(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
(第1の実施形態:密閉式ガスヒータシステム100)
図1は、第1の実施形態における密閉式ガスヒータシステム100の外観例を示した外観斜視図である。本実施形態における密閉式ガスヒータシステム100は、都市ガス等と燃焼用酸化剤ガスとしての空気とが本体容器に供給される前に混合される予混合タイプとするが、かかる場合に限定されず、所謂、拡散燃焼を行う拡散タイプであってもよい。
【0015】
図1に示すように、密閉式ガスヒータシステム100は、複数(ここでは2つ)の密閉式ガスヒータ110を連設してなり、都市ガス等と空気との混合ガス(以下、「燃料ガス」という)の供給を受けて、それぞれの密閉式ガスヒータ110で燃料ガスが燃焼することで、加熱される。そして、密閉式ガスヒータシステム100では、その燃焼によって生じた排気ガスが回収される。
【0016】
図2は、第1の実施形態における密閉式ガスヒータシステム100の構造を説明するための組立図である。
図2に示すように、密閉式ガスヒータシステム100は、配置板120と、外周壁122と、仕切板124と、加熱板126とを含んで構成される。
【0017】
配置板120は、耐熱性および耐酸化性が高い素材、例えば、ステンレス鋼(SUS:Stainless Used Steel)や、熱伝導率が低い素材等で形成される平板部材である。
【0018】
外周壁122は、配置板120と外周面が面一となる外形を有する薄板部材で構成され、図示のように配置板120に積層される。この外周壁122には、内周がトラック形状(略平行な2つの線分と、その2つの線分をつなぐ2つの円弧(半円)からなる形状)をなし、厚さ方向(外周壁122と配置板120との積層方向)に貫通する2つの貫通孔122aが設けられている。
【0019】
仕切板124は、配置板120と同様に、耐熱性および耐酸化性が高い素材、例えば、ステンレス鋼や、熱伝導率が高い素材、例えば、黄銅等で形成される。そして、仕切板124は、外周壁122の貫通孔122aの内周面に沿った外形形状を有する薄板状の部材で構成され、外周壁122の内側に配置板120と略平行に配置される。なお、仕切板124は、外周壁122の貫通孔122a内に収容された状態で、外周面が貫通孔122aの内周面と一定間隔を維持して離間する寸法関係を維持している。
【0020】
加熱板126は、配置板120と同様、耐熱性および耐酸化性が高い素材、例えば、ステンレス鋼や、熱伝導率が高い素材、例えば、黄銅等で形成される薄板部材からなる。
【0021】
また、加熱板126には、凹凸が形成された凹凸部126aが設けられている。かかる構成により、加熱板126および配置板120の温度差や加熱板126および配置板120の素材の違いによる熱膨張の変形量の差を凹凸部126aで吸収し、外周壁122との結合部分等に生じる応力が小さくなるため、加熱と冷却を繰り返すことによる熱疲労および高温クリープを抑えることができる。また、加熱板126の輻射面の面積が大きくなるため、輻射強度を高めることも可能となる。
【0022】
そして、加熱板126は、配置板120および外周壁122と外周面が面一となる外形を有しており、外周壁122および仕切板124に積層される。このとき、加熱板126および配置板120は、互いに略平行(本実施形態における超過エンタルピ燃焼を起こさせるための実質的な平行)に対向配置されている。また、外周壁122は、加熱板126および配置板120の外周に沿って配され、仕切板124は、加熱板126、配置板120および外周壁122によって囲繞される空間内において、加熱板126および配置板120と対向配置されることとなる。
【0023】
かかる配置板120、仕切板124、および加熱板126は、間に空隙が形成されれば、傾いて対向配置されてもよい。また、配置板120、仕切板124、および加熱板126は、その厚みに制限はなく、配置板120、および仕切板124は、平板に限らず凹凸に形成されてもよい。
【0024】
本実施形態において、仕切板124は、仕切板124に配された、後述する突起部150が配置板120に溶接などで固着されて、その位置が固定されるものとするが、例えば、配置板120や加熱板126から突出した支持部に固着されてもよく、その接合手段は問わない。
【0025】
このように、密閉式ガスヒータシステム100の本体容器は、外周壁122の上下を加熱板126および配置板120で閉塞してなるもので、外周面(外周壁122の外表面)の面積より上下壁面(加熱板126および配置板120の外表面)の面積の方が大きい。つまり、上下壁面は、本体容器の外表面の大部分を占める。
【0026】
また、密閉式ガスヒータシステム100には、2つの密閉式ガスヒータ110が連設して構成されており、両密閉式ガスヒータ110間の接続部位には、連設された密閉式ガスヒータ110内の密閉空間を連通する火移り部128が形成されている。ただし、密閉空間といっても、気体中で用いる場合、必ずしも完全密閉する必要はない。本実施形態の密閉式ガスヒータシステム100では、例えば、イグナイタ(図示せず)等の点火装置による1回の点火によって、火移り部128を通じて連設する密閉式ガスヒータ110に火炎が広がって点火される。
【0027】
なお、本実施形態では、加熱板126、配置板120、外周壁122で空間を囲繞し、仕切板124で、その空間を仕切る構成をヒータ本体としている。ここでは、1つのヒータ本体に、2つの密閉式ガスヒータ110を連設しており、ヒータ本体に2つの空間が形成されているが、ヒータ本体は1つの空間のみを有するものでもよい。換言すれば、加熱板、配置板、外周壁によって構成されるヒータ本体によって、1つの空間、すなわち、1つの密閉式ガスヒータ110のみを構成してもよい。
【0028】
上記したように、密閉式ガスヒータシステム100には2つの密閉式ガスヒータ110が設けられるが、両密閉式ガスヒータ110は同一の構成であるため、以下では、一方の密閉式ガスヒータ110について説明する。
【0029】
図3は、密閉式ガスヒータ110を説明するための説明図である。特に、
図3(a)には、
図1のIII(a)‐III(a)線断面図を示す。
図3(a)に示すように、配置板120には、密閉式ガスヒータ110の中心部において厚さ方向に貫通する流入孔132が設けられている。この流入孔132には、燃料ガスが流通する第1配管部130が接続されており、流入孔132を介して燃料ガスが密閉式ガスヒータ110の本体容器内に流入する。
【0030】
本体容器内では、導入部134と導出部138とが仕切板124に仕切られて隣接して形成される。
【0031】
導入部134は、配置板120と仕切板124との間の空隙によって形成され、流入孔132から流入した燃料ガスを燃焼室136に放射状に導く。
【0032】
燃焼室136は、配置板120、加熱板126、および外周壁122で囲繞される空間内であって、導入部134と導出部138とを連通する連通部に設けられる。本実施形態において、燃焼室136は、仕切板124の外周端部に面しており、外周壁122に沿って配置される。燃焼室136の任意の位置には、着火装置(図示せず)が設けられる。そして、燃焼室136では、導入部134から導入される燃料ガスが燃焼し、当該燃焼によって生成された排気ガスを導出部138に向けて導出する。
【0033】
導出部138は、加熱板126と仕切板124との間の空隙によって形成され、燃焼室136における燃焼によって生じた排気ガスを、密閉式ガスヒータ110の中心部に集約する。
【0034】
上述したように、本体容器内では、導入部134と導出部138とが隣接して形成されているので、仕切板124を通じて排気ガスの熱を燃料ガスに伝達し、燃料ガスを予熱することができる。
【0035】
輻射面140は、加熱板126の外側の面であり、導出部138を流通する排気ガスまたは燃焼室136における燃焼によって加熱され、被加熱物に輻射熱を伝達(伝熱)する。
【0036】
加熱板126には、密閉式ガスヒータ110の中心部において厚さ方向に貫通する孔である噴出口142aが設けられている。また、噴出口142aの輻射面140側には、排気ガスの流れ方向を輻射面140と垂直な方向から所定の方向に傾斜させるガイド部142bが設けられている。そして、輻射面140を加熱した後の排気ガスが噴出口142aを介して密閉式ガスヒータ110の外に導出される。
【0037】
続いて、燃料ガスおよび排気ガスの流れを具体的に説明する。
図3(a)の円部分を拡大した
図3(b)中、白抜き矢印は燃料ガスの流れを、灰色で塗りつぶした矢印は排気ガスの流れを、黒色で塗りつぶした矢印は熱の移動を示す。第1配管部130に燃料ガスを導入すると、燃料ガスは流入孔132から導入部134に流入し、水平方向に放射状に広がりながら燃焼室136に向けて流れる。そして、燃料ガスは、燃焼室136において外周壁122に衝突して流速が低下し、燃焼室において燃焼した後、高温の排気ガスとなり、排気ガスは導出部138を流れて加熱板126の輻射面140に伝熱した後、噴出口142aに向かって流れる。
【0038】
仕切板124は、比較的、熱伝導し易い素材で形成されており、導出部138を通過する排気ガスの熱は、仕切板124を介して導入部134を通過する燃料ガスに伝わる。ここでは、導出部138を流れる排気ガスと導入部134を流れる燃料ガスとが、仕切板124を挟んで対向流(カウンタフロー)となっているため、排気ガスの熱で燃料ガスを効率的に予熱することが可能となり、高い熱効率を得ることができる。このように燃料ガスを予熱してから燃焼する、所謂、超過エンタルピ燃焼によって、燃料ガスの燃焼を安定化し、不完全燃焼によって生じるCO(一酸化炭素)の濃度を極低濃度に抑えることができる。
【0039】
さらに、逆火防止のために、導入部134と燃焼室136との境界には、突起部150が設けられている。この突起部150は、火炎を導入部134側に通さない(燃焼反応が導入部134の方に伝播されない)ようにするためのものである。この突起部150について、
図4を用いて説明する。
【0040】
図4は、複数の突起部150を説明するための説明図である。
図4(a)は、加熱板126を除いた密閉式ガスヒータシステム100の斜視図であり、
図4(b)は、
図4(a)のIV(b)‐IV(b)線断面を矢印の方向から見た説明図である。
図4(b)において、複数の突起部150の構造の理解を容易にするため、加熱板126、および、突起部150のうち仕切板124で隠れている部分を破線で示す。また、矢印152は燃料ガスの流れの向きを示す。導入部134は、仕切板124に設けられた複数の突起部150によって、流路断面が狭められている。燃料ガスは、導入部134のうち、
図3(b)の部分拡大図および、
図4(b)の説明図で示すように、隣接する突起部150の間の空隙を通じて燃焼室136に流入することとなる。
【0041】
続いて、このような密閉式ガスヒータシステム100を用いて、炉内に順次搬入される被加熱物を加熱する連続加熱炉200について説明する。
【0042】
図5は、連続加熱炉200の概要を説明するための説明図である。特に、
図5(a)は連続加熱炉200の上面図を示し、
図5(b)は
図5(a)のV(b)‐V(b)線断面図を示す。
【0043】
搬送体210は、例えば、ベルト等の搬送帯で構成され、モータ(図示せず)の動力を受けた歯車210aによって回転し被加熱物を搬送する。この被加熱物は、搬送体210の上に載置されるものとするが、例えば、搬送体210に設けられた吊持機構(図示せず)によって吊持されてもよい。
【0044】
炉本体212は、搬送体210の一部または全部を囲繞して加熱空間を形成する。炉本体212内には、密閉式ガスヒータシステム100が、搬送体210を挟んで鉛直上方および下方に配置される。
図5(b)では、
図1における密閉式ガスヒータシステム100の側面100aが示されている。
【0045】
このような連続加熱炉200の炉本体212内を搬送される被加熱物156の搬送方向と、炉本体212内に配された密閉式ガスヒータシステム100に含まれる2つの密閉式ガスヒータ110のうち、一方の密閉式ガスヒータ110の噴出口142aから導出される排気ガスの流れ方向について、
図6を用いて説明する。
【0046】
図6は、排気ガスの噴出方向と被加熱物156の搬送方向を説明するための説明図である。
図6では、被加熱物156と、搬送体210と、連続加熱炉200内において搬送体210を挟んで対向する2つの密閉式ガスヒータ110の、
図3(a)と同じ位置の断面図を示す。
【0047】
密閉式ガスヒータ110の噴出口142aから噴出する排気ガスは、ガイド部142bに沿って、灰色で塗りつぶした矢印154bで示す方向に流れる。これに対し、被加熱物156の搬送方向は、白抜きの矢印156aで示す方向である。
【0048】
図6に示すように、密閉式ガスヒータ110は、搬送体210によって搬送される被加熱物156に向けて噴出口142aから排気ガスを噴出する。
【0049】
このように、排気ガスは噴出口142aから被加熱物156に近づく方向に噴出するため、密閉式ガスヒータ110は、輻射面140から被加熱物156に向かう対流を促進できる。そのため、輻射加熱に加えて対流熱伝達が促進され、熱効率が高められる。
【0050】
また、例えば、食品を焼成する場合等、焼成しながら被加熱物156の周囲の水蒸気を飛ばすことで品質が改善されることがある。また、連続炉を塗装の乾燥に用いる場合、被加熱物156の周囲の揮発したVOCを回収する必要がある。
【0051】
本実施形態の密閉式ガスヒータ110は、排気ファン等を新たに設置せずとも、口径を絞った噴出口142aで流速が高められた排気ガスが噴出し、被加熱物156の周囲の雰囲気ガスに流れを生じさせることが可能となる。仮に、排気ガスの流量が不足し、補助的に排気ファンが必要となる場合でも、排気ファンの容量を小さくできる。
【0052】
また、
図6に示すように、ガイド部142bは、輻射面140の垂直方向に対して傾斜している。密閉式ガスヒータシステム100は、炉本体212に、この傾斜が被加熱物156の搬送方向の上流側に向くように配置される。そのため、ガイド部142bは、噴出口142aから噴出する排気ガスを、搬送体210による被加熱物156の搬送方向と逆方向に導く。その結果、被加熱物156の周囲の雰囲気ガスは、ハッチングした矢印154aで示すように、搬送方向と逆方向に流れることとなる。また、ガイド部142bは、噴出口142aから噴出する排気ガスを、搬送体210による被加熱物156の搬送方向に導くように配置されてもよい。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態における仕切板224および第2配管部260について説明する。第2の実施形態では、密閉式ガスヒータ110は、さらに、第2配管部260を備え、上記第1の実施形態と仕切板224および第2配管部260が異なるので、ここでは上記第1の実施形態と同じ構成については説明を省略し、構成が異なる仕切板224および第2配管部260についてのみ説明する。
【0054】
図7は、第2の実施形態における密閉式ガスヒータ250を説明するための説明図である。
図7には、
図6と同様、被加熱物156と、搬送体210と、連続加熱炉200内において搬送体210を挟んで対向する2つの密閉式ガスヒータ250の、
図3(a)と同じ位置の断面図を示す。
【0055】
仕切板224には、導出部138から排気ガスの一部が導かれる排気孔142cが設けられる。そして、排気孔142cには、内周部分に第2配管部260が嵌合されている。
【0056】
第2配管部260は、第1配管部130内部に配される。すなわち、第1配管部130と第2配管部260とで二重管を形成する。そして、第2配管部260には、導出部138によって導かれた排気ガスの一部が導出される。また、第2配管部260は、排気ガスの熱を、第1配管部130を流れる燃料ガスに伝達する役割も担う。
【0057】
第1の実施形態では、仕切板124は、突起部150を介して配置板120に固定された。本実施形態では、配置板120の流入孔132が形成された部位(縁部)が第1配管部130の端部に固定され、仕切板224の排気孔142cは第1配管部130より突出している第2配管部260の端部に固定される。そして、第1配管部130の端部と第2配管部260の端部の差分だけ、配置板120と仕切板224とが離隔している。
【0058】
このような構成において、導出部138を流れた排気ガスは、噴出口142aと、排気孔142cとに分流することとなる。密閉式ガスヒータ250の噴出口142aから導出された排気ガスは、ガイド部142bに沿って、灰色で塗りつぶした矢印154bで示す方向に流れる。
【0059】
上述した第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を実現可能である。すなわち、密閉式ガスヒータ250は、被加熱物156の雰囲気ガスに搬送方向に対して逆方向の流れを生じさせることが可能となり、さらに、輻射面140から被加熱物156に向かう対流を促進し、熱効率が高められる。
【0060】
また、特に、第2の実施形態では、排気ガスの一部が被加熱物156に向けて噴出され、残りが第2配管部260から導出される(灰色で塗りつぶした矢印154cで示す)。そのため、噴出口142aや排気孔142cの径等によって、被加熱物156に向けて噴出される排気ガスを所望する量となるように調整して設計可能となる。
【0061】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態における加熱板326について説明する。第3の実施形態では、上記第1の実施形態と加熱板326が異なるので、ここでは上記第1の実施形態と同じ構成については説明を省略し、構成が異なる加熱板326についてのみ説明する。
【0062】
図8は、第3の実施形態における密閉式ガスヒータ310を説明するための説明図である。
図8には、
図6と同様、被加熱物156と、搬送体210と、連続加熱炉200内において搬送体210を挟んで対向する2つの密閉式ガスヒータ310の、
図3(a)と同じ位置の断面図を示す。
【0063】
本実施形態において、加熱板326には噴出口142aが設けられているが、第1の実施形態と異なり、ガイド部142bが設けられていない。かかる第3の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様、被加熱物156の周囲の雰囲気ガスに流れを生じさせることが可能となり、輻射面140から被加熱物156に向かう対流を促進し、熱効率が高められる。
【0064】
また、特に、第3の実施形態では、単に加熱板326に貫通孔を設けて噴出口142aとするといった簡易な構成のみで、被加熱物156側に排気ガスを導出する(灰色で塗りつぶした矢印154dで示す)ことができ、そのための特段の製造コストを要することもない。
【0065】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態における連続加熱炉400について説明する。なお、第4の実施形態では、上記第3の実施形態とは、連続加熱炉400の構成が異なり、連続加熱炉400に設けられる密閉式ガスヒータ310の構成は上記第3の実施形態と同じである。したがって、ここでは上記第3の実施形態と同じ構成については説明を省略し、構成が異なる連続加熱炉400についてのみ説明する。
【0066】
図9は、第4の実施形態における連続加熱炉400を説明するための説明図である。
図9には、被加熱物156と、連続加熱炉400内において被加熱物156の鉛直下方に配された密閉式ガスヒータシステムのうちの一方の密閉式ガスヒータ310の断面図を示す。ここでは、理解を容易とするため、密閉式ガスヒータ310の断面はクロスハッチングで示す。
【0067】
連続加熱炉400は、ローラ402の回転によって炉本体404内に搬送された被加熱物156を加熱する。本実施形態において、被加熱物156は、例えば、金属ストリップであり、矢印156aで示す方向に搬送される。
【0068】
密閉式ガスヒータ310は、噴出口142aから排気ガスを、
図9に示す灰色で塗りつぶした矢印154dの向きに噴出する。被加熱物156は、密閉式ガスヒータ310によって加熱されながら、噴出口142aから噴出した排気ガスの圧力を受け、炉本体404内において、密閉式ガスヒータ310に接触せずに(非接触で)搬送される。
【0069】
本実施形態の連続加熱炉400のような、被加熱物156を炉本体404内において非接触で搬送する、所謂フローティング炉において、密閉式ガスヒータ310は、被加熱物156の加熱処理と、被加熱物156の一部を浮上させるための流体の噴出処理とを、同時に遂行できる。そのため、流体の噴出処理のための装置を新たに設ける必要がない、または新たに設ける装置の数を抑制可能となり、製造コストや運用コストを低減することができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、燃焼室136は、外周壁122に沿って形成されるとしたが、かかる場合に限らず、燃焼室136は、外周壁122、加熱板126、326、および配置板120で囲繞される空間内であればよい。ただし、排気ガスによる燃料ガスの予熱効果を十分に確保するため、燃焼室136は、例えば、加熱板126、326と仕切板124、224との間の空間、または仕切板124と配置板120との間の空間のうち、配置板120に設けられた流入孔132から外周壁122までの中間位置より外周壁122に近い空間のいずれかの位置に設けられることが望ましい。
【0071】
また、上述した実施形態では、導入部134と導出部138とが隣接して形成され、仕切板124を通じ排気ガスの熱で燃料ガスを予熱する構成を例に挙げたが、密閉式ガスヒータは、かかる排気ガスによる燃料ガスの予熱を行う構成を備えずともよい。
【0072】
また、流入孔132、排気孔142c、および噴出口142aは、それぞれ、配置板120、仕切板124、224、および加熱板126、326の中心位置に限らず、いずれの位置に配されてもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、連続加熱炉200に、密閉式ガスヒータが2つ連設された密閉式ガスヒータシステム100を複数配する構成を例に挙げたが、連続加熱炉200に、密閉式ガスヒータを単体で配してもよい。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。