特許第5961907号(P5961907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5961907
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-38056(P2014-38056)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-160041(P2015-160041A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2014年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 忠
【審査官】 酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011-019784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行状況に応じて動作し、遊技に対する演出として用いられる可動演出ユニットを有する遊技機であって、
前記可動演出ユニットは、
当該可動演出ユニットの前側表面を構成する装飾カバー部材と、
前記遊技の進行状況に応じて駆動制御され、駆動力を出力する駆動軸を有する駆動部と、
前記装飾カバー部材の背面側において、前記駆動部が固設されたベース部材と、
前記装飾カバー部材と前記ベース部材の間において回転可能に配設された円環状の駆動伝達ギヤと、
前記装飾カバー部材と前記駆動伝達ギヤの間に配設されたフレーム部材と、
このフレーム部材の内周面側に形成された内側ギヤ歯部と、
前記フレーム部材の複数個所に、夫々一端部が回動可能に軸支された複数の可動装飾部材と、
前記内側ギヤ歯部と歯合する第1ギヤと、
この第1ギヤと歯合する第2ギヤとを有し、
前記駆動伝達ギヤは、
円環状を為す駆動伝達ギヤの内周面側に形成され、前記駆動軸に固設された駆動ギヤと歯合する内側歯部と、
当該駆動伝達ギヤの外周面側に形成された外側歯部と、を有し、
前記各可動装飾部材は、
前記フレーム部材に対して回動可能に軸支された一端部側に、前記駆動伝達ギヤの外側歯部と歯合することで、当該可動装飾部材を回動させる為の回動用歯部と、を有しており、
前記駆動部の駆動によって、前記駆動伝達ギヤが所定の第1方向へ所定量回転することにより、所定の初期状態から所定量回動した回動状態へと変位し、
前記第1ギヤ及び第2ギヤは、それぞれ前記可動演出ユニットの内部における所定位置に位置する第1支軸及び第2支軸に軸支されており、
前記フレーム部材は、
前記装飾カバー部材と前記駆動伝達ギヤの間において、回転可能に形成されており、
前記各可動装飾部材が前記回動状態となった時点で、各可動装飾部材の回動を規制する回動規制部を、複数有し、
前記可動演出ユニットは、
前記各可動装飾部材が前記回動状態に変位した状態で、前記駆動部の駆動によって、前記駆動伝達ギヤが第1方向へ回転することにより、
前記回動規制部によって各可動装飾部材の回動を規制して、前記回動状態としたまま、前記フレーム部材を前記第1方向に回転する
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技の進行状況に応じて動作する可動演出ユニットを有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機は、入賞口に対する遊技球の入賞等に伴う遊技の進行状況に応じて、特典(賞球の払出や遊技状態の移行等)の付与を示唆する種々の演出を行うように構成されている。
【0003】
そして、このような遊技機に関する発明として、特許文献1記載の発明が知られている。当該特許文献1記載の遊技機は、当該遊技機の上部に配設された上部ユニットに、可動演出ユニットとしての回転装飾体ユニットを有しており、特別図柄の変動表示に基づく遊技の進行に従って、遊技盤の前面側において当該回転装飾体ユニットを上下方向に移動させることで、特典の付与に関する予告演出を行っている。
【0004】
特許文献1記載の遊技機においては、回転装飾体ユニットは、モータの駆動により回転可能に配設された第1回転部材と、第1回転部材の外周に相対回転可能に配設されたリング状の第2回転部材と、4つの回転装飾体を有して構成されており、モータの駆動により第1回転部材を回転させることで、4つの回転装飾体が回転装飾体ユニットの外側方向に突出した状態に変化可能に構成されている。
【0005】
具体的に説明すると、特許文献1記載の回転装飾体ユニットにおいて、第1回転部材の回転面には、4つの案内部が、回転軸を通らない線上で所定方向に延びる長穴状に形成されている。又、第2回転部材には、4つの第1軸部材が、周方向に対して略等間隔に配置されている。そして、各回転装飾体は、第2回転部材の第1軸部材を中心として回動自在に軸支されると同時に、当該第1軸部材とは異なる位置に配置された第2軸部材を、第1回転部材の各案内部内を挿通させることによって、当該案内部内をスライド移動可能に保持されている。
【0006】
【特許文献1】特開2010−279548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の回転装飾体ユニットでは、この構成を有することにより、各回転装飾体は、第1軸部材側では当該回転装飾体ユニットにおける回転軸に対する径方向の位置が固定されているのに対して、第2軸部材側では当該回転軸に対する径方向の位置が案内部に沿って変化する。従って、各回転装飾体は、第1軸部材を中心に回動することとなり、当該回動に伴いその一部が外周よりも外側へ突出した状態に位置することになる。
【0008】
特許文献1記載の遊技機においては、可動演出ユニットに相当する回転装飾体ユニットは、上記の機構によって稼働する構成であったが、可動演出ユニットの動作態様や耐久性等の観点から、別な機構で動作する可動演出ユニットも要望されている。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、遊技の進行状況に応じて動作する可動演出ユニットを有する遊技機に関し、新たな機構によって動作可能な可動演出ユニットを有する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面に係る請求項1記載の遊技機は、遊技の進行状況に応じて動作し、遊技に対する演出として用いられる可動演出ユニットを有する遊技機であって、前記可動演出ユニットは、当該可動演出ユニットの前側表面を構成する装飾カバー部材と、前記遊技の進行状況に応じて駆動制御され、駆動力を出力する駆動軸を有する駆動部と、前記装飾カバー部材の背面側において、前記駆動部が固設されたベース部材と、前記装飾カバー部材と前記ベース部材の間において回転可能に配設された円環状の駆動伝達ギヤと、前記装飾カバー部材と前記駆動伝達ギヤの間に配設されたフレーム部材と、このフレーム部材の内周面側に形成された内側ギヤ歯部と、前記フレーム部材の複数個所に、夫々一端部が回動可能に軸支された複数の可動装飾部材と、前記内側ギヤ歯部と歯合する第1ギヤと、この第1ギヤと歯合する第2ギヤとを有し、前記駆動伝達ギヤは、円環状を為す駆動伝達ギヤの内周面側に形成され、前記駆動軸に固設された駆動ギヤと歯合する内側歯部と、当該駆動伝達ギヤの外周面側に形成された外側歯部と、を有し、前記各可動装飾部材は、前記フレーム部材に対して回動可能に軸支された一端部側に、前記駆動伝達ギヤの外側歯部と歯合することで、当該可動装飾部材を回動させる為の回動用歯部と、を有しており、前記駆動部の駆動によって、前記駆動伝達ギヤが所定の第1方向へ所定量回転することにより、所定の初期状態から所定量回動した回動状態へと変位し、前記第1ギヤ及び第2ギヤは、それぞれ前記可動演出ユニットの内部における所定位置に位置する第1支軸及び第2支軸に軸支されており、前記フレーム部材は、前記装飾カバー部材と前記駆動伝達ギヤの間において、回転可能に形成されており、前記各可動装飾部材が前記回動状態となった時点で、各可動装飾部材の回動を規制する回動規制部を、複数有し、前記可動演出ユニットは、前記各可動装飾部材が前記回動状態に変位した状態で、前記駆動部の駆動によって、前記駆動伝達ギヤが第1方向へ回転することにより、前記回動規制部によって各可動装飾部材の回動を規制して、前記回動状態としたまま、前記フレーム部材を前記第1方向に回転することを特徴とする。
【0011】
当該遊技機は、可動演出ユニットを有しており、遊技の進行状況に応じて動作させて、遊技に対する演出として用いられる。当該可動演出ユニットは、装飾カバー部材と、駆動部と、ベース部材と、駆動伝達ギヤと、フレーム部材と、内側ギヤ歯部と、複数の可動装飾部材と、第1ギヤと、第2ギヤとを有して構成されている。当該可動演出ユニットにおいては、前記駆動部が所定方向に駆動すると、駆動軸に固設された駆動ギヤが所定方向に回転する。ここで、駆動伝達ギヤの内側歯部は、駆動ギヤと歯合しているので、駆動伝達ギヤは、駆動部の駆動によって、所定の第1方向へ所定量回転する。この時、駆動伝達ギヤの外側歯部は、フレーム部材に夫々回動可能に軸支された複数の可動装飾部材の回動用歯部と歯合しているので、各可動装飾部材は、駆動伝達ギヤが所定の第1方向へ所定量回転することにより、所定の初期状態から所定量回動した回動状態へと変位する。当該遊技機によれば、駆動部を駆動制御することで、内側歯部及び外側歯部を有する駆動伝達ギヤを用いた機構を介して、複数の可動装飾部材を動作させることができるので、遊技に関する演出に用いることができる。
【0015】
当該遊技機において、前記フレーム部材は、前記装飾カバー部材と前記駆動伝達ギヤの間において、回転可能に形成されており、複数の回動規制部を有している。前記フレーム部材が複数の回動規制部を有することによって、当該遊技機によれば、各回動規制部によって各可動装飾部材の回動を規制して、前記回動状態としたまま、前記フレーム部材を前記第1方向に回転させることができる。これにより、当該遊技機は、「複数の可動装飾部材を回動状態としたままで回転させる態様」という新たな動作を実現することができるので、可動演出ユニットによる演出によって、遊技に対する興趣を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、可動演出ユニットを、装飾カバー部材と、駆動部と、ベース部材と、駆動伝達ギヤと、フレーム部材と、複数の可動装飾部材とを有して構成し、駆動伝達ギヤの内側歯部は、駆動部の駆動ギヤと歯合し、駆動伝達ギヤの外側歯部は、フレーム部材に夫々回動可能に軸支された複数の可動装飾部材の回動用歯部と歯合している。これにより、当該遊技機によれば、駆動部を駆動制御することで、内側歯部及び外側歯部を有する駆動伝達ギヤを用いた機構を介して、複数の可動装飾部材を通常状態から回動状態へと変位させることができるので、可動演出ユニットを、遊技に関する演出に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る遊技機の正面図である。
図2】遊技機における遊技盤の正面図(1)である。
図3】遊技機における遊技盤の正面図(2)である。
図4】遊技機における初期状態の可動演出ユニットを示す外観斜視図である。
図5】遊技機における回動状態の可動演出ユニットを示す外観斜視図である。
図6】可動演出ユニットの分解斜視図(1)である。
図7】可動演出ユニットの分解斜視図(2)である。
図8】可動演出ユニットにおける内部構造を示す斜視図である。
図9】初期状態における各可動装飾部材の回動機構部を示す説明図である。
図10】回動状態における各可動装飾部材の回動機構部を示す前面図である。
図11】回動状態における各可動装飾部材の回動機構部を示す背面図である。
図12】回動状態における各可動装飾部材の回動機構部を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を、パチンコ遊技機である遊技機1に適用した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、遊技機1は、遊技媒体として遊技球を用いるパチンコ遊技機であって、遊技盤2と、外枠Woと、前枠Wfと、ガラス枠を有している。外枠Woは、遊技機1の外枠を構成し、前枠Wfは、外枠Woの前面に取り付けられている。そして、ガラス枠は、前記前枠Wfに開閉可能にヒンジで取り付けられている。
【0019】
図1図3に示すように、遊技盤2の縁には、外側誘導レール3及び内側誘導レール4が略円形に配置されている。そして、前記遊技盤2上には、遊技領域Rが、前記外側誘導レール3及び内側誘導レール4によって区画されている。当該遊技領域Rには、複数の誘導釘が遊技盤2表面に設けられており、遊技球を誘導する。
【0020】
又、遊技機1は、発射装置30と、上側球受け皿32と、下側球受け皿33と、スピーカ35と、装飾ランプ等からなるランプ装置と、遊技者によって操作可能な遊技ボタンスイッチと、を当該遊技機1の前面に有している(図1参照)。発射装置30は、操作レバー31を用いた遊技者の発射操作に応じて、遊技球を前記遊技領域Rへ向けて弾発発射するための装置である。上側球受け皿32は、発射装置30へ供給する遊技球と、払い出された遊技球とを受けるための受け皿である。下側球受け皿33は、上側球受け皿32の満杯時に遊技球を受けるための受け皿である。スピーカ35は、遊技機1における遊技の進行状況に応じて、効果音等を発する。
【0021】
図1図3に示すように、前記遊技領域Rの中心線上には、上部から下部に向かって順に、図柄表示装置10と、始動入賞口20と、大入賞口25と、アウト口27が配設されている。始動入賞口20の左上には、風車22が配設されており、始動入賞口20の右上には、図柄変動開始用ゲート23が配設されている。前記始動入賞口20と、大入賞口25は、遊技盤2に形成された遊技領域R内を流下する遊技球が入賞(入球)可能な複数の入賞装置に相当し、各入賞口に遊技球が入賞(入球)して入賞(入球)が検出された場合、一の入賞球の検出に対して所定個数の賞品球(遊技球)が遊技者に払い出される。尚、一の入賞球の検出に対する賞品球(遊技球)の払出個数は、前記入賞口(入賞装置)毎に設定されている。
【0022】
前記図柄表示装置10は、図柄等が表示可能なものであって、液晶表示器(TFT−LCDモジュール)で構成されている。当該図柄表示装置10は、当該図柄表示装置の外枠として配設された表示枠体の内側に、特別図柄表示部11と、普通図柄表示部とを有している。又、図柄表示装置10は、特別図柄保留球数及び普通図柄保留球数を表示する。特別図柄保留球数は、特別図柄表示部11における特別図柄の変動表示中に、前記始動入賞口20に対する遊技球の入賞回数を意味し、特別図柄に対する当否判定の保留を意味する。普通図柄保留球数は、図柄表示装置10における普通図柄の変動表示中に、前記図柄変動開始用ゲート23を遊技球が通過した回数を意味する。
【0023】
図柄表示装置10の表示枠体は、図柄表示装置10の周縁に沿って囲う様に配設され、遊技盤2の前面側から取り付けられている。そして、図1図3に示すように、当該図柄表示装置10の表示枠体下部の裏側には、可動演出ユニット50が配設されており、特別図柄の変動期間中における演出に用いられる。当該可動演出ユニット50の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
そして、図柄表示装置10の特別図柄表示部11は、当否判定の結果を表示する為の特別図柄を変動表示可能な表示手段であり、左特別図柄と、中特別図柄と、右特別図柄とを、それぞれ変動表示し、所定時間変動表示した後、当否判定の結果に基づき左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄を停止表示する。特別図柄表示部11は、特別図柄に加え、背景画像(キャラクタ、背景、文字等を含む)を表示可能に構成されており、当該背景画像が特別図柄の変動開始等の所定条件に起因して変動表示可能となっていてもよい。又、本実施形態では、遊技機1は、入賞順を記憶し入賞順に変動を開始するように構成されている。
【0025】
又、特別図柄は、上述したように左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄を含んでおり、それぞれ『1、2、3、4、5、6、7、8、9』の9通りの数字図柄によって構成されている。当該特別図柄は、大当たり後も低確率状態での遊技となる普通図柄(0、2、4、6、8)と、大当たり後、高確率遊技となる確変図柄(1、3、5、7、9)で構成されている。本実施形態においては、遊技の当否判定結果が大当たり(当たり)の場合には、前記特別図柄表示部11に大当たりの特別図柄組合せ(例えば、『1、1、1』(いわゆる‘1’のゾロ目)や『2、2、2』(いわゆる‘2’のゾロ目)等、同一数字の組合せ)で特別図柄が停止表示され、遊技者に有利な特典を付与する大当たり遊技(特別遊技)に移行する。遊技者に有利な特典は、本実施例では、遊技者による遊技球の獲得し易さ増大に設定されている。
【0026】
図柄表示装置10における普通図柄表示部は、記号或いは絵(キャラクター)等の小当たり判定用普通図柄を変動表示及び停止表示する。当該普通図柄表示部に変動及び停止表示される普通図柄は、『○』と『×』の2種類からなり、小当たり(普通図柄当たり)の場合には、小当たり普通図柄『○』で停止表示される。一方、小当たり外れ(普通図柄外れ)の場合には、小当たり外れ普通図柄『×』で停止表示される。
【0027】
又、前記遊技盤2の背面には、始動入賞口検出スイッチが入賞球用通路に設けられており、前記始動入賞口20への遊技球の入賞を検出する。前記始動入賞口20への遊技球の入賞検出は、乱数値の取得の起因および前記特別図柄の変動表示開始の起因とされ、更には、遊技者にとって有利となる大当たり状態となるか否かを判定する当否判定手段の判定を行うための判定条件の成立に設定されている。
【0028】
又、前記特別図柄表示部11で特別図柄の変動表示中に、前記始動入賞口20に遊技球が入賞しても、直ちに新たな特別図柄の変動表示を開始することができない為、遊技機1は、前記始動入賞口20への入賞回数を特別図柄保留球数として記憶し、前記特別図柄表示部11における特別図柄の変動表示を一旦保留すると共に、前記特別図柄保留球数の記憶値を図柄表示装置10に表示する。そして、当該遊技機1は、前記特別図柄表示部11における前記特別図柄の変動開始によって、或いは変動終了による当否判定結果の表示によって、前記特別図柄保留球数の記憶値を減算すると共に、図柄表示装置10における特別図柄保留球数の表示個数を減らす。尚、前記始動入賞口20への入賞回数記憶値の上限値は、当該変動中の記憶を除いて4に設定されている。
【0029】
尚、特別図柄保留球数が設定上限数まで記憶されている時には、前記始動入賞口検出スイッチがそれ以上遊技球の入賞を検出しても、特別図柄保留球数としては記憶されない無効球とされる。当該無効球については、遊技機1は、特別図柄の変動及び当否判定を行うことなく、入賞に対する賞品球(賞品遊技球)を所定数払い出す。
【0030】
前記図柄変動開始用ゲート23は、前記遊技盤2背面に設けられた普通図柄変動開始スイッチによって、図柄変動開始用ゲート23を通過する遊技球が検出された場合に、前記普通図柄表示部における普通図柄の変動を開始させる。又、当該遊技機1は、前記普通図柄の変動表示中に、前記図柄変動開始用ゲート23を遊技球が通過することによって発生する普通図柄の変動を、最高4回まで普通図柄保留球数として記憶すると共に、図柄表示装置10における普通図柄保留球数値を表示する。そして、遊技機1は、普通図柄の変動開始によって、普通図柄保留球数を減らし、図柄表示装置10における普通図柄保留球数の表示個数を減らす。
【0031】
前記大入賞口25は、前記遊技盤2の背面に設けられた大入賞口開放用ソレノイドによって開閉する開閉板26を備えている。大入賞口25は、通常、開閉板26によって閉塞された状態とされ、当否判定結果が大当たりの場合に実行される大当たり遊技(特別遊技)時に、所定ラウンド開放される。大入賞口25内には、入賞球数カウントスイッチが配設されており、大入賞口25に入賞した入賞球を検出する。尚、始動入賞口検出スイッチ、入賞球数カウントスイッチは、入賞装置に入賞した遊技球を検出する入賞検出手段に相当する。
【0032】
発射装置30は、操作レバー31の操作により駆動する発射モータを、遊技機1裏側に有し、当該発射モータの駆動により遊技球を弾発発射する。前記発射装置30により発射された遊技球は、前記遊技盤2表面に立設された内側誘導レール4と外側誘導レール3間で構成される発射球誘導路を介して、遊技領域Rに誘導される。前記遊技領域Rに誘導された遊技球は、転動しつつ下方へ落下し、前記各装置及び各入賞口に入賞するか、或いは何処にも入賞しなければ前記アウト口27から遊技盤2裏側へ排出される。
【0033】
前記遊技機1の裏側には、複数の制御基板や装置等が配設されている。制御基板の主なものとしては、主制御基板と、サブ制御基板と、表示制御基板と、音声制御基板と、払出制御基板と、発射制御基板と、電源基板等を有している。又、装置としては、貸球払出装置と、賞球払出装置と、外部端子と、球無し検出スイッチと、球貯留タンクと、球誘導樋とを有している。又、各制御基板は、単独で又は複数まとめてケースに収納された状態で遊技機1の裏側に配置されている。
【0034】
主制御基板は、遊技情報に従って遊技を制御すると共に、遊技情報を記憶する記憶手段を備えた遊技制御装置に相当し、CPU、RAM、ROMおよび複数のカウンタを有するマイクロコンピュータを少なくとも備えている。当該主制御基板は、サブ制御基板、払出制御基板と接続され、又、中継回路を介して始動入賞口20や大入賞口25等と接続されている。前記主制御基板のCPUは、各種制御プログラムを実行して、遊技に関する制御を行う。
【0035】
CPUは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、大当たりや小当たりに係る乱数等も生成し、又、各制御基板に対して制御コマンドを出力可能に構成されている。
【0036】
そして、主制御基板のRAMは、始動入賞口検出スイッチで検出された特別図柄保留球数及び普通図柄変動開始スイッチで検出された普通図柄用保留球数の記憶領域や、CPUで生成される各種乱数値用の記憶領域、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、CPUの作業領域を備えている。主制御基板のROMは、遊技上の制御プログラムや制御データと共に、大当たりや小当たりの数値等を記憶している。尚、主制御基板は、電源基板から電源供給を受けて作動する。
【0037】
サブ制御基板は、サブCPU、ROM、RAM、複数のカウンタを有するマイクロコンピュータと、前記主制御基板とを結ぶ入出力回路と、表示制御基板、音声制御基板やランプ制御基板とを結ぶ入出力回路を備えている。前記サブ制御基板において、サブCPUは、前記主制御基板から出力された制御信号、後述する制御プログラムに従って遊技の制御を行う。前記主制御基板からの制御信号には、前記特別図柄表示部11に対する変動データや前記ランプ装置に対する制御信号等が含まれる為、サブCPUは、その制御信号の内容に合わせて遊技の制御を行う。又、サブ制御基板は、後述する可動演出ユニット50の駆動モータ55と接続されている。従って、サブCPUは、主制御基板からの制御信号や後述する制御プログラムに基づいて、可動演出ユニット50における駆動モータ55の駆動態様を制御する。
【0038】
前記サブ制御基板のROMは、制御プログラムやデータ定数、前記特別図柄表示部11での演出のデータ等を記憶している。又、サブ制御基板のRAMは、各種データの記憶領域とサブCPUによる作業領域を有している。前記ランプ制御基板は、装飾ランプ等のランプ装置と接続されており、前記サブ制御基板を介して、ランプ制御基板に送信された制御信号によって、ランプ装置の作動を制御する。前記サブ制御基板は、電源基板から電源供給を受けて作動する。
【0039】
表示制御基板は、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータと、当該マイクロコンピュータとサブ制御基板を結ぶ入力回路と、前記マイクロコンピュータと図柄表示装置10を結ぶ出力回路等で構成され、前記サブ制御基板から出力される制御信号に基づいて、前記図柄表示装置10における表示の制御を行う。前記表示制御基板のROMは、表示制御用のプログラムを記憶している。前記表示制御基板は、前記サブ制御基板からの制御信号に基づいて、ROMから所定の表示制御データを読み出し、RAMの記憶領域で制御用データを生成してVDP(図示せず)に出力する。VDPは、CPUからの指令に基づいてROMから必要なデータを読み出し、表示画像のマップデータを作成し、VRAMに格納する。VRAMに格納記憶された画像データは、出力回路に備えるD/A変換回路にてRGB信号に変換されて特別図柄表示部11に出力される。
【0040】
音声制御基板は、配線等の電気的接続手段により、主制御基板と接続されており、主制御基板から出力された制御信号に基づいてスピーカ35から発する音声を制御する。即ち、音声制御基板は、前記サブ制御基板から出力される制御信号により音声信号を合成し、アンプに出力する。アンプは、音声信号を増幅してスピーカ35に出力する。
【0041】
払出制御基板は、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータを有し、配線等による電気的接続手段によって、主制御基板と、貸球払出装置と、賞球払出装置と接続されている。払出制御基板は、前記主制御基板から出力される制御信号を受信して、貸球払出装置による遊技球の貸出、賞球払出装置による賞球の払出に係る制御を実行する。前記払出制御基板は、電源基板から供給される電源によって作動する。前記払出制御基板のROMは、制御用のプログラムを記憶している。前記払出制御基板のRAMは、種々の入賞口への入賞検出に基づいて、前記賞球払出装置により払い出される賞品球(遊技球)の払出個数を、一の入賞球の検出に対する払出個数毎に記憶可能となっている。発射制御基板は、前記発射装置30における発射モータの制御を行う。
【0042】
電源基板は、遊技機1外部より供給された主電源から遊技機1に適する所定電圧の遊技機用電源を生成して、主制御基板やサブ制御基板、払出制御基板等に供給する。前記主電源は、遊技店側で所定の電圧(例えば、直流(AC)24V)に変換されて供給される。
【0043】
次に、図柄表示装置10の表示枠体の裏側に配設される可動演出ユニット50について、図面を参照しつつ詳細に説明する。可動演出ユニット50は、遊技の進行に伴う特別図柄の変動期間において、図2図3に示すように、遊技結果に対応して動作するユニットであり、特典の付与に対する期待感を高める演出に用いられる。
【0044】
具体的に説明すると、当該可動演出ユニット50は、遊技の進行状況が通常状態である場合には、図1図2に示すように、図柄表示装置10の表示枠体下部の裏面側において、当該遊技機1の上下方向へスライド移動可能に配設されている。ここで、当該遊技機1において、遊技の進行に伴って(例えば、遊技球が始動入賞口20に入賞し、特別図柄の変動表示がなされた場合等)、可動演出ユニット50は、遊技機1の制御によって、図2の状態から上方に向かってスライド移動し、特別図柄表示部11の前方に位置する。この時、可動演出ユニット50は、駆動モータ55の駆動制御によって、複数の可動装飾部材80が放射状に突出するように回動した回動状態となる(図3参照)。
【0045】
尚、図3の状態となった後、遊技機1は、駆動モータ55の駆動制御を行うことによって、可動演出ユニット50の各可動装飾部材80を収容した通常状態とすると同時に、可動演出ユニット50を下方にスライド移動させて、図柄表示装置10の表示枠体下部の裏面側に収納する(図2参照)
【0046】
続いて、当該可動演出ユニット50の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図4図7等に示すように、可動演出ユニット50は、駆動モータ55と、装飾カバー部材60と、ベース部材65と、駆動伝達部材70と、フレーム部材75と、複数の可動装飾部材80とを有しており、駆動モータ55の駆動によって、フレーム部材75及び複数の可動装飾部材80を動作させるように構成されている。
【0047】
駆動モータ55は、パルス電力に同期して動作するステッピングモータにより構成されており、可動演出ユニット50における各可動装飾部材80の動作に係る駆動源として機能する。当該駆動モータ55は、可動演出ユニット50の基礎的部分を構成するベース部材65に対して固設されており、正方向・逆方向に回転可能に構成されている。駆動モータ55の駆動軸56には、駆動ギヤ57が固設されており、後述する駆動伝達部材70に対して、駆動モータ55の駆動力を伝達するように構成されている。
【0048】
装飾カバー部材60は、可動演出ユニット50の前面(遊技者と相対する面)側に配設される部材であり、その表面には、遊技機1のテーマに合わせた装飾が施されている。本実施形態においては、当該装飾カバー部材60は、略円盤状に形成されており、図7に示すように、円筒部61と、第1支軸62と、をその裏面側に有している。円筒部61は、装飾カバー部材60の裏面側に形成されており、後述するフレーム部材75を回転可能に保持する役割を果たす。そして、第1支軸62は、円筒部61の内側における所定位置に形成されており、後述する第1ギヤ85(図6図8等参照)を回転可能に軸支する。
【0049】
ベース部材65は、可動演出ユニットの背面側に配設される部材であり、当該可動演出ユニット50の基礎的部分を構成する。当該ベース部材65は、遊技機1に配設されたスライド移動用モータ(図示せず)の駆動制御によって、遊技機1の上下方向にスライド移動可能に配設されている(図2図3参照)。
【0050】
図8等に示すように、ベース部材65の前面における所定位置には、ギヤ取付部材66がネジ等によって固設されている。当該ギヤ取付部材66には、第2支軸67が形成されており、当該第2支軸67には、第2ギヤ86が回転可能に軸支される。装飾カバー部材60、ベース部材65等の各構成部材を組み合わせ、可動演出ユニット50を構成する場合に、当該第2ギヤ86は、装飾カバー部材60の第1支軸62に軸支された第1ギヤ85と噛み合う位置に配設される(図8等参照)。
【0051】
駆動伝達部材70は、装飾カバー部材60とベース部材65との間に回転可能に配設されており、可動演出ユニット50を構成する他の部材(例えば、可動装飾部材80等)に、駆動モータ55の駆動力を伝達する。当該駆動伝達部材70は、本発明における「駆動伝達ギヤ」として機能する円環状の駆動伝達ギヤ部71と、嵌合部74を有して構成されている。嵌合部74は、駆動伝達ギヤ部71の一面(即ち、ベース部材65に対向する面)側に形成されており、駆動モータ55の周囲を囲むように形成されたベース部材65の一部と嵌合するように形成されている。これにより、駆動伝達部材70は、装飾カバー部材60とベース部材65の間において回転可能に保持されている。
【0052】
駆動伝達ギヤ部71は、略円環状に形成されており、駆動モータ55の駆動力を伝達する上で駆動伝達部材70の主要部として機能する。駆動伝達ギヤ部71は、環状リブ71Aと、内側歯部72と、外側歯部73を有している。環状リブ71Aは、駆動伝達ギヤ部71の表面(装飾カバー部材60及びフレーム部材75)に形成されており、駆動伝達ギヤ部71の回転中心と同心円を描くように立設されている。当該環状リブ71Aは、後述するフレーム部材75を所定の位置に導くガイドとして機能する。
【0053】
内側歯部72は、図6図12に示すように、円環状に形成された駆動伝達ギヤ部71の内周面側に形成されたギヤ歯であり、駆動モータ55の駆動軸56に固設された駆動ギヤ57と歯合する。そして、外側歯部73は、駆動伝達ギヤ部71の外周面側に形成されたギヤ歯であり、後述する複数の可動装飾部材80に形成された回動用歯部81と歯合する(図9等参照)。従って、当該可動演出ユニット50においては、駆動モータ55の駆動力が、駆動軸に固設された駆動ギヤ57、駆動伝達部材70の内側歯部72を介して伝達されることになる為、駆動伝達部材70は、駆動モータ55の駆動に伴って回転する。
【0054】
図6図7に示すように、フレーム部材75は、略円環状に形成されており、装飾カバー部材60と駆動伝達部材70の間において、回転可能に配設されている。フレーム部材75の外周縁には、複数の可動装飾部材80が、一定の間隔を隔てて分散配置されており、各可動装飾部材80の端部を回動可能に保持している。
【0055】
そして、フレーム部材75の内周縁には、筒状保持部77が形成されている。当該筒状保持部77は、装飾カバー部材60側に向かって突出する円筒形状に形成されており、装飾カバー部材60の背面側に形成された円筒部61と嵌合することにより、当該フレーム部材75を回転可能に保持すると同時に、当該フレーム部材75の回転中心を所定の位置に位置決めする役割を果たす。
【0056】
フレーム部材75の内周面(即ち、筒状保持部77の内周面)には、内側ギヤ歯部76が形成されている。当該内側ギヤ歯部76は、装飾カバー部材60の背面側に立設された第1支軸62に軸支された第1ギヤ85と歯合する(図6図8等参照)。
【0057】
図9図11等に示すように、フレーム部材75の外周部分には、複数の回動規制部78が形成されており、当該回動規制部78は、夫々、可動装飾部材80の回動軸近傍に形成されており、可動装飾部材80の回動量を所定量に規制することで、図3に示す回動状態に保持する機能を果たす。
【0058】
可動装飾部材80は、弧を描くように形成された装飾用の羽根状部材であり、上述したように、フレーム部材75の外周縁における複数個所(8カ所)に対して、一端部を軸として回動可能に取り付けられている。従って、各可動装飾部材80は、図2図4等に示す通常状態と、図3図5等に示す回動状態の間を変位可能に構成されている。
【0059】
各可動装飾部材80の一端部には、回動用歯部81と回動保持部82が形成されている。回動保持部82は、各可動装飾部材80の一端部を構成し、フレーム部材75に対して回動可能に保持する機能を果たす。回動用歯部81は、各可動装飾部材80の一端部側を構成する回動保持部82の側面に形成されたギヤ歯であり、駆動伝達部材70における駆動伝達ギヤ部71の外側歯部73と歯合する。従って、当該可動演出ユニット50においては、駆動モータ55が駆動すると、駆動モータ55の駆動力は、駆動伝達部材70の外側歯部73及び、各可動装飾部材80の回動用歯部81を介して、各可動装飾部材80に作用する。これにより、各可動装飾部材80は、駆動モータ55の駆動制御を行うことで、各可動装飾部材80を通常状態と回動状態の間を変位するように回動動作する。
【0060】
続いて、本実施形態に係る遊技機1において、上述した構成を有する可動演出ユニット50の動作について説明する。尚、以下の説明においては、駆動伝達部材70の回転方向を、遊技機1の正面に位置する遊技者を基準とした「第1方向Da」「第2方向Db」として説明する。「第1方向Da」は、遊技機1に正対する遊技者から見て時計回り方向を意味し、駆動モータ55を、正方向に回転駆動させることによって実現される。そして、「第2方向Db」は、遊技機1に正対する遊技者から見て反時計回り方向を意味し、駆動モータ55を、逆方向に回転駆動させることで実現される。
【0061】
先ず、本実施形態に係る可動演出ユニット50が、図4等に示す通常状態から、図5等に示す回動状態へと移行する際の動作について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0062】
はじめに、可動演出ユニット50の通常状態における各部材の配置について説明する。図4図9等に示すように、通常状態の可動演出ユニット50においては、各可動装飾部材80は、フレーム部材75の外周縁に沿って位置しており、図4に示すように、可動演出ユニット50の内部に収容された状態となっている。
【0063】
ここで、可動演出ユニット50を通常状態から回動状態とする為に、駆動モータ55を、正方向に回転駆動させると、駆動モータ55の駆動力は、駆動ギヤ57及び駆動伝達部材70の内側歯部72を介して、駆動伝達部材70に作用する。これにより、駆動伝達部材70は、ベース部材65とフレーム部材75の間において、第1方向Daに回転する。
【0064】
図9等に示すように、各可動装飾部材80の回動用歯部81は、駆動伝達部材70の外側歯部73と歯合している。従って、駆動伝達部材70が第1方向Daに回転すると、駆動モータ55の駆動力は、駆動伝達部材70の外側歯部73及び各可動装飾部材80の回動用歯部81を介して、各可動装飾部材80に作用する。これにより、各可動装飾部材80は、駆動伝達部材70が第1方向Daに回転することで、可動演出ユニット50の外方に突出するように回動する。駆動伝達部材70が第1方向へ所定量回転した時点で、各可動装飾部材80の回動は、夫々、フレーム部材75の回動規制部78と、各可動装飾部材80の回動保持部82が接触することによって規制され(図10図12参照)、可動演出ユニット50は、回動状態に変位する。
【0065】
そして、可動演出ユニット50が回動状態になった状態から、駆動モータ55を更に正方向へ駆動させて、駆動伝達部材70を更に第1方向Daへ回転させると、駆動モータ55の駆動力は、駆動伝達部材70の外側歯部73と、各可動装飾部材80の回動用歯部81を介して、各可動装飾部材80を回動させる方向へと作用する。この点、各可動装飾部材80の回動は、可動装飾部材80の回動保持部82がフレーム部材75の各回動規制部78と接触することで規制されているので、駆動モータ55の駆動力は、可動装飾部材80の回動保持部82とフレーム部材75の各回動規制部78を介して、フレーム部材75を第1方向Daへ回転させる力として作用する。この結果、当該可動演出ユニット50は、各可動装飾部材80を回動状態としたまま、フレーム部材75を回転動作させることができるので、可動演出ユニット50を用いた新たな演出を行い得る。
【0066】
次に、可動演出ユニット50が、図5等に示す回動状態から、図4等に示す通常状態へと移行する際の動作について、図面を参照しつつ詳細に説明する。可動演出ユニット50を回動状態から通常状態とする為に、駆動モータ55を、逆方向に回転駆動させると、駆動モータ55の駆動力は、駆動ギヤ57及び駆動伝達部材70の内側歯部72を介して、駆動伝達部材70に作用し、駆動伝達部材70は、第2方向Dbに回転する。
【0067】
図11図12等に示すように、各可動装飾部材80の回動用歯部81は、駆動伝達部材70の外側歯部73と歯合しているので、駆動伝達部材70が第2方向Dbに回転すると、各可動装飾部材80は、可動演出ユニット50の外方に突出した回動状態から回動して、駆動伝達部材70が第2方向Dbへ所定量回転した時点で、フレーム部材75の外周縁に沿って位置する。これにより、当該可動演出ユニット50は、回動状態から駆動伝達部材70を第2方向Dbに所定量回転させることで、通常状態となる。
【0068】
上述したように、可動演出ユニット50においては、駆動モータ55の駆動力は、駆動伝達部材70、各可動装飾部材80を介して、フレーム部材75を回転させる力として、フレーム部材75に作用する。複数の部材を介して、駆動モータ55の駆動力がフレーム部材75に作用する為、フレーム部材75を必要以上に回転させてしまう虞がある。
【0069】
この点、図8に示すように、フレーム部材75の内周面に形成された内側ギヤ歯部76に対しては、第1ギヤ85が歯合しており、当該第1ギヤ85に対して、第2ギヤ86が歯合している。第1ギヤ85は、装飾カバー部材60の背面側に形成された第1支軸62に回転可能に軸支されており、第2ギヤ86は、ベース部材65に固設されたギヤ取付部材66に形成された第2支軸67に対して、回転可能に軸支されている。従って、駆動モータ55の駆動力の余剰分は、フレーム部材75の内側ギヤ歯部76を介して、第1ギヤ85を回転させる為の力、第2ギヤ86を回転させる為の力として作用する。従って、駆動モータ55の駆動力の余剰分を、第1ギヤ85、第2ギヤ86の回転で吸収することができるので、駆動モータ55の駆動に伴う各可動装飾部材80が変位する際の位置精度を高めることができる。又、第1ギヤ85、第2ギヤ86の2つのギヤで吸収する為、駆動力の吸収する際の負担を分散することができる。
【0070】
又、第1ギヤ85、第2ギヤ86は、夫々、可動演出ユニット50内部における所定位置に位置する第1支軸62、第2支軸67に軸支されており、フレーム部材75の内側ギヤ歯部76に歯合している。従って、第1ギヤ85、第2ギヤ86は、可動演出ユニット50におけるフレーム部材75を所定の位置に位置決めし、フレーム部材75の回転中心がずれることを防止することができる。これにより、当該可動演出ユニット50によれば、フレーム部材75の回転及び各可動装飾部材80の回動に関する円滑な動作を実現し得る。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る遊技機1によれば、可動演出ユニット50を、遊技の進行状況に応じて動作させ、遊技に対する演出として用いることによって、遊技者の興趣を高めることができる。当該可動演出ユニット50は、駆動モータ55と、装飾カバー部材60と、ベース部材65と、駆動伝達部材70と、フレーム部材75と、複数の可動装飾部材80とを有して構成されている。
【0072】
当該可動演出ユニット50においては、前記駆動モータ55を正方向に駆動すると、駆動軸56に固設された駆動ギヤ57が所定方向に回転する。ここで、駆動伝達部材70の駆動伝達ギヤ部71の内側歯部72は、駆動ギヤ57と歯合しているので、駆動伝達部材70は、駆動モータ55の駆動によって、第1方向Daへ回転する。この時、駆動伝達部材70の外側歯部73は、フレーム部材75に夫々回動可能に軸支された複数の可動装飾部材80の回動用歯部81と歯合しているので、各可動装飾部材80は、駆動伝達部材70が第1方向Daへ回転することにより、所定の初期状態(図4等参照)から所定量回動した回動状態(図5等参照)へと変位する。
【0073】
当該遊技機1によれば、駆動モータ55を駆動制御することで、内側歯部72及び外側歯部73を有する駆動伝達部材70を用いた機構を介して、複数の可動装飾部材80を動作させることができるので、可動演出ユニット50を遊技に関する演出に用いることができる。
【0074】
又、当該遊技機1によれば、前記フレーム部材75は、前記装飾カバー部材60と前記駆動伝達部材70の間において、回転可能な環状に形成されており、当該フレーム部材75の内周面側に内側ギヤ歯部76と、を有している。当該内側ギヤ歯部76は、前記フレーム部材75の内側における所定位置に形成された第1支軸62に回転可能に配設された第1ギヤ85と歯合し、第1ギヤ85は、第1支軸62と異なる位置に形成された第2支軸67に軸支された第2ギヤ86と歯合している。従って、当該遊技機1によれば、駆動モータ55の駆動に伴って、フレーム部材75が必要以上に回転しようとした場合であっても、内側ギヤ歯部76を介して伝達される第1ギヤ85、第2ギヤ86によって、余剰分を吸収することができる。従って、当該遊技機1によれば、駆動モータ55の駆動に伴って各可動装飾部材80が変位する際の位置精度を高めることができる。又、第1ギヤ85、第2ギヤ86が夫々、所定位置に形成された第1支軸62、第2支軸67に軸支されているので、フレーム部材75の回転中心が大きくずれることを防止することができ、可動演出ユニット50の円滑な動作を確保することができる。
【0075】
当該遊技機1において、前記フレーム部材75は、その外周縁に複数の回動規制部78を有しており、各回動規制部78と接触することによって各可動装飾部材80の回動が規制される。従って、当該遊技機1において、可動演出ユニット50は、各可動装飾部材80を前記回動状態としたまま、前記フレーム部材75を第1方向Daに回転させることができる。これにより、当該遊技機1は、「複数の可動装飾部材80を回動状態としたままで回転させる態様」という可動演出ユニット50の新たな動作を実現することができるので、可動演出ユニット50による演出によって、遊技に対する興趣を高めることができる。
【0076】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、本実施形態においては、駆動伝達部材70は、本発明における駆動伝達ギヤとして機能する駆動伝達ギヤ部71と、略円筒形状に形成された嵌合部74を有する構成であったが、この態様に限定されるものではない。少なくとも、内側歯部72及び外側歯部73を有する駆動伝達ギヤ部71が存在していればよく、嵌合部74が存在しない態様であってもよいし、嵌合部74が他の形状であってもよい。
【0077】
又、上述した実施形態においては、フレーム部材75の内側ギヤ歯部76に対して、第1ギヤが歯合するように配設し、当該第1ギヤ85に対して、第2ギヤ86が歯合することで、フレーム部材75に作用する余剰の駆動力を吸収するように構成していたが、この態様に限定されるものではない。例えば、フレーム部材75の内側ギヤ歯部76に対して、一のギヤが歯合するように構成してもよいし、3つ以上のギヤで構成されるギヤ列と歯合する構成であってもよい。
【0078】
更に、可動演出ユニット50を構成する装飾カバー部材60、可動装飾部材80の形状や装飾態様は、上述した実施形態で例示したものに限定されるものではなく、遊技機1のデザイン等に応じて、種々の態様を採用し得る。
上述した実施形態として具体化した本発明の各側面については、以下の手段(1)〜手段(3)として概念的に説明することができる。
(手段(1)の構成)
本発明の一側面に係る手段(1)としての遊技機は、遊技の進行状況に応じて動作し、遊技に対する演出として用いられる可動演出ユニットを有する遊技機であって、前記可動演出ユニットは、当該可動演出ユニットの前側表面を構成する装飾カバー部材と、前記遊技の進行状況に応じて駆動制御され、駆動力を出力する駆動軸を有する駆動部と、前記装飾カバー部材の背面側において、前記駆動部が固設されたベース部材と、前記装飾カバー部材と前記ベース部材の間において回転可能に配設された円環状の駆動伝達ギヤと、前記装飾カバー部材と前記駆動伝達ギヤの間に配設されたフレーム部材と、前記フレーム部材の複数個所に、夫々一端部が回動可能に軸支された複数の可動装飾部材と、を有し、前記駆動伝達ギヤは、円環状を為す駆動伝達ギヤの内周面側に形成され、前記駆動軸に固設された駆動ギヤと歯合する内側歯部と、当該駆動伝達ギヤの外周面側に形成された外側歯部と、を有し、前記各可動装飾部材は、前記フレーム部材に対して回動可能に軸支された一端部側に、前記駆動伝達ギヤの外側歯部と歯合することで、当該可動装飾部材を回動させる為の回動用歯部と、を有しており、前記駆動部の駆動によって、前記駆動伝達ギヤが所定の第1方向へ所定量回転することにより、所定の初期状態から所定量回動した回動状態へと変位することを特徴とする。
(手段(1)の効果)
当該手段(1)に係る遊技機は、可動演出ユニットを有しており、遊技の進行状況に応じて動作させて、遊技に対する演出として用いられる。当該可動演出ユニットは、装飾カバー部材と、駆動部と、ベース部材と、駆動伝達ギヤと、フレーム部材と、複数の可動装飾部材とを有して構成されている。当該可動演出ユニットにおいては、前記駆動部が所定方向に駆動すると、駆動軸に固設された駆動ギヤが所定方向に回転する。ここで、駆動伝達ギヤの内側歯部は、駆動ギヤと歯合しているので、駆動伝達ギヤは、駆動部の駆動によって、所定の第1方向へ所定量回転する。この時、駆動伝達ギヤの外側歯部は、フレーム部材に夫々回動可能に軸支された複数の可動装飾部材の回動用歯部と歯合しているので、各可動装飾部材は、駆動伝達ギヤが所定の第1方向へ所定量回転することにより、所定の初期状態から所定量回動した回動状態へと変位する。当該遊技機によれば、駆動部を駆動制御することで、内側歯部及び外側歯部を有する駆動伝達ギヤを用いた機構を介して、複数の可動装飾部材を動作させることができるので、遊技に関する演出に用いることができる。
(手段(2)の構成)
本発明の一側面に係る手段(2)である遊技機は、手段(1)に記載の遊技機であって、前記フレーム部材は、前記装飾カバー部材と前記駆動伝達ギヤの間において、回転可能な環状に形成されており、当該フレーム部材の内周面側に形成された内側ギヤ歯部と、を有し、前記可動演出ユニットは、前記フレーム部材の内側における所定位置に形成された第1支軸に回転可能に配設され、前記内側ギヤ歯部と歯合する第1ギヤを有することを特徴とする。
(手段(2)の効果)
当該手段(2)に係る遊技機によれば、前記フレーム部材は、前記装飾カバー部材と前記駆動伝達ギヤの間において、回転可能な環状に形成されており、当該フレーム部材の内周面側に内側ギヤ歯部と、を有している。当該内側ギヤ歯部は、前記フレーム部材内側の所定位置に形成された第1支軸に回転可能に配設された第1ギヤと歯合している。当該遊技機によれば、駆動部の駆動に伴って、フレーム部材が必要以上に回転しようとした場合であっても、内側ギヤ歯部を介して伝達される第1ギヤによって、余剰分を吸収することができる。従って、当該遊技機によれば、駆動部の駆動に伴って各可動装飾部材が変位する際の位置精度を高めることができる。又、第1ギヤが所定位置に形成された第1支軸に軸支されているので、フレーム部材の回転中心が大きくずれることを防止することができ、可動演出ユニットの円滑な動作を確保することができる。
(手段(3)の構成)
本発明の一側面に係る手段(3)である遊技機は、手段(1)又は手段(2)に記載の遊技機であって、前記フレーム部材は、前記装飾カバー部材と前記駆動伝達ギヤの間において、回
転可能に形成されており、前記各可動装飾部材が前記回動状態となった時点で、各可動装飾部材の回動を規制する回動規制部を、複数有し、前記可動演出ユニットは、前記各可動装飾部材が前記回動状態に変位した状態で、前記駆動部の駆動によって、前記駆動伝達ギヤが第1方向へ回転することにより、前記回動規制部によって各可動装飾部材の回動を規制して、前記回動状態としたまま、前記フレーム部材を前記第1方向に回転することを特徴とする。
(手段(3)の効果)
当該手段(3)に係る遊技機において、前記フレーム部材は、前記装飾カバー部材と前記駆動伝達ギヤの間において、回転可能に形成されており、複数の回動規制部を有している。前記フレーム部材が複数の回動規制部を有することによって、当該遊技機によれば、各回動規制部によって各可動装飾部材の回動を規制して、前記回動状態としたまま、前記フレーム部材を前記第1方向に回転させることができる。これにより、当該遊技機は、「複数の可動装飾部材を回動状態としたままで回転させる態様」という新たな動作を実現することができるので、可動演出ユニットによる演出によって、遊技に対する興趣を高めることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 遊技機
2 遊技盤
10 図柄表示装置
11 特別図柄表示部
50 可動演出ユニット
55 駆動モータ
56 駆動軸
57 駆動ギヤ
60 装飾カバー部材
70 駆動伝達部材
71 駆動伝達ギヤ部
72 内側歯部
73 外側歯部
75 フレーム部材
76 内側ギヤ歯部
78 回動規制部
80 可動装飾部材
81 回動用歯部
82 回動保持部
Da 第1方向
Db 第2方向
図1
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