【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1に係るゲート駆動回路は、2電源を備えている。
図1は、本発明の実施例1に係るゲート駆動回路の構成を示す図である。このゲート駆動回路は、正電源E1、負電源E2、制御回路11、フォトカプラPC1、インバータG1、ターンオフ制御回路13、N型MOSFETからなるトランジスタQ1(第1トランジスタ)、P型MOSFETからなるトランジスタQ2(第2トランジスタ)、N型MOSFETからなるトランジスタQ3(第3トランジスタ)、P型MOSFETからなるトランジスタQ4(第4トランジスタ)、インバータG6、抵抗R2及びスイッチング素子GaNFETを備える。ターンオフ制御回路13は、インバータG2,G3,G5、NAND回路12、抵抗R1並びにコンデンサC1を備えている。
【0014】
スイッチング素子GaNFETは、ドレイン、ソース、ゲートを有しワイドバンドギャップ半導体からなる。なお、トランジスタQ3,Q4は、双方向スイッチを用いても良い。
【0015】
ゲート駆動回路は、インバータG1、ターンオフ制御回路13、トランジスタQ1〜Q4、インバータG6及び抵抗R2から構成されるが、ここでは、正電源E1、負電源E2、制御回路11、フォトカプラPC1及びスイッチング素子GaNFETを含めてゲート駆動回路と称する。
【0016】
正電源E1の正極は、制御回路11の正電源端子及びトランジスタQ2のソースに接続され、正電源E1の負極は、負電源E2の正極に接続されている。負電源E2の負極は、制御回路11の負電源端子、トランジスタQ1のソース、コンデンサC1及びフォトカプラPC1に接続されている。正電源E1の負極と負電源E2の正極との接続点は、接地されている。
【0017】
制御回路11は、正電源E1の正極と負電源E2の負極との間に設けられ、図示しない二次側回路からフィードバックされた信号を受信したフォトカプラPC1からの信号に応じて制御信号を生成し、インバータG1,G2,G6及びトランジスタQ4のゲートに出力する。
【0018】
インバータG1は、制御回路11からの制御信号を反転してトランジスタQ2のゲートに出力する。トランジスタQ2のソースは、正電源E1の正極に接続され、トランジスタQ2のドレインは、トランジスタQ1のドレインに接続されている。
【0019】
ターンオフ制御回路13内のインバータG2は、制御回路11からの制御信号を反転してナンド回路12の一方の入力端子に出力するとともに、抵抗R1を介してインバータG3に出力する。抵抗R1とインバータG3の入力端子との接続点には、コンデンサC1の一方の端子が接続され、コンデンサC1の他方の端子は、負電源E2の負極に接続されている。
【0020】
抵抗R1及びコンデンサC1は、CR積分による遅延回路を構成し、インバータG2からの信号を所定時間だけ遅延させてインバータG3に出力する。インバータG3は、遅延回路からの信号を反転してナンド回路12の他方の入力端子に出力する。
【0021】
ナンド回路12は、インバータG2からの信号とインバータG3からの信号との論理積をとった結果を反転し、インバータG5に出力する。インバータG5は、ナンド回路12からの信号を反転してトランジスタQ1のゲートに出力する。 このようなターンオフ制御回路13は、制御回路11からの制御信号の立ち下がりに応答して、即ち、制御信号がオフに変化したことに応答して、トランジスタQ1を所定時間だけオンさせる所定幅のHレベルのパルス信号を生成する。
【0022】
トランジスタQ1のドレインは、トランジスタQ2のドレインに接続され、ソースは、負電源E2の負極に接続されている。トランジスタQ1のドレインとトランジスタQ2のドレインとの接続点は、スイッチング素子GaNFETのゲートGに接続されている。スイッチング素子GaNFETのソースSは、接地されている。
【0023】
インバータG6は、制御回路11からの制御信号を反転してトランジスタQ3のゲートに出力する。トランジスタQ3のソースは、接地され、ドレインは、トランジスタQ4のドレインに接続されている。
【0024】
トランジスタQ4のソースは、抵抗R2を経由してスイッチング素子GaNFETのゲートGに接続され、ドレインは、トランジスタQ3のドレインに接続されている。トランジスタQ4のゲートには、制御回路11からの制御信号が入力される。
【0025】
次に、このように構成される実施例1に係るゲート駆動回路の動作を説明する。
図2は、実施例1に係るゲート駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0026】
時刻t1において、
図2(a)に示すように、制御回路11からHレベルの制御信号が出力されると、制御信号は、インバータG1でLレベルの信号に変換され、トランジスタQ2のゲートに印加される。これにより、
図2(e)に示すように、トランジスタQ2がオンし、
図2(h)に示すように、スイッチング素子GaNFETのゲートGに、正電源E1からの正電圧+Vccがゲート電圧Vgとして印加される。
【0027】
この時点でナンド回路12の出力はHレベルであるので、トランジスタQ1は、
図2(f)に示すように、オフ状態である。コンデンサC1の電圧VC1は、インバータG2の出力がLレベルになることで、時刻t1aにおいて、放電によって充電電圧の1/2まで低下し、インバータG3の出力が反転する。しかし、ナンド回路12の一方の入力端子にはインバータG2から出力されるLレベルが入力され続けているので、ナンド回路12の出力はHレベルを維持して変化しない。
【0028】
時刻t2において、
図2(a)に示すように、制御回路11からLレベルの制御信号が出力されると、制御信号は、インバータG1でHレベルの信号に変換され、トランジスタQ2のゲートに印加される。これにより、
図2(e)に示すように、トランジスタQ2はオフする。また、
図2(f)に示すように、ターンオフ制御回路13を介してトランジスタQ1がオンすると同時に、
図2(g)に示すように、トランジスタQ4及びトランジスタQ3がオンする。
【0029】
したがって、時刻t2の時点では、スイッチング素子GaNFETのゲートGには負電源E2からの負電圧−Vccがゲート電圧Vgとして印加され、かつ、スイッチング素子GaNFETのゲートGとソースSとは、抵抗R2を介して短絡される。
【0030】
また、
図2(b)に示すように、時刻t2においてインバータG2の出力がHレベルになるので、コンデンサC1には充電が開始され、
図2(c)に示すように、時刻t3においてコンデンサC1は1/2まで充電される。これにより、インバータG3の出力が反転して、
図2(f)に示すように、トランジスタQ1がオフされる。
【0031】
ここで、トランジスタQ3及びトランジスタQ4は、制御回路11から出力される制御信号がLレベルの期間はオン状態を保つので、時刻t6に至るまでスイッチング素子GaNFETのゲート−ソース間は抵抗R2を介して短絡されている。
【0032】
時刻t4において、スイッチング素子GaNFETのインダクタンスまたはLC(何れも図示しない)負荷などにより共振してスイッチング素子GaNFETのドレイン−ソース間電圧Vdsが振動を開始し、
図2(i)に示すように、時刻t5でゼロボルトに達した後、時刻t5〜t6の期間で負電圧にまで低下する。スイッチング素子GaNFETのゲート−ソース間は抵抗R2で短絡されているので、
図3に示す特性図の第3象限に示すゲート電圧Vgがゼロボルトのダイオード動作となり、ソースSからドレイン端子Dに回生電流を流すことができる。時刻t6以降は、時刻t1以降の動作と同じである。
【0033】
以上説明したように、本発明の実施例1に係るゲート駆動回路は、正電源と負電源、スイッチング素子GaNFETをオンさせるトランジスタQ2とオフさせるトランジスタQ1を備え、さらに、ターンオフ時にスイッチング素子GaNFETのゲートGの電圧を短時間だけ負電位に落とすターンオフ制御回路13と、ターンオフ直後にゲート−ソース間をダイオード接続させるトランジスタQ3,Q4から構成されている。
【0034】
実施例1に係るゲート駆動回路では、スイッチング素子GaNFETのターンオフ時、負電源E2を使用してゲート端子Gに印加されるゲート電圧Vgを負電圧−Vccまで落とし、スイッチング素子GaNFETのターンオフ速度を上げている。
【0035】
また、抵抗R1とコンデンサC1の時定数により決まる所定時間だけトランジスタQ1がオンすることによりゲート端子Gは負電圧−Vccまで落とされ、スイッチング素子GaNFETを急峻にオフさせることができる。また、オフ期間は、ゲートGとソースSは抵抗R2により短絡されているので、ダイオード接続される。この状態では、ドレイン端子Dの電圧がソース端子Sに対し負電位になると、逆方向に電流が流れるようになり、スイッチング素子GaNFETをダイオードの代わりとして使用することが可能になる。
【0036】
図4は、実施例1に係るゲート駆動回路を電流共振型コンバータに応用した例を示す。電流共振型コンバータは周知であるので、詳細な説明は省略するが、スイッチング素子QHを駆動するゲート駆動回路DRHと、スイッチング素子QLを駆動するゲート駆動回路DRLとの2つの実施例1に係るゲート駆動回路が使用されている。
【実施例2】
【0037】
本発明の実施例2に係るゲート駆動回路は、単電源で構成されている。
図5は、本発明の実施例2に係るゲート駆動回路の構成を示す図である。このゲート駆動回路は、コンデンサCe、制御回路11、フォトカプラPC1、インバータG1,G2,G3、抵抗R1、コンデンサC1、ナンド回路12、N型MOSFETからなるトランジスタQ1,Q3、P型MOSFETからなるトランジスタQ2,Q4、スイッチング素子GaNFET、コンデンサCv、トランスT1、抵抗R、電源E、ダイオードDg、ダイオードD1及びD2、コンデンサCo並びに誤差増幅器ERRAMPを備えている。
【0038】
インバータG1,G2,G3、抵抗R1、コンデンサC1及びナンド回路12からなる回路は、本発明のゲート制御回路に対応する。
【0039】
トランスT1の一次巻線P1及びスイッチング素子GaNFETからなる直列回路は、電源Eの正負端子間に接続され、コンデンサCvは、スイッチング素子GaNFETのソース−ドレイン間に接続されている。電源Eの正負端子間には、抵抗R、コンデンサCe及びダイオードDgからなる直列回路が接続されている。
【0040】
トランスT1の補助巻線P2は、ダイオードD2を介してコンデンサCeの両端に接続されている。コンデンサCeは、実施例1に係るゲート駆動回路の正電源及び負電源に対応する電源として機能する。コンデンサCeの正極は、制御回路11の正電源端子、トランジスタQ2,Q4のソースに接続され、コンデンサCeの負極は、制御回路11の負電源端子、トランジスタQ1,Q3のソース、コンデンサC1及びフォトカプラPC1の受光部PC1−1に接続される。
【0041】
制御回路11は、コンデンサCeの両極間に設けられ、二次側回路のフォトカプラPC1の発光部PC1−2からフィードバックされた信号を受信したフォトカプラPC1の受光部PC1−1からの信号に応じて制御信号を生成し、インバータG1及びインバータG2に送る。インバータG1は、制御回路11からの制御信号を反転してトランジスタQ3,Q4のゲートに出力する。
【0042】
インバータG2は、制御回路11からの制御信号を反転してナンド回路12の一方の入力端子に出力するとともに、抵抗R1を介してインバータG3に出力する。抵抗R1とインバータG3の入力端子との接続点には、コンデンサC1の一方の端子が接続され、コンデンサC1の他方の端子は、制御回路11の負電源端子に接続されたグランドDriver_GNDに接続されている。グランドDriver_GNDは、スイッチング素子GaNFETのソースに対してフローティングされている。
【0043】
抵抗R1及びコンデンサC1は、CR積分による遅延回路を構成し、インバータG2からの信号を所定時間だけ遅延させてインバータG3に出力する。インバータG3は、遅延回路から送られてきた信号を反転してナンド回路12の他方の入力端子に出力する。
【0044】
ナンド回路12は、インバータG2からの信号とインバータG3からの信号との論理積をとった結果を反転し、トランジスタQ1,Q2のゲートに出力する。この構成により、ナンド回路12は、制御回路11から出力される制御信号の立ち下がりに応答して、即ち、制御信号がオフに変化したことに応答して、トランジスタQ1を所定時間だけオンさせるための所定幅のHレベルのパルス信号を生成する。
【0045】
トランジスタQ1のドレインは、トランジスタQ2のドレインに接続され、ソースは、グランドDriver_GNDに接続されている。トランジスタQ1のドレインとトランジスタQ2のドレインとの接続点は、スイッチング素子GaNFETのソースに接続されている。
【0046】
トランジスタQ3及びトランジスタQ4のゲートは、インバータG1の出力端子に接続され、トランジスタQ3のソースはグランドDriver_GNDに接続され、ドレインは、トランジスタQ4のドレインに接続されている。トランジスタQ4のソースは、コンデンサCeの正極に接続されている。また、トランジスタQ3のドレインとトランジスタQ4のドレインとの接続点は、スイッチング素子GaNFETのゲートに接続されている。
【0047】
また、トランスT1の二次巻線S1には、ダイオードD1とコンデンサCoとからなる整流回路が接続され、コンデンサCoの両端が出力端子に接続されている。また、出力端子間には誤差増幅器ERRAMPが設けら、誤差増幅器ERRAMPで検出された誤差信号に応じて、フォトカプラPC1の発光部PC1−2が駆動される。
【0048】
次に、このように構成される実施例2に係るゲート駆動回路の動作を説明する。
図6は、実施例2に係るゲート駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0049】
時刻t11において、
図6(a)に示すように、制御回路11からHレベルの信号が出力されると、制御信号は、インバータG1でLレベルの信号に変換され、トランジスタQ4及びトランジスタQ3のゲート端子に印加される。これにより、
図6(b)に示すようにトランジスタQ4がオンするとともにトランジスタQ3がオフし、
図6(e)に示すようにスイッチング素子GaNFETのゲート端子に、コンデンサCeの電圧がゲート電圧Vgとして印加される。
【0050】
この時点でナンド回路12の出力はHレベルであるので、トランジスタQ1はオン状態、トランジスタQ2はオフ状態となり、グランドDriver_GNDは、トランジスタQ1を介してスイッチング素子GaNFETのソースと接続される。
【0051】
時刻t12において、
図6(a)に示すように、制御回路11からLレベルの制御信号が出力されると、制御信号は、インバータG1でHレベルの信号に変換され、トランジスタQ4及びトランジスタQ3のゲート端子に印加される。これにより、
図6(b)に示すように、トランジスタQ4がオフし、トランジスタQ3がオンする。また、インバータG2、抵抗R1、コンデンサC1、インバータG3及びナンド回路12からなるゲート制御回路からの信号によりトランジスタQ1がオフすると同時にトランジスタQ2がオンする。
【0052】
したがって、時刻t12の時点では、トランジスタQ2を介してコンデンサCeの電圧(制御回路11の電源電圧)がスイッチング素子GaNFETのソースに印加されるので、スイッチング素子GaNFETのゲートには、
図6(e)に示すように、相対的に負電圧が印加される。
【0053】
次に、時刻t12において、インバータG2の出力がHレベルになるのでコンデンサC1には充電が開始され、時刻t13において、コンデンサC1の電圧VC1は1/2まで充電される。これにより、インバータG3の出力が反転して、ナンド回路12を介してトランジスタQ2はオフ、トランジスタQ1はオンする。
【0054】
これにより、スイッチング素子GaNFETのゲートとソースとの間は、トランジスタQ1とトランジスタQ3により短絡され、次に制御回路11から出力される制御信号がHレベルになるまで、その状態が保たれる。
【0055】
時刻t10において、
図6(g)に示すように、スイッチング素子GaNFETの負荷であるトランスT1及び共振コンデンサC1によりスイッチング素子GaNFETのドレイン−ソース間の電圧Vdsが振動を開始して、時刻t10でゼロボルト以下に達した後、時刻t10〜t11の期間で負電圧まで低下する。スイッチング素子GaNFETのゲート−ソース間は短絡されているので、
図3に示す特性図の第3象限に示すゲート電圧Vgがゼロボルトのダイオード動作となり、ソースからドレインに回生電流を流すことができる。回生電流が流れている期間に制御回路11からHレベルの制御信号が出力されると、スイッチング素子GaNFETはオン状態になり、ドレイン−ソース間はより低下する。
【0056】
以上の動作により、回生ダイオードをスイッチング素子GaNFETのドレイン−ソース間に接続しなくとも低電圧で回生電流を流すことが可能となる。
【0057】
図7は、実施例2に係るゲート駆動回路を電流共振型コンバータに応用した例を示す。電流共振型コンバータは周知であるので、詳細な説明は省略するが、スイッチング素子QHを駆動するゲート駆動回路DHと、スイッチング素子QLを駆動するゲート駆動回路DLといった2つの実施例2に係るゲート駆動回路が使用されている。