(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上方にシートを支持するアッパレールと、前記アッパレールを相対移動可能に支持するロアレールと、前記ロアレールとアッパレールとの間に介在される転動体と、前記ロアレールとアッパレールとの間に前記転動体を保持する保持部材と、を備えた車両用シートスライド装置において、
前記保持部材は、前記転動体の転動面に頂部が摺接可能な突部を備えるとともに、
前記突部は、前記頂部から前記転動面上に形成される前記転動体の軌道に沿う方向に延設されるとともにその延設方向において該頂部から離間するほど先細りとなる先鋭形状の振分部を有して前記軌道上から異物を除去可能に形成されること、
を特徴とする車両用シートスライド装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、このシートクッション2の後端部に対して傾動自在に設けられたシートバック3と、このシートバック3の上端に設けられたヘッドレスト4とを備えている。
【0017】
また、
図1〜
図3に示すように、車両の床部Fには、並列に配置された一対のロアレール5が設けられるとともに、これら各ロアレール5には、当該各ロアレール5上を相対移動するアッパレール6が装着されている。そして、シート1のシートクッション2は、これら各アッパレール6上に支持されている。
【0018】
即ち、本実施形態では、相対移動可能に設けられたこれらのロアレール5及びアッパレール6によってシートスライド装置10が形成されている。そして、車両の乗員は、このシートスライド装置10の機能を利用することにより、車両前後方向(同図中、左右方向)におけるシート1の位置調整を行うことができるようになっている。
【0019】
詳述すると、
図4〜
図6に示すように、ロアレール5は、車両の床部F(
図1参照)との固定部となる平板状の底壁部11を備えている。また、底壁部11の幅方向(
図5中、左右方向)両端には、それぞれ外壁部12が立設されるとともに、これら各外壁部12の上端(
図5及び
図6中、上側の端部)には、それぞれ幅方向内側に向かって延びるフランジ状の上壁部13が形成されている。そして、これら各上壁部13の先端には、それぞれ下側に向かって折り返された折り返し部14が形成されている。
【0020】
一方、アッパレール6は、幅方向に対向して配置された一対の側壁部15を備えている。また、これらの側壁部15の上端は、板状の上壁部16によって接続されている。そして、各側壁部15の下端には、それぞれ、各側壁部15の幅方向外側に向かって折り返された折曲部17が形成されている。
【0021】
本実施形態のアッパレール6は、その一対の側壁部15及び上壁部16が形成する断面略コ字状をなす本体部18が、ロアレール5側の両折り返し部14間に配置されるように、同ロアレール5に装着される。また、アッパレール6の各折曲部17は、それぞれ、その幅方向に対向するロアレール5の各外壁部12に沿うように各側壁部15の下端から上側に向かって延設されている。更に、各折曲部17には、そのロアレール5側の底壁部11と各外壁部12との接続部(湾曲凹面Sc)に対向する位置、及び各外壁部12と各上壁部13との接続部(湾曲凹面Sd)に対向する位置に、それぞれ、アッパレール6の延伸方向に沿って伸びる湾曲凹面Sa,Sbが形成されている。そして、本実施形態では、これらアッパレール6側の各湾曲凹面Sa,Sbと、上記ロアレール5側の各接続部の湾曲形状が形成する湾曲凹面Sc,Sdとの間には、それぞれボール状の転動体20が介在されている。
【0022】
即ち、アッパレール6側の各湾曲凹面Sa,Sbとロアレール5側の各湾曲凹面Sc,Sdとが対向することにより、ロアレール5とアッパレール6との間には、その延伸方向(
図5及び
図6中、紙面に直交する方向、
図3(a)(b)参照、左右方向)に延びる4本の転動路Tが形成される。そして、
図5に示すように、各転動体20は、それぞれ、その転動路Tを構成するアッパレール6側の各湾曲凹面Sa,Sb及びロアレール5側の各湾曲凹面Sc,Sdの両方に接触するように、その直径が設定されている。
【0023】
つまり、各転動体20は、ロアレール5とアッパレール6との間の相対移動に基づいて、アッパレール6側の各湾曲凹面Sa,Sb及びロアレール5側の各湾曲凹面Sc,Sdを転動面Sとして、当該各転動面S上に形成されるロアレール5及びアッパレール6の延伸方向に沿った軌道上を転動する。そして、本実施形態では、これにより、その延伸方向に沿ったロアレール5とアッパレール6との間の円滑な相対移動を確保する構成となっている。
【0024】
ここで、
図3(a)(b)、
図4及び
図6に示すように、本実施形態では、これらの各転動路Tには、それぞれ、長尺棒状に形成された保持部材21が収容されており、各転動体20は、これら各保持部材21の両端部近傍に配置されている。具体的には、これら各保持部材21の前方側(
図3(a)(b)中、左側)及び後方側(同じく、右側)に、それぞれ、二つずつ、転動体20が配置される。そして、本実施形態では、これにより、そのロアレール5及びアッパレール6の延伸方向において離間した位置に複数の各転動体20が保持されるようになっている。
【0025】
また、
図3(a)(b)、
図4及び
図7に示すように、本実施形態のシートスライド装置10は、そのロアレール5とアッパレール6との間の相対移動を規制可能なロック機構30を備えている。
【0026】
図7に示すように、ロック機構30は、アッパレール6に支持された支持軸31と、この支持軸31を中心に回動するロックレバー32とを備えている。尚、
図8に示すように、本実施形態では、アッパレール6の各側壁部15には、それぞれ、互いに対向する支持孔33が形成されている。そして、支持軸31は、その両端部が各支持孔33に挿入される態様で両側壁部15間に架け渡されている。
【0027】
一方、
図4、
図7及び
図8に示すように、ロックレバー32は、長尺板状に形成されてアッパレール6の両側壁部15間に配置される一対の側板部34と、これら各側板部34の上端部を接続する上板部35とを有している。また、各側板部34には、それぞれ、互いに対向する貫通孔36が形成されている。そして、ロックレバー32は、その両側板部34に形成された貫通孔36に支持軸31が挿通されることにより、当該支持軸31を中心として回動自在に支承されている。
【0028】
図3(a)(b)及び
図4に示すように、ロックレバー32の先端32aには、略平板状の外形を有して幅方向外側に延びるロック部37が設けられている。また、アッパレール6の各側壁部15には、それぞれ、そのロックレバー32の先端32aに対応する位置に、ロック部37が挿通される貫通孔38が形成されている。更に、ロアレール5の各折り返し部14には、下方に向かって突出する複数の係合爪39が櫛歯状に形成されている。そして、上記貫通孔38に挿通されることにより各側壁部15及び上壁部16が形成する断面略コ字形状の外側に配置されるロック部37の先端部分には、そのロアレール5側の各係合爪39に係合可能な複数の係合孔40が形成されている。
【0029】
即ち、本実施形態のロック機構30は、支持軸31を介してアッパレール6に支持されたロックレバー32が回動し、その先端32aに設けられたロック部37が上方に移動することにより、当該ロック部37の各係合孔40がロアレール5側の各係合爪39に係合する。そして、これにより、そのアッパレール6とアッパレール6との間の相対移動を規制することが可能となっている。
【0030】
さらに詳述すると、
図4及び
図7に示すように、本実施形態のロック機構30は、線材を折り曲げ加工してなるバネ部材41を備えている。具体的には、バネ部材41は、支持軸31を巻回する態様で当該支持軸31の径方向外側に配置されるコイル部42と、コイル部42から連続してロックレバー32の先端32a側(
図7中、右側)に延設されることにより当該ロックレバー32の両側板部34の間に配置される第1延伸部43とを備えている。また、本実施形態では、ロックレバー32の上板部35には、その支持軸31の上方に貫通孔45が形成されている。そして、バネ部材41は、この貫通孔45に挿通されることにより、コイル部42からロックレバー32の後端32b側(
図7中、左側)に向かって延びる第2延伸部46を備えている。
【0031】
即ち、本実施形態のバネ部材41は、捩りコイルバネとして形成されており、その第1延伸部43は、ロックレバー32の上板部35に対して下方側(
図7中、下側)から当接されている。また、第2延伸部46は、アッパレール6の上壁部16に対して下方側から当接されている。そして、ロックレバー32は、このバネ部材41の弾性力に基づいて、その先端32a側が上方側(
図7中、上側)に向かって移動する方向に回動付勢されている。
【0032】
また、本実施形態のロック機構30は、そのロック状態を解除すべく操作される操作レバー47を備えている。
図2に示すように、本実施形態の操作レバー47は、アッパレール6の延伸方向、即ち車両の前後方向に対し、略直交する方向に延びる長尺棒状の操作部47aを有している。また、操作レバー47の両端部47bは、それぞれ、左右のアッパレール6の延伸方向に折り曲げられて、それぞれ、その対応する各アッパレール6の前方開口部6aから当該アッパレール6内に挿入されている。そして、
図7に示すように、これら操作レバー47の両端部47bは、それぞれ、ロックレバー32の後端32b、詳しくは、その上板部35に対して下方側から当接されている。
【0033】
尚、本実施形態では、上記バネ部材41の第2延伸部46は、その先端46aがロックレバー32の後端32bよりも車両前方側、詳しくはアッパレール6の前方開口部6aの近傍まで延設されている。そして、操作レバー47は、この第2延伸部46の先端46aによって、そのアッパレール6内に挿入された部分の下方側が支持されている。
【0034】
即ち、操作レバー47は、操作部47aが上方に引き上げられるように操作されることにより、そのアッパレール6内に挿入された両端部47bが上方に移動するようになっている。また、このとき、両端部47bがロックレバー32の後端32bを上方に持ち上げることで、当該ロックレバー32は、その先端32aが下方側に移動する方向に回動する。そして、本実施形態のロック機構30は、このロックレバー32の回動により、そのロックレバー32側の各係合孔40とロアレール5側の各係合爪39との係合が解除されることによって、そのロアレール5に対するアッパレール6の相対移動を許容する構成になっている。
【0035】
(保持部材の異物除去構造)
次に、本実施形態における保持部材の異物除去構造について詳述する。
図9、
図10(a)(b)、
図11(a)〜(c)に示すように、本実施形態の保持部材21は、略楕円形の断面形状を有した長尺棒状に形成されている。そして、
図12に示すように、各保持部材21は、それぞれ、その外周面における湾曲形状の小さい部分が各転動体20の転動面S(アッパレール6側及びロアレール5側の各湾曲凹面Sa〜Sd)に対する対向面51となるように、ロアレール5とアッパレール6との間に形成された各転動路T内に配設されている。
【0036】
また、
図9、
図10(a)(b)、
図11(a)(b)に示すように、各保持部材21の両軸端面21aには、それぞれ、略半球部の湾曲面を有して転動体20の保持部を構成する保持凹部52が形成されている。そして、各保持部材21の対向面51には、それぞれ、その長手方向両端部、即ち各保持凹部52の近傍に、転動体20の転動面Sに摺接可能な突部53が設けられている。
【0037】
詳述すると、
図10(a)(b)及び
図13に示すように、各突部53は、ロアレール5及びアッパレール6の延伸方向に沿って配置される各保持部材21の長手方向(
図10中、左右方向)、即ち各転動体20の転動面S上に形成される当該各転動体20の軌道に沿った方向に延びる延設部54を有している。
【0038】
具体的には、
図13及び
図14に示すように、延設部54は、上記各保持部材21の長手方向に直交する断面が略三角形となる山型状に形成されている。換言すると、延設部54は、その保持部材21の長手方向に沿った延設方向に直交する方向を幅方向(
図14中、左右方向)とした場合、その断面三角形状の頂点部分が形成する稜線L1を挟んで幅方向端部側に向かうほど、その基準面となる対向面51からの突出高さHが低くなるように形成されている。
【0039】
また、各突部53は、それぞれ、その山型状をなす延設部54の稜線L1が各対向面51の幅方向中央位置(
図13及び
図10(a)中、一点鎖線Mに示す位置)に略一致するように配置されている。尚、本実施形態では、この各対向面51の幅方向中央位置に略対向するアッパレール6側の各湾曲凹面Sa,Sb及びロアレール5側の各湾曲凹面Sc,Sdの各位置、即ち転動面S上の対向位置に、各転動体20の軌道が形成されるようになっている。そして、各突部53は、その延設部54の稜線L1に対応する部分、即ち当該延設部54における最も突出高さHが大きい部分を頂部P0として、それぞれ、その対向する転動面S(各湾曲凹面Sa〜Sd)に摺接可能な構成となっている(
図12参照)。
【0040】
また、
図13に示すように、延設部54の延設方向(同図中、左右方向)両端部には、それぞれ、当該延設部54から連続して各保持部材21の長手方向に延設されるとともにその延設方向において同延設部54から離間するほど先細りとなる振分部55が設けられている。
【0041】
具体的には、
図13及び
図14に示すように、振分部55は、延設部54の稜線L1に連続してその延設方向、即ち各転動体20の軌道に沿った方向に延びる稜線L2を有するとともに、その延設方向に直交する断面形状が、稜線L2を挟んで幅方向端部側に向かうほど、その突出高さHが低くなる略三角形となるように形成されている。また、
図13に示すように、振分部55は、その延設方向において延設部54から離間するほど、幅方向長さWが小さくなる、即ち幅狭になるように形成されている。更に、
図15に示すように、振分部55は、その延設方向(同図中、左右方向)において、延設部54から離間するほど(同図中、左側ほど)、突出高さHが低くなるように形成されている。そして、本実施形態の各突部53は、このような振分部55の先鋭形状に基づいて、各転動路T内に存在する異物を上記頂部P0の側方に振り分けることにより、その各転動面Sに形成される転動体20の軌道上から除去することが可能となっている。
【0042】
次に、上記のように構成された突部53の作用について説明する。
即ち、シートスライド操作に基づきロアレール5とアッパレール6とが相対移動することによって、両者の間に転動体20を保持する保持部材21もまた、見かけ上、これらロアレール5及びアッパレール6に対して相対移動することになる。そして、これにより、ロアレール5とアッパレール6との間において各転動体20が転動する空間、即ち転動路Tに存在する異物が、その各保持部材21に設けられた各突部53に接触する。
【0043】
このとき、各転動路T内の異物は、各突部53の延設方向両端部に設けられた振分部55に接触することで、その稜線L2を挟んで異なる方向に傾斜する二つの斜面55L,55Rの何れかに沿うように、各転動体20の転動面Sに摺接可能に設けられた頂部P0の側方に振り分けられる(
図13参照)。そして、これにより、その異物が各転動面Sに形成される各転動体20の軌道上から除去されるようになっている。
【0044】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ロアレール5とアッパレール6との間に転動体20を保持する保持部材21は、それぞれ、転動体20の転動面Sに頂部P0が摺接可能な突部53を備える。そして、この突部53は、保持部材21の長手方向、即ち転動面S上に形成される各転動体20の軌道に沿った方向に延設されるとともに上記頂部P0に連続し且つその延設方向において当該頂部P0から離間するほど先細りとなる先鋭形状の振分部55を有する。
【0045】
上記構成によれば、シートスライド操作に基づきロアレール5とアッパレール6とが相対移動する際、これらロアレール5とアッパレール6との間において各転動体20が転動する空間(転動路T)に存在する異物が、各保持部材21に設けられた各突部53の振分部55に接触する。そして、この異物が振分部55の先鋭形状に沿って各突部53の側方に振り分けられることで、その異物を転動面Sに形成される各転動体20の軌道上から除去することができる。その結果、ロアレール5とアッパレール6との間に存在する異物の影響を排除して、より円滑に各転動体20を転動させることができる。
【0046】
(2)振分部55は、頂部P0を構成する延設部54の稜線L1に連続して各転動体20の軌道に沿った方向に延びる稜線L2を有するとともに、その延設方向に直交する断面形状が稜線L2を挟んで幅方向端部側に向かうほど、その突出高さHが低くなる略三角形となるように形成される。また、振分部55は、その各転動体20の軌道に沿った延設方向において、延設部54から離間するほど、幅狭になるとともに突出高さHが低くなるように形成される。これにより、より円滑に異物を振り分けることができる。その結果、より効果的に、異物を各転動体20の軌道上から除去することができる。
【0047】
(3)各突部53は、それぞれ、保持部材21の両軸端面21aに形成された保持部としての保持凹部52の近傍(周縁部)に設けられる。そして、これらの各突部53において、振分部55は、その稜線L1が頂部P0を構成する延設部54の延設方向両端部に設けられる。
【0048】
上記構成によれば、各突部53に、その先鋭形状が最寄りの保持凹部52の方向を向いた振分部55aと、その先鋭形状が最寄りの保持凹部52とは反対の方向を向いた振分部55aとが形成される(
図10(a)(b)参照)。その結果、より効果的に、各転動路T内の異物を各転動体20の軌道上から除去することができる。
【0049】
例えば、車両用のシートスライド装置10には、そのロアレール5及びアッパレール6に塗装が施されたものがあり、このようなものにおいては、各転動体20の転動によって、その転動面S上に塗布された塗料が剥離する可能性がある。しかしながら、上記構成によれば、このような転動体20の転動により発生する異物を、その先鋭形状が最寄りの保持凹部52の方向を向いた振分部55aによって、速やかに各突部53の側方に振り分けることができる。そして、これにより、その異物を各転動体20の軌道上から除去することで、円滑に各転動体20を転動させることができる。
【0050】
また、車両用のシートスライド装置10の場合、ロアレール5やアッパレール6の開口部分を介して埃やゴミ等の異物が転動路T内に侵入する可能性がある。しかしながら、上記構成によれば、このような異物が保持凹部52に至る前に、その先鋭形状が最寄りの保持凹部52とは反対の方向を向いた振分部55bによって、各突部53の側方に振り分けることができる。そして、これにより、その異物を各転動体20の軌道上から除去することで、円滑に各転動体20を転動させることができる。
【0051】
[第2の実施形態]
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
図16及び
図17に示すように、上記第1の実施形態における各保持部材21との比較において、本実施形態の保持部材61は、その対向面51に設けられて頂部P0が各転動体20の転動面Sに摺接可能な突部63(63A,63B)の構成が相違する。
【0053】
詳述すると、本実施形態の保持部材61は、対向面51における長手方向両端部に、それぞれ、その先鋭形状が最寄りの保持凹部52の方向を向いた振分部65aを有する突部63A、及びその先鋭形状が最寄りの保持凹部52とは反対の方向を向いた振分部65bを有する突部63Bを備えている。
【0054】
図17(a)(b)及び
図18(a)(b)に示すように、本実施形態では、各突部63(63A,63B)は、略三角錐状の外形を有して各対向面51上に立設されている。そして、その一の頂点63tが頂部P0として各転動体20の転動面Sに摺接可能に構成されている。
【0055】
具体的には、各突部63は、その頂部P0に連続する一の辺63xが各対向面51の幅方向中央位置(
図17(a)中、一点鎖線Mに示す位置)に略一致するように配置されている。尚、本実施形態では、この辺63xと捩れの関係にある底辺63yは、円弧状となっている。そして、各突部63は、それぞれ、その保持部材21の長手方向に延びる辺63xを稜線L3として、当該稜線L3に沿った延設方向において頂部P0から離間するほど先細りとなる先鋭形状の振分部65(65a,65b)を備えている。
【0056】
即ち、本実施形態の振分部65もまた、上記第1の実施形態における振分部55と同様、その保持部材21の長手方向、つまりは各転動体20の軌道に沿って延びる稜線L3を有する。そして、その延設方向に直交する断面形状が、稜線L3を挟んで幅方向端部側に向かうほど、その突出高さHが低くなる略三角形となるように形成されている(
図14参照)。
【0057】
また、
図18(a)に示すように、振分部65は、その延設方向(同図中、左右方向)において頂部P0から離間するほど、幅方向長さWが小さくなる、即ち幅狭になるように形成されている。更に、
図18(b)に示すように、振分部65は、その延設方向(同図中、左右方向)において、頂部P0から離間するほど、突出高さHが低くなるように形成されている。そして、本実施形態の各突部63(63A,63B)もまた、その振分部65(65a,65)の先鋭形状に基づいて、各転動路T内に存在する異物を上記頂部P0の側方に振り分けることにより、その各転動面Sに形成される転動体20の軌道上から除去することが可能となっている。
【0058】
以上、本実施形態の構成によっても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態の各突部63(63A,63B)は、それぞれ、その一の頂点63tが頂部P0として各転動体20の転動面Sに摺接可能に設けられる。そして、これにより、その摺動抵抗を小さく抑えて、ロアレール5とアッパレール6との円滑な相対移動を担保することができる。
【0059】
さらに、その頂部P0となる頂点63tが弾性変形しやすいことを利用し、当該頂点63tを転動面Sに圧接させることで、容易に、その摺動抵抗を調整することができる。そして、これにより、そのシートスライド操作に節度感(手応え)を与えることによって、より良好な操作フィーリングを実現することができる。
【0060】
[第3の実施形態]
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、第1及び第2の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
図19及び
図20(a)(b)に示すように、本実施形態の保持部材71もまた、略楕円形の断面形状を有した長尺棒状に形成されている。そして、その外周面における湾曲形状の小さい部分が各転動体20の転動面S(アッパレール6側及びロアレール5側の各湾曲凹面Sa〜Sd)に対する対向面51となるように、ロアレール5とアッパレール6との間に形成される各転動路T内に配設される(
図12参照)。
【0062】
また、この保持部材71の両軸端面71aには、上記第1の実施形態の保持部材21(及び第2の実施形態の保持部材61)のような保持凹部52は設けられていない。そして、保持部材71には、その各転動体20の保持部として、その各対向面51に開口する保持孔72が設けられている。
【0063】
具体的には、本実施形態では、保持部材71の長手方向両端部には、それぞれ、二つの保持孔72a,72bがその長手方向に並んで設けられている。また、
図21に示すように、これらの各保持孔72は、その内壁面が転動体20のボール形状に略一致する球面座73となっている。そして、各保持孔72は、それぞれ、各対向面51に開口する開口部74から転動体20の表面が露出する状態で、回転自在に当該転動体20を内部に収容する構成となっている。
【0064】
さらに、
図19〜
図21に示すように、本実施形態の保持部材71もまた、その各対向面51に、上記第2の実施形態の保持部材61と同様、その一の頂点63tを頂部P0として各転動体20の転動面Sに摺接可能な略三角錐状の突部63を備えている。
【0065】
詳述すると、保持部材71は、その先鋭形状が最寄りの保持孔72(72a,72b)の方向を向いた振分部65aを有する複数の突部63Aを備えている。そして、これらの各突部63(63A)は、各保持孔72(72a,72b)のそれぞれに対応して、当該各保持孔72(72a,72b)の近傍(周縁部)に、それぞれ一つずつ設けられている。
【0066】
具体的には、本実施形態では、各突部63(63A)は、各保持孔72a,72bのうち、保持部材71の長手方向端部側(
図21参照、左側)に位置する保持孔72aよりも更に端部側の位置、及び同じく保持部材71の長手方向中央側(
図21参照、右側)に位置する保持孔72bよりも更に中央側の位置に設けられている。そして、本実施形態では、これにより、その各突部63A(の振分部65a)の先鋭形状に基づき各転動路T内に存在する異物を上記頂部P0の側方に振り分けることによって、各転動面Sに形成される転動体20の軌道上から除去することが可能となっている。
【0067】
[第4の実施形態]
以下、本発明を具体化した第4の実施形態を図面に従って説明する。尚、第1〜第3の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0068】
図22〜
図24に示すように、本実施形態の保持部材81は、二列並列に配置された略棒状のホルダ部82,83と、これらの両ホルダ部82,83間を接続する略平板状の連結部84とを備えている。
【0069】
各ホルダ部82,83には、その長手方向と直交する方向に当該各ホルダ部82,83を切り欠くことにより、内部に転動体20を収容可能な転動体保持部85が形成されている。尚、本実施形態では、各ホルダ部82,83には、このような転動体保持部85が、それぞれ、二つずつ設けられている。そして、各ホルダ部82,83は、これらの各転動体保持部85の開口部分から、その内部に収容された各転動体20の表面が露出する状態で、当該各転動体20を保持する構成となっている。
【0070】
図25及び
図26に示すように、本実施形態の保持部材81は、ロアレール5の各外壁部12とアッパレール6の各折曲部17との間にそれぞれ配設される。そして、これにより、一方のホルダ部82は、アッパレール6側の各湾曲凹面Sbとロアレール5側の各湾曲凹面Sdとが形成する転動路T(Ta)内に配置され、他方のホルダ部83は、アッパレール6側の各湾曲凹面Saとロアレール5側の各湾曲凹面Scとが形成する転動路T(Tb)内に配置されるようになっている。
【0071】
即ち、本実施形態の保持部材81は、ロアレール5とアッパレール6との間に形成される複数の転動路T(Ta,Tb)内に各転動体20を保持する。具体的には、保持部材81の各ホルダ部82,83は、それぞれ、その棒状をなす外形が転動路T(Ta,Tb)の延伸方向(
図25及び
図26中、紙面に直交する方向、ロアレール5及びアッパレール6の延伸方向)に沿うように、当該各転動路T(Ta,Tb)内に配置される。そして、これにより、シートスライド操作に伴うロアレール5とアッパレール6との間の相対移動に基づいて、各保持部材81の転動体保持部85に収容された各転動体20が、アッパレール6側の各湾曲凹面Sa,Sb及びロアレール5側の各湾曲凹面Sc,Sdを転動面Sとして、当該各転動面S上に形成される軌道上を転動するようになっている。
【0072】
尚、本実施形態では、各転動路Tを形成するアッパレール6側の各湾曲凹面Sa,Sbは、その湾曲形状が小さく(略平板状となるように)設定されている。また、ロアレール5とアッパレール6との間には、その長手方向に離間した複数箇所(例えば二箇所)に、このような保持部材81が左右一対で配設される。そして、これにより、その延伸方向に沿ったロアレール5とアッパレール6との間の円滑な相対移動を確保する構成となっている。
【0073】
さらに、
図27に示すように、本実施形態の保持部材81もまた、その各ホルダ部82,83における転動面Sとの対向面51、即ち各転動路Tを形成するアッパレール6側の各湾曲凹面Sa,Sb及びロアレール5側の各湾曲凹面Sc,Sdと対向する外表面部分に、それぞれ、上記第3の実施形態の保持部材71と同様の突部63を備えている。
【0074】
即ち、各ホルダ部82,83の各対向面51には、その一の頂点63tを頂部P0として各転動体20の転動面Sに摺接可能な略三角錐状の突部63、詳しくは、その先鋭形状が最寄りの転動体保持部85の方向を向いた振分部(65a)を有する複数の突部63Aが設けられている。
【0075】
具体的には、
図22〜
図24に示すように、各ホルダ部82,83の各対向面51には、当該各ホルダ部82,83の軸方向両端面82a,83a近傍に、それぞれ一つずつ、突部63(63A)が設けられている。そして、本実施形態では、これにより、その各突部63Aの先鋭形状に基づき各転動路T内に存在する異物を上記頂部P0の側方に振り分けることで、その各転動面Sに形成される転動体20の軌道上から除去することが可能となっている。
【0076】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、振分部55,65は、その延設方向に直交する断面形状が、稜線L2,L3を挟んで幅方向端部側に向かうほど、その突出高さHが低くなる略三角形となるように形成されることとした。しかし、これに限らず、延設方向に直交する断面形状(若しくは、それに対応する正面視)において、その山型を形成する二本の外形線が曲線状のものであってもよい。例えば、
図28(a)に示すように、その正面視において、二本の外形線Z1,Z2が、外側に凸となる、或いは
図28(b)に示すように、内側に凹となるように振分部を形成してもよい。尚、各図中、破線は、その外形線が直線であるとした場合の基準線である。
【0077】
・上記各実施形態では、振分部55,65は、各転動体20の軌道に沿った方向に延びる稜線部としての稜線(L2,L3)を有することとした。しかし、稜線部は、必ずしもこのような鋭角な稜線でなくともよい。例えば、その稜線部が、ある程度の幅を有するものであってもよく、また丸みを帯びた形状であってもよい。
【0078】
・上記第2〜第4の実施形態では、各突部63は、略三角錐状に形成されることとした。しかし、これに限らず、その一の頂点63tが頂部P0として各転動体20の転動面Sに摺接し、且つ各転動体20の軌道に沿った方向に延びる稜線部(稜線L)を有する振分部65を備えるものであれば、その他の錐体状であってもよい。例えば、
図29に示すような四角錐状でもよく(同図中、左右方向が各転動体20の軌道に沿った方向)、また、より高次の錐体形状であってもよい。
【0079】
・上記第2の実施形態では、保持部材61は、その先鋭形状が最寄りの保持凹部52の方向を向いた振分部65aを有する突部63A、及びその先鋭形状が最寄りの保持凹部52とは反対の方向を向いた振分部65bを有する突部63Bを備える。そして、上記第3及び第4の実施形態では、各保持部材71,81は、その先鋭形状が最寄りの保持部(保持孔72、転動体保持部85)の方向を向いた振分部65aを有する突部63Aのみを備えることとした。しかし、これに限らず、保持部材が、その先鋭形状が最寄りの保持部とは反対の方向を向いた振分部65bを有する突部63Bのみを備える構成についても、これを排除しない。
【0080】
・また、第2の実施形態のように、保持部材21の両軸端面21a(保持凹部52)、即ち保持部材21の外部において転動体20を保持する構成について、その振分部65a(の先鋭形状)の向きが最寄りの保持部(保持凹部52)の方向を向いた突部63Aのみを備える構成としてもよい。そして、上記第3及び第4の実施形態のように、各転動体20が保持部材(71,81)に設けられた保持部(保持孔72、転動体保持部85)内に収容されたものについて、その振分部65a(の先鋭形状)の向きが互いに相反する突部63A,63Bの両方を備える構成としてもよい。
【0081】
・上記第1の実施形態についても、その延設部54の延設方向両端部の何れか一方に振分部55を設ける構成としてもよい。
・突部の配置や数は、任意に変更してもよい。
【0082】
・頂部から離間するほど先細りとなる振分部の先鋭形状についても、適宜変更してもよい。
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
【0083】
(イ)前記突部は、前記保持孔の近傍に設けられること、を特徴とする。
(ロ)前記保持部材は、前記ロアレール及びアッパレールの延伸方向において離間した位置に複数の前記転動体を保持すること、を特徴とする。
【0084】
(ハ)前記突部は、前記先鋭形状が最寄りの前記転動体の保持部の方向を向いた前記振分部及び前記先鋭形状が最寄りの前記転動体の保持部とは反対の方向を向いた前記振分部を有すること、を特徴とする。
【0085】
上記各構成によれば、より効果的に、転動体の軌道上から異物を除去することができる。
(ニ)前記保持部材は、前記ロアレールとアッパレールとの間に形成される複数の転動路に前記転動体を保持すること、を特徴とする。
【0086】
(ホ)前記保持部材は、前記保持部内に前記転動体を収容すること、を特徴とする。