(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記昇温する手段での前記排気弁の開弁のタイミングから閉弁のタイミングまでの間の範囲内に、前記燃料噴射弁の追加噴射を開始するタイミングと終了するタイミング、又は前記添加弁の噴射を開始するタイミングと終了するタイミングが設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
【背景技術】
【0002】
現在、エンジン(内燃機関)の排ガスを処理する後処理装置として、PM(微粒子)を捕集するDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルタ)や、deNOx触媒(酸化窒素化合物還元触媒)、DOC(ディーゼル用酸化触媒)、及び尿素SCR触媒(尿素選択的還元触媒)などの触媒装置がある。実際にエンジンの排気路に設ける場合はそれらを組み合わせて、排ガスを浄化している(例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)。
【0003】
この後処理装置で排ガスを浄化する際には、排ガス温度を200度〜250度程度の高温に昇温して触媒装置の触媒を活性化させることが重要である。また、DPFに捕集されたPMを燃焼して、DPFを再生する際には、燃料を供給し燃焼させて昇温することが必要となる。
【0004】
そこで、排ガスを高温状態にすると共に、未燃燃料を排気弁から排出するように、インジェクタで主噴射直後のポスト噴射を行っている。
【0005】
このポスト噴射はシリンダ内の排ガス温度が低下した状態で行われる場合には、シリンダライナに燃料が付着してオイル中に燃料が希釈し、エンジンの耐久性が低下するという問題を生じる。また、低圧、低温の状態のシリンダ内に噴射する為、供給燃料の熱分解も進まず、触媒に有利なHC成分までの分解が進まないという問題もある。
【0006】
この問題に対して、排気管へ直接HCを添加する方法もあり、この方法ではオイルへの燃料希釈は防げるが、筒内より更に低温低圧下への噴射であるため、ポスト噴射より更に燃料の熱分解に時間がかかるという問題は解決できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の構成に少しの構成を追加するだけで、若しくは全く追加せずに、排ガスを処理する後処理装置の早期の昇温を促進し、且つ、未燃燃料成分を多く含んだ排ガスを後処理装置に供給することができる内燃機関とその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を解決するための本発明の内燃機関は、排ガスの後処理装置と、排気弁の開弁時期を自在に変化できる可変弁機構を備える内燃機関において、
前記後処理装置を再生するときに、前記可変弁機構が
、前記排気弁を
排気行程で開閉する前に、
膨張行程の後燃え期間の範囲内で開弁し
、その膨張行程の下死点前で閉弁する膨張行程の開弁期間により、気筒内へ噴射された燃料の燃焼による排ガスを前記後処理装置へと供給することにより、前記後処理装置を昇温する手段を備えると共に、前記昇温する手段での
前記開弁期間に合わせて、気筒内の燃料噴射弁の
アフター噴射、又は、排気路に設けた添加弁の
前記アフター噴射と同じタイミングの噴射の少なくともどちらか一方により前記後処理装置に未燃燃料成分を供給
して酸化させる手段を備えて構成される。
【0010】
この構成によれば、従来の構成に少しの構成を追加するだけで、若しくは全く追加せずに、排気弁開閉タイミングを変更するだけで、高温になった排ガスを、後処理装置(DPF、触媒)に供給して、後処理装置の触媒の温度を急速に上昇することができる。また、その後、燃料噴射弁の追加噴射、又は添加弁の噴射の少なくともどちらか一方により未燃燃料成分(以下、HC成分という)を排ガスに添加することで、HC成分が多く含んだ排ガスを後処理装置に供給することができる。
【0011】
そのため、後処理装置の触媒に熱分解が進行したHC成分を供給することができ、また、高温の状態のDPF再生用燃料を供給することができる。この結果、触媒に至る前でHCの分解を促進することができるので、触媒の貴金属量を減らすことができ、コストダウンができる。加えて、HC分解の触媒依存度が低くなるので、触媒が劣化しても後処理装置の再生を安定して行うことができる。
【0012】
また、上記の内燃機関において、
膨張行程における前記排気弁の開弁のタイミング
が、膨張行程の早期で、且つ前記後燃え期間の範囲内である20°ATDC〜50°ATDCに設定
され、前記排気弁の閉弁のタイミングを下死点より前の50°ATDC〜90°ATDCに設定
されると、後燃え期間の開始(〜ATDC15°程度)後で、主噴射により気筒が高温、且つ高圧の状態になったタイミング、つまり非常に早期の膨張行程(ATDC20°〜50°)で、排気弁を開弁することで、非常に高い温度(800℃〜400℃)で、未燃燃料を含んだ排ガスを後処理装置に供給して、触媒の早期昇温とPM再生を行うことができる。
【0013】
また、下死点よりも前に閉じることで、膨張行程初期に開いた後に、気筒内が負圧となり排ガスが吸い戻されることを防ぐことができる。この後、排気弁は排気行程で通常の開閉を行い燃焼後の排ガスを排出する。
【0014】
加えて、上記の内燃機関において、前記昇温する手段での前記排気弁の開弁のタイミングから閉弁のタイミングまでの間の範囲内に、前記燃料噴射弁の追加噴射を開始するタイ
ミングと終了するタイミング、又は前記添加弁の噴射を開始するタイミングと終了するタイミング
が設定
されると、高温、且つ高圧下でHCの分解が促進され、HCガス化した状態の排ガスを後処理装置に供給することができる。これにより、シリンダ内に未燃燃料が付着することを防ぐことができる。
【0015】
その上、上記の内燃機関において、多気筒内燃機関の何れか1つの気筒の排気ポートに前記添加弁を備えると、排ガスが高温を保っている状態で添加剤を噴射することができるので、HC成分のガス化を促進することができる。また、多気筒内燃機関の場合、そのガス化の促進を考慮した場合は、何れか1つの気筒の排気ポートに添加弁を備えると、最も効率よくHC成分をガス化することができる。
【0016】
さらに、上記の内燃機関において、前記後処理装置に尿素SCR触媒を含むと共に、
膨張行程における前記排気弁の開弁のタイミングから閉弁のタイミングまでの間の範囲内に尿素水を噴射する尿素添加弁を排気ポートに備えると、高温下で尿素の分解が促進され、始動直後からdeNOx効果を向上することができる。
【0017】
さらに、上記の内燃機関において、前記昇温する手段により前記後燃え期間の範囲内で前記排気弁の開弁する同一サイクル内で、前記昇温する手段
による前記後燃え期間の範囲内での前記排気弁の開弁前に、前記排気弁を一旦開弁することで低下するトルクを補うように、前記燃料噴射弁の主噴射量を増加させる手段を備えると、膨張行程の早期に排気弁を一旦開弁することで低下するトルクを、主噴射量を増やすことによって、補正することができる。このとき、通常燃焼時と同じトルクになるような補正量を、エンジン回転と燃料噴射量に対する補正量マップから参照するとよい。
【0018】
また、上記の問題を解決するための内燃機関の制御方法は、排ガスの後処理装置を備える内燃機関の制御方法において、
前記後処理装置を再生するときに、
前記排気弁を
排気行程で開閉する前に、
膨張行程の後燃え期間の範囲内で開弁し、
その膨張行程の下死点前で閉弁する膨張行程の開弁期間により、気筒内へ噴射された燃料の燃焼による排ガスを前記後処理装置へと供給し、
前記開弁期間に合わせて、気筒内の燃料噴射弁の
アフター噴射により、又は、排気路に設けた添加弁の
前記アフター噴射と同じタイミングの噴射により、前記後処理装置に未燃燃料成分を供給
して酸化することを特徴とする方法である。
【0019】
この方法によれば、従来の構成に少しの構成を追加するだけで、若しくは全く追加せずに、上記と同様の作用効果を得ることができる。そのため、殆ど追加コストがかからないので、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来の構成に少しの構成を追加するだけで、若しくは全く追加せずに、排ガスを処理する後処理装置の早期の昇温を促進し、且つ、未燃燃料成分を多く含んだ排ガスを後処理装置に供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態の内燃機関とその制御方法について、図面を参照しながら説明する。この実施の形態は、直列4気筒のディーゼルエンジンを例に説明するが、本発明はディーゼルエンジンに限定せずに、ガソリンエンジンにも適用することができ、その気筒数や、気筒の配列は限定しない。なお、図面に関しては、構成が分かり易いように寸法を変化させており、各部材、各部品の板厚や幅や長さなどの比率も必ずしも実際に製造するものの比率とは一致させていない。
【0023】
まず、本発明に係る第1の実施の形態の内燃機関について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。先に、
図1に示す本発明に係る第1の実施の形態のエンジン(内燃機関)のシリンダ(気筒)について説明する。多気筒エンジンのシリンダ1は、シリンダライナ2の内を往復運動するピストン3を備える。
【0024】
このピストン3の上部に燃焼室4を設け、この燃焼室4へ燃料を噴射するインジェクタ
(燃料噴射弁)5、燃焼室4から排ガスGaを排出する排気弁装置6、及び燃焼室4へ空気Aiを供給する吸気弁装置7を備える。
【0025】
インジェクタ5は、少なくともメイン噴射(主噴射)の後に、アフター噴射(追加噴射)する多段噴射可能な噴射弁であり、メイン噴射の前にパイロット噴射やプレ噴射するよう構成してもよい。
【0026】
排気弁装置6は、弁駆動装置6bによって排気バルブ6aを開閉し、排気ポート8aへ排ガスGaを排出する。弁駆動装置6bは、可変バルブタイミング機構(可変弁機構)11と接続され、排気バルブ6aの開弁、及び閉弁タイミングを自由に変更することができる。
【0027】
この可変バルブタイミング機構11は、例えば、弁駆動装置6bをカム機構で形成し場合に、可変バルブタイミング機構11を油圧によりカム機構をクランクシャフトから進角、又は遅角する装置で形成する。これらは、所謂、位相変化型可変バルブタイミング機構と呼ばれるものである。排気バルブ6aの開弁のタイミングを可変する場合は、カムプーリとカムシャフトとの間に設けた油圧室の油圧によって、クランクシャフトとカムシャフトとの位相を進角、又は遅角させることで、排気バルブ6aの開弁のタイミングを可変する。
【0028】
この弁駆動装置6bと可変バルブタイミング機構11は、上記の構成に限定せず、例えば、弁駆動装置6bに複数のカムを有するカム機構を設け、可変バルブタイミング機構11にその複数のカムを切り換える装置や、排気弁装置6にソレノイド電磁弁を用いてもよい。
【0029】
吸気弁装置7は、弁駆動装置7bによって吸気バルブ7aを開閉し、吸気ポート9aから空気Aiを供給する。弁駆動装置7bは、カム機構やソレノイドにプランジャを設ける電磁駆動装置などを用いる。この弁駆動装置7bは、周知の技術の弁駆動装置を用いることができる。
【0030】
インジェクタ5、及び可変バルブタイミング機構11をそれぞれエンジンコントロールユニットと呼ばれるECU(制御装置)12でそれらの動作を制御するように構成する。この、ECU12は、各種センサと接続され、電気回路によってエンジン10の制御を担当している電気的な制御を総合的に行うマイクロコントローラであり、この実施の形態ではインジェクタ5の燃料噴射量及び燃料噴射、及び排気バルブ6aの開弁タイミングを制御している。
【0031】
図2に示すように、この実施の形態のエンジン10は、上記のシリンダ1をシリンダブロックとシリンダヘッドからなるエンジン本体13に設け、排気ポート8aと排気マニホールド8bとからなる排気路8、及び吸気ポート9aと吸気マニホールド9bとからなる吸気路9を備える。加えて、ターボチャージャ14と、EGRクーラー15aとEGRバルブ15bを備えたEGR装置(排気再循環装置)15を備える。
【0032】
排気路8には、排ガスを処理する後処理装置20を設け、後処理装置20は、触媒装置21とDPF22とを備える。触媒装置21は、LNT触媒を有するdeNOx触媒(酸化窒素化合物還元触媒)21a、DOC(ディーゼル用酸化触媒)21bとからなる。吸気路9には、吸気フィルタ16、インタークーラー17、及び吸気スロットル18を備える。
【0033】
また、前述したECU12と接続されるセンサとして、クランク角センサ23、カム角
センサ24、DPF温度センサ25aと25b、及びDPF差圧センサ26aと26bを備える。このクランク角センサ23で検知されたクランク角とカム角センサ24で検知されたカム角を用いて、ECU12が、インジェクタ5の噴射タイミングや、排気バルブ6aの開弁タイミングを調節している。エンジン10にはその他にも各種センサが設けられているが、実施の形態の説明では省略する。
【0034】
上記のエンジン10の構成は、周知の構成であり、各装置も周知の技術を用いることができる。この実施の形態においては、少なくともdeNOx触媒21aやDOC21bなどの触媒装置21とDPF22を備える後処理装置20を排気路8に設け、且つ排気バルブ6aの開弁タイミングを自在に変更できる可変バルブタイミング機構11を設けていれば、他の構成は上記の構成に限定しない。
【0035】
次に、エンジン10の動作について、
図3、及び
図4を参照しながら説明する。ここで燃焼の上死点前で、噴射初期の予混合燃焼期間をPB、主燃焼の拡散燃焼期間をDB、膨張行程初期で噴射された未燃燃料が燃焼する期間である後燃え期間をABとする。また、インジェクタ5の主噴射の開始タイミングをA1、終了タイミングをA2、膨張行程での排気バルブ6aの開弁タイミングをA3、閉弁タイミングをA4、排気行程での排気バルブ6aの開弁タイミングをA5とする。
【0036】
後処理装置20の温度を昇温する場合に、又はDPF23のPMを燃焼させて再生する場合に、先ず、
図3の(a)に示すように、ECU12が、インジェクタ5の噴射のタイミングを通常噴射時期のまま、可変バルタイミング機構11を制御して、通常時の排気行程で行われるタイミングとは別のタイミングで、排気バルブ6aを開弁、及び閉弁する。
【0037】
次に、インジェクタ5が噴射開始タイミングA1から噴射終了タイミングA2まで、主噴射を行う。そして、噴射終了タイミングA2から後燃え期間ABが始まる。この後燃え期間ABの範囲内で排気バルブ6aを開弁する。このときの排気バルブ6aの開弁タイミングA3は、膨張行程の早期の、後燃え期間ABが始まってから直ぐのタイミングである。
【0038】
この実施の形態では、後燃え期間ABの開始は、噴射終了タイミングA2からであり、詳しくは0°ATDC〜20°ATDCの範囲内で、その終了は、下死点(90°ATDC)より前になる。よって、開弁タイミングA3は、膨張行程早期の後燃え期間ABの開始から下死点までの範囲内であって、好ましくは0°ATDC〜90°ATDCの範囲内で、より好ましくは20°ATDC〜50°ATDCの範囲内である。
【0039】
排気バルブ6aを非常に早期の膨張行程の開弁タイミングA3で開弁することで、
図4に示すように、非常に高い排ガス温度(800℃〜400℃)の排ガスGaを後処理装置20へ供給することができる。また、開弁タイミングA3は後燃え期間ABの範囲内でもあるので、シリンダ1内には未燃燃料が残っており、高温、且つ高圧下でガス化した未燃燃料成分(以下、HC成分という)を後処理装置20へ供給することができる。
【0040】
膨張行程の初期に開弁すると、逆にシリンダ1内が負圧となり排ガスGaを吸い戻す可能性があるので、遅くとも下死点より前に閉じることが必要であり、排気バルブ6aの閉弁タイミングA4は、
図3の(a)に示すように、下死点より前のタイミングであり、好ましくは50°ATDC〜90°ATDCである。これにより、排ガスGaがシリンダ1内へ吸い戻されることを防ぐことができる。
【0041】
その後、排気バルブ6aを通常の開弁タイミングA5で再度開いて残りの燃焼後排ガスGaを排出する。この動作を行なって、高温、且つ高圧の排ガスGaを後処理装置20へ
供給して、後処理装置20の触媒装置21、及びDPF22の一部又は全部を予め設定した温度以上に昇温した後に、
図3の(b)に示すように、排気バルブ6aの開弁タイミングA3、及び閉弁タイミングA4を代えずに、ECU12がインジェクタ5を制御して、主噴射の後にアフター噴射を開始する。
【0042】
このアフター噴射の開始タイミングと終了タイミングは、排気バルブ6aの開弁タイミングA3から閉弁タイミングA4の期間の範囲内であればよく、この実施の形態では、略同時とする。従来、膨張行程初期の後燃え期間が長引くと排気温度は上昇し、ススの生成が増える傾向がある。しかし、この実施の形態では、アフター噴射で噴射した燃料は排気バルブ6aが開弁しており、直ぐに排気管に排出されるので、ススの生成は起こらない。この未燃燃料は高温、且つ高圧下で燃料分解が進み、後処理装置20での利用に適したHC成分とする事ができる。
【0043】
上記の動作によれば、非常に早期の膨張行程の後燃え期間ABの範囲内で、排気バルブ6aを開弁するので、拡散燃焼期間DBで高温、且つ高圧になった排ガスGaを後処理装置20へ供給して昇温した後に、HC成分を多く含んだ状態で後処理装置20へ供給することができるので、後処理装置20の一部、又は全てを昇温し、昇温後に触媒装置21、及びDPF22へ熱分解が進行し、ガス化したHC成分を供給することができる。
【0044】
また、ポスト噴射を行わずにDPF22でのPMの再生を行うことができ、ポスト噴射を用いてPMの再生を行ったときに発生する、シリンダライナ2に燃料が付着して、オイルが希釈し、ブローバイガスが増加することで、エンジン10の耐久性を著しく低下させるという問題を解決することができる。
【0045】
これにより後処理装置20は、さらに以下の効果を得ることができる。deNOx触媒21aにおいて、冷間時の早期昇温やリッチ時のHC分解により浄化率を向上させることできる。また、DOC21bにおいて、供給されたHC成分が高温の排ガスGa下で容易に燃焼させることができ、熱容量も小さいので、特に始動直後などの触媒装置の急速昇温を促進することができる。加えて、deNOx触媒21aやDOC21bなどの触媒装置21において、HC成分の分解を促進できるので、触媒装置21の貴金属量を減らすことができ、コストダウンすることができる。さらに、DPF22において、HC成分の分解の触媒依存度が低いので、触媒が劣化してもPM再生を安定して行うことができる。
【0046】
その上、上記の効果を別途、装置を追加することなく、排気バルブ6aの開閉タイミングの変更や、インジェクタ5の噴射タイミングの変更のみで、殆ど追加コストを掛けずに得ることができる。
【0047】
上記の動作を行うときに、インジェクタ5から噴射される主噴射の噴射量を増やすと、膨張行程の早期に排気バルブ6aを開弁することでトルクの低下を防ぐことができる。このときの噴射量は、排気バルブ6aを開弁することで低下するトルク分を補って、通用燃焼時と同等のトルクを得ることができるように、エンジン回転数と燃料噴射量に対する補正量マップをECU12に記憶させておき、上記の動作の際にECU12がその補正量マップを読み出して噴射量を補正する。
【0048】
次に、上記のエンジン1の制御方法を、
図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。このフローチャートに記載の制御方法はECU12で演算されるプログラムである。ここで、DPF22の上流に設けたDPFセンサ25aで検知する温度をDPF22の前温度Ta、DPF22の下流に設けたDPFセンサ25bで検知する温度をDPF22の後温度Tb、DPF差圧センサ26aと26bで検知するDPF22の前後の圧力差をΔPとする。
【0049】
先ず、DPF22の前温度Taが、予め定めた判定温度Tcよりも低いか否かを判断するステップS1を行う。この判定温度Tcは、後処理装置20内の触媒装置の温度が低いことを判断することができる温度である。この判定温度Tcは触媒装置の種類や、排気路8内の構成によって変わる温度である。
【0050】
次に、DPF22の前後の圧力差ΔPが、予め定めた判定圧力値Pcよりも小さいか否かを判断するステップS2を行う。DPF22の前後の圧力差ΔPが大きくなると、DPF22にPMが詰まっているということが分かるので、この判定圧力値Pcは、DPF22内にPMが詰まり機能が低下しない程度を判断することができる値に設定する。
【0051】
ステップS1とS2でDPF前温度Taが低い、つまり後処理装置20内の触媒装置21の昇温が必要と判断され、且つDPF22の前後の圧力差ΔPが大きい、つまりDPF22の再生が必要と判断された場合は、次に、インジェクタ5が噴射量を増加した主噴射を行うステップS3を行う。この噴射量の増加量は、前述した通り噴射量の補正マップで補正されたものを用いて、以下に行われる行程によって生じるトルクの低下を防止する。
【0052】
次に、排気バルブ6aを膨張行程の早期の後燃え期間ABで開弁し、下死点前で閉弁するステップS4を行う。このときの開弁タイミング、及び閉弁タイミングは前述した開弁タイミングA3、及び閉弁タイミングA4とする。次に、排気バルブ6aを排気行程で開弁して、閉弁するステップS5を行う。
【0053】
次に、DPF22の前温度Taが触媒活性温度Td以上か否かを判断するステップS6を行う。このステップS6でDPF22の前温度Taが触媒活性温度Tdよりも低い場合は、つまり十分に後処理装置20の触媒装置21が昇温できていない場合は、再度ステップS3からステップS5までを行う。この触媒活性温度Tdは、後処理装置20の触媒装置21が予め定めた温度以上になったときに示す温度であり、後処理装置20の触媒装置21の種類などにより変化し、好ましくは180℃〜250℃の範囲内に設定する。
【0054】
DPF22の前温度Taが触媒活性温度Td迄達すると、次に、排気バルブ6aを膨張行程の早期の後燃え期間ABで開弁するステップS7を行う。次に、インジェクタ5が、排気バルブ6aが開弁してから、閉弁するまでの間に、アフター噴射を行うステップS8を行う。そして、排気バルブ6aを下死点前で閉弁するステップS9を行う。このステップS7〜S9は、前述のステップS4の間に、アフター噴射を行うステップである。これでHC成分が触媒装置21に供給され、燃焼して触媒装置21の温度がさらに上昇する。また、DPF22にHC成分が供給され、PMを燃焼する。
【0055】
次に、排気バルブ6aを排気行程で開弁して、閉弁するステップS10を行う。次に、DPF22の前温度Taが異常触媒温度Te以上か否かを判断するステップS11を行う。DPF22の前温度Taが異常触媒温度Te以上になると、触媒装置21の温度が上がり過ぎてしまい、触媒装置21が故障してしまうので、この場合に、この制御方法は完了する。この異常触媒温度Teは、予めECU12に記憶されており、好ましくは650℃〜750℃に設定する。
【0056】
このステップS11では、触媒装置21の温度の異常昇温を判断することができればよく、上記の方法に限定しない。例えば、アフター噴射で噴射された燃料量から発熱量を算出し、触媒の特性と合わせて触媒温度を推定する触媒温度推定ステップを行ってもよい。
【0057】
DPF22の前温度Taが異常触媒温度Teよりも低い場合は、次に、DPF22の前後の圧力差ΔPが判定圧力値Pcよりも小さいか否かを判断するステップS1
2を行う。圧力差ΔPが判定圧力値Pcよりも小さい場合は、DPF22のPMを再生できたことになり、この制御方法は完了する。
【0058】
圧力差ΔPが判定圧力値Pc以上の場合は、次に、DPF22の後温度Tbが異常DPF温度Tf以上か否かを判断するステップS1
3を行う。DPF22の後温度Tbが異常DPF温度Tf以上でなると、DPF22の温度が上がり過ぎてしまい、DPF22が故障してしまうので、この場合に、この制御方法は完了する。この異常DPF温度Tfは、予めECU12に記憶されており、好ましくは650℃〜750℃に設定する。
【0059】
以上のエンジン1の制御方法によれば、排気バルブ6aの開閉タイミングとインジェクタ5の噴射タイミングを変更するだけで、別途新たな装置を追加することなく、上記のエンジン1の動作で述べた作用効果を得ることができる。加えて、触媒装置21の温度、及びDPF22の温度をモニタリングし、各装置の異常昇温を防止することができる。上記の方法以外にも、各装置の異常昇温を検知したときに、膨張行程初期のアフター噴射で噴射される燃料量を調節する方法や排気バルブ6aの開弁開始時期を遅角させる方法を用いて、各装置の温度を調整してもよい。
【0060】
次に、本発明に係る第2の実施の形態のエンジンについて、
図6を参照しながら説明する。このエンジン30は、第1の実施の形態のエンジンの構成に加えて、排気ポート8aにHC添加ノズル(添加弁)31を備える構成である。この実施の形態のように、HC添加ノズル31を設ける場合は、インジェクタ5がユニットインジェクタなどで、多段噴射に対応していない場合、また、多段噴射に対応していてもアフター噴射量が増えるとオイル希釈の問題が発生する場合、さらに、アフター噴射量が増えると筒内の燃焼に影響を与える場合などに適用するとよい。
【0061】
このHC添加ノズル31は、出来るだけ排ガスGaが高温を保っている状態で噴射し、ガス化を促進することができるように、燃焼室4の近傍の排気ポート8aに備えることが好ましい。また、HC添加ノズル31の配置数は、エンジン30のように多気筒エンジンであれば、いずれか一つのシリンダ1の排気ポート8aに備えると、HC成分のガス化に好適である。加えて、その配置位置は、仮に排気ポート8aへの取り付けが難しい場合は、ターボチャージャ14直下の排気マニホールド8b内がよい。
【0062】
このエンジン30の動作は、第1の実施の形態で説明したアフター噴射に加えて、又は、アフター噴射を行わずに、HC添加ノズル31からHCを排ガスGaに添加する、この時のHC添加ノズル31の噴射タイミングは前述の追加噴射で説明した範囲内のタイミングとする。
【0063】
この構成によれば、アフター噴射の代わりにHC添加ノズル31を用いても、前述と同様の作用効果を得ることができるので、アフター噴射を行うことができないエンジンにも適用することが可能となる。
【0064】
次に、本発明に係る第3の実施の形態のエンジンについて、
図7を参照しながら説明する。このエンジン40は、第1の実施の形態のエンジンの後処理装置の触媒装置のdeNOx触媒に変えて、尿素SCR触媒(尿素選択的還元触媒)41aを備えると共に、排気ポート8aに尿素添加ノズル42を備える。この尿素添加ノズル42は、排気ポート8a若しくは排気ポート8aの近傍に設けられ、膨張行程の早期の排気バルブ6aからの高温の排ガスGaの排出時に尿素水を噴射する噴射弁である。その噴射のタイミングは、前述のHC添加ノズルと同様のタイミングとする。
【0065】
この構成によれば、高温、且つ高圧下で尿素の分解が促進され、尿素が早期に蒸発し、
アンモニアガス化を促進することができ、エンジン40の始動直後からdeNOx効果を発揮することができる。また、尿素水が特定の温度下で固形物質として析出することを防ぐことができるので、排気管を閉塞することがなくなる。
【0066】
次に、本発明にかかる第4の実施の形態のエンジンについて、
図8を参照しながら説明する。このエンジン50は、第1の実施の形態のエンジンの構成に加えて、各排気ポート8aにポート内酸化触媒51を備える。この構成によれば、ポート内酸化触媒51に供給されたHC成分が高温排ガス下で容易に燃焼させることができ、熱容量も小さくすることができるので、特に、始動直後の触媒を急速に昇温することができる。
【0067】
上記の第1〜第4の実施の形態を車両に搭載するときには、それぞれ組み合わせてもよい。