特許第5962398号(P5962398)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーハ味覚糖株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5962398-代謝促進剤 図000007
  • 特許5962398-代謝促進剤 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962398
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】代謝促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20160721BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20160721BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20160721BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160721BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160721BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   A61K31/05
   A61P3/00
   A61P3/04
   A61P29/00
   A61P43/00 111
   A61P25/00
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-218619(P2012-218619)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-70052(P2014-70052A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390020189
【氏名又は名称】ユーハ味覚糖株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(72)【発明者】
【氏名】土井 聡
(72)【発明者】
【氏名】來住 明宣
(72)【発明者】
【氏名】松川 泰治
(72)【発明者】
【氏名】松居 雄毅
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰正
(72)【発明者】
【氏名】山田 一郎
【審査官】 前田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−48533(JP,A)
【文献】 特開2009−191049(JP,A)
【文献】 PPAR Reseach,2010年,129173,13 pp,doi:10.1155/2010/129173
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/05
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
で示されるレスベラトロール誘導体、その薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする代謝促進剤。
【請求項2】
式(1):
【化2】
で示されるレスベラトロール誘導体、その薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とするUCP−2発現促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝促進剤に関する。また、本発明は、UCP−2発現促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の社会生活においては、過剰なストレスや食物摂取、運動不足が蔓延している。これらが原因となるメタボリックシンドロームが大きな社会問題になっている。メタボリックシンドロームとは、内蔵脂肪型肥満に加えて高血糖、高血圧、脂質異常のうち二つ以上を併せ持った状態であり、動脈硬化のリスクが高くなる。
【0003】
メタボリックシンドロームの原因として、過剰な脂肪・糖質といったエネルギー源の摂取が挙げられる。過剰に摂取されたエネルギー源は体内に脂肪という形で脂肪組織に蓄積される。この脂肪の蓄積がメタボリックシンドロームの原因の一つである。つまり、この脂肪の蓄積を抑制、又は脂肪の消費を亢進させることでメタボリックシンドロームの予防・改善が可能であるとされている。
【0004】
体内の脂肪の消費を亢進する、つまりエネルギー代謝を亢進させるには、最も確実な方法としては、運動が挙げられる。しかし、不定期な生活を余儀なくされる現代社会においては定期的に運動を行うことが困難であることが多い。このような現状から、エネルギー代謝を亢進させる薬剤等を用いた新しいメタボリックシンドロームの予防・改善方法が求められている。
【0005】
近年、メタボリックシンドロームに関連する研究が盛んに行われているなかで、肥満予防に重要な遺伝子の存在が明らかとなった。それはミトコンドリア脱共役タンパク質をコードしているUCP(脱共役タンパク質:Uncoupling Protein)ファミリーである。
【0006】
UCPファミリーは脊椎動物体内の様々な部位で発現していることが知られている。たとえば、褐色脂肪組織にはUCP−1、白色脂肪組織、骨格筋、腎臓、肝臓にはUCP−2、筋組織にはUCP−3がそれぞれ発現していることが知られている。
【0007】
UCPファミリーはまた、その発現と肥満は深い関わりがあることが知られている。たとえば、1)肥満した動物及びヒトではUCPの発現が低下している、2)肥満し難い脊椎動物ではUCPの発現量が高い、3)UCPノックダウンマウスでは肥満になる、4)UCPトランスジェニックマウスでは肥満しない等のことが知られている。
【0008】
このようにUCPファミリーの発現を亢進させることの有効性からそのUCP発現を促進する技術が報告されている。たとえば、フコキサンチンを有効成分とするUCP発現促進剤(特許文献1)、スイレン科もしくはハス科植物種子の極性溶媒抽出エキスを有効成分とする熱産生タンパク質発現促進剤(特許文献2)、カプサイシン及びカプサイシノイド様物質を有効成分とする脂質代謝改善組成物(特許文献3)、ピンクロックローズ抽出物を有効成分とする脱共役蛋白質発現促進剤(特許文献4)等が報告されている。
【0009】
また、ブドウ果皮に含有されるスチルベン誘導体であるレスベラトロールを有効成分とするUCP―2発現亢進剤(特許文献5)が報告されている。
【0010】
中でも、UCP−2遺伝子は脂肪燃焼による痩身、抗炎症、外傷による神経系の損傷抑制等に適用され得ると考えられることから(特許文献5の段落[0007])、より優れたUCP−2発現促進作用を示す化合物や素材について更なる開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−270021号公報
【特許文献2】特開2003−113100号公報
【特許文献3】特許第4803971号公報
【特許文献4】特開2011−162520号公報
【特許文献5】特開2010−24208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、メタボリックシンドロームに関する前記の状況を鑑みて、鋭意検討を行った。その結果、新たに作製したレスベラトロール誘導体類が、レスベラトロールよりも優れたUCP−2発現促進作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
したがって、本発明は、レスベラトロールよりも優れたUCP−2発現促進作用を示すレスベラトロール誘導体類を有効成分とする新たな代謝促進剤及びUCP−2発現促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の要旨は、
【0015】
本発明の要旨は、式(1):
【0016】
【化1】
【0017】
で示されるレスベラトロール誘導体、その薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする代謝促進剤、
(2)式(1):
【0018】
【化2】
【0019】
で示されるレスベラトロール誘導体、その薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とするUCP−2発現促進剤
に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の代謝促進剤は、レスベラトロールよりも優れたUCP−2発現促進作用を有していることから、体内の白色脂肪細胞におけるUCP−2発現促進に伴って生じる熱産生等の代謝を促進して肥満を予防・改善すること、さらには抗炎症、外傷による神経系の損傷抑制なども期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は実施例1で行ったレスベラトロール誘導体(UHA4003)を含む生成物のHPLCのクロマトグラムを示す。R4はUHA4003に該当する。
図2図2は実施例2で行った培養細胞を用いたインビトロでのUCP−2発現解析の結果であり、DMSO、レスベラトロール(Resvratrol)とUHA4003で処理したマウス脂肪細胞中のUCP−2遺伝子発現量を定量した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、「代謝促進剤」とは、脂肪細胞のUCP−2の発現を亢進することができる薬剤をいう。
前記脂肪細胞のUCP−2発現促進作用は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0023】
本発明の代謝促進剤及びUCP−2発現促進剤(以下、本発明の代謝促進剤と略する)は、式(1):
【0024】
【化3】
【0025】
で示されるレスベラトロール誘導体(1)及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする。
【0026】
前記レスベラトロール誘導体において、炭素−炭素2重結合は、トランス又はシスであってよく、シス体とトランス体との混合物を含む。
【0027】
前記レスベラトロール誘導体の薬学的に許容可能な塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アルミニウムヒドロキシド塩等の金属ヒドロキシド塩;アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、アルキレンジアミン塩、シクロアルキルアミン塩、アリールアミン塩、アラルキルアミン塩、複素環式アミン塩等のアミン塩;α−アミノ酸塩、ω−アミノ酸塩等のアミノ酸塩;ペプチド塩又はそれらから誘導される第1級、第2級、第3級若しくは第4級アミン塩等が挙げられる。これらの薬学的に許容可能な塩は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0028】
本発明で使用する前記式(1)で示されるレスベラトロール誘導体は、レスベラトロールを原料として、金属塩の存在下で加熱処理して得ることができる。
以下に、前記式(1)で示されるレスベラトロール誘導体の製造方法について具体的に説明する。
【0029】
前記製造方法では、前駆体として前記レスベラトロールを用いる。レスベラトロールにはトランス体とシス体の構造異性体が存在するが、加熱や紫外線によってトランス体とシス体の変換が一部生じる。したがって、レスベラトロールとしては、トランス体でもシス体でも、あるいはトランス体とシス体の混合物であってもよい。レスベラトロールは、ブドウ果皮やピーナッツ果皮、イタドリ等から抽出・精製した天然由来のものであっても、化学合成された純度の高い化成品であっても良い。天然由来のレスベラトロールを用いる場合は、完全に精製されたものである必要はなく、後述のように所望の生成反応が進み最終的に本発明で用いる前記レスベラトロール誘導体が得られるから、レスベラトロール以外の成分を含む混合物も使用できる。また、レスベラトロールには、塩、エーテル、エステル等の誘導体もあるが、前記製造方法では、これらの誘導体も原料として使用することができる。
ただし、前記レスベラトロール誘導体の回収率の観点からは、レスベラトロール換算で1重量%以上含有された混合物が原料として望ましい。
前記レスベラトロール含有原料としては、ブドウ果皮、ピーナッツ果皮、イタドリ等の原料からの抽出物、該抽出物の凍結乾燥品等を使用してもよい。
【0030】
本発明では、前記レスベラトロールを適切な溶媒に溶解させる。この際、溶媒が水のみであると、レスベラトロールの溶解度が著しく低いために、水と有機溶媒の混合液や、有機溶媒のみに溶解させることが好ましい。水と有機溶媒の配合比や、有機溶媒の種類については特に制限はなく、レスベラトロールが十分に溶解すれば良い。中でも、メタノールやエタノールのみの溶媒や、水とメタノール、水とエタノール等の混合液を使用することが、安全性やコスト面から好ましい。反応後に得られる組成物を最終的な精製を十分に適用せずに食品、医薬品、医薬部外品等に使用する場合には、安全性や法規面から溶媒としてエタノールや含水エタノールを使用することが望ましい。
【0031】
前記のようにして得られるレスベラトロールを含有する溶液中のレスベラトロールの濃度について特に制限はないが、それぞれの濃度が高いほど、溶媒使用量が少ない等のメリットもあるため、レスベラトロールの濃度は各々の溶媒に対しレスベラトロールがそれぞれ飽和する濃度近くが好ましい。
また、レスベラトロールは前記溶液中において生成反応前に完全に溶解していなくともよい。
【0032】
次に、前記レスベラトロールを含有する溶液(以下、レスベラトロール含有溶液という)のpHを8.0以上に調整することが好ましい。調整方法として、例えば、レスベラトロール含有溶液を調製した後にpH調整剤を添加してpHを調整しても良いし、前記溶液の調製時に予め溶媒のpHを調整しておいても良い。レスベラトロール含有溶液の反応開始時のpHは8.0以上であれば、効率的に後述の反応が進むので好ましく、pH13.0を越えると反応と同時に、他の反応や目的化合物の分解も一方で生じるために最終的なレスベラトロール誘導体類の回収量が低下する。したがって、反応開始時のpHは8.0以上13.0未満が望ましい。
【0033】
本発明では、前記レスベラトロール含有溶液中に金属塩を添加する。前記金属塩としては、酸性塩、塩基性塩、正塩のいずれでもよく、また、単塩、複塩、錯塩のいずれでもよい。さらに、金属塩は1種類であっても、複数種類の混合物であってもよい。金属塩の例としては、食品添加物として認可されているものが安全性の面で好ましい。例えば、食品に添加することが認められているマグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、銅塩等が挙げられる。
また、前記金属塩の混合物としては、例えば、ミネラルプレミックス(田辺製薬株式会社、グルコン酸亜鉛、クエン酸鉄アンモニウム、乳酸カルシウム、グルコン酸銅、リン酸マグネシウムを主成分としたミネラル混合物)のように金属塩を数種類含む物質が挙げられる。また、複数の金属塩を含む混合物として、ミネラルウォーターも挙げることができる。
なお、前記金属塩の含有量としては、前記レスベラトロール誘導体を生成可能な量であればよく、特に限定はない。
【0034】
次に、前記金属塩を添加したレスベラトロール含有溶液を加熱処理することにより前記金属塩の存在下でレスベラトロールを加熱処理する。この加熱処理により、前記式(1)で示されるレスベラトロール誘導体の生成反応を行う。生成反応を効率的に進ませるために、レスベラトロール含有溶液の加熱温度は110℃以上に調整することが好ましい。また、使用する溶媒の沸点から考え、加圧加熱が望ましい。例えば、開放容器にレスベラトロール含有溶液を入れ、溶媒の沸点を超える高温で前記容器を加熱する、密閉容器にレスベラトロール含有溶液を入れて前記容器を加熱する、レトルト装置やオートクレーブを用いて加圧加熱する等、少なくとも部分的に溶液温度が110℃以上に達するように加熱することが好ましい。レスベラトロール誘導体の回収効率の面から、溶液温度が均一に110℃〜150℃になることが、さらに好ましい。加熱時間も加熱温度と同様に限られたものではなく、効率的に目的の反応が進行する時間条件とすればよい。特に、加熱時間は加熱温度との兼ね合いによるものであり、加熱温度に応じた加熱時間にすることが望ましい。例えば、130℃付近で加熱する場合は、5分〜120分の加熱時間が望ましい。また、加熱は、一度でも良いし、複数回に分けて繰り返し加熱しても良い。複数回に分けて加熱する場合、蒸発した溶媒を補うために溶媒を新たに追加して加熱を行うことが好ましい。
【0035】
前記加熱処理によるレスベラトロール誘導体の生成反応の終了は、例えば、HPLCによる成分分析によりレスベラトロール誘導体の生成量を確認して判断すればよい。
【0036】
得られる反応液中には、本発明で用いるレスベラトロール誘導体が含有されている。
また、安全な原料のみを用いた工程でレスベラトロール誘導体を製造した場合には、前記レスベラトロール誘導体を含む混合物の状態で食品、医薬品又は医薬部外品に使用することが可能である。例えば、天然由来のレスベラトロールを含水エタノール溶媒に溶解し、ミネラルウォーターやミネラルプレミックスを添加して加熱処理した場合には、得られる反応液を食品、医薬品又は医薬部外品の原料の一つとして使用することが可能である。
【0037】
また、風味面での改良やさらなる高機能化を望む場合は、前記反応液を濃縮してレスベラトロール誘導体の濃度を高める、あるいは前記反応液を精製しレスベラトロール誘導体の純品を得ることができる。濃縮、精製は、公知の方法で実施可能である。例えば、クロロホルム、酢酸エチル、エタノール、メタノール等を用いた溶媒抽出法や炭酸ガスによる超臨界抽出法等で抽出してレスベラトロール誘導体を濃縮できる。また、カラムクロマトグラフィーを利用して濃縮や精製を施すことも可能である。再結晶法や限外ろ過膜等の膜処理法も適用可能である。
【0038】
また、前記反応液から式(1)で表されるレスベラトロール誘導体を分離して回収する場合には、カラムクロマトグラフィー、HPLC等を用いてもよい。
【0039】
前記濃縮物や精製物を、必要に応じて、減圧乾燥や凍結乾燥して溶媒除去することで、粉末状のレスベラトロール誘導体を得ることができる。
【0040】
また、得られたレスベラトロール誘導体は、必要に応じて、当該分野で公知の方法により、レスベラトロール誘導体の塩としてもよい。
【0041】
前記のレスベラトロール誘導体は、レスベラトロールよりも優れたUCP−2発現促進作用を有することから、本発明は、前記レスベラトロール誘導体を有効成分として含有する代謝促進剤を提供することができる。
【0042】
上記の代謝促進剤は、いずれも食経験のあるレスベラトロールを前駆体として生成されるものであるため、脂肪燃焼による痩身や肥満予防や改善、抗炎症、外傷のよる神経系の損傷抑制等を目的とした食品、医薬品又は医薬部外品に使用することが可能である。
【0043】
前記食品としては、例えば、飲料、アルコール飲料、ゼリー、菓子等、どのような形態でもよく、菓子類の中でも、その容量等から保存や携帯性に優れた、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、グミキャンディ、タブレット等が挙げられるが、特に限定はない。なお、食品には、機能性食品、健康食品、健康志向食品等も含まれる。
【0044】
また、前記食品には、ヒトが食べる食品だけでなく、例えば、非ヒト動物、例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー等の哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類等の治療剤又は飼料に配合してもよい。飼料としては、例えばヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ニワトリ等に用いる家畜用飼料、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、ウナギ、タイ、ハマチ、エビ等に用いる魚介類用飼料、イヌ、ネコ、小鳥、リス等に用いるペットフードが挙げられる。
【0045】
前記医薬品としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤等の固形製剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、ゲル剤等が挙げられる。錠剤、丸剤、顆粒剤、顆粒を含有するカプセル剤の顆粒は、必要により、ショ糖等の糖類、マルチトール等の糖アルコールで糖衣を施したり、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等でコーティングを施してもよいし、胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。また、製剤の溶解性を向上させるために、前記の製剤を公知の可溶化処理を施すこともできる。常法に基づいて、前記液剤を注射剤、点滴剤に配合して使用してもよい。
【0046】
医薬部外品としては、口腔に用いられる医薬部外品、例えば、歯磨き剤、マウスウォッシュ、マウスリンス、ドリンク剤等が挙げられる。
【0047】
本発明の代謝促進剤を用いて食品、医薬品又は医薬部外品を調製する場合、本発明の効果が損なわれない範囲内で食品、医薬品又は医薬部外品に通常用いられる成分を適宜任意に配合することができる。
例えば、食品の場合には、水、アルコール、澱粉質、蛋白質、繊維質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、着香料、着色料、甘味料、調味料、安定剤、防腐剤のような食品に通常配合される原料又は素材と組み合わせることができる。
医薬品や医薬部外品の場合には、主剤、基材、界面活性剤、起泡剤、湿潤剤、増粘剤、透明剤、着香料、着色料、安定剤、防腐剤、殺菌剤等に組み合わせ、常法に基づいて、液状、軟膏状あるいはスプレー噴射可能な最終形態等にすることができる。
【0048】
また、本発明の代謝促進剤を食品に添加する場合には、該食品中に、有効成分である前記式(1)で示されるレスベラトロール誘導体換算で0.001〜20重量%添加することが好ましい。
【0049】
本発明の代謝促進剤を医薬用途で使用する場合、例えば、その摂取量は、所望の改善、治療又は予防効果が得られるような量であれば特に制限されず、通常その態様、患者の年齢、性別、体質その他の条件、疾患の種類並びにその程度等に応じて適宜選択される。1日当たり有効成分である前記式(1)で示されるレスベラトロール誘導体換算で約0.1mg〜1,000mg程度とするのがよく、これを1日に1〜4回に分けて摂取することができる。
【0050】
本発明の代謝促進剤を医薬部外品に添加する場合には、該医薬部外品中に、有効成分である前記式(1)で示されるレスベラトロール誘導体換算で0.001〜30重量%添加するのが好ましい。
【実施例】
【0051】
次に本発明を実施例に基いて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定されるものではない。なお、実施例において「%」、「部」は、特に説明がない限り、それぞれ「重量%」、「重量部」を示す。
【0052】
(実施例1:UHA4003の生成及び単離・精製)
トランス−レスベラトロール(東京化成)700mgをエタノール14mLに溶解し、2.5%NaHCO3水溶液を14mL加えて、金属塩を添加したレスベラトロール含有溶液(pH9.9)を得た。このレスベラトロール含有溶液をオートクレーブ(三洋電機(株)、「SANYO LABO AUTOCLAVE」、以下同じ)にて130℃、20分間加熱した。次いで、1回目のオートクレーブ処理にて得られた反応溶液に、エタノール14mLと5.0%NaHCO3水溶液を14mL加え、再度、オートクレーブにて130℃、20分間加熱した。得られた反応溶液のうち1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、このうちの10μLをHPLCにより分析した。その結果を図1に示す。
【0053】
前記のHPLC分析は以下の条件にて行った。
カラム:逆相用カラム「Develosil(登録商標)C−30−UG−5、野村化学株式会社」(4.6mmi.d.×250mm)
移動相:A・・・H2O(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)), B・・・アセトニトリル(0.1%TFA)
流速:1mL/min
注入:10μL
検出:254nm
勾配(容量%):80%A/20%Bから20%A/80%Bまで30分間、20%A/80%Bから100%Bまで5分間、100%Bで10分間(全て直線)
【0054】
図1に示すように、反応後溶液のクロマトグラムでは、複数のピークが確認され、原料であるレスベラトロールのピークとは相違しているR1〜R5のピークのうち、R4のピークに含まれる化合物をUHA4003と命名した。
【0055】
R4のピークに含まれるUHA4003を分取HPLCにより精製し、常法により乾燥したところ、褐色粉末状の物質であった。
【0056】
なお、UHA4003の分子量を高分解能FAB−MS(高速原子衝撃質量分析)にて測定したところ、439.4803であり、理論値との比較から、以下の分子式を得た。
理論値C28235(M+H)+ :439.4792
分子式C28225
【0057】
次に、前記UHA4003を核磁気共鳴(NMR)測定に供し、1H−NMR、13C−NMR及び各種2次元NMRデータの解析から、前記UHA4003が前記式(1)で表される構造を有することを確認した。
【0058】
(実施例2 UCP−2遺伝子発現量の定量)
UHA4003によるUCP−2遺伝子の発現量を評価するために、白色脂肪組織として3T3―L1細胞(マウス由来脂肪前駆細胞)を用いて評価を行った。
【0059】
試料にはレスベラトロール、本発明品であるUHA4003の2種類を用いた。各試料をジメチルスルホキシド(DMSO、和光純薬工業(株)製)に10mMの濃度で溶解させて試験に使用した。
【0060】
培養は、10%ウシ胎児血清(Biological industries社製)及び1%アンチバイオティック−アンチマイコティック(ギブコ(GIBCO)社製)を含むDMEM培地(Dulbecco’s modified Eagle medium、シグマ(Sigma)社製)を用いた。
【0061】
試験に使用する脂肪細胞は定法に従って調製した。つまり、細胞培養用6ウェルディッシュ(日本ベクトン・ディッキンソン(株)製)に3T3―L1細胞を5×104cells/mLで2mL播種して37℃、5%CO2条件下で48時間培養し、100%コンフルエントしたものを毎日培地交換しながらさらに48時間培養した。その後、培地を、脂肪細胞分化試薬(商品名:AdipoInducer Reagent、タカラバイオ(株)製)に付属の、インスリン、デキサメタゾン及びイソブチルメチルキサンチンをそれぞれ1%、0.5%及び0.1%添加した分化用DMEM培地2mLに交換し、37℃、5%CO2条件下で48時間分化・培養した。分化させた脂肪細胞の培地を、インスリン1%を含むDMEM培地(維持培地)に交換し、7日間培養した脂肪細胞を試験に使用した。
【0062】
試験は以下のように行った。7日間培養した脂肪細胞に各試料を10μL(終濃度50μM)添加し、2日間培養した。なお、溶媒であるDMSOのみを0.5%添加したものをコントロールとした。
【0063】
培養終了後、細胞よりRNA抽出キット(商品名:NucleoSpin(登録商標)RNA II、タカラバイオ(株)製)を用いて全量RNAを抽出・精製した。得られたRNAを2ステップリアルタイムRT−PCR用逆転写試薬(商品名:PrimeScript(登録商標)RT Master Mix、タカラバイオ(株)製)の取扱説明書に準じて逆転写反応を行った。
【0064】
つまり5×(Primescript RT Master Mix)4μL及び全量RNA 1μgを混合し、RNase Free dH2Oで全量を20μLにした。PCR用サーマルサイクラー(商品名:GeneAmp(登録商標)PCR System 9700、Applied Biosystem社製)を使用して1サイクルが「37℃×15分→85℃×5秒」であるプログラムにて逆転写反応を行った。逆転写反応液をリアルタイムRT−PCR用希釈試薬(商品名:EASY Dilution、タカラバイオ(株)製)にて10倍希釈した希釈液をリアルタイムRT−PCR解析に使用した。
【0065】
リアルタイムRT−PCR解析は定法に従って行った。解析には、ECO Realtime RT―PCR system」(商品名、イルミナ(株)製)を使用した。プライマーには、UCP−2フォワードプライマー(プライマーID:MA112988−F)及びUCP−2リバースプライマー(プライマーID:MA112988−R)を使用した。細胞内遺伝子の内部標準はβ−アクチンとし、そのプライマーとして、ACTBフォワードプライマー(プライマーID:MA050368−F)及びACTBリバースプライマー(プライマーID:MA050368-R)(前記4種のプライマーはいずれもタカラバイオ(株)製)を使用した。
【0066】
反応にはリアルタイムRT−PCR試薬(商品名:SYBR(登録商標)Premix EX taq II(Tli RNaseH Plus)、タカラバイオ(株)製)を使用した。反応液は48ウェルPCRプレート(イルミナ(株)製)中に、2×(SYBR Premix EX taq II(Tli RNaseH Plus))5μL、フォワードプライマー(50μM)0.08μL、リバースプライマー(50μM)0.08μL、逆転写反応液2μL及び(dH2O)2.84μL(総量10μL)を混合して『95℃×30秒→「95℃×15秒→60℃×1分」×40サイクル→95℃×15秒→55℃×15秒→95℃×15秒』のプログラムにてPCR反応を行った。
【0067】
得られた各細胞中のβ−アクチンとUCP−2のCt値(Threshold Cycle:一定の増幅量(閾値)に達するサイクル数)からUCP−2遺伝子発現量の相対値を算出した。結果を図2に示した。
【0068】
図2の結果より、UHA4003において、レスベラトロールと比較して約9倍以上も高いUCP−2発現促進作用が確認されたことから、UHA4003は、脂肪細胞の代謝を亢進する作用があることが示された。このことから、式(1)で示される、レスベラトロール誘導体であるUHA4003を有効成分として含む本発明の薬剤は、代謝促進剤やUCP−2発現促進剤として好適なものであることがわかる。
また、本発明の薬剤は、UCP−2発現作用に基づく代謝促進作用、例えば、体の各部において熱産生を促進することによる抗肥満作用及び熱産生を促進して体への脂肪の蓄積を抑制することによるメタボリックシンドロームの予防及び治療作用を有することに加えて、抗炎症作用、外傷による神経系の損傷抑制作用を有していると考えられる。
図1
図2