【実施例】
【0061】
次に本発明を実施例に基いて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「%」及び「部」は、特に断らない限り、それぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
【0062】
(実施例1:UHA4002及びUHA4003の生成及び単離・精製)
トランス−レスベラトロール(東京化成工業(株)製)700mgをエタノール14mLに溶解し、2.5%NaHCO
3水溶液を14mL加えて、レスベラトロール含有溶液(pH9.9)を得た。このレスベラトロール含有溶液をオートクレーブ(商品名:SANYO LABO AUTOCLAVE、三洋電機(株)製、以下同じ)にて130℃で20分間加熱した。得られた反応液に、エタノール14mL及び5.0%NaHCO
3水溶液14mLを加え、再度、オートクレーブにて130℃で20分間加熱した。得られた反応液のうち1mLをメタノールにて全量50mLにメスアップし、このうちの10μLをHPLCにより分析した。その結果を
図1に示す。
【0063】
HPLC分析は以下の条件にて行った。
カラム:逆相用カラム「Develosil(登録商標)C−30−UG−5」(4.6mmi.d.×250mm、野村化学(株)製)
移動相:A;H
2O(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA))、B;アセトニトリル(0.1%TFA)
流速:1mL/min
注入:10μL
検出:254nm
勾配(容量%):80%A/20%Bから20%A/80%Bまで30分間、20%A/80%Bから100%Bまで5分間、100%Bで10分間(全て直線)
【0064】
図1に示すように、反応液のクロマトグラムでは、原料であるレスベラトロールとは相違する複数のピーク(R1〜R5)が確認され、このうち、R3のピークに含まれる化合物をUHA4002と命名した。またR4に含まれる化合物をUHA4003と命名した。UHA4002及びUHA4003を分取し、HPLCにより精製し、常法により乾燥したところ、褐色粉末状の物質であった。
【0065】
UHA4002の分子量を高分解能FAB−MS(高速原子衝撃質量分析)にて測定したところ、439.4803であり、理論値との比較から、以下の分子式を得た。
理論値C
28H
23O
5(M+H)
+:439.4792
分子式C
28H
22O
5
【0066】
次に、UHA4002を核磁気共鳴(NMR)測定に供し、
1H−NMR及び
13C−NMR並びに各種2次元NMRデータの解析から、UHA4002が前記式(1)で表される構造を有することを確認した。
【0067】
UHA4003の分子量を高分解能FAB−MS(高速原子衝撃質量分析)にて測定したところ、439.4803であり、理論値との比較から、以下の分子式を得た。
理論値C
28H
23O
5(M+H)
+ :439.4792
分子式C
28H
22O
5
【0068】
次に、前記UHA4003を核磁気共鳴(NMR)測定に供し、
1H−NMR、
13C−NMR及び各種2次元NMRデータの解析から、前記UHA4003が前記式(2)で表される構造を有することを確認した。
【0069】
(実施例2 PGC−1α遺伝子発現量の定量)
UHA4002及びUHA4003含有組成物によるPGC−1α遺伝子の発現量を、3T3―L1細胞(マウス由来脂肪前駆細胞)を用いて評価した。
【0070】
試料にはレスベラトロール、本発明品であるUHA4002及びUHA4003含有組成物(混合比1:1)の2種類を用いた。各試料をジメチルスルホキシド(DMSO、和光純薬工業(株)製)に10mMの濃度で溶解させて評価試験に使用した。
【0071】
培養は、10%ウシ胎児血清(Biological industries社製)及び1%アンチバイオティック−アンチマイコティック(ギブコ(GIBCO)社製)を含むDMEM培地(Dulbecco’s modified Eagle medium、シグマ(Sigma)社製)を用いた。
【0072】
試験に使用する脂肪細胞は定法に従って調製した。つまり、細胞培養用6ウェルディッシュ(日本ベクトン・ディッキンソン(株)製)に3T3―L1細胞を5×10
4cells/mLで2mL播種して37℃、5%CO
2条件下で48時間培養し、100%コンフルエントしたものを毎日培地交換しながらさらに48時間培養した。その後、培地を、脂肪細胞分化試薬(商品名:AdipoInducer Reagent、タカラバイオ(株)製)に付属の、インスリン、デキサメタゾン及びイソブチルメチルキサンチンをそれぞれ1%、0.5%及び0.1%添加した分化用DMEM培地2mLに交換し、37℃、5%CO
2条件下で48時間分化・培養した。分化させた脂肪細胞の培地を、インスリン1%を含むDMEM培地(維持培地)に交換し、7日間培養した脂肪細胞を試験に使用した。
【0073】
試験は以下のように行った。7日間培養した脂肪細胞に各試料を10μL(レスベラトロール終濃度50μM、UHA4002及びUHA4003の各終濃度25μM)添加し、2日間培養した。なお、溶媒であるDMSOのみを0.5%添加したものをコントロールとした。
【0074】
培養終了後、細胞よりRNA抽出キット(商品名:NucleoSpin(登録商標)RNA II、タカラバイオ(株)製)を用いて全量RNAを抽出・精製した。得られたRNAを2ステップリアルタイムRT−PCR用逆転写試薬(商品名:PrimeScript(登録商標)RT Master Mix、タカラバイオ(株)製)の取扱説明書に準じて逆転写反応を行った。
【0075】
つまり5×(Primescript(登録商標) RT Master Mix)4μL及び全量RNA 1μgを混合し、RNase Free dH
2Oで全量を20μLにした。PCR用サーマルサイクラー(商品名:GeneAmp(登録商標)PCR System 9700、Applied Biosystem社製)を使用して1サイクルが「37℃×15分→85℃×5秒」であるプログラムにて逆転写反応を行った。逆転写反応液をリアルタイムRT−PCR用希釈試薬(商品名:EASY Dilution、タカラバイオ(株)製)にて10倍希釈した希釈液をリアルタイムRT−PCR解析に使用した。
【0076】
リアルタイムRT−PCR解析は定法に従って行った。解析には、ECO Realtime RT―PCR system」(商品名、イルミナ(株)製)を使用した。プライマーには、PGC−1αフォワードプライマー(プライマーID:MA114509−F)及びPGC−1αリバースプライマー(プライマーID:MA114509−R)を使用した。細胞内遺伝子の内部標準はβ−アクチンとし、そのプライマーとして、ACTBフォワードプライマー(プライマーID:MA050368−F)及びACTBリバースプライマー(プライマーID:MA050368−R)(前記4種のプライマーはいずれもタカラバイオ(株)製)を使用した。
【0077】
反応にはリアルタイムRT−PCR試薬(商品名:SYBR(登録商標)Premix EX taq II(Tli RNaseH Plus)、タカラバイオ(株)製)を使用した。反応液は48ウェルPCRプレート(イルミナ(株)製)中に、2×(SYBR Premix EX taq II(Tli RNaseH Plus))5μL、フォワードプライマー(50μM)0.08μL、リバースプライマー(50μM)0.08μL、逆転写反応液2μL及び(dH
2O)2.84μL(総量10μL)を混合して『95℃×30秒→「95℃×15秒→60℃×1分」×40サイクル→95℃×15秒→55℃×15秒→95℃×15秒』のプログラムにてPCR反応を行った。
【0078】
得られた各細胞中のβ−アクチンとPGC−1αのCt値(Threshold Cycle:一定の増幅量(閾値)に達するサイクル数)からPGC−1α遺伝子発現量の相対値を算出した。結果を
図2に示した。
【0079】
図2の結果より、UHA4002及びUHA4003含有組成物(UHA4002/UHA4003)においてレスベラトロール(Resvratrol)と比較し、約2.5倍高い、優れたPGC−1α発現促進作用が確認された。
このようにUHA4002及びUHA4003含有組成物は、PGC−1α発現促進作用を有することから、脂肪細胞の代謝を亢進する作用、具体的には、PGC−1遺伝子発現促進作用に基づく抗肥満作用及びメタボリックシンドローム予防・治療作用を有していることが明らかである。
また、式(1)で示されるUHA4002及び式(2)で示されるUHA4003の2種を有効成分として含む本発明の薬剤は、PGC−1遺伝子発現促進剤としても使用でき、さらにはPGC−1α発現促進作用を有することから概日リズム調整剤としても使用できることがわかる。
【0080】
(実施例3 UCP−2遺伝子発現量の定量)
UHA4002及びUHA4003含有組成物によるUCP−2遺伝子の発現量を、3T3―L1細胞(マウス由来脂肪前駆細胞)を用いて評価した。
【0081】
試料にはレスベラトロール、本発明品であるUHA4002及びUHA4003含有組成物(混合比1:1)の2種類を用いた。各試料をジメチルスルホキシド(DMSO、和光純薬工業(株)製)に10mMの濃度で溶解させて評価試験に使用した。
【0082】
評価試験は、実施例2と同様の方法にて行った。
【0083】
リアルタイムRT−PCR解析は定法に従って行った。解析には、ECO Realtime RT―PCR system」(商品名、イルミナ(株)製)を使用した。プライマーには、UCP−2フォワードプライマー(プライマーID:MA112988−F)及びUCP−2リバースプライマー(プライマーID:MA112988−R)を使用した。細胞内遺伝子の内部標準はβ−アクチンとし、そのプライマーとして、ACTBフォワードプライマー(プライマーID:MA050368−F)及びACTBリバースプライマー(プライマーID:MA050368−R)(前記4種のプライマーはいずれもタカラバイオ(株)製)を使用した。
【0084】
反応にはリアルタイムRT−PCR試薬(商品名:SYBR(登録商標)Premix EX taq II(Tli RNaseH Plus)、タカラバイオ(株)製)を使用した。反応液は48ウェルPCRプレート(イルミナ(株)製)中に、2×(SYBR Premix EX taq II(Tli RNaseH Plus))5μL、フォワードプライマー(50μM)0.08μL、リバースプライマー(50μM)0.08μL、逆転写反応液2μL及び(dH
2O)2.84μL(総量10μL)を混合して『95℃×30秒→「95℃×15秒→60℃×1分」×40サイクル→95℃×15秒→55℃×15秒→95℃×15秒』のプログラムにてPCR反応を行った。
【0085】
得られた各細胞中のβ−アクチンとUCP−2のCt値(Threshold Cycle:一定の増幅量(閾値)に達するサイクル数)からUCP−2遺伝子発現量の相対値を算出した。結果を
図3に示した。
【0086】
図3の結果より、UHA4002及びUHA4003含有組成物においてレスベラトロールと比較し、約3倍以上高い、優れたUCP−2発現促進作用が確認された。
このようにUHA4002及びUHA4003含有組成物は、UCP−2発現促進作用を有することから、脂肪細胞の代謝を亢進する作用、具体的には、UCP−2発現促進作用に基づく抗肥満作用及びメタボリックシンドローム予防・治療作用も有していることが明らかである。
また、UHA4002及びUHA4003含有組成物を有効成分として含む本発明の薬剤は、ミトコンドリア脱共役タンパク質遺伝子発現促進剤としても使用できることがわかる。
【0087】
(実施例4:UHA4002及びUHA4003を含有する食品)
実施例2と同様にして得られたUHA4002及びUHA4003含有組成物の1gを、エタノール100mLに溶解し、得られた溶液に砂糖500g及び水飴400gを混合溶解し、更に生クリーム100g、バター20g、練乳70g及び乳化剤1.0gを混合した。得られた混合物を、真空釜にて−550mmHg減圧下及び115℃の温度下で濃縮し、水分値3.0重量%のミルクハードキャンディを得た。
【0088】
(実施例5:UHA4002及びUHA4003を含有する医薬品)
実施例2と同様にして得られたUHA4002及びUHA4003含有組成物の1gをエタノールに溶解し、得られた溶液を微結晶セルロースに吸着させて、減圧乾燥した。このUHA4002及びUHA4003吸着体を用い、下記の配合で打錠品を得た。
UHA4002及びUHA4003含有組成物吸着体
10部(4002及びUHA4003として)
コーンスターチ 23部
乳糖 12部
カルボキシメチルセルロース 8部
微結晶セルロース 32部
ポリビニルピロリドン 4部
ステアリン酸マグネシウム 3部
タルク 8部
【0089】
(実施例6:4002及びUHA4003を含有する医薬部外品)
実施例2と同様にして得られたUHA4002及びUHA4003含有組成物の1.2gの10mLエタノール溶液、タウリン20g、ビタミンB1硝酸塩0.12g、安息香酸ナトリウム0.6g、クエン酸4g、砂糖60g及びポリビニルピロリドン10gを精製水に溶解し、全量を1000mLにメスアップした。なお、pHは、希塩酸を用いて3.2に調整した。得られた溶液1000mLのうち50mLをガラス瓶に充填し、80℃で30分間滅菌して、医薬部外品であるドリンク剤を得た。