデータユニットd
1を受信した後から次のトレーニングデータユニットd
2が到達する前までの間に、ステアリングベクトルをu1からu2へと切り替える。トレーニングデータユニットd
1、d
2、・・・、d
nは、それぞれ等しい長さを有し、一定の間隔tで互いに分離されているのが望ましい。このように構成することにより、1つ又は複数のトレーニングデータユニットdが失われてしまったとしても、局50は正確にステアリングベクトルuを切り替えることができる。
【0023】
通常、複数アンテナ局(例えば、局50)は、インバウンド(Rx)方向及びアウトバウンド(Tx)方向の双方におけるビーム形成に、セクタスイーピングを使用することができる。特に、局は、一連のデータユニットd'
1、d'
2、・・・d'
nをピア局に送信すると共に、送信されたデータユニットそれぞれについて、例えば、様々なステアリングベクトルu'
1、u'
2,・・・u'
nを局のアンテナアレイに適用することによって、効率的な送信ステアリングベクトルu
TXを特定する。複数のアンテナが備えられている場合は、ピア局(例えば、局60)は、好ましくは、セクタスイーピングによるTxビーム形成の間に、同じステアリングベクトルをピア局のアンテナアレイに適用する。ピア局は、実際にピア局で受信されたデータユニットd'
1、d'
2、・・・d'
nそれぞれの相対的な品質を評価してもよく、最後のデータユニットd'
nが受信された場合又は受信に失敗した場合には、ピア局は、受信された一連のシーケンス中で最も品質が高かった測定値に関連付けられたデータユニットのIDを、Txビーム形成を行う複数アンテナ局に伝達してもよい。あるいは、ピア局は、複数の最も品質が高い測定量(例えば、上位2つ、上位3つ等)に対応する複数のデータユニットのIDを伝達してもよい。通常、ピア局は、受信されたデータユニットに対して、あらゆる好適な選択基準を適用してもよい。また、他の場合として、ピア局は、ピア局で受信されたトレーニングデータユニットd'の全ての品質測定値を、複数アンテナ局に伝達してもよい。複数アンテナ局は、ピア局からのフィードバックを考慮した上で、送信ステアリングベクトルu
TXを選択してもよい。
【0024】
必要であれば、局50及び局60は、一方向又は双方向におけるRxセクタスイーピング及びTxセクタスイーピングを組み合わせることにより、ビーム形成を実行してもよい。以下に詳述するように、例えば、ビーム形成プロトコルでは、Txセクタスイーピングの後に必ずRxセクタスイーピングが行われるようにしてもよい。しかしながら、良好に較正された複数アンテナ局50及び60の場合には、効率的な無線チャンネルHは、順方向及び逆方向に相補的なものとなると考えられ、(すなわち、
【数1】
)局50及び局60の送信特性と受信特性とが対称的になる。このような場合、局50及び局60は、一方向のみのセクタスイーピングを使用した双方向ビーム形成を実現してもよい。一例として、局50は、上述のようにセクタスイーピングによるビーム形成を使用して受信ステアリングベクトルu
RXを決定し、送信ステアリングベクトルu
TXにu
RXを設定してもよい。別の例としては、局50は、上述の技術を使用して送信ステアリングベクトルu
TXを決定し、受信ステアリングベクトルu
RXにu
TXを設定してもよい。
【0025】
図3は、アンテナアレイ102、アナログ/デジタル受信データ経路104、ビーム形成コントローラ106、品質評価ユニット108及びベクトル選択ユニット110を含む局100の受信機構造の例を示している。アンテナアレイ102は、それぞれデジタル的に制御可能であって、ビーム形成ネットワーク135を規定している遅延線130、132及び134に接続されたアンテナ120、122及び124を含むn個のアンテナを有する。遅延線130、132及び134のそれぞれは、対応するアンテナ120、122及び124から受信した信号を、位相シフト角度θで、移相する。アンテナアレイ102、及び遅延線130、132、134全体で、局100のフェーズドアレイ(位相配列)を規定する。Rxビーム形成プロセスの間、ビーム形成コントローラ106は、
図2を参照して上述したステアリングベクトルu
1、u
2、・・・、u
nのシーケンスを繰り返し、ベクトルuの現在の値に従って、位相シフト角度θ
1、θ
2、・・・、θ
nを、デジタル的に制御可能な遅延線130、132、134に適用してもよい。受信され移相された複数の信号で、受信信号ベクトル
【数2】
が規定される。
【0026】
図3に示されるように、アンテナ120〜124が、共通アナログ/デジタル受信データ経路を共有することにより、局100の実装コストを削減してもよい。この場合、好適な技術を使用して、加算器140により、アンテナ120〜124からのそれぞれ角度θ
1、θ
2、・・・、θ
nだけ移相された信号を組み合わせた後、組み合わせた受信信号ベクトルvを共有アナログ/デジタル受信データ経路104に供給してもよい。他の実施形態では、各アンテナ120〜124及び対応する遅延線130〜134は、別々のデータ経路に接続されていてもよい。一般的に知られているように、アナログ/デジタル受信データ経路104は、イコライザ、復号器、デインターリーバ、復調器、A/Dコンバータ、高速フーリエ変換(FFT)処理ブロック等の要素の一部又は全てを含んでもよい。
【0027】
アナログ/デジタル受信データ経路104は、組み合わせられた受信信号ベクトルv(受信データ経路104における1以上の要素によって処理されていてもよい)を、品質評価ユニット108に供給する。上記したように、品質評価ユニット108は、信号ベクトルvに対する品質指標又は測定値を生成するのに、あらゆる好適な技術を使用することができる。品質評価ユニット108は、計算された品質指標それぞれを、ベクトル選択ユニット110に供給する。品質評価ユニット108は、品質指標の一部のみ(例えば、ある閾値を超える品質指標のみ)を、ベクトル選択ユニット110に供給してもよく、ベクトル選択ユニット110は、ビーム形成コントローラ106と通信を行って、ステアリングベクトルu
1、u
2、・・・、u
nのうちの何れが1以上の選択された品質指標を生み出したのかを判断してもよい。
【0028】
図3に示した受信機構造では、通常、モジュール104、106、108、110の様々な要素が、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェア命令、ファームウェア、又はこれらの組み合わせを使用して実装される。また、モジュール104、106、108、110のうちの幾つかは、例えば、電気バスによって通信可能に接続されるカスタムIC、特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよい。また、遅延線130〜134は、デジタル的に又はアナログ的に制御可能であってもよい。
【0029】
図4〜6は、
図2及び
図3を参照して上述したビーム形成技術をサポートするために、通信デバイスの組(例えば、
図1Aの12と14、
図1Bの22と24、又は
図1Cの32と34)が利用する方法の例をいくつか示したものである。
図4〜6を参照して説明する方法は、WPAN、WLAN及びその他の種類のネットワークにおける一般的なビーム形成プロトコルとして実装してもよい。この点に関して、通信デバイスの組のそれぞれにおける複数アンテナの利用可能性、求められるロバスト性の程度、計算の複雑さ、チャンネル対称性等に応じて、これらの方法のメッセージ又は段階の一部を省略してもよい。
【0030】
図4に示すように、方法150は、Tx及びRxビーム形成のための、共通双方向Tx/Rxセクタスイーピングを提供する。複数アンテナデバイス32及び34の組によって実装される場合、図の左側に描かれた時系列を有する局2は、例えば、デバイス34に対応し、右側に描かれた時系列を有する局1は、デバイス32に対応していてもよい。ここで、"送信機/送信デバイス"という言葉及び"受信機/受信デバイス"という言葉は、単に、物理的デバイスの動作状態を表しているに過ぎず、これらのデバイスが、通信ネットワークにおいて、常に受信又は送信のみを行っているという意味ではない。例えば、
図1Cのデバイス34は、送信機として動作してもよいし、デバイス32は、オペレーションのある時点では、受信機として動作してもよい。
【0031】
ステート152では、局2が、自身のアンテナアレイを無指向性受信パターンモードomni
RXに設定して、局1が送信ステアリングベクトルu
TX1を決定するために開始するTxビーム形成のための、セクタスイーピングプロセスの準備を行う。上述したように、局1及び局2は、Txビーム形成のためのタイムスロットを前もって交渉しておいてもよいし、別の例では、ネットワークコントローラが、方法150におけるメッセージ交換の一部又は全てを行うための1以上のタイムスロットを、割り当ててもよい。局1は、
図2を参照して説明したトレーニングデータユニットd
1、d
2、・・・、d
nと同様なトレーニングデータユニットのシーケンス156を送信する。シーケンス156は、同一サイズを有し、等間隔で配列され、例えばシーケンス番号のような識別子を有する複数のデータユニットを含んでもよい。局1は、シーケンス156においてトレーニングデータユニットそれぞれを送信するのに、異なるステアリングベクトルuを利用する。
【0032】
局2は、シーケンス156全体又は一部(例えば、損失、拒否等により減少してしまうことが考えられる)を受信し、
図2を参照して上述したように、シーケンス156における各データユニットの品質を評価する。ステート158の直前又はステート158において、局2は、受信されたデータユニットの品質を評価してもよい。局2は、無指向性受信パターンを使用してシーケンス156を受信するので、受信されたデータユニットそれぞれの品質は、主に、局1がデータユニットの送信に使用したステアリングベクトルuに依存する。最も良好に受信されたデータユニット(すなわち、評価の結果最も高かった品質に対応するデータユニット)が特定された後、局2は、ステート164に移る前に、フィードバックメッセージ160を局1に送信してもよい。フィードバックメッセージ160は、最も良好に受信されたデータユニットに含まれる識別子を含んでもよい。
【0033】
他の実施形態では、局2は、メッセージ160で、2個以上の識別子を局1に報告してもよい。例えば、局2は、シーケンス156の一部として受信されたデータユニットの"上位3つ"のデータユニット、最も良好な受信データユニット及び最も悪い受信データユニットの識別子を報告してもよく、これにより、局1は、送信品質における分散、対応する品質測定値を伴う受信された全てのデータユニットの識別子、又はシーケンス156に関連するその他必要とする報告についての評価を行うことができる。
【0034】
必要であれば、メッセージ160は、局2においてRxセクタスイーピングプロセスを開始する要求を含んでもよい。
図4の例では、局2は、Rxセクタスイーピングプロセスの間に局2に送信されるべきトレーニングユニットの数N
2を特定する情報要素(IE)と共に、上記要求を含んでもよい。メッセージ160を受信すると、局1は、メッセージ160で報告された1以上の識別子と、シーケンス156のトレーニングデータユニットの送信に使用されたステアリングベクトルのシーケンスとを比較し、1以上の識別子に好適な選択アルゴリズムを適用して、送信ステアリングベクトルu
TX1の選択を行う。一例として、局1は、単純に、特定された最も良好なトレーニングデータユニットの送信に使用されたステアリングベクトルを、u
TX1として選択してもよい。
【0035】
ステート162の直前又はステート162において、局1は、送信ステアリングベクトルu
TX1を、自身のアンテナアレイに適用してもよい。ステート162において、局1は、局2に送信する送信データにおいて、どのステアリングベクトルが(少なくとも相対的に)効率的な利得パターンを生成するかをすでに決定することが可能である。無論、チャンネルHは、時間と共に発展するので、一定の時間が経過した後で、局1は、送信ステアリングベクトルu
TX1の再評価を行う必要が生じる場合がある。しかしながら、ここで示した例においては、シーケンス156を使用したTxセクタスイーピングにより、方法150の期間の間は少なくとも許容される有効な送信ステアリングベクトルを提供したと、局1は仮定している。次いで、局1は、好ましくはステアリングベクトルu
TX1を使用して、N
2個のトレーニングデータユニットを局2に送信(シーケンス166)してもよい。
【0036】
局1のTxセクタスイーププロセスと同様に、局2は、シーケンス166の全体又は一部を受信し、所望の技術を使用してシーケンス166における各データの品質を評価してもよい。局2は、シーケンス166の一部として受信したトレーニングデータユニットのそれぞれについて、異なるステアリングベクトルuを、自身のアンテナアレイに適用してもよい。シーケンス166全体を受信した後(又は、局1がシーケンス166の送信を完了したことを示すローカルタイムアウトイベントを受信した後)、局2は、最も良好なステアリングベクトルを1つ又は複数のステアリングベクトルを選択して、受信ステアリングベクトルu
RX2を決定してもよい。このプロセスは、
図2を参照して上述した技術と同様なプロセスである。
【0037】
局1及び局2が、良好に較正されている場合、方法150における残りのメッセージを交換する必要はない。代わりに、局1は、単純にu
RX1=u
TX1として、局2も同様に、u
TX2=u
RX2としてもよい。
【0038】
しかしながら、局1及び局2が、残りのステアリングベクトルを推定するのに十分な相補性を仮定できない場合には、局1は、ステート170において、自身のアンテナアレイを無指向性受信パターンモードomni
RXに設定し、局2は、シーケンス172のトレーニングデータユニットを送信してもよい。この時、局2は、シーケンス172におけるトレーニングデータユニットをそれぞれ送信する際に、ステアリングベクトルを切り替える。局1と同様に、局2も、各トレーニングデータユニットに、シーケンス番号又はその他の種類の識別子を含ませてもよく、局1は、メッセージ174で、最も良好な1つの識別子又は複数の識別子を返答する。また、上述のメッセージ160と同様に、局1は、局1におけるRxセクタスイーピングプロセスを開始する要求と、Rxセクタスイーピングプロセスの間に局1に送信すべきトレーニングデータユニットの数N
1とを送信してもよい。メッセージ174が受信されると、局2は、送信ステアリングベクトルu
TX2を特定することができ、送信ステアリングベクトルu
TX2を自身のアンテナアレイに適用して、N
1個のトレーニングデータユニットをシーケンス178として局1に送信開始することができる。上述した技術を使用し、また、N
1個のトレーニングデータユニットの一部又は全てに基づいて、局1は、受信ステアリングベクトルu
RX1を決定してもよい。
【0039】
幾つかの実施形態では、ベクトルu
RX1、u
RX2、u
TX2又はu
TX1それぞれを決定する各プロセスは、別々のタイムスロットで実行されてもよく、局1及び局2が十分良好に較正されていない場合には、方法150が4つのタイムスロットを占めることになる。他の実施形態では、方法150のTx及びRxスイーピングプロセス全体が、1つのタイムスロットに実装されてもよく、ネットワークコントローラによって予め割り当てられる、又は局の1つ又は両方によってリアルタイムで交渉して割り当てられてもよい。また、
図4を参照して説明したメッセージのいくつかは、別々なものであってもよい。例えば、局1及び局2は、Txセクタスイーピングに関連したフィードバック報告を、Rxセクタスイーピングのリクエストとは別に行ってもよい。
【0040】
また、
図4に示すように、組になったデバイス(例えば、
図1Aの送信機12及び受信機14)のうち、1つのデバイスのみが、複数アンテナを備えている場合、例えば、メッセージ160又は174に含まれるパラメータを制御することにより、方法150における段階又はステップの幾つかを省略してもよい。特に、局2がRxセクタスイーピングを必要としない(局2がアンテナを1つのみ有するため)ことを局1に知らせるのに、局2は、N
2を0にするIEを設定してもよい。また、局1は、方法150の期間、この情報を保持することにより、局2におけるRxセクタスイーピング及び局2におけるTxセクタスイーピング(シーケンス172)の両方を省略してもよい。無論、複数アンテナが利用可能ではあるが、セクタスイーピングプロセスを行う必要がない場合には、局1及び局2は、N
1又はN
2を0に設定することを選択してもよい。
【0041】
図5は、局1及び局2がセクタスイーピングを使用したビーム形成のイテレーションを複数回(又は複数回のスイープを行う)実行する以外は、大部分が方法150と同様である方法200を示している。スイープ1は、方法150のプロセス全体における同じステート及びメッセージ交換を含む。しかしながら、方法200のスイープ1は、より少ない数のセクタ(すなわち、ベクトルu及び対応するトレーニングデータユニットd)を含んでもよい。この意味では、スイープ1は、方法200の"粗い"スイープ又はイテレーションであるといえる。次のスイープでは、局1及び/又は局2は、前回のイテレーションを考慮して、複数のセクタの範囲を狭める。第3の複数のトレーニングデータユニットを受信するのに使用された複数の異なる受信ステアリングベクトルは、第2の複数のトレーニングデータユニットを受信するのに使用された複数の異なる受信ステアリングベクトルとは異なってもよい。例えば、局1は、最初のスイープの結果を使用して、次の1つ又は複数のスイープを行うべきおおよその範囲を計算してもよい。このようにして、局1及び局2は、徐々に、送受信ステアリングベクトルに対する効率的な値を求めていく。方法200の反復スイーピングを、1つのタイムスロットで行ってもよいし、複数のタイムスロットに渡る期間で行ってもよい。
【0042】
図6は、共通双方向Tx及びRxセクタスイーピングの別の方法250を示している。ステート252において、局2が、自身のアンテナアレイを無指向性受信パターンモードomni
RXに設定して、局1が送信ステアリングベクトルu
TX1を決定するために開始する、セクタスイーピングプロセスによるTxビーム形成の準備を行う。そして、局1は、
図4を参照して説明したシーケンス156と同様なトレーニングデータユニットのシーケンス256を送信してもよい。シーケンス256は、同一サイズを有し、等間隔で配列され、例えばシーケンス番号のような識別子を有する複数のデータユニットを含んでもよい。局1は、シーケンス256に含まれるトレーニングデータユニット各々を送信するごとに、ステアリングベクトルuを切り替える。しかしながら、シーケンス156とは異なり、シーケンス256におけるトレーニングデータユニットのそれぞれは、局1においてRxスイーププロセスを開始する要求を特定し、プロセスの間に送信されるべきトレーニングデータユニットの数を特定するIEを含んでもよい。
【0043】
次に、ステート258の直前に又はステート258において、局1は、自身のアンテナアレイを無指向性受信パターンモードに設定する。
図4を参照して上述した実施形態とは異なり、局2は、局1のTxセクタスイーピングプロセスへのフィードバックを特定するIE(例えば、最も良好な受信データユニットの識別子)、並びに局2におけるRxセクタスイープ要求又は要求するRxセクタスイーププロセスにおけるトレーニングデータユニットの望ましい数を特定するIEを含むトレーニングデータユニットのシーケンス262を送信する(同時に、反復して、ステアリングベクトルuを切り替える)ことにより、Txスイーププロセスを開始してもよい。
【0044】
シーケンス262が受信されると、局1は、局2におけるTxセクタスイーピングプロセスのフィードバックを有するフィードバックメッセージ266を、局2に応答する。局1は、送信ステアリングベクトルを選択して、自身のアンテナアレイに適用してもよい。また、フィードバック266は、局2からのRxスイープ要求に対する確認応答を示すIEを含んでもよい。確認応答IEは、局1が局2に送信する予定であるトレーニングデータユニットの数を規定してもよい。多くの場合、確認応答IEに含まれる数は、シーケンス262で送信されるデータユニットにおける数と一致すると考えられる。このようにして、局2は、Rxスイープ要求に対する明示的な確認応答を受信し、さらに、フィードバックメッセージ266によって、次のRxセクタスイープトレーニングデータユニットのタイミングを同期させることができる。
【0045】
Txセクタスイーピングプロセスを実行した後、局2は、自身のアンテナアレイを無指向性受信パターンモードに設定してもよい。同様に、局1も、フィードバックメッセージ266を送信した後、自身のアンテナアレイに、無指向性受信パターンモードを適用してもよい。フィードバックメッセージ266を処理した後、局2は、同様なフィードバックメッセージ268で返答して、局1からのRxスイープ要求と同期させてもよい。ここで、メッセージ266及び268は、必要に応じて送信するメッセージである。
【0046】
ステート270において、局1は、選択されたTx送信ステアリングベクトルを自身のアンテナアレイに適用して、一連のトレーニングデータユニット274を送信してもよい。メッセージ266及び268と同様に、局1及び局2は、必要に応じてメッセージ276及びメッセージ278を交換することにより、局1が局2に送信するパケットの数を確認し(メッセージ276)、局1が、局1におけるRxセクタスイーププロセスの一部としてトレーニングデータユニットを受信する準備が整ったことを確認(メッセージ278)してもよい。上述したように、これらの付加的なメッセージにより、局1及び局2を同期させて、セクタスイーピングプロセスの準備を行うことができる。例えば、送信モードから受信モードへの切り替えに、相対的に長い時間を要する場合、又は局1又は局2においてクロックドリフト(クロックのずれ)が生じるリスクが存在する場合には、この同期が特に重要となる。また、局1及び局2が、メッセージ266及び268、又はメッセージ276及び278を使用しない場合には、Tx/Rx及びRx/Tx転換時間(すなわち、局が送信モードと受信モードとを切り替えるのにかかる時間)は、局1と局2との双方で固定されている必要があり、また、それぞれ相手の局が転換時間を知っている必要がある。
【0047】
別の実施形態では、メッセージ266は、付加的に、局1からのRxセクタスイープ要求を含んでもよい。この場合、メッセージ268は、Rxセクタスイープ要求に対する確認応答を含み、シーケンス256は、Rxセクタスイープ要求を含む必要がない。このような実装形態により、Rxセクタスイープ要求を規定するデータユニットの数を効率的に減らすことができる。
【0048】
上述した様々なブロック、オペレーション及び技術のうちの少なくとも一部を、ハードウェア、ファームウェア命令を実行するプロセッサ、ソフトウェア命令を実行するプロセッサ、又はこれらの組み合わせを利用して実装してもよい。ソフトウェア又はファームウェア命令を実行するプロセッサを利用して実装する場合には、ソフトウェア命令又はファームウェア命令を、磁気ディスク及び光ディスクのようなあらゆるコンピュータ可読メモリ、又はRAM、ROM、フラッシュメモリ、プロセッサ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、テープドライブのようなその他の記憶媒体に格納してもよい。同様に、ソフトウェア命令又はファームウェア命令は、例えば、コンピュータ可読ディスク又は他の転送可能なコンピュータ記憶メカニズムを含む所望の又は既知の伝達方法、若しくは通信媒体を通じて、ユーザー又はシステムに伝達されてもよい。通信媒体は、典型的には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は、搬送波のような変調されたデータ信号又はその他の転送メカニズムにおける他のデータによって、具現化される。また、"変調されたデータ信号"という言葉は、信号に含まれる情報を符号化するような方法で設定される又は変更される1以上の特性セットを有する信号を意味する。また、これに限定するわけではないが、通信媒体は、有線ネットワーク又は直接有線接続のような有線媒体、及び音響無線周波数無線媒体、赤外線無線媒体等の無線媒体を含む。ソフトウェア命令又はファームウェア命令は、電話線、DSL線、ケーブルテレビ線、光ファイバー線、無線通信チャンネル、インターネット等(これらは、携帯可能記憶媒体を通じてソフトウェアを提供することと、同義又は交換可能な概念であると見なされる)のような通信チャンネルを介して、ユーザー又はシステムに提供される。ソフトウェア命令又はファームウェア命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに様々な動作を実行させる機械可読命令を含む。
【0049】
ハードウェアに実装される場合、ハードウェアは、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1以上の個別部品によって構成される。
【0050】
以上、様々な実施形態の詳細の説明が記載されたが、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の言葉のみにより規定される。詳細な説明は、例示しているに過ぎず、可能性のある全ての実施形態を記載することは現実的でないことから、全ての実施形態が記載されているわけではない。また、現在の技術又は本開示が出願された後に開発された技術を使用して、実施形態の様々な変形を実装可能であり、このような変形例についても、特許請求の範囲に含まれる。