(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シール部材は、前記装着部に取り付けた前記電池パックに接触して前記電池側端子と前記機器側端子との接続部分を囲む無端状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気機器。
前記シール部材は、前記電池パックに設けられ、かつ、接続面を介して接続された高さの異なるプレート部及びマウント部と、前記接続面に接触することを特徴とする請求項3に記載の電気機器。
前記シール部材は、前記装着部に取り付けられた前記電池パックに接触して、前記電池側端子と前記機器側端子との接続部分をシールすることを特徴とする請求項7に記載の電気機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動工具のグリップに電池パックを取り付け及び取り外しするときに、電池パックとグリップとを、グリップの突出方向に対して交差する方向に移動(スライド)させる構成がある。しかしながら、特許文献1に記載されているシール性を確保するための構成は、電池パックとグリップとをどの方向に移動させて、電池パックを挿入部に取り付けるかは記載されていない。このため、特許文献1に記載された構造を、電池パックとグリップとを、グリップの突出方向に対して交差する方向に移動させて、電池パックをグリップに取り付ける構成の電動工具に用いても、十分なシール性を得られない可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、電池パックが取り付けられる電気機器のシール性を向上させること
、電気装置のシール性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気機器は、電池セルを保持した電池パックを取り付け及び取り外しが可能な電気機器であって、前記電池パックが取り付け及び取り外しされる装着部が設けられた機器本体と、前記装着部に設けられ、かつ、前記電池パックの取り付け及び取り外し方向を定めるガイド部と、前記装着部に設けられ、かつ、前記電池パックに設けられた電池側端子が接続される機器側端子が埋め込まれた端子ホルダと、前記装着部と前記端子ホルダとの間に介在し、前記機器本体の内部から前記装着部と前記端子ホルダとの間を介して前記電池側端子と前記機器側端子との接続部分に異物が侵入することを抑制するシール部材と、を有
し、前記シール部材は、前記端子ホルダの外周に取り付けられ、前記端子ホルダは、前記シール部材を介して前記装着部により挟み付けられて固定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の電気機器は、電池セルを保持した電池パックを取り付け及び取り外しが可能な電気機器であって、前記電池パックが取り付け及び取り外しされる装着部が設けられた機器本体と、前記装着部に設けられた端子ホルダと、前記端子ホルダに埋め込まれ、かつ、前記電池パックに設けられた電池側端子が接続される機器側端子と、を有し、前記装着部と前記端子ホルダとの間に、前記機器本体の内部から前記装着部と前記端子ホルダとの間の隙間を介して前記電池側端子と前記機器側端子との接続部分に異物が侵入することを抑制するシール部材が介在され
、前記シール部材は、前記端子ホルダの外周に取り付けられ、前記端子ホルダは、前記シール部材を介して前記装着部により挟み付けられて固定されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の電気装置は、電池セルを保持した電池パックと、前記電池パックを取り付け及び取り外し可能な電気機器とを有する電気装置であって、前記電気機器は機器側端子を有しており、前記電池パックは、本発明の電池パックに記載された構成を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電気機器によれば、電池セルを保持した電池パックを、装着部に取り付けると、電池側端子と機器側端子との接続部分を、シール部材によりシールすることができる。したがって、異物が電池側端子と機器側端子との接続部分に侵入することを抑制できる。
【0020】
本発明の一態様によれば、無端状のシール部材が、装着部に取り付けた電池パックに接触してシール面を形成する。したがって、電池側端子と機器側端子との接続部分のシール性が向上する。
【0021】
本発明の他の態様によれば、シール部材は、プレート部及びマウント部及び接続面に亘って接触し、電池側端子と機器側端子との接続部分を囲むようにシール面を形成する。
【0022】
本発明の他の態様によれば、電池パックを装着部に取り付ける途中で、シールリップと電池パックとが接触して擦れることを防止できる。したがって、シールリップの摩耗を抑制でき、シール性が向上する。
【0023】
本発明の他の態様によれば、シールリップと電池パックとの接触抵抗を一層低減することができる。
【0024】
本発明の他の態様によれば、装着部の内部側の異物が、機器側端子と電池側端子との間に侵入することを防止できる。
【0025】
本発明の電気機器によれば、シール部材は、装着部の内部側の異物が、機器側端子と電池側端子との間に侵入することを防止できる。
【0026】
本発明の一態様によれば、電池パックを取り付けると、シール部材が電池パックに接触してシール面を形成するため、シール性が一層向上する。
【0027】
本発明の他の態様によれば、端子ホルダを装着部に固定するときに、シール部材と固定要素とが接触することを防止でき、シール部材のシール性が低下することを抑制できる。
【0028】
本発明の電池パックによれば、電池パックを電気機器に取り付けると、端子挿入孔の周囲でシール部材が電気機器に接触して、シール面を形成する。したがって、異物が電池側端子と機器側端子との接続部分に侵入することを抑制できる。
【0029】
本発明の一態様によれば、高さの異なるマウント部及びプレート部に亘って形成された端子挿入孔をシールすることができる。
【0030】
本発明の電気装置によれば、電池セルを保持した電池パックを、電気機器の装着部に取り付けると、電池側端子と機器側端子との接続部分を、シール部材によりシールすることができる。
【0031】
本発明の電気装置によれば、電池セルを保持した電池パックを、電気機器の装着部に取り付けると、電池パックの収容ケースに設けたシール部材が電気機器に接触して、電池側端子と機器側端子との接続部分をシールすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の電気装置及び電気機器及び電池パックの実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下の実施形態は、電気機器に含まれる電動工具を一例として説明する。
図1及び
図2に示す電動工具10は、樹脂材料により成形された工具本体11を有する。工具本体11は、ケーシング12及びグリップ13及び装着部14を有する。ケーシング12は筒形状に構成されており、ケーシング12の内部には電動モータMが設けられている。電動モータMは、軸線Aを中心として回転する回転軸(図示せず)を有する。また、ケーシング12の一端には先端工具49を着脱することができるようになっている。さらに、ケーシング12の内部には、電動モータMの動力を先端工具49に伝達する動力伝達機構(図示せず)が設けられている。動力伝達機構は、電動モータMの回転軸の回転運動を、先端工具49の回転運動に変換する構造、電動モータMの回転運動を、先端工具49の往復運動に変換する構造のうち、少なくとも一方の構造を有する。先端工具49は、軸線Aを中心として回転または往復運動する。すなわち、電動工具10は、ドリル、ドライバ、ハンマ、ハンマドリル、ハンマドライバ等を含む。
【0034】
また、グリップ13は、ケーシング12に連続して形成され、かつ、ケーシング12から所定方向に突出されている。グリップ13の突出方向は、軸線Aを含む平面内で、軸線Aと交差する方向である。グリップ13の内部には、電動モータMに電気的に接続された回路基板(図示せず)が設けられている。装着部14は、グリップ13の突出方向における端部に設けられている。ケーシング12及びグリップ13及び装着部14は、樹脂材料等により一体成形されている。また、工具本体11は
図3のように、分割面(分割線)11dに沿って分割された2つの構成片11aを有し、その2つの構成片11aを結合固定して工具本体11が組み立てられている。前記軸線Aは分割面11d内に位置しており、分割面11dはケーシング12及びグリップ13及び装着部14に亘って位置している。また、2つの構成片11aは、分割面11dを隔てて略左右対称の形状及び構成を有する。すなわち、ケーシング12及びグリップ13及び装着部14は、分割面11dを隔てて左右対称の形状及び構造を有する。
【0035】
ケーシング12には通気孔12aが形成されており、ケーシング12の内部と外部とが通気孔12aにより連通されている。通気孔12aは、電動モータMを冷却する空気の通路である。また、装着部14には、
図4〜
図6のように、第1仕切り壁15及び第2仕切り壁16が設けられている。第1仕切り壁15及び第2仕切り壁16は、分割面11dに対して略垂直な方向に延ばされている。つまり、第1仕切り壁15及び第2仕切り壁16は軸線Aと略平行に延ばされている。第1仕切り壁15及び第2仕切り壁16により、装着部14の内部からグリップ13の内部に亘って形成された空間Bと、装着部14の開口部17とが仕切られている。
【0036】
第1仕切り壁15及び第2仕切り壁16は、軸線Aに沿った方向で、先端工具49よりも後方に配置されている。また、第1仕切り壁15は、軸線Aに沿った方向で第2仕切り壁16よりも前方に配置されている。さらに、第1仕切り壁15及び第2仕切り壁16は、グリップ13の突出方向で異なる位置に設けられている。第1仕切り壁15は、グリップ13の突出方向で第2仕切り壁16よりもグリップ13に近い位置に設けられている。第1仕切り壁15及び第2仕切り壁16は、2つの構成片11aに亘って形成されている。また、空間Bはケーシング12の内部と連通している。さらに、装着部14には係止孔18が設けられている。係止孔18は、2つの構成片11aにそれぞれ設けられている。
【0037】
装着部14における第1仕切り壁15と第2仕切り壁16との間には、
図6のように取付孔19が設けられている。取付孔19は、2つの構成片11aにより形成されている。取付孔19は端子ホルダ(ターミナルホルダ)20を取り付けるために設けられている。
【0038】
一方、第1仕切り壁15及び第2仕切り壁16において取付孔19を形成する縁、さらに、装着部14において取付孔19を形成する内面に、リブ21が形成されている。リブ21は、2つの構成片11aに亘って環状に形成されている。このリブ21により、端子ホルダ20が間接的に支持されている。端子ホルダ20は樹脂材料により一体成形されている。端子ホルダ20は、
図7及び
図8のように、略長方形の平板20aと、平板20aの長辺に湾曲部20bを介して接続された接続板20cとを有する。端子ホルダ20の外周にはシール部材22が取り付けられている。シール部材22は、ゴム状弾性体により一体成形されている。
図9のように、シール部材22の内周には環状の内溝22aが形成され、シール部材22の外周には環状の外溝22bが形成されている。シール部材22の全周に亘って環状のシールリップ22cが形成されている。前記端子ホルダ20の外周縁が、シール部材22の内溝22aに嵌め込まれて、端子ホルダ20とシール部材22とが接着剤により一体化されている。なお、端子ホルダ20及びシール部材22は、二層成形により一体化することも可能である。
【0039】
また、リブ21がシール部材22の外溝22bに嵌め込まれて、シール部材22が装着部14へ固定されている。このように、端子ホルダ20は、2つの構成片11aに設けられたリブ21により、シール部材22を介して挟み付けられて固定されている。また、
図5及び
図6のように、端子ホルダ20には、平板20aの短辺からそれぞれ突出された係止片20dが設けられている。係止片20dは、装着部14の係止孔18に挿入されている。これにより、端子ホルダ20は装着部14に対して一層確実に位置決め固定されている。端子ホルダ20が装着部14に固定された状態で、シール部材22のシールリップ22cは開口部17側に位置する。
【0040】
シールリップ22cは、
図8及び
図10のように、平板20aの短辺に対応する箇所の先端の高さが、湾曲部20bに近いほど高くなる向きで傾斜されている。平板20aの短辺は、シール部材22が装着部14に固定された状態で、軸線Aに沿った方向に延ばされている。また、「シールリップ22cの先端の高さ」は、グリップ13の突出方向に沿った高さを含む。ここで、平板20aの短辺に相当する箇所の外溝22bの幅方向の中心線をCとし、シールリップ22cの先端の延長線をDとしたとき、中心線Cと延長線Dとの間に角度θが設定されている。シール部材22が装着部14に固定された状態において、中心線Cは軸線Aと平行である。また、中心線Cは、電池パック27を電動工具10の装着部14に取り付けるときに、電池パック27の移動方向に沿った方向と一致する。
【0041】
さらに、シールリップ22cの先端のうち、接続板20cの短辺に対応する部分の先端は、中心線Cに対して略直角となっている。なお、シールリップ22cの幅方向における断面形状は、先端側であるほど幅が狭くなる形状を有している。本実施形態では、シールリップの先端は
図9のように断面形状が円弧形状となっている。シールリップ22cの幅方向における断面形状は、全周に亘って同一形状である。
【0042】
図4〜
図8のように、端子ホルダ20には、複数の機器側端子(ターミナル)23が埋め込まれている。複数の機器側端子23は、導電性の金属材料により構成されている。また、端子ホルダ20が、装着部14に固定された状態で、複数の機器側端子23の一端23
bは、機器本体11の内部である空間側
Bに位置し、複数の機器側端子23の他端23
aは開口部17に位置している。機器側端子23の一端23
bは、基板に電気的に接続されている。複数の機器側端子23の他端23
aは板形状を有しており、複数の機器側端子23の他端23
aは、2つの構成片11aの分割面11dに沿った方向に延ばされている。
【0043】
装着部14は、
図3及び
図4のように、開口部17の両側に設けた2つのガイド溝24を有する。ガイド溝24は、2つの構成片11aに1つずつ設けられている。2つのガイド溝24は、軸線Aに沿った方向に延ばされており、2つのガイド溝24同士は平行である。さらに、装着部14には凸部25が設けられている。凸部25は、2つの構成片11aに分割して設けられている。さらに、装着部14におけるガイド溝24の近くには、係止溝26が設けられている係止溝26は、2つの構成片11aにそれぞれ設けられている。
【0044】
次に、電池パック27の構成を、
図2、
図11〜
図13を参照して説明する。電池パック27は装着部14に対して取り付け及び取り外しが可能である。具体的には、電池パック27と電動工具10とが軸線Aに沿った方向に相対移動されて、電池パック27が装着部14に取り付けまたは取り外しされる。
【0045】
電池パック27は収容ケース28を有し、収容ケース28はケース本体29と、ケース本体29の開口部29aを塞ぐカバー30とを有する。ケース本体29及びカバー30の内部に収容室が形成され、収容室には、複数の電池セル31が収容されている。複数の電池セル31は、樹脂材料により成形されたホルダ32により保持されている。電池セル31は、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等を含む。ホルダ32には、回路基板33が取り付けられており、回路基板33は電池セル31の電極(図示せず)に電気的に接続されている。また、回路基板33には複数の電池側端子34が設けられている。複数の電池側端子34は導電性の金属材料により構成されている。
【0046】
カバー30には、平坦なプレート部35と、プレート部35とは高さが異なるマウント部36とが設けられている。マウント部36には、端子挿入孔37が複数設けられている。複数の端子挿入孔37は、スリット状に形成されている。複数の端子挿入孔37は、収容ケース28の収容室と外部とを連通している。前記複数の電池側端子34は、複数の端子挿入孔37に別個に挿入されている。また、マウント部36において複数の端子挿入孔37の両側には、2つのガイドレール38が設けられている。2つのガイドレール38は互いに平行であり、かつ、複数の端子挿入孔37の長さ方向に延ばされている。
【0047】
さらに、マウント部36の表面とプレート部35の表面とを接続する2つの接続面43が形成されている。2つの接続面43は、2つのガイドレール38におけるプレート部35の端部に設けられている。マウント部36の表面とプレート部35の表面とは異なる高さにあり、かつ、2つの表面同士の延長線(図示せず)は互いに平行である。ここで、高さとは、ガイドレール38の長さ方向に対して交差する方向である。本実施形態のカバー30においては、ガイドレール38の長さ方向と、前記高さ方向とは略直角である。2つの接続面43はプレート部35の表面及びマウント部36の表面に対して略直角である。そして、2つの接続面43は高さ方向と平行であり、複数の端子挿入孔37は、マウント部36の表面から接続面43に亘って開口されている。また、カバー30におけるプレート部35とは反対側の端部には、マウント部36よりも高い突出部44が設けられている。突出部44には凹部44aが設けられている。
【0048】
さらに、カバー30におけるマウント部36の表面にはリブ39が設けられている。リブ39はマウント部36の表面から突出しており、リブ39は、2つのガイドレール38の間に設けられている。マウント部36の表面を平面視したとき、リブ39は、複数の端子挿入孔37を取り囲むように、コ字形状に設けられている。リブ39は、複数の端子挿入孔37の配置方向に直線状に延ばされた第1突出部39aと、第1突出部39aの両端に連続して直線状に延ばされた2つの第2突出部39bとを有する。第1突出部39aは、2つのガイドレール38に対して直角な方向に延ばされている。2つの第2突出部39bは、2つのガイドレール38と平行に延ばされており、かつ、相互に平行である。第1突出部39aは長さ方向で高さが一定であり、2つの第2突出部39bは長さ方向で高さが異なる。
図10のように、第2突出部39bの高さは、第1突出部39aから離れることに伴い、高さが低くなっている。すなわち、第2突出部39bの先端と、マウント部36の表面との間に角度θが設定されている。
図10に示す2つの角度θは同一角度である。
【0049】
さらに、
図11〜
図13のように、収容ケース28における突出部44の両側には、押しボタン40が取り付けられている。押しボタン40は、支持軸40aを中心として所定角度の範囲内で回動するように、収容ケース28に取り付けられている。また、押しボタン40には係止爪41が設けられており、カバー30に設けられた孔42に係止爪41が挿入されている。係止爪41の先端は孔42から外部に露出している。なお、押しボタン40は、弾性部材(図示せず)により収容ケース28の外側に向けて押されている。
【0050】
次に、電池パック27を、電動工具10の装着部14に取り付ける(装着する)作業を説明する。まず、2つのガイドレール38と2つのガイド溝24とが略同軸となるように、電動工具10と電池パック27とを配置する。このとき、電動工具10と電池パック27とは、概ね
図2のような状態となる。そして、電動工具10と電池パック27とを近づけ、ガイドレール38をガイド溝24へ進入させる。すなわち、ガイドレール38とガイド溝24とにより、装着部14と電池パック27との相対移動方向が、略直線状に定められる。すると、装着部14に設けられた機器側端子23が、接続面43側から端子挿入孔37に進入し、機器側端子23と電池側端子34とが接続され、凸部25が凹部44aに進入し、かつ、係止爪41が係止溝26に進入する。その結果、
図1のように、電動工具10に対する電池パック27の取り付けが完了する。
【0051】
装着部14に電池パック27を取り付けると、
図12のように、シール部材22が電池パック27のカバー30に接触してシール面を形成する。具体的には、シール部材22のうち、平板20aの長辺に取り付けられている部分のシールリップ22cは、リブ39の第1突出部39aに接触してシール面を形成する。また、シール部材22のうち、平板20aの短辺に取り付けられている部分のシールリップ22cは、リブ39の第2突出部39bに接触してシール面を形成する。さらに、シール部材22のうち、接続板20cの短辺に取り付けられている部分のシールリップ22cは、接続面43に接触してシール面を形成する。さらにまた、シール部材22のうち、接続板20cの長辺に取り付けられている部分のシールリップ22cは、プレート部35の表面に接触してシール面を形成する。
【0052】
このように、環状のシール部材22のシールリップ22cが、全周に亘ってカバー30に接触して環状のシール面を形成する。環状のシール面は、カバー30と装着部14との間に形成された空間において、機器側端子23と電池側端子34との接続部分を取り囲んでいる。したがって、カバー30と装着部14との隙間から、外部の異物が空間へ侵入しても、その異物が機器側端子23と電池側端子34との接続部分に侵入することを防止できる。
【0053】
また、
図10のように、第2突出部39bの高さは、第1突出部39aから離れることに伴い、高さが低くなっている。さらに、シール部材22における平板20aの短辺に相当する部分のシールリップ22cは、中心線Cに対して角度θが傾斜している。このため、平板20aの短辺に取り付けられている部分のシールリップ22cは、電池パック27と装着部14とが相対移動している途中で、第2突出部39bと擦れ合うことがない。また、ガイドレール38を、ガイド溝24に差し込み始めた時点では、シール部材22のシールリップ22cはカバー30に接触しない。したがって、シールリップ22cは摩耗が抑制される。つまり、シール部材22は、電池パック27が装着部14に取り付けられた状態において、シール性が向上する。また、電動工具10は、電池パック27を装着部14に取り付けるために必要な操作力が増加することを抑制できる。
【0054】
さらに、シールリップ22cは、
図9のように幅方向の断面形状が、先端であるほど幅が狭くなっている。このため、電池パック27を装着部14に取り付ける過程で、シールリップ22cの一部が第2突出部39bに接触しても、摺動抵抗が増加することを抑制できる。したがって、電動工具10は、電池パック27を装着部14に取り付けるために必要な操作力を低減できる。
【0055】
さらに、シール部材22は、
図3〜
図5のように、装着部14と端子ホルダ20との間に介在されている。つまり、シール部材22は、装着部14と端子ホルダ20との間をシール機能を有する。したがって、電動工具10は、ケーシング12の外部の異物が、通気孔12aを経由してケーシング12の内部に進入して、その異物がグリップ13の内部Bを経由して装着部14に進入しても、その異物が機器側端子23と電池側端子34との接続部分に侵入することを防止できる。さらに、シール部材22は、係止片20d及び係止孔18と非接触である。したがって、2つの構成片11aの間に端子ホルダ20及びシール部材22を介在させて、2つの構成片11aを結合固定する際に、シール部材22の傷、摩耗を回避できる。なお、電動工具10に電池パック27が取り付けられているとき、押しボタンを押して係止爪41を係止溝26から抜け出させ、電池パック27を軸線Aに沿った方向で前記とは逆向きに移動させると、電池パック27を装着部14から取り外すことができる。
【0056】
次に、本発明の電池パックを、
図14及び
図15に基づいて説明する。電池パック27のカバー30は、プレート部35及びマウント部36に亘って形成された取付孔45を有する。そして、取付孔45には、環状のシール部材46が嵌め込まれている。シール部材46はブロック47に固定されている。ブロック47には複数の端子挿入孔37が形成されているとともに、ブロック47の外周面に沿ってシール部材46が取り付けられている。このように、端子挿入孔37の周囲に環状のシール部材46が取り付けられている。
【0057】
シール部材46は、ガイドレール38に対して直交して直線状に延ばされた第1直線部46aと、第1直線部46aの両端に連続され、かつ、ガイドレール38と平行に直線状に延ばされた第2直線部46bとを有する。また、シール部材46は、2つの第2直線部46bに連続してそれぞれ形成され、かつ、接続面43に沿って延ばされた2つの接続部46cを有する。さらに、シール部材46は、2つの接続部46cの両端を接続した第3直線部46dを有する。第3直線部46dは第1直線部46aと平行である。
【0058】
上記構成のシール部材46において、第1直線部46aは、取付孔45の内周面のうち、ガイドレール38と直角な部分に固定されている。第2直線部46bは、取付孔45の内周面のうち、ガイドレール38と平行な部分に固定されている。2つの接続部46cは、2つの接続面43に別個に接触している。第3直線部46dは、取付孔45の内周面のうちプレート部35に沿った部分に固定されている。このように、シール部材46が取付孔45に嵌め込まれてカバー30に固定された状態で、シール部材46はカバー30に接触して環状のシール面を形成している。そして、シール部材46がカバーに取り付けられた状態で、
図16のように、第2直線部46bの先端と、マウント部36の表面との間に角度θが設定されている。つまり、第2直線部46bの先端の高さは、接続部46cに近づくほど低くなるように傾斜している。
【0059】
ブロック47は、非導電性の材料、例えば樹脂材料により一体成形されており、ブロック47とシール部材46とが接着剤により一体化されている。なお、ブロック47とシール部材46とを、二層成形により一体化することも可能である。シール部材46は、ゴム状弾性体により一体成形されており、シール部材46の一部は、マウント部36の表面から突出している。シール部材46であって、ガイドレール38に沿った部分のシールリップは、マウント部36の表面に対する突出量が、接続面43に近いほど少なくなるように傾斜している。このため、マウント部36の表面と、シール部材46のガイドレール38に沿った方向のシールリップの先端との間に角度θが設定されている。なお、収容ケース28の内部には、
図13に示す電池パック27と同様に電池セル(図示せず)が収容されている。
【0060】
図14に示す電池パック27が取り付けられる電動工具の装着部14は、
図16のように構成されている。環状のシール部材46のシールリップが接触する接触部48が設けられている。この接触部48は、機器側端子(図示せず)の周りを取り囲むように環状に形成されている。接触部48であって、先端工具(図示せず)の軸線(図示せず)と平行な部分は、軸線に対して傾斜している。すなわち、軸線と平行な直線Eと接触部48の表面との間に角度θが設定されている。なお、
図14に示す電池パック27が取り付けられる装着部14には、前述した構成のシール部材22は設けられていない。
図14に示す電池パック27が取り付けられる電動工具のその他の構成は、
図1及び
図2に示す電動工具と同じであるため、図示及び説明を省略する。
【0061】
図14に示す電池パック27と電動工具の装着部14とを、
図2の例と同様に移動させて、電池パック27を装着部14に取り付けると、機器側端子と電池側端子とが接続されるとともに、シール部材46のシールリップが接触部48に接触して、環状のシール面を形成する。シール部材46は、機器側端子と電池側端子との接続部分を囲むように電池パック27のカバー30に取り付けられている。したがって、前述と同様の効果を得られる。また、シール部材46のシールリップは傾斜しており、シールリップの先端と、マウント部36の表面との間に角度θが形成されている。さらに、接触部48の表面と直線Eとの間に角度θが設定されている。
図16に示す2つの角度θは同一角度である。このため、シール部材46のシールリップは、電池パック27を装着部14に取り付ける途中で、接触部48には接触しない。そして、電池パック27を装着部14に取り付ける作業が完了した時点で、シール部材46のシールリップが全周に亘って接触部48に接触し、環状のシール面を形成する。したがって、
図14〜
図16に示す電池パック27は、
図1〜
図13で説明した電動工具10及び電池パック27と同様の効果を得られる。
【0062】
本実施形態で説明した構成と、本発明の構成との対応関係を説明すると、電動工具10が、本発明の電気機器に相当し、中心線Cが、本発明の直線に相当し、グリップ13及び装着部14が、本発明の突出部に相当し、係止孔18及び係止片20dが、本発明の固定要素に相当し、ガイド溝24が、本発明のガイド部に相当し、工具本体11が、本発明の機器本体に相当する。さらに、電動工具10と電池パック27とが組み合わされて、本発明の電気装置が構成されている。
【0063】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明の電気機器は、前述した電動工具の他、グラインダ(研削工具)、サンダ(研磨工具)、釘打ち機、ねじ打ち機、タッカ、集塵機(クリーナ)、送風機(ファン、ブロワ)、ポンプ、高圧洗浄機、チェンソー(切断工具)、園芸工具(草刈機、植木バリカン)、耕耘機等を含む。すなわち、本発明の電気機器は、電池パックの電力で電動モータを回転させ、その回転運動を動作部材の往復運動または回転運動の少なくとも一方に変換する機器を含む。また、本発明の電機機器は、トーチライト(懐中電灯)等を含む。すなわち、本発明の電気機器は、電池パックから供給される電気エネルギを光エネルギに変換する照明機器を含む。
【0064】
本発明における「無端状」は、シール部材が全体として環状の一体成形品である構造、シール部材の長さ方向で少なくとも1箇所に切れ目があるとしても、シール部材が対象物に固定された状態では切れ目がなく無端状となる構造を含む。本発明において、工具本体に電池パックを取り付ける方向に対して交差する方向は、工具本体に電池パックを取り付ける方向と、角度を有する方向とが同一平面上にない構成を含む。また、角度を有する方向は、二次元、三次元を含む。さらに、本発明の固定要素は、係止片20d及び係止孔18の他、装着部に設けた係止爪(図示せず)が、端子ホルダに設けた係止孔(図示せず)に挿入される構成を含む。本発明において、シールリップの幅が先端側であるほど幅が狭くなる構成は、シールリップの幅方向の断面形状が円弧形状であること、楔形状であることを含む。さらに、本発明の収容ケースは、電池セルを4本未満、または9本以上収容可能な構成を含む。
【0065】
さらに、本実施形態の電動工具は、ケーシングの内部に電動モータが設けられている構造、グリップの内部に電動モータが設けられている構造を含む。本実施形態において、シール部材を構成するゴム状弾性体は、弾性変形率が20%以上となる剛性、形状、寸法となっている。またシール部材は、中実の部材、多孔質のスポンジを含む。さらに、本実施形態において、装着部14に対して電池パック27を取り付け及び取り外しする方向を定めるガイド機構は、装着部14に設けたガイド溝24およびカバー30に設けたガイドレール38の他、装着部14にガイドレール(図示せず)を設け、カバー30にガイド溝(図示せず)を設ける構成も含む。