(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961875
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月2日
(54)【発明の名称】電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルム
(51)【国際特許分類】
C09J 7/00 20060101AFI20160719BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20160719BHJP
C09J 163/02 20060101ALI20160719BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20160719BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20160719BHJP
G02F 1/167 20060101ALI20160719BHJP
【FI】
C09J7/00
C09J133/00
C09J163/02
C09J11/08
C09J11/06
G02F1/167
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-504469(P2015-504469)
(86)(22)【出願日】2012年5月21日
(65)【公表番号】特表2015-515525(P2015-515525A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】KR2012003987
(87)【国際公開番号】WO2013157691
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年10月7日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0041135
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501380081
【氏名又は名称】東レ先端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】コウ, ドン−ハン
(72)【発明者】
【氏名】リー, サン−フン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, チャン−イク
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨン−ス
【審査官】
澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−535599(JP,A)
【文献】
特表2004−536336(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/023567(WO,A1)
【文献】
特開2010−168425(JP,A)
【文献】
特表2006−521586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
G02F 1/15− 1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムにおいて、
電荷を帯びた粒子がコーティングされた上部電極及び電圧が印加される下部電極が互いに接着されるようにする粘着フィルムであって、
前記粘着フィルムは、2.0以上ないし10.0未満の誘電定数を有し、
前記粘着フィルムは、ポリエステル系重剥離シート、前記重剥離シートのシリコン離型コーティング面上に形成された粘着剤層及び前記粘着剤層上にポリエステル系軽剥離シートが合紙されたものであり、
前記粘着剤層は、粘着特性及び信頼性を付与するためのアクリル系粘着剤70ないし95重量%及び誘電定数を高くするために添加される誘電特性付与樹脂5ないし30重量%を含み、
前記誘電特性付与樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む、
ことを特徴とする、電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルム。
【請求項2】
前記粘着剤層は、前記アクリル系粘着剤として、架橋可能な官能基を有さない単量体90ないし99.9重量%及び架橋可能な官能基を有した単量体0.1ないし10重量%が共重合されたアクリレート共重合体からなる基本樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルム。
【請求項3】
前記誘電特性付与樹脂は、さらにポリウレタン、ポリユリア(Polyurea)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、ポリビニルアセテート誘導体、ポリビニルフルオリド、ポリビニリデンフルオリド、アクリル(acrylic)またはメタアクリル(methacrylic)コポリマー、ビニルエーテルコポリマー、スチレンコポリマー、ジエンコポリマー、シロキサンコポリマー、セルロース誘導体、アラビアゴム、フェノール系化合物より選択される単独または2種以上の混合樹脂を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルム。
【請求項4】
前記粘着剤層の厚さは、4.0μm以上ないし50.0μm未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルム。
【請求項5】
前記粘着剤層は、電界が形成される方向への電気的抵抗値が1.0×104ないし9.9×109Ωであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルム。
【請求項6】
前記架橋可能な官能基を有さない単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、アクリロニトリルのアクリル系単量体及びビニルアセテートまたはスチレンを含むバイアクリル系単量体からなる群より選択される単独または2種以上の混合形態であることを特徴とする、請求項2に記載の電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルム。
【請求項7】
前記架橋可能な官能基を有した単量体は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選択される何れか一つのヒドロキシ基を含有するアクリル単量体;または(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選択される何れか一つのカルボキシル基を含有するアクリル単量体と、
またはアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタムからなる群より選択される何れか一つの窒素含有アクリル単量体より選択される単独または2種以上の混合形態であることを特徴とする、請求項2に記載の電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルム。
【請求項8】
前記粘着剤層は、アクリレート共重合体からなる基本樹脂100重量部に対して、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤または多官能性イソシアネート系架橋剤より選択される単独または混合形態0.05ないし5重量部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルム。
【請求項9】
前記粘着剤層は、誘電部分の特徴を付与するために炭素ナノチューブ、またはイオン性物質より選択された帯電防止剤1種以上がさらに含有されたことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムに関し、さらに詳細には、電圧が印加される下部電極と印加された電圧に応じて各種色相が変化する電荷を帯びた粒子がコーティングされたイメージ上部電極が付着されるようにする粘着フィルムに関して誘電定数を制御することによって、粘着フィルムの厚さ方向への電荷が調節されることによって、粘着物性と信頼性を維持しながらも印加された電圧損失を最小化して、フレキシブルディスプレイ素子の駆動時に高い電圧を印加しなくてもディスプレイ素子の駆動性能に優れた電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ネットワークの普及が拡大するにつれて、従来の印刷物形状の文書がフレキシブルディスプレイ素子の具現方式による文書に置き換えられている。さらに、このような現象は、書籍及び雑誌などの電子出版業界の市場に拡大しつつある。
【0003】
しかしながら、このような文書にある情報を閲覧するためには、コンピュータのCRTまたは液晶ディスプレイなどにより読み取らなければならないが、前記コンピュータのCRTまたは液晶ディスプレイは、発光型のディスプレイであって、長期間利用する際、疲労感が激しくて長時間の読書には難しさが伴われ、読む場所がコンピュータまたはLCDなどの設置場所に限定されるという短所がある。このような短所の代案にノート型パソコンの普及により携帯型ディスプレイが使用されうるが、これもやはりバックライトによる発光型ディスプレイ方式であるから、消費電力上の問題で長時間の読書には制限がある。
【0004】
そのため、低消費電力で駆動できる反射型液晶ディスプレイが開発されて発売されたが、液晶の無表示(白色表示)において、反射率が低いから紙からなる印刷物に比べて、視認性が顕著に落ち、疲労感が発生しやすく、長時間の読書に活用するには依然として問題点が解消されていない。
【0005】
それで、最近、このような問題点を解決するために、いわゆる電子ペーパーが開発されている。電子ペーパーは、フレキシブルディスプレイ具現の核心素子であって、導電性物質に電磁場を加えて運動性をもたせる。すなわち、薄膜型のフレキシブルな基板の間に帯電粒子を分布させた後、電磁場の極性変化による帯電粒子の方向配置の変化によりデータを表現するようにする。この場合、いかなる極においても帯電粒子の方向配置が発生すれば、メモリ効果によって電圧を除去しても粒子の位置変化がないから、画像がそのまま維持され、紙にインキが印刷されたような効果を得ることができる。
【0006】
よって、電子ペーパーは、自体的な発光がないために、視覚疲労度がかなり低くなるので、実際の本を見るような安らかな鑑賞が可能で、フレキシブルな基板を使用することによって、柔軟性及び携帯性が確保されて未来型フラットディスプレイ技術として大きな期待を集めている。
【0007】
また、上述のように、一度具現された画像が基板を再設定しない限り、長時間維持されるので、消費電力が非常に低くて携帯用表示装置として活用性に優れている。さらに電子ペーパーは、従来のフラットディスプレイパネルに比べて生産単価がはるかに低廉で背景照明や持続的な再充電を必要としないので、極めて少ないエネルギーでも駆動できるから、エネルギー効率面においてもけた違いに優れている。このような長所により、電子ペーパーは、紙のような面と動くイラストレーションを有する電子書籍、新聞、移動電話のための再使用の可能なペーパーディスプレイ、廃棄可能なTVスクリーン及び電子ウォールペーパーなど、実に広大な分野に応用できるから、巨大な潜在市場を期待することができる。
【0008】
また、電子ペーパーなどのフレキシブルディスプレイ素子は、イメージ電荷粒子を有している上部電極と電圧が印加される下部電極との間の結合がなされなければならず、このとき、粘着フィルムが両電極の間に挿入されて製造される。
【0009】
しかしながら、前記粘着フィルムにより駆動電圧の損失が発生するか、または均一でない駆動が発生し、製造過程中の加熱圧着工程などによりイメージ電荷粒子層の損傷が引き起こされることもある。そのため、粘着フィルムの均一な接着手段により電圧損失の少ない粘着フィルムの製造が必要となる。
【0010】
その一例として、韓国公開特許公報第2006−032111号には、転移温度の異なる接着手段を活用して透明電極の上部及び下部に接着手段を転写した後、熱融着法で隔壁と基板とを合着する方法を開示している。しかしながら、2回にかけて熱融着工程を経ながら隔壁及び顔料またはトナーの不安定性が大きくなるので、実際の活用可能性が落ちる。
【0011】
また、韓国公開特許公報第2006−067006号には、接着手段として紫外線硬化接着剤を利用して紫外線ランプで合着する方法を開示している。そして、韓国登録特許第10−1030936号には、電気泳動ディスプレイにおいて流体及び液晶組成物を密封層と接着層で構成し、放射線硬化性組成物からなっており、第2の電極層(TFTなどのような電極)と付着されると記載している。しかし、上記の方法は、充填された顔料またはトナーが紫外線硬化型単量体と混合されているから、硬化後に粘着剤層に固定化されるか、または紫外線硬化がよく起こらなくなる。また、使用される顔料のほとんどが紫外線に不安定であるから、外部の紫外線を遮断する機能を必要とするので、現実に合わないという問題点がある。
【0012】
また、韓国公開特許公報第2007−041197号には、真空蒸着法を使用してEVA接着剤を薄い薄膜で具現化して、従来の厚い粘着フィルムの問題点を改善しようとしたが、真空蒸着法で有機物のEVA接着剤を所望の位置と量で塗布するための制御が難しいという短所がある。
【0013】
また、韓国公開特許公報第2011−032357号では、隔壁と基板との接着のために中に軟性フィルムがあり、両側に二つの粘着剤層からなるテープで合着して所望の位置に接合することを提示している。しかしながら、所望の位置に付着が可能なのかどうかは知らないが、両面テープ形態では、ディスプレイ素材のような解像度をなすのが難しいという短所がある。
【0014】
また、前記フレキシブルディスプレイのうち、電子ペーパーに採用される粘着剤層は、強い接着によって、付着する際に顔料やトナーの不良が発生した場合や上部または下部電極の問題が発生する際、基材に対する再使用(re−work)が不可能である。そのため、相対的にコストの高いTFT(Thin Film Transistor)を活用できないから、生産にともなう損害が大きい。そして、上述した発明では、粘着剤層と上部または下部電極との間に存在する粘着剤層が有する特性に対する言及がほとんどなく、これによる駆動電圧の損失を克服するための方案を提示できないのが現状である。
【0015】
これに本発明者らは、従来の問題点を解消しようと努力を重ねた結果、電圧が印加される下部電極と印加された電圧に応じて各種色相が変化する電荷を帯びた粒子がコーティングされたイメージ上部電極とが付着されるようにする粘着フィルムに関して、粘着フィルムの誘電定数を制御して粘着フィルムの誘電特性を制御することによって、厚さ方向の抵抗値の制御ができるようにして駆動電圧に損失のない粘着フィルムを製造できることを確認することによって、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は、粘着物性と信頼性には変化がないながらもフレキシブルディスプレイ素子の駆動電圧の損失を最小化できるように制御できる、電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムを提供することにある。
【0017】
本発明の上記及び他の目的と利点は、好ましい実施形態を説明した下記の説明によりさらに明確になるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的は、電荷を帯びた粒子がコーティングされた上部電極及び電圧が印加される下部電極とが互いに接着されるようにする粘着フィルムであって、前記粘着フィルムは、2.0以上ないし10.0未満の誘電定数を有することを特徴とする、電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムにより達成される。
【0019】
ここで、前記粘着フィルムは、ポリエステル系重剥離シートと、前記重剥離シートのシリコン離型コーティング面上に形成された粘着剤層及び前記粘着剤層上にポリエステル系軽剥離シートとが合紙したことを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記粘着剤層は、粘着特性及び信頼性を付与するためのアクリル系粘着剤70ないし95重量%及び誘電定数を高くするか、または補償するために添加される誘電特性付与樹脂5ないし30重量%を含むことを特徴とする。
【0021】
好ましくは、前記アクリル系粘着剤は、架橋可能な官能基を有さない単量体90ないし99.9重量%及び架橋可能な官能基を有した単量体0.1ないし10重量%が共重合されたアクリレート共重合体が基本樹脂からなることを特徴とする。
【0022】
好ましくは、前記誘電特性付与樹脂は、ポリウレタン、ポリユリア(Polyurea)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、ポリビニルアセテート誘導体、ポリビニルフルオリド、ポリビニリデンフルオリド、アクリル(acrylic)またはメタアクリル(methacrylic)コポリマー、ビニルエーテルコポリマー、スチレンコポリマー、ジエンコポリマー、シロキサンコポリマー、セルロース誘導体、アラビアゴム、エポキシ系化合物、フェノール系化合物より選択される単独または2種以上の混合樹脂であることを特徴とする。
【0023】
好ましくは、前記粘着剤層の厚さは、4.0μm以上ないし50.0μm未満であることを特徴とする。
【0024】
好ましくは、前記粘着剤層は、電界が形成される方向への電気的抵抗値が1.0×10
4ないし9.9×10
9Ωであることを特徴とする。
【0025】
好ましくは、前記架橋可能な官能基を有さない単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、アクリロニトリルのアクリル系単量体及びビニルアセテートまたはスチレンを含むバイアクリル系単量体からなる群より選択される単独または2種以上の混合形態であることを特徴とする。
【0026】
好ましくは、前記架橋可能な官能基を有した単量体は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選択される何れか一つのヒドロキシ基を含有するアクリル単量体;または(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選択される何れか一つのカルボキシル基を含有するアクリル単量体と、またはアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタムからなる群より選択される何れか一つの窒素含有アクリル単量体より選択される単独または2種以上の混合形態であることを特徴とする。
【0027】
好ましくは、前記粘着剤層は、アクリレート共重合体からなる基本樹脂100重量部に対して、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤または多官能性イソシアネート系架橋剤より選択される単独または混合形態0.05ないし5重量部を含むことを特徴とする。
【0028】
好ましくは、前記粘着剤層は、誘電部分の特徴を付与するために炭素ナノチューブ、導電性有・無機粒子及び有・無機塩またはイオン性物質より選択された帯電防止剤1種以上がさらに含有されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、粘着物性と信頼性には変化がないながらも粘着フィルムの誘電特性付与樹脂を制御することによって誘電定数を制御し、これにより粘着フィルムの厚さ方向の抵抗値、すなわち電界が形成される方向への抵抗値制御が可能ななどの効果がある。
【0030】
したがって、本発明に係る電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムは、電圧が印加される下部電極と印加された電圧に応じて各種色相が変化する電荷を帯びた粒子がコーティングされたイメージ上部電極とを付着し、このとき、電界が形成される方向への抵抗値を1.0×10
4ないし9.9×10
9Ωに制御することにつれて、印加電圧の損失を最小化し、電荷を有する粒子を自由に駆動することによって、粘着フィルムが有するべき粘着物性には影響が無いようにする効果がある。これにより、電子ペーパーをはじめとするフレキシブルディスプレイ素子の駆動電圧に及ぼす影響を最小化して、フレキシブルディスプレイ素子が駆動する際に電位差(電圧)の損失がほとんどないから、高い電圧を印加しなくてもディスプレイ素子の駆動に優れているというなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係る電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムの断面図である。
【
図2】本発明に係る電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムに対する厚さ方向の抵抗値測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態と図面を参照して、本発明を詳細に説明する。これらの実施形態は、単に本発明をさらに具体的に説明するために例示的に提示したものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施形態により制限されないことは、当業界における通常の知識を有するものにとって自明である。
【0033】
図1は、本発明に係る電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムの断面図である。本発明に係る電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムは、ポリエステル系重剥離シート1、前記重剥離シートのシリコン離型コーティング面上に形成された粘着剤層2、及び前記粘着剤層上にポリエステル系軽剥離シート3が合紙したことを特徴とする。
【0034】
本発明は、電荷を帯びた粒子がコーティングされた上部電極、及び電圧が印加される下部電極が接着されるように粘着フィルムの誘電定数が2.0以上ないし10.0未満に制御されて合紙した電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムを提供する。
【0035】
このような粘着フィルムの抵抗は、誘電体の電気的特性である誘電定数と大きく関連があるために、電気的な損失は、粘着フィルムの誘電定数に敏感に変化する。これに粘着フィルムの誘電定数が2.0未満の場合には、電気的特性がほとんどないために電圧印加時に電気的な損失が大きく、反面に誘電定数が10.0以上に大きくなると有機物としては具現化し難く、導電性粒子の無機物を使用するとしても多い量を添加しなければならないが、このとき、粘着フィルムが上部電極と下部電極との間で電流が流れる可能性が大きくなって、形成されなければならない電界が生じなくなり、粘着特性もなくなって製品の信頼を得ることができない。したがって、粘着信頼性と適当な電気的特性をすべて満たすためには、粘着フィルムが有さなければならない誘電定数は2.0ないし10.0未満、好ましくは、2.5ないし10.0未満で最適化できる。
【0036】
前記最適化した誘電特性を得るためには、粘着剤層内に誘電特性付与樹脂を添加するようになるが、70ないし95重量%の粘着部分に対して誘電特性付与樹脂が5ないし30重量%からなることを特徴とする。誘電特性付与樹脂が5重量%未満になると、使用量があまりにも微々たるから誘電特性を改善するのに不十分であるため、電気的特性も改善されず、反面に30重量%を超過すると、誘電特性は大きく向上するが、誘電特性付与樹脂が粘着特性と距離が遠いために粘着信頼性を低下させて製品の信頼を失うようになり、また粘着樹脂との相溶性に問題が生じるから、正しい粘着フィルムの製作ができなくなる。
【0037】
前記粘着フィルムにおいて使用される粘着剤層の基本樹脂は、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系またはシリコン系樹脂からなる群より選択された一つまたは選択された二つ以上が配合されるものを使用することができるが、本発明は、光学特性に優れたアクリル系樹脂を使用したアクリル系粘着剤を使用する。
【0038】
前記アクリル系粘着剤は、架橋可能な官能基を有さない単量体90ないし99.9重量%及び架橋可能な官能基を有した単量体0.1ないし10重量%が共重合されたアクリレート共重合体が基本樹脂からなる。さらに好ましくは、架橋可能な官能基を有さない単量体95ないし98重量%、及び架橋可能な官能基を有した単量体2ないし5重量%からなる共重合体を使用することであり、このとき、重量平均分子量が80万以上を有するように製造できる。
【0039】
このとき、前記官能基を有さない単量体が90重量%未満であると、相対的に官能基の数が多くなるために、粘着剤の貯蔵安定性に問題となりえ、99.9重量%を超過すると、官能基の反応性が顕著に落ちるから、反応がよくならなく、触媒のような他の添加剤の含有が必要となるので、適切な共重合体とは見なされない。
【0040】
前記架橋可能な官能基を有さない単量体の一例には、(メタ)アクリル酸エステル単量体であれば特に制限されず、エステル部分の炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを使用することができる。具体的に、前記エステル部分の炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの一例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがある。その他にもアクリロニトリルのアクリル系単量体及びビニルアセテートまたはスチレンを含むバイアクリル系単量体より選択される単独または2種以上の混合形態を使用することである。
【0041】
また、前記架橋可能な官能基を含む単量体は、その官能基として、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基のうち、少なくとも1種を含むことが好ましく、具体的な一例には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選択されたいずれか一つのヒドロキシ基を含有するアクリル単量体;または(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選択される何れか一つのカルボキシル基を含有するアクリル単量体;またはアクリルアミド、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタムからなる群より選択される何れか一つの窒素含有アクリル単量体より選択される単独または2種以上の混合形態を使用することである。
【0042】
上述したアクリル系粘着剤層は、アクリレート共重合体からなる基本樹脂100重量部に対して、エポキシ系架橋剤または多官能性イソシアネート系架橋剤より選択される単独または混合形態0.05ないし5重量部を含有することが好ましい。
【0043】
このとき、架橋剤は、上記の共重合体の耐久性を高めるために混用するが、架橋剤含有量が0.05重量部未満に含有される場合、アクリル共重合体に含まれた官能基との反応がよくならなく、粘着剤の内部凝集力を強くすることができず、反面に架橋剤が5重量部を超過すると、粘着剤の加工中貯蔵安定性が落ちて一定の物性を発現することができず、追加的に反応を遅延させる遅延剤を添加するか、またはアクリル共重合体と架橋剤の混合液との間の反応性を遅らせるために低温で保管しなければならないという、さらに他の追加管理が含まれなければならないから好ましくない。
【0044】
また、前記エポキシ系架橋剤は、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N′、N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンまたはこれらの混合物などを使用することができる。
【0045】
さらに他の架橋剤として使用される多官能性イソシアネート系架橋剤には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物またはこれらの混合物などを使用することができる。
【0046】
また、本発明に係る電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムの粘着剤層厚は、4.0μm以上ないし50.0μm未満に形成されることを特徴とするが、4.0μm未満に薄いほど電気的な特性は優秀であるが、剥離力の低下及び粘着信頼性の側面で界面破壊を引き起こして電極の分離を発生させる。反面に、粘着信頼性を付与するために厚さを厚く設計できるが、50.0μm以上に過度に厚く形成されると、電気的特性が低下する。したがって、粘着信頼性と電気的特性間の相反関係を考慮して、電気的特性に優れ、かつ粘着信頼性を付与するために、粘着フィルムの厚さは、4.0μm以上ないし50.0μm未満、さらに好ましくは、7.0μm以上ないし20.0μm以下であるとき、粘着信頼性と電気的特性を最適化できる。
【0047】
また、上記の組成からなる本発明に係る電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムの粘着剤層は、前記厚さ制御によって、粘着剤層厚方向の抵抗値1.0×10
4ないし9.9×10
9Ω範囲に制御する。このとき、粘着剤層厚方向の抵抗値が1.0×10
4未満であると、上部電極と下部電極との間の抵抗値が低くなって電界が形成されず、粘着フィルムを介して通電や電気ショックが発生できるから、絶縁の機能を果たさなければならず、9.9×10
9Ωを超えると、あまりにも高い抵抗値により下部電極での印加電圧の大きさが変化しても、帯電粒子を含んだセルから構成されたイメージフィルムの駆動に必要な電圧に到達できないから、電圧損失が大きくなる。さらに好ましくは、1.0×10
5〜9.9×10
7Ωが適切である。
【0048】
また、前記アクリル系粘着剤層には、導電性有・無機粒子、有・無機塩またはイオン性物質より選択される帯電防止剤1種以上をさらに含有でき、誘電特性を別にして同一厚さで電気的な特性を向上させることができる。
【0049】
また、本発明において粘着信頼性と下部電極の特性を向上させるために、アクリル系粘着剤の単量体と硬化剤の他にも通常添加剤として粘着力付与剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、発泡剤、消泡剤、補強剤、調色剤、充填材として使用される化合物より選択される単独または2種以上が混合された化合物をさらに使用できる。
【0050】
以下、実施例と比較例にて本発明の構成及びそれによる効果をさらに詳細に説明しようとする。しかし、本実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
[
参考例1]
ステップ1:アクリル共重合体の基本樹脂製造
かくはん機、環流冷却器、温度計及び窒素注入装置が付いた500mlの化学反応器にn−ブチルアクリレート40g、アクリル酸0.5g、グリシジルメタアクリレート0.5g及びメチルアクリレート8gの単量体を入れて溶媒としてエチルアセテート51gを加えて混合組成を準備した。前記重合反応完結後に得られた重合物にエチルアセテート63gを添加して希釈し、固形分30重量%になるように準備して、目的するアクリル共重合体の基本樹脂を合成した。
【0052】
ステップ2:粘着フィルムの製造
前記工程1で製造された基本樹脂であるアクリル共重合体100重量部に対して、硬化剤として3官能アジリジンアダクト(Aziridine adduct)1.0重量部を投入し、ポリウレタンゴム(誘電定数6.20、通常4.7〜9.53を有する)を10重量部を投入し、メチルエチルケトンを利用して希釈し均一に混合して混合物を製造した。
【0053】
前記混合物を重剥離シートである二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名RPC−101、(株)東レ尖端素材)のシリコン離型コーティング面にコーティングし乾燥して、20μmの厚さの均一な粘着剤層を形成した。
【0054】
以後、前記粘着剤層が形成された表面に軽剥離シートとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名RPK−201、(株)東レ尖端素材製)を合紙した後、常温で7日間保管して十分に熟成させて粘着フィルムを完成した。
【0055】
[
参考例2]
前記
参考例1の粘着フィルムの製造工程(ステップ2)において、ポリウレタンゴムを20重量部添加したことを除いては、前記
参考例1と同一に行った。
【0056】
[実施例3]
前記
参考例1の粘着フィルムの製造工程(ステップ2)にて、ポリウレタンゴムを除いてビスフェノールA型エポキシ(誘電定数4.02)を10重量部添加したことを除いては、前記
参考例1と同一に行った。
【0057】
[実施例4]
前記
参考例1の粘着フィルムの製造工程(ステップ2)にて、ポリウレタンゴムを除いてビスフェノールA型エポキシを20重量部添加したことを除いては、前記
参考例1と同一に行った。
【0058】
[
参考例5]
前記
参考例1の粘着フィルムの製造工程(ステップ2)にて、混合物に帯電防止剤として多層炭素ナノチューブ(multi−wall carbon nano tube、Hanwhaナノテク社製、CM−100)0.1重量部をさらに含有することを除いては、前記
参考例1と同一に行った。
【0059】
[比較例1]
前記
参考例1の粘着フィルムの製造工程(ステップ2)にて、ポリウレタンゴムを2重量部を添加したことを除いては、前記
参考例1と同一に行った。
【0060】
[比較例2]
前記
参考例1の粘着フィルムの製造工程(ステップ2)にて、ポリウレタンゴムを50重量部を添加したことを除いては、前記
参考例1と同一に行った。
【0061】
下記表1は、前記
参考例1、2、5、実施例
3、4、及び比較例1、2による粘着剤層の組成及び含有量を表した。
【表1】
【0062】
前記
参考例1、2、5、実施例
3、4、及び比較例1、2による粘着フィルムを使用して、次のような実験例にて物性を測定し、その結果を次の表1に表した。
【0063】
[実験例]
1.誘電定数測定
前記
参考例1、2、5、実施例
3、4、及び比較例1〜2にて製造された粘着フィルムを45mm測定円状プレートに試片を投入し、周波数10〜100KHzまで変化しながら誘電率を常温で測定した。測定機器は、Exstar 6000(DES100、Seiko Ins社製)を使用した。
【0064】
2.剥離力測定
前記
参考例1、2、5、実施例
3、4、及び比較例1〜2にて製造された粘着フィルムから軽剥離シートを除去した後、100μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを合紙した後、常温で1時間を放置した後、幅25mm、長さ150mmの剥離力測定試片を製作した。剥離力測定に使用されるガラスは、エチルアセテートできれいに洗浄した後、前記製作された試片の重剥離シートを除去して2kgのローラで付着し、常温で1時間放置した。このとき、測定は、180゜角度及び0.3m/分剥離速度で引張試験器を利用して測定した。
【0065】
3.厚さ方向の抵抗測定
前記
参考例1、2、5、実施例
3、4、及び比較例1〜2にて製造された粘着フィルムから軽剥離シートを除去した後、30mm×40mm以上に裁断されたITOフィルムまたは透明電極フィルムのITO面または電極面に粘着剤を一部合紙させた。前記合紙したフィルムから重剥離シートを除去した後、他のITOフィルムまたは透明電極フィルムを
図1に示されたように交差するように付着した。粘着フィルムとITOフィルムまたは透明電極フィルムと合紙するときには、2kgのロールを1回行った。常温で1時間放置した後、各々のITOフィルムの両方を接地させて測定した。
【0066】
*測定装備は、誘電体にも測定可能な低電流及び高抵抗測定装置(High Resistance Electrometer,6517B,Keithley社製)を活用して印加電圧に対する電流を測定した。このとき、20V直流を印加した後、30秒以後に集められた電流の値を読み、下記の式1のように粘着フィルムの厚さ方向の抵抗値を算出した。
(式1)粘着フィルムの厚さ方向の抵抗値(Ω)=20(V)/測定電流(A)
【0067】
4.信頼性の評価
前記
参考例1、2、5、実施例
3、4、及び比較例1〜2にて製造された粘着フィルムから軽剥離シートを除去した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを合紙した後、常温で1時間放置した後、100mm×100mmに信頼性評価試片を製作し、洗浄されたガラスに2kgローラで付着した。
【0068】
以後、常温1時間を放置した後、耐湿熱条件である60℃、90%RHと耐熱条件80
℃に投入して500時間の間に肉眼にて観察して、起泡の発生及びエッジの浮き立ちを観
察して、下記の基準に従って信頼性の評価を記録した。
○:耐湿熱と耐熱条件において起泡の発生または浮き立ちがない。
X:耐湿熱または耐熱条件において起泡の発生または浮き立ちが発生。
【表2】
【0069】
前記表2において確認されるように、同じ粘着剤の材料でも帯電性を帯びている電気泳動粒子を含んだイメージ上部電極と下部電極との間隔である粘着剤厚に応じて電気的特性差を確認した。
【0070】
具体的には、粘着フィルムにおいて誘電特性付与樹脂の含有量が増加するほど、誘電定数が増加し、厚さ方向の抵抗値が減少する結果を確認した(
参考例1、2、及び実施例
3、4)。これに対し、誘電特性付与樹脂をあまりにも少なく使用すると、誘電定数の値が低くなり、粘着フィルムにかかる抵抗の値が上昇するようになる(比較例1)。また、粘着フィルムに誘電特性付与樹脂の量を増加するようになると、誘電定数は、大きく増加されて、抵抗値は減少するが、剥離力の減少により粘着信頼性が低下する(比較例2)。
【0071】
また、前記
参考例5の粘着フィルムは、粘着剤層の形成時に帯電防止剤をさらに投入して形成することによって、剥離力の減少が少なかったり粘着信頼性を失わないながら誘電定数の特性を付与できるから、厚さ方向の抵抗値を減少する結果を見せた。
【0072】
以上、粘着フィルムにおいて、粘着剤層の誘電特性付与樹脂を5ないし30重量%に制御することによって、誘電定数を制御できるようになり、粘着剤層の粘着物性と信頼性には変化がないながらも、粘着剤層の厚さ方向の抵抗値、すなわち電界が形成される方向への抵抗値を1.0×10
4ないし9.9×10
9Ω範囲以内に制御可能である。それにより、印加電圧の損失を最小化し、電荷を有する粒子を自由に駆動することによって、フレキシブルディスプレイ素子の駆動電圧に影響を最小化できる。
【0073】
本明細書では、本発明者らが行った多様な実施例のうちのいくつかの例のみを挙げて説明しているが、本発明の技術的思想は、これらに限定されるものではなく、当業者により変形されて多様に実施できることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
上述したように、本発明は、電荷を帯びた粒子がコーティングされた上部電極及び電圧が印加される下部電極とが接着されるようにする粘着フィルムを提供した。このとき、粘着フィルムの誘電定数を制御することによって、粘着フィルムの粘着物性と信頼性には変化がないながらも粘着フィルムによる厚さ方向の抵抗値、すなわち電界が形成される方向への抵抗値を1.0×10
4ないし9.9×10
9Ω範囲に制御できる。
【0075】
これにより、電子ペーパーをはじめとするフレキシブルLED(Light Emitted Diode)、有機EL(Electro Luminescence、電気発光)素子などのフレキシブルディスプレイ素子の駆動電圧に及ぼす影響を最小化して、フレキシブルディスプレイ素子が駆動時電位差(電圧)の損失がほとんどないから、高い電圧を印加しなくてもディスプレイ素子の駆動に優れている。また、本発明に係る電子ペーパーディスプレイ素子用誘電粘着フィルムは再使用が可能である。