(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2次側の非接触給電用パッドが配設されるアウトリガーの端面に、前記2次側の非接触給電用パッドよりも突出する緩衝部材が配設されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリーチ式電動フォークリフトの非接触充電システム。
前記1次側の給電コイルがリーチ式電動フォークリフトのアウトリガーの端面に対向できるように配設された筐体をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリーチ式電動フォークリフトの非接触充電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている非接触充電システムでは、車体本体部の下部下方にコア付き巻線を突設させる。このため、特許文献1に開示されている非接触充電システムを既存の電動フォークリフトに適用する場合、フォークリフトを持ち上げる等して作業スペースを確保する必要があり、コア付き巻線の取り付け作業が容易ではなかった。更にリーチ式電動フォークリフトの場合、車高が低いため、車体本体部の下面にコア付き巻線をそのまま突設させることはできず、車体本体部の下部にコア付き巻線の全部または一部を埋め込む必要がある。このため、特許文献1に開示されている非接触充電システムを既存のリーチ式電動フォークリフトに適用することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、既存のリーチ式電動フォークリフトに搭載されているバッテリを非接触で充電する充電システムの構築が容易となるリーチ式電動フォークリフトの非接触充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、リーチ式電動フォークリフトに搭載されているバッテリを充電する充電システムであって、前記リーチ式電動フォークリフトの外部で交流電源に接続される1次側の給電コイルと、前記リーチ式電動フォークリフトの車体本体部から前方へ突出する左右一対のアウトリガーの少なくとも一方の端面に配設された2次側の非接触給電用パッドと、前記リーチ式電動フォークリフトに配設され、前記2次側の非接触給電用パッドから送られてくる電圧を直流電圧に変換する整流器と、を備え、前記リーチ式電動フォークリフトの外部に配置された前記1次側の給電コイルから、前記リーチ式電動フォークリフトに配設された前記2次側の非接触給電用パッドへ、非接触で電力を供給して、前記バッテリを充電することを特徴とするものである。
【0007】
上記構成によれば、1次側の給電コイルを地中に埋設せずに済む。また、リーチ式電動フォークリフトの場合、アウトリガーの端面に、取り替え自在な保護カバーが設けられている。したがって、保護カバーに代えて2次側の非接触給電用パッドをアウトリガーの端面に配設するだけで済む。以上のことから、既存のリーチ式電動フォークリフトに搭載されているバッテリを非接触で充電する充電システムの構築が容易となる。
【0008】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記2次側の非接触給電用パッドが、両端部にそれぞれ磁極領域が設定された平板状の磁性体と、前記磁性体の各磁極領域の周囲にそれぞれ、前記磁性体の端の外方から前記磁性体の本体部の上面に渡って渦状に巻かれたコイルを備え、前記各コイルはそれぞれ、前記磁性体の本体部の上面において平面的に1段に巻かれ、前記磁性体の端部外方において上下に2段以上に巻かれ、前記2つのコイルには、前記磁極領域の一方から他方へ前記磁性体の上方を通る磁束経路が形成されるよう電圧が印加されることを特徴とするものである。
【0009】
例えば、国際公開第2010/090539号には、磁気透過性の磁心の両端部にそれぞれ磁極領域を設定し、各磁極領域の周りにそれぞれ、平面的且つ螺旋状にコイルを巻いて構成された非接触給電用パッドが開示されている。しかし、この非接触給電用パッドは、各磁極領域の周囲にそれぞれ、平面的且つ螺旋状にコイルを巻いて構成されているため、パッドの平面的な広がりが大きく、パッドの外形寸法が大きくなる。したがって、パッドを取り付けるのに大きなスペースが必要となる。さらに、磁性体の上面においてコイルを横一列に巻くと、コイルの一方の端部は磁性体の裏側から引き出すことが必要となり、パッドの製作が困難となる。これに対して、上記請求項2に記載の発明の構成によれば、各コイルを、磁性体の端部外方で上下に2段以上に巻くことにより、コイルを横一列に巻いたパッドと比較して、平面的な寸法を短くできる。また端部外方においてコイルが磁性体に近づくことになるので、磁性体の起磁力が強くなり、性能が向上する。さらに、磁性体の端の外方をコイルが通過することにより、コイルの一方の端部を磁性体の裏側から引き出す必要がなくなり、パッドの製作が容易となる。
【0010】
また請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明であって、前記磁性体に設定された磁極領域に、前記磁性体に接する第2の磁性体を設けたことを特徴とするものである。この構成によれば、磁極領域に第2の磁性体を設けたことにより、さらに磁性体の起磁力が強くなり、性能が向上する。
【0011】
また請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、前記2次側の非接触給電用パッドが配設されるアウトリガーの端面に、前記2次側の非接触給電用パッドよりも突出する緩衝部材が配設されていることを特徴とするものである。リーチ式電動フォークリフトのフォークにパレット等の搬送対象物を載せる際には、リーチ式電動フォークリフトを搬送対象物に正対させることが望ましいが、リーチ式電動フォークリフトの移動経路等によっては、リーチ式電動フォークリフトを搬送対象物に対して斜めに接近させることがある。このような場合であってもフォークに搬送対象物が確実に載るように、アウトリガーの端面を搬送対象物に衝突させて、搬送対象物をリーチ式電動フォークリフトに正対させている。このため、上述したように、アウトリガーの端面には、取替え自在な保護カバーが設けられている。上記請求項4に記載の発明の構成によれば、2次側の非接触給電用パッドよりも突出する緩衝部材がアウトリガーの端面に配設されるので、2次側の非接触給電用パッドの損傷の防止を図ることが可能となる。
【0012】
また請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明であって、前記1次側の給電コイルがリーチ式電動フォークリフトのアウトリガーの端面に対向できるように配設された筐体をさらに備えることを特徴とするものである。この構成によれば、1次側の非接触給電用パッドの敷設が容易となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、1次側の給電コイルを地中に埋設せずに済むようにし、また、保護カバーに代えて2次側の非接触給電用パッドをアウトリガーの端面に配設するだけで済むようにしたので、既存のリーチ式電動フォークリフトに搭載されているバッテリを非接触で充電する充電システムの構築が容易となる、という効果を有している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、同じ構成要素には同じ符号を付与することによって重複する説明を省略する。また、図面は、理解し易くするために、それぞれの構成要素を模式的に図示している。なお、以下の実施の形態で示す各構成要素の形状や、寸法の数値等は一例であって特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、以下の実施の形態で示す構成は一例であって特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で、適宜、変更することが可能である。
【0016】
図1は本発明の実施の形態におけるリーチ式電動フォークリフトの非接触充電システムを説明するための斜視図である。以下で説明するリーチ式電動フォークリフトの非接触充電システムは、既存のリーチ式電動フォークリフト(バッテリ車)に搭載されているバッテリ(例えば、鉛蓄電池など)を充電するためのものである。
【0017】
図1に示す非接触充電システムは、リーチ式電動フォークリフト11の外部で高周波電源装置(交流電源の一例)に接続される1次側の給電コイル(図示せず)が配設された箱体(筐体の一例)12と、リーチ式電動フォークリフト11の車体本体部から前方へ突出する左右一対のアウトリガー13の少なくとも一方の端面に配設された2次側の非接触給電用パッド14と、リーチ式電動フォークリフト11に配設され、2次側の非接触給電用パッド14から送られてくる電圧を直流電圧に変換する整流器を少なくとも含む充電器15と、を備え、リーチ式電動フォークリフト11の外部に配置された1次側の給電コイル(図示せず)から、リーチ式電動フォークリフト11に配設された2次側の非接触給電用パッド14へ、非接触で電力を供給して、リーチ式電動フォークリフト11に搭載されているバッテリ(図示せず)を充電するものである。
【0018】
リーチ式電動フォークリフト11のフォーク16にパレット等の搬送対象物を載せる際には、リーチ式電動フォークリフト11を搬送対象物に正対させることが望ましいが、リーチ式電動フォークリフト11の移動経路等によっては、リーチ式電動フォークリフト11を搬送対象物に対して斜めに接近させることがある。このような場合であってもフォーク16に搬送対象物が確実に載るように、アウトリガー13の端面を搬送対象物に衝突させて、搬送対象物をリーチ式電動フォークリフト11に正対させている。このため、一般にアウトリガー13の端面には、取替え自在な保護カバー17が設けられる。この実施の形態では、保護カバー17に代えて、2次側の非接触給電用パッド14がアウトリガー13の端面に取り付けられている。
【0019】
また、リーチ式電動フォークリフト11では、車体本体部の前方壁面18の、運転席19とは反対側の部分から、マスト20を傾けるためのティルトシリンダ(図示せず)が突出していたり、その車体本体部の前方壁面18の、運転席19とは反対側の部分に、フォーク16を上下させる昇降装置等へ車体本体部から指令信号を送るためのケーブル(図示せず)などが接続している。そこで、この実施の形態では、運転席19側のアウトリガー13上、または、車体本体部の前方壁面18の運転席19側の部分に、充電器15を固定している。車体本体部の前方壁面18の運転席19側の前方には、充電器15を配置するのに障害となる部品が存在しないので、この構成により充電器15の配設が容易となる。
【0020】
また、充電器15を運転席19側に配置したことから、2次側の非接触給電用パッド14も、運転席19側のアウトリガー13の端面に配置している。この構成により、2次側の非接触給電用パッド14と充電器15との電気的接続が容易となる。更に、運転席19側のアウトリガー13の端面に2次側の非接触給電用パッド14が配置されることにより、リーチ式電動フォークリフト11を運転して、2次側の非接触給電用パッド14を箱体12に近接させることが、容易となる。
【0021】
箱体12の内部に備え付けられる1次側の給電コイルは、箱体12の外部の空間に磁束経路を提供する。例えば、箱体12の内部においてコの字形のコアに給電コイルが巻き付けられていてもよい。この場合には、特定の方向にアーチ状の磁束経路が提供される。リーチ式電動フォークリフト11のバッテリを充電する際には、運転者がリーチ式電動フォークリフト11を運転して、アウトリガー13の端面に配設された2次側の非接触給電用パッド14が、1次側の給電コイルによって有意な磁束経路が発生している領域内に入るようにする。なお、リーチ式電動フォークリフト11のバッテリを充電する際には、磁界(磁力線)により、1次側の給電コイルと2次側の非接触給電用パッドとの間で引き合う力が発生する。このため、2次側の非接触給電用パッド14が箱体12から離れていても、2次側の非接触給電用パッド14が設けられたアウトリガー13の端面へ向けて箱体12が移動して、2次側の非接触給電用パッド14または後述する緩衝部材が箱体12と接触することになる。
【0022】
2次側の非接触給電用パッド14が配設されるアウトリガー13の端面には、2次側の非接触給電用パッド14よりも突出する緩衝部材21が配設されてもよい。緩衝部材21は、2次側の非接触給電用パッド14の両側に設けてもよいし、片側に設けてもよい。2次側の非接触給電用パッド14の片方の側に緩衝部材21を設ける場合、外側に緩衝部材21を設けるのが好適である。このように緩衝部材21を設けることで、2次側の非接触給電用パッド14の損傷の防止を図ることが可能となる。緩衝部材21の材質や構造は特に限定されるものではない。例えば、緩衝部材21の材質は、保護カバー17と同じ材質であってもよい。
【0023】
なお、箱体12は人手で持ち運び可能な大きさにするのが好適である。このようにすれば、リーチ式電動フォークリフト11のバッテリを充電する場所の制約が緩和される。この場合、箱体12の上面に取っ手を設けてもよい。また、1次側の給電コイルによって有意な磁束経路が発生する領域は有限である。このため、リーチ式電動フォークリフト11のバッテリを充電する際に、2次側の非接触給電用パッド14または緩衝部材21が箱体12に衝突して、箱体12が2次側の非接触給電用パッド14から遠ざかり、1次側の給電コイルによって有意な磁束経路が発生している領域から2次側の非接触給電用パッド14が外れると、バッテリの充電ができなくなる。そこで、例えば、床面に金属板を固定し、箱体12にマグネットを設けて、磁力によって箱体12の移動を阻止してもよい。
【0024】
続いて、2次側の非接触給電用パッドの構成の一例について説明する。
図2は本発明の実施の形態における非接触給電用パッドの平面図、
図3は
図2のA−A断面図である。
図2および
図3に示すように、非接触給電用パッド30は、両端部にそれぞれ磁極領域31、32が設定された細長い板状(スリップ状)の第1フェライト(磁性体の一例)33と、これら磁極領域31、32にそれぞれ、第1フェライト33の両端に合わせて、且つ第1フェライト33の上面に接して設けられた板状の第2フェライト(第2の磁性体の一例)34と、第1フェライト33の各磁極領域31、32の周囲にそれぞれ、第1フェライト33の端の外方から第1フェライト33の本体部の上面に渡って渦状(螺旋状)に巻かれたコイル35、36と、これら第1フェライト33、第2フェライト34、およびコイル35、36を支持する、プラスチック等の磁気非透磁性の部材からなる薄い皿状の背面プレート37を備えており、背面プレート37内には、第2フェライト34の前面(上面)を除いて樹脂38が充填されて、背面プレート37に、第1フェライト33、第2フェライト34、およびコイル35、36が固定されている。各コイル35、36の両端部はそれぞれ、背面プレート37の外方に引き出されており、端子39が取り付けられている。
【0025】
第1フェライト33の長軸方向における第2フェライト34の寸法(第2フェライト34の幅方向の寸法)は、第1フェライト33の長軸寸法の1/4の寸法以下に設定され、第2フェライト34の高さ寸法(厚さ)は、コイル35、36を形成する導線35a、36aの太さに合わせて設定されている。また、背面プレート37の奥行きは、その背面プレート37の奥行き方向(第1フェライト33の幅方向または第2フェライト34の長軸方向)におけるコイル35または36の寸法に略設定され、横幅は、その横幅方向(第1フェライト33の長軸方向または第2フェライト34の幅方向)におけるコイル35とコイル36の寸法を加算した寸法以上に設定されている。例えば、第1フェライト33の幅方向におけるコイル35または36の寸法D1が100mmの場合、背面プレート37の奥行きは、略100mmに設定され、第1フェライト33の長軸方向におけるコイル35とコイル36の寸法D2が共に150mmの場合、背面プレート37の横幅は、300mm以上に設定される。背面プレート37の横幅は、コイル35とコイル36の間隙の寸法Sに応じて異なる。
【0026】
また各コイル35、36はそれぞれ、
図3に示すように、第1フェライト33の本体部の上面において平面的に1段に巻かれ、第1フェライト33の端の外方において、上下に2段に巻かれている。なお、巻線数は8本としている。
【0027】
具体的には、各コイル35、36は、次のように巻かれている。
(1)まず各コイル35、36をそれぞれ、磁極領域31、32に内側から外側へ、第1フェライト33の側面の外方(第1フェライト33の上面下方における第1フェライト33の端の外方)から第1フェライト33の本体部の上面に渡って巻く。No.1〜No.4の導線35a、36aに相当する。
(2)各コイル35、36が所定回数巻かれると、No.5の導線35a、36aがそれぞれ、第1フェライト33の本体部の上面から第2フェライト34の側面に巻かれる。
(3)続いて各コイル35、36をそれぞれ、第2フェライト34の側面の外方(第1フェライト33の上面の上方における第1フェライト33の端の外方)から第1フェライト33の本体部の上面に渡って、平面的に内側から外側へ巻く。No.5〜No.8の導線35a、36aに相当する。
【0028】
これにより、第1フェライト33および第2フェライト34の端の外方をコイル35、36が通過するので、各コイル35、36の一方の端部を第1フェライト33の裏側から引き出す必要がなくなり、各コイル35、36の両端部を背面プレート37から引き出しやすくなる。よって、非接触給電用パッド30の製作が容易となる。また、第2フェライト34の下方に位置する第1フェライト33の端部外方をコイル35、36が通過した後に、第1フェライト33の上方に位置する第2フェライト34の端部外方をコイル35、36が通過するので、非接触給電用パッド30の製作が容易となる。
【0029】
この非接触給電用パッド30を、前記したリーチ式電動フォークリフトの非接触充電システムの2次側に使用する場合、例えば
図4に示すように、リーチ式電動フォークリフトに備え付けられた非接触給電用パッド30は、同じくリーチ式電動フォークリフトに備え付けた充電器15に接続される。この充電器15が、リーチ式電動フォークリフトに搭載されているバッテリ41を充電する。
【0030】
具体的には、並列接続された2つのコイル35、36の両端に、これらのコイル35、36とともに高周波電圧の周波数で共振する共振コンデンサ42を接続し、この共振コンデンサ42の両端に充電器15を接続して、バッテリ41を充電する回路を構成してもよい。充電器15は少なくとも整流器を含み、誘導電圧(高周波電圧)から直流電圧(例えば、DC300V)を生成し、バッテリ41を充電する。
【0031】
既存のリーチ式電動フォークリフト11は、プラグが人手によって差し込まれるコネクタを装備しており、そのコネクタが、リーチ式電動フォークリフト11内部の電源系統を介してバッテリ41に接続している。また、既存のリーチ式電動フォークリフト11には、充電器を内部に備えたものと、充電器を備えていないものがあり、充電器を内部に備えたリーチ式電動フォークリフト11のコネクタには、商用電源に繋がるケーブルの先端に設けられているプラグが差し込まれる。一方、充電器を備えていないリーチ式電動フォークリフト11のコネクタには、フォークリフト11の外部に設置した充電器から引き出されたケーブルの先端に設けられているプラグが差し込まれる。そのフォークリフト11の外部に設置した充電器に商用電源が接続される。充電器は少なくとも整流器を含み、商用電源から送られた交流電圧(例えば、AC200V)を直流電圧(例えば、DC300V)に変換する。この直流電圧によって、バッテリ41が充電される。そこで、本実施の形態では、リーチ式電動フォークリフト11の内部の電源系統にインターフェース回路を組み込み、そのインターフェース回路を充電器15に接続する構成としている。充電器15は少なくとも整流器を含み、交流電圧を直流電圧に変換する。充電器15は、整流器以外に、例えばフィルタや、コンバータ等を含むことができる。
【0032】
この構成によれば、1次側の給電コイルによって有意な磁束経路が発生している領域内に2次側の非接触給電用パッド30が配置されたとき、その2次側の非接触給電用パッド30の2つのコイル35、36に誘導電圧(高周波電圧)が誘起され、その誘導電圧が充電器15によって直流電圧(例えば、DC300V)に変換され、その直流電圧が、インターフェース回路を介してリーチ式電動フォークリフト11の電源系統に供給され、リーチ式電動フォークリフト11のバッテリ41が充電される。
【0033】
なお、
図4には、2つのコイル35、36のそれぞれの両端に、1つの共振コンデンサ42が共通に並列接続された回路構成を示しているが、コイル35、36に対して共振コンデンサ42を直列に接続して直列共振回路を構成してもよい。
【0034】
また、
図4には、2つのコイル35、36を並列に接続した回路構成を示しているが、2次側で使用される非接触給電用パッド30において、2つのコイル35、36は直列に接続されてもよい。
【0035】
以上のように本実施の形態によれば、1次側の給電コイルを地中に埋設せずに済む。また、リーチ式電動フォークリフトの場合、アウトリガー13の端面に、取り替え自在な保護カバー17が設けられている。したがって、保護カバー17に代えて2次側の非接触給電用パッド14をアウトリガー13の端面に配設するだけで済む。以上のことから、既存のリーチ式電動フォークリフトに搭載されているバッテリを非接触で充電する充電システムの構築が容易となる。
【0036】
また本実施の形態によれば、各コイル35、36がそれぞれ第1フェライト33の端部外方で上下2段に巻かれるので、コイルを横一列の巻いたパッドと比較して、パッドの平面的な寸法(パッドの外形寸法)を短くできる。また、非接触給電用パッド30は、可搬であって通常3次元というよりも2次元的に配設できる。また端部外方のコイル35、36がフェライト33、34に近づくことになり、フェライト33、34の起磁力が強くなり、性能を向上できる。さらに、フェライト33、34の端の外方をコイル35、36が通過することにより、各コイル35、36の一方の端部を下方のフェライト33の裏側から引き出す必要がなくなり、パッドの製作が容易となる。
【0037】
また本実施の形態によれば、第2フェライト34の下方に位置する第1フェライト33の端部外方をコイル35、36が通過した後に、第1フェライト33の上方に位置する第2フェライト34の端部外方をコイル35、36が通過するので、パッドの製作が容易となる。
【0038】
また本実施の形態によれば、各磁極領域31、32に、第1フェライト33に接する第2フェライト34を設けたので、コイル35、36を巻きやすくなり、作業性を向上でき、パッドの製作が容易となり、さらにフェライト33、34の起磁力が強くなり、性能を向上できる。
【0039】
また本実施の形態によれば、第1フェライト33の長軸方向における各磁極領域31、32の寸法を、第1フェライト33の長軸寸法の1/4以下としたので、磁極領域31、32を除いた第1フェライト33の上面の寸法として、第1フェライト33の長軸寸法の1/2が確保され、各コイル35、36を第1フェライト33の本体部の上面に渡って巻くスペースを確保できる。
【0040】
なお、本実施の形態では、第1フェライト33の裏面側に設けた背面プレート37を、プラスチック等の磁気非透磁性の部材から形成しているが、アルミニウム製の部材としてもよい。アルミニウム製の背面プレートは、第1フェライト33に欠陥や不具合があった場合に、小規模な漏洩磁束を防止できる。
【0041】
また本実施の形態では、各コイル35、36の巻線数を8本としているが、8本に限ることはない。また各コイル35、36を第1フェライト33の端部外方で2段としているが、さらに多くの段数、3段、4段とすることも可能である。但し、非接触給電用パッド30の厚さを薄くするには2段が好ましい。
【0042】
また本実施の形態では、各磁極領域31、32に第2フェライト34を固定しているが、第2フェライト34が無くても、非接触給電用パッド30としての機能を果たすことができる。
【0043】
また本実施の形態では、コイル35、36を2本の導線によって形成しているが、コイル35、36を直列接続する場合には、1本の導線によりコイル35、36を形成してもよい。
【0044】
また本実施の形態では、箱体12の内部に設ける給電コイルの一例として、コの字形のコアに巻き付けられた給電コイルを例示したが、箱体12の内部に非接触給電用パッドを設けてもよい。この非接触給電用パッドは、例えば、平板状のフェライトの両端部にそれぞれ磁極領域を設定し、各磁極領域の周りにそれぞれ、平面的且つ螺旋状に給電コイルを巻いたものであってもよいし、
図2および
図3を用いて説明した非接触給電用パッド30であってもよい。1次側で使用される非接触給電用パッドは、パッドの前面の前方の空間に、アーチ状の磁束経路を提供する。よって、1次側の非接触給電用パッドは、床面に設置された箱体12においてパッドの前面がアウトリガー13の端面に対向できるように配置される。また、この1次側の非接触給電用パッドが有意の水平磁束成分を提供できるパッドの前面からの距離(給電範囲)は、有限である。
【0045】
1次側で使用される非接触給電用パッドに
図2および
図3を用いて説明した非接触給電用パッド30が使用される場合、コイル(給電コイル)35とコイル(給電コイル)36の間隙の寸法Sは、コイル35とコイル36の巻き数が一定の下で、有意の水平磁束成分を提供できる非接触給電用パッド30の前面からの距離(給電範囲)を決める因子の一つであり、その給電範囲は、寸法Sが長くなるほど、大きくなる。
【0046】
また、前記したリーチ式電動フォークリフトの非接触充電システムの1次側に、
図2および
図3に示す非接触給電用パッド30を使用する場合、例えば
図5に示すように、非接触給電用パッド30は高周波電源装置43に接続される。具体的には、箱体12の内部に設けられた1次側の非接触給電用パッド30は、例えば
図5に示すように、商用電源44(例えば、AC200V)に接続する高周波電源装置43から2つのコイル(給電コイル)35、36に高周波電圧が印加される。これにより
図6に示すように、磁束が、一方の磁極領域31または32(一方の第2フェライト34)から第1フェライト33の内部を通って他方の磁極領域32または31(他方の第2フェライト34)から出て、空気中を通って一方の磁極領域31または32に到る磁束経路51が形成され、すなわち非接触給電用パッド30の前面の前方にアーチ状の磁束経路51が形成され、パッド30の前面の前方に有意の水平の磁束成分が提供される。なお、パッド30の裏面側には本質的に磁束経路は形成されない。したがって、リーチ式電動フォークリフト11に設けた2次側の非接触給電用パッド14が、アーチ状の磁束経路51内に配置されると、1次側の非接触給電用パッドに対して上下方向にずれても、また横方向にずれても、2つのコイル35、36に誘導電圧(高周波電圧)が誘起され、充電器15によりバッテリ41が充電される。
【0047】
この構成によれば、1次側の非接触給電用パッドの前面の前方に形成されているアーチ状の磁束経路内に2次側の非接触給電用パッドが配置されたとき、その2次側の非接触給電用パッドの2つのコイル35、36に誘導電圧(高周波電圧)が誘起され、その誘導電圧が充電器15によって直流電圧(例えば、DC300V)に変換され、その直流電圧が、インターフェース回路を介してリーチ式電動フォークリフト11の電源系統に供給され、リーチ式電動フォークリフト11のバッテリ41が充電される。
【0048】
なお、
図5には、2つのコイル(給電コイル)35、36が高周波電源装置43に直接接続された回路構成を示しているが、その2つのコイル35、36と高周波電源装置43との間に、コイル35、36とともに高周波電圧の周波数で共振する共振コンデンサを接続してもよい。この場合、コイル35、36に対して共振コンデンサを並列に接続して並列共振回路を構成してもよいし、直列に接続して直列共振回路を構成してもよい。
【0049】
また、
図5には、2つのコイル(給電コイル)35、36を直列に接続した回路構成を示しているが、1次側で使用される非接触給電用パッド30において、2つのコイル35、36は並列に接続されてもよい。