(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドア連動レバーは、前記いずれか一方に設けられると共に、前記ドアが閉方向及び/または開方向へ向けて移動して所定の位置に達することにより、前記いずれか他方に設けられた当接ピンに当接することによって前記ニュートラル位置から前記リリース方向へ移動し、前記所定の位置を通過した後は前記ニュートラル位置に戻ることを特徴とする請求項1記載の車両用ドアラッチシステム。
前記ドア連動レバーは、前記いずれか一方に枢支されると共に、スプリングの付勢力に抗して前記ニュートラル位置から前記リリース方向へ回動し、前記ドアが前記所定の位置を通過することにより前記スプリングの付勢力により前記ニュートラル位置に戻ることを特徴とする請求項2記載の車両用ドアラッチシステム。
前記リリースキャンセル機構は、前記電動駆動機構の作動に基づいて前記電動駆動機構の一部を構成する回転部材に当接することにより、前記ラチェットを前記リリース位置に作動させるリリース方向へ作動可能なリリース出力レバーと、前記リリース出力レバーが前記リリース方向へ作動した位置にあるとき、前記ドア連動レバーのリリース方向への移動に連動して、前記操作力伝達経路を接続状態とする接続位置から切断状態とする切断位置に移動可能なキャンセルレバーとを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ドアラッチシステム。
前記リリース出力レバーは、前記電動駆動機構の前記回転部材に当接することにより前記リリース方向へ作動可能な第1リリース出力レバーと、前記ラチェットに直接または間接的に連結されると共に、前記キャンセルレバーが接続位置にあるとき、前記第1リリース出力レバーと共にリリース方向へ作動可能な第2リリース出力レバーとに分割され、
前記キャンセルレバーは、前記接続位置にあるとき、前記第1リリース出力レバーと前記第2リリース出力レバー間の前記操作力伝達経路を接続し、前記切断位置にあるとき、前記操作力伝達経路を切断することを特徴とする請求項4記載の車両用ドアラッチシステム。
前記キャンセルレバーは、前記リリース拘束状態でないとき、前記切断位置に移動しても前記操作力伝達経路を切断しないことを特徴とする請求項4または5記載の車両用ドアラッチシステム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、
図1、2、8〜15において左方を「後方」、右方を「前方」とする。
【0015】
図1、2において、Dは、車体側面に設けられる前後方向のアッパーガイドレールUR、ウェストガイドレールWR及びロアガイドレールLRにより前後方向へ開閉可能に支持されるスライドドア(以下、「ドア」と記す)、OHは、ドアDの外側面(アウタパネル)に配置され、ドアDを車外から開閉する際に操作されるアウトサイドハンドル、IHは、ドアDの車内側面に配置され、ドアDを車内から開閉する際に操作されるインサイドハンドル、KNは、ドアDの車内側に配置され、後述の施解錠機構101を手動操作でアンロック状態及びロック状態に切換える際に操作されるロック操作ノブ、FDは、ドアDの前部に配置され、ドアDを閉鎖位置に保持するためのフロントドアラッチ、ODは、ドアDの下部に配置され、ドアDを全開位置に保持するための全開保持ラッチ、1は、ドアDの後部に配置され、フロントドアラッチFDと共にドアDを閉鎖位置に保持可能なドアラッチ、100は、ドアDの内部に配置され、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの各操作を中継制御し、当該中継制御した操作をドアラッチ1、フロントドアラッチFD及び全開保持ラッチODにそれぞれ伝達制御するための操作中継装置、80は、ドアDの下部に設けられるドア連動レバーである。
【0016】
なお、本実施形態においては、ドアラッチ1、ドア連動レバー80及び操作中継装置100をそれぞれドアD側に設けた例を説明するが、本発明は、本実施形態に限定されるものでなく、ドアラッチ1、ドア連動レバー80及び操作中継装置100をそれぞれ車体側に設けても良い。この場合は、ドアラッチ1に噛合可能な後述のストライカS、ドア連動レバー80に当接可能な後述の当接ピン84はドアD側に設けられる。
【0017】
操作中継装置100は、施解錠用の電動アクチュエータ(図示略)の電動操作、及び乗員の手動操作によるロック操作ノブKNのアンロック操作及びロック操作に基づいて、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの操作を有効としてドアDの開操作を可能にするアンロック状態及び無効としてドアDの開操作を不能にするロック状態に切り替え可能な複数のレバーにより構成される施解錠機構101と、施解錠機構101の状態に無関係にアウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの操作に常時連動するハンドル連動レバー102と、施解錠機構101がアンロック状態にあるときのみ、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの操作に基づいて作動する出力レバー103とを備える。
【0018】
ハンドル連動レバー102は、ロッドまたはボーデンケーブル等で構成される操作力伝達部材501及び502、503を介して全開保持ラッチOD及びドアラッチ1にそれぞれ連結される。また、出力レバー103は、ロッドまたはボーデンケーブル等で構成される操作力伝達部材504及び505を介してフロントドアラッチFD及びドアラッチ1にそれぞれ連結される。
【0019】
図3〜5に示すように、ドアラッチ1は、車体側に固定されるストライカS(
図6参照)と噛合しドアDを閉鎖位置に拘束するラッチユニット2と、ドアDの閉動作時、ドアDをハーフラッチ状態(半ドア状態)からフルラッチ状態(全閉状態)に強制的に閉め込むように、ラッチユニット2をハーフラッチ状態からフルラッチ状態に作動させるクローズ機能及びストライカSと噛合した噛合状態にあるラッチユニット2をストライカSから外すリリース作動させるリリース機能を有するクローザ・リリースユニット3とを備える。
【0020】
なお、ドアラッチ1は、ラッチ7及びラチェット9を含むラッチ機構に加えて、クローズ機能及びリリース機能のうち少なくともリリース機能を備えた構成のものと定義する。
【0021】
ラッチユニット2及びクローザ・リリースユニット3における上部は、雨水、塵埃等の浸入を阻止するための合成樹脂製のトップカバー60により覆われる。クローザ・リリースユニット3における下部は、雨水、塵埃等の浸入を阻止するための合成樹脂製のアンダーカバー61により覆われる。さらに、クローザ・リリースユニット3における後述の遊星歯車機構33の車外側を向く側面も、トップカバー60の側壁601及びアンダーカバー61の側壁611により覆われる。
【0022】
先ず、ラッチユニット2について説明する。
主に
図3〜7に示すように、ラッチユニット2は、ドアDに対する取付面が金属製の平面視L字状のカバープレート4により閉塞される合成樹脂製のハウジング5を備える。ハウジング5内には、前後方向を向くラッチ軸6により枢支され、ストライカSと係合可能なラッチ7と、前後方向を向くラチェット軸8により枢支され、ラッチ7の外周縁に設けられたフルラッチ係合部71またはハーフラッチ係合部72に選択的に係合可能なラチェット9とを含むラッチ機構が収容される。なお、
図5は、ラッチユニット2の内部構造を明示するため、カバープレート4を省略している。
【0023】
ラッチユニット2におけるカバープレート4及びハウジング5には、ドアDの閉鎖時、ストライカSが車内側から進入し得るように車内側が開口した車内外方向を向くストライカ進入溝41、51がそれぞれ設けられる。
【0024】
ラッチ7は、ストライカSから離脱したドアDの開放状態に対応する
図8に示すオープン位置から、ラッチ軸6に巻装されるスプリング16(
図4参照)の付勢力に抗してクローズ方向(
図8において反時計方向)へ回動してストライカSに辛うじて係合する
図9に示すハーフラッチ位置を経由して、ストライカSに完全に係合する
図6、10、11に示すフルラッチ位置に回動する。なお、以下の説明において、ラッチ7の「オープン位置」、「ハーフラッチ位置」及び「フルラッチ位置」は、必要に応じてラッチ機構の「オープン状態」、「ハーフラッチ状態」及び「フルラッチ状態」と記す。
【0025】
図7に明示されるように、ハウジング5の前面側には、ラッチ軸6により枢支され、ラッチ7と一体的に回動可能な検知レバー10及びラッチレバー11と、ラチェット軸8により枢支され、ラチェット9と一体的に回動可能なオープンレバー12とが配置される。
【0026】
ラッチレバー11は、ラッチ7と一体回動することによって、ラッチ7がオープン位置にあるときには、
図8に示すように下方を向き、ラッチ7がハーフラッチ位置にあるときには、
図9に示すように前方斜め下方を向き、ラッチ7がフルラッチ位置にあるときには、
図10に示すように前方を向く。なお、ラッチレバー11の先端部に設けられる作動部111は、ラッチ7がオープン位置にあるときには、遊星歯車機構33の一部を構成する後述のクローズレバー38のクローズ部381の移動軌跡外に退避し、ラッチ7がハーフラッチ位置に回動することによってクローズ部381の移動軌跡内に進入する。
【0027】
検知レバー10及びラッチレバー11の回転面には、後方を向く連結シャフト13が固着される。連結シャフト13は、ハウジング5に設けられたラッチ軸6を中心とする円弧孔52を貫通してラッチ7のアーム部73に固着されることによって検知レバー10、ラッチレバー11及びラッチ7が一体回動するようにそれぞれを連結する。
【0028】
オープンレバー12は、後方を向く第1アーム部121がハウジング5に設けられたラチェット軸8を中心とする円弧孔53を貫通してラチェット9に嵌合することによって、ラチェット9と一体回動する。
【0029】
ラッチ7のハーフラッチ位置及びフルラッチ位置は、
図7に示すように、ハウジング5の前面側に設けられるハーフラッチ検出スイッチ14及びフルラッチ検出スイッチ15により検出され、それらの検出信号は、クローザ・リリースユニット3における電気駆動源をなすモータ321の停止、駆動制御の契機となるように、制御回路装置(図示略)へ送信される。
【0030】
ラチェット9は、ハウジング5の前面側に設けられるスプリング17の付勢力によりオープンレバー12と一緒に常時係合方向(例えば、
図6、8〜15において反時計方向)へ付勢されると共に、ラッチ7が
図8に示すオープン位置にあるときにはラッチ7の外周縁に当接し、ラッチ7が
図9に示すハーフラッチ位置にあるときにはラッチ7のハーフラッチ係合部72に係合する係合位置に保持されることでラッチ7のハーフラッチ位置からオープン方向(例えば、
図9、10において時計方向)への回動を阻止し、また、ラッチ7が
図10に示すフルラッチ位置にあるときにはラッチ7のフルラッチ係合部71に係合する係合位置に保持されることでラッチ7のフルラッチ位置からオープン方向への回動を阻止する。
【0031】
ラチェット9がラッチ7のフルラッチ係合部71またはハーフラッチ係合部72に係合した係合位置にあって、操作中継装置100の施解錠機構101がアンロック状態にあるときには、アウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHがドア開操作されると、ラチェット9は、スプリング17の付勢力に抗して、各種要素を介してリリース方向(例えば、
図6、8〜15において時計方向)へ回動し
図12、13に示すリリース位置に移動することによって、フルラッチ係合部71またはハーフラッチ係合部72から外れてドアDの開扉を可能にする。
【0032】
カバープレート4における前方へ折曲形成された支持面42には、車内外方向を向く支軸18によりリリース入力レバー19、ブロックレバー20及び緊急レバー21がそれぞれ回動可能に枢支される。
【0033】
リリース入力レバー19は、下部に設けた連結部191がドアD内に前後方向へ向けて配索される操作力伝達部材505の後端部が連結される。操作力伝達部材505の前端部は、操作中継装置100の出力レバー103に連結される。これにより、アウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHのいずれかがドア開操作されると、操作中継装置100の施解錠機構101がアンロック状態にあるときのみ、リリース入力レバー19は、例えば
図8〜11に示すニュートラル位置からスプリング23の付勢力に抗してリリース方向(
図8〜11において反時計方向)へ揺動し、
図12、13に示すリリース位置に回動する。リリース入力レバー19がリリース位置に回動すると、リリース入力レバー19の後端部に設けられた解除部192がオープンレバー12の第2アーム部122の上端を押し下げることでオープンレバー12を介してラチェット9をリリース方向へ回動させて、ラチェット9とラッチ7のフルラッチ係合71またはハーフラッチ係合部72との係合を外してドア開を可能にする。
【0034】
なお、リリース入力レバー19は、操作中継装置100の出力レバー103に連結されるため、施解錠機構101がアンロック状態にあるときにはアウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHのいずれかのドア開操作によってリリース方向へ揺動するが、施解錠機構101がロック状態にあるときにはアウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHがドア開操作されてもニュートラル位置に止まりリリース方向へ移動しない。
【0035】
ブロックレバー20は、スプリング23の付勢力をもって、前方へ延出するアームの先端に形成したブロック部203が前方を向くブロック位置(例えば、
図8〜11に示す位置)に保持され、リリース入力レバー19がリリース方向へ回動してリリース位置(例えば、
図14に示す位置)に移動したときには、自体に設けた当接部201にリリース入力レバー19の折曲部193が下方から当接することで、ブロック位置から反時計方向へ所定角度回動した
図12〜14に示すキャンセル位置に回動する。
【0036】
ブロック部203は、ブロックレバー20がブロック位置(例えば、
図8〜11に示す位置)に保持されている場合には、遊星歯車機構33における後述するサンギヤ35の反時計方向への回動を阻止し、また、同じくキャンセル位置(例えば、
図12〜14に示す位置)に移動することで、サンギヤ35における反時計方向への回動をフリーにする。これにより、ブロックレバー20がブロック位置にある場合には、後述のように、遊星歯車機構33の減速回転をラッチ7に伝達可能とし、また同じくキャンセル位置にある場合には、遊星歯車機構33の減速回転の伝達を切断してラッチ7に伝達不能とする。
【0037】
緊急レバー21は、下部に設けた連結部211がドアD内に前後方向へ向けて配索される操作力伝達部材502の後端部が連結される。操作力伝達部材502の前端部は、操作中継装置100のハンドル連動レバー102に連結される。これにより、ハンドル連動レバー102の作動が操作力伝達部材502を介して緊急レバー21に伝達されることによって、緊急レバー21は、施解錠機構101がアンロック状態またはロック状態にあるか否かに無関係に、アウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHのいずれかのドア開操作に連動してニュートラル位置(例えば、
図8〜11に示す位置)からリリース方向(
図8〜11において反時計方向)へ回動する。
【0038】
緊急レバー21がリリース方向へ回動した場合には、緊急レバー21の上端に設けた当接部212がブロックレバー20の折曲部202に下方から当接することで、ブロックレバー20は、スプリング23の付勢力に抗してリリース方向へ回動する。なお、この場合には、リリース入力レバー19は、ニュートラル位置に保持されたままであり、ラチェット9はリリース方向へ揺動しない。これにより、施解錠機構101の状態に無関係に、アウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHのいずれかをドア開操作することにより、ブロックレバー20をキャンセル位置に移動させて、クローザ・リリースユニット3のクローズ動作を後述のように中断させることが可能となる。
【0039】
次に、クローザ・リリースユニット3について説明する。
図3〜5に示すように、クローザ・リリースユニット3は、ラッチユニット2におけるカバープレート4の支持面42に上下2本のリベット25により固定される金属製のベースプレート(ベース部材)31と、ベースプレート31における車外側を向く面の前部に配置され、電気駆動源をなすモータ321及び当該モータ321の回転を減速する減速歯車を内蔵した駆動ユニット32と、ベースプレート31における車外側を向く面の中央部(ラッチユニット2におけるラッチ7と駆動ユニット32との間)に配置され、モータ321の回転力を出力する車内外方向の軸回りに回転可能な出力ギヤ322に噛合して出力ギヤ322の回転をさらに減速して出力可能な減速機構をなす遊星歯車機構33と、ベースプレート31に枢支される第1リリース出力レバー301、第2リリース出力レバー302及びキャンセルレバー303とを含むリリースキャンセル機構とを備える。
【0040】
リリースキャンセル機構は、モータ321の正転による遊星歯車機構33の後述のリリース作動をラチェット9に伝達可能な接続状態と、遊星歯車機構33とラチェット9とを繋ぐ操作力伝達経路の途中を切断する切断状態とに変化可能である。
【0041】
第1リリース出力レバー301は、ベースプレート31に車内外方向を向く支軸304により前後方向へ回動可能に枢支されると共に、下方に延出するリリース部301aと、車内外方向を向くフローティングピン308が上下方向へ摺動可能に係合する上下方向の長孔301bとを有し、スプリング306により
図5において時計方向へ付勢され、非作動時には
図5に示すニュートラル位置に保持されると共に、遊星歯車機構33の後述のリリース作動に基づいて、ニュートラル位置からスプリング306の付勢力に抗して、リリース方向(
図5において反時計方向)へ回動可能である。
【0042】
第2リリース出力レバー302は、ベースプレート31に第1リリース出力レバー301と同軸により枢支されると共に、第1リリース出力レバー301のニュートラル方向への作動に連動し得るように、上部に設けられた折曲部302aが第1リリース出力レバー301の回動方向に対して当接する。
【0043】
第2リリース出力レバー302の上端部には、第2リリース出力レバー302のニュートラル位置(例えば、
図5参照)からリリース方向(
図5において反時計方向)への作動を操作中継装置100のハンドル連動レバー102に伝達するための前後方向を向く操作力伝達部材503の後端部が連結される。さらに、第2リリース出力レバー302には、フローティングピン308が摺動可能に係合する逆L字型の長孔302bが設けられる。
【0044】
キャンセルレバー303は、ベースプレート31に車内外方向を向く支軸303cにより前後方向へ回動可能に枢支され、通常はスプリング307の付勢力により接続位置(例えば、
図5参照)に保持される。キャンセルレバー303における後方へ延出するアーム部303aには、第2リリース出力レバー302の長孔302bに側面に重なってフローティングピン308が前後方向へ摺動可能に係合する前後方向の長孔303bが設けられる。
【0045】
キャンセルレバー303の上部には、ドア連動レバー80の作動をキャンセルレバー303に伝達するための操作力伝達部材506の一端部が連結される。これにより、キャンセルレバー303は、通常はリリースキャンセル機構を接続状態にする接続位置に保持されているが、後述のようにドア連動レバー80がニュートラル位置からキャンセル方向へ作動したときには、当該作動に連動して接続位置からスプリング306の付勢力に抗して切断方向(
図5において時計方向)へ所定角度回動してリリースキャンセル機構を切断状態に変化させる切断位置(
図15参照)に移動する。なお、ドア連動レバー80の作動については後述する。
【0046】
フローティングピン308は、キャンセルレバー303に従動し、キャンセルレバー303が接続位置にある場合には、第2リリース出力レバー302の長孔302bの下部に位置(例えば、
図8に示す位置)にしてリリースキャンセル機構を接続状態とする接続位置に保持され、また、キャンセルレバー303が切断位置に移動した場合には、長孔302bの上部に位置(
図15に示す位置)してリリースキャンセル機構を切断状態とする切断位置に移動する。
【0047】
キャンセルレバー303及びフローティングピン308が接続位置にあってリリースキャンセル機構が接続状態にある場合には、第1リリース出力レバー301と第2リリース出力レバー302間の操作力伝達経路を接続する。これにより、遊星歯車機構33の後述のリリース作動による第1リリース出力レバー301のリリース作動は、フローティングピン308、第2リリース出力レバー302、操作力伝達部材503、ハンドルレバー102、出力レバー103、操作力伝達部材505、リリース入力レバー19、オープンレバー12を介してラチェット9に伝達される。この結果、ラチェット9は、リリース位置へ移動してドアDの開きを可能にする。
【0048】
キャンセルレバー303及びフローティングピン308がキャンセル位置に移動してリリースキャンセル機構がキャンセル状態に変化した場合には、第1リリースレバー301と第2リリース出力レバー302間の操作力伝達経路を切断する。これにより、遊星歯車機構33がリリース作動した状態で電気的故障または他の原因によって、第1リリース出力レバー301がリリース位置に拘束されて、第1リリース出力レバー301、第2リリース出力レバー302等がニュートラル位置に戻ることができなくなって、ラチェット9がリリース位置に拘束されてドアDの閉鎖ができなくなる所謂リリース拘束状態が発生しても、この状態において、第1リリース出力レバー301と第2リリース出力レバー302間の操作力伝達経路を切断させることによって、リリース拘束状態を解除して、第1リリース出力レバー301をリリース位置に停止させたまま、第2リリース出力レバー302、リリース入力レバー19等のニュートラル位置への戻り、及びラチェット9の係合位置への戻りを可能にして、ドアDの閉鎖、すなわち、ラッチユニット2に対するストライカSの噛合を可能にする。
【0049】
キャンセルレバー303が接続位置にある状態において、第1、2リリース出力レバー301、302がリリース作動すると、当該作動は、操作力伝達部材503を介して操作中継装置100のハンドル連動レバー102に伝達されてハンドル連動レバー102を作動させる。ハンドル連動レバー102の作動は、操作中継装置100の施解錠機構101がアンロック状態にあれば、出力レバー103、操作力伝達部材505及び504を介してリリース入力レバー19及びフロントドアラッチFDにそれぞれ伝達される。
【0050】
遊星歯車機構33は、ラッチユニット2におけるラッチ機構をハーフラッチ状態からフルラッチ状態、すなわちラッチ7をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に移動させるクローズ機能、及びラチェット9をリリース作動させてドア開を可能にするリリース機能を兼ね備える。
【0051】
図4、5示すように、遊星歯車機構33は、ベースプレート31における車外側を向く面に車内外方向を向く支軸34により枢支される遊星歯車機構33の一部を構成する回転部材をなすサンギヤ35と、サンギヤ35に自転しつつ公転可能に噛み合う単一のプラネタリーギヤ36と、支軸34に枢支されると共に、車内外方向を向く軸37によりプラネタリーギヤ36を枢支するクローズレバー38と、支軸34により枢支されると共に、円周の外側に出力ギヤ322に噛み合う外歯ギヤ391、円周の内側にプラネタリーギヤ36に噛み合う内歯ギヤ392をそれぞれ有するリングギヤをなすセクタギヤ39とを含んで構成される。
【0052】
図8に示すように、サンギヤ35は、中心角θ1がほぼ170°の扇形の円周の外側にプラネタリーギヤ36に噛み合う外歯ギヤ351を有し、外歯ギヤ351を形成していない上部の回転面には、車内側へ突出する円柱状の当接部352が設けられる。
【0053】
当接部352は、サンギヤ35の反時計方向への回動が阻止されるように、サンギヤ35の反時計方向への回動に対してブロックレバー20のブロック部203に対して当接可能であり、また、サンギヤ35が時計方向へ回動して第1リリース出力レバー301のリリース部301aに当接することで、第1リリース出力レバー301をリリース方向へ作動させる。すなわち、サンギヤ35は、通常(ブロックレバー20がニュートラル位置にある状態)、サンギヤニュートラル位置(例えば、
図5に示す位置)から時計方向へ回動可能であるが、サンギヤニュートラル位置から反時計方向へは回動不能に構成される。
【0054】
ブロックレバー20がブロック位置(例えば、
図8〜11に示す位置)にある場合、ブロックレバー20のブロック部203は、当接部352の移動軌跡内にあって、サンギヤ35が
図8に示す位置から反時計方向へ若干回動することで、当接部353に対して当接してサンギヤ35の反時計方向への回動をブロックし、また、ブロックレバー20がキャンセル位置(例えば、
図12、13に示す位置)にある場合には、ブロックレバー20のブロック部203は、当接部352の移動軌跡外に退避して、サンギヤ35の反時計方向への回転をフリーにする。
【0055】
遊星歯車機構33が作動していない状態、すなわちニュートラル状態(例えば、
図8に示す状態)において、サンギヤ35は、外歯ギヤ351が下向きで、当接部352が最上位に位置するニュートラル位置にセットされる。
【0056】
なお、本実施形態においては、サンギヤ35を中心角θ1がほぼ170°の扇形の円周の外側に外歯ギヤ351を形成したものとしたが、本発明はこれに限定されるものでなく、サンギヤ35の中心角は、90°から180°の範囲で適宜変更可能である。
【0057】
主に
図8に示すように、クローズレバー38は、後方へ延出するアームの先端部、すなわち支軸34よりもラッチユニット2のラッチ7に近接する方の一端部に、ラッチレバー11の作動部111に対して当接可能な上向きのクローズ部381を有し、前方斜め下方に延出するアームの先端部、すなわち支軸34よりもラッチ7に対して離れた方の他端部に、プラネタリーギヤ36を軸37により枢支するための枢支部382を有する。
【0058】
遊星歯車機構33のニュートラル状態(例えば、
図8に示す状態)において、クローズレバー38は、一端がクローズレバー38に掛止され、他端がベースプレート31に掛止されたスプリング40により反時計方向へ付勢されてベースプレート31に設けたストッパ部311に上方から当接することで、クローズ部381が後方斜め下方へ向き、枢支部382が前方斜め下方、すなわち出力ギヤ322が位置する方向へ向くようなニュートラル位置に保持される。よって、クローズレバー38がニュートラル位置にある場合には、プラネタリーギヤ36及び出力ギヤ322は、互いにセクタギヤ39の外歯ギアや391及び内歯ギヤ392を挟んだ状態で対向する。これにより、遊星歯車機構33がニュートラル状態にある場合には、互いに対向するプラネタリーギヤ36と出力ギヤ322間に、セクタギヤ39の外歯ギヤ391及び内歯ギヤ392が挟み込まれるので、セクタギヤ39のがた付きを抑えることが可能となる。
【0059】
図8に示すように、セクタギヤ39は、中心角θ2がほぼ80°の扇形の円周の外側に外歯ギヤ391、また同じく内側に内歯ギヤ392を設けたものであって、支軸34が内挿する軸孔393(
図4、16参照)を形成した支持部394(
図4、16参照)と、支持部394と内歯ギヤ392との間にあって、内歯ギヤ392に噛み合うプラネタリーギヤ36を収容する開口部395とを有する。プラネタリーギヤ36は、開口部395内に収容された状態で自転及び公転を行う。
【0060】
なお、遊星歯車機構33のニュートラル状態において、セクタギヤ39は、外歯ギヤ391が前方、すなわちラッチユニット2のラッチ7が配置される方向と反対方向を向くリングギヤニュートラル位置にセットされる。なお、セクタギヤ39のリングギヤニュートラル位置は、セクタギヤ39の下方に配置される検出スイッチ62(
図5参照)によって検出される。
【0061】
セクタギヤ39における支持部394と外歯ギヤ391及び内歯ギヤ392を形成した円周部分とを繋ぐ上下の架橋部396には、円周部分が支持部394よりもベースプレート31の表面に接近するように段差部397が設けられる。これにより、
図16に示すように、ベースプレート31にクローズレバー38、サンギヤ35及びセクタギヤ39を支軸34の軸方向へ重ねた状態で、サンギヤ35の外歯ギヤ351と、プラネタリーギヤ36と、セクタギヤ39の外歯ギヤ391及び内歯ギヤ392と、出力ギヤ322の全ては、ほぼ同一面上に並んで状態で配置されることで、遊星歯車機構33の支軸34の軸方向の薄型化を可能にすると共に、円滑な作動を得ることが可能となる。
【0062】
図8に示すように、ブロックレバー20がブロック位置にあって、遊星歯車機構33がニュートラル状態にある状態において、モータ321の正転に伴って、セクタギヤ39が支軸34を中心にしてクローズ方向(時計方向)へ回動すると、このときサンギヤ35の反時計方向への回動は、ブロックレバー20のブロック部203によりブロックされるため、プラネタリーギヤ36は時計方向へ自転しつつ公転する。これにより、クローズレバー38は、プラネタリーギヤ36の公転に追従して支軸34を中心にクローズ方向(時計方向)へセクタギヤ39よりも減速されて揺動し、
図10に示すように、クローズ部381が真上を向くクローズ位置まで回動する。
【0063】
また、
図8に示すように、ブロックレバー20がブロック位置にあって、遊星歯車機構33がニュートラル状態にある状態において、モータ321の逆転に伴って、セクタギヤ39が支軸34を中心にしてリリース方向(反時計方向)へ回動した場合には、クローズレバー38は、スプリング40の付勢力により、反時計方向へ付勢されてニュートラル位置に保持されているため、クローズレバー38に枢支されたプラネタリーギヤ36は、公転しないで反時計方向へ自転する。この結果、サンギヤ35は、プラネタリーギヤ36の自転に基づいて時計方向、すなわちリリース方向へ所定角度回動し、当接部352が第1リリース出力レバー301のリリース部301aに対して後方から当接し第1リリース出力レバー301をリリース方向へ作動させる。
【0064】
第1リリース出力レバー301のリリース作動は、キャンセルレバー303が接続位置にあるときには、フローティングピン308、第2リリース出力レバー302、操作力伝達部材503、操作中継装置100のハンドル連動レバー102に伝達される。さらに、ハンドル連動レバー102のリリース作動は、操作中継装置100の施解錠機構101がアンロック状態にあれば、出力レバー103、操作力伝達部材505、リリース入力レバー19、オープンレバー12を介して、ラチェット9に伝達される。これにより、ラチェット9は、リリース作動してラッチ7との係合を解除して、ドアDの開きを可能にする。ラッチ機構のリリース作動が完了した後は、モータ321は反転制御され、遊星歯車機構33はニュートル状態に復帰する。
【0065】
上述のように、本実施形態における遊星歯車機構33は、セクタギヤ39に外歯ギヤ391及び内歯ギヤ392を設け、内歯ギヤ392に噛み合う単一のプラネタリーギヤ36をセクタギヤ39の開口部395内に配置したことにより、単一のプラネタリーギヤ36がセクタギヤ39の円周部分よりも内側の開口部395内で自転及び公転を行うため、遊星歯車機構33の円周方向の小型化を図ることが可能となる。
【0066】
さらに、セクタギヤ39を中心角が180°以下の扇形の円周の外側に外歯ギヤ391、また同じく内側に内歯ギヤ392をそれぞれ設けた構成で、かつサンギヤ35を中心角180°以下の扇形の円周の外側に外歯ギヤ351を設けた構成としたことによって、セクタギヤ39及びサンギヤ35の小型化を図り、遊星歯車機構33の小型化を図ることができる。
【0067】
さらには、単一のプラネタリーギヤ36をクローズレバー38の枢支部382に直接枢支したことによって、部品数を削減して、クローズレバー38の作動を円滑にすることができる。
【0068】
さらには、セクタギヤ39を、ニュートラル位置にあるとき、外歯ギヤ391及び内歯ギヤ392をラッチ7に対して支軸34よりも離れた位置にのみ設けたことによって、ラッチ7と遊星歯車機構33の支軸34間には、セクタギヤ39の外歯ギヤ391及び内歯ギヤ392が存在しないため、遊星歯車機構33の支軸34をラッチ7寄りに接近させることが可能となり、ドアラッチシステム1の小型化を図ることが可能となる。
【0069】
なお、本発明における電動駆動機構は、本実施形態においてはモータ321、出力ギヤ322、減速機構をなす遊星歯車機構33により構成されるが、本発明は、本実施形態に限定されるものでなく、少なくともモータを含むものであれば、減速機構を省略したり、減速機構をウォームギヤや平歯車等で構成しても良い。
【0070】
ドア連動レバー80は、ドアDの前下部(具体的には、ドアDの前下部に固定され、ロアガイドレールLRに前後方向へ移動可能に支持される図示略のロアローラブラケット)に固定される
図17に示すベースブラケット81に上下方向を向く枢軸82により前後方向へ回動可能に枢支されると共に、枢軸82の回りに巻装されるスプリング83の付勢力により常時はニュートラル位置(例えば、
図17に示す位置)に保持され、ニュートラル位置からスプリング83の付勢力に抗してキャンセル方向(
図17において時計方向)及びアンキャンセル方向(
図17において反時計方向)へ回動可能である。なお、
図1、2において、説明の便宜上、ドア連動レバー80は、左右方向の軸回りに回動し得るような形態で示している。
【0071】
図17に示すように、スプリング83は、コイル部831が枢軸82に巻装され、両端部832、832間にドア連動レバー80の折曲片801の両側を挟み込んだ状態で、両端部832、832がベースブラケット81に設けられた掛止部811に掛止されることによって、ドア連動レバー80をニュートラル位置に弾性保持する。
【0072】
さらに、ドア連動レバー80は、車体側(
図17において下側)へ向けて延出し車体またはロアガイドレールLRに固定される当接ピン84に対してドアDの開閉方向から当接可能なアーム部802と、枢軸82を中心とする円弧状に形成され、一端部がキャンセルレバー303に連結される操作力伝達部材506の他端部506aが連結される。なお、操作力伝達部材506の他端部506aは、ドア連動レバー80がニュートラル位置からキャンセル方向へ回動した場合には長孔803の端縁に当接することにより操作力伝達部材506を引っ張るが、ドア連動レバー80がニュートラル位置からアンキャンセル方向へ回動した場合には長孔803内を相対的に空動するだけでドア連動レバー80のアンキャンセル回動を操作力伝達部材506に伝達しないように、長孔803にその円弧方向へ摺動可能に連結される。
【0073】
ドアDが全閉位置にある場合には、
図18(c)に示すように、当接ピン84は、ドア連動レバー80よりも後方、すなわち開方向側に位置する。この状態において、駆動ユニット32に動力によりラチェット9がリリース方向へ作動して、ラッチユニット2とストライカSとの噛合が解除されて、ドアDが全閉位置から開方向へ向けて移動すると、ドアDが全閉位置に到達する前の所定の位置に達すると、
図18(b)に示すように、ドア連動レバー80のアーム部802が当接ピン84に対して前方から当接する。これにより、
図18(a)に示すように、ドア連動レバー80は、スプリング83の付勢力に抗して、ニュートラル位置から反時計方向、すなわちアンキャンセル方向へ所定角度回動する。そして、ドアDがさらに開方向へ向けて移動して所定の位置を通過すると、アーム部802が当接ピン84を乗り越えることによって、ドア連動レバー80は、スプリング83の付勢力により再びニュートラル位置に戻る。この場合、ドア連動レバー80がアンキャンセル方向へ回動しても、当該回動は、操作力伝達部材506に伝達されないため、キャンセルレバー303に伝達されない。
【0074】
ドアDが全開位置にある場合には、
図19(a)に示すように、当接ピン84は、ドア連動レバー80よりも前方、すなわち閉方向側に位置する関係にある。この状態において、ドアDが全開位置から閉方向へ向けて移動すると、ドアDが閉鎖位置に到達する前の前記所定の位置に達すると、
図19(b)に示すように、ドア連動レバー80のアーム部802が当接ピン84に対して後方から当接する。これにより、
図19(c)に示すように、ドア連動レバー80は、スプリング83の付勢力に抗して、ニュートラル位置から時計方向、すなわちキャンセル方向へ所定角度回動する。そして、ドアDがさらに閉方向へ向けて移動して所定の位置を通過すると、アーム部802が当接ピン84を乗り越えることによって、ドア連動レバー80は、スプリング83の付勢力により再びニュートラル位置に戻る。
【0075】
ドア連動レバー80がキャンセル方向へ回動すると、当該回動は、操作力伝達部材506を介してキャンセルレバー303に伝達される。これにより、キャンセルレバー303及びフローティングピン308をキャンセル位置に移動させて、リリースキャンセル機構をキャンセル状態に変化させる。この結果、ドアDを開けた際、前記リリース拘束状態が発生していたとしても、乗員に対して特別な操作を強いることなく、ドアDを閉方向へ移動させるだけの通常操作でリリース拘束状態を解除して、ドアDを閉じることができる。
【0076】
次に、ドアラッチシステムの動作を
図8〜19に基づいて説明する。
(クローズ動作)
図8に示すように、ドアDが開いた状態、すなわち、ラッチユニット2がオープン状態にあって、クローザ・リリースユニット3の全ての要素がニュートラル位置にある状態において、ドアDが半ドア位置まで閉じられると、
図9に示すように、ストライカSがラッチ7に噛合することで、ラッチ7は、オープン位置からハーフラッチ位置に回動し、ラチェット9は、ラッチ7のハーフラッチ係合部72に係合する。このとき、ラッチレバー11の作動部111は、ラッチ7のハーフラッチ位置への回動によりクローズレバー38のクローズ部381の移動軌跡内に進入する。
【0077】
ラッチ7がハーフラッチ位置に回動したことをハーフラッチ検出スイッチ14が検出すると、モータ321は、制御回路装置により正転制御される。これにより、
図9に示すハーフラッチ状態において、出力ギヤ322は、矢印方向の反時計方向へ回動し、セクタギヤ39は、支軸34を中心に矢印方向のクローズ方向へ揺動する。この場合、ブロックレバー20がブロック位置にあって、ブロック部203がサンギヤ35の当接部352に当接可能な位置にあるため、サンギヤ35は、反時計方向へ若干揺動したあと当接部352がブロック部203に当接することで反時計方向への揺動がブロックされる。この結果、プラネタリーギヤ36は、セクタギヤ39の開口部395内に収容された状態で時計方向へ自転しつつ公転する。
【0078】
クローズレバー38は、プラネタリーギヤ36の時計方向への公転に伴って、スプリング40の付勢力に抗して、矢印方向のクローズ方向(時計方向)へ揺動し、クローズ部381の上方移動によりラッチレバー11の作動部111を押し上げ、ラッチレバー11を反時計方向へ揺動させる。これにより、
図10に示すように、ラッチ7がハーフラッチ位置からフルラッチ位置へ揺動する。そして、フルラッチ検出スイッチ15がラッチ7のフルラッチ位置を検出すると、モータ321は、制御回路装置により一旦停止制御された後、即座に反転制御される。
【0079】
モータ321が反転制御されると、セクタギヤ39は、反時計方向へ反転し、プラネタリーギヤ36は、反時計方向へ自転しつつ公転する。クローズレバー38は、プラネタリーギヤ36の公転と相俟ってスプリング40の反時計方向への付勢力によって反転して
図11に示すようにニュートラル位置に復帰する。そして、検出スイッチ62がセクタギヤ39のニュートラル位置を検出すると、モータ321は停止制御され、遊星歯車機構33は作動前のニュートラル状態に戻り、一連のクローズ動作は終了する。
【0080】
(クローズ動作を中断させるキャンセル動作)。
図9に示すハーフラッチ状態から
図10に示すフルラッチ状態へ移行する途中の段階において、例えば、ドアDと車体の乗降口との間に異物が挟まれる等してクローズ動作を中断させる必要が生じた場合には、アウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHのいずれかをドア開操作することによって、異物の挾み込みを回避するが可能となる。
【0081】
すなわち、操作中継装置100の施解錠機構101がアンロック状態にある場合には、アウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHのいずれかのドア開操作によってモータ321は停止制御される。また、これと同時に、
図12に示すように、リリース入力レバー19は、リリース方向へ作動することで、リリース部192がオープンレバー12の第2アーム部122を押し下げてオープンレバー12と共にラチェット9をリリース方向へ作動させると共に、折曲部193がブロックレバー20の当接部201に当接してブロックレバー20をスプリング23の付勢力に抗してキャンセル位置に揺動させる。
【0082】
ブロックレバー20がキャンセル位置に移動すると、ブロック部203は、サンギヤ35の当接部352の移動軌跡外に退避し、サンギヤ35の反時計方向への回動をフリーにする。この結果、セクタギヤ39からプラネタリーギヤ36への減速伝達が切断されることによって、
図13に示すように、クローズレバー38が、スプリング40の付勢力によって、ニュートラル位置に反転することで、ラッチ7のオープン位置への揺動を可能にしてドアDを即座に開けることができる。これにより、ドアDと車体の乗降口との間に異物が挟み込まれる危険性を回避して安全性の向上を図ることができる。
【0083】
異物の挾み込みを回避した後、アウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHのいずれかの開操作を止めると、モータ321は反転制御され、セクタギヤ39は、リングギヤニュートラル位置へ向けて揺動し、サンギヤ35は、セクタギヤ39の揺動によるプラネタリーギヤ36の自転及び公転に伴って、サンギヤニュートラル位置(例えば、
図8、9に示す位置)に復帰する。これで、キャンセル動作の一連の動作は完了する。
【0084】
また、操作中継装置100の施解錠機構101がロック状態にある場合には、アウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHのドア開操作は、リリース入力レバー19に伝達されないが、緊急レバー21には伝達される。したがって、緊急レバー21のリリース作動をもって、ブロックレバー20をキャンセル位置に揺動させることで、上述の同様にクローズ動作を中断させることができる。
【0085】
(リリース動作)
図11に示すフルラッチ状態において、車内に設けられた操作スイッチまたはワイヤレス操作スイッチを開操作することで、モータ321は逆転する。これにより、セクタギヤ39は、支軸34を中心にしてリリース方向(反時計方向)へ回動するが、プラネタリーギヤ36は、ニュートラル位置に保持されて反時計方向への回動が阻止されたクローズレバー38に枢支されているため、公転しないで反時計方向へ自転する。サンギヤ35は、プラネタリーギヤ36の自転に基づいてサンギヤニュートラル位置からリリース方向へ所定角度回動する。これにより、
図14に示すように、サンギヤ35が回転することで、サンギヤ35の当接部352が第1リリース出力レバー301のリリース部301aに当接し、第1リリース出力レバー301をリリース方向へ作動させる。
【0086】
キャンセルレバー303が接続位置にある場合には、第1リリース出力レバー301のリリース作動は、フローティングピン308を介して第2リリース出力レバー302に伝達され、第2リリース出力レバー302のリリース作動は、操作力伝達部材503を介して操作中継装置100のハンドル連動レバー102に伝達される。ハンドル連動レバー102に入力されたリリース作動は、操作中継装置100の施解錠機構101がアンロック状態にあれば、出力レバー103、操作力伝達部材505を介してリリース入力レバー19に伝達される。これにより、
図14に示すように、ラチェット9は、リリース作動してラッチ7との係合を解除して、ドアDの開きを可能にする。
【0087】
(リリース拘束状態を解除させるためのリリースキャンセル動作)
図14に示すように、セクタギヤ39がリングギヤニュートラル位置からリリース方向へ作動した状態において、電気的故障、または他の原因によってセクタギヤ39がリリース方向へ作動した位置に停止してリングギヤニュートラル位置への復帰が不能な状態が発生した場合には、サンギヤ35の当接部352が第1リリース出力レバー301のリリース部301aに当接したままとなり、第1リリース出力レバー301及び第2リリース出力レバー302は、リリース作動した位置に拘束されるリリース拘束状態が発生する。この結果、この状態でドアDを閉じようと試みても、ラチェット9は、リリース作動した状態に保持されたままとなっているため、ラッチ7に係合することはできず、ドアDを閉じることはできない。
【0088】
しかし、本実施形態においては、リリース拘束状態が発生した場合であっても、全開位置にあるドアDを閉じるだけの一般操作で、リリース拘束状態を解除してドアDを閉じることができる。
【0089】
すなわち、
図14に示すリリース拘束状態において、ドアDを全開位置から閉方向へ向けて移動させると、ドアDが所定の位置に達すると、
図15及び
図19(c)に示すように、ドア連動レバー80は、アーム部802が当接ピン84に対して閉方向から当接することにより、スプリング83の付勢力に抗して、ニュートラル位置からキャンセル方向へ回動する。そして、当該キャンセル方向の作動は、操作力伝達部材506を介してキャンセルレバー303に伝達される。これにより、
図15に示すように、キャンセルレバー303は、スプリング307の付勢力を抗して切断位置に移動し、また、フローティングピン308もキャンセルレバー303の切断位置への移動に追従して、第2リリース出力レバー302の長孔302aの上部である切断位置に移動することで、第1リリース出力レバー301と第2リリース出力レバー302間の操作力伝達経路を切断して、第2リリース出力レバー302のニュートラル位置への移動を可能にする。これにより、リリース作動した位置に拘束されていた第2リリース出力レバー302は、第1リリース出力レバー301を残したままニュートラル位置へ復帰可能となることで、リリース入力レバー19、オープンレバー12のニュートラル位置への復帰を可能として、ラチェット9の係合位置への戻りを可能にする。したがって、この状態でドアDを閉じると、ドアDの全閉位置において、ストライカSがラッチ7に噛合すると共に、ラチェット9がラッチ7のフルラッチ係合部71に係合することで、ドアDを全閉位置に拘束することができる。
【0090】
また、ドアDが所定の位置を通過したあと、ドア連動レバー80は、アーム部802が当接ピン84を乗り越えて、スプリング83の付勢力によりニュートラル位置に戻るため、電気的故障等が解消されてセクタギヤ39がリングギヤニュートラル位置に戻った際には、キャンセルレバー303は、スプリング307の付勢力により切断位置から接続位置に戻る。
【0091】
上述により、ドアDを閉方向へ移動させるだけの通常操作をもって、リリース拘束状態を解除させることが可能であるから、リリース拘束状態が発生した場合であっても、乗員に特別な操作を強いることなくドアDを常時確実に閉じることが可能なる。
【0092】
(他の実施例)
図20〜23は、他の実施例におけるリリースキャンセル機構を示す。この実施例は、ドアDの閉方向への移動に伴ってドア連動レバー80がニュートラル位置からリリース方向へ回動した際、当該リリース方向の回動は、リリース拘束状態のときにはフローティングピン308に伝達されるが、ニュートラル状態(第1、2出力レバー301、302がニュートラル位置にある状態)のときにはフローティングピン308に伝達されないように構成される。
【0093】
具体的には、キャンセルレバー303の前記実施例で示した長孔303bは、
図20〜23に示すような長孔303dに変更される。この長孔303dは、前部側(
図20〜23において右側)の上下幅が後部側よりも拡幅になるように形成される。そして、
図20に示すように、第1、2リリース出力レバー301、302がニュートラル位置にあって、キャンセルレバー303が接続位置にある場合には、フローティングピン308は、長孔303dの前部に形成される拡幅部303eの下縁との間に遊びを有するように、拡幅部303eの上部に位置する。
【0094】
図20に示す状態において、ドアDの閉移動に伴って、ドア連動レバー80がニュートラル位置からリリース方向へ回動すると、
図21に示すように、キャンセルレバー303は、接続位置から切断位置に移動する。しかし、この場合、長孔303dにおける拡幅部303eの下縁がフローティングピン308に対して当接しないため、キャンセルレバー303は、接続位置から切断位置へ移動するものの、フローティングピン308は接続位置に停止したまま動くことはない。
【0095】
図22に示すように、リリース拘束状態の場合には、フローティングピン308は、キャンセルレバー303の長孔303dの後部側へ位置する。したがって、この場合には、
図23に示すように、キャンセルレバー303がキャンセル位置に移動すると、当該移動に連動して、フローティングピン308も切断位置に移動する。これにより、第1リリース出力レバー301と第2リリース出力レバー302間の操作力伝達経路が切断されて、ラチェット9の係合位置への戻りを可能にする。
【0096】
上述により、他の実施例においては、リリース拘束状態のときには、キャンセルレバー303の切断位置への移動してフローティングピン308も切断位置に移動するが、リリース拘束状態以外のときには、フローティングピン308がドア連動レバー80の動きに連動しないものであるから、リリース拘束状態以外のときの作動箇所を少なくして円滑な作動が得られる。
【0097】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、次のような各種の変形や変更を施すこと、または当該各種の変形や変更を適宜組み合わせることも可能である。
(a)クローズレバー38のクローズ部381を、ラッチレバー11を介さないで、ラッチ7に直接連結する。
(b)クローザ・リリースユニット3におけるベースプレート31を、ラッチユニット2におけるカバープレート4に固定することに代えて、ハウジング5に直接または他の要素を介してハウジング5に固定する。
(c)サンギヤ35の他方向(
図5において反時計方向)への回動を阻止する構造を、ブロックレバー20に代えて、ベースプレート31等に設けたストッパとする。
(d)第2リリース出力レバー302を、操作中継装置100を経由させないで、ラチェット9に直接または間接的に連結する。
(e)第1、2リリース出力レバー301、302を省略して、サンギヤ35の一方向(
図5において時計方向)への回動をもって、当接部352がラチェット9、オープンレバー12またはリリース入力レバー19に当接可能とすることで、ラチェット9をリリース作動させるようにする。
(f)第1リリース出力レバー301と第2リリース出力レバー302とを一体構造とする。この場合は、第1リリース出力レバー301と第2リリース出力レバー302とを一体構造したものをリリース出力レバーとすると、電動駆動機構の動力をラチェット9に伝達する操作力伝達経路を切断する箇所は、リリース出力レバーとラチェット9とを繋ぐ経路の途中に設けられる。
(g)ドア連動レバー80を、ドアDの開閉移動に伴って、上下方向または前後方向へ摺動し得るようにする。
(h)ドア連動レバー80を、ドアDが全閉位置から開位置へ向けて開移動する途中、または当該開移動及び全開位置から閉位置へ向けて閉移動する途中、ドアDの移動によってニュートラル位置からリリース方向へ移動可能にする。なお、前者の場合には、当接ピン84は、ドアDが全閉位置にあるとき、ドア連動レバー80よりも後方、すなわち開方向側に配置する(好適には、前記実施例と同様に全閉位置寄りに配置)。また、後者の場合には、ドアDの開移動及び閉移動の両移動により、リリースキャンセル機構が切断状態に変化可能な構成となる。