【実施例】
【0031】
次に、本実施形態のプラスチックボトルの実施例について説明する。なお、以下に示す実施例は一例であり、本実施形態のプラスチックボトルは以下の実施例に限定するものではない。
【0032】
本実施例では、後述する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルを成形した。そして、成形後のプラスチックボトルを切り開き、ボトル内面側を表側とした試料シートを作成した。そして、トマトケチャップの滑り速度を測定した。
【0033】
(実施例1)
低密度ポリエチレン樹脂を基材樹脂として使用し、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)/オレイン酸アミド(B1)=600ppm/400ppm(1000ppm)で構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルAを成形した。
【0034】
(実施例2)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)/オレイン酸アミド(B1)=900ppm/100ppm(1000ppm)で構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルBを成形した。
【0035】
(実施例3)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)/オレイン酸アミド(B1)=6000ppm/4000ppm(10000ppm)で構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルCを成形した。
【0036】
(比較例1)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、滑剤を添加しなかった基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルDを成形した。
【0037】
(比較例2)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルEを成形した。
【0038】
(比較例3)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、グリセリン脂肪酸エステル(A2)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルFを成形した。
【0039】
(比較例4)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、ポリグリセリン(A3)/エチレンオキサイド硫黄化物混合物(C)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルGを成形した。
【0040】
(比較例5)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、オレイン酸アミド(B1)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルHを成形した。
【0041】
(比較例6)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、エルカ酸アミド(B2)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルIを成形した。
【0042】
(比較例7)
実施例1と同様の基材樹脂を使用し、ステアリン酸アミド(B3)=1000ppmで構成する滑剤を添加した基材樹脂を用いてブロー成形し、単層構造のプラスチックボトルJを成形した。
【0043】
(滑り速度の測定)
実施例1〜3、比較例1〜7において成形したプラスチックボトルA〜Jから試料シートを作製し、トマトケチャップを用いて滑り速度の測定を行った。室温23℃で、1gのトマトケチャップを成形1週間後の試料シートに塗布し、この試料シートを55°傾斜させて、トマトケチャップが30mmの距離を移動する時間を測定して滑り速度(mm/min)を求めた。滑り速度の測定結果を
図1に示す。
【0044】
(滑り状態の判定)
トマトケチャップの滑りの状態判定は、上記の滑り速度の測定において、トマトケチャップが30mmの距離を移動した際の試料シートの状態及びトマトケチャップの状態を目視で判定した。滑り状態の判定結果を
図1に示す。但し、
図1に示す滑り状態は、試料シートにトマトケチャップの痕跡がある場合を×とした。また、試料シートにトマトケチャップの痕跡はないがトマトケチャップの形状に移動前後で変化がある場合を△とした。また、試料シートにトマトケチャップの痕跡がなく、トマトケチャップの形状に移動前後で変化がない場合を○とした。
【0045】
図1は、実施例1〜3、比較例1〜7のトマトケチャップの滑り速度の測定結果、及び、滑り状態の判定結果を示したものである。
【0046】
図1に示すように、滑剤を添加しないで成形したプラスチックボトルD(比較例1)のトマトケチャップの滑り速度は20mm/minであり、滑り状態は、×であった。また、1000ppmのグリセリントリ脂肪酸エステル(A1)のみを添加して成形したプラスチックボトルE(比較例2)のトマトケチャップの滑り速度は21mm/minであり、滑り状態は、×であった。また、1000ppmのグリセリン脂肪酸エステル(A2)のみを添加して成形したプラスチックボトルF(比較例3)のトマトケチャップの滑り速度は43mm/minであり、滑り状態は、△であった。また、1000ppmのポリグリセリン(A3)/エチレンオキサイド硫黄化物混合物(C)を添加して成形したプラスチックボトルG(比較例4)のトマトケチャップの滑り速度は32mm/minであり、滑り状態は、×であった。また、1000ppmのオレイン酸アミド(B1)のみを添加して成形したプラスチックボトルH(比較例5)のトマトケチャップの滑り速度は46mm/minであり、滑り状態は、△であった。また、1000ppmのエルカ酸アミド(B2)のみを添加して成形したプラスチックボトルI(比較例6)のトマトケチャップの滑り速度は30mm/minであり、滑り状態は、×であった。また、1000ppmのステアリン酸アミド(B3)のみを添加して成形したプラスチックボトルJ(比較例7)のトマトケチャップの滑り速度は23mm/minであり、滑り状態は、×であった。
【0047】
これに対し、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との複合物を添加して成形したプラスチックボトルA〜C(実施例1〜3)のトマトケチャップの滑り速度は70mm/minを超えた。更に、滑り状態は、○であった。また、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)の添加量の増加と共にトマトケチャップの滑り速度は高くなり、900ppm/100ppmのグリセリントリ脂肪酸エステル(A1)/オレイン酸アミド(B1)の比率では、84mm/minとなり、6000ppm/4000ppmのグリセリン脂肪酸エステル(A1)/オレイン酸アミド(B1)の比率では、92mm/minとなった。
【0048】
図1の結果から明らかなように、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)(比較例2)や、オレイン酸アミド(B1)(比較例5)などの単体の滑剤を添加するのではなく、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との複合物(実施例1〜3)の滑剤を添加することで、トマトケチャップの滑り速度が向上すると共に、滑り状態も良好になることが判明した。
【0049】
通常であれば、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)とを複合した場合は、トマトケチャップの滑り速度は、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)単体の場合(比較例2)のトマトケチャップの滑り速度の値(21mm/min)と、オレイン酸アミド(B1)単体の場合(比較例5)のトマトケチャップの滑り速度の値(46mm/min)と、の間の範囲になるのが一般的である。しかし、本実施例の試験結果から、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)とを複合した場合は、トマトケチャップの滑り速度は、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)単体の場合(比較例2)のトマトケチャップの滑り速度の値(21mm/min)や、オレイン酸アミド(B1)単体の場合(比較例5)のトマトケチャップの滑り速度の値(46mm/min)よりも飛躍的に向上することが判明した。
【0050】
なお、上記実施例では、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との添加量の割合を実施例1〜3のように変更した場合について例示した。しかし、
図1の結果から明らかなように、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との複合物の滑剤を添加することで、その添加量の割合に関わらず、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)単体や、オレイン酸アミド(B1)単体の滑剤を添加するよりも滑り速度が向上すると共に、滑り状態も良好になることは言うまでもない。即ち、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との添加量を製品の条件等に応じて適宜変更しても、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との複合物の滑剤を添加することで、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)単体や、オレイン酸アミド(B1)単体の滑剤を添加するよりも滑り速度が向上すると共に、滑り状態も良好になることは明らかである。
【0051】
また、上記実施例では、グリセリントリ脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との総添加量を実施例1〜3のように変更した場合について例示した。しかし、グリセリン脂肪酸エステル(A1)とオレイン酸アミド(B1)との添加量を変更した場合も、上述した実施例1〜3と同様な効果を奏することは言うまでもない。また、オレイン酸アミド(A1)ではなく不飽和脂肪酸アミドに属するものを適用した場合も、上述した実施例1〜3と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0052】
なお、上述した実施形態及び実施例は、本発明の好適な実施形態及び実施例であり、上記実施形態及び実施例のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、基材樹脂に滑剤を添加することにした。しかし、基材樹脂に滑剤を塗布することも可能である。滑剤を塗布した基材樹脂であっても、内容物に対する滑落性に優れているプラスチックボトルを得ることができる。