(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1開度に変更した後所定時間経過後の前記製氷蒸発器の冷媒温度に基づいて、前記電子膨張弁の開度を前記第1開度から前記第2開度に変更するように構成されている、請求項1または2に記載のオーガ式製氷機。
前記制御部は、前記第2開度に変更する際には、前記所定の目標温度に対して第1の温度範囲内の冷媒に対して前記第1開度から前記第2開度に変更する制御を行い、前記第2開度への変更後に前記電子膨張弁の開度を制御する際には、前記所定の目標温度に対して前記第1の温度範囲よりも小さい第2の温度範囲の冷媒に対して、前記所定の目標温度になるように前記電子膨張弁の開度を制御するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオーガ式製氷機。
前記制御部は、前記冷媒温度検出部により検出された前記製氷蒸発器の冷媒温度が第1開度変更温度になったことに基づいて、前記電子膨張弁の開度を前記初期開度としての前記第1開度に変更する制御を行うように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のオーガ式製氷機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載されたような従来の電子膨張弁を有するオーガ式製氷機においては、所望の過熱度が得られるように電子膨張弁の開度を制御する際に、製氷運転開始後に、電子膨張弁の開度を全開状態から所定の初期開度に大きく変更し、その後、蒸発パイプの温度(出口温度)が所望の目標温度になるように(所定の過熱度が得られるように)初期開度から開度を細かく調節する制御を行うことが知られている。
【0006】
しかしながら、電子膨張弁は、機械的に開閉される弁体部(オリフィス)を有していることから、弁体部の加工誤差や組立誤差に起因して製品毎に個体差(ばらつき)を有しているとともに、電子膨張弁のばらつきに起因して冷媒流通量もばらつくという不都合がある。このような電子膨張弁や冷媒流通量などの冷却システムの構成要素のばらつきに起因して、初期開度から開度を大幅に変更しないと所定の蒸発器温度(目標温度)に到達できない場合がある。この場合に、従来のように初期開度から開度を細かく調節する制御を行うと、製氷運転開始から目標の蒸発器温度に到達するまでに時間がかかり、その結果、製氷中の氷の状態(氷質)を安定させるまでに時間がかかるという問題点がある。特に、カップ式自動販売機においては、氷の状態が安定する前のベチャベチャで柔らかい軟質氷の状態が長引くと、氷片同士が凍結(氷結)して販売する飲料に投入される氷の質が低下する可能性があるため、氷の質を早く安定させることが望まれる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、冷却システムの構成要素にばらつきがある場合にも、目標の蒸発器温度に到達するまでの所要時間を短縮して氷の状態を早く安定させることが可能なオーガ式製氷機および冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面によるオーガ式製氷機は、オーガが内部に配置された製氷筒の外周に配置される製氷蒸発器と、製氷蒸発器の冷媒温度を検出する冷媒温度検出部と、
周囲温度を検出する周囲温度検出部と、開度に応じて製氷蒸発器に流入する冷媒の量を制御する電子膨張弁と、電子膨張弁の開度を制御する制御部とを備え、制御部は、
周囲温度検出部により検出された周囲温度に基づいて電子膨張弁
の初期開度としての第1開度
を決定するとともに電子膨張弁の開度を第1開度に変更した後、少なくとも冷媒温度検出部により検出された製氷蒸発器の冷媒温度に基づいて電子膨張弁の開度を第1開度から第2開度に変更し、その後、製氷蒸発器の冷媒温度が所定の目標温度になるように、電子膨張弁の開度を制御するように構成されている。
【0009】
この発明の第1の局面によるオーガ式製氷機では、上記のように、電子膨張弁の開度を初期開度としての第1開度に変更した後、少なくとも冷媒温度検出部により検出された製氷蒸発器の冷媒温度に基づいて電子膨張弁の開度を第1開度から第2開度に変更し、その後、製氷蒸発器の冷媒温度が所定の目標温度になるように電子膨張弁の開度を制御することによって、第1開度(初期開度)への変更(1段階のみの変更制御)の後に製氷蒸発器の冷媒温度が所定の目標温度になるように電子膨張弁の開度を(細かく)制御する場合と異なり、電子膨張弁の開度を細かく制御する前に、第1開度と第2開度との2段階の変更制御を行うことができる。すなわち、初期開度としての第1開度に変更後、さらに、検出された製氷蒸発器の冷媒温度に基づいて、冷却システムの構成要素のばらつきにより変動する冷却特性(冷却性能)を判断し、その判断した冷却特性に応じて第2開度を決定して変更するという2段階の変更制御を行った後、開度を細かく制御することによって、目標の蒸発器温度により早く到達させることができる。これにより、冷却システムの構成要素にばらつきがある場合にも、目標の蒸発器温度に到達するまでの所要時間を短縮して氷の状態(氷質)を早く安定させることができる。その結果、氷質をより安定化させることができる。
また、周囲温度を検出する周囲温度検出部を備え、制御部は、周囲温度検出部により検出された周囲温度に基づいて電子膨張弁の初期開度としての第1開度を決定するように構成されている。
【0010】
また、上記した本発明の第1の局面によるオーガ式製氷機をカップ式自動販売機に搭載すれば、氷の状態(氷質)を早く安定させて軟質氷の状態が長引くのを抑制することができるので、軟質氷の氷片同士の凍結(氷結)に起因して販売する飲料に投入される氷の質が低下するのを効果的に防止することができる。
【0011】
上記第1の局面によるオーガ式製氷機において、好ましくは、
周囲温度検出部は、オーガ式製氷機の周囲温度を検出する
ように構成されており、制御部は、冷媒温度検出部により検出された製氷蒸発器の冷媒温度と、周囲温度検出部により検出されたオーガ式製氷機の周囲温度とに基づいて、電子膨張弁の開度を第1開度から第2開度に変更する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、検出された製氷蒸発器の冷媒温度のみならず、オーガ式製氷機の周囲温度をも考慮に入れて冷却システムの冷却特性を判断することができるので、第2開度をより適切に決定して変更制御を行うことができる。ここで、オーガ式製氷機の周囲温度とは、オーガ式製氷機単体の場合の周囲温度のみならず、オーガ式製氷機が組み込まれたカップ式自動販売機などの周囲温度(外気の温度)も含む広い概念である。
【0012】
上記第1の局面によるオーガ式製氷機において、好ましくは、制御部は、第1開度に変更した後所定時間経過後の製氷蒸発器の冷媒温度に基づいて、電子膨張弁の開度を第1開度から第2開度に変更するように構成されている。このように構成すれば、電子膨張弁の開度が第1開度である状態で所定時間運転を継続した結果得られた冷媒温度に基づいて、冷却特性(冷却性能)が判断されて第2開度に変更されるので、第1開度に変更後直ちに冷却特性を判断する場合と異なり、冷却特性の判断をより正確に行うことができる。これにより、第2開度をより正確に決定して変更制御を行うことができる。
【0013】
上記第1の局面によるオーガ式製氷機において、好ましくは、制御部は、第2開度に変更する際には、所定の目標温度に対して第1の温度範囲内の冷媒に対して第1開度から第2開度に変更する制御を行い、第2開度への変更後に電子膨張弁の開度を制御する際には、所定の目標温度に対して第1の温度範囲よりも小さい第2の温度範囲の冷媒に対して、所定の目標温度になるように電子膨張弁の開度を制御するように構成されている。このように、電子膨張弁を第1開度から第2開度に変更する際の冷媒の温度範囲(第1の温度範囲)を、第2開度への変更後における開度制御の際の冷媒の温度範囲(第2の温度範囲)よりも大きくするようにすれば、第1開度から第2開度への変更により、製氷蒸発器の冷媒温度をより大きな範囲で変化させることができるので、目標の蒸発器温度により早く到達させることができる。
【0014】
上記第1の局面によるオーガ式製氷機において、好ましくは、冷媒温度検出部は、製氷蒸発器の出口側における冷媒温度を検出するように構成されており、制御部は、冷媒温度検出部により検出された製氷蒸発器の出口側における冷媒温度に基づいて、電子膨張弁の開度を第1開度から第2開度に変更する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、オーガ式製氷機を構成する冷却システムの仕様(たとえば、圧縮機や製氷蒸発器(熱交換器)の仕様、電子膨張弁の仕様(弁体部の流量特性)、冷媒配管の仕様および冷媒封入量)などから予め把握可能な製氷蒸発器の入口側における冷媒温度を考慮して、検出された製氷蒸発器の出口側における冷媒温度に基づいて製氷蒸発器流通後の冷媒の過熱度を判断することができるので、判断された過熱度に基づいて冷却システムの構成要素のばらつきにより変動する冷却特性を容易に判断することができる。これにより、第1開度から第2開度への変更制御を容易に行うことができる。また、製氷蒸発器の出口側のみの冷媒温度を検出するようにすれば、冷媒温度を検出する冷媒温度検出部(温度センサ)を1つにすることができるので、装置構成を簡素化することができる。
【0015】
上記第1の局面によるオーガ式製氷機において、好ましくは、制御部は、冷媒温度検出部により検出された製氷蒸発器の冷媒温度が第1開度変更温度になったことに基づいて、電子膨張弁の開度を初期開度としての第1開度に変更する制御を行うように構成されている。ここで、装置が冷えた状態で製氷運転が開始されたような場合には、すぐに冷媒温度が低温まで低下する。この場合に、製氷運転開始からある決められた一定時間後に一律に電子膨張弁の開度を第1開度(初期開度)に変更する制御を行うと、一定時間経過前(第1開度への変更前)に乾き度の小さい(液相が相対的に多く含まれる)液リッチの冷媒が流れ過ぎることになる。そこで、本発明では、冷媒温度が第1開度変更温度になったこと(第1開度変更温度まで低下したこと)に基づいて第1開度に変更する制御を行うように構成することによって、装置が冷えた状態で製氷運転が開始された場合にも、冷媒温度が第1開度変更温度まで低下した時点で第1開度に変更されるので、第1開度への変更前に乾き度の小さい液リッチの冷媒が流れ過ぎるのを防止することができる。また、冷媒温度が第1開度変更温度になったことを第1開度への変更の起点(トリガ)にすることによって、装置が冷えた状態で製氷運転が開始されてすぐに冷媒温度が第1開度変更温度にまで低下するような場合に、一定時間の経過を待たずに早期に第1開度に変更することができるので、目標の蒸発器温度により早く到達させることができる。
【0016】
この場合、好ましくは、
周囲温度検出部は、オーガ式製氷機の周囲温度を検出する
ように構成されており、制御部は、
第1開度に加えて、周囲温度検出部により検出されたオーガ式製氷機の周囲温度に基づいて
、第1開度に変更する第1開度変更温
度を決定するように構成されている。このように構成すれば、オーガ式製氷機の周囲温度によって製氷運転に伴う冷凍サイクルの状況が異なる場合においても、周囲温度に応じて最適な電子膨張弁の第1開度(初期開度)および第1開度に変更する第1開度変更温度を決定することができる。
【0017】
上記第1の局面によるオーガ式製氷機において、好ましくは、
周囲温度検出部は、オーガ式製氷機の周囲温度を検出する
ように構成されており、制御部は、周囲温度検出部により検出されたオーガ式製氷機の周囲温度に基づいて、所定の目標温度を決定するように構成されている。このように構成すれば、オーガ式製氷機の周囲温度によって製氷運転に伴う冷凍サイクルの状況が異なる場合においても、周囲温度に応じて製氷蒸発器の冷媒温度についての最適な目標温度を決定することができる。
【0018】
上記第1の局面によるオーガ式製氷機において、好ましくは、冷媒は、二酸化炭素である。このように構成すれば、フロン系冷媒と異なりオゾン層を破壊せず、かつ、低温室効果ガスとして地球環境に対する影響が少ない二酸化炭素冷媒を用いたオーガ式製氷機を提供することができる。
【0019】
この発明の第2の局面による冷却装置は、蒸発器の冷媒温度を検出する冷媒温度検出部と、
周囲温度を検出する周囲温度検出部と、開度に応じて蒸発器に流入する冷媒の量を制御する電子膨張弁と、電子膨張弁の開度を制御する制御部とを備え、制御部は、
周囲温度検出部により検出された周囲温度に基づいて電子膨張弁
の初期開度としての第1開度
を決定するとともに電子膨張弁の開度を第1開度に変更した後、少なくとも冷媒温度検出部により検出された蒸発器の冷媒温度に基づいて電子膨張弁の開度を第1開度から第2開度に変更し、その後、蒸発器の冷媒温度が所定の目標温度になるように、電子膨張弁の開度を制御するように構成されている。
【0020】
この発明の第2の局面による冷却装置では、上記のように、電子膨張弁の開度を初期開度としての第1開度に変更した後、少なくとも冷媒温度検出部により検出された蒸発器の冷媒温度に基づいて電子膨張弁の開度を第1開度から第2開度に変更し、その後、蒸発器の冷媒温度が所定の目標温度になるように電子膨張弁の開度を制御することによって、第1開度(初期開度)への変更(1段階のみの変更制御)の後に蒸発器の冷媒温度が所定の目標温度になるように電子膨張弁の開度を(細かく)制御する場合と異なり、電子膨張弁の開度を細かく制御する前に、第1開度と第2開度との2段階の変更制御を行うことができる。すなわち、初期開度としての第1開度に変更後、さらに、検出された蒸発器の冷媒温度に基づいて、冷却システムの構成要素のばらつきにより変動する冷却特性(冷却性能)を判断し、その判断した冷却特性に応じて第2開度を決定して変更するという2段階の変更制御を行った後、開度を細かく制御することによって、目標の蒸発器温度により早く到達させることができる。これにより、冷却システムの構成要素にばらつきがある場合にも、目標の蒸発器温度に到達するまでの所要時間を短縮して冷却対象物を迅速に冷却することができる。その結果、冷却対象物の品質をより安定化させることができる。
また、周囲温度を検出する周囲温度検出部を備え、制御部は、周囲温度検出部により検出された周囲温度に基づいて電子膨張弁の初期開度としての第1開度を決定するように構成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、冷却システムの構成要素にばらつきがある場合にも、目標の蒸発器温度に到達するまでの所要時間を短縮して氷の状態を早く安定させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
まず、
図1〜
図6を参照して、本発明の一実施形態によるオーガ式製氷機100の構成について説明する。なお、オーガ式製氷機100は、本発明の「冷却装置」の一例である。本実施形態によるオーガ式製氷機100は、たとえば、シロップと希釈水との混合液に氷を投入して調製したコールド飲料を販売するカップ式自動販売機などに搭載される。
【0025】
本実施形態によるオーガ式製氷機100は、
図1に示すように、二酸化炭素冷媒(CO
2)を用いて所定の冷凍サイクルを形成可能な冷却ユニット70と、オーガ式による製氷を行うことが可能な製氷ユニット80とを備えている。
【0026】
冷却ユニット70は、少なくとも圧縮機10、ガスクーラ(放熱器)20、内部熱交換器30、電子膨張弁40および製氷蒸発器50と、これらの機能部品を接続する冷媒配管5a〜5dとを含んでいる。圧縮機10から吐出された冷媒は、矢印Pの向きに沿って、ガスクーラ20、内部熱交換器30、電子膨張弁40、製氷蒸発器50および内部熱交換器30の順に流れて再び圧縮機10に帰還されるというサイクルを繰り返す。また、オーガ式製氷機100は、冷却ユニット70および製氷ユニット80の動作制御を行うための制御部60を装置本体内に備えている。また、製氷ユニット80には、冷却ユニット70の製氷蒸発器50が組み込まれている。なお、製氷蒸発器50は、本発明の「蒸発器」および「製氷蒸発器」の一例である。
【0027】
製氷ユニット80は、
図2に示すように、ステンレス製の製氷筒81を備えている。この製氷筒81の外周に沿って製氷蒸発器50を構成する1本の蒸発パイプ51が軸方向(Z方向)に間隔を詰めて螺旋状に巻き付けられている。また、製氷筒81の内部には、螺旋状の切削刃82aが設けられたオーガ82が回転可能に配置されている。また、製氷筒81の上部には、固定刃83が設けられているとともに、固定刃83上には、貯氷室84が連結されている。また、製氷用水を製氷筒81に供給するための製氷水タンク85が、給水パイプ85aを介して製氷筒81の底部近傍の側面部に接続されている。また、オーガ82の下方には、オーガ82を所定方向に回転駆動するためのオーガモータ86が設置されている。
【0028】
また、
図2に示すように、貯氷室84は、側壁部および底部を構成する円筒状の断熱壁84aを有しており、貯氷室84の側壁部の所定の位置に、氷片払い出し用の吐出扉(図示せず)が設けられている。貯氷室84内には、オーガ82の回転軸に連結された回転軸87と、この回転軸87から下方斜め方向に放射状に突き出た複数の攪拌棒(アジテータ)88と、貯氷室84の底部(Z2側)に配置されて氷片を積載する氷積載部89とが設けられている。製氷運転中、オーガ82と連動して回転する攪拌棒88が貯氷室84内の氷片を攪拌することによって、貯氷室84内の氷片同士が凍結して大きな氷塊が形成されることが抑制される。
【0029】
また、
図2に示すように、貯氷室84内の上部(天井部84b近傍)には、ロッド90bに支持された状態で上下方向に移動可能な検知板90aが配置されている。また、検知板90aが上方の所定位置まで移動されたことを検知するための貯氷量検知スイッチ91が貯氷室84の上面上に配置されている。この貯氷量検知スイッチ91は、装置本体内で制御部60(
図3参照)に電気的に接続されており、貯氷室84内の貯氷量が所定量以下で検知板90aが上方の所定位置に達していない場合にたとえばオン状態になり、製氷運転により貯氷量が増加して検知板90aが上方の所定位置まで移動された場合にたとえばオフ状態なるように構成されている。
【0030】
上記のような構成を有するオーガ式製氷機100(
図1参照)の動作としては、まず、冷却ユニット70(
図1参照)が運転されて製氷蒸発器50が氷点よりも低い温度まで冷やされることにより、製氷水タンク85から供給された製氷用水を用いて製氷筒81の内壁面に薄氷が形成される。そして、薄氷の形成とともにオーガモータ86により回転されるオーガ82の切削刃82aがこの薄氷を削り取りながら上方(Z1方向)へ連続的に送り出す。そして、削り取られたフレーク状の薄氷が固定刃83の部分で押し固められて氷片となり、順次、貯氷室84内に押し出されるように構成されている。
【0031】
また、オーガ式製氷機100では、貯氷量検知スイッチ91のオン状態およびオフ状態に基づいて、製氷運転状態と製氷運転の停止状態(待機状態)とが繰り返されるように構成されている。貯氷室84から払い出される氷の使用量にもよるが、運転負荷(稼働率)が低い場合には、一例として、1時間のうち5分〜10分程度製氷運転が行われて氷の不足分が補われ、残りの時間(50分〜55分程度)は製氷運転が停止された状態(待機状態)となるようなサイクル運転が行われる。したがって、製氷運転開始からより短時間で製氷筒81に薄氷を形成することが求められている。
【0032】
また、
図1および
図2に示すように、製氷ユニット80における製氷蒸発器50の近傍には、周囲温度センサ71が設けられている。周囲温度センサ71は、装置本体内で制御部60(
図1参照)に接続されており、製氷蒸発器50の近傍の周囲温度Taを検出する機能を有している。なお、周囲温度センサ71は、本発明の「周囲温度検出部」の一例である。
【0033】
また、
図1に示すように、冷却ユニット70を構成する圧縮機10は、冷凍サイクルにおける低圧側から吸入された冷媒を圧縮して高圧側に吐出する役割を有している。ガスクーラ(放熱器)20は、圧縮機10から吐出された高温高圧の冷媒が流通されることにより、過熱ガス状態の冷媒と外部空気との熱交換を行う機能を有する。また、冷却ユニット70は、ガスクーラ20に送風する送風機21を備えており、ガスクーラ20内のガス冷媒は、送風機21により送風される空気によって冷却される。内部熱交換器30は、ガスクーラ20により装置本体内の周囲温度Ta(空気温度)に近い温度まで冷却された冷媒と、製氷蒸発器50から圧縮機10に戻される低温低圧の冷媒との間の熱交換を行う機能を有している。
【0034】
電子膨張弁40は、内部熱交換器30で冷却された冷媒を絞り膨張(減圧)させて製氷蒸発器50に供給する役割を有している。ここで、電子膨張弁40は、パルス制御により駆動されるステッピングモータ40aの駆動力を利用して弁機構を開閉駆動するように構成されている。
【0035】
電子膨張弁40により絞り膨張された冷媒は、気相および液相からなる二相状態を維持したまま冷媒配管5cを介して製氷蒸発器50(蒸発パイプ51)に流入される。また、製氷蒸発器50は、電子膨張弁40から供給された二相状態の冷媒を蒸発パイプ51内で蒸発させる機能を有している。この際、冷媒は、入口部51aから出口部51bに向かうにしたがって所定の蒸発潜熱を得ながら蒸発する。冷媒が蒸発する過程で製氷筒81の内壁部に供給された製氷用水の熱量が奪われるので、製氷用水は冷却されて製氷筒81の内壁部に薄氷が形成される。なお、蒸発パイプ51で蒸発した後の冷媒は、
図1に示すように、出口部51bを出て冷媒配管5dを流通するとともに内部熱交換器30で高圧側の冷媒から所定量の熱を受け取り圧縮機10に戻される。
【0036】
ここで、本実施形態においては、製氷蒸発器50の出口部51b近傍の冷媒配管5dの部分に1つの冷媒温度センサ72が取り付けられている。この冷媒温度センサ72は、装置本体内で制御部60に接続されており、製氷蒸発器50の出口側における冷媒温度(出口冷媒温度)Teを検出する機能を有している。この冷媒温度センサ72により検出された製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teに基づいてステッピングモータ40aがパルス制御されて電子膨張弁40の開度が調整されることにより、蒸発パイプ51の出口部51bにおいて冷媒に所定の過熱度が得られるように構成されている。なお、冷媒温度センサ72は、本発明の「冷媒温度検出部」の一例であり、出口冷媒温度Teは、本発明の「製氷蒸発器の冷媒温度」および「蒸発器の冷媒温度」の一例である。また、本実施形態によるオーガ式製氷機100では、冷却システムの仕様(圧縮機10の仕様、製氷蒸発器50(蒸発パイプ51)の仕様、電子膨張弁40の仕様(弁体部の流量特性)、冷媒配管5a〜5dの仕様および冷却ユニット70内の冷媒封入量)などに基づき予め把握可能な製氷蒸発器50の入口部51a近傍の冷媒温度を考慮して、検出された出口冷媒温度Teに基づいて、製氷蒸発器50の出口側における過熱度が把握可能であるように構成されている。したがって、本実施形態では、製氷蒸発器50の入口における冷媒温度を検出しなくても、出口冷媒温度Teから過熱度が把握可能である。なお、この電子膨張弁40の開度制御に関しては、後に詳細に説明する。
【0037】
また、オーガ式製氷機100の制御的な構成としては、
図3に示すように、CPUからなる制御部60に加えて、ROM61およびRAM62が設けられている。制御部60は、周囲温度センサ71、冷媒温度センサ72、製氷筒81(
図2参照)の貯氷量検知スイッチ91からの入力信号に基づいて所定の判断を行い、冷却ユニット70(
図1参照)を構成する圧縮機10、送風機21、電子膨張弁40、および、製氷ユニット80(
図2参照)のオーガモータ86(
図2参照)などの各種機能部品を適切に駆動する制御を行うように構成されている。
【0038】
また、ROM61には、制御部60が実行する制御プログラムに加えて、後述する第1開度(初期開度)テーブル101(
図5参照)および第2開度テーブル102(
図6参照)などが格納されている。RAM62は、制御プログラムが実行される際に用いられる制御上のパラメータ(周囲温度Ta、出口冷媒温度Teおよび電子膨張弁40の開度(パルス数)などの履歴)を一時的に保存する作業用メモリとして用いられる。
【0039】
ここで、本実施形態では、製氷運転時には制御部60(
図3参照)の指令に基づいて以下のような電子膨張弁40の開度制御が行われるように構成されている。
【0040】
具体的には、
図4には、貯氷が完了(貯氷室84(
図2参照)が満杯の状態)して運転が停止された待機状態から、貯氷室84に不足分の貯氷量を補うために再び製氷運転が再開されるサイクル運転時の開度制御パターンの一例が示されている。本実施形態のサイクル運転では、製氷運転開始時の電子膨張弁40の開度は全開の状態であり、製氷蒸発器50の近傍での周囲温度Taはたとえば32℃であるとする。そして、時間t0において製氷運転が再開された場合、時間t1において電子膨張弁40の開度を初期開度としての第1開度V1(110(ステッピングモータ40a(
図1参照)を駆動するためのパルス数でTa≧41℃のときのパルス数を100とした場合の相対値)に変更する。そして、第1開度V1の状態を時間Δt1(たとえば90秒間)維持した後、次の時間t2において冷媒温度センサ72により検出された製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teと、周囲温度センサ71により検出された運転開始時(時間t0)の周囲温度Taとに基づいて、電子膨張弁40の開度を初期開度である第1開度V1(110(相対値))から第2開度V2(90(相対値))に変更する制御が行われる。そして、第2開度V2の状態を時間Δt2(たとえば120秒間)維持した後、時間t3以降は、出口冷媒温度Teが目標温度Tgになるように電子膨張弁40の開度を細かく制御する微調整制御が行われる。
【0041】
すなわち、本実施形態では、出口冷媒温度Teが最終的な目標温度Tgになるように電子膨張弁40の開度を細かく微調整制御する(時間t3からt4までの区間の制御を行う)前に、全開状態から第1開度V1(時間t1)と第2開度V2(時間t2)との2段階の開度の変更制御が行われるように構成されている。以下に、第1開度(初期開度)V1および第2開度V2の決定方法の詳細について説明する。
【0042】
まず、第1開度(初期開度)V1の決定方法について説明する。本実施形態では、周囲温度センサ71により検出された運転開始時の周囲温度Taに基づいて、初期開度としての第1開度V1が決定される。より詳細には、運転開始時の周囲温度Taに基づいて、第1開度V1と、第1開度V1に変更する出口冷媒温度(第1開度変更温度)Te1とが予め決定されるように構成されている。なお、第1開度変更温度Te1は、本発明の「第1開度変更温度」の一例である。この場合、第1開度V1(ステッピングモータ40a(
図1参照)を駆動するためのパルス数)は、
図5に示すような第1開度テーブル101に基づいて決定される。
図5に示した第1開度テーブル101では、第1開度V1の決定に用いられる運転開始時の周囲温度Taは、5つの温度範囲(Ta≦10℃、11℃≦Ta≦20℃、21℃≦Ta≦30℃、31℃≦Ta≦40℃、Ta≧41℃)に区分されている。なお、検出される周囲温度Taは、少数点第1位が四捨五入されて、第1開度テーブル101の温度範囲のいずれに該当するかが判断されるように構成されている。この5つの温度範囲毎に、第1開度V1(パルス数)と第1開度V1に変更する出口冷媒温度(第1開度変更温度)Te1とが設定されている。
【0043】
すなわち、周囲温度Taの5つの温度範囲に応じて第1開度V1(パルス数)が、100、110、120、130、140のように個々に設定されている。なお、
図5に示したパルス数は、上記のように、Ta≧41℃のパルス数を100とした場合の相対的な数値としてのパルス数である。
【0044】
また、第1開度テーブル101では、周囲温度TaがTa≦10℃および11℃≦Ta≦20℃の2つの温度範囲では第1開度変更温度Te1がTg+α1(℃)に設定されており、21℃≦Ta≦30℃、31℃≦Ta≦40℃、および、Ta≧41℃の3つの温度範囲では第1開度変更温度Te1がTg+α2(℃)に設定されている。ここで、Tgは出口冷媒温度Teの目標温度であり、α1<α2である。このような第1開度テーブル101を用いて、周囲温度Ta(32℃)に基づいて、初期開度(第1開度)V1および第1開度V1に変更する出口冷媒温度(第1開度変更温度)Te1が決定されるように構成されている。
図4に図示した例では、第1開度テーブル101(
図5参照)に基づいて第1開度V1は110(相対値)と決定され、かつ、この第1開度V1に変更するためのトリガ(起点)となる第1開度変更温度Te1はTg+α2(℃)と決定される。
【0045】
なお、本実施形態において、一定時間の経過ではなく、出口冷媒温度Te(第1開度変更温度Te1)をトリガとして初期開度(第1開度)V1への変更を行うのは、以下の理由による。すなわち、オーガ式製氷機100が環境温度などの影響を受けて冷えた状態で製氷運転が開始される場合には、すぐに出口冷媒温度Teが所定の温度まで低下する。この場合に、製氷運転開始からある決められた一定時間後に一律に電子膨張弁40の開度を第1開度V1(初期開度)に変更する制御を行うと、一定時間が経過する前(第1開度V1への変更前)に既に製氷蒸発器50(蒸発パイプ51)には乾き度の小さい(液相が相対的に多く含まれる)液リッチの冷媒が流れ過ぎることになる。そこで、本実施形態では、時間ではなく出口冷媒温度Teが第1開度変更温度Te1まで低下したことに基づいて第1開度V1に変更する手法を用いている。これにより、装置本体が冷えた状態で製氷運転が開始された場合にも、電子膨張弁40の開度は出口冷媒温度Teがこの第1開度変更温度Te1まで低下したタイミング(
図4における時間t1)で第1開度V1に変更されるので、第1開度V1への変更前に乾き度の小さい液リッチの冷媒が製氷蒸発器50に流れ過ぎることが極力防止される。
【0046】
次に、第2開度V2の決定方法について説明する。第2開度V2(ステッピングモータ40a(
図1参照)を駆動するためのパルス数)は、
図6に示すような第2開度テーブル102に基づいて設定(決定)される。すなわち、本実施形態においては、第2開度V2は、運転開始時(時間t0)の周囲温度Taと、第1開度(初期開度)V1に変更後のΔt1秒後の製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teとに基づいて決定されるように構成されている。より詳細には、第2開度テーブル102では、第2開度V2の決定に用いられる運転開始時の周囲温度Taは、上記第1開度テーブル101と同様、Ta≦10℃、11℃≦Ta≦20℃、21℃≦Ta≦30℃、31℃≦Ta≦40℃、および、Ta≧41℃の5つの温度範囲に区分されている。なお、検出される周囲温度Taは、上記第1開度テーブル101の場合と同様、少数点第1位が四捨五入されて、第2開度テーブル102の温度範囲のいずれに該当するかが判断されるように構成されている。
【0047】
また、
図6に示すように、第2開度V2の決定に用いられる出口冷媒温度Te(第2開度変更時温度Te2)も、周囲温度Taの5つの温度範囲毎に、それぞれ、Te2≧Tg+β4(℃)(Te2:高温)、Tg+β1(℃)≦Te2≦Tg+β2(℃)(Te2:中高温)、Tg−β2(℃)≦Te2≦Tg−β1(℃)(Te2:中低温)、および、Te2≦Tg−β3(℃)(Te2:低温)の4つの温度範囲A〜Dに区分されている。ここで、Tgは出口冷媒温度Teの目標温度であり、0<β1<β2<β3<β4である。この場合も、検出される出口冷媒温度Te(Te2)が、範囲AとBとの間の範囲、および、範囲CとDとの間の範囲の場合には、少数点第1位が四捨五入されて、4つの範囲A〜Dのいずれかの範囲に該当すると判断される。また、出口冷媒温度Te(Te2)が範囲BとCとの間の範囲(Te2:適温)の場合(四捨五入されてTg−β1(℃)<Te2<Tg+β1(℃)と判断される場合)には、制御プログラム上、第2開度V2の決定を行わない温度範囲として設定されている。すなわち、この温度範囲(Tg−β1(℃)<Te2<Tg+β1(℃))に該当する場合は、第1開度V1での冷却性能(冷却性能)が適切であると判断されて、第2開度V2への変更を行うことなく第1開度V1の状態から直ちに電子膨張弁40の開度を細かく制御する微調整制御に移行されるように構成されている。
【0048】
そして、第2開度テーブル102では、周囲温度Taと出口冷媒温度Te(第2開度変更時温度Te2)との組み合わせに応じて第2開度V2(ステッピングモータ40a(
図1参照)を駆動するためのパルス数)が90〜160(相対値)として個々に設定されている。なお、パルス数の相対値の数字が増加するにしたがって電子膨張弁40の開度が拡大(増加)されるように設定されている。
図4に図示した例では、運転開始時の周囲温度Taが32℃である点と、時間t2での出口冷媒温度Te(第2開度変更時温度Te2)がTg−γ1(℃)である点(範囲D(Te2:低温)に含まれると仮定する)とから、第2開度V2は(90(相対値))と決定される。
【0049】
ここで、本実施形態において、第1開度(初期開度V1)への変更に加えて、さらに、第2開度V2への変更という2段階の制御を行う理由について説明する。上述したように、電子膨張弁40は、機械的に開閉される弁体部(オリフィス)を有していることから、弁体部の加工誤差や組立誤差に起因して製品毎に個体差(ばらつき)を有しているとともに、電子膨張弁40のばらつきに起因して冷媒流通量もばらつくという不都合がある。このような電子膨張弁40や冷媒流通量などの冷却システム70の構成要素のばらつきに起因して、初期開度(第1開度)V1から開度を大幅に変更しないと所定の目標温度Tg(
図4参照)に到達できない場合がある。この場合に、従来のように第1開度V1から開度を細かく調節する制御を行うと、製氷運転開始から目標の蒸発器温度(目標温度Tg)に到達するまでに時間がかかり、その結果、製氷中の氷の状態(氷質)を安定させるまでに時間がかかる。そこで、本実施形態では、第1開度(初期開度)V1への変更後の時間t1から時間t2までの所定時間Δt1(たとえば90秒)の出口冷媒温度Teの変化に基づいて第1開度V1での製氷蒸発器50の冷却性能(冷却特性)が適切か否かを判断し、その判断結果に基づいて第2開度V2を決定して変更するという2段階の制御を行うように構成している。
【0050】
図4に図示した例では、第1開度V1では、出口冷媒温度TeがTg+α2(℃)(時間t1)からTg−γ1(℃)(時間t2)(第2開度変更時温度Te2:低温)まで下降することから電子膨張弁40は開き過ぎ(絞りが不十分である)であると判断されるので、第2開度テーブル102(
図6参照)を用いて、時間t2において第1開度V1よりも小さい第2開度V2(90(相対値))に切り換える変更制御が行われている。これにより、電子膨張弁40が20パルス分だけ絞られて、出口冷媒温度Teはそれまでの下降が抑制されて反対に上昇傾向に転じる。すなわち、時間t1で第1開度V1(110(相対値))に変更した結果、乾き度の小さい液リッチの冷媒が蒸発パイプ51(
図2参照)内を流れ、製氷蒸発器50の出口において所定の過熱度が得られていないことが把握されたので、製氷蒸発器50の冷却性能が低下する方向に推移していると判断される。この判断に基づき、制御部60(
図3参照)により、時間t2で第2開度V2(90(相対値))へと開度を縮小(減少)させた結果、過熱度がほとんど得られない状態からより適正な過熱度が得られる方向に製氷蒸発器50の冷却性能が調整される。
【0051】
また、本実施形態では、第2開度V2への変更制御時の出口冷媒温度Teの目標温度Tgに対する温度範囲(制御対象温度範囲)を、第2開度V2への変更後の微調整制御時の出口冷媒温度Teの目標温度Tgに対する温度範囲(制御対象温度範囲)よりも大きくなるように設定している。
【0052】
また、本実施形態では、運転開始時(時間t0)に周囲温度センサ71により検出された周囲温度Taに基づいて、第1開度(初期開度)V1および第2開度V2に加えて、最終的な目標温度Tgも決定されるように構成されている。この場合、目標温度Tgは、運転開始時の周囲温度Taに基づいて図示しないテーブルや演算式を用いて決定される。
【0053】
図4に示したサイクル運転では、運転開始(時間t0)から10分程度経過した時間t4で貯氷室84(
図2参照)が満杯となり検知板90aが所定の高さ位置まで上昇して貯氷量検知スイッチ91(
図2参照)がオフ状態に切り換えられることによって、製氷運転が停止される。これにより、1回分のサイクル運転が終了する。
【0054】
また、上記した2段階の電子膨張弁40の開度の変更制御を、
図4に示したサイクル運転時に用いることに加えて、貯氷室84(
図2参照)に氷片が全く貯氷されていない状態から製氷運転を開始するプルダウン運転時(
図7参照)にも用いることができる。
【0055】
図7に示したプルダウン運転では、時間t0で製氷運転が開始される際に、電子膨張弁40は開度が全開の状態であり、製氷蒸発器50の近傍での周囲温度Taがたとえば35℃であるとする。この場合、第1開度テーブル101(
図5参照)に基づいて第1開度V1は110(Ta≧41℃のときのパルス数を100とした場合の相対値)と決定され、かつ、この第1開度V1に変更するためのトリガとなる出口冷媒温度Te(第1開度変更温度Te1)はTg+α2(℃)と決定される。そして、出口冷媒温度TeがTg+α2(℃)であると制御部60により取得されたタイミング(時間t1)で、電子膨張弁40の開度が全開から第1開度V1(110(相対値))に変更される。これにより、時間t0から時間t1までの間で急激に下降していた出口冷媒温度Teは、第1開度V1への変更とともに反対に上昇傾向に転じる。
【0056】
時間t1から第1開度V1(110(相対値))が維持されたまま時間t2までの所定時間Δt1(90秒)においては、出口冷媒温度Teは、一旦上昇した後、再び下降に転じる。そして、時間t2となった時点で、第2開度テーブル102(
図6参照)に基づいて、第2開度V2への変更値が決定される。すなわち、運転開始時の周囲温度Taが35℃である点と、時間t2での出口冷媒温度Te(第2開度変更時温度Te2)がTg+γ2(℃)である点(範囲B(Te2:中高温)に含まれると仮定する)とから、第2開度V2は(115(相対値))と決定される。第2開度V2の決定後、直ちに、電子膨張弁40は第1開度V1(110(相対値))から第2開度V2(115(相対値))へと開度が変更(拡大)される。すなわち、時間t2のタイミングで電子膨張弁40の開度が5パルス分だけ拡大されたので、出口冷媒温度TeはそれまでのTg+γ2(℃)近辺からさらに下がり始める。
【0057】
また、第2開度V2の状態を時間Δt2(たとえば120秒間)維持した後、時間t3以降は、製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teが目標温度Tgになるように電子膨張弁40の開度が細かく微調整制御される。そして、運転開始(時間t0)から30分以上経過した頃から出口冷媒温度Teが目標温度Tgに近づき、製氷筒81において順調に氷が形成されて順次貯氷室84内に押し出されて貯氷される。そして、時間t4において貯氷室84が満杯となり検知板90aが所定の高さ位置まで上昇して貯氷量検知スイッチ91(
図2参照)がオフ状態に切り換えられることによって、製氷運転が停止される。これにより、プルダウン運転は終了する。
【0058】
このように、
図7に示したプルダウン運転時の開度制御の例では、時間t1で第1開度V1(110(相対値))に変更した結果、次第に冷媒が乾き度の大きい状態(過熱度が必要以上に得られた状態)で蒸発パイプ51(
図2参照)内を流れ、製氷蒸発器50出口において所定の過熱度以上の過熱度が得られたことが把握されたので、製氷蒸発器50の冷却性能が低下する方向に推移していると判断される。この判断に基づき、制御部60(
図3参照)により、時間t2で第2開度V2(115(相対値))へと開度を拡大(増加)させることによって、過熱度が必要以上であった状態からより適正な過熱度が得られる方向に製氷蒸発器50の冷却性能が調整される。
【0059】
次に、
図1〜
図8を参照して、本実施形態によるオーガ式製氷機100によって製氷運転(サイクル運転およびプルダウン運転)が行われる際の制御部60の開度制御処理フローについて説明する。
【0060】
図8に示すように、まず、ステップS1では、制御部60(
図3参照)により、運転開始要求があるか否かが判断されるとともに、運転開始要求があると判断されるまでこの処理が繰り返される。この運転開始要求は、貯氷室84内の貯氷量が所定量以下で検知板90aが上方の所定位置に達していないことにより、貯氷量検知スイッチ91(
図2参照)がオン状態であることに基づいて「あり」と判断される。
【0061】
ステップS1において運転開始要求ありと判断された場合、ステップS2において、
図8に示すように、製氷蒸発器50(
図1参照)近傍での装置内の周囲温度Taが制御部60により取得される。すなわち、周囲温度センサ71(
図1参照)により取得された現在(製氷運転開始時)の周囲温度Taが取得される。なお、制御部60は、運転開始要求ありと判断した場合、
図8に示した開度制御処理と並行して、圧縮機10(
図1参照)およびガスクーラ20用の送風機21(
図1参照)を起動する。
【0062】
そして、ステップS3では、ROM61(
図3参照)に記憶された第1開度テーブル101(
図5参照)を用いて、取得した周囲温度Taに基づいて電子膨張弁40の初期開度(第1開度V1)が制御部60により決定される。また、ステップS3では、取得した周囲温度Taに基づいて目標温度Tgも決定される。続いて、ステップS4では、第1開度テーブル101(
図5参照)に基づいて第1開度V1に変更する際の出口冷媒温度(第1開度変更温度)Te1がたとえばTg+α2(℃)と決定される。
【0063】
そして、
図8に示すように、ステップS5では、制御部60により、蒸発パイプ51の出口冷媒温度Teの現在値が取得される。そして、ステップS6では、制御部60により、現在の出口冷媒温度Teが第1開度変更温度Te1であるか否かが判断される。出口冷媒温度TeがTe1(Tg+α2(℃))と異なる場合には、ステップS5に戻り、再度、出口冷媒温度Teが取得されてステップS6の判断が同様に繰り返される。また、ステップS6において出口冷媒温度Teが第1開度変更温度Te1(Tg+α2(℃))と等しくなったと判断された場合には、ステップS7において、電子膨張弁40の開度が全開の状態から初期開度としての第1開度V1に変更される制御が行われる。なお、製氷運転停止状態(待機状態)では、電子膨張弁40の開度は全開に設定されており、その状態から運転が開始されると、全開の状態が継続された後、第1開度(初期開度)V1に変更される。すなわち、
図4または
図7に示される時間t1において、制御部60(
図1参照)からステッピングモータ40a(
図1参照)に対して電子膨張弁40の開度を全開状態から第1開度V1に変更するためのパルス数(全開状態のパルス数と第1開度V1のパルス数(110(相対値))との差分に相当するパルス数)に対応する制御信号が送信される。これにより、ステッピングモータ40aが回動されて、電子膨張弁40は第1開度V1に変更される。そして、冷却ユニット70は、電子膨張弁40が第1開度V1に保持された状態でしばらく冷却運転(製氷運転)が継続される。
【0064】
その後、
図8に示すように、ステップS8では、蒸発パイプ51の出口冷媒温度Teの現在値が再び取得される。そして、ステップS9において、制御部60により、第1開度V1へ変更した時点から所定時間Δt1(たとえば90秒間)が経過したか否かが判断される。所定時間Δt1が経過していない場合には、ステップS8に戻り、再度、出口冷媒温度Teが取得されてステップS9の判断が繰り返される。また、ステップS9において所定時間Δt1が経過したと判断された場合には、ステップS10において、ROM61(
図3参照)に記憶された第2開度テーブル102(
図6参照)を用いて、出口冷媒温度Te(Te2)が温度範囲A〜Dのいずれかに該当するか否かが判断され、該当する場合には、ステップS11において、取得した出口冷媒温度Te(Te2)および周囲温度Taに基づいて電子膨張弁40の第2開度V2が決定される。
【0065】
そして、
図8に示すように、ステップS12では、制御部60により、電子膨張弁40の開度が第2開度テーブル102(
図6参照)に基づいて第1開度V1から第2開度V2に変更される制御が実行される。すなわち、制御部60(
図1参照)からステッピングモータ40a(
図1参照)に対して電子膨張弁40の開度を第1開度V1から第2開度V2に変更するためのパルス数(第1開度V1のパルス数と第2開度V2のパルス数との差分に相当するパルス数)に対応した制御信号が送信される。これにより、ステッピングモータ40aが回動されて、電子膨張弁40は第2開度V2に変更される。
【0066】
第2開度V2への変更後、ステップS13では、制御部60により、第2開度V2へ変更した時点(時間t2)から所定時間Δt2(たとえば120秒間)が経過したか否かが判断されるとともに、所定時間Δt2が経過するまでこの判断が繰り返される。ステップS13において所定時間Δt2が経過したと判断された場合には、ステップS14以降の微調整制御に移行する。なお、ステップS10において、取得した出口冷媒温度Te(Te2)が第2開度テーブル102の温度範囲A〜Dに該当しない(範囲BとCとの間の適温に該当する)と判断された場合には、第2開度V2の決定(ステップS11)、第2開度V2への変更(ステップS12)および第2開度V2変更後の所定時間Δt2の経過判断(ステップS13)は行わずに、ステップS14以降の微調整制御に移行する。そして、ステップS14において冷媒温度センサ72により現在の蒸発パイプ51の出口冷媒温度Teが取得される。
【0067】
そして、ステップS15では、制御部60により、現在の出口冷媒温度TeとステップS3で決定した目標温度Tgとが比較される。比較した結果、現在の出口冷媒温度TeがステップS3で決定した目標温度Tgと異なると判断された場合(「Yes」判定の場合)、ステップS16において電子膨張弁40の開度が第2開度V2とは異なる開度へ微小量だけ変更(増加または減少)される。また、現在の出口冷媒温度TeがステップS3で決定した目標温度Tgと略同じであると判断された場合(「No」判定の場合)、上記したステップS13まで戻り、以降同様の処理を繰り返す。
【0068】
また、ステップS16において電子膨張弁40の開度が変更(補正)された後、ステップS17では、制御部60(
図3参照)により、運転停止要求があるか否かが判断される。この運転停止要求は、製氷運転により貯氷室84内の貯氷量が所定量以上に増加して検知板90aが上方の所定位置に到達したことにより、貯氷量検知スイッチ91(
図2参照)がオフ状態になったことに基づいて「あり」と判断される。ステップS16において、運転停止要求がありと判断されない場合は、ステップS13まで戻り、出口冷媒温度Teに基づく電子膨張弁40の開度調整(微調整)が繰り返される。すなわち、時間Δt2(120秒)毎に微調整制御が行われる。また、運転停止要求があると判断された場合は、電子膨張弁40の開度制御が終了されるとともに、製氷運転が停止される。この場合、電子膨張弁40は、開度が全開の状態に変更されるとともに、圧縮機10および送風機21の駆動も停止される。オーガ式製氷機100では、上記のような電子膨張弁40の開度制御により冷却ユニット70が運転されるとともに製氷ユニット80において製氷が行われる。
【0069】
本実施形態では、上記のように、制御部60により、電子膨張弁40の開度を初期開度としての第1開度V1に変更した後、冷媒温度センサ72により検出された製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teに基づいて電子膨張弁40の開度を第1開度V1から第2開度V2に変更し、その後、製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teが所定の目標温度Tg(
図4参照)になるように電子膨張弁40の開度を制御するように構成する。これにより、全開状態から第1開度V1(初期開度)への変更(1段階のみの変更制御)の後に出口冷媒温度Teが所定の目標温度Tgになるように電子膨張弁40の開度を微調整制御する場合と異なり、この電子膨張弁40の開度を微調整制御する前に、第1開度V1と第2開度V2との2段階の開度の変更制御を行うことができる。すなわち、初期開度としての第1開度V1に変更後、さらに、検出された製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teに基づいて、冷却ユニット70の構成要素のばらつき(たとえば電子膨張弁40が有する製品個体差など)に起因して変動する冷却特性(冷却性能)を判断し、その判断した冷却特性に応じて第2開度V2を決定して変更するという2段階の変更制御を行った後、開度を細かく制御することによって、目標温度Tgにより早く到達させることができる。これにより、電子膨張弁40などに製品としてのばらつき(個体差)がある場合にも、目標温度Tgに到達するまでの所要時間を短縮して氷の状態(氷質)を早く安定させることができる。その結果、氷質をより安定化させることができる。
【0070】
また、本実施形態によるオーガ式製氷機100をカップ式自動販売機に搭載すれば、氷の状態(氷質)を早く安定させて軟質氷の状態が長引くのを抑制することができるので、軟質氷の氷片同士の凍結(氷結)に起因して販売する飲料に投入される氷の質が低下するのを効果的に防止することができる。
【0071】
また、本実施形態では、オーガ式製氷機100内(装置内部)の周囲温度Taを検出する周囲温度センサ71を備えている。そして、制御部60により、第2開度テーブル102(
図6参照)を用いることにより、冷媒温度センサ72により検出された製氷蒸発器50の出口冷媒温度Te(第2開度変更時温度Te2)と、周囲温度センサ71により検出された周囲温度Taとに基づいて、電子膨張弁40の開度を第1開度V1から第2開度V2に変更する制御を行うように構成する。これにより、検出された製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teのみならず、装置内部の周囲温度Taをも考慮に入れて冷却ユニット70の冷却特性を判断することができるので、第2開度V2をより適切に決定して変更制御を行うことができる。
【0072】
また、本実施形態では、制御部60により、第1開度V1に変更した後所定時間Δt1(
図4参照)だけ経過した後の製氷蒸発器50の出口冷媒温度Te(Te2)に基づいて第2開度テーブル102(
図6参照)が参照されて、電子膨張弁40の開度を第1開度V1から第2開度V2に変更する制御を行うように構成する。これにより、所定時間Δt1だけ運転を継続した結果得られた出口冷媒温度Te(第2開度変更時温度Te2)に基づいて、冷却特性(冷却性能)が判断されて第2開度V2に変更されるので、第1開度V1に変更後直ちに冷却特性を判断する場合と異なり、冷却特性の判断をより正確に行うことができる。これにより、第2開度V2をより正確に決定して変更制御を行うことができる。
【0073】
また、本実施形態では、電子膨張弁40を第1開度V1から第2開度V2に変更する際の冷媒の温度範囲を、第2開度V2への変更後における開度制御の際の冷媒の温度範囲よりも大きくすることによって、第1開度V1から第2開度V2への変更により、製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teをより大きな範囲で変化させることができるので、目標温度Tgにより早く到達させることができる。
【0074】
また、本実施形態では、冷媒温度センサ72を製氷蒸発器50の出口側に取り付けて出口冷媒温度Teを検出している。そして、制御部60により、冷媒温度センサ72により検出された出口冷媒温度Teに基づいて、電子膨張弁40を第1開度V1から第2開度V2に変更する制御を行っている。すなわち、冷却システムの仕様(圧縮機10や製氷蒸発器50の仕様、電子膨張弁40の仕様(弁体部の流量特性)、冷媒配管5a〜5dの仕様および冷媒封入量)などから予め把握可能な製氷蒸発器50の入口部51a近傍における冷媒温度を考慮して、冷媒温度センサ72により検出された製氷蒸発器50の出口側における出口冷媒温度Teに基づいて製氷蒸発器50を流通した後の冷媒の過熱度を判断することができるので、判断された過熱度に基づいて冷却システム70の構成要素のばらつきにより変動する冷却特性を容易に判断することができる。これにより、第1開度V1から第2開度V2への変更制御を容易に行うことができる。また、1つの冷媒温度センサ72を用いて製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teのみを検出することによって、冷媒の温度を検出する温度センサを1つにすることができるので、制御部60を含めた冷却ユニット70の装置構成を簡素化することができる。
【0075】
また、本実施形態では、制御部60により、冷媒温度センサ72により検出された製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teが第1開度変更温度Te1(
図4参照)になったことに基づいて、電子膨張弁40の開度を初期開度としての第1開度V1に変更する制御を行う。これにより、オーガ式製氷機100が冷えた状態で製氷運転が開始された場合にも、出口冷媒温度Teが第1開度変更温度Te1まで低下した時点で第1開度V1に変更されるので、第1開度V1への変更前に乾き度の小さい液リッチの冷媒が流れ過ぎるのを防止することができる。また、出口冷媒温度Teが第1開度変更温度Te1になったことを第1開度V1へ変更する際の起点(トリガ)とすることによって、オーガ式製氷機100が冷えた状態で製氷運転が開始されるとともにすぐに出口冷媒温度Teが第1開度変更温度Te1にまで低下するような場合に、一定時間の経過を待たずに早期に第1開度V1に変更することができるので、目標温度Tgにより早く到達させることができる。
【0076】
また、本実施形態では、制御部60により、周囲温度センサ71により検出された製氷蒸発器50の近傍の周囲温度Taに基づいて、初期開度としての第1開度V1と、第1開度V1に変更する第1開度変更温度Te1とを決定している。これにより、製氷蒸発器50の近傍の周囲温度Taによって製氷運転に伴う冷凍サイクルの状況が異なる場合においても、周囲温度Taに応じて最適な電子膨張弁40の第1開度V1(初期開度)および第1開度V1に変更する際の第1開度変更温度Te1を決定することができる。
【0077】
また、本実施形態では、制御部60により、周囲温度センサ71により検出された製氷蒸発器50の近傍の周囲温度Taに基づいて目標温度Tgを決定している。これにより、オーガ式製氷機100の周囲温度Taによって製氷運転に伴う冷凍サイクルの状況が異なる場合においても、周囲温度Taに応じて製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teについての最適な目標温度Tgを決定することができる。
【0078】
また、本実施形態では、冷媒に二酸化炭素を用いることによって、フロン系冷媒と異なりオゾン層を破壊せず、かつ、低温室効果ガスとして地球環境に対する影響が少ないオーガ式製氷機100を提供することができる。
【0079】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0080】
たとえば、上記実施形態では、コールド飲料を販売するカップ式自動販売機などに搭載されるオーガ式製氷機100に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、単体で設置されるオーガ式製氷機に本発明を適用してもよいし、カップ式自動販売機以外の、氷を供給可能な他の機器に組み込まれるようなオーガ式製氷機ユニットに本発明を適用してもよい。なお、本発明の電子膨張弁の開度制御は、オーガ式製氷機以外の冷却装置にも適用可能である。
【0081】
また、上記実施形態では、第1開度テーブル101および第2開度テーブル102を用いてそれぞれ第1開度V1および第2開度V2を決定する例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1開度テーブル101および第2開度テーブル102を用いずに演算により第1開度V1および第2開度V2を決定してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、冷媒温度センサ72を蒸発パイプ51の出口部51b近傍の冷媒配管5dに取り付けて製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teを検出する例について示したが、本発明はこれに限られない。製氷蒸発器50の出口部51bと内部熱交換器30との間の冷媒配管5dの部分(製氷蒸発器50の出口側の部分)であれば、冷媒温度センサ72を出口部51bからやや離れた位置に取り付けてもよい。但し、冷媒温度センサ72を蒸発パイプ51の出口部51b近傍に取り付ける方が蒸発パイプ51の出口部51bの温度をより正確に検出することができるので好ましい。
【0083】
また、上記実施形態では、製氷蒸発器50の出口冷媒温度Teのみを検出して、その結果に基づいて第2開度V2を決定するように構成したが、本発明はこれに限られない。たとえば、出口冷媒温度に加えて、蒸発パイプ51の入口冷媒温度も検出し、入口冷媒温度および出口冷媒温度の両方の検出結果に基づいて、第2開度を決定するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、第2開度テーブル102を用いて電子膨張弁40の第2開度V2を決定する際、製氷運転開始時(
図4における時間t0)での製氷蒸発器50の近傍の周囲温度Taを用いた例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2開度V2を決定する際には、第2開度V2を決定する時点(
図4における時間t2)での製氷蒸発器50の近傍の周囲温度Taを用いてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、目標温度Tgを決定する際、製氷運転開始時(
図4における時間t0)での製氷蒸発器50の近傍の周囲温度Taに基づいて目標温度Tgを決定した例について示したが、本発明はこれに限られない。目標温度Tgを決定する際には、たとえば、第2開度V2を決定する時点(
図4における時間t2)での製氷蒸発器50の近傍の周囲温度Taを用いてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、冷却ユニット70に内部熱交換器30を設けた例について示したが、本発明はこれに限られない。内部熱交換器30が設けられていない冷却ユニットを備えたオーガ式製氷機に本発明を適用してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、1段式の圧縮機10を用いて冷却ユニット70を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。多段式の圧縮機が搭載されたオーガ式製氷機に本発明を適用してもよい。また、圧縮機は、レシプロ式圧縮機、ロータリ式圧縮機、スクロール式圧縮機およびスクリュ式圧縮機などのいずれであってもよい。また、圧縮機は、容量制御方式であっても一定速型でもかまわない。
【0088】
また、上記実施形態では、二酸化炭素冷媒を用いて冷却ユニット70を動作させる例について示したが、本発明はこれに限られない。二酸化炭素冷媒以外の他の自然冷媒を使用してもよいし、オゾン層破壊係数がゼロの代替フロン冷媒を使用してもよい。この場合、使用する冷媒に応じて、第1開度テーブル101および第2開度テーブル102に規定された電子膨張弁40の開度(パルス数)は、適宜変更される。
【0089】
また、上記実施形態では、周囲温度センサ71により製氷蒸発器50の近傍の周囲温度Taを検出するとともに、その検出した周囲温度Taに基づいて第1開度(初期開度)V1および第2開度V2ならびに目標温度Tgを決定するようにしたが、本発明はこれに限られない。本発明では、オーガ式製氷機100がカップ式自動販売機などに搭載されている場合に、周囲温度センサによりカップ式自動販売機の周囲温度(外気の温度)を検出して、その検出した周囲温度に基づいて第1開度(初期開度)V1および第2開度V2ならびに目標温度Tgを決定するようにしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部60の開度制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部60の開度制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。