(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記付勢手段は、前記挿入体と一体的に形成された、前記径方向に可撓性を有する舌片部材であり、当該舌片部材の先端部に前記係止突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記挿入体は筒状であると共に、前記舌片部材は、前記挿入体の周面に開設されたU字状のスリットの内側部分からなることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、マグネットローラー外周面から現像スリーブ200外周面までの径方向における距離をできるだけ短くして、現像スリーブ200外周面における磁力を十分確保する必要上、現像スリーブ200の厚みは、一般的に、0.5[mm]程度と薄いため、これに雌ネジを形成してもねじの係り代は僅かなものとなる。加えて、係合するネジ山数を稼ぐためピッチの短いねじを用いる必要上から、細いねじに限られる。
【0008】
このため、外歯車206の回転開始と回転停止が繰り返される際、外歯車206から周方向に受ける外力が、ネジ208を、ネジ孔200Aを中心として振り子のように揺動させるように作用する。その結果、現像装置の累積稼動時間が長くなると、やがてネジ孔200Aのネジ山が潰れてネジ208が脱落し、外歯車206の回転動力が現像スリーブ200に伝達されなくなるといった事態が生じ得る。
【0009】
また、現像ローラー200は感光体ドラム(不図示)と互いに平行に、例えば0.3[mm]といった狭小な間隙を空けて対向配置する必要上、設計の自由度を確保する観点から、現像ローラーの外周側にはネジ頭208Aなどの回転突起物をできるだけ設けない構成とすることが好ましい。
これに対処するため、外歯車のボス部に雌ネジを形成し、現像スリーブに貫通孔を開設して、現像スリーブ内側からネジ止めして、ネジ頭を現像スリーブ内に納めるといった構成も考えられるが、外径が16[mm]程度の現像スリーブの内側からのネジ締め作業は到底その煩に耐えない。
【0010】
なお、上記の問題は、現像スリーブに外歯車を係止する場合に限らず、他の円筒部材、例えば、ハロゲンヒーター等を内包した定着ローラーや感光体ドラムに外歯車を係止する場合にも共通するものである。
本発明は、外歯車を円筒部材に容易に係止することができると共に、円筒部材の外周側に可能な限り突起が出ず、かつ回転動力の伝達が維持できる当該円筒部材への外歯車の係止構造を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、円筒部材の外周に
外挿された外歯車を係止手段で係止し、駆動源の動力を前記外歯車を介して
前記円筒部材に伝達して
前記円筒部材を回転駆動する構成を有する画像形成装置であって、前記外歯車の軸穴の内周面には少なくとも1つの係合穴が形成されていると共に、前記円筒部材には、前記外歯車が
前記円筒部材の規定位置に取り付けられた状態で前記外歯車の前記係合穴と重なる位置に貫通孔が形成されており、前記係止手段は、前記円筒部材内に内挿される挿入体と、係止突起と、前記係止突起を前記挿入体に対し、円筒部材の径方向外向きに付勢する付勢手段と、を備え、
前記円筒部材を回転駆動する構成は、前記円筒部材の端部に外挿され、前記円筒部材を回転自在に保持する、有底円筒状をした合成樹脂からなるすべり軸受部材と、前記すべり軸受部材の底部に設けられた板状部と、前記板状部から延出され、前記円筒部材の外部に露出した露出片部とを含む端子部材と、前記挿入体と前記板状部との間に圧縮状態で介挿され、一端が前記板状部に摺接するコイルばね部と、前記コイルばね部の他端から前記コイルばね部の素線が延出されてなり、前記円筒部材の内周面に弾性的に当接する接点部とからなる電圧印加部材と、を備え、前記挿入体を
前記円筒部材に内挿したときに、前記付勢手段により付勢された
前記係止突起が、前記円筒部材の
前記貫通孔を介して、前記外歯車の
前記係合穴に係合することにより、前記外歯車が前記円筒部材に係止される構成
であり、前記円筒部材は金属材料からなり、前記端子部材に加えられる電圧が前記電圧印加部材を介して前記円筒部材に印加されることを特徴とする。
【0012】
また、前記付勢手段は、前記挿入体と一体的に形成された、前記径方向に可撓性を有する舌片部材であり、当該舌片部材の先端部に前記係止突起が形成されていることを特徴とする。
さらに、前記挿入体は筒状であると共に、前記舌片部材は、前記挿入体の周面に開設されたU字状のスリットの内側部分からなることを特徴とする。
【0013】
また、前記係合穴は、複数個であり、それらが周方向に等間隔に形成されていることを
特徴とする。
【0014】
また、マグネットローラーを外套する現像スリーブを有する現像装置を備え、前記円筒部材は、前記現像スリーブであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記の構成からなる画像形成装置によれば、円筒部材に外歯車が外挿され、円筒部材に形成された貫通孔と外歯車に形成された係合穴とが重なった状態で、係止突起が前記重なった貫通孔と係合穴の位置に来るまで挿入体を挿入させるといった簡単な作業で、容易に、外歯車を円筒部材に係止することができる。
また、係止突起は、円筒部材の内側から、貫通孔を介して係合穴に係合するため、可能な限り、円筒部材の外周側に突起が存在しない構成とすることができる。
【0016】
さらに、円筒部材に形成された貫通孔を介して外歯車に形成された係合穴に係止突起を係合させて動力を伝達する構成としているため、特許文献1のように、細いねじに限定されず、係止突起の径に現像スリーブの厚みによる制約はほとんど無いため、当該厚みに対して十分な太さの係止突起とすることができる。その結果、より長期に渡って、回転動力の伝達が維持できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態に係るタンデム型プリンター10(以下、単に「プリンター10」と言う。)の概略構成を示す図である。なお、本図を含む全ての図において構成部材の尺度は統一していない。
【0019】
図1に示すように、プリンター10は、筐体12内部に水平に架設され、矢印Aの方向に走行する転写ベルト14、転写ベルト14の走行方向に列設された4つの作像ユニット16C,16M,16Y,16K、各作像ユニットに対応して設けられた1次転写ローラー18C,18M,18Y,18K、および2次転写ユニット20を含み、各作像ユニット16C,16M,16Y,16Kによって形成された各色成分のトナー像を、一旦転写ベルト14に重ね合わせて転写した後、記録シートSに転写してカラー画像を形成する、いわゆる中間転写方式の画像形成装置である。
【0020】
作像ユニット16C,16M,16Y,16Kの各々は、像担持体である感光体ドラム22C,22M,22Y,22Kを中心としてその周囲に配された帯電ユニット24C,2M,24Y,24K、現像ユニット26C,26M,26Y,26Kを有している。
作像ユニット16C,…,16Kの下方には、露光ユニット28が配されており、各感光体ドラム22C,…,22Kに向けて、光変調されたレーザ光LBが出射される。
【0021】
矢印Bの方向に回転される感光体ドラム22C,…,22Kの表面は、帯電ユニット24C,…,24Kによって一様に帯電された後、前記レーザ光LBによって露光されて、その表面に静電潜像が形成され、当該静電潜像は現像ユニット26C,…,26Kによってトナー像に現像される(顕像化される)。なお、各現像ユニット26C,…,26Kは、レーザ光の光変調色成分に対応して、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーを現像剤として感光体ドラム22C,…,22Kに供給する。
【0022】
各感光体ドラム22C,…,22Kに形成されたトナー像は、1次転写ローラー18C,…,18Kと感光体ドラム22C,…,22Kとの間に発生する電界の作用を受けて、走行する転写ベルト14上に順次転写される。
一方、給紙カセット30からピックアップローラー32によって繰り出された記録シートSは、転写ベルト14上のトナー像が2次転写ユニット20に到達するタイミングに合わせて、レジストローラー34によって2次転写ユニット20へと搬送される。2次転写ユニット20は、転写ベルト14上に重ね合わされたトナー像を、記録シートS上へ転写する。
【0023】
トナー像が転写された記録シートは定着装置36へと搬送される。定着装置36は、円筒部材である定着ローラー38と押圧部材である加圧ローラー40とを有する。定着ローラー38の中空部には、熱源であるヒーターランプ42が内蔵されており、定着ローラー38は不図示のモーターから不図示の動力伝達機構を介して伝達される回転動力により、矢印Fの方向に回転される。加圧ローラー40は、金属製の芯金外周面にシリコーンゴム、フッ素樹脂からなる弾性層が形成されてなるものである。加圧ローラー40は、不図示の圧接機構により、定着ローラー38に圧接されている。当該圧接により、両ローラー38,40間に定着ニップが形成され、定着ローラー38の回転に従動して加圧ローラー40も回転する。未定着のトナー像を担持した記録シートは、当該定着ニップを通紙されて、当該記録シートSにトナー像が定着される。
【0024】
トナー像が定着された記録シートSは、排出ローラー44によって排紙トレイ46へと排出される。
図2に、作像ユニットの断面図を示す。なお、各色毎に設けられた4台の作像ユニット16C,16M,16Y,16Kの各々は、いずれも同様の構成であるため、以降の説明およびこれに用いる図面においては、C,M,Y,Kの符号を省略することとする。
【0025】
上記したように、作像ユニット16は、円筒部材である感光体ドラム22を中心としてその周囲に帯電ユニット24、現像ユニット26が配されている。
現像ユニット26は、ユニットタイプの現像装置である。現像ユニット26は、トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤(以下、単に「現像剤」と言う。
図2において不図示。)を収納する現像容器48を有する。
【0026】
現像ユニット26は、また、現像容器48から外周の一部が露出するように設けられた円筒部材である現像スリーブ50を有する。現像スリーブ50は、感光体ドラム22と平行に、感光体ドラム22との間に、所定の間隔(現像ギャップ)を空けて対向配置されている。前記所定の間隔は、例えば、0.3[mm]である。現像スリーブ50は、アルミニウムやオーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性体で形成されており、その厚みは0.5[mm]である。
【0027】
現像スリーブ50の中空部には、シャフト52に一体的に取着された円筒形のマグネットローラー54が設けられている。換言すると、現像スリーブ50は、マグネットローラー54を外套している。シャフト52は回転不能に固定されている。マグネットローラー54は、周方向に複数の磁極を有するマグネット体である。
現像スリーブ50下方の現像容器48内には、現像剤の撹拌と現像剤の現像スリーブ50への搬送を行うための第1スクリューフィーダー56と第2スクリューフィーダー58とが設けられている。
【0028】
第1および第2スクリューフィーダー56,58で撹拌され摩擦帯電されて、その表面にトナーが付着したキャリアは、現像スリーブ50の表面に磁気的に吸引される。磁気的に吸引されブラシ状になった現像剤(不図示)は、矢印Eの方向に回転される現像スリーブ50によって搬送され、途中、穂高規制板60によって搬送量が規制された後、感光体ドラム22表面と対向する領域(現像領域)まで搬送されて、感光体ドラム22表面に形成された静電潜像を現像する。現像に供した後の残余の現像剤は、回転される現像スリーブ50によって現像容器48内に回収される。
【0029】
図3に、現像ユニット26の斜視図を示す。
図3は、現像ユニット26を感光体ドラム22の存する方向から視た図であり、現像容器48から露出した現像スリーブ50部分が現れている図である。
現像スリーブ50は、両端部に設けられたすべり軸受62,64によって回転自在に支持されている。すべり軸受62,64は、現像ユニット26のフレーム66に固定されている。なお、現像スリーブ50のすべり軸受64に支持された側の端部外周面には、短冊状をした金属片(不図示)が摺接されていて、当該金属片を介して、現像スリーブ50に現像バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0030】
現像スリーブ50において、すべり軸受62に支持された側の端部のすべり軸受62よりも中央寄り部分には、すべり軸受62に隣接してボス付外歯車68が外嵌状態で取り付けられている(外挿されている。)。また、ボス付外歯車68に歯合する、外歯車からなるドッキング歯車70がフレーム66に回転自在に取り付けられている。現像ユニット26をプリンター10の本体に装着した状態でドッキング歯車70と歯合する、外歯車からなる本体歯車(不図示)が本体側に設けられており、当該本体外歯車には、駆動源であるモーター(不図示)から回転動力が伝達される。当該回転動力は、当該本体外歯車、ドッキング歯車70、ボス付外歯車68、および後述する係止部材72(
図3には現れていない)を介して現像スリーブ50に伝達され、現像スリーブ50が回転されることとなる。
【0031】
現像スリーブ50にボス付外歯車68を係止する係止手段である係止部材72について、
図4、
図5を参照しながら説明する。
図4(a)は、現像スリーブ50においてボス付外歯車68が取り付けられた側端部の斜視図であり、
図4(b)は、当該端部部分の縦断面図である。また、
図5は現像スリーブ50、ボス付外歯車68、および係止部材72の分解斜視図である。なお、
図4(a)において、すべり軸受62から軸心方向に突出しているシャフト52(
図2、
図4(b))は省略している。
【0032】
ボス付外歯車68は、
図5に示すように、歯車部74と歯車部74の両側から軸心方向に延出された第1ボス部76および第2ボス部78とを有する。歯車部74は、はすば歯車からなる。第1ボス部76には、径方向に貫通する貫通孔からなる係合穴76Aが開設されている。また、係合穴76Aから周方向に180度の位置に、もう一つの係合穴76Bが開設されている(
図4(b))。ボス付外歯車68の軸穴の内径は、現像スリーブ50をガタツクことなくスムーズに挿入できる大きさ(現像スリーブ50にガタツクことなくスムーズに外挿できる大きさ)に設定される。
【0033】
現像スリーブ50にも、
図5に示すように、径方向に貫通する貫通孔50Aが開設されている。また、貫通孔50Aから周方向に180度の位置に、もう一つの貫通孔50B(
図4(b))が開設されている。貫通孔50A,50Bと係合穴76A,76Bの径の大きさは同じである。
係止部材72は、基本的に筒状をした部材(本例では、円筒状をした部材)の一部が切除されて形成されたような形態をしている。係止部材72は合成樹脂からなる。
【0034】
係止部材72は、
図5に示すように、筒状をした部材(以下、「筒状部材」と言う。)に縦長の「U」字状をしたスリットが開設されていて、これにより細長い短冊状をした舌片部材82が創出されている。すなわち、舌片部材82は、前記「U」字状をしたスリットの内側部分からなる。ここで、舌片部材および後述する係止突起以外の部分を本体部80と称することとする。
【0035】
換言すると、舌片部材82は、本体部80と一体的に形成され、本体部80から筒状部材の軸心と平行に延出されており、延出の基端部から先端部にかけて径方向に撓む可撓性を有している。舌片部材82の先端部には、柱状(本例では、円柱状)をした突起からなる係止突起84が設けられている。
また、舌片部材82から周方向に180度に位置には、同様に舌片部材86が形成されており、舌片部材86の先端部には、同様に係止突起88が設けられている(
図4(b))。
【0036】
本体部80は、円筒面80Aを有し、円筒面80Aの外径は、本体部80がガタツクことなくスムーズに現像スリーブ50に挿入できる大きさに設定される。本体部80は、舌片部材82,86、および係止突起84,88を伴って、現像スリーブ50に挿入される挿入体として機能する。
次に、上記の構成からなる現像スリーブ50、ボス付外歯車68、および係止部材72の組み立て手順について説明する。
【0037】
先ず、
図5に示す矢印Gの向きに、ボス付外歯車68を現像スリーブ50に外挿した後、貫通孔50Aと係合穴76A、貫通孔50Bと係合穴76B(
図4(b))のそれぞれ同士が連通するように、ボス付外歯車68と現像スリーブ50の相対的な位置合わせをする。
貫通孔50Aと係合穴76A、貫通孔50Bと係合穴76B(
図4(b))のそれぞれ同士が連通する位置が、ボス付外歯車68の現像スリーブ50に対する規定位置である。換言すると、ボス付外歯車68が現像スリーブ50の規定位置に取り付けられた状態で係合穴76A,76Bとそれぞれ重なり合う位置に、貫通孔50A,50Bが形成されている。規定位置とは、ボス付外歯車68が現像スリーブ50に取り付けられた状態で、現像スリーブ50の端部に後述するすべり軸受62の嵌め込み代が存し、かつ、すべり軸受62を現像スリーブ50に嵌め込んだ状態で、すべり軸受62とボス付外歯車68との間に不必要な間隙が空かないような位置を言う。
【0038】
上記位置合わせがなされると、
図5に示す矢印Hの向きに、係止部材72を、ボス付外歯車68が外嵌された現像スリーブ50に挿入する。この際、係止突起84,88を互いに近づくように押し込んで(舌片部材82,86を径方向内側に弾性変形させて撓ませ)、現像スリーブ50内に潜り込ませる。
そして、さらに、係止部材72を、係止突起84,88がそれぞれ、連通した貫通孔50Aと係合穴76A、連通した貫通孔50Bと係合穴76Bの位置に到達するまで、現像スリーブ50の奥へさらに進める。係止突起84,88の各々が、連通した貫通孔50A,50Bの位置に到達すると、舌片部材82,86の復元力によって、係止突起84,88は、それぞれ連通した貫通孔50A,50Bを介して、係合穴76A,76Bに嵌り込む(係合する)。これにより、
図4(b)に示すように、現像スリーブ50に挿入された係止部材72によって、ボス付外歯車68が現像スリーブ50に係止される。
【0039】
以上説明したように、上記した実施の形態によれば、ボス付外歯車68が現像スリーブ50に位置決めされた状態で、係止部材72を現像スリーブ50に挿入するといった簡単な作業で、ボス付外歯車68を現像スリーブ50に係止することができる。
また、係止突起84,88は、現像スリーブ50の内側から、それぞれ、貫通孔50A−係合穴76A、貫通孔50B−係合穴76Bに進入するため、可能な限り、ボス部76外周(現像スリーブ50の外周側)に突起が存在しない構成とすることができる。なお、
図4(b)に示す例では、係止突起84,88が端部の面取り分だけ係合穴76A,76Bの開口縁から出ているが、係止突起84,88の端面が係合穴76A,76Bの開口縁と揃うように係止突起84,88の高さを設定しても構わない。
【0040】
ボス付外歯車68が係止された現像スリーブ50の端部は、すべり軸受62で回転自在に軸支される。
すべり軸受62は、ポリアセタールなどの合成樹脂からなる。すべり軸受62は、
図4(a),(b)に示すように、2重円筒状をしており、外側の円筒部62Aに現像スリーブ50の一端部が挿入されて軸支されている。また、内側の円筒部62Bには、シャフト52の一端部が挿入されて軸支されている。
【0041】
すべり軸受62は、円筒部62Aから径方向外向きに延出された一対の取付片62C,62Dを有しており、取付片62C,62Dの各々には、貫通孔からなる取付穴62E,62Fが開設されている。すべり軸受62は、取付穴62E,62Fを介してねじ(不図示)により、フレーム66(
図3)に固定される。
なお、現像スリーブ50を軸支するもう一つのすべり軸受64(
図3)は、すべり軸受62と同じ構成であり、支持態様も同じであるので、図示と説明については省略する。
【0042】
ボス付外歯車68が係止され、すべり軸受62,64で回転自在に軸支された現像スリーブ50において、ボス付外歯車68の回転動力は、係止突起84,88を介して現像スリーブ50に伝達される。本実施の形態では、ボス付外歯車と現像スリーブの各々に形成された穴に、係止突起を嵌め込んで動力を伝達する構成としているため、特許文献1のように、細いねじに限定されず、係止突起の径に、現像スリーブの厚みによる制約はほとんど無いため、当該厚みに対して十分な太さの係止突起とすることができる。その結果、長期間に渡って、回転動力の伝達が維持できる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、現像スリーブ50の外周面に金属片(不図示)を摺接させ、当該金属片を介して、現像スリーブ50に現像バイアス電圧を印加する構成としていた。これに対し、実施の形態2では、現像スリーブ50の内周面に金属部材を当接させて現像バイアス電圧を印加するようにしている。
【0043】
図6〜
図8を参照しながら、実施の形態2について説明する。なお、
図6〜
図8において、実施の形態1の構成部材と同じか実質的に同じ部分については、同じ符号を付し、必要に応じて言及するに止める。
図6(a)は、現像スリーブ50においてボス付外歯車68が取り付けられた側の端部部分の縦断面図である。なお、実施の形態1で示した
図4(b)では、係止部材の係止突起84,88を含む平面で当該端部部分を切断したが、
図6(a)では、前記平面と直交する平面で切断している。また、
図6(a)では、シャフト52およびマグネットローラー54(
図4(b))は省略している。
図6(b)は、後述する端子部材100の斜視図である。
図7は係止部材96に後述する電圧印加部材90が取り付けられた状態の斜視図であり、
図8は係止部材96と電圧印加部材90の分解斜視図である。
【0044】
図8に示すように、電圧印加部材90は、金属(例えば、ステンレス鋼)素線が曲げ加工されたものであり、圧縮コイルばね部92(以下、単に「コイルばね部92」と言う。)とコイルばね部92からその素線が延出されて形成された接点部94とからなる。
接点部94は、圧縮コイルばね部92の軸心と平行な方向に延出されており、その途中で、コイルばね部92の径方向と平行な方向外側に向けて張り出すように、「く」字状に屈曲されている。
【0045】
係止部材96の本体部98の一端部には、コイルばね部92の一端部(接点部94が延出されている側の端部)が嵌め込まれる細径部96Bが形成されている。また、本体部98の外周面には、軸心方向と平行な方向に延びる溝部98Aが形成されている。
電圧印加部材90は、
図7に示すように、溝部98Aに接点部94の一部が埋め込まれると共に、細径部96Bにコイルばね部92の一端部が嵌め込まれて、係止部材96に組み付けられている。
【0046】
係止部材96と電圧印加部材90の組立体(
図7)は、
図6に示すように、ボス付外歯車68が外挿された現像スリーブ50に、係止部材96側から、係止突起84,88(
図7)が、それぞれ貫通孔50A−係合穴76A、貫通孔50B−係合穴76B(
図6には現れていない)に進入する位置まで挿入する。
挿入が完了した状態で、「く」字状に屈曲した接点部94は、現像スリーブ50の内周面で押圧されて、その「く」字が開くように弾性変形し、その復元力で、屈曲点部94Aが現像スリーブ50の内周面に当接(圧接)されている。これにより、電圧印加部材90と現像スリーブ50との電気的な接続が図られる。
【0047】
図6(a)に示すように、現像スリーブ50の端部は、実施の形態1と同様、すべり軸受620で回転自在に軸支されている。すべり軸受620は、後述する引出孔620Bが開設されている以外は、実施の形態1のすべり軸受62と同じ構成である。すなわち、円筒部62Aと円筒部62Bとを有する2重円筒状をしている。
外側の円筒部62Aと内側の円筒部62Bとの間の底部620Aには、金属材料(例えば、ステンレス鋼)で形成された端子部材100が設けられている。端子部材100は、
図6(b)に示すように、円環状をした板状部100Aと板状部100Aの外周から板状部100Aの主面に垂直に延出された短冊片部100Bとからなる。端子部材100は、板状部100Aが底部620Aに設けられており、短冊片部100Bが底部620Aに開設された引出孔620Bを介して引き出され、その一部がすべり軸受620から外部に露出している。
【0048】
電圧印加部材90のコイルばね部92は、係止部材96の本体部98と端子部材100の板状部100Aとの間に圧縮状態で介挿されており、コイルばね部92の復元力によって、コイルばね部92の板状部100A側端部と板状部100Aとは、常に、接触状態が維持されている。これによりコイルばね部92と板状部100A(端子部材100)との電気的な接続が図られている。
【0049】
上記の構成において、端子部材100における短冊片部100Bのすべり軸受620から露出した部分(露出部)に、電圧を印加すると、板状部100A、コイルばね部92、および接点部94を介して、現像スリーブ10に電圧が印加されることとなる。
なお、電圧印加部材90は、接点部94の一部が係止部材96の溝部98Aに埋め込まれているため、現像スリーブ50が回転されると、係止部材96と一体となって回転する。この場合に、コイルばね部92の板状部100A側端部は、静止している板状部100Aに対して摺動する。このため、コイルばね部92の板状部100Aとの摺接面をより広くするため、コイルばね部92の当該端部は、クローズドエンドとし研削仕上げとすることが好ましい(図示例は、無研削仕上げ)。
【0050】
また、コイルばね部92の巻方向は、上記回転の際に板状部100Aから受ける摺動抵抗がコイルばね部92を縮径するように作用する向きとすることが好ましい。
実施の形態2によれば、現像スリーブ50の内周面に電圧印加部材を接触する構成としているため、外周面に接触する構成とした場合と比較して、現像スリーブ50の全長を短縮することができ、ひいては現像装置をより小型化することができる。
【0051】
すなわち、実施の形態1のように短冊状をした金属片を外周面に接触する構成とした場合、現像スリーブ50と対向配置された感光体ドラムの長手方向外方に当該金属片を設ける必要上、当該金属片の設置スペース分、現像スリーブが長くなってしまうが、現像スリーブ50の内周面に設ける場合は、そういった制約がないからである。
<実施の形態3>
実施の形態3は、実施の形態1,2とは、現像スリーブ50にボス付外歯車68を係止する係止部材の構成が異なる以外は、基本的に同様の構成である。
【0052】
よって、係止部材を中心に説明する。
図9(a)に実施の形態3における係止部材102の斜視図を示す。
係止部材102は、係止部材72(
図5)と同様、基本的に筒状をした部材(本例では、円筒状をした部材、以下、「筒状部材」と言う。)の一部が切除されて形成されたような形態をしている。係止部材102も合成樹脂からなる。
【0053】
係止部材72では、舌片部材82,86を筒状部材の長手方向(長さ方向)に形成したが、係止部材102では、
図9(a)に示すように、舌片部材104を周方向に形成している。舌片部材104は、筒状部材に開設された「U」字状のスリット112によって創出されている。舌片部材104の先端部には、柱状(本例では、円柱状)をした係止突起106が設けられている。ここで、本実施の形態においても、舌片部材および係止突起以外の部分を本体部114と称することとする。
【0054】
換言すると、舌片部材104は、本体部114と一体的に形成され、本体部114から筒状部材の周方向に延出されており、延出の基端部から先端部にかけて、少なくとも筒状部材の内側に撓む可撓性を有している。
図9(a)において、平面Pで切断した横断面図を
図9(b)に示す。
図9(b)に示すように、舌片部材104と反対側には、同様にして舌片部材108が形成されており、舌片部材108の先端部には係止突起110が設けられている。
【0055】
図9(a)に戻り、本体部114は、円筒面114Aを有し、円筒面114Aの外径は、本体部114がガタツクことなくスムーズに現像スリーブ50(
図4、
図5)に挿入できる大きさに設定される。本体部114は、舌片部材104,108、および係止突起106,110を伴って、現像スリーブ50に挿入される挿入体として機能するのは、実施の形態1の場合と同様である。
【0056】
現像スリーブ50、ボス付外歯車68(
図5)、および係止部材104の組み立て手順は、実施の形態1と同様であるので、その説明については省略する。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下の形態とすることもできる。
(1)ボス付外歯車に設ける係合穴は、上記実施の形態のように貫通孔に限らず有底孔でも良い。要は、ボス付外歯車の軸穴の内周面に、係止突起と係合するように形成されていれば構わない。
【0057】
(2)上記実施の形態では、現像スリーブに係止して動力を伝達する歯車にボス付外歯車を用いたが、ボスを有しない外歯車を用いても構わない。また、上記実施の形態では、当該外歯車として、はすば歯車を用いたが、これに限らず、平歯車を用いても良い。
(3)上記実施の形態では、係止突起2個で外歯車を現像スリーブに係止したが、係止突起の個数は1個としても構わない。あるいは、3個以上用いても構わない。複数個用いる場合は、外歯車、および現像スリーブの周方向に等間隔で設けるのが好ましい。換言すると、現像スリーブの軸心を中心とする回転対称に設けるのが好ましい。
【0058】
(4)係止突起を現像スリーブの外向きに付勢する付勢手段として、舌片部材を用いたが、これに限らず、付勢手段として圧縮コイルばねを用いても構わない。円筒状をした挿入体の外周に径方向に窪む凹部を設け、当該凹部に圧縮コイルばねを埋設し、当該圧縮コイルばねの上端に円柱状をした係止突起をその一部が前記周面から露出するように配置するようにしても構わない。この場合に、圧縮コイルばねに代えて、スポンジなどの弾性部材を用いても構わない。
【0059】
(5)上記実施の形態では、外歯車を係止して回転駆動する円筒部材として現像スリーブを例に説明したが、当該円筒部材は、現像スリーブに限らず、定着装置に用いられる定着ローラーに適用しても構わない。あるいは、感光体ドラムに適用することもできる。
(6)上記実施の形態では、プリンターを例に説明したが、本発明に係る画像形成装置は、プリンターに限らず他の画像形成装置、例えば複写機やファクシミリ、あるいはこれらの機能を有する複合機などに適用可能である。