(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源は、前記位置決め部材に対して前記光ビームの射出方向に直交する平面に沿う方向に位置調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
前記当接部は、前記光ビームの射出方向に直交する方向に沿って前記光源から外側に向かって延出するよう設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の光源装置100では、光源とホルダーとの間にこじれが生じ、光ビームの射出角度が変わってしまう場合がある。
図15(a)、(b)は、従来の光源装置100を示す図である。
図15(a)は前面図、
図15(b)は
図15(a)に示す線L3で切断した場合の断面図である。
図16は、光源101とホルダー102との間にこじれが生じた例を示す図である。
図15(a)、(b)に示すように、従来の光源装置100は、光源101に直接当接して光源101をホルダー102に押し付けるよう設けられた板バネ103をホルダー102にネジ留めして固定するものである。
【0005】
ここで、
図15(a)に示すように、板バネ103をネジ孔104の位置でホルダー102にネジ留めするに際して、ネジの回転に板バネ103が引きずられることにより板バネ103にネジの回転方向に応じた付勢力V1が加わる。付勢力V1は、板バネ103と光源101との当接箇所を介して光源101に伝達され、
図16に示すように、光源101をホルダー102から浮かせるこじれを生じさせる。即ち、付勢力V1の下流側に位置する光源101とホルダー102との当接箇所である点P2が回転運動の支点となって、光源101のうち付勢力V1の上流側に位置する部分が持ち上げられることにより、光源101がホルダー102から浮き上がった状態となる。
【0006】
係る光源101とホルダー102とのこじれは、光源101から発せられる光ビームの射出角度を変じさせ、光ビームの射出角度の精度を低下させる。
また、ネジの回転によるものに限らず、板バネ103の熱膨張等、各種の原因により光源101に対して光源101がホルダー102に押し付けられる方向に沿わない付勢力を受けると、同様のこじれが発生しうる。
【0007】
本発明は、より高精度に光ビームの射出角度を保持することができる光源装置、走査光学装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明による光源装置は、光ビームの射出方向に直交する平面部を有する光源と、前記平面部と当接して前記光源を位置決めする位置決め部材と、前記光源と当接する中間部材と、前記中間部材を介して前記光源を前記位置決め部材に押し付けて前記光源を保持する保持部材と、を備え、前記平面部と前記位置決め部材とが当接する平面と、前記中間部材と前記保持部材とが当接する当接部とが同一平面上に位置することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光源装置であって、前記中間部材は、前記位置決め部材から離間していることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光源装置であって、前記光源は、前記位置決め部材に対して前記光ビームの射出方向に直交する平面に沿う方向に位置調整可能に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の光源装置であって、前記当接部は、前記光ビームの射出方向に直交する方向に沿って前記光源から外側に向かって延出するよう設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の光源装置であって、前記光源と前記中間部材とが一体であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明による走査光学装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載の光源装置と、前記光源から発せられた光ビームの射出角度を変更する変更手段と、を備え、前記変更手段により射出角度が変更された光ビームにより被照射体を走査することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明による画像形成装置は、感光体と、請求項6に記載の走査光学装置と、前記走査光学装置により走査された感光体にトナーを担持させる担持手段と、前記担持手段により前記感光体に担持されたトナーを記録媒体に転写する転写手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より高精度に光ビームの射出角度を保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による画像形成装置1000の概略構成を示す図である。
本実施形態に係る画像形成装置1000は、例えば、複写機やプリンタ等として用いられ、
図1に示すように、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、ブラック色の色ごとに設けられた複数のレーザー走査光学装置1と、レーザー走査光学装置1に応じて設けられたの感光体200と、感光体200に対してトナーを供給する現像部250と、中間転写ベルト300と、転写ローラ400と、定着部500と、等を備えて構成される。
【0019】
レーザー走査光学装置1は、レーザー光を照射し、そのレーザー光によって感光体200を走査する。また、現像部250は、トナーを供給して、走査により露光された感光体200にトナー像を形成する。また、感光体200は、トナー像を中間転写ベルト300に転写する。また、転写ローラ400は、中間転写ベルト300に転写されたトナー像を用紙Pに転写する。また、定着部500は、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することで、トナー像を用紙P上に定着する。そして、画像形成装置1000は、トナー像が定着された用紙Pを排紙ローラ(図示省略)等により搬送してトレイ(図示省略)に排紙する。
即ち、画像形成装置1000は、被照射体(感光体200と)、レーザー走査光学装置1により走査された被照射体にトナーを担持させる担持手段(例えば、現像部250)と、担持手段により被照射体に担持されたトナーを記録媒体(例えば、用紙P)に転写する転写手段(例えば、中間転写ベルト300及び転写ローラ400)と、を備える。
【0020】
図2は、レーザー走査光学装置1の上面図である。
図3は、
図2に示すレーザー走査光学装置1を線Lで切断した場合の断面図である。
レーザー走査光学装置1は、レーザー光を発する光源11と、レーザー走査光学装置1からのレーザー光の射出角度を変更するポリゴンミラーユニット12と、ポリゴンミラーユニット12により射出角度が変更されたレーザー光を通過させるレンズ部13、14、15、16と、レンズ部13、14、15、16を通過したレーザー光を反射する折り返しミラー17、18と、折り返しミラー17、18に反射されたレーザー光がレーザー走査光学装置1外へ射出される射出部19と、を備える。
以下、説明において、鉛直方向(上下方向)をZ方向、折り返しミラー17の長手方向が沿う方向をX方向、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向とする。
【0021】
光源11は、例えば、電子写真方式の画像形成装置において感光体に露光処理を施すためのレーザー光を発するレーザー装置である。
光源11から発せられたレーザー光は、例えば、2つの反射部材1a、1bによる反射を経てポリゴンミラーユニット12へ導かれる。
【0022】
ポリゴンミラーユニット12は、回転多面鏡12aや、回転多面鏡12aを回転させるポリゴンモーター12b等を備える。
回転多面鏡12aは、例えば、板状の部材であって、外周の形状が多角形状である。回転多面鏡12aは、外周の側面が鏡面である。回転多面鏡12aの側面は、光源11からのレーザー光を反射する機能を有する。
ポリゴンモーター12bは、回転多面鏡12aの回転軸を回転させる電動機等のモーターである。ポリゴンモーター12bの回転軸と、回転多面鏡12aの回転軸とは一致する。ポリゴンモーター12bが動作すると、回転多面鏡12aが回転する。当該回転に伴い、多角形状の側面の角度が回転多面鏡12aの回転角度に応じて変化し、レーザー光の反射角度を変化させる。
ポリゴンミラーユニット12は、回転多面鏡12aの側面の回転角度を変化させることで、射出部19から射出されるレーザー光が感光体を走査するように、光源11から発せられたレーザー光の反射角度を変更してレンズ部13、14、15、16側に反射する。
【0023】
レンズ部13、14、15、16は、例えば、光の透過性を有するガラス又はプラスチック等の樹脂を素材とするレンズであり、ポリゴンミラーユニット12により反射されたレーザー光の角度を屈折により変更、調整して折り返しミラー17側に通過させる。
【0024】
折り返しミラー17、18は、レンズ部13、14、15、16を通過したレーザー光を反射して射出部19へ導く光学部材である。本実施形態の折り返しミラー17、18は、レーザー走査光学装置1内で互いに上下に位置するよう設けられる。
例えば、折り返しミラー17は、ポリゴンミラーユニット12からレンズ部13、14、15、16を経たレーザー光を下方に反射して折り返しミラー18の反射面へ導く。また、折り返しミラー18は、折り返しミラー17により反射されたレーザー光を、ポリゴンミラーユニット12からレンズ部13、14、15、16へ向かうレーザーの進行方向とほぼ逆方向に反射してレーザー光を射出部19へ導く。
【0025】
射出部19は、レーザー走査光学装置1内で光源11により発せられたレーザー光がレーザー走査光学装置1外へ射出される部位である。本実施形態において、射出部19は、ポリゴンミラーユニット12の下方に設けられている。折り返しミラー17、18の反射を経て導かれることにより、レーザー光は射出部19から射出される。
上記のように、射出部19から射出されるレーザー光の射出角度はポリゴンミラーユニット12の反射角度の変更に応じて変化する。これにより、レーザー光により感光体が走査される。即ち、レーザー走査光学装置1は、ポリゴンミラーユニット12によりレーザー光の射出角度を変更することによって感光体を走査する。
【0026】
なお、
図2、
図3及び上記の説明にて示す各部の位置関係、レンズ部の個数及びレーザー光の軌跡はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0027】
図4〜
図8は、光源11を含む光源装置を示す図である。
図4は斜視図、
図5は上面図、
図6は
図5に示す線L1による断面図、
図7は前面図、
図8は後面図である。なお、以下の説明では、光源11と、光源11から射出されるレーザー光との位置関係において、光源11側を前方とし、レーザー光側を後方とする。本実施形態において、前後方向は、Z方向に直交するが、一例であってこれに限られるものでない。
【0028】
レーザー走査光学装置1は、光源11を保持するための構成として、光源11を位置決めするための位置決め部21aを有する光源ホルダー21、光源11と当接する中間部材31、中間部材31を介して光源11を光源ホルダー21の位置決め部21aに押し付けて光源を保持する板バネ22等を有する。
【0029】
光源11は、光源ホルダー21と当接する平面部11aを有する。平面部11aは、例えば、光源11の円柱状の本体部11bの前方側において、本体部11bの径よりも一回り大きく設けられて本体部11bの外側方向に向かって延出された部分の後側の面である。言い換えれば、光源11は、例えば、
図6に示すように、平面部11aと本体部11bを含む光源11の前後方向に沿う断面形状がT字状になるよう形成されている。
平面部11aは、光源ホルダー21の位置決め部21aと当接する。当該当接面は、前後方向に直交する面に平行な面である。
【0030】
また、光源11は、前方側に端子11cを有する。端子11cは、基盤Bと接続され、光源11の動作に係る各種の電気信号の入出力のためのバスとして機能する。
【0031】
光源ホルダー21は、光源11に設けられたレーザー光の射出方向に直交する平面部11aの当接面と当接して光源11を位置決めする位置決め部21aを有する。位置決め部21aは、例えば、レーザー走査光学装置1の筐体に取り付けられる基部21bからZ方向に沿って立設するよう設けられる。
また、光源ホルダー21は、挿通孔21fを有する。挿通孔21fは、その軸がZ方向に直交するよう設けられた円状の孔である、挿通孔21fの径は、光源11の本体部11bの径より大きく、かつ、平面部11aの径より小さい。また、挿通孔21fの周囲に、位置決め部21aが設けられている。
即ち、光源ホルダー21は、位置決め部21aにより光源11の平面部11aと当接すると共に、光源11の本体部11bを挿通孔21fの内側に納める。
【0032】
中間部材31は、
図4〜
図8に示すように、光源11の本体部11bと別個に設けられた円盤状の部材である。中間部材31は、光源11の本体部11bより大きく、かつ、平面部11aより小さい径の挿通孔を円盤中央に有し、当該挿通孔に光源11の本体部11bを通すように設けられている。そして、中間部材31は、その挿通孔の縁と光源11の平面部11aとの当接位置において光源11と溶接されている。即ち、中間部材31は、平面部11aに固定されている。ここで、中間部材31は、
図4〜
図8に示すように、レーザー光の射出方向に直交する方向に沿って光源11から外側に向かって延出するよう設けられる。
【0033】
また、
図4、
図7に示すように、中間部材31は、光源11と複数個所(例えば、3箇所)の当接部31aで当接すると共に、各当接箇所どうしの間に開口部31bを有する。
具体的には、光源11を内側に収める中間部材31の挿通孔の縁は、中間部材31の円盤中央を中心として、略120度間隔で設けられた当接部31aと開口部31bとを有する。開口部31bは、中間部材31の円盤の盤面を貫通する孔である。開口部31bは、光源ホルダー21に対する光源11及び中間部材31の取り付け時において、開口部31bから光源ホルダー21の位置決め部21aの前面が延出するよう設けられている。
【0034】
言い換えれば、中間部材31の開口部31bと光源ホルダー21の位置決め部21aの位置を合わせるようにすることで、光源ホルダー21に対する光源11の概略的な位置決めを行うができる。
【0035】
また、中間部材31の当接部31aについて言い換えれば、開口部31bの周囲を取り巻く円輪状の延出部31cから当該円輪の内側に向かって設けられ、開口部31bの縁及び中間部材31の挿通孔の縁を形成すると共に、光源11と当接して中間部材31を光源11に固定するよう機能している。
【0036】
また、
図6に示すように、レーザー光の射出方向に直交する平面に沿う方向について、光源11及び中間部材31と、光源ホルダー21と、の間にはクリアランス(例えば、
図6に示すクリアランスC1、C2等)が設けられている。当該クリアランスにより、光源11を光源ホルダー21に取り付けるに際して、レーザー光の射出方向に直交する平面に沿う方向における光源の取り付け位置を調整することができる。よって、光源ホルダー21に取り付けられたコリメーターレンズ25等、光源11から射出されるレーザー光の光路上にある各部に対する光源11の位置合わせを容易に行うことができる。即ち、光源11は、光源ホルダー21に対してレーザー光の射出方向に直交する平面に沿う方向に位置調整可能に設けられている。
【0037】
板バネ22は、光源ホルダー21に固定されて中間部材31を後方に押圧する。ここで、中間部材31と固定された光源11が光源ホルダー21に押し付けられることにより、光源11は光源ホルダー21に対して固定、保持される。即ち、板バネ22は、中間部材31を介して光源11を光源ホルダー21の位置決め部21aに押し付けて光源11を保持する。
板バネ22は、具体的には、例えば、
図4〜
図8に示すように、円盤状の部材であり、盤面の形状が中間部材31とほぼ同様である。即ち、板バネ22は、外周側に設けられた円輪状の部分(固定部22a)と、当該円輪からその内側の円盤中心に向かって延設された部分(押圧部22b)と、を有する。
【0038】
また、板バネ22は、固定部22aにネジ孔22c、22d、22eを有する。ネジ孔22c、22d、22eは、板バネ22の盤面を貫通する孔であり、押圧部22bに対応する位置に一つずつ、板バネ22の円盤中心に対して略120度間隔で配置されている。
ネジ孔22c、22d、22eの配置関係は、光源ホルダー21のネジ孔21c、21d、21eの位置関係に対応する。具体的には、光源ホルダー21は、位置決め部21aと平行に設けられた板バネ22の取り付け面を有し、当該取り付け面において板バネ22を固定するためのネジ(図示略)と螺合するネジ孔21c、21d、21eを有する。当該取り付け面は、位置決め部21aに対して前側に位置するが、一例であってこれに限られるものでない。例えば、取り付け面のような面部でなく、ネジ孔21c、21d、21eを有し板バネ22を支持する部分のみ位置決め部21aに対して前側に位置するようにしてもよい。
【0039】
板バネ22は、固定部22aが光源ホルダー21に対してネジ留めされることにより固定される。また、板バネ22は、押圧部22bで中間部材31の前面に当接して中間部材31をレーザー光射出方向後方に押圧する。本実施形態において、板バネ22は、押圧部22bが当接部31aに対応する位置で中間部材31に固定される。即ち、押圧部22bと当接部31aとが当接する。
【0040】
ここで、板バネ22により押圧される中間部材31の当接部31aの前面と、光源ホルダー21が光源11の平面部11aと当接して光源11を位置決めする位置決め部21aとの関係について説明する。
図6に示すように、平面部11aと位置決め部21aとが当接する平面H1と、板バネ22と当接部31aとが当接する平面H2とは、線H3により示す同一平面上に位置する。言い換えると、位置決め部21aと当接する平面部11aと、板バネ22から押圧力を受ける側の中間部材31の盤面(前面)とが同一平面上となるように設けられている。このため、光源11が平面部11aで位置決め部21aと当接することで、当接部31aを含む中間部材31の前面と位置決め部21aの平面とが同一平面上に位置することとなる。
【0041】
ここで、光源11を光源ホルダー21に取り付ける場合の作業者による作業の流れを示す。
まず、光源11と中間部材31とを一体とする。具体的には、光源11の平面部11aと中間部材31の当接部31aとを溶接する。これにより、平面部11aのうち中間部材31の開口部31bと重なる部分は平面部11aが露出し、当接部31aと溶接される部分は当接部31aに覆われる。また、平面部11aと当接部31aを含む中間部材31の前面とが同一平面上に位置することとなる。
【0042】
次に、一体となった光源11及び中間部材31を光源ホルダー21に対して位置決めする。具体的には、中間部材31の開口部31bと光源ホルダー21の位置決め部21aの位置を合わせるようにして平面部11aと位置決め部21aとを当接させる。当接部31aを含む中間部材31の盤面のうち前面と位置決め部21aの平面とが同一平面上に位置する。
【0043】
次に、光源11及び中間部材31が位置決めされた光源ホルダー21に対して板バネ22を固定する。
具体的には、板バネ22のネジ孔22c、22d、22eと光源ホルダー21のネジ孔21c、21d、21eとを合わせるように、板バネ22を光源ホルダー21に対して位置決めし、板バネ22を光源ホルダー21にネジ留め固定する。
【0044】
ここで、板バネ22のネジ留めによって生じる回転モーメントが光源11と光源ホルダー21とのこじれを生じさせないことについて説明するに際し、従来の場合と本実施形態の場合とについて順次説明する。
従来、
図16に示すように、板バネ103から光源101に力が伝達される点P1、P3と、光源101とホルダー102とが当接する点P2との間において、前後方向の距離Dが存在する。距離Dがあると、ネジ留めの際に板バネ103に加わる回転モーメントによる、前後方向に直交する方向の付勢力V1が、点P2を支点として光源101を前方向に持ち上げる回転モーメントV2として作用する。
具体的には、点P2において生ずる光源101とホルダー102との摩擦力が、点P1、P3を含む3点において生ずる板バネ103と中間部材31との摩擦力より大きい場合に、P2を中心とした回転モーメントV2が生じる。ここで、板バネ103と中間部材31とが当接する3点において板バネ103に対して加わる付勢力V1により光源101に対して加えられる摩擦力をm1、m2、m3とすると、3点の摩擦力m1、m2、m3と、距離Dと、回転モーメントV2との関係は、以下の式(1)により表される。
V2=D×(m1+m2+m3)…(1)
【0045】
一方、本実施形態では、光源11と光源ホルダー21の位置決め部21aとが当接する平面H1と、板バネ22と中間部材31とが当接する平面H2とが同一平面上に位置する。言い換えれば、
図16に示す距離Dに対応する距離が0である。よって、上記の式(1)において、距離Dが0となることから、回転モーメントV2も0となり、板バネ22を介して加わる力が光源11を前方向に持ち上げる回転モーメントとして働くことがない。このため、ネジ留めによる回転モーメントが板バネ22に加わり、板バネ22から中間部材31に対して前後方向に直交する平面に沿う力Vが加わったとしても、力Vは光源11を位置決め部21aから持ち上げる力に分解されることがない。即ち、力Vは光源11と光源ホルダー21とにこじれを生じさせる力として機能しえず、光源11と光源ホルダー21との間にこじれが生じることはない。よって、本実施形態の光源11の保持構造によれば、光源11と光源ホルダー21とのこじれを防止することができ、より高精度に光ビームの射出角度を保持することができる。
【0046】
また、中間部材31は、
図8等に示すように、レーザー光の射出方向に直交する方向に沿って、光源ホルダー21から外側に向かってその一部分が延出している(例えば、延出部31cの一部等)。このため、中間部材31が固定された光源11を光源ホルダー21に取り付けるに際して、光源ホルダー21に対する光源11の位置調整作業における光源11の取り扱い(チャック)をより容易にすることができる。
【0047】
以上、本実施形態の画像形成装置1000によれば、光源11の平面部11aと光源ホルダー21の位置決め部21aとが当接する平面H1と、光源11に固定された中間部材31と板バネ22とが当接する平面H2とが同一平面上に位置するので、板バネ22から中間部材31に力が伝達される摩擦点と、光源11と光源ホルダー21とが当接する摩擦点との前後方向の距離、即ち、式(1)における距離Dに対応する距離が0となることから、回転モーメントV2も0となり、板バネ22を介して加わる力が光源11を前方向に持ち上げる回転モーメントとして働くことがない。よって、光源11と光源ホルダー21との間にこじれが生じることを防止することができ、より高精度にレーザー光の射出角度を保持することができる。
【0048】
また、光源11は、光源ホルダー21に対して前後方向に直交する平面に沿う方向に位置調整可能に設けられているので、光源11から射出されるレーザー光の光路上にある各部(例えば、コリメーターレンズ25等)に対する光源11の位置合わせを容易に行うことができる。
【0049】
また、中間部材31は、前後方向に直交する方向に沿って光源11から外側に向かって延出するよう設けられているので、中間部材31が固定された光源11を光源ホルダー21に取り付けるに際して、光源ホルダー21に対する光源11の位置調整作業における光源11の取り扱い(チャック)をより容易にすることができる
【0050】
なお、本発明の実施の形態は、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0051】
例えば、上記の実施形態における中間部材31の形状や光源11の保持方法はあくまで一例であって、これに限られるものでない。以下、本発明の変形例について順次説明する。
なお、各変形例において、上記の実施形態にて説明した構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0052】
[変形例1]
図9、
図10は、光源装置の変形例を示す図である。
図9は前方側から見た斜視図、
図10は前後方向に沿う平面での断面図である。
なお、
図9、
図10に示す変形例において、光源ホルダー21や板バネ22の形状等、具体的な形態は異なるが、本発明に係る特徴としては同一である。例えば、光源ホルダー21は、光源11の平面部11aと当接して光源11の位置決めを行う位置決め部21aを有する。
また、
図9では、板バネ22の図示を省略している。
【0053】
図9、
図10に示すように、変形例1における中間部材32は、板状の当接部32aと、当接部32aの板面から前方に突出する方向の段差を有するよう設けられた光源係合部32bと、を有する。当接部32aは、例えば、方形状の板面を有し、光源係合部32bは、例えば、当接部32aから延設された円柱状の段差部であるが、これらの形態は一例であってこれに限られるものでない。また、光源係合部32bは、円柱状の形状の中央に光源11の端子11cを挿通するための孔32cを有する。
【0054】
図9、
図10に示すように、中間部材32は、光源ホルダー21から離間している。具体的には、中間部材32は、
図10に示すように光源係合部32bの後方側で光源11と当接する。ここで、中間部材32の後方側は、光源11に当接するのみであり、光源ホルダー21に当接しない。具体的には、
図10に示すように、光源11と光源ホルダー21の位置決め部21aとが当接した状態において、中間部材32の各部と光源ホルダー21との間にはクリアランスC4、C5が存在するよう設けられている。
また、光源11と光源係合部32bとは圧入等により固定されていてもよいし、単に当接していてもよい。
【0055】
また、
図10に示すように、当接部32aの前面は、板バネ22と当接して板バネ22から後方に向かって押し付けられる。これにより、中間部材32は、光源11を光源ホルダー21の位置決め部21aに押し付けて保持する。
また、板バネ22と当接する当接部32aの前面は、光源11の平面部11aと光源ホルダー21の位置決め部21aとが当接する平面と同一平面上に位置する。よって、上記の実施形態と同様に、光源11と光源ホルダー21との間にこじれが生じることを防止することができ、より高精度にレーザー光の射出角度を保持することができる。
【0056】
また、中間部材32は、光源ホルダー21から離間しているので、板バネ22からの付勢力をより確実に光源11に伝達することができ、より確実に光源11を光源ホルダー21に押し付けて保持することができる。
また、中間部材32と光源ホルダー21との間にクリアランスC4、C5があることから、光源ホルダー21に対する光源11の前後方向に直交する方向の平面に沿った位置調整を容易に行うことができる。
【0057】
[変形例2]
図11〜
図14は、光源装置の変形例のうち、
図9、
図10に示す例とは異なる例を示す図である。
図11は前面図、
図12は前後方向に沿う平面(
図11に示す線L2)での断面図、
図13は光源装置を分解した状態を示す斜視図、
図14は光源35及び中間部材33の形態を示す斜視図である。
なお、
図11〜
図14に示す変形例において、光源ホルダー21や板バネ22の形状等、具体的な形態は異なるが、本発明に係る特徴としては同一である。
【0058】
図11〜14に示す光源35は、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)である。
図14等に示すように、光源35は、例えば、方形状の板面を有し、後面側に平面部35a及びレーザー光射出部35bを有する。光源35は、例えば、レーザー光射出部35bを後面側の中央に有する。また、光源35は、レーザー光射出部35bの周囲を取り巻くように設けられた平面部35aを有する。
【0059】
中間部材33は、
図14に示すように、光源35の板面よりも一回り大きい方形状の板面を有する板状の部材である。中間部材33は、その板面の中央において板面を貫通した方形状の孔33aを有し、孔33aを縁取ると共にその外周部が光源35の外周よりも一回り大きく設けられた当接部33bを有する。
【0060】
中間部材33を介して光源35を保持する板バネ23は、例えば、
図11〜
図14に示すように、4つ設けられている。4つの板バネ23は、光源35に対して、前後方向に直交する平面に沿うように、上下に1つずつと、前後方向に直交する平面に沿い、かつ、上下に直交する方向(左右方向)に沿って光源35を挟んで1つずつ設けられ、それぞれの位置で光源ホルダー21にネジ留めされて中間部材33の当接部33bの前面と当接し、光源35を保持する。
なお、
図13等に示すように、光源ホルダー21の前面側は、例えば、4つの板バネ23を固定するための形状を有し、ネジ孔も4つの板バネ23に応じて4つ設けられる。
【0061】
以下、
図11〜
図14に示す保持構造による光源35の保持に係る作業者による作業の手順の一例を示す。
例えば、まず、基盤Bに取り付けられた光源35と中間部材33とを接着する。ここで、基盤Bには、板バネ23をネジ留めするための貫通孔が設けられている。次に、光源35の平面部35aと光源ホルダー21の位置決め部21aとを当接させるように光源35を光源ホルダー21に取り付けて光源35の位置決めを行う。次に、4つの板バネ23を光源ホルダー21にネジ留めして中間部材33及び光源35を光源ホルダー21に取り付けた状態で保持させる。
【0062】
なお、
図11、
図12に示すように、光源ホルダー21と中間部材33との間はクリアランスC6が設けられているので、上記の実施形態等と同様に、光源ホルダー21に対する光源11の前後方向に直交する方向の平面に沿った位置調整を容易に行うことができる。
【0063】
以上、図を参照して変形例の説明を行ったが、この他にも、本発明の特徴を逸脱しない範囲において、各種の変更を行ってよい。
例えば、本発明において保持される光源から発せられる光ビームはレーザー光に限らず、他のコヒーレント光等、レーザー以外の原理による光ビームであってもよい。
【0064】
また、上記の実施形態及び各変形例では、光源と中間部材とが別の部材として設けられているが、一例であってこれに限られるものでなく、何らかのかたちで光源の平面部と位置決め部材(例えば、光源ホルダー21)とが当接する平面と、保持部材(例えば、板バネ22、23)から光源を位置決め部材に押し付ける力が作用する作用点とが同一平面上に位置するよう設けられていればよい。一例として、上記の実施形態や各変形例における光源と中間部材とが一体に形成されていてもよい。この場合でも、上記の実施形態及び各変形例と同様の効果を得られる。
【0065】
また、上記の実施形態では、板バネ22の押圧部22bは、中間部材31の当接部31aに当接しているが、一例であってこれに限られるものでない。光源の平面部と位置決め部材(例えば、光源ホルダー21)とが当接する平面と、保持部材(例えば、板バネ22、23)と光源とが当接する当接部とが同一平面上に位置さえすれば、中間部材31の前面側ならばどの位置で板バネ22と当接してもよい。
【0066】
また、上記の画像形成装置1000及びレーザー走査光学装置1の具体的な形態はあくまで一例であり、本発明の特徴を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。