(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉄鋼プラントのプロセスデータを画面表示するとともにオペレータからの入力を受け付ける画面表示装置と、前記鉄鋼プラントの制御ネットワークとに接続された鉄鋼プラント用データサーバ装置において、
前記制御ネットワークとインタフェースする第1のインタフェース手段と、
前記第1のインタフェース手段を介して前記制御ネットワークからプロセスデータを定周期に読み取る定周期データ収集手段と、
前記定周期データ収集手段が収集したプロセスデータを時系列データとして記憶装置に保存する時系列データ保存手段と、
前記画面表示装置とインタフェースする第2のインタフェース手段と、
前記第2のインタフェース手段を介して入力タグ信号として受け取ったオペレータ操作信号を解釈する入力タグ解釈手段と、
前記入力タグ信号が通常の操作タグとして解釈された場合、前記入力タグ信号を処理して得られる操作信号を前記第1のインタフェース手段を介して前記制御ネットワークへ出力する入力信号処理手段と、
前記入力タグ信号が時間差指定タグとして解釈された場合、前記時間差指定タグに基づいて現在時刻に対する時間差を指定する時間差指定手段と、
前記記憶装置に保存された時系列データから前記時間差指定手段によって指定された時間差だけ遅れた時刻のデータを取り出して前記画面表示装置に表示させる時間遅れ表示データを生成し、生成した時間遅れ表示データを前記第2のインタフェース手段を介して前記画面表示装置に供給する時間遅れ表示データ生成手段と、
を備えることを特徴とする鉄鋼プラント用データサーバ装置。
前記時間遅れ表示データ生成手段が前記画面表示装置へ時間遅れ表示データを供給する周期に合わせて、前記時間差指定手段による指定時間差から一定時間を減算する時間差減算手段をさらに備え、
前記時間遅れ表示データ生成手段は、前記記憶装置に保存された時系列データから前記時間差減算手段によって減算された指定時間差だけ遅れた時刻のデータを取り出すことを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼プラント用データサーバ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現在実用されている汎用の監視システム(SCADAシステム)においては、オペレータからの入力を受け付けるとともにプロセスデータを表示することもできる画面表示装置(汎用の画面表示装置)がHMIとして用いられている。この場合、オペレータはHMIとしての画面表示装置を常に操作し監視していることから、画面表示装置において過去のプロセスデータを表示させることができるならば、トラブルを解析しそれに対処することに大いに役立つものと思われる。
【0006】
しかし、上記公報に開示された従来の監視システムは、データ表示のための描画機能とデータサーバ機能とが装置専用のインタフェースによって密結合しているため、汎用の画面表示装置を用いることはできなかった。つまり、トラブルの解析のために過去のプロセスデータを表示したいのであれば、HMIとして機能している汎用の画面表示装置ではなく専用のデータ描画装置を用いて画面表示せざるを得ない。
【0007】
さらに、従来の監視システムでは、画面表示を行うデータについてのみ記録装置への保存が行われる。このため、実際に何らかのトラブルが発生した場合に、そのトラブルに関連するデータが表示項目に含まれていなければ、データの画面表示によるトラブルの解析を行うことはできない。トラブルの解析を行うためには、表示項目を変更して必要なデータを記録装置へ保存するようにした上で、トラブルが再発するのを待たざるを得ない。
【0008】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたもので、トラブルが発生した後にトラブルの解析に最適なデータをHMIとしての画面表示装置に表示させることができる鉄鋼プラント用データサーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的の達成のため、第1の発明に係る鉄鋼プラント用データサーバ装置は、
鉄鋼プラントのプロセスデータを画面表示するとともにオペレータからの入力を受け付ける画面表示装置と、前記鉄鋼プラントの制御ネットワークとに接続された鉄鋼プラント用データサーバ装置において、
前記制御ネットワークとインタフェースする第1のインタフェース手段と、
前記第1のインタフェース手段を介して前記制御ネットワークからプロセスデータを定周期に読み取る定周期データ収集手段と、
前記定周期データ収集手段が収集したプロセスデータを時系列データとして記憶装置に保存する時系列データ保存手段と、
前記画面表示装置とインタフェースする第2のインタフェース手段と、
前記第2のインタフェース手段を介して入力タグ信号として受け取ったオペレータ操作信号を解釈する入力タグ解釈手段と、
前記入力タグ信号が通常の操作タグとして解釈された場合、前記入力タグ信号を処理して得られる操作信号を前記第1のインタフェース手段を介して前記制御ネットワークへ出力する入力信号処理手段と、
前記入力タグ信号が時間差指定タグとして解釈された場合、前記時間差指定タグに基づいて現在時刻に対する時間差を指定する時間差指定手段と、
前記記憶装置に保存された時系列データから前記時間差指定手段によって指定された時間差だけ遅れた時刻のデータを取り出して前記画面表示装置に表示させる時間遅れ表示データを生成し、生成した時間遅れ表示データを前記第2のインタフェース手段を介して前記画面表示装置に供給する時間遅れ表示データ生成手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
第2の発明に係る鉄鋼プラント用データサーバ装置は、第1の発明に係る鉄鋼プラント用データサーバ装置において、
前記時間遅れ表示データ生成手段が前記画面表示装置へ時間遅れ表示データを供給する周期に合わせて、前記時間差指定手段による指定時間差から一定時間を減算する時間差減算手段をさらに備え、
前記時間遅れ表示データ生成手段は、前記記憶装置に保存された時系列データから前記時間差減算手段によって減算された指定時間差だけ遅れた時刻のデータを取り出すことを特徴とする。
【0011】
第3の発明に係る鉄鋼プラント用データサーバ装置は、第1の発明又は第2の発明に係る鉄鋼プラント用データサーバ装置において、
前記時間差指定タグにはデータ項目指定タグが含まれ、
前記入力タグ信号が時間差指定タグとして解釈された場合に、前記データ項目指定タグに基づいて前記画面表示装置に表示させるデータ項目を指定するデータ項目指定手段をさらに備え、
前記時間遅れ表示データ生成手段は、前記データ項目指定手段で指定されたデータ項目に関し、前記記憶装置に保存された時系列データから前記指定時間差だけ遅れた時刻のデータを取り出して前記時間遅れ表示データを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明に係る鉄鋼プラント用データサーバ装置によれば、トラブルが発生した場合、オペレータがHMIとしての画面表示装置を操作して画面表示させるデータの現在時刻に対する時間差を指定することにより、記憶装置に保存された時系列データから指定時間差だけ遅れた時刻のデータが取り出され画面表示装置に表示される。これにより、オペレータは、トラブル発生時のプロセスデータをトラブルの再発を待たずにHMIとしての画面表示装置において確認し、トラブルを解析することができる。
【0013】
第2の発明に係る鉄鋼プラント用データサーバ装置によれば、画面表示の周期に合わせて指定時間差から一定時間が減算されることにより、HMIとしての画面表示装置には記憶装置に保存された時系列データが実時間より短時間で提供される。これにより、オペレータがトラブル発生時のプロセスデータを確認するのに要する時間を短縮することができる。
【0014】
第3の発明に係る鉄鋼プラント用データサーバ装置によれば、オペレータがHMIとしての画面表示装置を操作して画面表示させるデータの項目を指定することにより、指定されたデータ項目に関して、記憶装置に保存された時系列データから指定時間差だけ遅れた時刻のデータが取り出され画面表示装置に表示される。これにより、オペレータは、自身がトラブルの解析に必要と判断するデータを選択的に画面表示させることができ、HMIとしての画面表示装置をトラブルの解析に適切な画面に変更することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
以下、図を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態1としての鉄鋼プラント用データサーバ装置(以下、単にデータサーバ装置という)の構成を示す図である。データサーバ装置1は鉄鋼プラントのプロセスを監視するプラント監視システム(SCADAシステム)を構成している。
【0018】
データサーバ装置1は制御ネットワーク2に接続されている。制御ネットワーク2には鉄鋼プラントの制御に用いられる1台又は複数台の制御PLC3が接続されている。データサーバ装置1からは制御ネットワーク2を介して操作信号が制御PLC3へ出力され、制御PLC3からは制御PLC3が有するプロセスデータ(ライン速度、板厚、温度、張力、アクチュエータ操作量等)が制御ネットワーク2を介してデータサーバ装置1へ取り込まれる。
【0019】
データサーバ装置1は通信ネットワーク4に接続されている。通信ネットワーク4には時系列データ描画装置5と画面表示装置6とが接続されている。時系列データ描画装置5は制御ネットワーク2を介して制御PLC3から取り込んだプロセスデータをトレンドグラフや表などの形式で表示する専用の装置である。一方、画面表示装置6はプラント監視システム(SCADAシステム)におけるHMIに相当し、鉄鋼プラントのプロセスデータを表示するとともにオペレータからの入力を受け付けることができる。画面表示装置6が有する描画機能は汎用の描画ソフトウェアによって実現されている。
【0020】
図1におけるデータサーバ装置1を示す枠内には、データサーバ装置1が備える種々の機能がブロックで表されている。データサーバ装置1には各ブロックに対応するプログラムが用意され、それらがプロセッサによって実行されることによりブロックで表される機能がデータサーバ装置1において達成される。言い換えれば、データサーバ装置1はブロックで表される各機能を達成する手段を備えている。データサーバ装置1によって達成される機能には、プロセスデータインタフェース101、定周期データ収集機能103、時系列データ保存機能104、要求データ指示機能105、データサーバ機能に対応する専用インタフェース106、時系列データ取り出し機能107、OPCサーバ機能に対応する汎用インタフェース108、入力タグ解釈機能109、入力信号処理機能110、時間差指定機能111、及び時間遅れ表示データ生成機能112が含まれる。また、データサーバ装置1は、ハードウェアとして記憶装置102を備えている。
【0021】
プロセスデータインタフェース101は、制御ネットワーク2とインタフェースし、制御PLC3が有するプロセスデータを制御ネットワーク2からデータサーバ装置1内に取り込むとともに、データサーバ装置1が生成した制御PLC3に対する操作信号を制御ネットワーク2へ出力する。
【0022】
定周期データ収集機能103は、プロセスデータインタフェース101を通して入力されるプロセスデータを一定時間ごとに、すなわち、定周期に読み取って収集する機能である。
【0023】
時系列データ保存機能104は、定周期データ収集機能103によって収集されたプロセスデータを時系列に並べ、時系列データとして記憶装置102に保存する機能である。
【0024】
定周期データ収集機能103がプロセスデータを収集する仕様は、時系列データ描画装置5で設定される。収集仕様には、制御PLC3からデータサーバ装置1にプロセスデータを取り込む周期や、取り込むデータの項目が含まれている。時系列データ描画装置5の画面は、これらの仕様をオペレータの画面操作によって設定できるように作りこまれている。
【0025】
専用インタフェース106は、時系列データ描画装置5に対する専用のインタフェースである。時系列データ描画装置5からデータサーバ装置1へは、オペレータが設定した収集仕様を表現する収集仕様信号が送信される。専用インタフェース106は、収集仕様信号を受信してデータサーバ装置1に取り込む。
【0026】
要求データ指示機能105は、専用インタフェース106が受け取った収集仕様信号を解釈し、収集すべきデータの項目や収集周期などを指定する機能である。要求データ指示機能105によって指定されたデータ項目や収集周期は、時系列データ保存機能104及び定周期データ収集機能103に設定される。
【0027】
時系列データ取り出し機能107は、記憶装置102に保存された時系列データを記憶装置102から取り出す機能である。時系列データ取り出し機能107によって記憶装置102から取り出された時系列データは専用インタフェース106に渡され、専用インタフェース106を介して時系列データ描画装置5に供給される。時系列データ描画装置5は供給された時系列データをディスプレイに表やトレンドグラフの形式で表示する。
【0028】
汎用インタフェース108は、画面表示装置6とインタフェースし、HMIとしての画面表示装置6から入力タグ信号としてのオペレータ操作信号を受信するともに、画面表示装置6に表示させるデータを画面表示装置6に送信する。専用インタフェース106が時系列データ描画装置5と密結合する専用のインタフェースであるのに対し、汎用インタフェース108は画面表示装置6を構築する汎用描画ソフトウェアに対応したOPC仕様の汎用のインタフェースである。
【0029】
入力タグ解釈機能109は、汎用インタフェース108を介して受け取った入力タグ信号(オペレータ操作信号)を解釈する機能である。入力タグ信号には、鉄鋼プラントを制御する目的でオペレータが画面表示装置6を操作したときにオペレータの操作に応じて出力される通常の操作タグと、トラブル解析のためのデータを画面表示させる目的でオペレータが画面表示装置6を操作したときにオペレータの操作に応じて出力される時間差指定タグとが含まれる。入力タグ解釈機能109により入力タグ信号が解釈されることによって、入力タグ信号が通常の操作タグと時間差指定タグのどちらなのかが判明する。
【0030】
入力タグ信号が通常の操作タグとして解釈された場合には、入力信号処理機能110が働く。入力信号処理機能110によれば、入力タグ信号が処理されて制御PLC3に対する操作信号が得られる。得られた操作信号はプロセスデータインタフェース101を介して制御ネットワーク2へ出力される。
【0031】
一方、入力タグ信号が時間差指定タグとして解釈された場合には、時間差指定機能111が働く。時間差指定機能111によれば、時間差指定タグの値に基づいて現在時刻に対する時間差が指定される。
【0032】
時間遅れ表示データ生成機能112は、画面表示装置6に表示させる時間遅れ表示データを生成する機能である。時間遅れ表示データ生成機能112によれば、時系列データ取り出し機能107を働かせることにより、記憶装置102に保存された時系列データから、時間差指定機能111によって指定された時間差だけ遅れた時刻のデータが取り出される。
【0033】
時間遅れ表示データ生成機能112によるデータの取り出しについて具体例を用いて図解したものが
図2である。例えば、
図2に示すように、現在時刻が11:10:10.101で指定時間差が00:10:00の場合、要求時刻は11:00:10.101となる。収集時刻が11:00:10.101のデータが記憶装置102に保存されている時系列データの中にあるならば、そのデータが時系列データより取り出される。しかし、
図2に示すように、要求時刻に合致するデータが存在しない場合は、保存されている時系列データの中から要求時刻の以前で要求時刻に一番近い時刻のデータ(この場合は、収集時刻が11:00:10.100のデータ)が時系列データより取り出される。時間遅れ表示データ生成機能112によれば、このような方法で取り出したデータに基づいて時間遅れ表示データが生成される。生成された時間遅れ表示データは、汎用インタフェース108を介して画面表示装置6に供給される。
【0034】
図3は画面表示装置6に表示される画面の一例である。この例では、速度と張力とが鉄鋼プラントのラインを表現するグラフィック表示の中に数値で示されている。これらの数値は通常は現在値とされている。しかし、データサーバ装置1から時間遅れ表示データが供給されたときには、これらの数値は時間遅れ表示データによって現在時刻よりも指定時間差だけ過去の値に置き換えられる。
【0035】
以上述べた機能がデータサーバ装置1に備えられたことにより、データサーバ装置1によって構成されるプラント監視システムでは、トラブルの発生後におけるトラブル解析が容易となる。その理由について
図4に示すデータフローに基づいて説明する。
【0036】
図4には、オペレータと画面表示装置6とデータサーバ装置1との間におけるデータのフローが表されている。まず、トラブルが発生した場合、オペレータはトラブルが発生した時刻に基づいて現在時刻に対する時間差をHMIとしての画面表示装置6に入力する(ステップS11)。トラブルの発生は、制御PLC3から送られてくるプロセスデータに基づき、データサーバ装置1において自動で検知される。データサーバ装置1が有するトラブル検知機能(図示略)によってトラブルの発生が検知された場合、データサーバ装置1から画面表示装置6に信号が送られトラブルの発生時刻が画面表示装置6に表示される。オペレータは、表示されたトラブルの発生時刻を見て入力すべき時間差を判断することになる。
【0037】
画面表示装置6は、オペレータが入力した時間差をオペレータ操作信号に変換し(ステップS21)、データサーバ装置1に対する入力タグ信号としてオペレータ操作信号を送信する(ステップS22)。
【0038】
データサーバ装置1は、汎用インタフェース108を介して入力タグ信号を受信し(ステップS31)、入力タグ解釈機能109によって入力タグ信号を解釈する(ステップS32)。入力タグ信号が時間差指定タグではなく通常の操作タグであるならば、入力信号処理機能110によって制御PLC3に対する操作信号を生成し、プロセスデータインタフェース101を介して制御ネットワーク2へ出力する(ステップS37)。しかし、ここでは入力タグ信号は時間差指定タグであるので、データサーバ装置1は、時間差指定機能111により現在時刻に対する時間差を指定する(ステップS33)。
【0039】
次に、データサーバ装置1は、時間遅れ表示データ生成機能112により、記憶装置102に保存された時系列データから指定時間差だけ遅れた時刻のデータを取り出す(ステップS34)。そして、取り出したデータに基づいて時間遅れ表示データを生成し(ステップS35)、汎用インタフェース108を介して画面表示装置6に時間遅れ表示データを送信する(ステップS36)。
【0040】
画面表示装置6は、データサーバ装置1から供給される時間遅れ表示データを受信し(ステップS23)、画面内の所定の位置に時間遅れ表示データを表示する(ステップS24)。ここに表示されるデータは、現時刻より指定時間だけ過去の時刻におけるプロセスデータであり、そこにはトラブルの発生時刻とその前後におけるプロセスデータも含まれている。
【0041】
これにより、オペレータは、トラブル発生時のプロセスデータをトラブルの再発を待たずにHMIとしての画面表示装置6において確認し、トラブルを解析することができる(ステップS12)。
【0042】
実施の形態2.
次に、図を参照して本発明の実施の形態2について説明する。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態2としてのデータサーバ装置の構成を示す図である。
図1で説明した実施の形態1と同一要素には同一符号を付し、説明を省略する。以下、本実施の形態の特徴部について説明する。
【0044】
本実施の形態では、データサーバ装置1に時間差減算機能113が追加されている。時間差減算機能113は、画面表示装置6へ時間遅れ表示データが供給される周期に合わせて、時間差指定機能111で指定された時間差から一定時間を減算する機能である。このような機能が追加されたことにより、時間遅れ表示データ生成機能112によって記憶装置102から時系列データを取り出す際、取り出されるデータの収集時刻と現在時刻との時間差は周期ごとに一定時間ずつ短くされていく。例えば、画面表示装置6へのデータ供給周期が0.1秒の場合において、現在時刻が11:10:10.000で指定時間差が00:10:00.000であり、時間差減算機能113により毎周期00:00:00.100だけ指定時間差が減算されるものとする。この場合、初回のデータ供給では00:10:00.000の時間差、即ち収集時刻11:00:10.000のデータを供給するが、2回目のデータ供給では指定時間差が00:09:59.900となるため、供給されるデータの収集時刻は11:00:10.200となる。これにより、画面表示装置6へは0.1秒ごとに0.2秒進んだデータが供給されることになって、画面表示装置6では早送りによる画面表示が行われる。
【0045】
本実施の形態によれば、トラブルの発生時刻及びその前後におけるプロセスデータを実時間より短時間で画面表示することができるので、オペレータがトラブル発生時のプロセスデータを確認するのに要する時間を短縮することができる。
【0046】
その他.
ところで、トラブルの解析にはプロセスデータの全てではなく一部のデータ項目があれば足りる場合がある。また。普段は画面表示装置6に表示されていないデータ項目について、トラブル発生時の状況を知りたい場合もある。このような場合、画面表示装置6に表示させるデータ項目をオペレータが任意に選択できれば便利である。
【0047】
よって、上述の実施の形態においては、現在時刻に対する時間差に加えて画面表示装置6に表示させるデータ項目をオペレータが画面表示装置6に入力できるようになっていることがより好ましい。画面表示装置6の画面は汎用描画ソフトウェアによって構築されていることから、画面上においてデータ項目を選択可能にすることは容易である。オペレータの入力にデータ項目の指示が含まれているのでれば、入力タグ信号としてのオペレータ操作信号に時間差指定タグとともにデータ項目指定タグを付ければよい。
【0048】
この場合、データサーバ装置1にはデータ項目指定機能を追加すればよい。データ項目指定機能は、入力タグ信号が時間差指定タグとして解釈された場合に、それに含まれるデータ項目指定タグに基づいて画面表示装置6に表示させるデータ項目を指定する機能である。そして、データ項目指定機能により指定されたデータ項目に関し、記憶装置102に保存された時系列データから指定時間差だけ遅れた時刻のデータを取り出して時間遅れ表示データを生成するようにすればよい。
【0049】
これによれば、オペレータは、自身がトラブルの解析に必要と判断するデータを選択的に画面表示させることができ、HMIとしての画面表示装置をトラブルの解析に適切な画面に変更することができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。