(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記管理システムは、前記実施通知を受け取った際に前記蓄電装置が前記第2のコンピュータシステムに対して電力供給を行っていた場合、前記第2のコンピュータシステムへの電力供給を蓄電電力から商用電源に切替える商用電源切替え指示を前記蓄電装置に送信し、
前記蓄電装置は、前記商用電源切替え指示に応じて、前記第2のコンピュータシステムへの電力供給を蓄電電力から商用電源に切替えることを特徴とする請求項5に記載の電力制御システム。
蓄電装置からの電力供給が可能な複数のコンピュータシステムが、ネットワークを経由して前記複数のコンピュータシステムの総使用電力量を最大使用可能電力量以下に制御する管理システムに接続されたネットワークグループの電力制御方法であって、
前記複数のコンピュータシステムに含まれる第1のコンピュータシステムの使用電力量に応じて上限使用電力値を変更し、
前記第1のコンピュータシステムの前記上限使用電力値の変更によって前記複数のコンピュータシステムの総使用電力量が前記ネットワークグループ内で設定した最大使用可能電力量を超えることを判断した場合、前記複数のコンピュータシステムの中で使用電力量が最小である第2のコンピュータシステムへの電力供給を商用電源から蓄電電力に切替える、電力制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の実施形態は図に示した構成や数値に限定されない。
【0018】
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係るネットワークグループの全体構成を示すブロック図である。本発明の実施形態のネットワークグループは、複数のコンピュータシステムと、複数のコンピュータシステムとネットワーク10を介して接続される管理システム1と、複数のコンピュータシステムに電力供給する蓄電装置3とを備える。管理システム1は、複数のコンピュータシステムの電力データを管理する管理装置の一実施形態である。
【0019】
管理システム1は、BMC(Base Management Controller:ここでは、「電力管理装置」とも呼ぶ)11と、記憶部12、13を備える。BMC11は、ネットワークグループの電力管理を行う。
【0020】
複数のコンピュータシステムは、コンピュータシステムC1、C2、C3を備え、さらにコンピュータシステムCnを含むn−3個のコンピュータシステムで構成される。また、複数のコンピュータシステムの数の上限に関しては特に限定しない。以下の本実施形態の構成および動作の説明においては、前述のコンピュータシステムC1〜Cnは、それぞれ総称してコンピュータシステム2と記載する。
【0021】
本実施形態のネットワークグループに所属するコンピュータシステム2は、BMC25と、電力測定部27、電力制御部28、記憶部26を備える。
【0022】
電力測定部27は、コンピュータシステム2の使用電力を測定することができる。電力制御部28は、BMC25からの指示に基づきコンピュータシステム2の電力制御を実行する機能を有する。BMC25は、記憶部26と電力測定部27からの情報に従い、コンピュータシステム2の電力管理を行い、後述するCapping値(上限使用電力値)の変更を行う。コンピュータシステム2は、蓄電装置3に接続して、電力供給を受けることができる。なお、複数のコンピュータシステムは、いずれも前述の構成を備えている。
【0023】
蓄電装置3は、BMC32と、BMC32に接続する記憶部31を備えている。さらに、蓄電装置3は、
図2に示すように、蓄電量測定部33と蓄電池34を備える。なお、
図2では、記憶部31は省略されている。蓄電装置3は、商用電源4から電力を取得して蓄電し、ネットワーク10を経由して受信する管理システム1からの指示によって、蓄電電力をいずれかのコンピュータシステムに供給する。
【0024】
BMC32は、蓄電電力の使用の切り替えと蓄電電力量の残量の監視を行う。蓄電量測定部33は、蓄電池34の蓄電電力量を測定し、BMC32に蓄電電力量の残量を通知する。蓄電池34は、商用電源4との接続によって充電し、電力を蓄電する。
【0025】
なお、各BMCは、CPUおよび記憶デバイスを含むコンピュータ回路によって構成され、記憶装置に記憶された制御プログラムに基づいて電力制御を実行しても良い。
【0026】
(パラメータ)
以下において、本実施形態のネットワークグループの電力制御に関するパラメータについて説明する。
【0027】
Capping値は、コンピュータシステム2の使用電力の閾値であり、上限使用可能電力値である。電力制御部28は、コンピュータシステム2の使用電力量がCapping値を超えないように電力制御を実行する。
【0028】
通知判定閾値は、使用電力の再分配の必要性を判定するための閾値である。通知判定閾値としては、Capping値よりも通知判定定数分だけ小さい電力値が設定される。通知判定定数とは、コンピュータシステム2が起動したときに、管理システム1のBMC11からコンピュータシステム2に通知される数値であり、通知判定閾値を求めるために使用する値である。
【0029】
通知判定時間は、使用電力の再分配の必要性を判定する時間である。コンピュータシステム2の使用電力量が通知判別閾値を通知判定時間の期間上回った(または下回った)場合、BMC25は電力の再分配を管理システム1に要求する。
【0030】
(電力制御情報管理テーブル)
管理システム1が備える記憶部12は、電力制御情報管理テーブル40(
図3)を有する。電力制御情報管理テーブル40は、ネットワークグループ内のコンピュータシステム2の電力制御の共通情報を持つ。電力制御情報管理テーブル40は、ネットワークグループ内最大使用可能電力量と、変更Capping単位と、初期Capping値と、通知判定定数と、通知判定時間とを有する。
【0031】
最大使用可能電力量は、ネットワークグループ内で使用できる電力量の最大値である。最大使用可能電力量は、商用電源4からネットワークグループ内のコンピュータシステムに供給される電力量の上限値であり、固定された値である。
【0032】
変更Capping単位は、一度の使用電力の再分配でCapping値を変更する単位値である。
【0033】
初期Capping値は、ネットワークグループ内の各コンピュータシステムのデフォルトのCapping値である。
【0034】
通知判定定数は、通知判定閾値を求めるために使用する値である。
【0035】
通知判定時間は、前述の通り、使用電力の再分配の必要性を判定する時間である。
【0036】
以上が電力制御情報管理テーブル40の持つ共通情報である。
【0037】
初期Capping値と、通知判定定数と、通知判定時間とは、管理システム1が管理するネットワークグループとして、新たなコンピュータシステム2が登録される際に、管理システム1からそのコンピュータシステム2へ通知される。
【0038】
(優先度情報管理テーブル)
管理システム1が備える記憶部13は、優先度情報管理テーブル50(
図4)を有する。優先度情報管理テーブル50は、ネットワークグループの各コンピュータシステムについての情報を有する。優先度情報管理テーブル50は、IPアドレスごとに対応付けられた複数のレコードで構成される。各レコードは、優先度と、IPアドレスと、Capping値と、蓄電電力使用状況と、Capping値の上昇リクエストフラグとを有する。
【0039】
優先度は、電力の再分配の際の優先順位である。
【0040】
IPアドレスは、ネットワークグループに所属する各コンピュータシステムのIPアドレスである。
【0041】
Capping値は、ネットワークグループに所属する各コンピュータシステムの現在のCapping値である。コンピュータシステム2を起動したときには、電力制御情報管理テーブル40の初期Capping値を設定する。
【0042】
蓄電電力使用状況は、蓄電電力を使用している場合ON、使用していない場合OFFとなる。
【0043】
Capping値の上昇リクエストフラグは、再分配のリクエストがある場合はON、ない場合はOFFとなる。
【0044】
以上が優先度情報管理テーブル50の持つ情報である。
【0045】
優先度情報管理テーブル50のCapping値と、蓄電電力使用状況と、Capping値の上昇リクエストフラグとは、コンピュータシステム2のBMC25および蓄電装置3のBMC32からの通知に応じて、更新される。
【0046】
(電力制御情報テーブル)
コンピュータシステム2が備える記憶部26は、電力制御情報テーブル60(
図5)を有する。電力制御情報テーブル60は、コンピュータシステム2の電力制御についての情報を持つ。電力制御情報テーブル60は、Capping値と、変更Capping単位と、通知判定閾値と、通知判定時間とを有する。
【0047】
Capping値は、電力制御情報管理テーブル40の初期Capping値のコピーである。変更Capping単位と通知判定時間は、電力制御情報管理テーブル40の値のコピーである。これらの値は、管理システム1の管理するネットワークグループにコンピュータシステム2が登録される際に、管理システム1からコンピュータシステム2へ通知される。
【0048】
通知判定閾値は、それぞれのコンピュータシステムのCapping値から通知判定定数を引いた値である。
【0049】
以上が電力制御情報テーブル60の持つ情報である。
【0050】
(蓄電情報テーブル)
蓄電装置が備える記憶部26は、蓄電情報テーブル70(
図6)を有する。蓄電情報テーブル70は、蓄電装置3についての情報を持つ。蓄電情報テーブル70は、使用可能閾値と、使用停止閾値と、蓄電電力量とを有する。
【0051】
使用可能閾値は、蓄電電力の使用を可能と判定する閾値である。
【0052】
使用停止閾値は、蓄電電力の使用の停止を判定する閾値である。
【0053】
蓄電電力量は、蓄電装置が蓄電した電力量である。
【0054】
以上が蓄電情報テーブル70の持つ情報である。
【0055】
(動作)
以下において、本発明の実施形態の基本動作を説明する。
【0056】
コンピュータシステム2には、管理システム1のIPアドレスと、蓄電装置3の接続位置の番号をあらかじめ設定しておく。コンピュータシステム2は、起動時に管理システム1と通信して電力制御のネットワークグループとしてBMC11および25に登録する。このとき、コンピュータシステム2は、管理システム1のBMC11に蓄電装置3の接続位置の番号を通知する。
【0057】
管理システム1のBMC11は、コンピュータシステム2のBMC25からの通知を受けると、コンピュータシステム2に初期Capping値、通知判定定数、通知判定時間を通知する。
【0058】
蓄電装置3には、ネットワーク10を経由する通信接続のため管理システム1のIPアドレスをあらかじめ設定しておく。蓄電装置3は、起動時に管理システム1と通信して電力制御のネットワークグループとしてBMC11および32に登録する。
【0059】
管理システム1のBMC11は、コンピュータシステム2から使用電力の再分配の要望通知やCapping値低下の実施通知などの通知を受け取った場合に、ネットワークグループ内の使用電力量の確認を行い、Capping値上昇の許可や優先度情報管理テーブル50の情報更新を行う。使用電力確認の際、管理システム1のBMC11は、各コンピュータシステムのBMC25から使用電力量が通知され、図示しない内部メモリに格納する。
【0060】
コンピュータシステム2は、電力測定部27によって自らの使用電力の計測を行う。
図7(a)に示すように、BMC25は、電力測定部27で計測された使用電力が通知判定閾値を通知判定時間の間超え続けたと判定した場合に、管理システム1に対して使用電力の再分配の要望通知を行う。
【0061】
コンピュータシステム2のBMC25は、管理システム1からCapping値上昇許可通知を受け取った場合、電力制御部28を通じてコンピュータシステム2のCapping値の上昇を実施する(
図7(b))。
【0062】
また、
図8(a)に示すように、BMC25は、電力測定部27で計測された使用電力が通知判定閾値を通知判定時間の間下回り続けた場合に、BMC25は、
図8(b)に示すように、Capping値を低く設定し、管理システム1にCapping値低下の実施通知を送る。
【0063】
コンピュータシステム2は、Capping値の変更を行った際は、通知判定閾値の再計算を行い、電力制御情報テーブル60を更新する(
図7(b)、
図8(b))。
【0064】
蓄電装置3のBMC32は、蓄電電力を使用しているコンピュータシステム2がない場合は、商用電源4から蓄電池34への充電を行うよう制御する。蓄電電力を使用しているコンピュータシステム2がある場合、BMC32は、蓄電量測定部33を介して蓄電電力量の監視を行う。蓄電装置3のBMC32は、蓄電池34の蓄電電力量が使用停止閾値を下回った場合、管理システム1に蓄電電力の使用不可を通知する。
【0065】
次に、電力制御の流れについて実施例をあげて説明する。以下の実施例の図面では、管理システムをMC、コンピュータシステムをCS、蓄電装置をBSと省略して記載する。また、コンピュータシステムのうち、特定のコンピュータシステムを指定する際には、C1、C2、C3、Cnなどと記載する。なお、本実施形態の電力制御は、以下の電力制御の例に限定されない。
【0066】
以下の実施例において、管理システム1の記憶部12に記憶される電力制御情報管理テーブル41は、
図9に示したとおりである。また、以下の実施例のネットワークグループのコンピュータシステムは、C1、C2、C3から構成される。なお、各装置の電力管理は、それぞれの装置に設けられたBMCによって行なわれるが、実施例の説明においては各装置が電力管理行うように記載している。
【0067】
(実施例1)
実施例1は、蓄電電力を使用しない場合の電力制御に関し、以下の流れで行う(
図10を参照)。
【0068】
実施例1では、Capping値の上昇を行っているコンピュータシステムがいない状況で、使用電力が通知判定閾値を通知判定時間以上越え続けたC1のCapping値の上昇を行う場合の電力制御の例を示す。なお、実施例1では、ネットワークグループの総使用電力量はネットワークグループの最大使用可能電力超えないため、蓄電装置3は使用しない。
【0069】
実施例1では、C1、C2、C3の初期のCapping値は、全て100Wの場合の例を示す。
【0070】
図10において、C1は、電力測定部27によって自身の使用電力の計測を行う(ステップ101)。
【0071】
C1のBMC25は、自身の使用電力が通知判定閾値を通知判定時間超え続けるか否かを判断する(ステップ102)。
【0072】
C1の使用電力が通知判定閾値を通知判定時間の間超え続けた場合に、BMC25は管理システム1に使用電力の再分配の要望を通知する(ステップ103)。
【0073】
管理システム1のBMC11は、再分配の要望に応じてネットワークグループ内の総使用電力量を計算する(ステップ104)。
【0074】
実施例1において、コンピュータシステムのCapping値は、全て100Wであり、ネットワークグループ内のCapping値の総和は300Wである。変更Capping単位は20W(
図9)であるため、C1のCapping値の変更を実施した場合、ネットワークグループ内のCapping値の総和は320Wとなる。この総和がBMC11で算出される。
【0075】
管理システム1のBMC11は、C1のCapping値を変更Capping単位だけ上昇を行った場合に、記憶部12を参照しネットワークグループ内の総使用電力量がネットワークグループ内最大使用可能電力を超えるか否かを判断する(ステップ105)。
【0076】
実施例1では、ネットワークグループ内の総使用電力量は320Wであり、ネットワークグループ内最大使用可能電力は400Wである。すなわち、ネットワークグループ内の総使用電力量は、ネットワークグループ内最大使用可能電力を下回っている。
【0077】
なお、ステップ103で、管理システム1がネットワークグループ内の総使用電力量がネットワークグループ内最大使用可能電力を超えると判断した場合については、実施例2において説明する。
【0078】
管理システム1のBMC11は、C1にCapping値上昇の許可を通知する(ステップ106)。このとき、管理システム1は、記憶部13に格納される優先度情報管理テーブル50に登録されたC1のCapping値を更新する。
【0079】
C1のBMC25は、管理システム1からCapping値上昇の許可通知を受け取り、Capping値を上昇させる(ステップ107)。C1の電力制御部28は、更新したCapping値に基づいて電力制御を実行する。このとき、C1のBMC25は、通知判定閾値を再計算して記憶部26に格納する電力制御情報テーブル60を更新する。
【0080】
以上が、実施例1の説明である。なお、実施例1では、C1の電力制御について例示した、その他のコンピュータシステムC2〜Cnに置き換えても、同様に電力制御することができる。
【0081】
(実施例2)
実施例2は、蓄電電力を使用する場合の電力制御に関し、以下の流れで行う(
図11を参照)。
【0082】
実施例2では、使用電力が通知判定閾値を通知判定時間以上越え続けたC1のCapping値の上昇を行う場合の電力制御の例を示す。実施例2では、ネットワークグループの総使用電力量がネットワークグループの最大使用可能電力超えるため、蓄電装置3を使用する例を示す。
【0083】
実施例2では、C1、C2、C3の初期のCapping値は、それぞれ160W、100W、140Wとし、C1のCapping値を上昇させるために、C2の電力を蓄電電力に切り替える電力制御を行う例を示す。実施例2では、ネットワークグループ内のCapping値の総和は400Wとなる。
【0084】
また、実施例2では、ネットワークグループ内の総使用電力量は400Wであり、ネットワークグループ内最大使用可能電力は400Wである。すなわち、ネットワークグループ内の総使用電力量は、ネットワークグループ内最大使用可能電力以上である。
【0085】
実施例2において、ステップ201の前に、ステップ101〜105が実施例1と同様に実行されるが、ステップ104までの動作が共通であるので、説明を省略する。
【0086】
管理システム1のBMC11は、現在使用中の総電力量(400W)とネットワークグループ内の最大使用可能電力量(400W)とを比較し、分配可能な電力がないと判断する(
図10のステップ105)。
【0087】
次に、
図11において、管理システム1のBMC11は、蓄電装置3に対して蓄電電力の使用可否を確認することを依頼する(ステップ201)。
【0088】
蓄電装置3は、蓄電量測定部33によって蓄電池34の蓄電電力を測定する(ステップ202)。
【0089】
蓄電装置3のBMC32は、蓄電電力量が使用可能閾値以上であるか否かを判断する(ステップ203)。
【0090】
蓄電装置3のBMC32は、現在の蓄電電力量が使用可能閾値より小さい場合、管理システム1に蓄電電力が使用不可であると通知する(ステップ204)。
【0091】
蓄電装置3のBMC32は、現在の蓄電電力量が使用可能閾値以上だった場合、管理システム1に蓄電電力が使用可能であると通知する(ステップ205)。
【0092】
管理システム1のBMC11は、その通知を受け、蓄電装置3に対して、現在最もCapping値が小さい(使用電力が少ない)コンピュータシステムであるC2に、蓄電電力から電力供給するよう、通知する(ステップ206)。
【0093】
蓄電装置3のBMC32は、その通知に基づき、蓄電池34への充電を停止して、管理システム1から指定されたコンピュータシステム(C2)への電力供給を蓄電電力に切り替える(ステップ207)。
【0094】
蓄電装置3のBMC32は、管理システム1に実行結果を通知する(ステップ208)。
【0095】
管理システム1のBMC11は、実行結果に応じて、電力供給が蓄電電力に切り替わったC2の使用電力をネットワークグループ内の総使用電力量から除外して、分配可能な電力量ができたと判断する(ステップ209)。
【0096】
管理システム1のBMC11は、C1へCapping値上昇の許可の通知を行う(ステップ210)。
【0097】
C1のBMC25は、Capping値を上昇させる(ステップ211)。C1の電力制御部28は、更新したCapping値に基づいて電力制御を実行する。このとき、C1のBMC25は、通知判定閾値を再計算してC1の電力制御情報テーブル60を更新する。
【0098】
以上が、実施例2の説明である。なお、実施例2においては、C1のCapping値を上昇させるために、C2を蓄電電力に切り替える電力制御を示したが、その他のコンピュータシステムに置き換えても、同様に制御することができる。
【0099】
(実施例3)
実施例3は、コンピュータシステムの使用電力の低下によって、蓄電電力の使用を停止する電力制御に関し、以下の流れで行う(
図12を参照)。
【0100】
実施例3では、少なくともC1に蓄電装置3から電力供給している状況で、C1の使用電力が通知判定閾値を通知判定時間下回り続けたため、C1は自らCapping値を低下し、管理システム1に実施通知を送信する電力制御の例を示す。
【0101】
実施例3では、C1、C2、C3の初期のCapping値は、それぞれ180W、100W、140Wとし、C1の使用電力が通知判定閾値を通知判定時間の間下回り続けた場合に、C1のCapping値を160Wに下げる電力制御を行う例を示す。
【0102】
図12において、C1は、電力測定部27によって自身の使用電力の計測を行う(ステップ301)。
【0103】
C1のBMC25は、自身の使用電力が通知判定閾値を通知判定時間超え続けるか否かを判断する(ステップ302)。
【0104】
C1のBMC25は、C1の使用電力が通知判定閾値を通知判定時間の間下回り続けた場合に、Capping値低下を実施する(ステップ303)。このとき、C1のBMC25は、通知判定閾値を再計算してC1の電力制御情報テーブル60を更新する。
【0105】
C1のBMC25は、管理システム1にCapping値低下の実施通知を通知する(ステップ304)。
【0106】
管理システム1のBMC11は、C1からのCapping値低下の実施通知を受け取った際に、蓄電電力を使用しているC2を含めたネットワークグループ内の総使用電力量を計算する(ステップ305)。
【0107】
実施例3において、C1、C2、C3のCapping値は、それぞれ180W、100W、140Wであるため、ネットワークグループ内のCapping値の総和は420Wとなる。変更Capping単位は20W(
図9)であるため、C1のCapping値の変更を実施した場合、ネットワークグループ内の総使用電力量(Capping値の総和)は400Wとなる。
【0108】
図12において、管理システム1のBMC11は、ネットワークグループ内の総使用電力量が最大使用可能電力量(400W)よりも小さくなったか否かを判断する(ステップ306)。
【0109】
管理システム1のBMC11は、蓄電装置3に対して、蓄電電力を使用しているC2の電源を、蓄電電力から商用電源4に切り替えるように通知する(ステップ307)。
【0110】
なお、ネットワークグループ内の総使用電力量が最大使用可能電力量よりも大きい場合、管理システム1のBMC11は、蓄電装置3に対して供給電力を切り替える通知を出さない(ステップ301へ)。
【0111】
蓄電装置3のBMC32は、ステップ307での切り替え通知に応じ管理システム1から指定されたC2の電源を商用電源4に切り替える(ステップ308)。
【0112】
蓄電装置3のBMC32は、蓄電電力を使用していているコンピュータシステムの有無を判断する(ステップ309)。
【0113】
蓄電装置3のBMC32は、蓄電電力を使用しているコンピュータシステムがなければ、蓄電池34への充電を再開する(ステップ310)。
【0114】
なお、蓄電電力を使用しているコンピュータシステムがあれば、蓄電装置3は、蓄電電力を使用しているコンピュータシステムへの蓄電電力の供給を継続する(ステップ301へ)。
【0115】
蓄電装置3のBMC32は、管理システム1に実施結果を通知する(ステップ311)。
【0116】
以上が、実施例3の説明である。なお、実施例3においては、C1のCapping値の低下を受け、C2の蓄電電力を商用電源に切り替える例を示したが、その他のコンピュータシステムに置き換えても、同様に制御することができる。
【0117】
(実施例4)
実施例4は、蓄電電力量の低下によって、蓄電電力の使用を停止する電力制御に関し、以下の流れで行う(
図13を参照)。
【0118】
実施例4では、C1とC3に蓄電装置3から蓄電電力を供給している状況で、蓄電装置3の蓄電電力量が使用停止閾値を下回ったため、優先度情報管理テーブルの優先度が小さいC3を商用電源に切り替える場合の電力制御の例を示す。
【0119】
実施例4では、C1、C2、C3の初期のCapping値は、それぞれ180W、100W、140Wとし、C2のCapping値を低下させ、蓄電電力を商用電源4に切り替える電力制御を行う例を示す。
【0120】
図13において、蓄電装置3は、蓄電量測定部33によって自身の蓄電電力を測定する(ステップ401)。
【0121】
蓄電装置3のBMC32は、蓄電電力量が使用停止閾値を下回ったか否かを判断する(ステップ402)。
【0122】
蓄電装置3のBMC32は、蓄電電力量が使用停止閾値を下回った場合、管理システム1に蓄電電力の使用不可を通知する(ステップ403)。
【0123】
管理システム1のBMC11は、その通知を受け、Capping値の上昇を行っている装置のうち、優先度情報管理テーブル50の優先度が小さいコンピュータシステムであるC3に対して、Capping値低下の依頼通知を行う(ステップ404)。
【0124】
Capping値低下の依頼通知を受け取ったC3のBMC25は、その通知に基づき、Capping値の低下を実行する(ステップ405)。C3の電力制御部28は、更新したCapping値に基づいて電力制御を実行する。
【0125】
C3のBMC25は、管理システム1にCapping値低下の実施を通知する(ステップ404)。
【0126】
管理システム1のBMC11は、その実施通知に応じて、蓄電電力を使用している装置を含めたネットワークグループ内の総使用電力量が最大使用可能電力量よりも小さくなるまで、コンピュータシステムへのCapping値低下の依頼通知を行う(ステップ406)。
【0127】
管理システム1のBMC11は、ネットワークグループ内のCapping値の総和を計算する(ステップ407)。
【0128】
実施例4において、C1、C2、C3のCapping値は、それぞれ180W、100W、140Wであるため、ネットワークグループ内のCapping値の総和は420Wとなる。変更Capping単位は20W(
図9)であるため、C3のCapping値の変更を実施した場合、ネットワークグループ内の総使用電力量(Capping値の総和)は400Wとなる。
【0129】
図13において、管理システム1のBMC11は、ネットワークグループ内の総使用電力量が最大使用可能電力量(400W)よりも小さくなったか否かを判断する(ステップ408)。
【0130】
管理システム1のBMC11は、ネットワークグループ内の総使用電力量が最大使用可能電力量(400W)よりも小さくなった場合、蓄電装置3に蓄電池34への充電の開始可能を通知する(ステップ409)。
【0131】
蓄電装置3のBMC32は、その通知に基づき、蓄電電力を使用しているC2の電源を商用電源4に切り替える(ステップ410)。
【0132】
蓄電装置3のBMC32は、蓄電装置3の蓄電電力を使用しているコンピュータシステムがあるか否かを判断する(ステップ411)。
【0133】
蓄電装置3のBMC32は、蓄電装置3の蓄電電力を使用しているコンピュータシステムがない場合は、蓄電池34への充電を開始する(ステップ412)。
【0134】
蓄電装置3のBMC32は、管理システム1に実施結果を通知する(ステップ413)。
【0135】
以上が、実施例4の説明である。なお、実施例4においては、蓄電装置3の蓄電電力量が使用可能閾値を下回った場合、優先度の低いC2へ供給していた蓄電電力を商用電力に切り替える例を示したが、その他のコンピュータシステムに置き換えても、同様に制御することができる。
【0136】
(実施例5)
実施例5は、管理システム1がコンピュータシステムから使用電力の再分配の要望通知を受け取った場合の電力制御に関し、以下の流れで行う(
図14を参照)。
【0137】
実施例5では、蓄電装置3が充電中で使用できないときに、管理システム1がコンピュータシステム2から使用電力の再分配の要望通知を受け取った場合の電力制御の例を示す。
【0138】
実施例5では、C1が使用電力の再分配の要望通知を送るコンピュータシステムであり、C2が優先度の小さいコンピュータシステムであるとする。
【0139】
図14において、管理システム1のBMC11は、蓄電池34が充電中であり、蓄電電力が使用できないときに、使用電力の再分配の要望通知を受け取ったか否かを判断する(ステップ501)。
【0140】
管理システム1のBMC11は、C1から使用電力の再分配の要望通知を受け取った場合、記憶部13に保存された優先度情報管理テーブル50において、C1のCapping値上昇リクエストフラグをONに設定する(ステップ502)。
【0141】
管理システム1のBMC11は、C1からCapping値低下の実施通知を受け取ったか否かを判断する(ステップ503)。
【0142】
管理システム1のBMC11は、C1からCapping値低下の実施通知を受け取った場合は、その通知に応じて、Capping値上昇リクエストフラグをOFFに設定する(ステップ504)。
【0143】
図14において、蓄電装置3は、蓄電量測定部33によって、蓄電電力量を測定する(ステップ505)
蓄電装置3のBMC32は、蓄電電量が使用可能閾値を超えたか否かを判断する(ステップ506)。
【0144】
蓄電装置3のBMC32は、蓄電電力量が使用可能閾値を超えた場合、管理システム1に蓄電電力の使用可能通知を送る(ステップ507)。
【0145】
Capping値上昇リクエストフラグがONのコンピュータシステムがあった場合、管理システム1のBMC11は、蓄電装置3に、優先度の小さいコンピュータシステムであるC2への蓄電電力を供給するように通知する(ステップ508)。
【0146】
蓄電装置3のBMC32は、その通知に応じて、C2への蓄電電力供給を開始する(ステップ509)。
【0147】
蓄電装置3のBMC32は、管理システム1に蓄電電力を切り替えた結果を通知する(ステップ510)。
【0148】
管理システム1のBMC11は、その通知に応じて、C1にCapping値上昇許可を通知する(ステップ511)。
【0149】
C1のBMC25は、Capping値を上昇させ、記憶部26に保存された電力制御情報テーブル60を更新する(ステップ512)。
【0150】
以上が、実施例5の説明である。なお、実施例5においては、C1の使用電力の再分配の要望通知を受け、優先度の低いC2への供給電力を蓄電電力に切り替える例を示したが、その他のコンピュータシステムに置き換えても、同様に制御することができる。
【0151】
本発明の実施形態のネットワークグループにおけるコンピュータシステム2の電力制御方法の特徴および効果をまとめると、以下のようになる。
【0152】
第1に、管理システム1のBMC11が、ネットワークグループ内の電力制御の情報を保持してネットワーク通信によりネットワークグループ内のコンピュータシステム2に使用電力量の上昇・低下の指示を行う。また、管理システム1のBMC11は、ネットワークグループ内の蓄電装置3に蓄電電力の使用の切り替えの指示を行う。
【0153】
そのため、ネットワークで繋がっている複数のコンピュータシステム及びそのコンピュータシステムが接続している蓄電装置3を一つのネットワークグループとして扱い、ネットワークグループによる電力制御を自動で行うことができる。
【0154】
第2に、ネットワークグループ内のコンピュータシステム2のBMC25は、電力測定部27から使用電力を監視して、管理システム1に使用電力量の要求を行い、管理システム1からの指示により電力制御部28から使用電力のCapping値の変更を行う。
【0155】
そのため、各コンピュータシステムのCappingによるネットワークグループ内の総使用電力量の制御と蓄電装置3の蓄電電力の使用の制御をあわせて行うことができる。
【0156】
第3に、ネットワークグループ内の蓄電装置3は、管理システム1からの指示により蓄電電力の使用の切り替えを行い、蓄電量測定部33から蓄電電力量を監視して、蓄電電力量が低下した際に管理システム1に通知する。
【0157】
そのため、ネットワークグループ内の各コンピュータシステムの処理が増加して総使用電力量がネットワークグループ内の最大使用可能電力量に達した場合に、蓄電電力を使用して一時的にネットワークグループ内の総使用電力量を増加させることができる。その結果、各コンピュータシステムのCapping値の上昇を可能にして性能の低下による処理の遅延を抑えることができる。
【0158】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、
図15のような変形例であってもよい。
【0159】
図15に示した変形例において、ネットワークグループは、ネットワーク80と、管理システム81と、複数のコンピュータシステム82と、複数の蓄電装置83とを備えている。さらに、蓄電装置83には、商用電源84が接続されている。ただし、それぞれの装置は、本発明の実施形態に記載した構成要素を含むものとする。
【0160】
複数の蓄電装置83のBMCは、ネットワークグループ内のコンピュータシステム82に個別に接続される環境で各コンピュータシステム82や蓄電装置3の電力管理を行う。
【0161】
図15に示した変形例では、複数のコンピュータシステム82が、個別に設置された蓄電装置83から同時に蓄電電力を使用することができる。そのため、一時的にネットワークグループ内で使用可能な総電力量を大幅に上昇させることが可能となる。その結果、ネットワークグループ内でCapping値を上昇させるコンピュータシステム82の台数の増加や、特定のコンピュータシステムのCapping値の大幅な上昇が行えるようになる。
【0162】
また、
図16に示したように、蓄電電力を使用するコンピュータシステム82を、順に切り替えていくことも可能である。
図16では、C1、C2、C3、Cnへの蓄電電力の供給を、時間をずらして実施することを示す。実線は、コンピュータシステム82のいずれかが蓄電電力を使用している時間を示す。破線は、蓄電装置83が充電している時間を示す。
【0163】
図16のシークエンスでは、ネットワークグループ内の他のコンピュータシステムが蓄電電力を使用している間に、蓄電電力を使用していない蓄電装置83は蓄電を繰り返すことができる。そのため、ネットワークグループ内での蓄電電力の使用時間を延ばすことが可能となる。
【0164】
以上の変形例においても、実施例1〜5の電力制御が可能となる。ただし、本発明の電力制御方法は、ここで挙げた実施形態や実施例には限定されない。
【0165】
なお、本発明の実施形態の管理システムは必ずしも特別な装置である必要は無く、いずれかのコンピュータシステムに管理システムの機能を割り当てればよい。また、本発明の実施形態の蓄電装置は、コンピュータシステムに内蔵された蓄電装置であってもよい。
【0166】
本実施形態においては、コンピュータシステムを備えたネットワークグループの電力制御方法について記載してきたが、本実施形態の方法であれば、コンピュータシステムに限らず、蓄電装置を用いた電気機器の電力制御にも応用することができる。
【0167】
以上のように、本発明の実施形態を用いれば、ネットワークグループ内の最大使用可能電力量の値を変更することなく一時的に使用可能な総電力量を増加させることができる。そのため、ネットワークグループ内で一時的な使用電力量の増加が発生した際であっても、コンピュータシステムの自動制御をすることができる。