(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機体と、前記機体に対して水平方向の軸回りに回転可能に取り付けられたアタッチメントと、前記アタッチメントの長手方向に沿って設けられた油圧配管とを有する建設機械の前記油圧配管を支持するための配管支持具であって、
前記アタッチメントの長手方向と平行な支持方向に沿って前記油圧配管を支持可能な支持部と、
前記支持部に連結されているとともに前記アタッチメントの外側面に対して隅肉溶接される被溶接部とを備え、
前記隅肉溶接のために前記アタッチメントの外側面から立ち上がるように配置される前記被溶接部の側面は、前記支持方向と平行な方向に対して略直交するとともに互いに逆向きに配置された一対の直交面と、前記一対の直交面の端部からそれぞれ前記支持方向と平行な方向に対して傾斜する方向に延びるとともに互いに連結された一対の傾斜面とを含み、
前記傾斜面は、前記直交面に対して鋭角に連結されている、配管支持具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、アームの上板20には、当該アームを用いた作業時にアームの長手方向に沿って応力が発生する(以下、この応力の方向を第1応力方向D7という)。一方、アームの上板には、当該アームを用いた作業時にバケットを駆動するためのシリンダから受ける反力によって第1応力方向D7と直交する第2応力方向D8に沿った応力が発生する場合もある。
【0008】
ここで、プレート21の側端面21aは、第1応力方向D7と平行し、かつ、第2応力方向D8と直交している。そのため、第2応力方向D8の応力に対する側端面21aにおける溶接部の強度が不足するおそれがある。
【0009】
また、側端面21aと側端面21bとの角部の溶接部においては応力が集中するため、当該角部の溶接部の強度も不足するおそれがある。
【0010】
一方、プレート21の側端面21bは、両応力方向D7、D8に対して傾斜して配置されている。そのため、両応力方向D7、D8の応力のうち側端面21bと直交する方向に作用する成分を小さくすることができ、当該側端面21bにおける溶接部の強度は、他の箇所と比較して高い。
【0011】
そこで、ビード22のうち側端面21aに沿って設けられた直交部22a(
図12のハッチング部分)及び角部に沿って設けられた角部22c(
図12のクロスハッチング部分)における溶接強度を向上するために、当該直交部22a及び角部22cに対してグラインダーGによる研削処理を施す場合がある。
【0012】
具体的には、
図11に示すように、ビード22の断面積が第2応力方向D8に沿って徐々に大きくなるようにビード22(直交部22a及び角部22c)の止端部から所定の範囲に亘りビード22が研削される。
【0013】
この場合、
図12に示すように、第2応力方向D8と平行な研削方向D5に沿ってグラインダーGを往復移動させるとともに直交部22aと平行な移動方向D6に沿ってグラインダーGを移動させることにより直交部22a及び角部22cの研削処理が行われる。
【0014】
一方、上述のように両応力方向D7、D8に対して傾斜する側端面21bにおける溶接部は直交部22a及び角部22cにおける強度と比較して高いため、当該側端面21bに沿って設けられたビード22の傾斜部22bに対する研削処理は省略される。
【0015】
そのため、グラインダーGによる研削処理は、直交部22aから、角部22cと傾斜部22bとの境界位置である終端部23cまでの範囲に施される。
【0016】
ここで、終端部23cにおいて角部22cと傾斜部22bとの間に段差が形成されると、当該段差において応力集中が発生する。これを防止するために、終端部23cにおいて角部22cと傾斜部22bとが第2応力方向D8になだらかに連続するような仕上げ処理を施す必要がある。
【0017】
しかしながら、特許文献1に記載のプレート21では、側端面21aと側端面21bとが鈍角に連結されている。そのため、終端部23cに仕上げ処理を行うためにグラインダーGを研削方向D5に移動させた場合に、当該研削方向D5の突き当りに存在する側端面21bとグラインダーGとが
図12の符号Pで示すように接触するおそれがある。
【0018】
したがって、研削処理の終端部23cにおける仕上げ処理を施すことが困難である。
【0019】
本発明の目的は、アタッチメントに対する溶接部の研削処理の終端部における仕上げ処理を容易に行うことができる配管支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明は、機体と、前記機体に対して水平方向の軸回りに回転可能に取り付けられたアタッチメントと、前記アタッチメントの長手方向に沿って設けられた油圧配管とを有する建設機械の前記油圧配管を支持するための配管支持具であって、前記アタッチメントの長手方向と平行な支持方向に沿って前記油圧配管を支持可能な支持部と、前記支持部に連結されているとともに前記アタッチメントの外側面に対して隅肉溶接される被溶接部とを備え、前記隅肉溶接のために前記アタッチメントの外側面から立ち上がるように配置される前記被溶接部の側面は、前記支持方向と平行な方向に対して略直交するとともに互いに逆向きに配置された一対の直交面と、前記一対の直交面の端部からそれぞれ前記支持方向と平行な方向に対して傾斜する方向に延びるとともに互いに連結された一対の傾斜面とを含み、前記傾斜面は、前記直交面に対して鋭角に連結されている、配管支持具を提供する。
【0021】
本発明における支持方向は、アタッチメントの長手方向、つまり、アタッチメントに生じる応力方向に相当する。一対の傾斜面は、この応力方向に対して傾斜しているため、当該傾斜面とアタッチメントとを溶接することにより、前記応力に対する溶接部の強度を確保しつつ配管支持具とアタッチメントとを固定することができる。
【0022】
また、このように溶接部の強度を確保できるため、傾斜面とアタッチメントとの間の溶接部についてはグラインダーによる研削処理を省略することができる。
【0023】
一方、一対の直交面と一対の傾斜面との角部とアタッチメントとの溶接部には応力が集中するため、当該角部における溶接部についてはグラインダーによる研削処理が必要である。
【0024】
その結果、本発明の配管支持具をアタッチメントに溶接した場合、グラインダーによる研削処理の終端位置は、角部に対する溶接部と傾斜面に対する溶接部との境界線に設定される。
【0025】
ここで、角部における溶接部に対する研削処理は、グラインダーを支持方向(直交面と直交する方向)に沿って往復移動させることによって行われる。
【0026】
本発明では、傾斜面が直交面に対して鋭角に連結されているため、グラインダーを支持方向に移動させて角部における溶接部に処理を施す際の突き当りに傾斜面が存在しない。そのため、傾斜面に対する接触を避けながら研削処理の終端位置の仕上げ処理を行うことができる。
【0027】
したがって、本発明によれば、アタッチメントに対する溶接部の研削処理の終端部における仕上げ処理を容易に行うことができる。
【0028】
なお、本発明において『傾斜面は直交面に対して鋭角に連結されている』の記載は、傾斜面と直交面とが角部を介して連結されている場合だけでなく、傾斜面と直交面とが丸み部を介して連結されている場合を含む。
【0029】
ここで、一対の傾斜面の長さ及び傾斜角度の少なくとも一方が異なっていても、傾斜面が直交面に対して鋭角に連結されている場合には、上述した効果を得ることができる。しかし、この場合、一対の傾斜面の長さ又は傾斜角度が互いに異なるため、一方の傾斜面の溶接部に対して応力が集中するおそれがある。
【0030】
そこで、前記配管支持具において、前記一対の直交面の端部は、前記支持方向と直交する支持直交方向の同位置に配置され、前記一対の傾斜面は、前記一対の直交面の中間位置を通り、かつ、前記支持直交方向と平行する直線について線対称の形状を有することが好ましい。
【0031】
この態様によれば、一対の傾斜面の長さ及び傾斜角度が同一となるため、両傾斜面の溶接部に対して生じる応力を両溶接部に対してバランスよく分散することができる。
【0032】
したがって、グラインダーによる研削処理を行わなくても両傾斜面の溶接強度を十分に確保することができる。
【0033】
ここで、一対の傾斜面同士が角部を介して互いに連結されていてもよいが、この場合、角部の溶接部において応力が集中するおそれがある。
【0034】
そこで、前記配管支持具において、前記一対の傾斜面同士は、丸み部を介して互いに連結されていることが好ましい。
【0035】
この態様によれば、一方の傾斜面から他方の傾斜面に対する角度変更が緩やかになるため、両傾斜面が角部を介して連結されている場合よりも、連結部における応力集中を緩和することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、アタッチメントに対する溶接部の研削処理の終端部における仕上げ処理を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0039】
<第1実施形態(
図1〜
図8)>
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態に係る建設機械の一例としての油圧ショベル1は、一対のクローラ2aを有する下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3に対して変位可能に取り付けられた作業機4と、作業機4に設けられた油圧配管11(
図2参照)を支持する一対の配管支持具12(
図2参照)とを備えている。下部走行体2及び上部旋回体3は後述するブーム5を回転可能に支持する機体に相当する。
【0040】
作業機4は、上部旋回体3に対して水平方向の軸J1回りに回転可能に取り付けられたブーム5(アタッチメント)と、ブーム5の先端部に対して水平方向の軸回りに回転可能に取り付けられたアーム6と、アーム6の先端部に対して水平方向の軸回りに回転可能に取り付けられたバケット7とを備えている。
【0041】
また、作業機4は、上部旋回体3に対してブーム5を上げ下げ駆動するブームシリンダ8と、ブーム5に対してアーム6を回転駆動するアームシリンダ9と、アーム6に対してバケット7を回転駆動するバケットシリンダ10とを備えている。
【0042】
ブーム5は、その長手方向D1と直交する方向に閉断面を有する筒状の部材である。具体的に、ブーム5は、長手方向D1と直交する方向に対向する一対の側板5a(
図2では1枚のみ示す)と、側板5aの上端部同士を連結する上板5bと、側板5aの下端部同士を連結する下板5cとを備えている。つまり、長手方向D1は、ブーム5の高さ方向の中線(上板5bと下板5cとの中間位置を結ぶ線)により定義される。
【0043】
また、ブーム5は、ブームシリンダ8の先端部が取り付けられるボス5eと、アームシリンダ9の基端部が取り付けられる一対のブラケット5dとを備えている。ボス5eは、両側板5aを貫通した状態で当該両側板5aに溶接されている。ブラケット5dは、長手方向D1に沿って延びるとともに長手方向D1と直交する方向(側板5aが対向する方向と平行な方向)に対向した状態で上板5b上に立設されている。
【0044】
作業機4による掘削作業を行う場合、ブーム5の先端部に荷重が生じることにより当該ブーム5に曲げ変形が生じる。そのため、ブーム5の上板5bには長手方向D1と平行する第1応力方向D3(
図5参照)に沿った応力が生じる。
【0045】
また、掘削作業時には、アーム6の引き動作(アームシリンダ9の伸び動作)の反力を受けてアームシリンダ9と両ブラケット5dとを連結する連結ピンが長手方向D1に沿った力を受ける。ここで、両ブラケット5dの下端部は上板5bに固定されているため、連結ピンが力を受けることに伴い、両ブラケット5dの上端部同士が互いに離れるように両ブラケット5dが変位する(傾斜する)。これにより、両ブラケット5d間の上板5b(上板5bの幅方向の中央部)が持ち上がるように当該上板5bに曲げ変形が生じる結果、上板5bには長手方向D1と直交する第2応力方向D4(
図5参照)に沿った引張応力が生じる。
【0046】
油圧配管11は、ブーム5の上板5b上で長手方向D1に沿って設けられたものであり、アームシリンダ9又はバケットシリンダ10に接続されている。
【0047】
一対の配管支持具12は、
図2に示すように、左右対称に設けられたものであるため、以下、左側の配管支持具12のみについて説明する。
【0048】
図3は、配管支持具12の全体構成を示す斜視図であり、
図4は、
図3の配管支持具から支持部15を省略して示す斜視図である。
【0049】
図3及び
図4を参照して、配管支持具12は、ブーム5の長手方向D1と平行な支持方向D2に沿って2本の油圧配管11を支持可能な支持部15と、ブーム5の上板5bの上面(外側面)に対して隅肉溶接される被溶接部13と、支持部15と被溶接部13とを連結する連結座14とを備えている。
【0050】
支持部15は、上下一対の挟持板15aと、挟持板15aと油圧配管11との間に設けられた緩衝材15bと、両挟持板15aを連結座14に固定するための2本のボルト15cとを備えている。
【0051】
一対の挟持板15aは、互いに上下方向に対向することにより油圧配管11の断面形状に相当する隙間を形成可能な一対の挟持部(符号省略)と、両挟持部の間でボルト15cを挿入可能な挿入穴(図示省略)とをそれぞれ備えている。挿通穴に上から挿入されたボルト15cが連結座14に形成されたねじ穴14a(
図4参照)に螺合することにより、両挟持板15aの挟持部間で油圧配管11を挟んだ状態で、当該両挟持板15aが連結座14に連結される。
【0052】
緩衝材15bは、両挟持板15aの挟持部の内側面と油圧配管11の外側面との間に設けられ、挟持部により油圧配管11が損傷するのを防止する。
【0053】
図5及び
図6に示すように、被溶接部13は、当該被溶接部13の側面とブーム5の上板5bの上面との間に形成されたビードBによって上板5bに対して隅肉溶接された金属製の板部材である。
【0054】
この隅肉溶接のために上板5bから立ち上がるように配置される被溶接部13の側面は、支持方向D2と平行な方向に退位して略直交するとともに互いに逆向きに配置された一対の直交面13a、13bと、直交面13a、13bの端部からそれぞれ支持方向D2と平行な方向に対して傾斜する方向に延びるとともに互いに連結された一対の傾斜面13c、13dとを含む。
【0055】
直交面13a、13bの傾斜面13c、13dに繋がる端部は、支持方向D2と直交する支持直交方向(符号省略:第2応力方向D4と平行な方向)の同一に配置されている。
【0056】
傾斜面13cは、直交面13aに対して角度θを持って鋭角に連結され、傾斜面13dも、直交面13bに対して角度θを持って鋭角に連結されている。角度θは、約65°に設定されている。
【0057】
また、傾斜面13c、13dは、平坦面であり、角部を介して互いに連結されている。
【0058】
さらに、傾斜面13c、13dは、一対の直交面13a、13bの中間位置を通り、かつ、支持直交方向(符号省略)と平行する直線L1について線対称の形状を有する。つまり、傾斜面13c、13dの長さ及び角度は同一である。
【0059】
上述した配管支持具12は、例えば、次のようにブーム5に隅肉溶接される。
【0060】
油圧配管11を支持方向D2(
図2参照)に沿って支持することができるように、被溶接部13の両直交面13a、13bがブーム5の上板5bの第1応力方向D3と直交するように被溶接部13を上板5b上に配置する。これにより、両傾斜面13c、13dは、第1応力方向D3及び第2応力方向D4に対して傾斜して配置される。
【0061】
ここで、第2応力方向D4に沿った被溶接部13の一端部は、上板5bの幅方向の中央部よりも外側に配置され、被溶接部13の他端部は、上板5bの外側に配置される。
【0062】
この状態で、直交面13a、傾斜面13c、傾斜面13d、及び直交面13bの範囲に亘り、当該面13a〜13dに沿って被溶接部13と上板5bとを隅肉溶接する(ビードBを形成する)。
【0063】
具体的に、ビードBは、直交面13a、13bに沿って設けられた直交部B1(
図6のハッチング部分)と、傾斜面13c、13dに沿って設けられた傾斜部B2(
図6の白抜き部分)と、直交面13a、13bと傾斜面13c、13dとの角部に設けられた角部B3(
図6のクロスハッチング部分)とを有する。直交部B1は、直交面13a、13bにおけるその端部を含む一部の範囲に形成されている。
【0064】
このようなビードBを形成した場合、両直交面13a、13bは第1応力方向D3に直交するため、その溶接部の強度が不足するおそれがある。そのため、直交部B1に対してグラインダーGによる研削処理を行う必要がある。
【0065】
また、直交面13a、13bと傾斜面13c、13dとの角部の溶接部には応力が集中するため、角部B3に対してもグラインダーGによる研削処理を行う必要がある。
【0066】
一方、傾斜面13c、13dは、両応力方向D3、D4に対して傾斜しているため、傾斜部B2に対する研削処理は省略することができる。
【0067】
なお、上述のように、第2応力方向D4の応力はブーム5の上板5bの中央部が持ち上がるように上板5bが変形することにより生じるものであるため、第2応力方向の応力は、ブーム5の中央部に近いほど大きくなる。ここで、両傾斜面13c、13d間の角部(以下、内角部ともいう)の溶接部にも応力が集中するが、当該角部は、直交面13a、13bと傾斜面13c、13dとの角部(以下、外角部ともいう)よりも上板5bの中央部から離れた位置に配置されている。そのため、外角部に比較して内角部の方が強度面で有利であり、当該内角部の溶接部における研削処理も省略することができる。
【0068】
以上の結果、
図6に示すように、直交部B1に対してグラインダーGによる処理G1が施されるとともに、角部B3に対してグラインダーGによる処理G2が施され、この処理G2の終端部G3は、角部B3と傾斜部B2との境界線に設定される。
【0069】
この場合、グラインダーGを第1応力方向D3に沿って往復移動させるとともに第2応力方向D4に沿ってグラインダーGを移動させることにより、直交部B1及び角部B3に対して処理G1、G2が施される。
【0070】
さらに、終端部G3において角部B3と傾斜部B2との間に段差部が形成されないように、グラインダーGを第1応力方向D3に沿って移動させることにより、終端部G3の仕上げ処理を行う。ここで、被溶接部13において傾斜面13c(傾斜面13d)が直交面13a(直交面13b)に対して鋭角に連結されているため、グラインダーGを第1応力方向D3に移動させる際の突き当りに傾斜面13c(傾斜面13d)が存在しない。そのため、傾斜面13c(傾斜面13d)に対する接触を避けながら仕上げ処理を行うことができる。
【0071】
なお、上述した配管支持具12を
図7及び
図8に示すようにブーム5に溶接した場合においても仕上げ処理を容易に行うことができる。
【0072】
図7及び
図8に示すビードBは、傾斜面13c、13dに沿って形成された傾斜部B2(
図8の白抜き部分)と、直交面13a、13bと傾斜面13c、13dとの角部を超えて傾斜部B2から延びる延長部B4(
図8のクロスハッチング部分)とを有し、上述した直交部B1が省略されている。
【0073】
延長部B4は、被溶接部13から突出して応力が集中する部分と、直交面13a、13bと傾斜面13c、13dとの角部の溶接に寄与する部分とを有する。そのため、延長部B4に対してグラインダーGによる処理G4が施され、処理G4の終端部G5は、延長部B4と傾斜部B2との境界線に設定される。
【0074】
上述した場合と同様に、第1応力方向D3に沿ってグラインダーGを往復移動させることにより処理G4が施される。
【0075】
また、終端部G5において傾斜部B2と延長部B4との間に段差部が形成されないように、グラインダーGを第1応力方向D3に沿って移動させることにより、終端部G5の仕上げ処理を行う。この場合においても、グラインダーGを移動させる際の突き当りに傾斜面13c(傾斜面13d)が存在しないため、仕上げ処理を容易に行うことができる。
【0076】
ただし、
図7及び
図8に示す場合よりも
図5及び
図6に示す場合の方が溶接面積を広く確保することができ、強度面で有利である。
【0077】
以上説明したように、傾斜面13c、13dが直交面13a、13bに対して鋭角に連結されているため、グラインダーGを支持方向D2(第1応力方向D3)に移動させて角部B3に対する処理G2を施す際の突き当りに傾斜面13c、13dが存在しない。そのため、傾斜面13c、13dに対する接触を避けながら研削処理の終端位置の仕上げ処理を行うことができる。
【0078】
したがって、ブーム5に対する溶接部の研削処理の終端部における仕上げ処理を容易に行うことができる。
【0079】
また、第1実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0080】
傾斜面13c、13dの長さ及び傾斜角度が同一とであるため、両傾斜面13c、13dの溶接部に対して生じる応力を両溶接部に対してバランスよく分散することができる。
【0081】
したがって、グラインダーGによる研削処理を行わなくても両傾斜面13c、13dの溶接強度を十分に確保することができる。
【0082】
<第2実施形態(
図9、
図10)>
第1実施形態では、被溶接部13の傾斜面13c、13d同士が角部を介して互いに連結されているが、第2実施形態に示すように傾斜面同士が丸み部を介して互いに連結されていてもよい。
【0083】
具体的に、第2実施形態に係る被溶接部13は、直交面13a、13bの端部同士の間に設けられた湾曲面13eを備えている。湾曲面13eは、平面視において放物線に沿って形成されている。
【0084】
具体的に、湾曲面13eは、直交面13aに対して鋭角に連結された傾斜面(符号省略)と、直交面13bに対して鋭角に連結された傾斜面(符号省略)と、両傾斜面間に設けられた、丸み部に相当する連結面(符号省略)とを有する。
【0085】
第2実施形態に係る配管支持具は、次のようにブーム5に隅肉溶接することができる。
【0086】
図9に示すように、湾曲面13eに沿って形成された湾曲部B5と、湾曲面13eと直交面13a、13bとの角部を超えて湾曲部B5から延びる延長部B6とを有するビードBによって被溶接部13を上板5bに隅肉溶接することができる。この場合、上述した
図8に示す場合と同様に、湾曲部B5と延長部B6との境界部分にグラインダーGによる処理の終端部が設定され、この終端部における仕上げ処理を容易に行うことができる。
【0087】
また、
図10に示すように、湾曲面13eに沿って形成された湾曲部B5と、直交面13a、13bに沿って形成された直交部B7と、湾曲部B5と直交部B7との間に形成された角部B8とを有するビードBによって被溶接部13を上板5bに隅肉溶接することができる。この場合、上述した
図6に示す場合と同様に、直交部B7と角部B8との境界部分にグラインダーGによる処理の終端部が設定され、この終端部における仕上げ処理を容易に行うことができる。
【0088】
第2実施形態によれば、湾曲面13eにおける一方の傾斜面から他方の傾斜面に対する角度変更が緩やかになるため、両傾斜面が角部を介して連結されている場合よりも、連結部における応力集中を緩和することができる。
【0089】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、以下の態様を採ることもできる。
【0090】
直交面13a、13bと傾斜面13c、13d又は湾曲面13eとが角部を介して連結された例について説明したが、直交面13a、13bと傾斜面13c、13d又は湾曲面13eとが丸み部を介して連結されていてもよい。
【0091】
ブーム5に隅肉溶接される配管支持具12について説明したが、配管支持具12は、アーム6に取り付けられてもよい。
【0092】
直交面13a、13bの端部が第2応力方向D4の同じ位置に設けられた例について説明したが、直交面13aの端部が異なる位置に設けられていてもよい。この状態で傾斜面13c、13dが同じ長さとなるように両傾斜面13c、13dの角度を設定することができる。一方、傾斜面13c、13dの長さが異なり、傾斜面13c、13dの角度が同一となるように両傾斜面13c、13dの連結位置を設定することもできる。
【0093】
傾斜面同士が丸み部を介して連結されている例として、湾曲面13eを説明したが、平坦面である傾斜面13c、13dが丸み部を介して互いに連結されていてもよい。