(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の特許文献1には、画像形成装置においてパッチ画像の濃度を測定するセンサを使用する際に、測定時のみ開放するシャッタを有すると共に、このシャッタにブラシやブレード等の汚れ除去用清掃部材を設け、シャッタの開閉動作にともなってセンサ検知面を清掃することが提案されている。
【0009】
また、以上の特許文献2には、帯電した部材(帯電部材による清掃部材)でセンサ検知面を走査することにより、センサ検知面の付着物を帯電部材側に吸着させ、センサ検知面を清掃することが提案されている。
【0010】
以上の提案は、センサ検知面が汚れた後に清掃をするものである。このような清掃をすることにより、センサ検知面に付着している汚れが舞い上がって、再び別の場所、例えば、センサ検知面の清掃をしている部位から少し離れた別の部位に再付着するといったことも発生する。
【0011】
また、何度か清掃をすることにより、清掃部材側に汚れが付着した状態になる。このとき、汚損された清掃部材によって、汚れをセンサ検知面に擦り付ける状態になる場合もある。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、トナー像の濃度を正確に検知し、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能な画像形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、上述の課題を解決は以下の発明により解決される。
【0017】
(1)この発明の画像形成装置は、画像データに応じたトナー像を像担持体に形成し、この像担持体上のトナー像を記録紙上に転写する画像形成装置であって、前記トナー像の濃度を検知するセンサと、前記センサの非検知時に検知面を遮蔽するシャッタ部材と、前記センサの検知面と接触可能な位置であって前記シャッタ部材に配置された接触部材と、前記センサの非検知時に前記検知面を前記シャッタ部材が遮蔽すると共に前記センサの検知時に前記シャッタ部材が前記検知面を開放するように前記シャッタ部材を動作させるシャッタ駆動部と、前記シャッタ駆動部による前記シャッタ部材の動作の際に、前記接触部材が前記検知面と摺動することで、前記検知面が摩擦帯電するように制御する制御部と、を備え、前記接触部材は、前記トナー像を構成するトナーの帯電極性と同じ極性に前記検知面が帯電するように帯電列の特性に基づいて選択された材質で構成され、前記制御部は、画像形成装置の動作開始時、前記トナー像の検知時、前記トナー像が存在しない部位の検知時のそれぞれにおいて、異なる回数、異なる速度、または異なる距離の摺動を行うように制御する。
【0018】
(
2)以上の(
1)において、前記センサは、対象面に対して発光する発光部と、前記対象面における反射光を受光する受光部とを有するアクティブ型のセンサであり、前記検知面は、前記発光部の発光と前記受光部の受光とに使用される面である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像形成装置によると、以下のような効果が得られる。
【0020】
この発明は、画像データに応じたトナー像を像担持体に形成し、この像担持体上のトナー像を記録紙上に転写する画像形成装置であって、トナー像の濃度をセンサで検知する共に、センサの非検知時に検知面をシャッタ部材が遮蔽すると共にセンサの検知時にシャッタ部材が検知面を開放するように構成されており、シャッタ駆動部によるシャッタ部材の動作の際に、接触部材が検知面と摺動してトナーの帯電極性と同じ極性に検知面が帯電する。
【0021】
これにより、センサ検知面にトナーが付着しにくくなって、トナーによるセンサ検知面の汚損が予防され、トナー像の濃度を正確に検知し、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。
【0022】
また、センサは、像担持体上の未転写のトナー濃度を検知する場合にも、像担持体上の未転写のトナーがセンサ検知面に付着しにくくなり、トナーによるセンサ検知面の汚損が予防され、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。
【0023】
また、シャッタ部材が検知面を開放する前に接触部材が検知面と摺動することで、センサ検知面のトナー汚損が効果的に予防され、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。
【0024】
また、画像形成装置の動作開始時、トナー像の検知時、トナー像が存在しない部位の検知時のそれぞれにおいて、制御部は、異なる摺動として、異なる回数、異なる速度、または異なる距離の摺動を行うことで、センサ検知面のトナー汚損が状況に応じて適切かつ効果的に予防され、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。
【0025】
また、センサは、対象面に対して発光する発光部と、対象面における反射光を受光する受光部とを有するアクティブ型のセンサであり、検知面は、発光部の発光と受光部の受光とに使用される面であり、センサ検知面のトナー汚損が効果的に予防されることで、センサの発光強度もセンサの受光感度も適切に維持されるため、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。
【0026】
また、センサへのトナー付着を静電的に防止しているため、従来よりもセンサを検知対象物へ近づけることが可能になる。このため、センサと検知対象物との距離による制約が無くなり、短焦点の高精度センサを使用することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。
【0029】
〔1〕構成:
ここで、第一実施形態の画像形成装置100の構成を、
図1(ブロック図)と
図2(断面構成図)に基づいて詳細に説明する。なお、画像形成装置として既知であって、本実施形態の特徴的な動作や制御に直接に関係しない一般的な部分についての説明は省略してある。
【0030】
画像形成装置100において、制御部101は画像形成装置100の各部を制御するためにCPUなどで構成され、制御プログラムに従って動作している。
【0031】
操作部103は画像形成装置の操作者が各種操作入力を行うもので、表示部、タッチパネル、各種スイッチやキーなどが設けられている。
【0032】
記憶部105は各種データを記憶する記憶手段であり、この実施形態では、画像条件を制御する際に用いられるパッチ画像の濃度やパターン、パッチ画像形成位置、制御時における各種データなどを有する。また、この記憶部105には、後述するシャッタ動作時の帯電動作についてのデータを有する。
【0033】
露光制御部110は、画像処理された画像データに応じて露光駆動信号を生成する駆動手段であり、制御部101からの濃度調整の指示に基づいて露光駆動信号のレベルが調整される。
【0034】
パッチ生成部120は制御部101からのパッチ画像生成指示に基づいてパッチ画像データを生成するものであり、パッチ画像データを後述する画像処理部130に供給する。なお、パッチ生成部120は、濃度調整のための濃度パッチ、レジスト調整のためのレジストパッチ、トナー帯パッチなど各種のパッチを生成することが可能である。
【0035】
画像処理部130は画像形成すべき通常の画像データや濃度調整のためのパッチ画像データを、画像形成に適した状態にするための画像処理を実行し、処理された画像データを露光制御部110に供給する。
【0036】
プロセスユニット170は転写紙に画像(トナー像)を形成する各種動作を実行する書き込みユニットであり、レーザダイオードなどの発光素子とポリゴンミラーなどの走査部とにより露光を行う露光部172と、露光により形成される静電潜像が現像部によりトナー像として形成される感光体173と、感光体173のトナー像が転写される中間転写体175と、転写紙への転写前の中間転写体175上のパッチ画像の濃度を検知するセンサ176と、中間転写体175上のトナー像を記録紙に転写する転写部177と、を少なくとも備えて構成されている。
【0037】
なお、カラー画像形成を行う画像形成装置100の場合には、露光部172は、Y用露光部172Y、M用露光部172M、C用露光部172C、K用露光部172K、を含んで構成されている。同様に、カラー画像形成を行う画像形成装置100の場合には、感光体173は、Y用感光体173Y、M用感光体173M、C用感光体173C、K用感光体173K、を含んで構成されている。
【0038】
定着部180は、トナー像が転写された転写紙を挟持搬送しつつ、加熱と加圧とにより定着を実行してトナー像を転写紙上で安定した状態にする。
【0039】
次に、
図2を参照して画像形成装置100の機械的構成や各部の配置について説明する。
【0040】
給紙部150は、一または複数の給紙トレイ150T(
図2では150T1〜150T3)に載置された転写紙を給紙ローラによって画像形成位置まで送り出す給紙手段である。
【0041】
搬送部160は、給紙部150から送り出された転写紙を所定の搬送速度で搬送する搬送手段であり、レジストローラやその他各種の搬送ローラ、搬送ベルトなどを備えて構成されている。
【0042】
プロセスユニット170は、転写紙に画像を形成する各種動作を実行する書き込みユニットであり、感光体173に所定の帯電をさせる帯電部171、感光体173を画像データに応じて露光する露光部172、露光により静電潜像が形成される像担持体としての感光体173、感光体173の静電潜像を現像してトナー像にする現像部174、感光体173上のトナー像が転写されてトナー像を担持する像担持体としての中間転写体175、転写紙への転写前の中間転写体175上のパッチ画像の濃度を検知するセンサ176と、中間転写体175上のトナー像を転写紙に転写する転写部177、を備えている。
【0043】
なお、画像形成装置100が複数色のトナー像を合成するカラー画像形成装置の場合には、
図2に示されるように、プロセスユニット170において、帯電部171、露光部172、感光体173、現像部174が各色に対応して設けられており、中間転写体175上で各色のトナー像が重ね合わされて、最終的に転写紙に転写される構成になっている。
【0044】
また、中間転写体175に転写された画像の濃度を検知するセンサ176が設けられ、転写前のパッチ画像の濃度を検知するために使用される。
【0045】
なお、感光体173はドラム形状ではなく、ベルト状であってもよい。同様に、中間転写体175はベルト状ではなく、ドラム状であってもよい。
【0046】
また、
図1と
図2では、カラー画像形成を行う画像形成装置を具体例にしているが、本実施形態はモノクロの画像形成装置であっても構わない。
【0047】
また、
図1と
図2では、センサ176が中間転写体175上の未転写のトナー像の濃度を検知するものとして示しているが、感光体173上のトナー像の濃度を検知するものであっても良い。
【0048】
次に、
図3−6を参照してセンサ176の構成を説明する。なお、
図2はX−Z平面の断面図であったが、
図3はX−Yの断面構成を示す。なお、
図2と
図3とにおいて、XYZは共通する状態で示している。また、この
図3において、中間転写体175は紙面垂直方向のZ方向に移動する状態で示している。
【0049】
センサ176は、中間転写体175と対向する面には、開口部176h1と176h2とを有すると共に、開口部以外は遮蔽部材で構成され、+Y〜−Y方向に移動可能なシャッタ部材176stが設けられている。
【0050】
また、センサ176は、中間転写体175と対向する面以外には、ケーシング176bを有している。よって、シャッタ部材176stとケーシング176bとにより、トナーなどの飛散から内部を護るように構成されている。
【0051】
また、センサ176内部には、中間転写体175上のパッチ画像の濃度を測定するセンサユニット176s1と176s2とが配置されている。
【0052】
また、シャッタ部材176stは、駆動部176により+Y〜−Y方向に移動可能に構成され、センサユニット176s1と176s2に対するシャッタとしての開閉駆動がなされる。
【0053】
そして、シャッタ閉時には、センサユニット176s1と176s2との検知面側に、シャッタ部材176stの遮蔽部分が来るように駆動部176dにより駆動される。この様子を全体図として
図3に、また、部分拡大図として
図4を示す。なお、この
図3と
図4の状態がシャッタ部材176のホームポジションである。
【0054】
また、シャッタ開時には、センサユニット176s1と176s2との検知面前に、開口部176h1と176h2とが来るように、シャッタ部材176stは駆動部176dにより駆動される。この様子を全体図として
図5に、また、部分拡大図として
図6を示す。
【0055】
なお、ここでは、センサユニット176s1と176s2の2個を示したが、センサユニットの個数や、配置位置はこの図示されたものに限定されるものではない。
【0056】
また、駆動部176dは、ステッピングモータ、ボイスコイルモータ、超音波モータなど各種の駆動源を使用することができ、シャッタ部材176stによるシャッタ開閉の状態を図示されないセンサにより検知することが可能に構成されている。
【0057】
また、接触部材176e1と176e2は、シャッタ部材176stが+Y〜−Y方向に移動する際に、センサ検知面176sf1と176sf2と摺動接触可能な、シャッタ部材176st上の位置に、配置されている。
【0058】
なお、センサ検知面176sf1と176sf2とは、接触部材176e1と176e2との良好な接触が行えるよう、平面であることが望ましい。
【0059】
また、ここで、接触部材176e1と176e2は、センサ検知面176sf1と176sf2と摺動接触することにより、中間転写体175上のトナー像を構成するトナーの帯電極性と同じ極性に、センサ検知面176sf1と176sf2を摩擦帯電させるように、帯電列の特性(
図7参照)に基づいて選択された材質で構成される。
【0060】
ここで、摩擦帯電とは、静電気現象の一種であり、異なる二種の物質を擦り合わせることで、一方から他方へ電荷が移動して電位差を生じる現象である。また、帯電列とは、二種類の材質を摩擦した時に、+側に帯電しやすい材質を上位に、−側に帯電しやすいものを下位に並べた序列の表である。摩擦する材質が帯電列上でより離れていれば、より多くの電荷が移動する。
【0061】
例えば、中間転写体175上のトナーが−側に帯電しており、センサ検知面176sf1と176sf2がアクリル樹脂で構成されている場合を想定する。この場合には、接触部材176e1と176e2がアクリル樹脂に対して+側に帯電するような材質、例えば、レーヨン,ナイロン,ウール等を選択する。
【0062】
これにより、摩擦によって、センサ検知面176sf1と176sf2がトナーと同じ帯電極性である−側に帯電する。但し、センサ検知面176sf1と176sf2を傷付けることの無いように、柔らかい材質か、滑りやすい素材であることが望ましい。
【0063】
なお、この接触部材176e1と176e2の材質は、トナーの帯電極性と、センサ検知面176sf1と176sf2の材質に応じて選択することが可能である。
【0064】
〔2〕動作:
以下、
図8のフローチャート、
図9以降の説明図を参照して実施形態の画像形成装置100についての動作説明を行う。
【0065】
画像形成装置100は制御部101の制御プログラムに従って動作しており、この制御プログラム中に、
図8のフローチャートに示されるシャッタ動作についてのサブルーチンが含まれており、制御部101は
図8のフローチャートを定期的に実行する。
【0066】
制御部101は、画像形成装置100の動作開始時に、シャッタ部材176stがシャッタ閉状態になっているか、すなわちホームポジションになっているかを駆動部176dを介して確認する(
図8中のステップS101)。なお、駆動部176dは、シャッタ部材176stを動かして、図示されないホームポジションセンサによって位置確認を行うようにしても良い。
【0067】
また、制御部101は、接触部材176e1と176e2と、センサ検知面176sf1と176sf2とが摺動接触する際に、各状況においてトナー汚損を予防するのに必要とされる適切な帯電がなされるように駆動状態を算出する(
図8中のステップS102)。
【0068】
ここで、各状況とは、たとえば、画像形成装置の動作開始時、トナー像が存在しない部位の検知時、トナー像の検知時、などが該当する。
【0069】
なお、トナー像が存在しない部位の検知とは、センサユニット176s1,176s2の発光部の発光強度を調整する際に実行される。また、画像形成装置の動作開始時とは、測定前ではないものの、その後の動作におけるトナー汚損を予防するための念のための帯電である。
【0070】
この場合、トナー像の検知時には、シャッタ部材176stの開口部176h1と176h2とを経由してセンサ検知面176sf1と176sf2とに、中間転写体175上の未転写のトナーが飛来する可能性が高い。このため、制御部101は、駆動状態としては、摺動回数が可変である場合には摺動回数=大、摺動速度が可変である場合には摺動速度=大、摺動距離が可変である場合には摺動距離=大、と設定する。
【0071】
また、検知するパッチ画像の個数や大きさや濃度、すなわち、トナーの量を判断基準として、細かく定めるようにしても良い。
【0072】
また、トナー像が存在しない部位の検知時には、中間転写体175上にトナー像は存在しないが、シャッタ部材176stの開口部176h1と176h2とを経由してセンサ検知面176sf1と176sf2とに、画像形成装置100内のいずれかからトナーが飛来する可能性が存在する。このため、制御部101は、駆動状態としては、摺動回数が可変である場合には摺動回数=中、摺動速度が可変である場合には摺動速度=中、摺動距離が可変である場合には摺動距離=中、と設定する。
【0073】
また、画像形成装置の動作開始時には、シャッタ部材176stが閉状態であり、センサ検知面176sf1と176sf2にトナーが飛来する可能性は小さい。このため、制御部101は、駆動状態としては、摺動回数が可変である場合には摺動回数=小、摺動速度が可変である場合には摺動速度=小、摺動距離が可変である場合には摺動距離=小、と設定する。
【0074】
なお、他の状況においても、制御部101は、接触部材176e1と176e2と、センサ検知面176sf1と176sf2とが摺動接触する際に、その状況においてトナー汚損を予防するのに必要とされる適切な帯電がなされるように駆動状態を算出すれば良い。
【0075】
なお、以上の駆動状態については、毎回算出するのではなく、記憶部105にテーブル形式で格納しておいて、各状況に応じて読み出しても良い。
【0076】
以上の駆動状態の算出が完了した時点で、制御部101は、シャッタ駆動部176dによりシャッタ部材176stを駆動し、算出された駆動状態に応じて、接触部材176e1とセンサ検知面176sf1、接触部材176e2とセンサ検知面176sf2、を摺動接触させる(
図8中のステップS103、S104)。
【0077】
この様子を
図9〜
図13に示す。すなわち、ホームポジションとして
図9の状態にある接触部材176e1とセンサ検知面176sf1、接触部材176e2とセンサ検知面176sf2を、
図10の状態、
図11の状態、
図12の状態、
図13の状態、のように、往復運動によって摺動させる。これにより、センサ検知面176sf1と176sf2は、各状況においてトナー汚損を予防するのに必要とされる適切な帯電がなされる。
【0078】
なお、ここでは往復運動による摺動で帯電を実現しているが、
図9〜
図11の1回の移動だけの場合でも良い。
【0079】
以上のシャッタ部材176stの駆動による接触部材176e1とセンサ検知面176sf1、接触部材176e2とセンサ検知面176sf2の摺動が完了した時点で(
図8中のステップS104でYES)、制御部101は、センサユニット176s1,176s2による測定を行うか否かを判断する(
図8中のステップS105)。
【0080】
画像形成装置の動作開始時の場合には、センサユニット176s1,176s2による測定を行わないため(
図8中のステップS105でNO)、制御部101は、シャッタ部材176stがシャッタ閉状態になっているか、すなわちホームポジションになっているかを駆動部176dを介して確認(
図8中のステップS109)して、動作を終了する(
図8中のエンド)。
【0081】
センサユニット176s1,176s2による測定を行う場合には(
図8中のステップS105でYES)、制御部101は、シャッタ駆動部176dによりシャッタ部材176stを駆動し、センサユニット176s1と176s2との検知面前に、開口部176h1と176h2とが来るようにしてシャッタを開放する(
図8中のステップS106)。
【0082】
この時点で、センサ検知面176sf1,176sf2は、先ほどの摺動によってトナーの帯電極性と同じ極性に検知面が帯電している。これにより、センサ検知面176sf1,176sf2はトナーが付着しにくくなっており、トナーによる汚損が予防される。この結果、パッチ画像の濃度を正確に検知し、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。また、センサは、像担持体上の未転写のトナー濃度を検知する場合にも、像担持体上の未転写のトナーがセンサ検知面に付着しにくくなり、トナーによるセンサ検知面の汚損が予防される。また、シャッタ部材がセンサ検知面176sf1,176sf2を開放する前に、接触部材176e1,176e2が検知面と摺動することでも、センサ検知面176sf1,176sf2はトナーが付着しにくくなっており、トナーによる汚損が予防される。
【0083】
そして、制御部101は、センサユニット176s1と176s2からの検知信号を処理して、パッチ画像の濃度を測定する(
図8中のステップS107)。なお、制御部101は、この測定結果を参照し、画像形成される像の濃度や色バランスの調整のための演算を行う。
【0084】
そして、予め定められた所定の測定時間が経過した時点で(
図8中のステップS108でYES)、制御部101は、シャッタ駆動部176dによりシャッタ部材176stを駆動し、センサユニット176s1と176s2との検知面側にシャッタ部材176stの遮蔽部分が来るようにして、シャッタを閉じる(
図8中のステップS109)。
【0085】
また、制御部101は、シャッタ部材176stがシャッタ閉状態になっているか、すなわちホームポジションになっているかを駆動部176dを介して確認して、動作を終了する(
図8中のエンド)。
【0086】
なお、制御部101は、以上の
図8のフローチャートに示されるシャッタ動作についてのサブルーチンを定期的に繰り返し実行する。
【0087】
〔3〕実施形態により得られる効果:
以上の実施形態は、画像データに応じたトナー像を像担持体に形成し、この像担持体上のトナー像を記録紙上に転写する画像形成装置100であって、パッチ画像などのトナー像の濃度をセンサ176で検知する共に、非検知時にセンサ検知面176sf1,176sf2をシャッタ部材176stが遮蔽すると共に、検知時にシャッタ部材176stがセンサ検知面176sf1,176sf2を開放するように構成されており、シャッタ駆動部176dによるシャッタ部材176stの動作の際に、接触部材176e1,176e2がセンサ検知面176sf1,176sf2と摺動して、トナーの帯電極性と同じ極性にセンサ検知面176sf1,176sf2が帯電する。
【0088】
これにより、センサ検知面176sf1,176sf2はトナーが付着しにくくなっており、トナーによる汚損が予防される。これにより、パッチ画像の濃度を正確に検知し、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。
【0089】
また、センサは、像担持体である中間転写体175上の未転写のトナー濃度を検知する場合にも、中間転写体175上の未転写のトナーがセンサ検知面176sf1,176sf2に付着しにくくなり、トナーによるセンサ検知面の汚損が予防され、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。
【0090】
また、シャッタ部材176stがセンサ検知面176sf1,176sf2を開放する前に、接触部材176e1,176e2がセンサ検知面176sf1,176sf2と摺動することで、センサ検知面176sf1,176sf2のトナー汚損が効果的に予防され、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。
【0091】
また、画像形成装置の動作開始時、トナー像の検知時、トナー像が存在しない部位の検知時のそれぞれにおいて、異なる摺動として、異なる回数、異なる速度、または異なる距離の摺動を行うことで、センサ検知面176sf1,176sf2のトナー汚損が状況に応じて適切かつ効果的に予防され、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。
【0092】
また、センサ176は、測定対象面に対して発光する発光部と、測定対象面における反射光を受光する受光部とを有するアクティブ型のセンサであって、センサ検知面176sf1,176sf2は、発光部の発光と受光部の受光とに使用される面であり、センサ検知面176sf1,176sf2のトナー汚損が効果的に予防されることで、センサの発光強度もセンサの受光感度も適切に維持されるため、画像形成される像の濃度や色バランスを安定して適切に制御することが可能になる。
【0093】
また、本実施形態では、センサ176へのトナー付着を静電的に予防しているため、従来よりもセンサ176を中間転写体175や感光体173等の検知対象物へ近づけることが可能になる。従来は、センサへのトナー付着を避けるため、できるだけ検知対象物から離すようにしていた。このため、本実施形態では、センサ176と検知対象物との距離による制約が無くなり、短焦点の高精度センサを使用することが可能になる。
【0094】
そして、本実施形態は汚れを未然に防止するものであり、公知技術のようにセンサ検知面が汚れてから清掃をするといったものではない。このため、清掃をすることにより、センサ検知面に付着している汚れが舞い上がって、再び別の場所、例えば、センサ検知面の清掃をしている部位から少し離れた別の部位に再付着する、といったことも本実施形態では発生しない。
【0095】
また、本実施形態では、静電的なセンサ176の汚損予防になっており、汚れてからブラシやブレード等によって汚れを掻き落とすような従来手法とは異なり、各部の耐久性でも従来より優れた結果が得られる。
【0096】
〔4〕その他の実施形態:
なお、以上の実施形態において、中間転写体175上の未転写のトナー像をセンサ176で測定するようにしていたが、これに限定されるものではない。例えば、感光体173上の未転写のトナー像をセンサ176で測定するようにしてもよい。また、記録紙上の転写済みのトナー像をセンサ176で測定することも可能である。