(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ランプユニットは、前記第1レンズと前記第1光源と第1反射面を有する第1リフレクタと第1シェードとを備え、上水平カットオフラインおよび中央斜めカットオフラインおよび下水平カットオフラインを有する集光タイプのロービーム用配光パターンを照射するプロジェクタタイプのランプユニットから構成されていて、
前記第2ランプユニットは、前記第2レンズと前記第2光源と第2反射面を有する第2リフレクタと第2シェードとを備え、水平カットオフラインを有する拡散タイプのロービーム用配光パターンを照射するプロジェクタタイプのランプユニットから構成されていて、
前記第3レンズは、前記補助反射面から導かれた光を補助配光パターンとして照射する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
前記第1ランプユニット、前記第2ランプユニットのうち、少なくとも前記第1ランプユニットは、前記第1光源側の第1焦点を中心として、前記第1シェード側の第2焦点を上側に回転移動させ、前記第1レンズを前記第2焦点の回転移動量に対応して上側に移動させてなる、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「F」は、車両の前方向側(車両の前進方向側)を示す。符号「B」は、車両の後方向側を示す。符号「U」は、ドライバー側から前方向側を見た上方向側を示す。符号「D」は、ドライバー側から前方向側を見た下方向側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前方向側を見た場合の左方向側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前方向側を見た場合の右方向側を示す。
図2〜
図4において、レンズのハッチングを省略してある。この明細書、特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右とは、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。また、
図6、
図7において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。
図4(A)は、
図1(A)におけるIV−IV線断面図である。
【0014】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態における車両用灯具の構成について説明する。この例は、たとえば、自動車用前照灯のヘッドランプについて説明する。この実施形態の車両用灯具は、左側通行の車両用灯具について説明する。右側通行の車両用灯具は、この実施形態の車両用灯具とほぼ左右逆の配光パターンとなる。
【0015】
図において、符号1Rは、この実施形態における車両用灯具である。前記車両用灯具1Rは、車両の前部の右側に搭載されている。なお、車両の左側に搭載される左側の車両用灯具は、車両の右側に搭載される右側の車両用灯具1Rとほぼ同様の構成をなすので、説明を省略する。
【0016】
(車両用灯具1Rの説明)
前記車両用灯具1Rは、
図1(A)〜
図5に示すように、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、第1ランプユニット1と、第2ランプユニット2と、第3レンズ30と、補助反射面3と、ホルダ4と、を備える。
【0017】
前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)は、灯室(図示せず)を画成する。前記第1ランプユニット1および前記第2ランプユニット2および前記第3レンズ30および前記補助反射面3は、前記ホルダ4により、一体に構成されている。一体に構成されている前記第1ランプユニット1および前記第2ランプユニット2および前記第3レンズ30および前記補助反射面3および前記ホルダ4は、前記灯室内に配置されていて、かつ、上下方向用光軸調整機構(図示せず)および左右方向用光軸調整機構(図示せず)を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。
【0018】
(第1ランプユニット1の説明)
前記第1ランプユニット1は、プロジェクタタイプのランプユニットから構成されている。前記第1ランプユニット1は、
図2、
図4(A)に示すように、第1レンズ10と、第1光源11と、第1反射面12を有する第1リフレクタ13と、第1シェード14と、第1ヒートシンク部材15と、を備える。前記第1ランプユニット1は、正面から見て、前記第2ランプユニット2および前記第3レンズ30に対して、車両の内側(この例では、左側。車両の左側に搭載される左側の車両用灯具の場合は、右側)に位置し、かつ、下側に位置する。
【0019】
前記第1ヒートシンク部材15は、たとえば、樹脂や金属製ダイカスト(アルミダイカスト)などの熱伝導率が高い材料からなる。前記第1ヒートシンク部材15は、上側の水平板部と、前記水平板部の下面から一体に設けられている複数のフィン形状部と、から構成されている。
【0020】
前記第1リフレクタ13は、たとえば、樹脂部材や金属製ダイカスト(アルミダイカスト)などの熱伝導率が高くかつ光不透過性の材料からなる。前記第1リフレクタ13は、前記第1ヒートシンク部材15に固定されている。前記第1リフレクタ13は、前側部分および下側部分が開口し、かつ、後側部分および上側部分および左右両側部分が閉塞した中空形状をなす。前記第1リフレクタ13の閉塞部分の凹内面には、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる前記第1反射面12が設けられている。
【0021】
前記第1反射面12は、自由曲面から構成されている。このために、前記第1反射面12の第1焦点F11および第2焦点F12においては、厳密な意味での単一の焦点を有していないが、複数の反射面相互の焦点距離の差異が僅少であり、ほぼ同一の焦点を共有している。そこで、この明細書および図面においては、ただ単に第1焦点および第2焦点と称する。また、同様に、前記第1反射面12の光軸Z1においては、厳密な意味での単一の光軸を有していないが、複数の反射面相互の光軸の差異が僅少であり、ほぼ同一の光軸を共有している。そこで、この明細書および図面においては、ただ単に光軸と称する。なお、前記第1反射面12としては、単なる回転楕円面からなる反射面であっても良い。
【0022】
前記第1反射面12は、前記第1光源11側の前記第1焦点F11を中心として、前記第1シェード14側の前記第2焦点F12を上側に回転移動させてなる。すなわち、前記第1反射面12の前記光軸Z1は、前側が上側に後側が下側に傾斜している。なお、通常のプロジェクタタイプのランプユニットにおける反射面の光軸は、水平である。
図3を参照して説明すると、第2焦点F22は、第1焦点F21と同じく高さの水平線上に位置していて、光軸Z2は、水平である。
【0023】
前記第1光源11は、この例では、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施形態ではLED)の半導体型光源を使用する。前記第1光源11は、前記第1ヒートシンク部材15であって、前記第1リフレクタ13の前記第1反射面12の第1焦点F11もしくはその近傍に配置されている。
【0024】
前記第1レンズ10は、非球面を基本とするレンズであって、正面視矩形形状この例では横長の長方形形状をなす(
図1(A)参照)。前記第1レンズ10は、たとえば、PC材、PMMA材、PCO材などの樹脂製のレンズからなるものである。すなわち、前記第1光源11から放射される光は、高い熱を持たないので、前記第1レンズ10として樹脂製のレンズを使用することができる。前記第1レンズ10は、前記ホルダ4を介して前記第1ヒートシンク部材15に保持されている。前記第1レンズ10は、前記第1光源11および前記第1リフレクタ13の前側に配置されていて、前記第1光源11からの光であって前記第1リフレクタ13の前記第1反射面12で反射された反射光L1を所定の第1配光パターンP1として外部すなわち車両の前方に照射する。
【0025】
前記第1レンズ10は、前記第1反射面12の前記第2焦点F12の上側への回転移動量に対応して上側に移動する。すなわち、前記第1レンズ10のレンズ軸Z10は、前記第1反射面12の前記第2焦点F12の上側への回転移動量に対応して上側に移動する。なお、通常のプロジェクタタイプのランプユニットにおけるレンズ軸は、反射面の光軸と一致もしくはほぼ一致する。
図3を参照して説明すると、第1焦点F21と第2焦点F22とは、同じ高さの水平線上に位置していて、光軸Z2は、水平である。一方、レンズ軸Z20は、第2反射面22の光軸Z2と一致もしくはほぼ一致する。
【0026】
図4、
図5に示すように、前記第1反射面12の前記光軸Z1と前記第1レンズ10の前記レンズ軸Z10とは、上から見て一致もしくはほぼ一致する。
【0027】
前記第1レンズ10のレンズ焦点F13(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)は、前記第1反射面12の前記第2焦点F12に一致もしくはほぼ一致する。前記第1反射面12の前記第2焦点F12は、前記第1レンズ10の図示していないレンズ焦線上にもしくはその近傍に位置する。
【0028】
前記第1シェード14は、前記第1リフレクタ13および前記第1光源11と前記第1レンズ10との間に配置されている。前記第1シェード14は、前記第1光源11からの光であって前記第1リフレクタ13の前記第1反射面12で反射された反射光L1の一部を遮蔽して、前記第1レンズ10を介して、カットオフラインCL1、CL2、CL3およびエルボー点Eを有する前記第1配光パターンP1、すなわち、
図7(A)に示す集光タイプのロービーム用配光パターンP1を形成する。
【0029】
前記第1シェード14には、下水平エッジ140と、中央斜めエッジ141と、上水平エッジ142と、がそれぞれ設けられている。前記下水平エッジ140は、走行車線側の上水平カットオフラインCL1を形成する。前記中央斜めエッジ141は、前記下水平エッジ140と前記上水平エッジ142との間に位置し、前記上水平カットオフラインCL1と下水平カットオフラインCL3との間に位置する中央斜めカットオフラインCL2を形成する。前記上水平エッジ142は、前記下水平エッジ140よりも上位に位置し、前記上水平カットオフラインCL1よりも下位に位置する対向車線側の下水平カットオフラインCL3を形成する。前記第1シェード14の前記上水平エッジ142と前記中央斜めエッジ141との間の角部は、前記エルボー点Eを形成する。
【0030】
(第2ランプユニット2の説明)
前記第2ランプユニット2は、前記第1ランプユニット1と同様に、プロジェクタタイプのランプユニットから構成されている。前記第2ランプユニット2は、
図3、
図4に示すように、第2レンズ20と、第2光源21と、第2反射面22を有する第2リフレクタ23と、第2シェード24と、第2ヒートシンク部材25と、を備える。前記第2ランプユニット2は、正面から見て、前記第1ランプユニット1および前記第3レンズ30に対して、車両の外側(この例では、右側。車両の左側に搭載される左側の車両用灯具の場合は、左側)に位置し、かつ、上側に位置する。
【0031】
前記第2ヒートシンク部材25は、前記第1ヒートシンク部材15と同様に、たとえば、樹脂や金属製ダイカスト(アルミダイカスト)などの熱伝導率が高い材料からなる。前記第2ヒートシンク部材25は、上側の水平板部と、前記水平板部の下面から一体に設けられている複数のフィン形状部と、から構成されている。
【0032】
前記第2リフレクタ23は、前記第1リフレクタ13と同様に、たとえば、樹脂部材や金属製ダイカスト(アルミダイカスト)などの熱伝導率が高くかつ光不透過性の材料からなる。前記第2リフレクタ23は、前記第2ヒートシンク部材25に固定されている。前記第2リフレクタ23は、前側部分および下側部分が開口し、かつ、後側部分および上側部分および左右両側部分が閉塞した中空形状をなす。前記第2リフレクタ23の閉塞部分の凹内面には、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる前記第2反射面22が設けられている。
【0033】
前記第2反射面22は、前記第1反射面12と同様に、自由曲面から構成されている。このために、前記第2反射面22の第1焦点F21および第2焦点F22においては、厳密な意味での単一の焦点を有していないが、複数の反射面相互の焦点距離の差異が僅少であり、ほぼ同一の焦点を共有している。そこで、この明細書および図面においては、ただ単に第1焦点および第2焦点と称する。また、同様に、前記第2反射面22の光軸Z2においては、厳密な意味での単一の光軸を有していないが、複数の反射面相互の光軸の差異が僅少であり、ほぼ同一の光軸を共有している。そこで、この明細書および図面においては、ただ単に光軸と称する。なお、前記第2反射面22としては、単なる回転楕円面からなる反射面であっても良い。
【0034】
前記第2反斜面22において、前記第2焦点F22は、前記第1焦点F21と同じく高さの水平線上に位置していて、前記光軸Z2は、水平である。
【0035】
前記第2光源21は、この例では、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施形態ではLED)の半導体型光源を使用する。前記第2光源21は、前記第2ヒートシンク部材25であって、前記第2リフレクタ23の前記第2反射面22の第1焦点F21もしくはその近傍に配置されている。
【0036】
前記第2レンズ20は、非球面を基本とするレンズであって、正面視矩形形状この例では横長の長方形形状をなす(
図1(A)参照)。前記第2レンズ20は、たとえば、PC材、PMMA材、PCO材などの樹脂製のレンズからなるものである。すなわち、前記第2光源21から放射される光は、高い熱を持たないので、前記第2レンズ20として樹脂製のレンズを使用することができる。前記第2レンズ20は、前記ホルダ4を介して前記第2ヒートシンク部材25に保持されている。前記第2レンズ20は、前記第2光源21および前記第2リフレクタ23の前側に配置されていて、前記第2光源21からの光であって前記第2リフレクタ23の前記第2反射面22で反射された反射光L2を所定の第2配光パターンP2として外部すなわち車両の前方に照射する。
【0037】
前記第2レンズ20において、レンズ軸Z20は、第2反射面22の前記光軸Z2と一致もしくはほぼ一致する。前記第2レンズ20のレンズ焦点F23(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)は、前記第2反射面22の前記第2焦点F22に一致もしくはほぼ一致する。前記第2反射面22の前記第2焦点F22は、前記第2レンズ20の図示していないレンズ焦線上にもしくはその近傍に位置する。
【0038】
前記第2シェード24は、前記第2リフレクタ23および前記第2光源21と前記第2レンズ20との間に配置されている。前記第2シェード24は、前記第2光源21からの光であって前記第2リフレクタ23の前記第2反射面22で反射された反射光L2の一部を遮蔽して、前記第2レンズ20を介して、水平カットオフラインCL4を有する前記第2配光パターンP2、すなわち、
図7(B)に示す拡散タイプのロービーム用配光パターンP2を形成する。
【0039】
前記第2シェード24には、水平エッジ240が設けられている。前記水平エッジ240は、前記水平カットオフラインCL4を形成する。前記水平カットオフラインCL4は、前記下水平カットオフラインCL3と一致もしくはほぼ一致する。
【0040】
(第3レンズ30の説明)
前記第3レンズ30は、非球面を基本とするレンズであって、正面視矩形形状この例では横長の長方形形状をなす(
図1(A)参照)。前記第3レンズ30は、前記ホルダ4に保持されている。前記第3レンズ30は、正面から見て、左右の前記第1レンズ10と前記第2レンズ20との間に位置し、前記第1レンズ10よりも上側に、かつ、前記第2レンズ20よりも下側に位置する。
【0041】
前記第1レンズ10と前記第2レンズ20と前記第3レンズ30とは、相互に近接して横方向に配置されている。前記第1レンズ10と前記第2レンズ20と前記第3レンズ30とは、
図1(A)に示すように、車両の内側から車両の外側にかけて、下側から上側にスラント(傾斜)している。
【0042】
前記第3レンズ30は、たとえば、PC材、PMMA材、PCO材などの樹脂製のレンズからなるものである。すなわち、前記第1光源11および前記第2光源21から放射される光は、高い熱を持たないので、前記第3レンズ30として樹脂製のレンズを使用することができる。
【0043】
前記第3レンズ30は、前記補助反射面3の前側に配置されていて、前記第1光源11および前記第2光源21からの光であって前記補助反射面3で反射された反射光L12、L22を所定の第3配光パターンP3、第4配光パターンのP4として外部すなわち車両の前方に照射する。
【0044】
前記第3レンズ30において、レンズ軸Z30は、
図4、
図5に示すように、上から見て、前記第1反射面12の前記光軸Z1および第2反射面22の前記光軸Z2と平行もしくはほぼ平行である。前記第3レンズ30のレンズ焦点F33(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)は、前記レンズ軸Z30上に位置する。
【0045】
(補助反射面3の説明)
前記補助反射面3は、第1補助リフレクタの第1補助反射面31と、第2補助リフレクタの第2補助反射面32と、第3補助リフレクタの第3補助反射面33および第4補助反射面34と、から構成されている。
【0046】
前記第1補助反射面31の前記第1補助リフレクタは、前記第1リフレクタ13に一体に設けられている。前記第1補助反射面31は、前記第1光源11および前記第1反射面12の前記第1焦点F11もしくはその近傍を第1焦点F14とし、かつ、前記第1補助反射面31と前記第3補助反射面33との間のある点を第2焦点F15とする、回転楕円面を基本とした自由曲面(もしくは単なる回転楕円面)からなる。
【0047】
前記第3補助反射面33は、前記第1補助反射面31の前記第2焦点F15もしくはその近傍を第1焦点F16とし、かつ、前記第3レンズ30の前記レンズ焦点F33もしくはその近傍を第2焦点F17とする、回転楕円面を基本とした自由曲面(もしくは単なる回転楕円面)からなる。
【0048】
前記第1補助反射面31、前記第3補助反射面33、前記第3レンズ30は、前記第3配光パターンP3、すなわち、
図7(C)に示すオーバーヘッドサイン用配光パターンP3を形成する。
【0049】
前記第2補助反射面32の前記第2補助リフレクタは、前記第2リフレクタ23に一体に設けられている。前記第2補助反射面32は、前記第2光源21および前記第2反射面22の前記第1焦点F21もしくはその近傍を第1焦点F24とし、かつ、前記第2補助反射面32と前記第4補助反射面34との間のある点を第2焦点F25とする、回転楕円面を基本とした自由曲面(もしくは単なる回転楕円面)からなる。
【0050】
前記第4補助反射面34は、前記第2補助反射面32の前記第2焦点F25もしくはその近傍を第1焦点F26とし、かつ、前記第3レンズ30の前記レンズ焦点F33もしくはその近傍を第2焦点F27とする、回転楕円面を基本とした自由曲面(もしくは単なる回転楕円面)からなる。
【0051】
前記第2補助反射面32、前記第4補助反射面34、前記第3レンズ30は、前記第4配光パターンP4、すなわち、
図7(D)に示す路面照射用配光パターンP4を形成する。
【0052】
前記第3補助反射面33および前記第4補助反射面34の前記第3補助リフレクタは、前記第1リフレクタ13、前記第2リフレクタ23、前記第1ヒートシンク部材15、前記第2ヒートシンク部材25のうち、少なくとも、いずれか1個の部材に一体に設けられている。
【0053】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態における車両用灯具1Rは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0054】
第1光源11および第2光源21を同時に点灯発光させる。すると、第1光源11から放射された光の一部は、第1リフレクタ13の第1反射面12で第1レンズ10側に反射する。その反射光L1の一部は、第1シェード14により遮蔽される。残りの反射光L1は、第1レンズ10を透過して所定の第1配光パターンP1として、外部すなわち車両の前方に照射される。
【0055】
また、第2光源21から放射された光の一部は、第2リフレクタ23の第2反射面22で第2レンズ20側に反射する。その反射光L2の一部は、第2シェード24により遮蔽される。残りの反射光L2は、第2レンズ20を透過して所定の第2配光パターンP2として、外部すなわち車両の前方に照射される。
【0056】
一方、有効利用されていない第1光源11からの光の一部L10は、第1補助反射面31で第3補助反射面33側に反射する。その反射光L11は、第3補助反射面33で第3レンズ30側に反射する。その反射光L12は、第3レンズ30を透過して所定の第3配光パターンP3として、外部すなわち車両の前方に照射される。
【0057】
また、有効利用されていない第2光源21からの光の一部L20は、第2補助反射面32で第4補助反射面34側に反射する。その反射光L21は、第4補助反射面34で第3レンズ30側に反射する。その反射光L22は、第3レンズ30を透過して所定の第4配光パターンP4として、外部すなわち車両の前方に照射される。
【0058】
このように、第1配光パターンP1、すなわち、
図7(A)に示す集光タイプのロービーム用配光パターンP1と、第2配光パターンP2、すなわち、
図7(B)に示す拡散タイプのロービーム用配光パターンP2と、第3配光パターンP3、すなわち、
図7(C)に示すオーバーヘッドサイン用配光パターンP3と、第4配光パターンP4、すなわち、
図7(D)に示す路面照射用配光パターンP4とが、それぞれ重畳されて、
図6に示す配光パターンが得られる。
【0059】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態における車両用灯具1Rは、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0060】
この実施形態における車両用灯具1Rは、第1光源11および第2光源21を同時に点灯発光させると、第1光源11からの光が第1レンズ10から所定の第1配光パターンP1で照射され、また、第2光源21からの光が第2レンズ20から所定の第2配光パターンP2で照射され、さらに、第1光源11および第2光源21からの光が補助反射面3(31、32、33、34)を介して第3レンズ30から所定の第3配光パターンP3および第4配光パターンP4で照射される。このように、2個の光源11、12で3個のレンズ10、20、30を発光させることができる。
【0061】
この実施形態における車両用灯具1Rは、第1レンズ10および第2レンズ20および第3レンズ30は、正面視矩形形状をなす。このために、
図1(A)に示すように、横に細長い発光面を得ることができる。特に、この例のように、車両の前部の正面形状が、車両の内側から車両の外側にかけて、下側から上側にスラント(傾斜)している場合に適している。
【0062】
この実施形態における車両用灯具1Rは、第1レンズ10と第2レンズ20と第3レンズ30とが、相互に近接して横方向に配置されている。この結果、第1レンズ10と第2レンズ20と第3レンズ30との間の隙間を小さくすることができる。これにより、単一のランプ機能この例では単一のロービーム機能が得られる。
【0063】
すなわち、
図4(B)に示すように、2個のランプユニット1A、2Aのレンズ10A、20Aが正面視円形形状である場合においては、2個のレンズ10A、20Aの間の隙間T2が小さいので、単一のランプ機能を満足することができる。ところが、この実施形態における車両用灯具1Rのように、2個のランプユニット1、2のレンズ10、20が正面視矩形形状この例では横長の長方形形状である場合においては、2個のレンズ10、20の間の隙間T1が大きいので、単一のランプ機能を満足することができない。
【0064】
そこで、2個のランプユニット1、2を寄せ合って、2個のレンズ10、20の間の隙間T1を小さくすることが考えられる。ところが、2個のランプユニット1、2を寄せ合って、2個のレンズ10、20の間の隙間T1をただ単に小さくするだけでは、2個のランプユニット1、2の2個のリフレクタ13、23同士が相互に干渉してしまう。このために、2個のランプユニット1、2を寄せ合って、2個のレンズ10、20の間の隙間T1を小さくすることが不可能である。
【0065】
そして、この実施形態における車両用灯具1Rは、第1レンズ10と第2レンズ20との間に第3レンズ30を配置し、かつ、相互に近接して横方向に配置する。この結果、第1レンズ10と第2レンズ20と第3レンズ30との間の隙間を小さくすることができ、単一のランプ機能が満足する。
【0066】
この実施形態における車両用灯具1Rは、1ランプユニット1により、上水平カットオフラインCL1および中央斜めカットオフラインCL2および下水平カットオフラインCL3およびエルボー点Eを有する集光タイプのロービーム用配光パターンP1が得られ、また、第2ランプユニット2により、水平カットオフラインCL4を有する拡散タイプのロービーム用配光パターンP2が得られ、さらに、第3レンズ30および補助反射面3(31、32、33、34)により、補助配光パターンすなわちオーバーヘッドサイン用配光パターンP3および路面照射用配光パターンP4が得られる。
【0067】
この実施形態における車両用灯具1Rは、第1ランプユニット1において、第1光源11側の第1焦点F11を中心として、第1シェード14側の第2焦点F12を上側に回転移動させ、第1レンズ10を第2焦点F12の回転移動量に対応して上側に移動させてなる。この結果、第1レンズ10に入射する第1リフレクタ13の第1反射面12からの反射光L1の光束が増加する。また、第1レンズ10が非球面レンズのうち屈折率による光の損失が少ない中央部分からなるので、第1リフレクタ13の第1反射面12からの反射光L1の第1レンズ10における損失を極力減少させることができる。これにより、正面視円形形状の非球面レンズを、
図1(A)に示すように、正面視矩形形状すなわち横長の長方形形状にカットしても、十分の光量の集光タイプのロービーム用配光パターンP1が得られる。
【0068】
この実施形態における車両用灯具1Rは、第1ランプユニット1が第2ランプユニット2および第3レンズ30に対して車両の内側に位置し、かつ、下側に位置する。このために、第1光源11からの光L10を第1補助反射面部の第1補助反射面31、第3補助反射面33を介して第3レンズ30から上側のオーバーヘッドサイン用配光パターンP3として照射するのに適している。
【0069】
この実施形態における車両用灯具1Rは、第1ランプユニット1が上から見て第2ランプユニット2および第3レンズ30に対して車両の内側に位置し、かつ、前側に位置する。このために、この例のように、車両の前部の平面形状が、車両の内側から車両の外側にかけて、前側から後側にスラント(傾斜)している場合に適している。
【0070】
この実施形態における車両用灯具1Rは、第1ランプユニット1が第2ランプユニット2および第3レンズ30に対して車両の内側に位置し、かつ、下側に位置する。このために、第1光源11からの光L10を第1補助反射面部の第1補助反射面31、第3補助反射面33を介して第3レンズ30から上側のオーバーヘッドサイン用配光パターンP3として照射するのに適している。
【0071】
この実施形態における車両用灯具1Rは、第2ランプユニット2が第1ランプユニット1および第3レンズ30に対して車両の外側に位置し、かつ、上側に位置する。このために、第2光源11からの光L20を第2補助反射面部の第2補助反射面32、第4補助反射面34を介して第3レンズ30から下側の路面照射用配光パターンP4として照射するのに適している。
【0072】
(実施例以外の例の説明)
なお、この実施形態においては、自動車用前照灯のヘッドランプについて説明する。ところが、この発明においては、自動車用前照灯のヘッドランプ以外の車両用灯具にも適用することができる。
【0073】
また、この実施形態においては、集光タイプのロービーム用配光パターンP1、拡散タイプのロービーム用配光パターンP2、オーバーヘッドサイン用配光パターンP3、路面照射用配光パターンP4が得られるものである。ところが、この発明においては、得られる配光パターンは他の配光パターンであっても良い。
【0074】
さらに、この実施形態においては、第1レンズ10、第2レンズ20、第3レンズ30が
図1(A)に示すように、正面視矩形形状すなわち横長の長方形形状をなすものである。ところが、この発明においては、正面視の形状を特に限定しない。たとえば、
図1(B)に示すように、正面視平行四辺形形状であっても良いし、正面視円形形状であっても良いし、正面視円形形状であっても良い。
【0075】
さらにまた、この実施形態においては、第1ランプユニット1が、第1光源11側の第1焦点F11を中心として、第1シェード14側の第2焦点F12を上側に回転移動させ、第1レンズ10を第2焦点F12の回転移動量に対応して上側に移動させてなるものである。ところが、この発明においては、第2ランプユニット2も第1ランプユニット1と同様に構成しても良い。
【0076】
さらにまた、補助配光パターンのオーバーヘッドサイン用配光パターンP3および路面照射用配光パターンP4の光量が十分であれば、補助反射面3(31、32、33、34)は、高反射率の反射面ではなく、低反射率の反射面であっても良い。
【0077】
さらにまた、この実施形態においては、第2レンズ20、第3レンズ30が非球面を基本とするレンズである。ところが、この発明においては、第2レンズ20は、拡散タイプの配光パターンを形成するレンズであれば良い。たとえば、シリンドリカルレンズなどバックフォーカスを有するレンズであっても良い。また、第3レンズ30は、補助反射面を介して第1光源、第2光源のうち少なくともいずれか一方からの光で光るレンズであればいかなるレンズであっても良い。