(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る信頼度導出装置、ナビゲーション装置及び信頼度導出方法の実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
[実施の形態1に係る信頼度導出装置の構成]
図1を用いて、実施の形態1に係る信頼度導出装置の構成を説明する。
図1は、実施の形態1に係る信頼度導出装置の構成例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、信頼度導出装置100は、測定部110と、信頼度導出部120と、変換係数算出部130とを有する。これらのうち、測定部110は、GPS測位部111と、速度パルス検出部112とを有し、信頼度の導出に要する各種情報を測定する。また、信頼度導出部120は、衛星航法距離算出部121と、自律航法距離算出部122と、距離差分値算出部123と、判定閾値制御部124と、信頼度決定部125と、信頼度記憶部126とを有し、信頼度を導出する。なお、信頼度については後述する。
【0015】
GPS測位部111は、GPS衛星から信号を逐次受信し、サンプリング間隔ごと(例えば、1秒ごとのように周期的)にGPS測位の測位情報を算出する。そして、GPS測位部111は、算出した測位情報を衛星航法距離算出部121、信頼度決定部125、変換係数算出部130それぞれに対して逐次出力する。なお、測位情報の算出は、公知の技術によって行なわれれば良いため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0016】
GPS測位部111によって算出される測位情報には、例えば、経緯度、測位誤差、移動体の移動速度であるGPS速度、移動体の方位であるGPS方位等が含まれる。これらのうち、GPS測位部111によって算出される測位誤差は、捕捉される各GPS衛星に関する擬似距離の測定精度であるGPS衛星の測距精度と、移動体とGPS衛星との幾何学的位置関係がどのように測位演算に反映されるかの指標であるDOP値等に基づいて導出される。また、移動体は、車両や歩行者等の移動するあらゆるものを指す。本実施の形態では、信頼度導出装置100を車両に適用する場合を例に挙げて説明する。なお、歩行者を移動体とする場合には、歩行者が保持する携帯端末等に信頼度導出装置100が適用される。
【0017】
速度パルス検出部112は、車両に設置されているパルス検出部に接続されている。パルス検出部は、車両の移動に伴ってパルス信号を出力する。速度パルス検出部112は、パルス検出部によって出力されたパルス信号を所定期間ごとに計数することにより、速度パルスを検出する。そして、速度パルス検出部112は、検出した速度パルスを自律航法距離算出部122、変換係数算出部130それぞれに対して逐次出力する。なお、パルス検出部は、ドライブシャフトの回転に対応して回転するスピードメータケーブルの中間に設置され、該ドライブシャフトの回転に伴いパルス信号を出力するものであり、自律航法センサの一例である。また、速度パルスは、センサ情報の一例である。
【0018】
衛星航法距離算出部121は、GPS測位部111によって出力された測位情報に含まれる経緯度やGPS速度等をもとに、車両の衛星航法距離を算出する。そして、衛星航法距離算出部121は、算出した衛星航法距離を距離差分値算出部123に対して出力する。自律航法距離算出部122は、速度パルス検出部112によって出力された速度パルスと、変換係数算出部130によって出力された変換係数([cm/パルス])とを乗算し、車両の自律航法距離を算出する。そして、自律航法距離算出部122は、算出した自律航法距離を距離差分値算出部123に対して出力する。なお、変換係数算出部130による変換係数の出力については後述する。
【0019】
距離差分値算出部123は、衛星航法距離算出部121によって出力された衛星航法距離と、自律航法距離算出部122によって出力された自律航法距離との差分値を表す距離差分値を算出する。そして、距離差分値算出部123は、算出した距離差分値を所定期間積算し、積算した距離差分値の絶対値を判定閾値制御部124に対して一定間隔で出力する。なお、所定期間は、例えば5秒であり、出力間隔は、例えば1秒としているがこれに限定されるものではなく、出力間隔も所定期間と同じ間隔でも良い。所定期間の設定は、所定期間の設定時間を長くするとセンサ情報に基づく自律航法距離算出の際の誤差の影響を受けにくくなるが、状況変化に対する即応性が悪くなるので、センサ情報(パルス)の発生間隔とのバランスにより決定するものである。所定期間の距離差分値を積算(算出)することで、センサ情報による誤差を低減することができる。
【0020】
判定閾値制御部124は、距離差分値算出部123によって出力された第1の距離差分値と、第1の距離差分値よりも後に算出された第2の距離差分値との差を表す減算値に基づいて、判定閾値を更新する。例えば、第2の距離差分値は、最新(直近)の距離差分値であり、距離差分値の絶対値をとる。また、第1の距離差分値は、第2の距離差分値を取得した直前の距離差分値であり、第2の距離差分値と同様に距離差分値の絶対値をとった値である。判定閾値の更新後、判定閾値制御部124は、信頼度決定部125に対して、信頼度を決定する信頼度決定処理を実行するように指示する。
【0021】
より具体的には、判定閾値制御部124は、前回の積算後の距離差分値の絶対値から、今回の積算後の距離差分値の絶対値を減算した減算値を算出する。そして、判定閾値制御部124は、算出した減算値が負の値である場合に、判定閾値を小さくする更新を実行する。一方、判定閾値制御部124は、算出した減算値が正の値である場合に、判定閾値を大きくする更新を実行する。なお、判定閾値制御部124は、算出した減算値が「0」である場合に、判定閾値の更新を実行しない。
【0022】
例を挙げると、判定閾値制御部124は、前回における積算後の距離差分値の絶対値が「9(m)」であり、今回における積算後の距離差分値の絶対値が「10(m)」である場合に、減算値「−1(m)」を算出する。そして、判定閾値制御部124は、減算値が「−1(m)」である場合に、測位情報をもとに算出された衛星航法距離の精度が前回から悪化した状態であるため、それぞれの判定閾値から「0.5(m)」を減算する更新を実行する。
【0023】
一方、判定閾値制御部124は、前回における積算後の距離差分値の絶対値が「10(m)」であり、今回における積算後の距離差分値の絶対値が「9(m)」である場合に、減算値「+1(m)」を算出する。そして、判定閾値制御部124は、減算値が「+1(m)」である場合に、測位情報をもとに算出された衛星航法距離の精度が前回から回復した状態であるため、それぞれの判定閾値に「0.5(m)」を加算する更新を実行する。なお、判定閾値を大きくする又は小さくする程度については、減算値の大きさに比例した値に設定しても良い。
【0024】
図2は、信頼度記憶部126に記憶された情報例を示す図である。
図2に示すように、信頼度記憶部126は、測位情報の信頼性の度合いを表す「信頼度」と、測位情報に含まれる測位誤差から該信頼度を決定するために利用される閾値を表す「判定閾値」とを対応付けて記憶する。例を挙げると、信頼度記憶部126は、信頼度「信頼度1」と、判定閾値L
1とした場合、「≦L
1」とを対応付けて記憶する。また、信頼度記憶部126は、信頼度「信頼度2」と、判定閾値L
2とした場合、「≦L
2」とを対応付けて記憶する。また、信頼度記憶部126は、信頼度「信頼度3」と、「>L
2」とを対応付けて記憶する。
【0025】
ここで、信頼度の大きさは、「信頼度1>信頼度2>信頼度3」であり、「信頼度1」が最も信頼性が高いことを示すものとする。例えば、信頼度を10段階の値で表す場合には、「信頼度1=10」、「信頼度2=6」、「信頼度3=3」等となる。また、判定閾値の大きさは、「L
2>L
1」であり、「L
1」よりも「L
2」の方がより大きな値であるものとする。かかる判定閾値は、判定閾値制御部124によって適宜更新されるものであり、例えば、初期値としては「L
1=5(m)」、「L
2=10(m)」である。
【0026】
例えば、判定閾値制御部124は、判定閾値から「0.5(m)」を加算する場合に、信頼度記憶部126に記憶された判定閾値「L
1=5(m)」、「L
2=10(m)」それぞれに「0.5(m)」を加算し、判定閾値を「L
1=5.5(m)」、「L
2=10.5(m)」に更新する。
【0027】
信頼度決定部125は、判定閾値制御部124から信頼度決定処理の実行指示を受け付けると、GPS測位部111によって出力された測位情報に含まれる測位誤差と、判定閾値制御部124によって更新された判定閾値とを比較することにより、信頼度を決定する。そして、信頼度決定部125は、決定した信頼度を変換係数算出部130に対して出力する。例えば、信頼度決定部125は、測位情報に含まれる測位誤差が「7(m)」であり、信頼度記憶部126に記憶された判定閾値が「L
1=5.5(m)」、「L
2=10.5(m)」である場合に、信頼度を「信頼度2」に決定する。そして、信頼度決定部125は、決定した信頼度「信頼度2」を変換係数算出部130に対して出力する。なお、信頼度は、変換係数算出部130の他にも、衛星航法から得られた位置と自律航法から得られた位置とを合成することにより移動体の位置を推定するナビゲーション装置等に出力される。これにより、ナビゲーション装置においては、衛星航法位置と自律航法位置との合成比率を信頼度に応じて設定する等、より好適な位置の推定に利用される。
【0028】
変換係数算出部130は、GPS測位部111によって逐次出力される測位情報に含まれる経緯度の差分、或いは、GPS速度の積算により算出した移動距離と、該算出の期間で速度パルス検出部112によって出力された速度パルスとを比較することにより、1パルス当たりの距離を表す速度パルスの変換係数を算出する。そして、変換係数算出部130は、算出した変換係数を自律航法距離算出部122に対して出力する。但し、変換係数算出部130による変換係数の算出は、信頼度決定部125によって出力された信頼度が所定値以上である場合に実行される。
【0029】
例を挙げると、変換係数算出部130は、信頼度決定部125によって出力された信頼度が「信頼度1」である場合に、測位情報の信頼性が高いことから、自律航法距離の算出で利用される変換係数の算出を行なう。一方、変換係数算出部130は、信頼度決定部125によって出力された信頼度が「信頼度2」や「信頼度3」である場合に、測位情報の信頼性が低いことから、自律航法距離の算出で利用される変換係数の算出を行なわない。上記の例において、所定値は、「信頼度2」よりも大きな値の「8」等である。なお、変換係数の算出については、公知の技術(例えば、特開2010−249578号公報)によって行なわれれば良いため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0030】
つまり、信頼度導出装置100は、減算値が増加したことにより衛星航法の誤差が大きくなったとし、減算値が減少したことにより衛星航法の誤差が小さくなったとして、判定閾値を好適に更新している。そして、信頼度導出装置100は、好適に更新した判定閾値と測位誤差とを比較することにより信頼度を決定する。ここで、例えば、マルチパスの有無によって、測位誤差が同じ値であっても実際の位置とのずれが異なる場合がある。本実施の形態では、衛星航法距離と自律航法距離との差分の時間変化に基づいて更新される判定閾値によって信頼度を決定するので、測位誤差が同じ値であっても信頼度が異なる。従って、本実施の形態に係る信頼度によれば、実際の位置とのずれが測位誤差以上であるか否かを判断することができる。
【0031】
[実施の形態1に係る全体処理フロー]
次に、
図3を用いて、実施の形態1に係る信頼度導出装置100における全体処理の流れについて説明する。
図3は、実施の形態1に係る信頼度導出装置100における全体処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0032】
図3に示すように、信頼度導出装置100において、GPS測位部111から測位情報、速度パルス検出部112からセンサ情報が入力された場合に(ステップS101:Yes)、衛星航法距離算出部121は、測位情報に含まれる経緯度やGPS速度等をもとに、車両の衛星航法距離を算出する(ステップS102)。また、測位情報、センサ情報が入力されない場合には(ステップS101:No)、該測位情報、該センサ情報の入力待ちの状態となる。
【0033】
また、変換係数算出部130は、信頼度決定部125によって出力された信頼度が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。このとき、変換係数算出部130は、信頼度が所定値以上であると判定した場合に(ステップS103:Yes)、測位情報に含まれる経緯度の差分、或いは、GPS速度の積算により算出した移動距離と、該算出の期間でのセンサ情報の一つである速度パルスとを比較することにより、変換係数を算出する(ステップS104)。一方、変換係数算出部130によって、信頼度が所定値未満であると判定された場合には(ステップS103:No)、変換係数は算出されることなく、ステップS105の処理が実行される。
【0034】
また、自律航法距離算出部122は、センサ情報の一つである速度パルス信号と、変換係数算出部130によって算出された変換係数とを乗算することにより、車両の自律航法距離を算出する(ステップS105)。但し、自律航法距離算出部122は、変換係数算出部130によって変換係数が算出されなかった場合には、以前に算出された変換係数を使用して自律航法距離を算出する。
【0035】
また、距離差分値算出部123は、衛星航法距離算出部121によって算出された衛星航法距離と、自律航法距離算出部122によって算出された自律航法距離との差分値を表す距離差分値を算出する(ステップS106)。そして、距離差分値算出部123は、測位情報、センサ情報が入力されてから、所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS107)。このとき、距離差分値算出部123は、所定期間が経過したと判定した場合に(ステップS107:Yes)、所定期間で算出した距離差分値を積算し、積算した距離差分値の絶対値を算出する(ステップS108)。一方、距離差分値算出部123によって所定期間が経過していないと判定された場合には(ステップS107:No)、再度ステップS101の処理が実行される。すなわち、所定期間で算出された距離差分値を積算するために、所定期間が経過するまで再度距離差分値の算出が行なわれることになる。なお、所定期間の計時は、距離差分値を積算する時点、すなわちステップS107:Yesである場合にリセットされる。
【0036】
また、判定閾値制御部124は、距離差分値算出部123によって算出された前回の積算後の距離差分値の絶対値から、今回の積算後の距離差分値の絶対値を減算した減算値を算出し、算出した減算値に基づいて、信頼度記憶部126に記憶された判定閾値を更新する(ステップS109)。また、信頼度決定部125は、測位情報に含まれる測位誤差と、判定閾値制御部124によって更新された信頼度記憶部126の判定閾値とを比較することにより、信頼度を決定する(ステップS110)。ここで決定された信頼度は、変換係数算出部130等に対して出力される。なお、信頼度導出装置100は、車両等の移動体の移動に応じて上記処理を繰り返し実行することにより、測位情報の信頼度を逐次導出する。
【0037】
[実施の形態1に係る判定閾値制御処理フロー]
次に、
図4を用いて、実施の形態1に係る判定閾値制御処理の流れについて説明する。
図4は、実施の形態1に係る判定閾値制御処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0038】
図4に示すように、判定閾値制御部124は、距離差分値算出部123によって算出された前回の積算後の距離差分値の絶対値から、今回の積算後の距離差分値の絶対値を減算した減算値を算出する(ステップS201)。そして、判定閾値制御部124は、算出した減算値が「0」であるか否かを判定する(ステップS202)。判定閾値制御部124は、算出した減算値が「0」でないと判定した場合に(ステップS202:No)、算出した減算値が正の値(減算値>0)であるか否かを判定する(ステップS203)。また、判定閾値制御部124は、算出した減算値が「0」であると判定した場合に(ステップS202:Yes)、判定閾値制御処理を終了する。
【0039】
判定閾値制御部124は、減算値が正の値(減算値>0)であると判定した場合に(ステップS203:Yes)、信頼度記憶部126に記憶された判定閾値を大きくする更新を実行する(ステップS204)。一方、判定閾値制御部124は、減算値が負の値(減算値<0)であると判定した場合に(ステップS203:No)、信頼度記憶部126に記憶された判定閾値を小さくする更新を実行する(ステップS205)。
【0040】
[実施の形態1による効果]
上述したように、信頼度導出装置100は、衛星航法距離と自律航法距離との差分の絶対値を逐次算出し、今回と前回とにおける絶対値から、衛星航法から得られる測位情報の信頼度を決定するための判定閾値を更新する。また、信頼度導出装置100は、測位情報に含まれる測位誤差と判定閾値とを比較して、信頼度を決定する。これらの結果、信頼度導出装置100は、測位情報の信頼度を精度良く導出できる。かかる信頼度は、ナビゲーション装置等において、自律航法位置と衛星航法位置との合成により移動体の位置が推定される際に、合成比率の決定で利用される。すなわち、測位情報の信頼度を精度良く導出できるので、実際の位置と、ナビゲーション装置等における自律航法及び衛星航法から推定される移動体の位置との差の低減に有用である。
【0041】
また、信頼度導出装置100は、自律航法距離の算出で利用される変換係数の算出を、信頼度が高い場合に行ない、信頼度が低い場合に行なわないようにしたので、変換係数の精度を向上させることができる。
【0042】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、測位情報の信頼性の度合いを表す信頼度を導出する信頼度導出装置100を説明したが、導出された信頼度を利用して移動体の位置を推定することもできる。そこで、実施の形態2では、信頼度を利用して移動体の位置を推定するナビゲーション装置について説明する。
【0043】
[実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成]
図5を用いて、実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成を説明する。
図5は、実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成例を示す図である。なお、
図5では、実施の形態1に係る信頼度導出装置100と同様の構成については同一の符号を付し、同様の構成については詳細な説明を省略する場合がある。実施の形態2では、信頼度導出装置100aにおいて、以下に示すGPS測位部111a、センサ情報検出部113a、信頼度決定部125a、変換係数算出部130a以外の機能及び構成、処理については実施の形態1と同様である。
【0044】
図5に示すように、ナビゲーション装置200は、信頼度導出装置100aと、位置導出部210とを有する。これらのうち、信頼度導出装置100aは、測定部110aと、信頼度導出部120aと、変換係数算出部130aとを有する。また、位置導出部210は、合成比率決定部211と、位置推定部212とを有する。また、測定部110aは、GPS測位部111aと、センサ情報検出部113aとを有する。また、信頼度導出部120aは、衛星航法距離算出部121と、自律航法距離算出部122と、距離差分値算出部123と、判定閾値制御部124と、信頼度決定部125aと、信頼度記憶部126とを有する。
【0045】
GPS測位部111aは、GPS衛星から信号を逐次受信し、サンプリング間隔ごと(例えば、1秒ごとのように周期的)にGPS測位の測位情報を算出する。そして、GPS測位部111aは、算出した測位情報を衛星航法距離算出部121、信頼度決定部125a、変換係数算出部130a、位置導出部210それぞれに対して逐次出力する。GPS測位部111aによって算出される測位情報には、例えば、経緯度、測位誤差、GPS速度、GPS方位等が含まれる。
【0046】
センサ情報検出部113aは、車両に設置されているパルス検出部に加えて、角速度センサや加速度センサ等に接続されており、速度パルス、角速度パルス、加速度パルス等の自律航法センサによるセンサ情報を検出する。そして、センサ情報検出部113aは、検出した速度パルス、角速度パルス、加速度パルス等を自律航法距離算出部122、変換係数算出部130a、位置導出部210それぞれに対して逐次出力する。
【0047】
信頼度決定部125aは、判定閾値制御部124から信頼度決定処理の実行指示を受け付けると、GPS測位部111aによって出力された測位情報に含まれる測位誤差と、判定閾値制御部124によって更新された判定閾値とを比較することにより、信頼度を決定する。そして、信頼度決定部125aは、決定した信頼度を変換係数算出部130a、位置導出部210それぞれに対して出力する。
【0048】
変換係数算出部130aは、GPS測位部111aによって逐次出力される測位情報に含まれる経緯度の差分、或いは、GPS速度の積算により算出した移動距離と、該算出の期間でセンサ情報検出部113aによって出力された速度パルスとを比較することにより、変換係数を算出する。そして、変換係数算出部130aは、算出した変換係数を自律航法距離算出部122、位置導出部210それぞれに対して出力する。但し、変換係数算出部130aによる変換係数の算出は、実施の形態1と同様に、信頼度決定部125aによって出力された信頼度が所定値以上である場合に実行される。
【0049】
合成比率決定部211は、信頼度決定部125aによって出力された信頼度が所定値以上である場合に、測位情報をもとに算出された車両の衛星航法位置と、センサ情報をもとに算出された車両の自律航法位置との合成比率について、衛星航法位置の比率を高く設定した合成比率を決定する。例えば、合成比率決定部211は、信頼度決定部125aによって出力された信頼度が「信頼度1」である場合に、衛星航法位置の比率を自律航法位置よりも高く設定した合成比率を決定する。また、例えば、合成比率決定部211は、信頼度決定部125aによって出力された信頼度が「信頼度2」や「信頼度3」である場合に、自律航法位置の比率を衛星航法位置よりも高く設定した合成比率を決定する。なお、合成比率については、信頼度に応じて予め設定された比率を適用しても良いし、同じ信頼度であっても測定誤差と判定閾値との差に応じた比率にするようにしても良い。
【0050】
位置推定部212は、合成比率決定部211によって決定された合成比率にしたがって、衛星航法位置と自律航法位置とを合成し、車両の位置を推定する。より具体的には、位置推定部212は、センサ情報検出部113aによって出力されたセンサ情報と、変換係数算出部130aによって出力された変換係数とから、車両の移動距離や角速度等を算出し、該車両の位置及び方位を更新して自律航法位置を算出する。そして、位置推定部212は、GPS測位部111aによって出力された測位情報に含まれる経緯度等から、車両の衛星航法位置を算出する。続いて、位置推定部212は、算出した自律航法位置と衛星航法位置とを、合成比率決定部211によって決定された合成比率にて合成し、車両の位置を推定する。
【0051】
位置の推定後、ナビゲーション装置200は、推定した車両の位置を現在位置として表示部(図示せず)に表示することにより、ナビゲーションを行なう。すなわち、ナビゲーション装置200は、表示部に地図を表示させ、現在位置を地図上に出力する。
【0052】
[実施の形態2に係る全体処理フロー]
次に、
図6を用いて、実施の形態2に係るナビゲーション装置200における全体処理の流れについて説明する。
図6は、実施の形態2に係るナビゲーション装置200における全体処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0053】
図6に示すように、信頼度導出装置100aにおいて、GPS測位部111aから測位情報、センサ情報検出部113aからセンサ情報が入力された場合に(ステップS201:Yes)、衛星航法距離算出部121は、測位情報に含まれる経緯度やGPS速度等をもとに、車両の衛星航法距離を算出する(ステップS202)。また、測位情報、センサ情報が入力されない場合には(ステップS201:No)、該測位情報、該センサ情報の入力待ちの状態となる。
【0054】
また、変換係数算出部130aは、信頼度決定部125aによって出力された信頼度が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS203)。このとき、変換係数算出部130aは、信頼度が所定値以上であると判定した場合に(ステップS203:Yes)、測位情報に含まれる経緯度の差分、或いは、GPS速度の積算により算出した移動距離と、該算出の期間でのセンサ情報の一つである速度パルスとを比較することにより、変換係数を算出する(ステップS204)。一方、変換係数算出部130aによって、信頼度が所定値未満であると判定された場合には(ステップS203:No)、変換係数は算出されることなく、ステップS205の処理が実行される。
【0055】
また、自律航法距離算出部122は、速度パルスと、変換係数算出部130aによって算出された変換係数とを乗算することにより、車両の自律航法距離を算出する(ステップS205)。但し、自律航法距離算出部122は、変換係数算出部130aによって変換係数が算出されなかった場合には、以前に算出された変換係数を使用して自律航法距離を算出する。
【0056】
また、距離差分値算出部123は、衛星航法距離算出部121によって算出された衛星航法距離と、自律航法距離算出部122によって算出された自律航法距離との差分値を表す距離差分値を算出する(ステップS206)。そして、距離差分値算出部123は、測位情報、センサ情報が入力されてから、所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS207)。このとき、距離差分値算出部123は、所定期間が経過したと判定した場合に(ステップS207:Yes)、所定期間で算出した距離差分値を積算し、積算した距離差分値の絶対値を算出する(ステップS208)。一方、距離差分値算出部123によって所定期間が経過していないと判定された場合には(ステップS207:No)、再度ステップS201の処理が実行される。すなわち、所定期間で算出された距離差分値を積算するために、所定期間が経過するまで再度距離差分値の算出が行なわれることになる。なお、所定期間の計時は、距離差分値を積算する時点、すなわちステップS207:Yesである場合にリセットされる。
【0057】
また、判定閾値制御部124は、距離差分値算出部123によって算出された前回の積算後の距離差分値の絶対値から、今回の積算後の距離差分値の絶対値を減算した減算値を算出し、算出した減算値に基づいて、信頼度記憶部126に記憶された判定閾値を更新する(ステップS209)。また、信頼度決定部125aは、測位情報に含まれる測位誤差と、判定閾値制御部124によって更新された信頼度記憶部126の判定閾値とを比較することにより、信頼度を決定する(ステップS210)。ここで、決定された信頼度は、変換係数算出部130aや位置導出部210等に対して出力される。なお、信頼度導出装置100aは、ステップS210の処理実行後に再度ステップS201の処理を実行する。つまり、信頼度導出装置100aは、車両等の移動体の移動に応じて上記処理を繰り返し実行することにより、測位情報の信頼度を逐次導出する。
【0058】
また、合成比率決定部211は、測位情報をもとに算出される車両の衛星航法位置と、センサ情報をもとに算出される車両の自律航法位置との合成比率を決定する(ステップS211)。また、位置推定部212は、衛星航法位置と自律航法位置とを算出し、合成比率決定部211によって決定された合成比率にしたがって、算出した衛星航法位置と自律航法位置とを合成することにより、車両の位置を推定する(ステップS212)。なお、位置の推定後は、表示部に表示された地図上に車両の位置を表示して、ナビゲーションが行なわれる。
【0059】
[実施の形態2に係る位置推定処理フロー]
次に、
図7を用いて、実施の形態2に係る位置推定処理の流れについて説明する。
図7は、実施の形態2に係る位置推定処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0060】
図7に示すように、合成比率決定部211は、信頼度決定部125aによって決定された信頼度が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS301)。このとき、合成比率決定部211は、信頼度が所定値以上であると判定した場合に(ステップS301:Yes)、衛星航法位置と自律航法位置との合成比率について、衛星航法位置の比率を高く設定した合成比率を決定する(ステップS302)。一方、合成比率決定部211は、信頼度が所定値未満であると判定した場合に(ステップS301:No)、衛星航法位置と自律航法位置との合成比率について、自律航法位置の比率を高く設定した合成比率を決定する(ステップS303)。
【0061】
また、位置推定部212は、センサ情報検出部113aによって出力されたセンサ情報と、変換係数算出部130aによって出力された変換係数とから、車両の自律航法位置を算出するとともに、GPS測位部111aによって出力された測位情報から車両の衛星航法位置を算出する(ステップS304)。そして、位置推定部212は、合成比率決定部211によって決定された合成比率にしたがって、算出した衛星航法位置と自律航法位置とを合成し、車両の位置を推定する(ステップS305)。なお、位置の推定後は、表示部に表示された地図上に車両の位置を表示して、ナビゲーションが行なわれる。
【0062】
[実施の形態2による効果]
上述したように、ナビゲーション装置200は、測位情報の信頼度に基づいて、衛星航法位置と自律航法位置との合成比率を決定するので、車両等の移動体の位置推定の精度を向上させることができる。換言すると、ナビゲーション装置200は、GPSから算出される位置に関する測位精度の信頼性を定量化し、衛星航法位置と自律航法位置との合成比率を決定するので、車両等の移動体の位置推定の精度を向上させることができる。
【0063】
(実施の形態3)
さて、これまで本発明に係る信頼度導出装置100、ナビゲーション装置200の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、(1)構成、(2)プログラム、について異なる実施の形態を説明する。
【0064】
(1)構成
上記文書中や図面中等で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメタ等を含む情報は、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、上記実施の形態では、減算値「+1(m)」である場合に、それぞれの判定閾値に「0.5(m)」を加算することとして説明したが、それぞれの判定閾値へ反映する値の幅は上記のものに限られるわけではなく、適宜変更することができる。但し、減算値が正であるのに判定閾値から減算したり、減算値が負であるのに判定閾値に加算したりするような変更は含まない。
【0065】
また、例えば、上記実施の形態では、所定期間に算出した距離差分値を積算することとして説明したが、距離差分値を積算せずに適宜その絶対値を判定閾値制御部124に対して出力するようにしても良い。また、例えば、上記実施の形態では、信頼度を3段階に分けることとして説明したが、信頼度は3段階に限られるものではなく、これに応じて、判定閾値も上記実施の形態のものに限られるわけではない。また、例えば、上記実施の形態では、信頼度が「信頼度2」より大きい場合、すなわち「信頼度1」を所定値以上の信頼度であることとして説明したが、該所定値はこれに限られるわけではなく、適宜変更することができる。
【0066】
また、図示した信頼度導出装置100やナビゲーション装置200の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負担や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に、分散又は統合することができる。例えば、合成比率決定部211と、位置推定部212とを、衛生航法位置と自律航法位置との合成比率を信頼度に応じて決定し、決定した合成比率にしたがって、衛星航法位置と自律航法位置とを合成することにより、移動体の位置を推定する「位置推定部」として統合しても良い。
【0067】
(2)プログラム
また、本実施の形態の信頼度導出装置100は、CPU等の制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置と、タッチパネル又はディスプレイ装置等の表示装置と、操作キー等の入力装置を備えており、任意の端末や特定の情報処理装置を利用したハードウェア構成となっている。
【0068】
本実施の形態の信頼度導出装置100で実行される信頼度導出プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等の端末や情報処理装置で読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供される。
【0069】
また、本実施の形態の信頼度導出装置100で実行される信頼度導出プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の信頼度導出装置100で実行される信頼度導出プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。また、本実施の形態の信頼度導出プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成しても良い。
【0070】
本実施の形態の信頼度導出装置100で実行される信頼度導出プログラムは、上述した各部(距離差分値算出部123、判定閾値制御部124、信頼度決定部125)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体や記憶装置等から信頼度導出プログラムを読み出して実行することにより、上記各部が主記憶装置上にロードされ、距離差分値算出部123、判定閾値制御部124、信頼度決定部125が主記憶装置上に生成されるようになっている。