(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、この発明が適用される端末装置である携帯電話機1およびAVシステム3の構成を示す図である。
【0016】
携帯電話機1はいわゆるスマートフォンと言われる機種が好適である。携帯電話機(スマートフォン)1は、携帯通信網である3G/4G通信機能を有するとともに、無線LAN(Wi−Fi)通信機能を有しており、アクセスポイント5を介してネットワーク6に接続される。ネットワーク6には、AVシステム3のコアとなるAVレシーバ4も接続されている。
【0017】
携帯電話機1は、アプリケーションプログラム(アプリ)であるAVコントローラプログラム50を起動することにより、
図2に示すAVコントローラ100として機能し、ユーザの操作に応じて、ネットワーク6経由でAVレシーバ4を制御する。その制御機能は、入力ソースの選択、電源のオン/オフ、ボリューム(音量)値の上下などである。
【0018】
なお、AVコントローラ100におけるボリューム値の制御は以下のとおりである。ボリューム値を上昇させる“+”ボタン416(
図3参照)がクリック(押し下げまたは接触操作)される毎に、ボリューム値を0.5dBずつ上昇させる。“+”ボタン416が一定時間(たとえば1秒)以上押し下げられた場合、「長押し」と判定して、その長押しされている期間中、ボリューム値を繰り返し上昇させる。さらに、長押しの前に“+”ボタン416の「反復押し」がされた場合には、その反復押しの回数に応じて、長押し時のボリューム値の上昇速度を速くする。なお、反復押しとは、各操作の間隔が一定時間(たとえば1秒)以内で“+”ボタン416が繰り返して押し下げまたは接触操作されることである。以上は、“+”ボタン416によるボリューム値の上昇操作について説明したが、ボリューム値を下降させる“−”ボタン417(
図3参照)によるボリューム値の下降操作についても同様である。以下の実施形態の説明においても“+”ボタン416によるボリューム値の上昇操作についてのみ説明するが、“−”ボタン417によるボリューム値の下降操作についても同様である。なお、これら“+”ボタン416および“−”ボタン417が本発明の被操作部に対応する。
【0019】
AVシステム3は、コア機器であるAVレシーバ4にセットトップボックス(STB)10、DVDプレーヤ11、スピーカ12およびテレビ(TV)13が接続された構成であり、AVレシーバ4がネットワーク6に接続されている。AVレシーバ4は、複数のAVソースからいずれかを選択し、そのAVソースの再生(受信)映像をテレビ13に出力するとともに、再生(受信)映像をスピーカ12に出力する。AVソースの選択、ボリューム値の上下等は、AVレシーバ4の操作パネルを直接操作して行うことが可能であるが、上述のように、携帯電話機1を用いて行うことも可能である。なお、AVシステム3の構成は図示のものに限定されない。
【0020】
次に、AVコントローラプログラム50が実行される携帯電話機1の構成を説明する。携帯電話機1は、バス26上に、制御部20、操作部30、メディアインタフェース31、Wi−Fi通信回路32および3G/4G通信回路33を有している。制御部20は、CPU21、ROM(フラッシュメモリ)22、RAM23、画像プロセッサ24および音声プロセッサ25を含んでいる。画像プロセッサ24には、ビデオRAM(VRAM)40が接続され、VRAM40には表示部41が接続されている。表示部41は、液晶のディスプレイを含み、待ち受け画面や電話番号などを表示する。また、後述のAVコントローラ100の画面も表示部41に表示される。音声プロセッサ25には、D/Aコンバータを含むアンプ42が接続され、アンプ42にはスピーカ16が接続されている。
【0021】
画像プロセッサ24は、待ち受け画面や電話番号等などの種々の映像を生成するGPU(Graphics Processing Unit,グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を備えている。画像プロセッサ24は、AVコントローラプログラム50が起動された場合には、CPU21の指示に従ってAVコントローラの画像を生成し、これをVRAM40上に展開する。VRAM40上に展開された画像は表示部41に表示される。
【0022】
音声プロセッサ25は、通話音声をエンコード/デコードするDSP(Digital Signal Processor:デジタル・シグナル・プロセッサ)を有している。音声プロセッサ25は、デコード/生成した音声をアンプ42に出力する。アンプ42は、この音声信号を増幅してスピーカ16に出力する。
【0023】
Wi−Fi通信回路32は、無線アクセスポイント5との間でIEEE802.11g規格の無線通信を行い、AVレシーバ4などのネットワーク6上の機器とデータやメッセージの送受信を行う。AVレシーバ4との間は、DLNA(Digital Living Network Alliance)に類して規定されたフォーマットでメッセージを交換する。3G/4G通信回路33は、携帯電話通信網を介して、音声通話およびデータ通信を行う。データ通信によってアプリケーションプログラムのダウンロードが行われる。なお、アプリケーションプログラムは、3G/4G通信でダウンロードするのみならず、Wi−Fi通信やUSBなどのインタフェース経由で取得するようにしてもよい。
【0024】
操作部30は、表示部41上に形成されたタッチパネルを含み、タッチパネル上のタッチ操作、フリック操作を検出する。メディアインタフェース31にはメモリカード15が接続される。メモリカード15は、たとえばマイクロSDカードである。3G/4G通信回路33によってサーバからダウンロードされたアプリケーションプログラムは、メモリカード15またはROM22に保存される。この携帯電話機1では、
図1に示すように、AVコントローラプログラム50(アプリケーションプログラム)がメモリカード15に保存されている。
【0025】
AVコントロールプログラム50は、プログラム本体に加えてプログラムの実行に必要なデータを含んでいる。プログラムの実行に必要なデータは、たとえば、コマンドテーブル501などである。コマンドテーブル501は、AVシステム2に対する制御内容とその制御内容を表すコマンドを対応づけたテーブルである。コマンドテーブル501には、AVレシーバの電源をオン/オフする、音量を上げる/下げる、入力ソースとしてDVDプレーヤ/STBを選択する、などのコマンドが記憶されている。
【0026】
ROM22には、この携帯電話機1の通話やアプリケーションプログラムを実行するための基本プログラムが記憶されている。また、ROM22はフラッシュメモリであり、基本プログラムのほか、ダウンロードされたアプリケーションプログラムなどを記憶することも可能である。RAM23には、CPU20がAVコントローラプログラム50を実行する際に使用されるワークエリアが設定される。ワークエリアには、たとえば、
図5、
図6のフローチャートで説明する各種データのタイマエリア、カウンタエリア、フラグエリアなどが設けられる。
【0027】
携帯電話機1は、メモリカード15に保存されているAVコントローラプログラム50との協働によって、
図2に示すようなAVコントローラ100を構成し、Wi−Fi経由でAVレシーバ4にコマンドメッセージを送信してAVレシーバ4を制御する。
【0028】
図2の機能ブロック図を参照して、携帯電話機1(ハードウェア)にAVコントローラプログラム50が読み込まれることによって実現されるAVコントローラ100について説明する。AVコントローラ100は、操作画面表示部110、操作検出部120、メッセージ編集送信部130および状態取得部140を有している。
【0029】
操作画面表示部110は、制御部20、VRAM40、表示部41およびAVコントローラプログラム50の協働によって実現され、携帯電話機1の表示部41に、各種の操作画面を表示する。また、操作検出部120は、制御部20、操作部30およびAVコントローラプログラム50の協働によって実現され、表示部41に表示された操作画面に対する操作(たとえば、クリック操作や長時間の押し下げ操作)を検出する。検出された操作情報は、操作画面表示部110、メッセージ編集送信部130などに入力される。
【0030】
メッセージ編集送信部130は、制御部20、Wi−Fi通信回路32およびAVコントローラプログラム50の協働によって実現される。メッセージ編集送信部130は、操作検出部120から入力された操作情報に基づき、その操作情報に対応するコマンドをコマンドテーブル501から読み出してコマンドメッセージを編集する。そして、そのコマンドメッセージをAVレシーバ4に送信する。
【0031】
状態取得部140は、制御部20、Wi−Fi通信回路32およびAVコントローラプログラム50の協働によって実現される。状態取得部140は、AVレシーバ4に対して問い合わせを行い、AVレシーバ4の動作状態を取得する。動作状態とは、そのとき選択されている入力ソース、ボリューム値などである。この問い合わせは、AVコントローラ100の起動時またはAVレシーバ4の起動時、および、適宜(たとえば5秒毎、コマンドメッセージの送信直後など)に行われる。取得したボリューム値は、
図3に示す操作画面400の表示に反映される。
【0032】
図3は、操作画面表示部110によって表示される操作画面400の例を示す図である。この操作画面400は表示部41に表示され、ユーザがタッチパネル(操作部30)で操作することができる。この図はメイン画面を示している。メイン画面では、ユーザは、AVレシーバ4の電源のオン/オフ、および、ボリューム値の上下のコントロールをすることが可能である。この図において、操作画面400の中央にウィンドウ410が形成され、このウィンドウ410内に、電源ボタン411、現在のボリューム値の表示エリア413、ボリューム値に応じた波紋図形が付されたスピーカアイコン414、ボリューム値を表す横向きの棒グラフ415、ボリューム値を上昇させるための“+”ボタン416、および、ボリューム値を下降たせるための“−”ボタン417が表示されている。
【0033】
電源ボタン411は、AVレシーバ4の電源をオン/オフするボタンスイッチであり、ユーザによってこの電源ボタン411が押し下げ操作されると、その押し下げ操作の操作情報が操作検出部120によって検出され、メッセージ編集送信部130に伝達される。メッセージ編集送信部130は、電源オン/オフの状態を反転させるコマンドメッセージを編集してAVレシーバ4に送信する。
【0034】
表示エリア413、スピーカアイコン414、棒グラフ415には、現在のボリューム値に応じた数字または図形が表示される。
図3の例では、現在のボリューム値は−45dBである。表示エリア413にはこの値が数値で表示され、スピーカアイコン414には、このボリューム値に応じた数(図示の例では2つ)の波紋図形が付されている。また、棒グラフ415は、左端からこのボリューム値に応じた範囲が着色されている。
【0035】
ユーザによって“+”ボタン416が押し下げ操作されると、その押し下げ操作の操作情報が操作検出部120によって検出され、メッセージ編集送信部130、操作画面表示部110に伝達される。メッセージ編集送信部130は、操作内容に応じたボリューム値更新のコマンドメッセージを編集してAVレシーバ4に送信する。また、操作画面表示部11は、操作内容に応じて、表示エリア413、スピーカアイコン414、棒グラフ415の表示内容を更新する。なお、この実施形態では、上述したように、操作検出部120によって“+”ボタン416の長押しおよび反復押しが検出されることにより、ボリューム値が繰り返し高速に制御される。
【0036】
また、
図3において、表示部41のウィンドウ410の下には、入力ソースの選択画面、DSP設定選択画面、シーン選択画面を選択するためのアイコン群420が表示されている。操作画面表示部110は、
図3のメイン画面以外に、アイコン群420のアイコンの選択に応じて、入力ソースの選択画面、DSP設定画面、シーン選択画面を表示する。入力ソース選択画面は、AVレシーバ4に接続されているSTB10、DVDプレーヤ11や内蔵のチューナなど選択可能な入力ソースのアイコンを配列表示した画面である。DSP選択画面は、複数の音場プログラムのアイコンを配列表示した画面である。シーン選択画面は、入力ソースや音場プログラムを一括で切り換えるシーンアイコンを配列表示した画面である。ユーザが、いずれかのアイコンを操作することにより、AVコントローラ100は、そのアイコンに対応した制御を指示するコマンドメッセージをAVレシーバ4に対して送信する。
【0037】
図4を参照して、本実施形態のAVコントローラ100によるボリューム値制御について説明する。上述したように、AVコントローラ100は、長押しを検出したとき、ボリューム値の繰り返し更新を行い、反復押しおよび長押しを検出したとき、ボリューム値の高速の繰り返し更新を行う。反復押しの判定時間、および、長押しの判定時間は、それぞれ任意でよいが、この実施形態では、両方とも1秒とする。すなわち、反復押しは、前回の押し下げ操作(クリック)から1秒以内に再度押し下げ操作されることが条件であり、長押しは、押し下げ操作が1秒以上継続されることが条件である。なお、
図4を参照した以下の説明では、“+”ボタン416が操作された場合のボリューム値の上昇制御について説明するが、“−”ボタン417が操作された場合のボリューム値の下降制御についても同様である。
【0038】
図4(A)は、単独の押し下げ操作が繰り返された場合のボリューム値制御の例を示している。この例では、1秒に2回ずつ短時間の押し下げ操作(クリック操作)が繰り返されているが、この場合、長押しが伴わないため、反復押しとしての効果はなく、1クリック毎に0.5dBずつボリューム値が上昇するのみである。この図に示した5.4秒の時間で、ボリューム値は、−45.0dBから5.5dB上昇して、−39.5dBとなる。毎回の各押し下げ操作ごとに、操作画面400の表示が更新されるとともに、AVレシーバ4宛にコマンドメッセージが送信される。
【0039】
図4(B)は、反復押しを伴わない(1回押しの)長押し操作が行われた場合のボリューム値制御の例を示している。この場合、押し下げ操作があった瞬間に、通常の押し下げ操作と同様にボリューム値を0.5dB上昇させる制御が行われ、ボリューム値が−44.5dBに更新される。そして、この押し下げ操作が1秒間継続して長押しと判定されると、繰り返し更新処理(
図6(A))が実行され、0.2秒ごとに表示エリア413を含む操作画面400の表示が1回の押し下げ操作分に相当する0.5dB上昇するよう更新され、1秒ごとに5回の押し下げ操作分に相当する2.5dB上昇させるコマンドメッセージが編集されてAVレシーバ4に送信される。
図4(B)には、1秒ごとのコマンドメッセージの送信タイミングと、そのときの更新内容であるパラメータ値を記載している。そして5.4秒後に“+”ボタン416の長押しが解除されると、そのとき表示エリア413に表示されている値(確定値)にボリューム値を更新するコマンドメッセージが編集されてAVレシーバ4に送信される。この図の例では、確定値は−33.5dBである。
【0040】
なお、コマンドメッセージの発行(編集および送信)を、表示更新5回につき1回の頻度としたのは、コマンドメッセージの送受信の処理、および、AVレシーバ4のボリュームコントロールの処理を軽くするためである。また、長押しの解除時に、AVレシーバ4に確定値を送信するのは、1秒以内の細かい操作をボリューム値の制御に反映させるためである。
【0041】
図4(C)は、1回の反復押しを伴う(2回押しの)長押し操作が行われた場合のボリューム値制御の例を示している。まず、1回目の短時間の押し下げ操作の瞬間に通常の押し下げ操作と同様にボリューム値を0.5dB上昇させる制御が行われ、ボリューム値が−44.5dBに更新される。この短時間の押し下げ操作ののち、1秒以内に再度押し下げ操作が行われると、前回の押し下げ操作と今回の押し下げ操作を反復押しと判定する。今回の押し下げ操作に対しても押し下げ操作の瞬間に通常の押し下げ操作と同様にボリューム値を0.5dB上昇させる制御が行われ、ボリューム値が−44.0dBに更新される。そして、この押し下げ操作が1秒間継続して長押しと判定されると、繰り返し更新処理(
図6(A))が実行され、0.2秒ごとに表示エリア413を含む操作画面400の表示が、2回の押し下げ操作分に相当する1.0dB上昇するよう更新され、1秒ごとに10回の押し下げ操作分に相当する5.0dB上昇させるコマンドメッセージが編集されてAVレシーバ4に送信される。すなわち、この図(
図4(C))の例は2回押しの長押し操作の例であるため、
図4(B)の1回押しの長押し操作の2倍のステップ値でボリューム値が制御される。
図4(C)には、1秒ごとのコマンドメッセージの送信タイミングと、そのときの更新内容であるパラメータ値を記載している。そして5.4秒後に“+”ボタン416の長押しが解除されると、そのとき表示エリア413に表示されている値(確定値)にボリューム値を更新するコマンドメッセージが編集されてAVレシーバ4に送信される。この図の例では、確定値は−26.0dBである。
【0042】
図4(D)は、2回の反復押しを伴う(3回押しの)長押し操作が行われた場合のボリューム値制御の例を示している。まず、1回目および2回目の反復押しの押し下げ操作の瞬間に通常の押し下げ操作と同様にボリューム値を0.5dBずつ上昇させる制御が行われ、ボリューム値が−44.0dBに更新される。さらに、この反復押しの押し下げ操作ののち、さらに1秒以内に再度押し下げ操作が行われると、今回の押し下げ操作に対しても押し下げ操作の瞬間に通常の押し下げ操作と同様にボリューム値を0.5dB上昇させる制御が行われ、ボリューム値が−43.5dBに更新される。そして、この押し下げ操作が1秒間継続して長押しと判定されると、繰り返し更新処理(
図6(A))が実行され、0.2秒ごとに表示エリア413を含む操作画面400の表示が、3回の押し下げ操作分に相当する1.5dB上昇するよう更新され、1秒ごとに15回の押し下げ操作分に相当する7.5dB上昇させるコマンドメッセージが編集されてAVレシーバ4に送信される。すなわち、この図(
図4(D))の例は3回押しの長押し操作の例であるため、
図4(B)の1回押しの長押し操作の3倍のステップ値でボリューム値が制御される。
図4(D)には、1秒ごとのコマンドメッセージの送信タイミングと、そのときの更新内容であるパラメータ値を記載している。そして5.4秒後に“+”ボタン416の長押しが解除されると、そのとき表示エリア413に表示されている値(確定値)にボリューム値を更新するコマンドメッセージが編集されてAVレシーバ4に送信される。この図の例では、確定値は−21.0dBである。
【0043】
このように、反復押しののち長押しすることで、反復押しの回数に応じた速度(ステップ値)でボリューム値が制御されるため、大きくボリューム値を変更する場合には、複数回の反復押しに若干の時間を要しても、反復押ししたのち長押し操作することが有効である。なお、1回押しの長押し操作時の繰り返し制御のステップ値を通常の押し下げ操作時の5倍としているが、倍率は5倍の限定されない。より高速な制御を実現するには、たとえば10倍としてもよい。なお、反復押しで繰り返し更新の速度(ステップ値)を大きくすることができるため、基本の1回押しの繰り返し更新の速度はゆっくりに抑えることが可能になる。
【0044】
また、長押し前の反復押し回数によるステップ値の倍率を、その押し回数と同じ、すなわち、1回押しのとき1倍(通常の5倍)、2回押しのとき2倍(通常の10倍)、3回押しのとき3倍(通常の15倍)としているが、倍率はこれに限定されない。たとえば、押し回数をnとして、「2^(n−1)」倍としてもよい。すなわち、1回押しのとき1倍、2回押しのとき2倍、3回押しのとき4倍としてもよい。また、「1+(1−2^(1−n))×4」のようにある値(左式の場合5)に収束する式で倍率を演算してもよい。この場合、上限値が式によって自動的に設定される。
【0045】
なお、反復押しを何度も繰り返すと、倍率が極めて大きくなり、ボリューム値が短時間で大きく上昇して、AVレシーバ4の再生音量が突然大音量になってしまう危険性がある。そこで、上記の押し回数による倍率に上限を設け、反復押しを多数回繰り返しても、押し回数による倍率がその上限倍率を超えないようにして、突然の大音量を防止する。
【0046】
図5、
図6のフローチャートを参照して携帯電話機1(AVコントローラ100)の動作を説明する。
【0047】
図5(A)は“+”ボタン416のオンイベント動作を示すフローチャートである。“+”ボタン416の押し下げが検出されると以下の処理が実行される。まず、“+”ボタンの押し下げ状態を記憶するオンフラグをセットし(S1)、このオンイベントに対応して0.5dBボリューム値を上昇させるコマンドメッセージを編集してAVレシーバ4に送信する(S2)。つぎに、長押しを判定するための(1秒の)タイマである長押しタイマをスタートさせる(S3)。つぎに、反復押しを判定するための(1秒の)タイマである反復押しタイマがカウント中であるか、すなわち、前回の押し下げ操作から1秒が経過していないかを判定する(S4)。
【0048】
反復押しタイマが動作中でない場合(S4でNO)、すなわち、前回の押し下げ操作から1秒以上が経過している場合には、反復押しカウンタに1をセットし(S5)、反復押しタイマをスタートさせる(S6)。一方、反復押しタイマが動作中の場合(S4でYES)、すなわち、今回の押し下げ操作(オンイベント)が、前回の押し下げ操作から1秒以内の場合には、反復押しであるとして反復押しカウンタの値に1を加算し(S7)、反復押しタイマをリセットして再スタートさせる(S8)。これにより、反復押しの回数がカウントされる。
【0049】
図5(B)は、定期的(たとえば10ms毎)に実行される長押し判定処理を示すフローチャートである。まず、“+”ボタン416の押し下げ操作中であることを示すオンフラグがセットされているかを判定する(S20)。オンフラグがセットされていない場合は(S20でNO)、“+”ボタン416がオンされていないため、長押しを判定する余地なくそのままリターンする。オンフラグがセットされている場合、すなわち、“+”ボタン416の押し下げ操作中である場合には(S20でYES)、長押しフラグがセットされているかを判定する(S21)。長押しフラグがセットされている場合には(S21でYES)、
図6(A)の繰り返し更新処理が起動されているため、この場合もそのままリターンする。
【0050】
オンフラグがセットされているが、長押しフラグがセットされていない場合には(S21でNO)、長押しタイマがタイムアップしたか否かを判定する(S22)。長押しタイマがタイムアップしていれば(S22でYES)、“+”ボタン416が押し下げられた状態で1秒が経過したているため、これにより長押しと判定する。この場合、長押し状態を示す長押しフラグをセットし(S23)、反復押し回数をカウントする反復押しカウンタの値に基づいて、
図6(A)の繰り返し更新処理で用いるステップ値STを算出する(S24)。そして、繰り返し更新処理を起動する(S25)。繰り返し更新処理は、“+”ボタン416が長押しされている期間中、定期的に実行され、ボリューム値を繰り返し上昇させる処理である。
【0051】
図6(A)は、繰り返し更新処理を示すフローチャートである。この処理は、“+”ボタン416が長押しされている間、一定時間毎(この実施形態では200ms毎)に実行される処理動作である。まず、操作画面400の表示エリア413、スピーカアイコン414、棒グラフ415の表示を、S24で算出されたステップ値STだけ加算された内容で更新する(S30)。そして表示更新カウンタに1を加算する(S31)。なお、表示更新カウンタは起動時に0にリセットされている。
【0052】
次に、表示更新カウンタの値が5になったかを判断する(S32)。5になっていなければ(S32でNO)、そのまま動作を終了する。カウンタの値が5になっていれば(S32でYES)、すなわち、ステップ値STによる表示の更新が5回行われていれば、ステップ値STの5倍ボリューム値を上昇させるコマンドメッセージを編集してAVレシーバ4に送信する(S33)。表示更新カウンタを(0に)リセットして(S34)、動作を終了する。
【0053】
図6(B)は、“+”ボタン416のオフイベント処理を示すフローチャートである。“+”ボタンのオンが解除されると以下の処理が実行される。まずオンフラグをリセットする(S40)。そして、長押しタイマをリセットして停止させる(S41)。そして、長押しフラグがセットされているかを判定する(S42)。長押しフラグがセットされていない場合には(S42でNO)、通常の押し下げ操作の解除であるとしてそのまま動作を終了する。
【0054】
一方、長押しフラグがセットされている場合には(S42でYES)、長押し状態であったため、
図6(A)の繰り返し更新処理現在を終了させるとともに(S43)、現在の表示エリア413の表示値を確定値として、この値にボリューム値を制御するコマンドメッセージを編集してAVレシーバ4に送信する(S44)。そして長押しフラグをリセットして(S45)、動作を終了する。
【0055】
以上の実施形態では、繰り返し更新処理を200msの固定された時間間隔で稼働させ、1回の更新処理で上昇させるボリューム値(ステップ値ST)を反復押しの回数に応じて変化するようにした。逆に、ステップ値を一定にして、更新処理の稼働間隔を反復押しの回数に応じて可変にしてもよい。
【0056】
図7は、ステップ値を一定にして更新処理の稼働間隔を反復押しの回数に応じて可変にした場合のボリューム値更新の例を示す図である。
図7(A)、(B)は、ステップ値STを可変する
図4(A)、(B)の例と同様である。
【0057】
図7(C)は、2回押しの長押し操作が行われた場合のボリューム値制御の例を示している。まず、1回目の短時間の押し下げ操作の瞬間に通常の押し下げ操作と同様にボリューム値を0.5dB上昇させる制御が行われ、ボリューム値が−44.5dBに更新される。この短時間の押し下げ操作ののち、1秒以内に再度押し下げ操作が行われると、前回の押し下げ操作と今回の押し下げ操作を反復押しと判定する。今回の押し下げ操作に対しても押し下げ操作の瞬間に通常の押し下げ操作と同様にボリューム値を0.5dB上昇させる制御が行われ、ボリューム値が−44.0dBに更新される。そして、この押し下げ操作が1秒継続して長押しと判定されると、繰り返し更新処理が実行され、0.1秒ごとに表示エリア413を含む操作画面400の表示が1回の押し下げ操作分に相当する0.5dB上昇するよう更新され、0.5秒ごとに5回の押し下げ操作分に相当する2.5dB上昇させるコマンドメッセージが編集されてAVレシーバ4に送信される。すなわち、この図(
図7(C))の例は2回押しの長押し操作の例であるため、
図7(B)の1回押しの長押し操作の1/2の時間間隔で(2倍の速度で)ボリューム値が制御される。
図7(C)には、0.5秒ごとのコマンドメッセージの送信タイミングと、そのときの更新内容であるパラメータ値を記載している。そして5.4秒後に“+”ボタン416の長押しが解除されると、そのとき表示エリア413に表示されている値(確定値)にボリューム値を更新するコマンドメッセージが編集されてAVレシーバ4に送信される。この図の例では、確定値は−25.5dBである。
図4(C)の場合よりも処理間隔が短く、ステップ値が小さいため、確定値も細かく制御される。
【0058】
さらに、
図7(D)は、3回押しの長押し操作が行われた場合のボリューム値制御の例を示している。まず、1回目および2回目の反復押しの押し下げ操作の瞬間に通常の押し下げ操作と同様にボリューム値を0.5dBずつ上昇させる制御が行われ、ボリューム値が−44.0dBに更新される。さらに、この反復押しの押し下げ操作ののち、さらに1秒以内に再度押し下げ操作が行われると、今回の押し下げ操作に対しても押し下げ操作の瞬間に通常の押し下げ操作と同様にボリューム値を0.5dB上昇させる制御が行われ、ボリューム値が−43.5dBに更新される。そして、この押し下げ操作が1秒継続して長押しと判定されると、繰り返し更新処理が実行され、2/3秒ごとに表示エリア413を含む操作画面400の表示が1回の押し下げ操作分に相当する0.5dB上昇するよう更新され、1/3秒ごとに5回の押し下げ操作分に相当する2.5dB上昇させるコマンドメッセージが編集されてAVレシーバ4に送信される。すなわち、この図(
図7(D))の例は3回押しの長押し操作の例であるため、
図7(B)の1回押しの長押し操作の1/3の時間間隔で(3倍の速度で)ボリューム値が制御される。
図7(D)には、1/3秒ごとのコマンドメッセージの送信タイミングと、そのときの更新内容であるパラメータ値を記載している。そして5.4秒後に“+”ボタン416の長押しが解除されると、そのとき表示エリア413に表示されている値(確定値)にボリューム値を更新するコマンドメッセージが編集されてAVレシーバ4に送信される。この図の例では、確定値は−21.0dBである。
【0059】
上記実施形態では、ボリューム値の更新時に新たなボリューム値(たとえば、−44.5dB)を直接指定するコマンドメッセージを発行する例を示したが、ボリューム値の上昇分(たとえば、+5dB)を指定するコマンドメッセージを発行するようにしてもよい。
【0060】
以上の実施形態では、反復押しの回数で上昇(下降)の速度(ステップ値STや更新間隔)速さを決定しているが、反復押し(少なくとも2回)の時間間隔で速度を決定してもよい。一般的には、間隔が短いほど上昇(下降)の速度を速く制御する。また、反復押しの回数とその間隔を組み合わせ、多い回数を短い時間で叩いた場合ほど変化速度を速くするようにしてもよい。
【0061】
上記実施形態では、長押しか否かを判定する時間(1秒間)はなにもしないで待機し、長押しと判定した後、繰り返し更新処理を開始しているが、長押しと判定した後、長押しの判定のために費やした時間(1秒間)分のボリューム値更新処理を遡って実行してもよい。たとえば、
図4(B)の例では、繰り返し更新処理の開始時に、ボリューム値を2.5dB上昇させ、
図4(C)の例では、繰り返し更新処理の開始時に、5.0dB上昇させるなどである。
【0062】
また、上記実施形態では、“+”ボタン416が押し下げられた瞬間(オン信号の立ち上がり時)にボリューム値の更新を行っているが、“+”ボタン416の押し下げが解除された瞬間(オン信号の立ち下がり時)にボリューム値を更新してもよい。この場合、反復押しが検出されている間は、“+”ボタン416の押し下げが解除されてもボリューム値を更新せず、長押しが検出されたときに繰り返し更新処理を開始するようにしてもよい。
【0063】
上記実施形態では、Wi−Fi経由でAVレシーバ4にコマンドメッセージを送信するようにしているが、携帯電話機1からAVレシーバ4にコマンドメッセージを送信する通信手段は、有線LAN、赤外線、BLUETOOTH、RS−232Cなどどのようなものでもよい。
【0064】
上記実施形態では、本発明が適用され、繰り返し更新処理が実行される端末装置として携帯電話機1を例示しているが、端末装置は携帯電話機1に限定されない。たとえば、赤外線リモコン、AVシステム用のワイヤレスコントローラなどに適用することが可能である。
【0065】
また、AVレシーバ4などオーディオ機器に、上記反復押し+長押しで高速にボリューム値を更新する繰り返し更新機能を搭載してもよい。なお、被操作部は、表示部41に表示されタッチパネルで押し下げ操作が検出されるボタンスイッチに限定されない。機械式のボタンスイッチでもよく、レバー式のスイッチであってもよい。
【0066】
この実施形態では、ボリューム値を例に上げたが、連続して滑らかに上昇/下降させるべきパラメータであれば、他のどのようなパラメータに適用することも可能である。