(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ユニット製造工程では、予め成形された前記発泡成形体の内部に前記真空断熱材を配置することで前記断熱材ユニットを製造することを特徴とする請求項1記載の真空断熱材入り樹脂成形品の製造方法。
前記ユニット製造工程では、型枠材内部に前記真空断熱材を配置し、該型枠材および該真空断熱材の間に発泡充填剤を入れることで前記断熱材ユニットを製造することを特徴とする請求項1記載の真空断熱材入り樹脂成形品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る真空断熱材入り樹脂成形品および製造方法を薄板樹脂製パネルに適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
<薄板樹脂製パネル100の構成例>
まず、
図1を参照しながら、本実施形態により成形する薄板樹脂製パネル100の構成例について説明する。
【0015】
本実施形態による薄板樹脂製パネル100は、発泡樹脂製の蓋付き箱122内に真空断熱材125が封入され、その発泡樹脂製の蓋付き箱122が、表皮層124により表面を被装されて構成される。
【0016】
このように、本実施形態による薄板樹脂製パネル100では、発泡樹脂製の蓋付き箱122内に真空断熱材125が封入されているため、蓋付き箱122外側に溶融樹脂シートを配置して分割金型で成形し、表皮層124とする際に、その溶融樹脂シートの熱が真空断熱材125に直接伝わることがない。このため、溶融樹脂シートの熱で真空断熱材125を破損してしまうことなく、安定した品質の薄板樹脂製パネル100を確実に製造することができる。
【0017】
真空断熱材125は、従来既知のものであり、中空部分を有する芯材を薄いフィルムで被装した後、そのフィルム内部を減圧したものなどを用いることができる。芯材は、繊維状のものや粉末から構成されたものなど、中空部分を有するものであれば各種のものであってよい。フィルムは、各種の樹脂製であってもよく、薄いアルミ層と樹脂層を含む多層フィルムであってもよい。
【0018】
発泡樹脂製の蓋付き箱122は、予め成形された蓋付き箱であれば各種の発泡樹脂を用いることができ、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂およびこれらの混合物、さらにフェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0019】
蓋付き箱122における蓋122A、箱122Bそれぞれの発泡倍率、および厚みは、真空断熱材125を蓋付き箱122内に封入した状態で蓋付き箱122外側に溶融樹脂シートを配置して分割金型で成形する際に、その溶融樹脂シートの熱で真空断熱材125表面が破損しないようにする観点から定めることとなる。すなわち、蓋付き箱122外側に配置される溶融樹脂シートの温度や厚み等の条件に応じて、その溶融樹脂シートの熱から真空断熱材125表面を確実に保護しうる断熱性を有するように定めることとなる。
【0020】
一例を挙げれば、蓋122A、箱122Bを何れも厚さ5mm、発泡倍率30倍とすることで良好な結果が得られる場合もあり、溶融樹脂シートの温度や厚み等の条件によっては、蓋122A、箱122Bが何れも厚さ1mmなどさらに薄くしてもよい。また、発泡倍率や溶融樹脂シートの条件によっては、蓋122A、箱122Bを何れも厚さ5mm以上としてもよい。
【0021】
発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤およびその混合物のいずれを用いてもよい。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、およびブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、さらにはそれらの超臨界流体を用いることができる。
【0022】
また、表皮層124の材料は、公知の各種非発泡樹脂を用いることができ、例えば、ポリプロピレン、エンジニアリングプラスチックス、オレフィン系樹脂などを用いることができる。
より詳細には、後に説明するように、薄板樹脂製パネル100を一体成形により製造する観点から、表皮層124A,Bそれぞれは、熱可塑性樹脂による溶融樹脂シートP1、P2を垂下させて成形させることとなり、このため、溶融樹脂シートP1、P2は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で金型への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。
【0023】
より具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分以下、さらに好ましくは0.3〜1.5g/10分のもの、またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等の非晶性樹脂であって、200℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度200℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0〜60g/10分、さらに好ましくは30〜50g/10分でかつ、230℃におけるメルトテンション(株式会社東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示す)が50mN以上、好ましくは120mN以上のものを用いて形成される。
【0024】
また、溶融樹脂シートP1、P2には衝撃により割れが生じることを防止するため、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30wt%未満、好ましくは15wt%未満の範囲で添加されていることが好ましい。具体的には水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴムおよびその混合物が好適であり、スチレン含有量が30wt%未満、好ましくは20wt%未満であり、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)は1.0〜10g/10分、好ましくは5.0g/10分以下で、かつ1.0g/10分以上あるものが好ましい。
【0025】
さらに、溶融樹脂シートP1、P2には、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。具体的にはシリカ、マイカ、ガラス繊維等を成形樹脂に対して50wt%以下、好ましくは30〜40wt%添加する。
【0026】
なお、本実施形態において発泡倍率は、後述する本実施形態の成形方法で用いた熱可塑性樹脂の密度を、本実施形態の成形方法により得られた薄板樹脂製パネル100の表皮層124、蓋付き箱122の壁面の見かけ密度で割った値を発泡倍率とした。
また、引張破壊伸びは、後述する本実施形態の成形方法により得られた薄板樹脂製パネル100の表皮層124、蓋付き箱122の壁面を切り出し、−10℃で保管後に、JIS K−7113に準じて2号形試験片として引張速度を50mm/分で測定を行った値を引張破壊伸びとした。
また、引張弾性率は、後述する本実施形態の成形方法により得られた薄板樹脂製パネル100の表皮層124、蓋付き箱122の壁面を切り出し、常温(23℃)で、JIS K−7113に準じて2号形試験片として引張速度を50mm/分で測定を行った値を引張弾性率とした。
【0027】
<薄板樹脂製パネル100の製造方法例>
次に、
図2〜
図7を参照しながら、本実施形態の薄板樹脂製パネル100の製造方法例について説明する。
図2〜
図7は、本実施形態による薄板樹脂製パネル100の製造方法例を示す図である。
【0028】
本実施形態の薄板樹脂製パネル100の製造方法では、まず、
図2に示すように、蓋付き箱122における箱122B内に真空断熱材125を入れ、蓋122Aで開口部を閉止することにより、蓋付き箱122内に真空断熱材125を封入して一体化した断熱材ユニット110を製造する。
蓋付き箱122を構成する蓋122Aと箱122Bは、後述のようにして予め成形されたものを用いることとする。
【0029】
箱122Bは、真空断熱材125を収容可能な厚みを有する空間が内側に設けられた形状となっている。
蓋122Aの内側は、箱122Bの開口部との嵌め合いのための凹凸が適宜設けられた形状であることが好ましい。
【0030】
なお、蓋122Aと箱122Bの形状は、蓋付き箱122として真空断熱材125を内部に封入し、真空断熱材125全体を被装することができれば、
図2に示すものに限定されず、任意の形状であってよい。
【0031】
蓋122Aと箱122Bとの間は、蓋付き箱122により真空断熱材125全体を確実に被装するよう固定されることが好ましい。蓋122Aと箱122Bとの間の固定方法としては、蓋122Aと箱122Bそれぞれに予め形成された凹凸を嵌め合わせることで固定してもよく、各種接着剤を用いて接着することで固定してもよく、熱で溶着してもよく、これら方法の組み合わせであってもよい。熱で溶着する場合には、その溶着熱が真空断熱材125に伝わらないよう、蓋付き箱122の外周部近傍を溶着することが好ましい。
【0032】
また、真空断熱材125を、蓋122A、箱122Bの少なくとも一方に対して接着してもよい。
このように真空断熱材125を蓋付き箱122の内側に接着してから、蓋122Aおよび箱122Bを上述のように接着等で固定し、真空断熱材125を蓋付き箱122内に封入することにより、成形後にも真空断熱材125が蓋付き箱122内で動いてしまうことがなく、安定した強度を有する薄板樹脂製パネル100を製造することができる。
【0033】
また、蓋付き箱122の強度によっては、蓋付き箱122を構成する発泡樹脂の反発力を利用して真空断熱材125を厚み方向に挟み込んで、真空断熱材125を厚み方向に固定してもよい。この場合でも、真空断熱材125を蓋付き箱122内でがたつきを生じることのないよう位置決めでき、安定した強度を有する薄板樹脂製パネル100を製造することができる。
【0034】
次に、こうして製造された断熱材ユニット110を溶融樹脂シートと共に分割金型で型締めして成形する製造工程について、
図3〜
図7を参照して詳細に説明する。まず、成形に用いる成形装置について、以下に説明する。
【0035】
図3に示すように、薄板樹脂製パネル100の成形装置は、押出装置12と、押出装置12の下方に配置された型締装置10とを有し、押出装置12から押出された溶融樹脂シートPを型締装置10に送り、型締装置10により熱可塑性樹脂による溶融樹脂シートPを成形するようにして、表皮層124を形成する。ここで、2枚の溶融樹脂シートPそれぞれを押し出して、型締装置10まで送るまでの装置は、同様であるので、一方のみ説明し、他方については同様な符号とすることによりその説明を省略する。
【0036】
押出装置12は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、ホッパー16が付設されたシリンダー18と、シリンダー18内に設けられたスクリュー(図示せず)と、スクリューに連結された油圧モーター20と、シリンダー18と内部が連通したアキュムレータ22と、アキュムレータ22内に設けられたプランジャー24とを有する。
ホッパー16から投入された樹脂ペレットは、シリンダー18内で油圧モーター20によるスクリューの回転により溶融、混練され、溶融状態の樹脂がアキュムレータ室22に移送されて一定量貯留され、プランジャー24の駆動によりTダイ28に向けて溶融樹脂を送り、Tダイ28下端の押出スリット34を通じて連続的な溶融樹脂シートPが押し出される。こうして押し出された溶融樹脂シートPは、間隔を隔てて配置された一対のローラー30によって挟圧されながら下方へ向かって送り出され、分割金型32の間に垂下される。これにより、後に詳細に説明するように、溶融樹脂シートPが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型32の間に配置される。
【0037】
押出装置12の押出の能力は、成形する樹脂成形品の大きさ、溶融樹脂シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から適宜選択する。より具体的には、実用的な観点から、間欠押出における1ショットの押出量は好ましくは1〜10kgであり、押出スリット34からの樹脂の押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは700kg/時以上である。また、溶融樹脂シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から、溶融樹脂シートPの押出工程はなるべく短いのが好ましく、樹脂の種類、MFR値、メルトテンション値に依存するが、一般的に、押出工程は40秒以内、より好ましくは10〜20秒以内に完了するのがよい。このため、熱可塑性樹脂の押出スリット34からの単位面積、単位時間当たりの押出量は、50kg/時cm2以上、より好ましくは150kg/時cm2以上である。
【0038】
一対のローラー30の回転により一対のローラー30間に挟み込まれた溶融樹脂シートPを下方に送り出すことで、溶融樹脂シートPを延伸薄肉化することが可能であり、押し出される溶融樹脂シートPの押出速度と一対のローラー30による溶融樹脂シートPの送り出し速度との関係を調整することにより、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止することが可能である。このため、樹脂の種類、特にMFR値およびメルトテンション値、あるいは単位時間当たりの押出量に対する制約を小さくすることが可能である。
【0039】
図3に示すように、Tダイ28に設けられる押出スリット34は、鉛直下向きに配置され、押出スリット34から押し出された連続溶融樹脂シートPは、そのまま押出スリット34から垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。押出スリット34は、その間隔を可変とすることにより、連続溶融樹脂シートPの厚みを変更することが可能である。
【0040】
一対のローラー30は、押出スリット34の下方において、各々の回転軸が互いに平行にほぼ水平に配置され、一方が回転駆動ローラー30Aであり、他方が被回転駆動ローラー30Bとして構成される。より詳細には、
図3に示すように、一対のローラー30は、押出スリット34から下方に垂下する形態で押し出される溶融樹脂シートPに関して、線対称となるように配置される。
【0041】
回転駆動ローラー30A、被回転駆動ローラー30Bそれぞれのローラーの直径およびローラーの軸方向長さは、成形すべき溶融樹脂シートPの押出速度、シートの押出方向長さおよび幅、ならびに樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよいが、後に説明するように、一対のローラー30間に溶融樹脂シートPを挟み込んだ状態で、ローラーの回転により溶融樹脂シートPを円滑に下方に送り出す観点から、回転駆動ローラー30Aの径は、被回転駆動ローラー30Bの径より若干大きいのが好ましい。ローラーの径は50〜300mmの範囲であることが好ましく、溶融樹脂シートPとの接触においてローラーの曲率が大きすぎてもまた、小さすぎても溶融樹脂シートPがローラーへ巻き付く不具合の原因となる。
【0042】
一方、型締装置10も、押出装置12と同様に、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、2つの分割形式の金型32A,Bと、金型32A,Bを溶融状態の溶融樹脂シートPの供給方向に対して略直交する方向に、開位置と閉位置との間で移動させる金型駆動装置(不図示)とを有する。
【0043】
図3に示すように、2つの分割形式の金型32A,Bは、キャビティ116を対向させた状態で配置され、それぞれキャビティ116の底面が略鉛直方向を向くように配置される。それぞれのキャビティ116の表面には、熱可塑性樹脂による溶融樹脂シートPに基づいて成形される成形品の外形、および表面形状に応じて凹凸119が設けられる。
【0044】
2つの分割形式の金型32A,Bそれぞれにおいて、キャビティ116のまわりには、ピンチオフ部118が形成される。このピンチオフ部118は、キャビティ116のまわりに環状に形成され、対向する金型32A,Bに向かって突出する。これにより、2つの分割形式の金型32A,Bを型締する際、それぞれのピンチオフ部118A,Bの先端部で2枚の溶融樹脂シートP1、P2を挟んで押し潰す。こうして、成形された成形品の周縁にパーティングラインPLが形成されるように、2枚の溶融樹脂シートP1、P2が溶着される。
【0045】
金型32Aの外周部には、型枠33Aが密封状態で摺動可能に外嵌し、図示しない型枠移動装置により、型枠33Aが、金型32Aに対して相対的に移動可能としている。より詳細には、型枠33Aは、金型32Aに対して金型32Bに向かって突出することにより、金型32A,B間に配置された溶融樹脂シートP1の側面に当接可能である。金型32Bについても同様に、型枠33Bが設けられている。
【0046】
金型駆動装置については、従来と同様のものであり、その説明は省略するが、2つの分割形式の金型32A,Bはそれぞれ、金型駆動装置により駆動され、開位置において、2つの分割金型32A,Bの間に、2枚の溶融状態の連続溶融樹脂シートPが配置可能なようにされる。また、閉位置において、2つの分割金型32A,Bのピンチオフ部118A,Bが当接し、環状のピンチオフ部118が互いに当接することにより、2つの分割金型32A,B内に密閉空間が形成されるようにしている。開位置から閉位置への各金型32A,Bの移動について、閉位置、すなわち、ピンチオフ部118同士が互いに当接する位置は、2枚の連続溶融樹脂シートP1、P2間で、両溶融樹脂シートP1、P2から等距離の位置とし、各金型32A,Bが金型駆動装置により駆動されてその位置に向かって移動するようにしている。
【0047】
なお、一方の連続溶融樹脂シートP1用の押出装置および一対のローラーと、他方の一方の連続溶融樹脂シートP2用の押出装置および一対のローラーとは、この閉位置に関して対称に配置されている。
【0048】
図5に示すように、分割金型32Aの内部には、真空吸引室80が設けられ、真空吸引室80は吸引穴82を介してキャビティ116Aの表面に連通し、真空吸引室80から吸引穴82を介して吸引することにより、キャビティ116Aの表面に向かって溶融樹脂シートP1を吸着させて、キャビティ116Aの外表面に沿った形状に賦形するようにしている。
また、分割金型32Bについても同様の構成を有し、分割金型32B内部の真空吸引室80から吸引穴82を介して吸引できるようになっている。
【0049】
次に、以上の構成を有する本実施形態の成形装置を用いた薄板樹脂製パネル100の製造方法について、
図3〜
図7を参照しながら説明する。
【0050】
まず、上述した断熱材ユニット110の製造では、上述のように、予め成形された蓋付き箱122に真空断熱材125を封入する。この蓋付き箱122を構成する蓋122Aと箱122Bの製造方法例について詳細に説明すれば、たとえばポリオレフィン系樹脂を押出機(図示せず)に供給し、加熱溶融しつつ混練してから所定量の発泡剤を添加し、押出機内で更に混練して発泡製溶融樹脂とし、発泡製溶融樹脂を発泡に適した樹脂温度および発泡製溶融樹脂が発泡を開始しない圧力下に維持しながらアキュームレータ(図示せず)に充填する。次いで、押出ヘッドのダイ先端のゲートを開いた状態で、アキュームレータのラム(図示せず)を押すことにより、発泡製溶融樹脂が低圧域に開放されて、発泡製の筒状パリソンPが形成される。この筒状パリソンPをたとえば、一対の金型の間に配置し、一対の金型を型締して、内部から加圧することにより、蓋付き箱122を構成する蓋122A、箱122Bを順次成形していくことができる。このような方法により、蓋付き箱122を成形する。
なお、蓋付き箱122は、ポリスチレン製発泡ビーズを用いた既知の製法により成形されたものを用いてもよい。
【0051】
一方、断熱材ユニット110を溶融樹脂シートと共に分割金型で型締めして成形する製造工程としては、
図3に示すように、溶融混練した熱可塑性樹脂をアキュムレータ22内に所定量貯留し、Tダイ28に設けられた所定間隔の押出スリット34から、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出すことにより、熱可塑性樹脂はスウェルし、溶融状態のシート状に下方に垂下するように所定の厚みにて所定押出速度で押し出される。
【0052】
次いで、一対のローラー30を開状態に移動し、押出スリット34の下方に配置された一対のローラー30同士の間隔を溶融樹脂シートPの厚みより広げることにより、下方に押し出された溶融樹脂シートPの最下部が一対のローラー30間に円滑に供給されるようにする。なお、ローラー30同士の間隔を溶融樹脂シートPの厚みより広げるタイミングは、押し出し開始後でなく、ワンショットごとに二次成形が終了時点で行ってもよい。
【0053】
次いで、一対のローラー30同士を互いに近接させて閉状態に移動し、一対のローラー30同士の間隔を狭めて溶融樹脂シートPを挟み込み、ローラーの回転により溶融樹脂シートPの厚みを調整して下方に送り出す。
【0054】
こうして、
図3に示すように、押出方向に一様な厚みで形成された溶融樹脂シートPを、一対のローラー30の下方に配置された分割金型32A,B間に配置する。これにより、溶融樹脂シートPは、シートの平面方向として、ピンチオフ部118のまわりにはみ出す位置で位置決めされる。
【0055】
以上の工程を、2枚の溶融樹脂シートP1、P2それぞれについて行い、上面側表皮層124Aの材料である溶融樹脂シートP2と、下面側表皮層124Bの材料である溶融樹脂シートP1とを互いに間隔を隔てた状態で、分割金型32A,B間に配置する。
この場合、2枚の溶融樹脂シートP1、P2はそれぞれ、互いに独立に、押し出しスリット34の間隔、あるいは一対のローラ30の回転速度を調整することにより、分割金型32A,B間に配置される際の厚みを調整可能である。
【0056】
次いで、
図4に示すように、型枠33Aを金型32Aに対して、下面側表皮層124Bの材料である溶融樹脂シートP1に向かって、金型32Aに対向する溶融樹脂シートP1の外表面117に当たるまで移動させる。なお、型枠33Bについても同様に、溶融樹脂シートP2の外表面117に当たるまで移動させる。
【0057】
次いで、
図4および
図5に示すように、金型32Aのキャビティ116A、型枠33Aの内周面、および金型32Aに対向する溶融樹脂シートP1の外表面により覆われた第1密閉空間84に対して、真空吸引室80から吸引穴82を介して吸引することにより、溶融樹脂シートP1をキャビティ116Aに対して押し付けて、キャビティ116Aの凹凸表面に沿った形状に溶融樹脂シートP1を賦形する。溶融樹脂シートP2についても同様に金型32Bから吸引して、賦形する。
【0058】
次いで、
図5に示すように、上述のようにして予め製造された断熱材ユニット110を分割金型32A,Bの間に配置し、溶融状態の樹脂シートP1に対して押し付けて、溶着させる。断熱材ユニット110は、たとえば既知の吸着式マニュプレータを用いて、断熱材ユニット110の側面を吸着保持しながら分割金型32の間に配置し、溶融樹脂シートP1に対して溶着させた後、吸着式マニュプレータを断熱材ユニット110から脱着して、分割金型32の間から引っ込めればよい。
【0059】
次いで、
図6に示すように、溶融樹脂シートP1、P2それぞれの外表面に当接する型枠33A、33Bをそのままの位置に保持した状態で溶融樹脂シートP1、P2を吸引保持しつつ、それぞれの環状のピンチオフ部118A,B同士が当接するまで両金型32A,Bを互いに近づく向きに移動させる。この場合、ピンチオフ部118A,B同士の型締方向の当接位置は、互いに離間する2枚の溶融樹脂シートP1,P2の間となるところ、
図6に示すように、ピンチオフ部118A,B同士が当接することにより、2枚の溶融樹脂シートP1,P2は互いの周縁部同士で溶着固定される。また、内部に断熱材ユニット110を配置した状態で、下面側表皮層124Bおよび上面側表皮層124Aそれぞれが断熱材ユニット110と溶着される。
【0060】
次いで、
図7に示すように、分割金型32A,Bを型開きして、成形された薄板樹脂製パネル100を取り出し、ピンチオフ部118A,Bの外側のバリ部分Bを切断し、これで成形が完了する。
【0061】
以上のように、一次成形において溶融樹脂を間欠的に押し出すたびに、以上のような型締工程を繰り返すことにより、シート状の薄板樹脂製パネル100を次々に成形することが可能である。すなわち、一次成形(押出成形)により熱可塑性樹脂を間欠的に溶融樹脂シートPとして押し出し、二次成形(ブロー成形あるいは真空成形)により押し出された溶融樹脂シートPを金型を用いて成形することが可能である。
【0062】
<本実施形態の効果>
以上のように、上述した実施形態では、発泡樹脂製の蓋付き箱122内に真空断熱材125を封入した断熱材ユニット110をまず製造し、その断熱材ユニット110の外側に溶融状態の樹脂シートP1、P2を配置して分割金型で型締めして成形し、表皮層124を形成している。このため、溶融樹脂シートP1、P2で表皮層124を形成する際にも、その溶融樹脂シートの熱が真空断熱材125に直接伝わることがないようにすることができる。
【0063】
真空断熱材125は、上述のように薄いフィルムの内部に芯材を封入して減圧した構成となっている。このため、溶融状態の樹脂シートを直接接触させるとその熱により表面のフィルムが破損し、フィルム内部の減圧状態を維持できなくなる虞がある。
【0064】
これに対し、上述した実施形態によれば、断熱材ユニット110をまず製造してから溶融樹脂シートP1、P2で表皮層124を形成するため、溶融樹脂シートの熱で真空断熱材125を破損してしまうことなく、安定した品質の薄板樹脂製パネル100を確実に製造することができる。
【0065】
このため、表面に薄いフィルムを用いた従来既知の比較的安価な真空断熱材を用いて、薄板樹脂製パネル100を製造できる。このため、薄板でありながら十分な断熱性を有する樹脂製パネルを低コストで製造することができる。
【0066】
また、薄板樹脂製パネル100の表面は、溶融樹脂シートP1,P2を分割金型32A,32Bにより型締めして成形しているため、分割金型32A,32Bのキャビティ116の形状により、表面を凹凸など各種の形状とすることも容易に可能となる。
【0067】
また、薄板樹脂製パネル100は、内部の真空断熱材125の周囲が発泡体で覆われているため、外部から衝撃を受けた場合であっても、発泡体が衝撃を吸収するため、真空断熱材125の破損を防止することができる。また、表面を凹凸形状にすることで、例えば、他部材への取付が容易になり、施工性を向上させることができる。また、パネルの厚み方向に凹凸形状を形成することにより、厚み方向と平行な方向からの衝撃を吸収する効果を高めることができる。
【0068】
<本実施形態の他の形状例>
次に、上述した実施形態の薄板樹脂製パネル100の他の形状例について、
図8〜
図10を参照して説明する。
【0069】
上述した実施形態の薄板樹脂製パネル100は、溶融樹脂シートP1,P2を分割金型32A,32Bにより型締めすることにより表皮層124A,Bが成形されているため、上述のように、分割金型32A,32Bのキャビティ116の形状により、表面を凹凸など各種の形状とすることも容易に可能となっている。
【0070】
このため、例えば
図8に示すように、他の部材と接続するためのフランジ部などの板状部分124Cを、表皮層124A,Bに連接させて設ける形状としてもよい。板状部分124Cの形状は、分割金型32A,32Bのキャビティ116を対応する形状とすることで、各種の形状とすることができる。
【0071】
また、例えば
図9に示すように、表皮層124A,Bと断熱材ユニット110との間に空洞を設けた形状としてもよい。
【0072】
図9(a)の場合、分割金型32A,32Bのキャビティ116A,Bを凹凸のある形状にしておき、
図5で上述したように溶融樹脂シートP1,P2を分割金型32A,32Bのキャビティ116A,Bに吸着させ、溶融樹脂シートP1,P2をキャビティ116A,Bの凹凸形状に賦形してから、断熱材ユニット110を配置して型締めし、成形する。こうして溶融樹脂シートP1,P2をキャビティ116A,Bの凹凸形状に沿う形状としてから、異なる表面形状の断熱材ユニット110を溶着させることにより、その凸部の内側を空洞として成形することができる。
【0073】
凹凸の位置は、
図9(a)に示すような板状の断熱材ユニット110における厚み方向に限定されず、板状の断熱材ユニット110の平面方向における側面部分に設けられた場合であってもよい。この場合も、分割金型32A,32Bのキャビティ116A,Bを対応する凹凸形状にしておくことで同様に製造することができる。
【0074】
また、
図9(b)は、表皮層124を、板状の断熱材ユニット110の平面方向について、その断熱材ユニット110よりも大きめに形成し、断熱材ユニット110と表皮層124との間を空洞としたものである。この場合、分割金型32A,32Bのキャビティ116A,Bを、板状の断熱材ユニット110の平面方向について、その断熱材ユニット110よりも大きめに形成しておくことで同様に製造することができる。
【0075】
図9(b)のように構成することにより、断熱材ユニット110を量産品として同サイズで大量に製造しておき、その後、薄板樹脂製パネル100を製造する際にもう少し大きいサイズが必要となった場合であっても、分割金型32A,32Bのキャビティ116A,Bの設計変更で対応することができる。このため、予め製造しておく断熱材ユニット110の在庫ロスを低減でき、かつ、断熱材ユニット110の大量生産が可能となり、薄板樹脂製パネル100をより低コストで製造することができる。
【0076】
また、例えば
図10に示すように、表皮層124A,Bを凹凸のある形状とし、かつ、断熱材ユニット110の表面を予めその凹凸に対応した形状としておくことにより、表皮層124A,Bが凹凸のある形状でありながら、断熱材ユニット110における凸部内にも表皮層124が隙間なく充填された構成とすることもできる。
この場合、分割金型32A,32Bのキャビティ116A,Bと、所定位置に配置された断熱材ユニット110の表面との間が略等間隔となるよう、分割金型32A,32Bのキャビティ116A,Bおよび断熱材ユニット110を製造しておくことで、同様に製造することができる。
【0077】
図10(b)のように構成することにより、表面に凹凸のある形状でありながら、断熱材ユニット110と表皮層124との間に空洞がなく、表皮層124が隙間なく充填され、強度及び断熱性に優れた薄板樹脂製パネル100を製造することができる。
【0078】
<他の実施形態>
次に、
図11を参照しながら、本発明の他の実施形態について説明する。
他の実施形態は、上述した実施形態における断熱材ユニット110を、型枠材126内部に発泡充填剤を充填することで製造するようにしたものである。
【0079】
図11(a)に示すように、他の実施形態による断熱材ユニット110は、型枠材126内に、上述した実施形態と同様の真空断熱材125と、発泡層128とを有して構成される。
【0080】
型枠材126の内側底面には、
図11(b)に示すように、凸部127が所定数設けられ、この凸部127により、真空断熱材125と型枠材126内壁との間に略等間隔の隙間が空くように真空断熱材125を保持できるようになっている。凸部127の数や配置は、
図11(b)に示すものに限定されず、真空断熱材125を保持可能であれば任意の数や配置であってよい。
【0081】
また、真空断熱材125と型枠材126内壁との間の間隔は、断熱材ユニット110の外側に配置される溶融樹脂シートの温度や厚み等の条件に応じて、その溶融樹脂シートの熱から真空断熱材125表面を確実に保護しうる断熱性を有するように適宜定めることとなる。
【0082】
また、型枠材126は、上述のような所定形状を有するものであれば、予め成形された樹脂成形品であってもよく、他の材質により予め製造されたものであってもよい。
【0083】
断熱材ユニット110の製造の際には、まず、型枠材126内の凸部127上に、上述した実施形態と同様の真空断熱材125を配置し、型枠材126内の真空断熱材125との間の隙間に発泡充填剤を充填する。発泡充填剤としては、例えば注入型の発泡ウレタンなど、断熱性を有する各種のものを用いてよい。
【0084】
こうして発泡充填剤を充填した後、上下の型枠材126A,Bの継ぎ目を熱で溶着、または接着剤で接着する。
【0085】
断熱材ユニット110の製造後は、上述した実施形態と同様に2枚の溶融樹脂シートを配置して型締めし、成形する。こうして他の実施形態による薄板樹脂製パネル100を製造することができる。
【0086】
他の実施形態による薄板樹脂製パネル100によっても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。また、他の実施形態による薄板樹脂製パネル100によっても、上述した実施形態と同様の各種形状を実現することができる。
【0087】
<各実施形態について>
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0088】
例えば、分割金型32A,32Bのキャビティ116A,Bの形状は、上述した実施形態に限定されず、任意の形状であってよい。
【0089】
また、上述した各実施形態では、一対の分割金型32A,32Bを用いた場合について説明しているが、分割金型の分割数は、2つに限定されず、任意の数に分割された分割金型を用いても、本発明は同様に実現することができる。
【0090】
また、上述した各実施形態では、2枚の溶融樹脂シートP1,P2を断熱材ユニット110の外側に配置することとして説明したが、溶融樹脂シートは2枚に限定されず、任意の枚数であってよい。
また、溶融樹脂シートを押し出す押出装置12の配置台数は2台に限定されず、目的とする成形品の形状などに応じて任意の数であってよい。
【0091】
また、溶融樹脂シートは単層に限定されず、例えば外側に非発泡層、内側に発泡層が配置された多層構造であってもよい。
【0092】
また、押出装置12の構成は、上述した実施形態の構成に限定されず、溶融状態の樹脂シートを押し出すことができれば任意の構成であってよい。