(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、定着装置の下流側に用紙冷却装置を配置し、トナー画像が転写された高温状態の用紙を冷却する方法が採られている。その用紙冷却装置の一例として、ヒートシンクを用いたベルト挟持方式の冷却手段が開示されている(特許文献1,2参照)。
【0003】
図12は、ヒートシンクを用いた従来例に係る用紙冷却装置300の構成例を示す正面図である。
図12に示す用紙冷却装置300は、上部ベルト機構30、冷却機構400及び下部ベルト機構50を有しており、用紙Pを上部ベルト機構30及び下部ベルト機構50で挟み込み、用紙Pを搬送させ、上部ベルト機構30に冷却機構400を接触させて、用紙P→上部ベルト機構30→冷却機構400→エアー(空気)へと熱を移動させることにより、用紙Pから熱を奪い、用紙Pを冷却するものである。
【0004】
上部ベルト機構30は
図12に示すように、1個の第1駆動ローラー31及び3個の第1従動ローラー32a〜32c、第1ベルト33及びモータ34を有している。第1駆動ローラー31及び第1従動ローラー32a〜32cを結ぶ外周には第1ベルト33が嵌め込まれる。第1ベルト33は無終端状を成しており、第1駆動ローラー31及び第1従動ローラー32a〜32cによって時計方向回りに回動される。第1駆動ローラー31にはモータ34が係合される。モータ34は第1駆動ローラー31を時計方向へ回転する。
【0005】
上部ベルト機構30の内側には冷却機構400が設けられている。冷却機構400はヒートシンク41及び複数のファン42を有しており、ファン42により用紙Pの幅方向(Cross Direction:以下でCD方向という)にエアーを送風してヒートシンク41を冷却している。CD方向は用紙Pの搬送方向と直交する方向である。
【0006】
CD方向にエアーを送風するために、ヒートシンク41の一端側(奥側)には、排気用の3台のファン42が配置され、図示しない他端側(吸気側)にも、排気用の3台のファンが配置されている。ヒートシンク41は、摺接架台401及び複数のフィン402を有している。冷却機構400は、第1ベルト33によって内包される位置に固定され、かつ、第1駆動ローラー31及び第1従動ローラー32a〜32cによって回動される第1ベルト33に当接され、第1ベルト33を冷却する。
【0007】
上部ベルト機構30の下方側には下部ベルト機構50が設けられている。下部ベルト機構50は、1個の第2駆動ローラー51及び3個の第2従動ローラー52a〜52c及び第2ベルト53を有している。第2駆動ローラー51にはモータ59が係合される。モータ59は第2駆動ローラー51を反時計方向へ回転する。第2駆動ローラー51及び第2従動ローラー52a〜52cを結ぶ外周には第2ベルト53が嵌め込まれる。
【0008】
用紙Pは第1ベルト33と第2ベルト53との間に挟持されて搬送される。これにより、冷却機構400において、第1ベルト33と第2ベルト53との間に搬送される用紙Pから熱を奪い、当該用紙Pを冷却できるようになる。
【0009】
図13の(A)及び(B)は、用紙面における温度検知例及びその温度分布例を示す説明図である。
図13の(A)に示す温度検知例によれば、冷却機構400を通過した用紙Pが均一に冷却されているかを検証するために、用紙面を井桁状に9個に分割し、この9個の測定領域(1)〜(9)について、冷却後の温度を測定した。紙面の左側が吸気側であり、その右側が排気側である。その結果、
図13の(B)のような温度分布例を示すグラフ図が得られた。
【0010】
図13の(B)において、縦軸は温度であり、上方が「高い」であり、下方が「低い」である。横軸は用紙Pにおける温度の測定位置であり、左側が吸気側であり、その右側が排気側である。
図13の(B)に示す温度分布例によれば、用紙の中央付近の測定領域(2),(5),(8)の温度を基準にして、用紙Pの手前側の測定領域(1),(4),(7)の温度が低く、また、その奥側の測定領域(3),(6),(9)の温度が高くなっている。測定領域(1)〜(9)の温度分布を直線で結ぶと温度勾配が左下がりとなっている。この温度勾配は、熱を帯びた定着後の用紙Pから熱を奪ったエアーの温度が吸気側に比べて排気側が高くなったためである。
【0011】
図14は、用紙面における光沢度の変化例を示すグラフ図である。
図14において、縦軸は光沢度変化量であり、上方が「光沢度が高い」であり、下方が「光沢度が低い」である。横軸は用紙Pにおける光沢度の測定位置である。左側が「吸気側」であり、右側が「排気側」である。
図14に示す光沢度変化量の検知例によれば、測定領域(1),(4),(7)の光沢度が高く、測定領域(2),(5),(8)や、測定領域(3),(6),(9)の光沢度が低くなっている。この光沢度の差は、熱を帯びた定着後の用紙Pから熱を奪ったエアーの温度が吸気側に比べて排気側が高くなったために生じたものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係る用紙冷却装置及び画像形成装置について説明をする。
図1に示すベルト挟持方式の用紙冷却装置100は、画像が形成された用紙Pを定着後に冷却するカラー/白黒用のプリンターや、複写機、これら複合機に適用して好適なものである。
【0027】
用紙冷却装置100は、上部ベルト機構30、冷却機構40及び下部ベルト機構50を有しており、用紙Pを上部ベルト機構30及び下部ベルト機構50で挟み込み、用紙Pを搬送させ、上部ベルト機構30に冷却機構40を接触させて、用紙Pから熱を奪い、用紙Pを冷却するものである。なお、従来例に係る冷却機構400で説明した同じ符号及び名称のものは、同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0028】
用紙冷却装置100は、その前面側及び後面側に
図2に示す部品取付用の基板101(図中では後面側のみ示す)を有している。基板101には、ダクト貫通用の開口部102が設けられている。開口部102の周囲の所定の位置には上部ベルト機構30が設けられる。上部ベルト機構30は
図2に示すように、1個の第1駆動ローラー31及び3個の第1従動ローラー32a〜32c、第1ベルト33及びモータ34を有している。
【0029】
第1駆動ローラー31は、基板101の開口部102の左上端側に取り付けられ、第1従動ローラー32aは、その開口部102の右端上側に取り付けられ、第1従動ローラー32bは、その右端下側に取り付けられ、第1従動ローラー32cは、その左端下側に各々取り付けられる。
【0030】
第1駆動ローラー31及び第1従動ローラー32a〜32cは、第1ベルト33を図中、白抜き矢印の方向(ベルト搬送方向)へ移動する。第1駆動ローラー31及び第1従動ローラー32a〜32cには、第1ベルト33の幅(ベルト幅w)よりも若干、ローラー幅が広いゴムローラーが使用される。第1ベルト33には、そのベルト幅が用紙Pの幅とほぼ等しい物が使用される。モータ34と第1駆動ローラー31とは、図示しない歯車や、駆動ベルトを介して係合され、回転力を第1駆動ローラー31に伝達する。
【0031】
冷却機構40は、ヒートシンク41、ダクト部材60、第1送風部61及び第2送風部62を有している。ヒートシンク41は、摺接架台401及び複数のフィン402を有している。摺接架台401は、その底面が平坦(鏡面仕上げ)で、ベルト搬送方向の前後がR形状を有したソリ(舟底)構造を成している。摺接架台401には冷却面積を確保するために複数のフィン402が立設されている。フィン402の各々は、所定の大きさ(縦×横)、所定の厚みを有し、かつ、矩形状を有したアルミニウム板から構成される。
【0032】
下部ベルト機構50は、1個の第2駆動ローラー51及び3個の第2従動ローラー52a〜52c及び第2ベルト53を有している。第2駆動ローラー51は基板101で下部ベルト機構50を配置する領域の左端下側に取り付けられ、第2従動ローラー52aは、その領域の右端下側に取り付けられ、第2従動ローラー52bは、その領域の右端上側に取り付けられ、第2従動ローラー52cは、その領域の左端上側に各々取り付けられる。
【0033】
1個の第2駆動ローラー51及び3個の第2従動ローラー52a〜52cには、第2ベルト53の幅(ベルト幅w)よりも若干、ローラー幅が広いゴムローラーが使用される。第2ベルト53は無終端状を成し、第1ベルト33に当接されて用紙Pを搬送する。第2ベルト53には、そのベルト幅が用紙Pの幅とほぼ等しい物が使用される。第2ベルト53は、上部ベルト機構30に対して単独の駆動源を有しており、第1ベルト33とは反対向き、すなわち、第2駆動ローラー51によって反時計方向回りに回動される。モータ59と第2駆動ローラー51とは、図示しない歯車や、駆動ベルトを介して係合され、回転力を第2駆動ローラー51に伝達するようになされる。
【0034】
上述の冷却機構40にはヒートシンク41を包含する形態でダクト部材60が設けられている。ダクト部材60は、開口部102を潜る形態で基板101に取り付けられる。ダクト部材60には第1送風部61、第2送風部62及び仕切り部63が設けられる。
【0035】
仕切り部63の上流側には第1送風部61が設けられ、仕切り部63によって仕切られた冷却機構40の一方の領域に一方の側からエアー(空気)を送風する。第1送風部61は、吸気用のファン42a及び排気用のファン42bを有している。ファン42aは第1風路(以下で風路Iという)の一方の側の吸気口421の付近に取り付けられ、ファン42bは、風路Iの他方の側の排気口422の付近に取り付けられる。
【0036】
ファン42a,42bは上流側の各フィン402の間にエアー(風)を送ってヒートシンク41を冷却することで、冷却能力を向上させている。この例で吸気口421は下方に向けて配設され、排気口422は上方に向けて配設される。冷えたエアーは重く、下方から取り込むことが好ましく、暖まったエアーは上昇する性質があるので、これらを利用するためである。
【0037】
仕切り部63の下流側には第2送風部62が設けられ、冷却機構40の他方の領域に第1送風部61とは反対の側からエアーを送風する。第2送風部62は吸気用のファン42c及び排気用のファン42dを有している。ファン42cは、第2風路(以下で風路IIという)の一方の側の吸気口423の付近に取り付けられ、ファン42dは、風路IIの他方の側の排気口424の付近に取り付けられる。
【0038】
ファン42c,42dは下流側の各フィン402の間にエアー(風)を送ってヒートシンク41を冷却することで、冷却能力を向上させている。この例でも、吸気口423は下方に向けて配設され、排気口424は上方に向けて配設される。この例で、ダクト部材60の内部に設けられた仕切り部63によって、ファン42a,42bの風路Iと、ファン42c,42dの風路IIとを独立させると同時に、隣合う風路I,IIに流れるエアー(風)の向きを逆方向に設定できるようになる。図中の白抜き矢印はエアー(風)の方向を示している。これにより、用紙Pを均一に冷却することができる。
【0039】
ここで、
図3及び
図4を参照して、ダクト部材60,60’の構成例について説明する。
図3に示すダクト部材60や、
図4に示すダクト部材60’によれば、隣合う風路I,IIの吸気口421,423と、排気口422,424の位置をずらし、両者間のエアーの流れを干渉させないようにしている。
【0040】
ダクト部材60は、
図3に示すように、一方の側からエアーを導く第1の風路I及び、他方の側からエアーを導く第2の風路IIを有している。風路Iと風路IIとの間には仕切り部63が設けられ、仕切り部63は、用紙Pを搬送する方向と略直交する方向(CD方向)に冷却機構40を仕切っている。
【0041】
風路Iには冷却機構40の一方の領域上に対応して、
図3に示すような開口部601が設けられ、この開口部601の内部には、ヒートシンク41の上流側(約半数分)のフィン402が露出している。風路IIには冷却機構40の他方の領域上に対応して開口部602が設けられ、この開口部602の内部には、ヒートシンク41の下流側(残り半数分)のフィン402が露出している(
図2参照)。
【0042】
ダクト部材60によれば、吸気口421は用紙Pの搬送方向の右側において、下方に向けて配設されている。排気口422はその搬送方向の左側において、上方に向けて配設されている。これにより、第1送風部61では下方から吸気したエアーを上方に排気するようになる。
【0043】
第2送風部62では下方から吸気したエアーを上方に排気するために、吸気口423が用紙Pの搬送方向の左側において、下方に向けて配設されている。排気口424はその搬送方向の右側において、上方に向けて配設されている。この配置によって、両者間のエアーの流れの干渉を防止できる。この暖まった空気を定着装置へ還元(フィードバック)するようにしてもよい。用紙冷却装置100で用紙Pから奪った廃熱を定着処理において利用することができる。
【0044】
もちろん、隣合う風路I,IIの流れを干渉させない方法は、これに限られることはなく、
図4に示すダクト部材60’のように構成してもよい。ダクト部材60’によれば、吸気口421及び排気口424はダクト部材60と同様にして構成される。排気口422及び吸気口423はダクト部材60と異なっている。排気口422はその搬送方向の左側において、下方に向けて配設されている。これにより、第1送風部61では下方から吸気したエアーを下方に排気するようになる。
【0045】
第2送風部62では上方から吸気したエアーを上方に排気するために、吸気口423が用紙Pの搬送方向の左側において、上方に向けて配設されている。この配置によっても、両者間のエアーの流れの干渉を防止できる。
【0046】
ここで、
図5及び6を参照して、用紙冷却装置100における温度センサS1〜S6の配置例(その1,2)について説明する。
図5に示す冷却機構40には、6個の温度センサS1〜S6が配置されているが、用紙Pの幅方向(以下でCD方向という)に配置する2個の温度センサについては、次の4通りの配置パターンから1つの配置パターンを選択して第1送風部61及び第2送風部62のファン42a〜42dを制御すればよい。
【0047】
(i)用紙Pの排紙直後の第1ベルト33(手前側、奥側)の温度を検知する。
(ii)冷却機構40の排出直後の用紙P(手前側、奥側)の温度を検知する。
(iii)冷却機構40の通紙部の第1ベルト33(手前側、奥側)の温度を検知する。
(iv)冷却機構40の通紙部の第2ベルト53(手前側、奥側)の温度を検知する。
また、用紙Pの流れの方向(以下でFD方向という)に配置する2個の温度センサについては、次の2通りの配置パターンから1つの配置パターンを選択して第1送風部61及び第2送風部62のファン42a〜42dを制御するようにすればよい。
(v)冷却機構40の通紙部の第1ベルト33(各風路I,IIの中央付近)の温度を検知する。
(vi)冷却機構40の通紙部の第2ベルト53(各風路I,IIの中央付近)の温度を検知する(
図6の黒矢印参照)。
【0048】
この例では、温度センサS1〜S3が第1送風部61に割り当てられる。温度センサS1はヒートシンク41の奥側であって、仕切り部63の上流側に配置され、第1ベルト33の奥側の温度を検知して温度検知信号S11を発生する。温度センサS1は、ヒートシンク41の摺接架台401にセンサ取り付け用の穴を開口して配置される(iii)。
【0049】
温度センサS2はヒートシンク41の手前側であって、仕切り部63の上流側に配置され、第1ベルト33の手前側の温度を検知して温度検知信号S22を発生する。温度センサS2も、その摺接架台401にセンサ取り付け用の穴を開口して配置される(iii)。
【0050】
温度センサS3はヒートシンク41の上流側の略中央付近に配置され、第1ベルト33の中央付近の温度を検知して温度検知信号S33を発生する。温度センサS3も、ヒートシンク41の摺接架台401にセンサ取り付け用の穴を開口して配置される(v)。
【0051】
温度センサS4〜S6は第2送風部62に割り当てられる。温度センサS4は冷却機構40の奥側の排紙付近に配置され、用紙Pの排紙直後の第1ベルト33の奥側の温度を検知して温度検知信号S41を発生する(i)。温度センサS5は冷却機構40の手前側の排紙付近に配置され、用紙Pの排紙直後の第1ベルト33の手前側の温度を検知して温度検知信号S52を発生する(ii)。
【0052】
温度センサS6はヒートシンク41の下流側の略中央付近に配置され、第1ベルト33の中央付近の温度を検知して温度検知信号S63を発生する。温度センサS6は、ヒートシンク41の摺接架台401にセンサ取り付け用の穴を開口して配置される(v)。
【0053】
上述の温度センサS1,S2や、温度センサS4,S5等はCD方向に直列に配置される。温度センサS3,S6はベルト幅wの中心位置(センター中心位置)に沿うFD方向に直列に配置される。これらの6個の温度センサS1〜S6による温度検知信号S11,S22,S33,S41,S52,S63に基づいて所定のCD方向にエアーを送風するファン42a〜42dの出力を調整(駆動や停止、風量変更等を含む)するようにした。
【0054】
ここで、
図7の(A)から(C)を参照して、温度センサによる温度検知例について説明する。
図7の(A)から(C)において、縦軸は温度であり、上方が「高い」であり、下方が「低い」である。横軸は用紙Pにおける温度センサS1〜S6による温度の測定位置である。
【0055】
図7の(A)において、第1送風部61では右側が吸気側であり、左側が排気側である。第1送風部61のみを動作させた場合、温度勾配が右下がりとなっている。この例の温度勾配によれば、吸気側の温度に比べてその排気側の温度が高くなっている。例えば、熱を帯びた定着後の用紙Pを冷却機構40に搬入して冷却し、温度センサS1〜S3によって温度を測定した場合である。
【0056】
図7の(B)において、第2送風部62の右側が排気側であり、左側が吸気側である。第2送風部62のみを動作させた場合は、温度勾配が右上がりとなっている。吸気側の温度に比べてその排気側の温度が高くなる温度勾配を示している。今度は、第1送風部61及び第2送風部62を共に動作させ、定着後の用紙Pを搬入して冷却し、温度を測定すると、
図7の(C)に示すように、第1送風部61による右下がりの温度勾配と、第2送風部62による右上がり温度勾配とが合成され、冷却差分が相殺されるようになる。これにより、従来方式に比べて用紙Pを均一に冷却できるようになる。
【0057】
続いて、
図8を参照して、用紙冷却装置100の制御系の構成例について説明する。
図8に示す用紙冷却装置100の制御系によれば、制御部15、ローラー駆動部35、検知部44、操作表示部48、第1送風部61及び第2送風部62を有している。
【0058】
制御部15は、例えば、中央処理ユニット(Central Processing Unit;以下CPU55という)、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:以下ROM56という)、随時情報の書き込み読出し可能なメモリ(Random Access Memory:以下RAM57という)及びメモリ部58を有している。
【0059】
CPU55にはワークメモリ用のRAM57が接続される。RAM57にはメモリ部58が接続される。もちろん、ROM56には当該用紙冷却装置100の全体を制御するためのシステムプログラムや、第1送風部61及び第2送風部62を制御するための制御情報が格納される。例えば、電源がオンされると、電源オン情報を検出したCPU55は、ROM56からシステムプログラムを読み出してRAM57に展開し、システムを起動して、当該用紙冷却装置100の全体を制御するようになされる。
【0060】
制御部15にはローラー駆動部35が接続される。ローラー駆動部35は駆動データD35に基づいてモータ34及びモータ59を制御し、第1駆動ローラー31及び第2駆動ローラー51の回転速度を同一に制御する。駆動データD35は、制御部15からローラー駆動部35へ出力される。ローラー駆動部35は、駆動データD35をデコード処理してローラー駆動信号S34,S59を生成する。
【0061】
ローラー駆動信号S34は、ローラー駆動部35からモータ34へ出力される。モータ34は、ローラー駆動信号S34に基づいて第1駆動ローラー31を回転する。ローラー駆動信号S59は、ローラー駆動部35からモータ59へ出力される。モータ59は、ローラー駆動信号S59に基づいて第2駆動ローラー51を回転する。
【0062】
制御部15にはローラー駆動部35の他に第1送風部61及び第2送風部62が接続される。第1送風部61は駆動データD61に基づいて2台のファン42a,42bを制御し、ヒートシンク41に当てる風量を制御する。駆動データD61は、制御部15から第1送風部61へ出力される。
【0063】
第1送風部61は、駆動データD61をデコード処理してファン駆動信号S61を生成する。ファン駆動信号S61は、第1送風部61から2台のファン42a,42bへ出力される。ファン42aは、ファン駆動信号S61に基づいてヒートシンク41に所定の風量のエアーを送風する。ファン42bは、ファン駆動信号S61に基づいてヒートシンク41から熱を帯びた空気を排気する。
【0064】
第2送風部62は駆動データD62に基づいて2台のファン42c,42dを制御し、ヒートシンク41に当てる風量を制御する。駆動データD62は、制御部15から第2送風部62へ出力される。第2送風部62は、駆動データD62をデコード処理してファン駆動信号S62を生成する。ファン駆動信号S62は、第2送風部62から2台のファン42c,42dへ出力される。ファン42cは、ファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41に所定の風量のエアーを送風する。ファン42dは、ファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41から熱を帯びた空気を排気する。
【0065】
また、制御部15には検知部44が接続される。検知部44には6個の温度センサS1〜S6が接続される。6個の温度センサS1〜S6はヒートシンク41に取り付けられ、温度検知信号S11,S22,S33,S41,S52,S63を検知部44に出力する(
図5参照)。検知部44は温度検知信号S11,S22,S33,S41,S52,S63をアナログ・デジタル変換して温度検知データD44(温度検知情報)を発生する。温度検知データD44は、制御部15に出力される。
【0066】
制御部15は、検知部44から得られる温度検知データD44に基づいて第1送風部61及び第2送風部62による風量を制御する。この例では、第1送風部61及び第2送風部62の風量をいずれも「強」に初期設定される。その後、温度検知データD44に基づいて第1送風部61の風量を「強」から「弱」に設定を変更したり、第2送風部62の風量を「強」から「弱」に設定を変更したり、そのまま設定を維持したり、第1送風部61及び第2送風部62の風量を「弱」から「強」に戻すようになされる(第1の実施例)。
【0067】
制御部15には検知部44の他に画像形成部80が接続され、所定の用紙Pにトナー画像を形成し、その後、トナー画像を定着して、定着後の用紙Pを用紙冷却装置100に受け渡すように動作する。画像形成部80については第3の実施例で説明をする。
【0068】
画像形成部80には操作表示部48が接続される。操作表示部48は画像形成時、用紙冷却装置100において、第1ベルト33と第2ベルト53との間に搬送される用紙Pのサイズ情報D48を設定するように操作される。
【0069】
用紙Pのサイズ情報D48には、封筒、A5版、B5版、A4版、A4(縦)版、B4版、A3版等が含まれる。操作表示部48は、例えば、タッチパネルや、テンキー、液晶表示パネルから構成される。操作表示部48で設定された用紙Pのサイズ情報D48は制御部15へ出力される。
【0070】
制御部15は、第1ベルト33及び第2ベルト53によって搬送される用紙Pのサイズ情報D48を取得し、用紙Pのサイズ情報D48に応じて第1送風部61及び第2送風部62による風量を制御する。制御部15は用紙Pのサイズが「小」であると判別した場合は、第1送風部61のみを駆動し、その後、第1送風部61と第2送風部62との温度差が一定以上となった場合は、第2送風部62を追って駆動するようにした。
【0071】
用紙Pのサイズが「大」であると判別した場合は、最初から第1送風部61及び第2送風部62を共に駆動し、その後、第1送風部61の設定はそのままにして、第2送風部62の温度に基づいて当該第2送風部62の風量を「弱」に設定したり、また、その風量を「弱」から「強」へ設定を変更するようにした。これらにより、用紙冷却装置100の制御系を構成する。
【0072】
このように実施形態としての用紙冷却装置100によれば、用紙Pを搬送するFD方向と略直交するCD方向に仕切り部63によって冷却機構40が仕切られ、この仕切り部63によって仕切られた冷却機構40の一方の領域に、一方の側から第1送風部61によってエアーを送風し、当該冷却機構40の他方の領域に第1送風部61とは反対の側から第2送風部62によってエアーを送風するようになされる。
【0073】
この構造によって、第1送風部61によるエアーの吸気口の温度に比べてその排気口の温度が高くなる温度勾配と、第2送風部62によるエアーの吸気口の温度に比べてその排気口の温度が高くなる温度勾配とを相殺できるようになる。これにより、片側から送風する場合に比べて用紙面を均等に冷却できるようになり、用紙P内の画像の光沢度を均一にすることができる。
【0074】
用紙冷却装置100によれば、風路I及び風路IIを有した仕切り部63が備えられ、風路Iによって、一方の側から、冷却機構40の一方の領域上の開口部に向けてエアーを導くことができる。しかも、風路IIによって、他方の側から、冷却機構40の他方の領域上の開口部に向けてエアーを独立に導くことができる。
【0075】
また、用紙冷却装置100によれば、風路Iの一方の側に吸気用のファン42aが取り付けられ、他方の側に排気用のファン42bが取り付けられる。風路IIの一方の側には排気用のファン42dが取り付けられ、他方の側には吸気用のファン42cが取り付けられる。
【0076】
この構造によって、風路Iの一方の側から他方の側に向かうエアーの流れ、及び、風路Iとは反対に風路IIの一方の側から他方の側に向かうエアーの流れを再現性良く、しかも、相互に向きの異なるエアーの流れを独立に形成できるようになる。上述の実施形態では、冷却機構40が上部ベルト機構30の側のみに配置される場合について説明したが、これに限られることはなく下部ベルト機構50の側にも冷却機構40を併設してもよい。
【実施例1】
【0077】
続いて、
図9を参照して、第1の実施例に係る第1及び第2送風部の制御例について説明する。この例では、温度センサの配置パターン(i)に基づいて、用紙Pに接触している第1ベルト33の排紙側であって、その手前と奥側とに各々温度センサS4,S5を配設し、温度センサS4,S5によって検知された温度検知データD44により、用紙Pの幅方向にエアー(風)を送風するファン42a〜42dの風量を変更するようにした。
【0078】
これらを制御条件にして、
図9に示すステップST1で制御部15は第1送風部61及び第2送風部62の風量を「強」に設定する。第1送風部61では、ファン42aがファン駆動信号S61に基づいてヒートシンク41に風量「強」のエアーを送風し、ファン42bがファン駆動信号S61に基づいてヒートシンク41から熱を帯びたエアーを風量「強」により排気する。第2送風部62では、ファン42cがファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41に風量「強」のエアーを送風し、ファン42dがファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41から熱を帯びたエアーを風量「強」により排気する。
【0079】
ステップST2で制御部15は、用紙Pの排紙直後の第1ベルト33の手前側の温度センサS4と奥側の温度センサS5との温度差が5℃以上かを判定して制御を分岐する。制御部15は、温度センサS4,S5から温度検知データD44を入力する。温度センサS4と温度センサS5とによる温度差が5℃以上となった場合は、ステップST3で手前側の温度センサS4の温度が低いか否かに基づいて更に制御を分岐する。
【0080】
温度センサS4による温度が温度センサS5に比べて低い場合は、ステップST4で制御部15は第1送風部61の風量を「強」から「弱」に設定を変更する。第1送風部61では、ファン42aがファン駆動信号S61に基づいてヒートシンク41に風量「弱」のエアーを送風し、ファン42bがファン駆動信号S61に基づいてヒートシンク41から熱を帯びたエアーを風量「弱」により排気する。
【0081】
手前側の温度センサS2の温度が高い場合は、ステップST5で制御部15は第2送風部62の風量を「強」から「弱」に設定を変更する。第2送風部62では、ファン42cがファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41に風量「弱」のエアーを送風し、ファン42dがファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41から熱を帯びたエアーを風量「弱」により排気する。
【0082】
その後、ステップST6で制御部15は温度センサS4,S5の温度検知値が同一となったか否かを判定して制御を分岐する。温度センサS4,S5の温度検知値が同一となった場合は、ステップST7で制御部15は第1送風部61及び第2送風部62の風量を「弱」から「強」に設定を変更する。
【0083】
また、温度センサS4,S5の温度検知値が同一となっていない場合は、ステップST8で制御部15は前の設定を維持する。このとき、制御部15は第2送風部62の風量「弱」の設定を維持する。上述のステップST2で制御部15は温度センサS4,S5による温度差が5℃未満となっている場合は、ステップST9で前の設定を維持する。このとき、制御部15は第1送風部61及び第2送風部62の風量「強」の設定を維持する。
【0084】
その後、ステップST10で制御部15はプリントを終了したかを判別して制御を終了する。プリント終了判別は、例えば、画像形成ジョブを管理するデータフォーマットにおいて、画像形成時の最終ページを示すエンド・オブ・フラグ(EOP信号)を検出することで行われる。EOP信号が検知されていない場合は、ステップST1に戻って上述した制御を繰り返すようになる。EOP信号が検知された場合は、当該プリントジョブに係る画像形成及び冷却処理等の制御を終了する。
【0085】
このように、第1の実施例に係る用紙冷却装置100によれば、制御部15は、温度センサS4,S5が接続された検知部44から得られる温度検知データD44に基づいて第1送風部61及び第2送風部62による風量を制御するようにした。
【0086】
この制御によって、第1ベルト33の排紙側の手前の温度が奥側に比べて低い場合は、第1送風部61の風量を「強」から「弱」に設定を変更したり、その排紙側の手前の温度が奥側に比べて高い場合は、第2送風部62の風量を「強」から「弱」に設定を変更することができる。従って、用紙PのCD方向を基準した左右面を均等に冷却できるようになるので、用紙P内の画像の光沢度を均一にすることができる。これにより、高信頼度の用紙冷却装置100及び、当該用紙冷却装置100を実装した高信頼度のカラープリンター200を提供できるようになる。
【実施例2】
【0087】
図12を参照して、第2の実施例に係る第1及び第2送風部の制御例について説明する。この例では、温度センサの配置パターン(5)に基づいて、用紙Pに接触している第1ベルト33の用紙搬送方向(Follow Direction:FD方向)に温度センサS3,S6を配設する。温度センサS3は第1送風部61(上流側)に配設し、温度センサS6は第2送風部62(下流側)に配設する。制御部15が温度センサS3,S6によって検知された温度検知データD44と、用紙Pのサイズ情報D48とに基づいて用紙Pの幅方向にエアー(風)を流すファン42a〜42dの出力を調整(駆動や、停止、風量変更等を含む)するようにした。
【0088】
なお、用紙Pのサイズ情報D48については、例えば、用紙P=「小」という場合は、A4版、B5版、A5版、封筒等をいい、用紙P=「大」という場合は、A3版、A4(縦)版、B4版等というものとする。もちろん、この分類に限定されるものはない。
【0089】
これらを制御条件にして、
図12に示すフローチャートのステップST11で制御部15はプリントジョブ情報から用紙Pのサイズ情報D48を取得する。サイズ情報D48は、プリントジョブ毎に画像情報に付加されたヘッダ情報に記述されるので、このヘッダ情報をデコードすることで取得する。
【0090】
<用紙P=小の場合>
ステップST12で制御部15は用紙Pのサイズ「小」又は用紙Pのサイズ「大」に対応して制御を分岐する。例えば、プリントジョブのヘッダ情報から用紙P=A4版がデコードされた場合は、用紙Pのサイズが「小」であると判別されるので、ステップST13で制御部15は第1送風部61を駆動する。第1送風部61では、ファン42aがファン駆動信号S61に基づいてヒートシンク41に風量「強」のエアーを送風し、ファン42bがファン駆動信号S61に基づいてヒートシンク41から熱を帯びたエアーを風量「強」により排気する。
【0091】
ステップST14で制御部15は上流側の温度センサS3と下流側の温度センサS6との温度差が5℃以上となったか否かに対応して制御を分岐する。制御部15は、温度センサS3,S6から温度検知データD44を入力する。温度センサS3,S6による温度差が5℃以上となった場合は、ステップST15で制御部15は第2送風部62を駆動する。第2送風部62では、ファン42cがファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41に風量「強」のエアーを送風し、ファン42dがファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41から熱を帯びたエアーを風量「強」により排気する。
【0092】
その後、ステップST16で制御部15は温度センサS3,S6の温度検知値が同一となったか否かを判定して制御を分岐する。温度センサS3,S6の温度検知値が同一となっていない場合は、ステップST15に戻って制御部15は第2送風部62の駆動を維持する。温度センサS3,S6の温度検知値が同一となった場合は、ステップST17で制御部15は第2送風部62を停止する。上述のステップST14で制御部15は温度センサS3,S6による温度差が5℃未満となっている場合は、ステップST18に移行する。このとき、制御部15は第1送風部61の駆動を維持する。
【0093】
ステップST18で制御部15は、当該用紙Pのサイズの画像形成処理が終了したか否かに対応して制御を分岐する。当該サイズの画像形成処理が終了していない場合は、ステップST13に戻って制御部15は上述した制御を繰り返す。
【0094】
当該サイズの画像形成処理が終了した場合は、ステップST19で制御部15は第1送風部61を停止する。その後、ステップST27で制御部15はプリントジョブ終了したか否かに対応して制御を分岐する。プリントジョブが終了していない場合は、ステップST11に戻ってプリントジョブ情報から用紙Pのサイズ情報D48を取得する。
【0095】
<用紙P=大の場合>
そして、ステップST12で用紙Pのサイズが「大」であると判別された場合は、ステップST20で制御部15は第1送風部61及び第2送風部62を駆動する。その後、ステップST21で制御部15は上流側の温度センサS3の温度検知データD44と下流側の温度センサS6の温度検知データD44とを比較し、下流側の温度が上流側の温度よりも低くなったか否かに対応して制御を分岐する。
【0096】
下流側の温度が上流側の温度よりも低くなった場合は、ステップST22で制御部15は第2送風部62の風量を「強」から「弱」へ設定を変更する。第2送風部62では、ファン42cがファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41に風量「弱」のエアーを送風し、ファン42dがファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41から熱を帯びたエアーを風量「弱」により排気する。
【0097】
その後、ステップST23で制御部15は上流側の温度センサS3と下流側の温度センサS6の各々の温度検知データD44とを比較し、下流側の温度が上流側の温度よりも高くなったか否かに対応して制御を分岐する。下流側の温度が上流側の温度よりも高くなった場合は、ステップST24で制御部15は第2送風部62の風量を「弱」から「強」へ設定を変更する。第2送風部62では、ファン42cがファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41に風量「強」のエアーを送風し、ファン42dがファン駆動信号S62に基づいてヒートシンク41から熱を帯びたエアーを風量「強」により排気する。
【0098】
その後、ステップST25で制御部15は、当該用紙Pのサイズの画像形成処理が終了したか否かに対応して制御を分岐する。当該サイズの画像形成処理が終了していない場合は、ステップST20に戻って制御部15は上述した制御を繰り返す。当該サイズの画像形成処理が終了した場合は、ステップST26で制御部15は第1送風部61及び第2送風部62を停止する。その後、ステップST27で制御部15はプリントジョブ終了したか否かに対応して制御を分岐する。プリントジョブが終了した場合は制御を終了する。
【0099】
このように、第2の実施例に係る用紙冷却装置100によれば、制御部15が用紙Pのサイズ情報D48に応じて第1送風部61及び第2送風部62による風量を制御するので、用紙Pのサイズが小さい場合も大きい場合も用紙面を均等に冷却できるようになる。
【0100】
しかも、用紙冷却装置100によれば、温度センサS3,S6で検知して得た温度検知データD44に基づいて第1送風部61及び第2送風部62による風量の増減や、その停止等できるようになる。これにより、サイズが小さい用紙Pを連続して冷却する場合や、サイズが大きい用紙Pを連続して冷却する場合も、第2送風部62の消費電力を抑えつつ、用紙PのCD方向を基準した左右面を均等に冷却できるようになる。従って、用紙Pのサイズが小さい場合及び大きい場合も用紙内の画像の光沢度を均一にすることができる。
【実施例3】
【0101】
続いて、
図11を参照して、第3の実施例に係るカラープリンター200の構成例について説明する。
図11に示すカラープリンター200は、画像形成装置の一例を構成し、所定の用紙Pに画像を形成するものである。カラープリンター200は、電子写真方式の画像形成部80、定着装置17及びベルト挟持方式の用紙冷却機構18を有している。
【0102】
画像形成部80では、RGB系の画像データがYMCK系の画像データに色変換され、色変換後のイエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色及び黒(BK)色用の画像データに基づいてカラーのトナー像が形成される。画像形成部80は、Y,M,C,BK色の像形成出力機能を各々分担する画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。この例では、それぞれ共通する機能名称、例えば、符号10の後ろに形成する色を示すY,M,C,Kを付して表記する。
【0103】
各作像色毎に対応する帯電部2によって一様に帯電された感光体ドラム1に、画像データに基づいてポリゴンミラー等を使用した光書込み部3により静電潜像が形成される。静電潜像は各作像色毎に対応する現像装置4によって現像される。このような帯電、露光、現像を行い、感光体ドラム1上に形成されたカラートナー像は、Y,M,C,BK色用の感光体ドラム1に対応して1次転写ローラー7を動作させ、中間転写ベルト6に転写される(1次転写)。カラートナー像は、中間転写ベルト6上で重ね合わされる。
【0104】
ここに重ね合わされたカラートナー像が2次転写部7Aによって用紙Pに転写される。用紙Pは、図示しない用紙給紙部によって、給紙トレイから2次転写部7Aへ搬送される。所定の用紙P上に転写されたトナー像は、定着装置17により定着される。これにより、画像データに基づくカラー画像を所定の用紙Pに形成することができる。
【0105】
なお、上述の感光体ドラム1の各々の左側下方には、Y,M,C,K色用の感光体ドラム1に対応してクリーニング部8が設けられ、前回の書き込みで感光体ドラム1に残留したトナー剤を除去(クリーニング)するように動作する。また、中間転写ベルト6の左側上方にはクリーニング部8Aが設けられ、2次転写後の中間転写ベルト6上に残存するトナー剤をクリーニングするように動作する。
【0106】
上述の画像形成ユニット10Kの下方には、図示しない用紙供給部が設けられ、複数の給紙トレイを有して構成される。各々の給紙トレイ内には所定のサイズの用紙Pが収容される。用紙供給部は、所定の用紙Pを2次転写部7Aへ送り出す。2次転写部7Aは、中間転写ベルト6に担持されたカラー画像を所定の用紙Pに転写する。
【0107】
2次転写部7Aの下流側には定着装置17が設けられ、画像形成部80によってカラー画像が転写された用紙Pを定着処理する。定着装置17は図示しない加圧ローラーや加熱ローラーを有しており、用紙Pに転写されたトナー画像に、加圧ローラー及び加熱ローラーを介して熱を加えて熱定着する。
【0108】
定着装置17の下流側には、用紙冷却機構18が設けられる。用紙冷却機構18は、定着装置17によって定着された用紙Pを冷却する。用紙冷却機構18には、第1及び第2の実施例で説明した用紙冷却装置100が備えられる。冷却後の用紙Pは、機外の排紙トレイ(図示せず)上に排紙される。
【0109】
このように、第3の実施例に係るカラープリンター200によれば、用紙冷却機構18に第1及び第2の実施例に係るいずれかの用紙冷却装置100が備えられ、画像形成部80が所定の用紙Pに画像を形成すると、定着処理後の用紙Pを第1及び第2の実施例に係るいずれかの用紙冷却装置100が冷却するようになる。この構成によって、用紙冷却装置100におけるCD方向の冷却能力を一定に保つことができ、用紙P内の光沢度を均一にできるようになる。これにより、高信頼度のベルト挟持方式の用紙冷却装置100を実装したカラー用や、白黒用のプリンターや複写機、これら複合機を提供できるようになった。
【0110】
この例で、第1〜第2の実施例で説明した用紙冷却装置100を備える画像形成部80に関して、4つの画像形成ユニット10を備えたカラープリンターエンジンについて例を挙げたが、これに限られることはない。画像形成ユニット10Kのみを備えたモノクロ用のプリンターについても当該用紙冷却装置100を適用できることは言うまでもない。