(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962672
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ATF切替機構を備えた自動変速機試験装置及び自動変速機試験方法
(51)【国際特許分類】
G01M 13/02 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
G01M13/02
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-555244(P2013-555244)
(86)(22)【出願日】2013年1月18日
(86)【国際出願番号】JP2013050964
(87)【国際公開番号】WO2013111686
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年4月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-11986(P2012-11986)
(32)【優先日】2012年1月24日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】前里 哲博
(72)【発明者】
【氏名】増井 勝
【審査官】
山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−001528(JP,A)
【文献】
特開平11−326131(JP,A)
【文献】
特開平09−068480(JP,A)
【文献】
特開平08−285731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00 − 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットに搭載した被試験装置としての自動変速機の機種に応じて種類の異なるATFを供給する二つのオイルタンク及び給油パイプと、上記自動変速機の機種に応じて供給するATFの種類を切替えるATF切替機構と、を備えた自動変速機試験装置において、
上記ATF切替機構は、
二つのオイルタンクの給油パイプの先端に各々設けられた供給側カプラと、
上記パレット上で給油パイプを介して上記自動変速機に接続され、上記供給側カプラと結合する被供給側カプラと、
上記供給側カプラを上記被供給側カプラの位置に移動させて上記供給側カプラと上記被供給側カプラを結合させるカプラ連結機構と
を備え、
上記カプラ連結機構は、
上記二つの供給側カプラを支持したホルダと、
上記二つの供給側カプラのうち上記被供給側カプラに結合する供給側カプラが上記パレットの被供給側カプラの真上に位置するように、上記ホルダを水平方向に移動させる水平方向駆動部と、
上記パレットの被供給側カプラの真上に位置させた供給側カプラを、上下方向に移動させて上記被供給側カプラに結合させる上下方向駆動部と
を備え、
上記二つの供給側カプラのうち、一方の供給側カプラは第1のオイルタンクの給油パイプの先端に設けられた第1カプラからなり、他方の供給側カプラは第2のオイルタンクの給油パイプの先端に設けられた第2カプラからなり、
上記被供給側カプラは、上記パレットに設けられ、上記第1カプラ又は第2カプラと結合する第3カプラからなること
を特徴とするATF切替機構を備えた自動変速機試験装置。
【請求項2】
上記パレットは、自動変速機の機種に応じた専用のパレットとして構成されていて、上記被供給側カプラと上記パレットに搭載された自動変速機を連結する給油パイプを備えていることを特徴とする請求項1に記載のATF切替機構を備えた自動変速機試験装置。
【請求項3】
パレットに搭載した被試験装置としての自動変速機の機種に応じて種類の異なるATFを供給する二つの供給側カプラのいずれかをカプラ連結機構によって上記パレットに設けた被供給側カプラに結合して上記自動変速機の機種に応じたATFを供給して自動変速機の試験を行なう自動変速機の試験方法であって、
上記自動変速機の機種に応じたATFを供給する請求項1または2に記載の供給側カプラを、請求項1または2に記載のカプラ連結機構で請求項1または2に記載の被供給側カプラ上に移動させた後に、当該供給側カプラを下方に移動させて当該供給側カプラと当該被供給側カプラとを結合させることを特徴とする自動変速機の試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク(被試験装置)としての自動変速機にATF(オートマチックトランスミッションオイル)を供給して、自動変速機の各種試験を行なう自動変速機試験装置に関し、特に、複数の機種の自動変速機の試験を行なう場合において、供給するATFを自動変速機の機種に対応するATFに切り替えて供給するためのATF切替機構を備えた自動変速機試験装置及び自動変速機試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被試験装置としての自動変速機(以下、ワーク)の各種試験を行なう自動変速機試験装置においては、ワークへATFを供給して行なわれる。
図3は、その一例を示す説明図である。パレット101に搭載され、ATFステーションに搬入されてきたワーク102へのATFの供給は、オイルタンク103から給油パイプ104を介して行なわれる。105は給油パイプ104の先端部を接続したワーク102のオイル注入口、106はオイル抽出口であり、該オイル抽出口106には排油パイプ107が接続されていて、該排油パイプ107を介して、上記ワーク102から排出されたATFはオイルタンク103に戻される。108はオイルパン、109はラインフィルタ、110はオイルタンク103内に設けられたヒータ、111は調温器、112は圧力センサ、113はオイルタンク103に油路114,115を介して接続された集中給油装置であり、上記油路114を介してオイルタンク103のATFを集中給油装置113に供給して、該集中給油装置113によってATFを浄化し、上記油路115を介して集中給油装置113のATFをオイルタンク103に供給する。
【0003】
ところで、上述したように単一のオイルタンク103を使用して、ワーク102にATFを供給する場合には、ワーク102が一機種であれば、この機種に応じたATFを供給すればよいので問題は無いが、ワーク102が複数機種あり、機種ごとに使用するATFの種類が異なる場合には対応することができない。
【0004】
そこで、機種の異なる複数機種のワーク102に対応するために、
図4に示すように、第2のオイルタンク121及び給油パイプ122を使用して、上記オイルタンク103内のATFとは種類の異なるATFを注入する。
【0005】
123は、機種の異なるワーク102に対応させて注入するATFを切替えるためにパレット101の手前(第1,第2のオイルタンク103,121寄り)のパレット101の外側に配置されたATF切替機構であり、該ATF切替機構123には油分配器(切替弁)が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−326131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来のATF切替機構に油分配器(切替弁装置)123を使用した自動変速機試験装置にあっては、例えば、第1のATFをワーク102に注入後に、これとは機種の異なるワーク102に第2のATFを注入するべく、油分配器123の弁を切り替えた場合に、油分配器123とワーク102の間の給油パイプ104の一部104aに第1のATFが残存するために次に述べるような課題があった。
(1)上記給油パイプ104の一部104a内に残存している第1のATFが第2のATFと共にワーク102内に注入され、第1のATFと第2のATFが混ざり合って、第2のATFの性能が低下してしまう。特に、従来は、
図4に示されているように、油分配器123をパレット101の外側に配置していたために、上記給油パイプ104の一部104a、即ちワーク102から油分配器123迄の距離が長くなり、該部に残存するATFの量が多くなる。
(2)異なる種類のATFが混ざり合うと、混ざり気のない純粋なATFとしての再利用が困難になる。
(3)上記油分配器123とワーク102の間の給油パイプ104内に残存するATFの量の正確に把握するのが難しく、従って、正確なオイル量を供給することが難しくなる。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決し、複数種類のATFが混ざり合うことによるオイル性能の低下を抑制すると共に、混じり気の無いATFとして再利用を可能にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、パレットに搭載した被試験装置としての自動変速機の機種に応じて種類の異なるATFを供給する二つのオイルタンク及び給油パイプと、上記自動変速機の機種に応じて供給するATFの種類を切替えるATF切替機構と、を備えた自動変速機試験装置において、上記ATF切替機構は、二つのオイルタンクの給油パイプの先端に
各々設けられた供給側カプラと、上記パレット上で給油パイプ
を介して上記自動変速機に接続され、上記供給側カプラと結合する被供給側カプラと、上記供給側カプラを上記被供給側カプラの位置に移動させて上記供給側カプラと上記被供給側カプラを結合させるカプラ連結機構とを備え、上記カプラ連結機構は、
上記二つの供給側カプラを支持
したホルダと、
上記二つの供給側カプラのうち上記被供給側カプラに結合する供給側カプラ
が上記パレットの被供給側カプラ
の真上に位置
するように、上記ホルダ
を水平方向に移動させる水平方向駆動部と、
上記パレットの被供給側カプラの真上に位置させた供給側カプラ
を、上下方向に移動させて上記被供給側カプラに結合させる上下方向駆動部とを備え、
上記二つの供給側カプラのうち、一方の供給側カプラは第1のオイルタンクの給油パイプの先端に設けられた第1カプラ
からなり、
他方の供給側カプラは第2のオイルタンクの給油パイプの先端に設けられた第2カプラ
からなり、上記被供給側カプラは、上記パレットに設けられ、上記第1カプラ又は第2カプラ
と結合する第3カプラからなることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1のATF切替機構を備えた自動変速機試験装置において、
上記パレットは、自動変速機の機種に応じた専用のパレットとして構成されていて、上記被供給側カプラと上記パレットに搭載された自動変速機を連結する給油パイプを備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、
パレットに搭載した被試験装置としての自動変速機の機種に応じて種類の異なるATFを供給する二つの供給側カプラのいずれかをカプラ連結機構によって上記パレットに設けた被供給側カプラに結合して上記自動変速機の機種に応じたATFを供給して自動変速機の試験を行なう自動変速機の試験方法であって、上記自動変速機の機種に応じたATFを供給する請求項1または2に記載の供給側カプラを、請求項1または2に記載のカプラ連結機構で請求項1または2に記載の被供給側カプラ上に移動させた後に、当該供給側カプラを下方に移動させて当該供給側カプラと当該被供給側カプラとを結合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
(1)請求項
1の発明によれば、パレットに搭載した自動変速機が第1の機種である場合には、この機種に使用するATFを収容したオイルタンクの給油パイプの先端部に設けた供給側カプラを上記パレットに設けた被供給側カプラに結合して、上記自動変速機にATFを供給する。ATFを供給し終えたら、供給側カプラを被供給側カプラから外して、自動変速機を次工程に送る。
上記第1の機種の自動変速機へのATFの供給終了後に、第2の機種の自動変速機がパレットで送られてきた場合には、この機種に使用するATFを収容したオイルタンクの給油パイプの先端部に設けた供給側カプラを上記パレットに設けた被供給側カプラに結合して、上記自動変速機にATFを供給する。
上記給油終了後、供給側カプラを被供給側カプラから外した場合に、被供給側カプラ側にATFの一部が残留するが、残留するのは、パレット上において被供給側カプラと自動変速機を結ぶ給油パイプ等の僅かな長さ部分であり、上記従来のパレット外に油分配器を配置する場合に較べて、残留するATFの量を低減させることができる。
【0015】
また、上記ホルダを水平方向駆動部で水平方向に移動させ、上記ホルダに取り付けられている供給側カプラを上記パレットの被供給側カプラ上に位置させる。そして、被供給側カプラ上に位置に位置している供給側カプラを上下方向駆動部で下降させて、供給側カプラを被供給側カプラに接続させることができる。
【0016】
(2)請求項
2の発明によれば、上記パレットは、第1または第2の機種専用の自動変速機のパレットとして使用されるので、被供給側カプラと上記パレットに搭載された自動変速機を連結する給油パイプ等にATFが残留していても、種類の異なるATFが混ざり合うことはない。
【0017】
(3)請求項
3の発明によれば、自動変速機の機種に応じたATFを供給する供給側カプラを、カプラ連結機構で被供給側カプラ上に移動させた後に、供給側カプラを下方に移動させるという簡単な方法で供給側カプラと被供給側カプラとを結合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の自動変速機試験装置の概略を示す略示的平面図。
【
図2】(A)は自動変速機試験装置の正面図、(B)は側面図、(C)は底面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1、
図2を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の自動変速機試験装置の概略を示す略示的平面図である。被試験装置としての自動変速機(以下、ワークと称する)1は、パレット2に搭載されていて、搬送ベルトコンベア3でオイル注入ステーション4に搬送され、該オイル注入ステーション4においてワーク1にATFが注入される。
【0020】
ATFを注入されたワーク1は、搬送ベルトコンベア5でテストステーション6に搬送される。テストステーション6においてはATFを適宜注入しながら振動計測テスト等の各種性能テスト等が行なわれる。テストが終了したら搬送ベルトコンベア7で上記ワーク1をオイル抜取ステーション8に搬送してワーク1からATFを抜き取った後に、ワーク1を搬出する。
【0021】
ワーク1には複数の機種、大きさ、使用するATFも異なるものが複数存在する。例えば第1,第2の2種類の機種がある。以下、第1の機種のワーク1をワークAと称し、第2の機種のワーク1をワークBと称する。なお、10,11は種類の異なるATFを収納した第1,第2のATFタンク(以下、第1のATFタンクをワークA用オイルタンク、第2のATFタンクをワークB用オイルタンクと称する)であり、ワークA用オイルタンク10には、ワークA用オイル(以下、A用オイルと称する)が収容され、ワークB用オイルタンク11には、ワークB用オイル(以下、B用オイルと称する)が収容されている。12はオイル供給/計測器ユニット、13は制御盤である。
【0022】
ワークA用オイルタンク10内のA用オイルは、第1の給油パイプ14を介してパレット2に搭載されているワークAに供給される。また、ワークB用オイルタンク11内のB用オイルは、第2の給油パイプ15を介してパレット2に搭載されているワークBに供給される。ワーク1の機種に応じたオイルの切替えはATF切替機構(以下、カプラ切替機構と称する)16により行なわれる。
【0023】
図2に示すように、カプラ切替機構16は、第1の給油パイプ14(
図1参照)の先端に設けられた第1カプラ17と、第2の給油パイプ15(
図1参照)の先端に設けられた第2カプラ18と、ワーク1を搭載したパレット2に設けられ、第1カプラ17又は第2カプラ18と結合する第3カプラ19と、第1カプラ17又は第2カプラ18を第3カプラ19の位置に移動させて第1カプラ17又は第2カプラ18と第3カプラ19をカップリングさせるカプラ連結機構20と、を備えている。
【0024】
カプラ連結機構20は、第1,第2カプラ17,18を上下方向に移動させて第3カプラ19の上方向から該カプラ19に第1カプラ17又は第2カプラ18を接離させる上下方向駆動部21と、第1,第2カプラ17,18を水平方向に移動させて、これら第1,第2カプラ17,18の何れか一方を第3カプラ19上に位置させる水平方向駆動部22と、を備えている。
【0025】
上下方向駆動部21は、第1カプラ17又は第2カプラ18を下端に取り付けた一対の昇降板23,24と、これら昇降板23,24をレール25により昇降可能に組み付けた昇降板ホルダ26と、昇降板23,24を昇降させるエアーシリンダ27,28と、を備えている。そして、エアーシリンダ27,28で昇降板23,24を介して第1,第2カプラ17,18を昇降させる。
【0026】
水平方向駆動部22は、昇降板ホルダ26をレール29により水平方向に移動可能に支持しているホルダ支持部30と、昇降板ホルダ26をレール29に沿って水平方向に移動させるエアーシリンダ31と、を備えている。そして、エアーシリンダ31で昇降板ホルダ26を水平方向に移動させて第1,第2カプラ17,18の何れか一方を第3カプラ19上に位置させた後に、該カプラを上下方向駆動部21で下方向に移動させて、第3カプラ19にカップリングさせる。
【0027】
図2(C)に示すように、第1,第2カプラ17,18には、3つのカプラ32と、2つのガイドピン33が設けられている。一方、図示は省略したが第3カプラ19には、上記3つのカプラ32に連通する3つのオイル通路と、2つのガイドピン受孔が設けられている。
【0028】
上述したように、エアーシリンダ31で昇降板ホルダ26を水平方向に移動させて第1,第2カプラ17,18の何れか一方を第3カプラ19上に位置させた後に、該カプラを上下方向に移動させると、ガイドピン33a,33bがガイドピン受孔に挿入されて、第1カプラ17又は第2カプラ18と第3カプラ19相互の位置決めが成され、第1カプラ17又は第2カプラ18の3つのカプラ32と第3カプラ19の3つのカプラ(図示省略)が連通する。
【0029】
第3カプラ19の3つのカプラは、それぞれ3本の給油パイプ34によってパレット2に搭載されたワーク1の所定の箇所に接続されていて、ワークA用オイルタンク10のA用オイル又はワークB用オイルタンク11内のB用オイルを、給油パイプ34を介して、ワーク1の所定の箇所に供給する。
【0030】
次に、上記自動変速機試験装置の作用、効果について説明する。先ず、ワークAにA用オイルを注入する場合について説明する。
【0031】
ワークAを搭載したパレット2は、搬送ベルトコンベア3でオイル注入ステーション4に搬送される。オイル注入ステーション4においては、ワークA用オイルタンク10から延びる第1の給油パイプ14の先端に設けた第1カプラ17をパレット2に設けた第3カプラ19に接続して、ワークA用オイルタンク10のA用オイルを第1の給油パイプ14及び3本の給油パイプ34を介してワークAの所定の箇所に注入する。
【0032】
A用オイルを注入し終えたワークAが搬送ベルトコンベア5で次工程のテストステーション6に搬送されると、オイル注入ステーション4には、次のワーク1が搬送されてくる。次に搬送されてきたワーク1がワークAである場合には、前記と同様にしてA用オイルをワークAに注入する。次に搬送されてきたワーク1がワークBである場合には、ワークB用オイルタンク11から延びる第2の給油パイプ15の先端に設けた第2カプラ18を、パレット2に設けた第3カプラ19に接続して、ワークB用オイルタンク11のB用オイルを第2の給油パイプ15及び3本の給油パイプ34を介してワークBの所定の箇所に注入する。なお、実施例では、ワークへのATFの注入先が3箇所であるので、第1,第2カプラ17,18に3つのカプラ32を設けたが、カプラ32の数は、ワークのATFの注入先の数に応じて決定される。
【0033】
パレット2をワークAとワークBの両方に使用する兼用パレットとした場合には、ワークA(又はワークB)をパレット2に搭載してA用オイルを使用した後に、パレット2にワークB(又はワークA)を搭載してB用オイルを注入する場合に、ワークA(又はワークB)にA用オイルを注入した際に、給油パイプ34に残留しているA用オイル(又はB用オイル)が、次のB用オイル(又はA用オイル)と共にワークA(又はワークB)に注入され、A用オイルとB用オイルが混合される恐れがあるが、給油パイプ34は、パレット2に設けた第3カプラ19と、パレット2に搭載されたワークA又はワークBを連結するものであり、その長さは短く、従って給油パイプ34a〜34c内に残留するオイルの量も僅かであるので、A用オイルとB用オイルの混合によるオイル品質の低下を最小限に抑えることができる。
【0034】
また、パレット2をワークA用、又はワークB用として、専用のものとすれば、A用オイルとB用オイルの混合を確実に防止することができる。なお、実施例では、ATFが2種類の場合について説明したが、3種類以上のATFを使用する場合には、その数に応じたオイルタンクや供給パイプ、供給側カプラを使用する。
【符号の説明】
【0035】
1…自動変速機(ワーク1、ワークA、ワークB)
2…パレット
3…搬送コンベア
4…オイル注入ステーション
5…搬送コンベア
6…テストステーション
7…搬送コンベア
8…オイル抜取ステーション
10…第1のATFタンク(ワークA用オイルタンク)
11…第2のATFタンク(ワークB用オイルタンク)
12…オイル供給/計測器ユニット
13…制御盤
14…第1の給油パイプ
15…第2の給油パイプ
16…ATF切替機構(カプラ切替機構)
17…第1の供給側カプラ(第1カプラ)
18…第2の供給側カプラ(第2カプラ)
19…被供給側カプラ(第3カプラ)
20…カプラ連結機構
21…上下方向駆動部
22…水平方向駆動部
23…昇降板
24…昇降板
25…レール
26…昇降板ホルダ
27…エアーシリンダ
28…エアーシリンダ
29…レール
30…ホルダ支持部
31…エアーシリンダ