特許第5961881号(P5961881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961881
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】窒素酸化物浄化材
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/56 20060101AFI20160721BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20160721BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   B01D53/56
   F01N3/08 A
   F01N3/10 A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-110007(P2012-110007)
(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-223851(P2013-223851A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】592129486
【氏名又は名称】株式会社長峰製作所
(72)【発明者】
【氏名】長峰 考志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 清文
【審査官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−265700(JP,A)
【文献】 特開平07−222926(JP,A)
【文献】 特公平03−056779(JP,B2)
【文献】 特開2004−230382(JP,A)
【文献】 特開昭58−214341(JP,A)
【文献】 特開2011−036191(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0282889(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02361653(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 53/02 − 53/12
53/14 − 53/18
53/56
53/73
53/86 − 53/90
53/94 − 53/96
JSTPlus/JSTchina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼル排ガス中の窒素酸化物を吸収・除去する浄化材であって、該浄化材が排ガス経路の上流側に過マンガン酸カリウムを含有する無機質ペレットを、その下流側に比表面積100m/g以上の珪質頁岩を主材としてなる多孔質ペレットを配してなり、該無機質ペレットと多孔質ペレットの重量比率が2:8〜8:2であることを特徴とする窒素酸化物浄化材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼル排ガス中の窒素酸化物を効率的に吸着、除去するのに好適なペレット状の窒素酸化物浄化材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模での温暖化による自然生態系などへの悪影響が危惧され、国際的な環境改善への取り組みが急務となっている。こうした中、ガソリン車に比べてエネルギー効率の高いディーゼル車は、温暖化対策への高い効果が期待されているが、ディーゼル機関特有の燃焼形態により、窒素酸化物やディーゼル微粒子等の排出量が多く、これらによる大気汚染と人体への悪影響が指摘されている。ところが、この窒素酸化物とディーゼル微粒子は、トレードオフの関係にあることから、両者を同時に除去することは困難で、とりわけ窒素酸化物については未だ有効で効率的な対策が打ててないのが現状である。
【0003】
かかる窒素酸化物の除去剤として、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の水酸化物、炭酸塩、及び重炭酸塩の中から選ばれた少なくとも1種と、Pt、Rh、Pdなどから選ばれた遷移元素の金属単体、その酸化物又はハロゲン化物の少なくとも1種以上とをゼオライトに担持した窒素酸化物除去剤(特許文献1)や、多孔質担体にアルカリ土類金属酸化物および白金を担持してなる排ガス浄化用触媒(特許文献2)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の除去剤や触媒では、ディーゼル排ガス温度が250℃より高い場合には有効に作用するが、ディーゼル排ガス経路内の主要な温度域である250℃以下の低温度域では白金族等の上記常用触媒では有効に作用しないこと、また当該白金族触媒が排ガス中に含まれる硫黄成分によって被毒し機能低下を余儀なくされること、更に高価で将来的な材料確保が危惧されること、など数多くの問題を抱えている。
【0005】
また最近では、尿素やアンモニア等の還元剤の存在下で窒素酸化物を還元除去する方法として、アルミナ担体に銀及びコバルトを担持した触媒(特許文献3)や、チタン及び/又はジルコニウムを含む酸化物である触媒A成分とバナジウム、タングステン、マンガンなどの酸化物である触媒B成分とからなる窒素酸化物除去用触媒(特許文献4)も提案されている。
【0006】
しかしながら、これらの方法においても尿素やアンモニア等の還元剤を供給するためのインフラ整備の問題や、還元剤に多額の費用を要するといった経済上の問題、更に還元剤の一部が大気中に拡散されることでの環境衛生上の問題など、ディーゼル車のような移動発生源における窒素酸化物対策としては致命的な問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開平4−197447号公報
【特許文献2】 特開平5−317652号公報
【特許文献3】 特開平7−289905号公報
【特許文献4】 特公平8−11194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ディーゼル排ガスの中でも従来の触媒では除去困難であった250℃以下の比較的低い温度域での窒素酸化物の除去に優れた効果を発揮すると共に、硫黄被毒や材料確保等の問題の少ない、極めて経済的で実用性の高い窒素酸化物浄化材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題に鑑み、実走行テストによる排ガス経路内の温度と窒素酸化物生成量の関係を詳しく調べたところ、窒素酸化物の生成はエンジン回転が安定している時は低速、高速にかかわらず比較的少ないが、アクセル操作等によってエンジン回転が変化すると排ガス温度が50℃程度の低温であっても200ppm近い窒素酸化物の生成が見られることから、高温度域よりむしろ低温度域での窒素酸化物対策が重要との結論に至り、かかる観点から更に検討を進めた結果、過マンガン酸カリウムが100〜300℃程度の比較的低い温度域で窒素酸化物の分解除去に優れた効果を奏すること、また特定の比表面積を持った珪質頁岩が100℃以下の温度域で高い窒素酸化物の吸着能を有すること等に着目し、これらを組み合わせることでディーゼル排ガス中の、とりわけ低温度域での窒素酸化物の浄化に有効であることを突き止め、本発明を完成させるに至ったものである。
【0010】
即ち、本発明は、ディーゼル排ガス中の窒素酸化物を吸収・除去する浄化材であって、該浄化材が排ガス経路の上流側に過マンガン酸カリウムを含有する無機質ペレットを、その下流側に比表面積100m/g以上の珪質頁岩を主材としてなる多孔質ペレットを配してなり、該無機質ペレットと多孔質ペレットの重量比率が2:8〜8:2であることを特徴とする窒素酸化物浄化材である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の窒素酸化物浄化材によれば、ディーゼル車のような移動発生源における比較的低温度域での排ガス中の窒素酸化物の浄化に有効で、しかも触媒機能と吸着機能を組み合わせることでの効率的な浄化効果が得られるなど高い実用性に加えて、希少貴金属を使用しないことでの、貴金属の枯渇化対策の観点でも計り知れない効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】は、本発明の浄化材のディーゼル機関排ガス経路への実装状態の一例を示す概略図であり、
図2】は各ペレットの断面形状の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の窒素酸化物浄化材について詳細に説明する。
【0014】
本発明において、上流側に配される無機質ペレットは、アルミナやゼオライト、シリカ、コージェライト、ジルコニア、炭化珪素等の少なくとも1種を主材とするペレット中に過マンガン酸カリウムを分散あるいは含浸添着させたもので、主に100〜300℃の温度域での窒素酸化物の除去効果を奏するものである。この無機質ペレット中の過マンガン酸カリウムの含有量は、性能とペレット強度の観点から3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲で要求性能に応じて適宜決めればよい。尚、上記ペレットとしては、性能と耐熱性、価格等の点でアルミナが好ましい。
【0015】
またこの無機質ペレットの形状は、いかなるものでも差し支えないが、図2の(イ)〜(ニ)に例示のように球状や円柱状、棒状等のペレット、ハニカム状や歯車状等の断面形状を有する外部表面積の大きいペレット等を単独あるいは混合したものが使用でき、該ペレットの大きさは排ガスの圧力損失や窒素酸化物除去効率等の観点から、長さと直径がそれぞれ1〜50mm、好ましくは2〜30mm、容積5〜5000mm程度のものがよい。
【0016】
一方、前記無機質ペレットの下流側に配される多孔質ペレットは、比表面積100m/g以上の珪質頁岩を主材とするもので、かかるペレットを使用することで主に100℃以下の温度域での窒素酸化物を吸着除去する。本発明で使用する珪質頁岩は、珪藻質泥を根源とした堆積物であるが、結晶化による硬質化が進んだ固くて割れやすい頁岩であり、通常の珪藻土と呼ばれている珪藻泥岩に属しながらも、特有の性状を有することから区別して扱われるケースが多い。中でも、北海道天北地方から産出される稚内層珪質頁岩は、細孔直径7〜15nmにシャープな細孔径分布を持ち、全細孔容積が0.1〜1.0ml/g、比表面積が80〜180m/gであり、平均細孔直径が9nm程度の極めて微細な細孔を多数有するという特異な性質を有している。かかる稚内層珪質頁岩は、下記表1に例示するように通常の珪藻土に比べて6〜9倍もの比表面積を有し、しかも細孔直径7〜15nmでの細孔容積が極めて大きいことから、近年、調湿機能材として主に建材分野への利用が提案され、その吸放湿特性は約18%に及ぶ高い水分吸収力に加えて、相対湿度を70〜90%に自立的に制御調整するという特有の性質を持つもので、こうした特性はこの種の材料として常用されているゼオライトや一般珪藻土の3〜5倍にも相当するものである。
【0017】
【表1】
【0018】
上記表1において、比表面積と全細孔容積はガス吸着法による表面積、細孔分布測定装置(日本ベル(株)製BelsorpII)で測定し、比表面積はBET法とした。また吸放湿率のうちの吸湿率は、試験体を25℃、50%RHの恒温恒湿器に入れ、48時間経過後に測定した上記試験体の重量と、その後25℃、90%RHの恒温恒湿器に入れ、24時間経過後に測定した上記試験体の重量とから重量増加率を求め、その値を吸湿率とした。一方、放湿率は、試験体を25℃、50%RHの恒温恒湿器中で48時間養生した後、25℃、90%RHの恒温恒湿器中に24時間保持した時の上記試験体の重量と、その後25℃、50%RHの恒温恒湿器中で24時間保持した後の上記試験体の重量とから重量減少率を求め、その値を放湿率とした。
【0019】
また、この稚内層珪質頁岩は、窒素酸化物やアンモニア等の水溶性ガスに対して高い吸着能を有する。この珪質頁岩の高いガス吸着能は、通常の細孔表面へのガス吸着効果に加えて、珪質頁岩の前記した高い水分吸収力によって蓄えられた細孔内の凝縮水へのガス溶解によって引き起こされているものと考えられ、とりわけ窒素酸化物やアンモニア等の水溶性ガスに対する高い吸着能は、極めて微細な細孔を多数有し高い水分吸収能を持つ本発明の珪質頁岩特有のものである。
【0020】
本発明で使用する珪質頁岩は、上記稚内層珪質頁岩のうち比表面積が100m/g以上、好ましくは120m/g以上のものを主材としてなるものである。比表面積が本発明の範囲外になると、相対的に細孔容積が小さくなって吸着容量が不足し、水分や窒素酸化物等の吸着能が不十分となることによるものである。
【0021】
また本発明では、上記珪質頁岩の細孔内の少なくとも一部にカリウムやナトリウム等のアルカリ金属又はカルシウムやマグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、塩化物、炭酸塩及び珪酸塩等から選ばれる少なくとも1種のアルカリ化合物を担持することで、窒素酸化物の除去効率を向上させたものでも差し支えない。
【0022】
本発明の多孔質ペレットは、上記珪質頁岩の原石を粉砕し、必要により500〜900℃の温度で焼成して得られる平均粒径1〜200μmの珪質頁岩を主材とし、これに当該ペレットの50重量%未満の範囲で木節粘土、蛙目粘土、石膏、消石灰、アルミナセメント等の結合剤を加え、またシリカやアルミナ、ゼオライト、セピオライト、シリカ、活性白土、コージェライト、大谷石、石炭灰、タルク、カオリン、ハイジライト等の増量材を適宜加え、更に成形助剤や水を添加して混練し、押出成形した後、乾燥、焼成等を経て作られる。その際使用する成形助剤は、この種の無機物の押出成形で用いられる一般的なバインダーや潤滑材などが使用可能である。例えばバインダーとしては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体が、また潤滑材としてはポリアルキレン誘導体等が挙げられる。更に、ポリビニルアルコール、ステアリン酸アルカリ金属塩、デンプン糊、グリセリン等の成形助剤を用いることもでき、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用する。
【0023】
かかる多孔質ペレットは、図2の(イ)〜(ニ)に例示のように球状、円柱状、棒状、等のペレット、ハニカム状や歯車状、マカロニ状等の断面形状を有する外部表面積の比較的大きいペレット等を単独あるいは混合したものが使用できるが、排ガスの圧力損失や窒素酸化物除去効率等の観点から、長さと直径がそれぞれ1〜50mm、好ましくは2〜30mm、容積5〜5000mmで、外部表面積が10cm/g以上のハニカム状や歯車状、マカロニ状等の断面形状を有するペレットがよい。
【0024】
また、本発明の浄化材は、上記無機質ペレットと多孔質ペレットを重量比2:8〜8:2、好ましくは3:7〜7:3の範囲で使用する。両者のペレットの比率がこの範囲外になると、50〜300℃に至る広い温度域での安定した窒素酸化物の除去効果が得られなくなる。無機質ペレットと多孔質ペレットの使用量は、吸収・除去したい窒素酸化物の量によって異なるが、排気量500〜5000cc程度のディーゼル車では、無機質ペレットと多孔質ペレットをそれぞれ100g〜3kgずつ使用すればよい。
【0025】
本発明では、上記無機質ペレットと多孔質ペレットを排ガス経路に配するのであるが、その際図1に示すように上流のエンジン側には無機質ペレットを、その下流に多孔質ペレットを配する必要がある。その理由は、前述の如く、過マンガン酸カリウムの活性温度域が珪質頁岩の窒素酸化物吸着温度域より高いことに基づくもので、排ガス経路で比較的ガス温度の高いエンジン側に無機質ペレットを、その下流のガス温度の比較的低い領域に多孔質ペレットを配するのである。
【0026】
またこれらのペレットは、そのまま排ガス経路に配置するが、耐熱性の函体ユニットに入れた形で配置する方がハンドリング性の点で好ましく、その際、排ガス経路内に他の常用の白金、パラジウム、酸化銅等の純正触媒やDPFを併用しても何ら差し支えないことは言うまでもない。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
【0028】
〈ペレットの窒素酸化物浄化率の測定方法〉
ガス流通式固定床反応装置を用いて、ペレット約25gを直径26mmの石英製反応管内に装填し、その外周を電気炉で反応温度に加熱した。反応温度が設定値に達した後、キャリアガスとして窒素(N)ガスベースに10%の酸素(O)と500ppmの一酸化窒素(NO)を混合したガスを2L/分の割合で反応管に流通し、ペレット通過後のNO濃度(ppm)をガスクロマトグラフによって測定した。測定開始1時間後のペレット通過後のNO濃度からNO除去率を下記(1)式により求めた。
〔(500−1時間後のペレット通過後のNO濃度(ppm))/500〕×100・・・(1)
【0029】
(無機質ペレットの調整)
平均粒径約3μmのα−アルミナ920gに、8重量%の過マンガン酸カリウム水溶液を1000g加えて撹拌・乾燥し、直径約7mmの球形状に造粒した後、110℃で乾燥して過マンガン酸カリウムを8重量%含有するアルミナ製無機質ペレット(a)を作製した。
【0030】
(多孔質ペレットの調整)
比表面積が144m/g、108m/g、82m/gと異なる3種類の珪質頁岩80重量%に、それぞれ木節粘土20重量%とメチルセルロース等の成形助材15重量部、水35重量部を加えて混練した後、押出成形機にて図1(ハ)の断面形状を持つギア状ペレットを成形し、更にマイクロ波乾燥、800℃焼成を行って外径約7mm、長さ約10mmの多孔質ペレット(b)、(c)、(d)を作製した。尚、この場合、各多孔質ペレットの内訳は、比表面積が144m/gの珪質頁岩を用いたものをペレット(b)、108m/gの珪質頁岩を用いたものをペレット(c)、82m/gの珪質頁岩を用いたものをペレット(d)とした。
【0031】
(試験1〜4)
上記ペレット(a)、(b)、(c)、(d)について、ガス流通式固定床反応装置を用いて、反応温度50、100、150、200、250、300℃での窒素酸化物浄化率を測定した結果を表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
表2の結果から、試験1の無機質ペレット(a)では100℃以下の低温度域での窒素酸化物除去率が、一方試験2、試験3の多孔質ペレット(b)(c)では100℃より高い温度域での窒素酸化物除去率がそれぞれ低く、また試験4の比表面積が100m/g未満の多孔質ペレット(d)では100℃以下の低温度域でも窒素酸化物除去率が低いことなどが分かる。
【0034】
(実施例1〜3、比較例1〜2)
上記ガス流通式固定床反応装置を用いて、ガス導入側から上記無機質ペレット(a)と多孔質ペレット(b)の順に、両者の合計が約25gになるようそれぞれの比率を変えて石英製反応管内に装填する以外は、上記試験と同様の方法により窒素酸化物浄化率を測定した。
【0035】
【表3】
【0036】
上記表3の結果から、ペレット(a)と(b)の装填比が本発明の範囲にあるもの(実施例1〜3)は、50〜300℃に亘る広い温度域で比較的高い窒素酸化物の除去効果を有していることが確認された。一方、ペレット(a)と(b)の装填比が本発明の範囲外のもの(比較例1〜2)は、高温域か低温域のいずれかでの窒素酸化物の除去率が低く、実用的でないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の窒素酸化物浄化材は、比較的低温度域での窒素酸化物の浄化能に優れるため、自動車を始め、汽船、ボイラー、発電機等の各種ディーゼル機関から排出される窒素酸化物の浄化材として極めて有用である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・無機質ペレット充填ユニット
2・・・多孔質ペレット充填ユニット
3・・・排ガス経路の配管
4・・・排ガスの流れ方向(上流側)
5・・・排ガスの流れ方向(下流側)
図1
図2