特許第5962445号(P5962445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962445
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   H02B9/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-244737(P2012-244737)
(22)【出願日】2012年11月6日
(65)【公開番号】特開2014-93915(P2014-93915A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年7月2日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100200159
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】松浦 宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿明
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−136279(JP,A)
【文献】 特開2011−135650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置用背面を備えるベースと;
前記ベースの内側に設置される信号線が形成された基板と;
前記ベースの内側に設置され、分岐ブレーカに対応する回路に流れる電流値を検出し、検出した電流検出値を前記信号線に送出する電流検出手段と;
前記ベースの内側であって、前記ベースの正面側に取り付けられた枠状のカバーの開口から臨むよう前記分岐ブレーカが取り付けられる導電バーに装着されて前記分岐ブレーカと並設されるように設置され、前記電流検出手段が送出した電流検出値に基づいて計算された前記分岐ブレーカに対応する回路の消費電力量に係る情報をネットワークを介して所定の機器に送信する通信部と;
を具備することを特徴とする分電盤。
【請求項2】
前記通信部は、前記分岐ブレーカに対応する回路の消費電力量に係る端末表示用に必要な情報をネットワークを介して所定の機器に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の分電盤。
【請求項3】
前記消費電力量に係る情報を保存し、要求を受けて、または一定期間が経過したときにネットワークを介して所定の機器に送出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の分電盤。
【請求項4】
前記ベースの内側に設置される電力計算部をさらに具備し、
前記電力計算部及び前記通信部に電力を供給する電源機器を更に具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の分電盤。
【請求項5】
前記電力計算部及び前記通信部の少なくとも一方は、導電バーに係合可能な係合部を具備し、前記信号線と接続する端子を具備することを特徴とする請求項4に記載の分電盤。
【請求項6】
前記基板は互いに対向する第1の長辺と第2の長辺を備え、前記第1の長辺側に前記電力計算部が設けられ、前記第2の長辺側に前記通信部が設けられた
ことを特徴とする請求項4または5に記載の分電盤。
【請求項7】
設置用背面の上方側に前記電力計算部が設けられ、下方側に前記通信部が設けられた
ことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
宅内に設けられ、宅内に設置された分電盤に配線を介して接続された電力計算ユニットがある。電力計算ユニットは、分電盤の複数の分岐ブレーカのそれぞれから配線を介して送信された、分岐回路に流れる電流の電流値を取得する。そして、電力計算ユニットは、取得した電流値から各分岐ブレーカに属する各部屋の電子機器の消費電力量を計算し、計算した各消費電力量をアクセスポイントに送信する。アクセスポイントは、各消費電力量を受信すると、受信した各消費電力量をネットワークを介して管理サーバに送信する。管理サーバは、各消費電力量を受信すると、受信した各消費電力量をユーザの端末に送信する。これにより、ユーザは、各分岐ブレーカに対応する各部屋の電子機器の消費電力量を把握することができる。
【0003】
しかしながら、上記の分電盤及び電力計算ユニットでは、分電盤と電力計算ユニットとを接続する際に配線が用いられるため、配線のコストがかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ホームITシステム、[平成24年10月25日検索]、インターネット(URL:http://www.toshiba.co.jp/env/jp/communication/2009/exh/pdf/ecopro2009/ecopro0909.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、小型でコストを抑制することができる分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の分電盤は、信号線が形成された基板と、回路に流す電流が所定値を超えた場合に、回路への電力供給を停止するとともに、回路に流れる電流値を検出し、検出した電流検出値を信号線に送出するブレーカと、信号線に接続され、ブレーカが送出した電流検出値を信号線を介して受信し、受信した電流検出値に基づいて回路の消費電力量を計算する電力計算ユニットと、電力計算ユニットに接続され、電力計算ユニットにより計算された消費電力量に係る情報を所定の機器に送信する通信ユニットとを具備する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の分電盤によれば、小型でコストを抑制することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る分電盤が適用された電力管理システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る分電盤を示す斜視図である。
図3図3は、分電盤1の内部の電気的な接続関係について説明するための図である。
図4図4は、電力計算ユニット及び通信ユニット、並びに、導電バーを含む面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で説明する実施形態に係る分電盤は、信号線が形成された基板を具備する。実施形態に係る分電盤は、回路に流す電流が所定値を超えた場合に、回路への電力供給を停止するとともに、回路に流れる電流値を検出し、検出した電流検出値を信号線に送出するブレーカを具備する。実施形態に係る分電盤は、信号線に接続され、ブレーカが送出した電流検出値を信号線を介して受信し、受信した電流検出値に基づいて回路の消費電力量を計算する電力計算ユニットを具備する。実施形態に係る分電盤は、電力計算ユニットに接続され、電力計算ユニットにより計算された消費電力量に係る情報を所定の機器に送信する通信ユニットを具備する。
【0010】
また、以下で説明する実施形態に係る分電盤は、電力計算ユニット及び通信ユニットに電力を供給する電源機器を更に具備する。
【0011】
また、以下で説明する実施形態では、ブレーカは、電源に接続された導電バーに接続されることにより、電源から電力が供給される。また、実施形態では、電力計算ユニット及び通信ユニットの少なくとも一方は、導電バーに係合可能な係合部を具備し、信号線と接続する端子を具備する。
【0012】
また、以下で説明する実施形態では、基板は互いに対向する第1の長辺と第2の長辺を備え、第1の長辺側に電力計算ユニットが設けられ、第2の長辺側に通信ユニットが設けられる。
【0013】
また、以下で説明する実施形態では、想定する設置面が鉛直な面であり、設置面の上方側に電力計算ユニットが設けられ、下方側に通信ユニットが設けられる。
【0014】
また、以下で説明する実施形態では、送信ユニットは、異なる送信方式の通信ユニットに交換可能である。
【0015】
以下、実施形態に係る分電盤について、図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係る分電盤1が適用された電力管理システム100の構成例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、電力管理システム100は、一乃至複数のユーザ端末6、管理サーバ7、ホームネットワークシステム10を有する。ユーザ端末6と、管理サーバ7と、ホームネットワークシステム10の後述するゲートウェイ装置4とは、ネットワーク8を介して接続されている。ネットワーク8はインターネットやイントラネットなどである。
【0017】
ホームネットワークシステム10は、例えばユーザの宅内や店舗内などに設けられ、分電盤1、アクセスポイント3、ゲートウェイ装置4、ユーザ端末5などを有する。このシステムでは分電盤1が計測した消費電力量に係る情報などを管理サーバ7に通知することができる。尚、管理サーバ7において、適宜、必要な処理がなされた消費電力量に係る情報はネットワーク8を介してユーザ端末5やユーザ端末6に提示される。
【0018】
分電盤1は、ユーザの宅内あるいは店舗内等の室内の壁などに設けられる。分電盤1は、後述する複数の分岐ブレーカ15を有する。複数の分岐ブレーカ15のそれぞれは、自己に属する回路に流れる電流が所定値を超えた場合に、回路への電力の供給を遮断する。回路には負荷機器が含まれており、回路への電力供給の遮断により、負荷機器への電力の供給は停止する。負荷機器の一例としては、冷蔵庫、テレビ、エアコン、クッキングヒーター、暖房器具、洗濯機などの家電機器などが挙げられる。
【0019】
個々の分岐ブレーカ15は、対応する回路(負荷機器)へ流す電流を検出する電流検出器(図示せず)を備える。分電盤1は、所定時間間隔で、各回路に流れる電流から、各回路が属する各分岐ブレーカ15に対応する負荷機器で消費された電力量である消費電力量を計算し、計算した消費電力量をアクセスポイント3に送信する。尚、アクセスポイント3への送信は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信技術の他、有線LANなどの情報通信技術を用いる。
【0020】
アクセスポイント3は、Bluetoothなどの近距離無線技術や宅内LAN(Local Area Network)を用いて、通信アダプタ1と通信を行う。また、アクセスポイント3は、ゲートウェイ装置4に接続されている。アクセスポイント3は、分電盤1から消費電力量が送信された場合には、送信された消費電力量を受信し、受信した消費電力量に係る情報をゲートウェイ装置4に送信する。尚、アクセスポイント3とゲートウェイ装置4は一体であってもよい。
【0021】
ゲートウェイ装置4は、例えば、アクセスポイント3から消費電力量に係る情報が送信された場合には、送信された消費電力量に係る情報を受信する。ゲートウェイ装置4は、受信した消費電力量に係る情報の全部または一部をネットワーク8を介して管理サーバ7に送信する。
【0022】
ユーザ端末5は、ユーザが消費電力量に係る情報あるいはそれが加工された情報を閲覧可能な端末である。従って、ユーザ端末5は、少なくとも表示機能を備えた電子機器である。ユーザ端末の例は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電力モニターなどの入力装置および表示装置を備えた電子機器である。ユーザ端末5は、ゲートウェイ装置4に無線や有線のLANなどを介して接続されている。ユーザ端末5は、ユーザ自身の宅内などの分電盤1の分岐ブレーカ15に対応する各部屋の負荷機器の消費電力量などを表示することができる。これにより、ユーザは、各分岐ブレーカ15に対応する各部屋の負荷機器の消費電力量などを把握することができる。さらに、ユーザ端末5は、自己の入力装置から入力された指示をゲートウェイ装置4に送信する送信装置をさらに具備してもよい。
【0023】
ユーザ端末6は、ユーザが消費電力量に係る情報あるいはそれが加工された情報を閲覧可能な端末である。ユーザ端末6は、スマートフォンなどの携帯電話機、PDA(Personal Data Assistance)、ノートパソコンなどの少なくとも表示機能を備える電子機器である。ユーザ端末6は、管理サーバ7から送信された消費電力量に係る情報を受信すると、自己の表示部に、図2の分岐ブレーカ15に対応する負荷機器の消費電力量などを表示する。これにより、ユーザは、分岐ブレーカ15に対応する負荷機器の消費電力量などを把握することができる。
【0024】
管理サーバ7は、インターネット8を介してゲートウェイ装置4から消費電力量に係る情報を受信すると、端末表示用に必要な情報処理などを行なう。消費電力量の表示用情報は、適宜、ユーザ端末6に送信され、ユーザ端末6において表示される。これにより、ユーザは宅内の消費電力量などを閲覧することができる。
【0025】
以上説明したように、電力管理システム100では、ユーザ端末6に、各分岐ブレーカに対応する負荷機器の消費電力量に係る情報を通知し、ユーザによる閲覧が可能となる。
【0026】
次に、実施形態に係る分電盤1の構成を説明する。図2は、実施形態に係る分電盤1の開扉状態を示す斜視図である。図2に示すように、分電盤1は、壁などへの設置用背面を備えるベース12と、ベース12の正面側に取り付けられた枠状のカバー13と、カバー13の正面側に開閉可能に取り付けられた扉14とを備えている。そして、分電盤1の内側には、1次側が電源線に接続される図示しないリミッタが取り付けられている。また、分電盤1の内側には、リミッタの2次側に、1次側が接続された図示しない主幹漏電ブレーカが取付けられている。分電盤1の内側には、主幹漏電ブレーカの2次側に接続された複数の分岐ブレーカ15が取付けられている。分電盤1の内側には、分電盤1の左右方向に伸びる後述のPC(Printed Circuits)基板20が設置され、このPC基板20には図2に示すカバー16が取り付けられている。
【0027】
また、図2に示すように、本実施形態の分電盤1の内側には、鉛直な面である壁を設置面として、分電盤1のベース12が備える設置用背面を、設置面に設置した場合におけるPC基板20の上方側に、第1のユニット17が設けられており、下方側に第2のユニット18が設けられている。
【0028】
図3は、分電盤1の内部の電気的な接続関係の一例を説明するための図である。図3を参照して、複数の分岐ブレーカ15と第1のユニット17との電気的な接続関係、及び、第1のユニット17と第2のユニット18との電気的な接続関係の一例を説明する。
【0029】
図3に示すように、第1のユニット17は電源装置17a及び電力計算ユニット17bを有する。また、第2のユニット18は、通信ユニット18aを有する。電源装置17aは、例えば、系統電源から分岐した電源線(図示せず)に接続され、電源線から得られた電力を電力計算ユニット17b及び通信ユニット18aに供給する。これにより、電力供給を受けた電力計算ユニット17b及び通信ユニット18aは動作可能となる。
【0030】
図3では、第1及び第2のユニット17、18の内部に設けられた電源装置17a、電力計算ユニット17b及び通信ユニット18aを破線で示した。図3に示すように、第1の通信ユニット17の筐体には穴17cが形成されており、電力計算ユニット17bは、穴17cに挿通された7本の接続線30a〜30gに接続されている。かかる接続線30a〜30gのそれぞれは、コネクタ31aを介して、PC基板20の7つの信号線にそれぞれ直接接続されている。かかる7つの信号線のそれぞれは、分電盤1を壁に設置した状態におけるPC基板20の上方側に取り付けられた7つの分岐ブレーカ15のそれぞれとコネクタ15aを介して接続されている。
【0031】
更に、図3に示すように、電力計算ユニット17bは、穴17cに挿通された7本の接続線30h〜30nに接続されている。かかる接続線30h〜30nのそれぞれは、コネクタ31bを介して、PC基板20の7つの信号線のそれぞれに接続されている。かかる7つの信号線のそれぞれは、分電盤1を壁に設置した状態におけるPC基板20の下方側に取り付けられた7つの分岐ブレーカ15のそれぞれとコネクタ15bを介して接続されている。
【0032】
すなわち、図3に示すように、PC基板20は、互いに対向するコネクタ15a側の長辺とコネクタ15b側の長辺を備え、コネクタ15a側の長辺側に電力計算ユニット17bが設けられ、コネクタ15b側の長辺側に通信ユニット18aが設けられている。
【0033】
したがって、電力計算ユニット17bは、PC基板20の14本の信号線のそれぞれを介して、14個の分岐ブレーカ15のそれぞれと接続されている。そのため、電力計算ユニット17bは、所定時間間隔ごとに各分岐ブレーカ15によって検出され、そして、各分岐ブレーカ15から送信される各分岐回路に流れる電流量を受信することができる。すなわち、電力計算ユニット17bは、14個の分岐ブレーカ15のそれぞれから電流量に係る情報を受信することができる。
【0034】
そして、電力計算ユニット17bは、14個の分岐ブレーカ15全ての電流量を受信するたびに、各分岐回路に流れる電流と供給電圧から、各分岐回路が属する各分岐ブレーカ15に対応する各負荷機器の消費電力量を計算する。ここで、供給電圧は、分電盤1に入力される電力の電圧を直接測定して用いてもよいし、予め設定された電圧値を用いてもよい。例えば、後述する複数のブスバーに生じる電圧値を周知の手法を用いて測定するなどして電圧値を直接測定することができる。例えば、予めディップスイッチなどによって各回路の電圧を設定し、この設定された電圧値を用いることができる。計算して得た消費電力量は、必要に応じて電力計算ユニット17bに保存される。そして、電力計算ユニット17bは、要求を受けて、あるいは一定期間が経過する度に、計算した消費電力量に係る情報を接続線35、36に送出する。尚、消費電力量に係る情報は、例えば、瞬時電力や積算電力など適宜、採用することができる。
【0035】
図3に示すように、接続線35、36は、コネクタ37に接続されている。コネクタ37は、PC基板20の配線を介して、コネクタ38に接続されている。コネクタ38には、接続線39、40が接続されている。ここで、第2のユニット18の筐体には、穴50が形成されており、通信ユニット18aは、穴50に挿通された接続線39、40に接続されている。そのため、通信ユニット18aは、電力計算ユニット17bから送信される各分岐ブレーカ15に対応する各負荷機器の消費電力量に係る情報を受信することができる。尚、上述のコネクタ接続によれば、より確実な信号伝送が実現できるが、接続方法はコネクタに限るものではなく、接点などその他の方法を用いることができる。
【0036】
通信ユニット18aは、受信した各負荷機器の消費電力量に係る情報をBluetoothなどの近距離無線技術などを用いて、アクセスポイント3に送信する。ここで、通信ユニット18aは、無線通信を行うものに限られず、アクセスポイント3と有線通信を行う方式のものを採用することもできる。また、通信ユニット18aは、通信方式の異なる他の種類のユニットに交換することもできる。例えば、通信ユニット18aがBluetoothなどの近距離無線を行うユニットである場合には、有線LANなどによってアクセスポイント3と有線通信を行う方式のユニットに交換することもできる。そのため、本実施形態によれば、通信状況などに応じて、通信状況が良好となるような通信方式のユニットに通信ユニット18aを交換することができる。
【0037】
ここで、分電盤1は、単相三線式で、主幹漏電ブレーカの2次側に接続されたブスバーとも呼ばれる導電体としての3本の板状の導電バーN、L1、L2を必要に応じて備えている。これら導電バーN、L1、L2は、上下2列に並ぶ分岐ブレーカ15の間に配置される。各分岐ブレーカ15が、中性極の導電バーNと一方の電圧極の導電バーL1とに接続されるか、または、中性極の導電バーNと他方の電圧極の導電バーL2とに接続されることにより、各分岐ブレーカ15は、100Vとして利用される。また、各分岐ブレーカ15は、両電圧極の導電バーL1と導電バーL2とに接続されることにより、200Vとして利用される。
【0038】
本実施形態では、電力計算ユニット17bが、上述した導電バーN、L1、L2に対して係合することで、導電バーN、L1、L2に対して装着される。また、本実施形態では、通信ユニット18aも、上述した導電バーN、L1、L2に対して係合することで、導電バーに対して装着される。かかる装着について、図4を参照して説明する。図4は、電力計算ユニット17b及び通信ユニット18a、並びに、導電バーN、L1、L2を含む面の断面図である。図4に示すように、電力計算ユニット17bの筐体には、導電バーN、L1、L2に対して係合可能な係合部60が形成されている。そして、図4に示すように、係合部60と導電バーN、L1、L2とが係合することで、電力計算ユニット17bが、上述した導電バーN、L1、L2に対して装着される。また、図4に示すように、通信ユニット18aの筐体には、導電バーN、L1、L2に対して係合可能な係合部61が形成されている。そして、図4に示すように、係合部61と導電バーN、L1、L2とが係合することで、通信ユニット18aが、上述した導電バーN、L1、L2に対して装着される。また、電力計算ユニット17bは、上述したように、PC基板20の信号線と接続する端子、すなわち、コネクタ31a、31bを具備する。また、通信ユニット18aは、PC基板20の信号線と接続する端子、すなわち、コネクタ38を具備する。尚、電力計算ユニット17b及び送信ユニット18aの両方でなく、少なくとも一方が、導電バーに係合可能な係合部を具備し、PC基板20に形成された信号線と接続する端子を具備するように構成することもできる。
【0039】
以上、説明したように、実施形態に係る分電盤1は、信号線が形成されたPC基板20を具備する。実施形態に係る分電盤1は、回路に流す電流が所定値を超えた場合に、回路への電力供給を停止するとともに、回路に流れる電流値を検出し、検出した電流検出値を信号線に送出する分岐ブレーカ15aを具備する。実施形態に係る分電盤1は、信号線に接続され、分岐ブレーカ15aが送出した電流検出値を信号線を介して受信し、受信した電流検出値に基づいて回路の消費電力量を計算する電力計算ユニット17bを具備する。実施形態に係る分電盤1は、電力計算ユニット17bに接続され、電力計算ユニット17bにより計算された消費電力量に係る情報をアクセスポイント3に送信する通信ユニット18aを具備する。したがって、実施形態に係る分電盤1によれば、配線を用いずに、PC基板20を介して分岐ブレーカ15からの電流検出値を電力計算ユニット17bが受信することができる。よって、実施形態に係る分電盤1によれば、小型で配線のコストを抑制することができる。尚、信号線を備える基板の例としてPC基板を用いて説明したが、PC基板のように基板上に導体パターンを印刷などしたものに限るものではなく、導線などを基板上に設けたものであってもよい。
【0040】
また、実施形態に係る分電盤1は、電力計算ユニット17b及び通信ユニット18aに電力を供給する電源装置17aを更に具備する。
【0041】
また、実施形態では、分岐ブレーカ15は、電源に接続された導電バーN、L1、L2に接続されることにより、電源から電力が供給される。また、実施形態では、電力計算ユニット17b及び通信ユニット18aの少なくとも一方は、導電バーN、L1、L2に係合可能な係合部60や係合部61を具備し、PC基板20の信号線と接続する端子、例えば、コネクタなどを具備する。係合部60や係合部61と導電バーN、L1、L2とを係合させることで、電力計算ユニット17bや通信ユニット18aを装着させることができる。そのため、装着させる新規の部品を新たに設けずに、電力計算ユニット17bや通信ユニット18aを装着させることができる。よって、実施形態に係る分電盤1によれば、さらにコストを抑制することができる。
【0042】
また、実施形態に係る分電盤1では、PC基板20は、互いに対向するコネクタ15a側の長辺とコネクタ15b側の長辺を備え、コネクタ15a側の長辺側に電力計算ユニット17bが設けられ、コネクタ15b側の長辺側に通信ユニット18aが設けられている。
【0043】
また、実施形態に係る分電盤1では、想定する設置面が鉛直な面であり、設置面の上方側に電力計算ユニット17bが設けられ、下方側に通信ユニット18aが設けられている。これにより、下方側に位置するアクセスポイント3と送信ユニット18aとの距離がより近くなり、より安定した通信を行うことができる。
【0044】
また、実施形態に係る分電盤1では、送信ユニット18aは、異なる送信方式の通信ユニットに交換可能である。そのため、本実施形態によれば、通信状況などに応じて、通信状況が良好となるような通信方式のユニットに通信ユニット18aを交換することができる。
【0045】
なお、実施形態に係る分電盤1は、PC基板20に、新たに追加された分岐ブレーカ15をPC基板20に接続するためのコネクタを設けておき、必要に応じて、新たに分岐ブレーカ15を追加することもできる。
【0046】
また、実施形態に係る分電盤1は、室内の壁に取り付けられた場合に、上方側に送信ユニット18aを設けることもできる。これにより、より高い位置に送信ユニット18aが位置することとなるため、送信ユニット18aとアクセスポイント3との間に障害物が存在する場合には、送信ユニット18aは、障害物の影響を抑制して、アクセスポイント3と無線通信を行うことができる。
【0047】
以上説明したとおり、上記実施形態によれば、小型でコストを抑制することができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
1 分電盤
15 分岐ブレーカ
17b 電力計算ユニット
18a 通信ユニット
20 PC基板
図1
図2
図3
図4