特許第5962510号(P5962510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962510
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】離床確認装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20160721BHJP
   A61G 7/05 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   A61G12/00 Z
   A61G7/05
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-539763(P2012-539763)
(86)(22)【出願日】2011年10月20日
(86)【国際出願番号】JP2011074170
(87)【国際公開番号】WO2012053599
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年7月24日
(31)【優先権主張番号】特願2010-235102(P2010-235102)
(32)【優先日】2010年10月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510279000
【氏名又は名称】山陰制御有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花田 英輔
(72)【発明者】
【氏名】畑 広史
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−037821(JP,A)
【文献】 特開2007−014725(JP,A)
【文献】 特開2008−010235(JP,A)
【文献】 特開2001−000401(JP,A)
【文献】 特開2008−067979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
A61G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド用の離床確認装置であって、ベッドの床材に載置されるか又はマットレスの下面に取り付けられてマットレスの下面を上方に付勢し、マットレス上に人が不在の状態で、マットレスの下面とマットレスを載置するベッドの床材との間に空隙を形成する、断面が弧状の樋型の樹脂製弾性部材、該空隙に載置される複数の触覚スイッチ、及び
該触覚スイッチのON又はOFFからマットレス上の人の在・不在及び/又は体位の変動を検出するコントローラを備えた離床確認装置であって、触覚スイッチがタクタイルスイッチである離床確認装置。
【請求項2】
タクタイルスイッチが、上端にプランジャを備え、押圧力0.9〜5NでスイッチがONとなるタクタイルスイッチである請求項1記載の離床確認装置。
【請求項3】
樹脂製弾性部材の弧内にタクタイルスイッチを有する請求項記載の離床確認装置。
【請求項4】
コントローラに接続した通信手段を有する請求項1又は2記載の離床確認装置。
【請求項5】
通信手段が、コントローラから出力される信号を端末に送信する請求項記載の離床確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド上の人の在・不在や体位の変動を容易に検出できるようにする離床確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院などにおいて、安静にすべき患者が起き上がったり、ベッドを離れたりという離床がおきた場合に、そのことをナースステーション等に速やかに知らせる離床確認装置が種々開発されている。離床確認装置は、老人健康施設等で徘徊の感知にも役立っている。
【0003】
これらの離床確認装置の多くは、センサに圧電素子を利用したものであり、センサをベッド横の床に設置するもの(特許文献1)、センサをベッドマット上におくもの(特許文献2)、センサをマットレスの内部に取り付けるもの(特許文献3)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-159287号公報
【特許文献2】特開平8-80286号公報
【特許文献3】特開2005-237684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、センサをベッド横の床に設置する場合(特許文献1)には、患者の起き上がりの検出には対応することができず、ベッド横の床のセンサが、患者がベッドから降りる際の転倒の原因になることがある。センサをベッドマット上におく場合(特許文献2)には、ベッドの寝心地が悪くなる。センサをベッドマット内に取り付ける場合(特許文献3)には、マットレスの荷重分散の性能等によりセンサの感度が大きく変化し、所期の機能を得られない場合がある。
【0006】
加えて、離床確認装置のセンサとして圧電素子を用いる場合には検知感度の調整が難しい。また、低コストに製造することができず、メンテナンスにもコストがかかる。さらに、シート状の感圧センサを用いる場合には、縫い付け等により感圧センサをマットレスへ固定することが必要となるため、離床確認装置をベッドに装着することも簡便には行えない。そのため、病院や介護の現場では離床確認装置の有用性が認識されながらも、その普及が妨げられている。
【0007】
これに対し、本発明は、在・不在、体位の変動を確実に検知し、さらには体位の変動の間隔の検出により褥瘡防止対策や生死確認の判断にも使用することができ、かつ安価に提供することができ、ベッドへの着脱が容易で、メンテナンスも容易な離床確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、離床確認装置のセンサ部分に、パーソナルコンピュータのキーボード等に使用される触覚スイッチを使用し、かつその触覚スイッチを、マットレスの下面を上方に付勢する弾性部材によって該マットレスの下に形成される特定の空隙に設けることにより上述の目的を達成できることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、ベッド用の離床確認装置であって、マットレス上に人が不在の状態で、マットレスの下面とマットレスを載置するベッドの床材との間に、マットレスの下面を上方に付勢する弾性部材によって形成される空隙に載置される複数の触覚スイッチ、及び
該触覚スイッチのON又はOFFからマットレス上の人の在・不在及び/又は体位の変動を検出するコントローラを備えた離床確認装置を提供する。
【0010】
特に、離床確認装置が上述の弾性部材を備えない第1の態様として、ベッドの床材の少なくとも中央部に、マットレスの下面を上方に付勢する弾性部材が複数設けられているベッド用の離床確認装置を提供する。
【0011】
また、離床確認装置が上述の弾性部材を備えた第2の態様として、ベッドの床材に載置されてマットレスの下面を上方に付勢する弾性部材を備えた離床確認装置と、マットレスの下面に取り付けられてマットレスの下面を上方に付勢する弾性部材を備えた離床確認装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の離床確認装置によれば、マットレスの下に弾性部材によって形成される特定の空隙に複数の触覚スイッチを載置し、その触覚スイッチのON、OFFに基づいてコントローラがマットレス上の人の在又は不在や体位の変動を検出し、好ましくは体位の変動の間隔も検出するので、離床確認、褥瘡防止、生死確認等に使用することができる。
【0013】
この触覚スイッチは安価に入手することができ、離床確認装置のメンテナンス時に取り替えることも容易である。
【0014】
特に、本発明の離床確認装置において、上述の弾性部材を備えない第1の態様によれば、ベッドに備えられた弾性部材によってマットレスの下に空隙が形成される既存のベッドに対して、簡便に装着することができ、そのメンテナンスも容易となる。
【0015】
また、本発明の離床確認装置において、上述の弾性部材を備えた第2の態様によれば、ベッド本来の形態では、弾性部材による空隙がマットレスの下に形成されないベッドにおいても、触覚スイッチのON、OFFに基づいてマットレス上の人の在・不在及び/又は体位の変動を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、離床確認装置の第1の態様の実施例の全体構成図である。
図2A図2Aは、短冊状センサの背面図である。
図2B図2Bは、短冊状センサの断面図である。
図3A図3Aは、蝶型バネを備えた横梁の平面図である。
図3B図3Bは、蝶型バネを備えた横梁の断面図である。
図4図4は、マットレスを蝶型バネに載置した状態の蝶型バネ部分の断面図である。
図5A図5Aは、蝶型バネを備えた横梁に短冊状センサを取り付けた状態の平面図である。
図5B図5Bは、蝶型バネを備えた横梁に短冊状センサを取り付けた状態の断面図である。
図6A図6Aは、離床確認装置を取り付けた実施例の作用の説明図である。
図6B図6Bは、離床確認装置を取り付けた実施例の作用の説明図である。
図7A図7Aは、第1の態様の実施例の変形態様の短冊状センサの部分斜視図である。
図7B図7Bは、第1の態様の実施例の変形態様の短冊状センサをベッドの横梁に取り付けた状態の断面図である。
図8図8は、離床確認装置の第2の態様の実施例の短冊状センサの部分斜視図である。
図9A図9Aは、第2の態様の実施例の短冊状センサをベッドの床材に取り付けた状態の断面図である。
図9B図9Bは、第2の態様の実施例の短冊状センサの作用の説明図である。
図10A図10Aは、第2の態様の実施例の短冊状センサをマットレスの下面に取り付けた状態の断面図である。
図10B図10Bは、第2の態様の実施例の短冊状センサの作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の離床確認装置を図面に基づいて具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0018】
図1は、本発明の離床確認装置のうち、マットレスの下面を上方に付勢する弾性部材を備えない第1の態様の離床確認装置の一実施例をベッド20に取り付けた状態の全体構成図である。また、図2Aは、図1の離床確認装置1を構成する短冊状センサ2Aの背面図であり、図2BはそのA−A断面図である。
【0019】
図1に示すように、この離床確認装置1は、3本の短冊状センサ2A、短冊状センサ2Aとケーブル8で接続したコントローラ3を備えている。
図2A図2Bに示すように、各短冊状センサ2Aは、横断面がU字型に湾曲した可撓性の短冊状プラスチック基板4に、所定間隔で触覚スイッチ実装基板5と短冊状センサ2Aの取付位置調整部材7とを設けたものとなっており、各触覚スイッチ実装基板5には、触覚スイッチ6が2個ずつ近接して実装されている。
【0020】
ここで、触覚スイッチ6とは、先端部のプランジャに加えられた力と内部のバネの変形によってスイッチが開閉する有接点のスイッチをいい、先端部に触れるだけでスイッチがON・OFFするタッチスイッチとは異なる。このような有接点のスイッチを離床確認装置のセンサに用いることで、離床確認装置を電気的に非常に単純な構造に構成することができるので、離床確認装置を低コストで製造することが可能となり、また、故障時の対応も容易となる。
【0021】
触覚スイッチ6としては、スイッチの開閉に要する力、外形、大きさ等の異なる種々のものが市販されており、離床確認装置を設置するベッドに応じて適宜選択することができるが、例えば、従来より、パソコンのキーボード等に用いられている、押圧力0.9〜5NでスイッチがONとなるタクタイルスイッチ(オムロン株式会社製、タクタイルスイッチ、標準形B3Fシリーズ等)を使用することが好ましい。
【0022】
短冊状センサ2Aにおいて、触覚スイッチ6の先端面6aの位置と、取付位置調整部材7の先端面7aの位置は、この短冊状センサ2Aを取り付けるベッド20に対して次のように調整されている。
【0023】
即ち、このベッド20は、ベッドの利用者の褥瘡防止のために所定間隔で複数の蝶型バネ23が蝶型バネ嵌合部24で、横梁22に取り付けられ、蝶型バネ23上にマットレス21が載置され、マットレス21の下面が蝶型バネ23で上方に付勢されるようにしたものである。図3Aは、蝶型バネ23を備えた横梁22の平面図であり、図3BはそのB−B断面図である。また、図4は、マットレス21を蝶型バネ23に載置した状態の蝶型バネ23部分のC−C断面図(図1)である。図4に実線で示すように、このベッド20では、蝶型バネ23によってマットレス21の下に空隙25が形成され、空隙25の大きさがマットレス21上の人の在又は不在によって変化する。より具体的には、マットレス21上に人が存在すると、図4に破線で示したように、蝶型バネ23が開いてマットレス21の下の空隙25が狭まる。このときベッドの利用者は、蝶型バネ23により適度な刺激を受けることができる。なお、このような蝶型バネ23を有するベッド20としては、市販のものを使用することができ、例えば、フェルカー社のマイクロスティミュレーション機能付きベッドをあげることができる。
【0024】
本実施例において、短冊状センサ2Aは、図1に示すように、ベッド20においてマットレス21を載置する横梁22に、触覚スイッチ6を横梁22の上面に対向させるように取り付けられる。図5Aは、蝶型バネ23を備えた横梁22に短冊状センサ2Aを被せた状態の平面図であり、図5Bは、そのD−D断面図である。短冊状センサ2Aを横梁22に取り付けた状態において、取付位置調整部材7の先端面7aは、横梁22に嵌合している蝶型バネ嵌合部24の上面に当接する。そこで、短冊状センサ2Aにおける取付位置調整部材7の先端面の7aの位置は、短冊状センサ2Aを横梁22に取り付けた状態において、マットレス21上に人が不在のときには、短冊状センサ2Aの上面2aがマットレス21の下面21aに接触せず、触覚スイッチ6の先端面6aと横梁22の表面との間に僅かに間隙Pがあき、また、人がマットレス21上に存在する場合には、蝶型バネ23が開くことにより降下してきたマットレス21の下面21aで短冊状センサ2Aの上面2aが押圧され、それにより触覚スイッチ6の先端面6aが横梁22の表面で押圧されるように定める。
【0025】
コントローラ3はPLC(programmable logic controller)等の演算手段を搭載し、各触覚スイッチ6と接続している。コントローラ3の演算手段は、触覚スイッチ6のON又はOFFによりマットレス21上の人の在又は不在を検知したり、体位の変動を検知したりし、不在を検知した場合には、離床信号を出力するようにプログラムされる。例えば、コントローラ3は、全ての触覚スイッチ6がOFFの場合に、その出力端子3aから離床信号を出力する。また、コントローラ3に、触覚スイッチ6のベッド20における取付位置を記憶させ、触覚スイッチ6がONとなっている範囲を検知することにより、マットレス21上で体重のかかっている範囲を検知し、それにより体位の変動を検知し、それを出力できるようにする。より具体的には、例えば、ベッドの片側の触覚スイッチ6のみがONとなっている場合、そのONとなっている側に体位が動いていると考えられるので、体位変動のあったことが出力端子3aから出力されるようにする。
【0026】
また、コントローラ3が触覚スイッチ6のON又はOFFの変動間隔(即ち、体位変動の間隔)を記憶し、その変動間隔が所定時間よりも長い場合に褥瘡防止対応を促す信号や、生死確認の必要を知らせる信号が出力されるようにすることが好ましい。
【0027】
さらに、コントローラ3に通信手段を接続し、マットレス21上の人の在又は不在、体位の変動、褥瘡防止対応の必要、生死確認の必要などを知らせるコントローラ3からの信号が、通信手段から公衆電話回線網、インターネット、有線LAN又は無線LANなどによりナースステーションの端末や、看護師や介護者の携帯電話端末等に送信されるようにしてもよい。例えば、コントローラ3を、インターネットや施設内サーバ30のアクセスポイント31と有線又は無線のネットワークで接続し、コントローラ3により出力される信号が、看護師に利用されている端末32に無線LAN等の通信電波で送信されるようにする。
【0028】
図1に示した離床確認装置1は、次のように使用する。
まず、ベッド20の寝床面の少なくとも中央部、即ち、ベッド上に人が寝ている状態でベッド20が押圧される領域に対応する位置に触覚スイッチ6が配置されるように、蝶型バネ23を備えた横梁22に3本の短冊状センサ2Aを取り付ける。より具体的には、例えば、図1に示すように、マットレス21上で横になった人Hの肩部、腰部及び足部に対応する位置に触覚スイッチ6が配置されるように、蝶型バネ23を備えた横梁22に短冊状センサ2Aを取り付ける。すると、マットレス21上に人が不在の場合には、図6Aに示すように、触覚スイッチ6を配置した短冊状センサ2Aは、蝶型バネ23によって形成された、マットレス21の直下の空隙25の中にあってマットレス21に接触しておらず、触覚スイッチ6の先端面6aと横梁22の表面との間には僅かに間隙Pがあくので、触覚スイッチ6には押圧力が加わらず、触覚スイッチ6はOFF状態となる。これに対し、マットレス21上に人が存在する場合には、図6Bに示すように、蝶型バネ23が開くことによりマットレス21の下面21aが下がり、それにより短冊状センサ2Aの上面2aが押圧され、触覚スイッチ6の先端面6aが横梁22の表面で押圧され、触覚スイッチ6がON状態となる。
【0029】
そこで、例えば、この離床確認装置1の全ての触覚スイッチ6がOFFの場合にコントローラ3から離床信号が出力されるようにする。これにより、ベッド20からの人の離床を確実に検知することができる。
【0030】
各触覚スイッチ6は、マットレス21上のベッド利用者の体重により一旦ONとなっても、その荷重が無くなるとOFFとなり、荷重の有無により正確にON又はOFFの状態を繰り返すので、この離床確認装置1によれば離床の有無を信頼性が高く検知しつづけることができる。
【0031】
なお、離床確認装置1をベッド20に設置するにあたり、短冊状センサ2Aをどの横梁22に取り付けるかは、検知目的に応じて適宜変更することができる。
【0032】
以上、図1に示した実施例に基づいて本発明の離床確認装置の第1の態様を説明したが、本発明の離床確認装置は種々の態様をとることができる。例えば、図7Aに示すように、上述の離床確認装置1において、触覚スイッチ実装基板5の両側部外側で短冊状プラスチック基板4から板状片9を、触覚スイッチ6の先端面6aよりも突出させることが好ましい。この場合、短冊状プラスチック基板4からの板状片9の突出高さは、図7Bに示すように、マットレス21上の人の荷重で蝶型バネ23が開いてマットレス21の下面21aが下がり、それにより短冊状センサ2Aが押圧され、触覚スイッチ6の先端面6aが横梁22の表面で押圧されている状態で、板状片9が横梁22の表面に当接する高さとする。これにより、触覚スイッチ6に過度に押圧力がかかることを防止できるので、短冊状センサ2Aの耐久性を高めることができる。また、マットレス21上に人が不在でありながら、マットレス21に何らかの荷重がかかった場合に、触覚スイッチ6がONとなる誤作動を防止することができる。
【0033】
また、離床確認装置1を取り付けるベッドについても、上述の蝶型バネ23を横梁22に備えたベッド20に限らず、マットレスを載置する梁又は平板等の床材からマットレスの下面を上方に付勢する弾性部材を備えたベッドであって、その弾性部材によって、マットレスの下面の直下に空隙が形成されるものであれば、上述の実施例の離床確認装置に準じて本発明の離床確認装置の第1の態様を使用することができる。
【0034】
一方、本発明の離床確認装置の第2の態様は、それ自体に弾性部材を有するので、マットレスの下面を上方に付勢する弾性部材を備えないベッドに使用することができる。
【0035】
図8は、本発明の第2の態様の一実施例の離床確認装置の短冊状センサ2Bの触覚スイッチ実装部分の斜視図である。この離床確認装置の短冊状センサ2Bは、図1に示した離床確認装置1の短冊状センサ2Aに対して、マットレスを直接載置する梁、平板などの床材に載置されてマットレス21の下面21aを上方に付勢する弾性部材を備える点で異なっており、より具体的には、弾性部材として樹脂製弾性部材10を備えている。
【0036】
樹脂製弾性部材10は、断面弧状の樋型で、図8に示すように短冊状センサ2Bに被せた場合に、少なくともに触覚スイッチ実装基板5を覆い、かつ樹脂製弾性部材10に押圧力がかからない状態では、触覚スイッチ実装基板5に実装されている触覚スイッチ6の先端面6aに接触しない大きさに形成される。
【0037】
この樹脂製弾性部材10を備えた短冊状センサ2Bは、例えば図9Aに示すように、樹脂製弾性部材10の弧の頂部がマットレス21側に向くようにベッドの床材26に載置され、その上にマットレス21が載置される。これによりマットレス21と床材26との間には空隙25が形成される。
【0038】
ベッドの床材26に取り付けられた状態で樹脂製弾性部材10は、その下端部が短冊状プラスチック基板4と固定されておらず、樹脂製弾性部材10が弧を潰す方向に押圧されると、その下端部が短冊状プラスチック基板4の外側方向に広がる。このように樹脂製弾性部材10の下端部が押圧により広がるようにすると、樹脂製弾性部材10を容易に変形させることができる。
【0039】
樹脂製弾性部材10の弾性力に関し、図9Aに示すように短冊状センサ2Bをマットレス21と床材26の間に載置した場合に、マットレス21上に人が存在すると、図9Bに示すように、樹脂製弾性部材10が押しつぶされて樹脂製弾性部材10と触覚スイッチ6の先端面6aとが接触し、さらには触覚スイッチ6がONとなるが、マットレス21上に人が存在しない場合には、樹脂製弾性部材10は断面弧状の形状を維持し、触覚スイッチ6がONとならないように、樹脂製弾性部材10の構成樹脂や厚みなどを適宜選択する。
【0040】
したがって、この樹脂製弾性部材10を備える短冊状センサ2Bを、マットレス21が載置されるベッドの床材26に載置し、その上にマットレス21を重ねると、前述の第1の態様の離床確認装置と同様に、ベッドからの人の離床を確実に検知することができる。
【0041】
図10Aは、樹脂製弾性部材10を備えた短冊状センサ2Bの短冊状プラスチック基板4を、図示しない取り付け具によってマットレス21の下面に取り付け、樹脂製弾性部材の弧の凸形がベッドの床材26側を向くようにしたものである。この取り付け具は、樹脂製弾性部材10が短冊状プラスチック基板4に被さる位置からずれないように短冊状センサ2Bをマットレス21の下面に取り付けるものであればよく、粘着剤により短冊状センサ2Bの短冊状プラスチック基板4をマットレス21の下面21aに貼付してもよい。
【0042】
このように樹脂製弾性部材10を備えた短冊状センサ2Bをマットレス21の下面に取り付け、そのマットレス21をベッドの床材26に載置した場合にも、マットレス21上に人が存在すると、図10Bに示すように、樹脂製弾性部材10が押しつぶされて樹脂製弾性部材10と触覚スイッチ6の先端面6aとが接触し、さらには触覚スイッチ6がONとなるが、マットレス21上に人が存在しない場合には、樹脂製弾性部材10は断面弧状の形状を維持し、触覚スイッチ6がONとならない。したがって、ベッドからの人の離床を確実に検知することができる。
【0043】
本発明において、触覚スイッチ実装基板5の形状や、触覚スイッチ実装基板5に実装する触覚スイッチ6の個数、短冊状センサ2A、2Bの形状、短冊状センサ2A、2Bに取り付ける触覚スイッチ実装基板5の数等は、当該離床確認装置を載置するベッドにおいて、マットレス21と該マットレス21を載置する床材26との間で、マットレス21の下面21aを上方に付勢する弾性部材によって形成される空隙25の大きさや形状によって、また、触覚スイッチ6の耐荷重などに応じて、種々変更することができる。
【0044】
本発明の第2の態様において、短冊状センサ2Bを備える樹脂製弾性部材10をベッドの床材26に載置するか、又はマットレス21の下面に取り付けるかは、短冊状センサ2Bを取り付ける当該ベッドの床材の構造やマットレスの下面の性状に応じて適宜選択することができる。
【0045】
また、本発明の第2の態様において、短冊状センサ2Bを備える樹脂製弾性部材10としては、断面弧状の樋型の樹脂製弾性部材の他にスプリングタイプ、板バネタイプなどの弾性部材も使用することができるが、作製が容易であり、低コストに得られる等の点から樋型の樹脂製弾性部材が好ましい。
【0046】
なお、本発明の第2の態様の離床確認装置を取り付けるベッドとしては、介護用ベッド等として使用されている市販の体圧分散型ベッドをあげることができ、特にベッドの床材26に平板が使用されているものが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
1 離床確認装置
2A、2B 短冊状センサ
2a 短冊状センサの上面
3 コントローラ
3a コントローラ出力端子
4 短冊状プラスチック基板
5 触覚スイッチ実装基板
6 触覚スイッチ
6a 触覚スイッチの先端面
7 取付位置調整部材
7a 取付位置調整部材の先端面
8 ケーブル
9 板状片
10 樹脂製弾性部材
20 ベッド
21 マットレス
21a マットレスの下面
22 横梁
23 蝶型バネ
24 蝶型バネ嵌合部
25 空隙
26 床材
30 サーバ
31 アクセスポイント
32 端末
H 人
P 間隙
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B