特許第5962740号(P5962740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962740
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】カムフォロア
(51)【国際特許分類】
   F16C 32/06 20060101AFI20160721BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   F16C32/06 B
   F16C32/04 Z
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-225651(P2014-225651)
(22)【出願日】2014年11月5日
(62)【分割の表示】特願2010-43510(P2010-43510)の分割
【原出願日】2010年2月26日
(65)【公開番号】特開2015-25559(P2015-25559A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2014年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
【審査官】 村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−025208(JP,A)
【文献】 特開平09−303395(JP,A)
【文献】 特開2008−082356(JP,A)
【文献】 特開平11−190336(JP,A)
【文献】 実開平03−038420(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 32/06
F16C 32/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の転動体と、この転動体の中空部に挿通されていると共に一端部が転動体から突出している軸体と、ラジアル方向に関して転動体を静圧気体によって支持すべく転動体と軸体との間に介在されている静圧気体軸受と、スラスト方向に関して転動体を磁力によって支持する磁性軸受とを具備しており、静圧気体軸受は、転動体の内周面に対して環状の軸受隙間をもって対面しているラジアル軸受面を有していると共に軸体に固着されている軸受体と、この軸受体のラジアル軸受面から軸受隙間に給気することができるように、軸受体に形成されている給気通路とを具備しており、磁性軸受は、転動体のスラスト方向の一端部に装着されている環状の外側磁性体と、外周面で外側磁性体の内周面に隙間をもって対面していると共に軸体のスラスト方向の一端部に装着されている環状の一対の内側磁性体と、一対の内側磁性体間に介在されている永久磁石とを具備しており、スラスト方向に関して転動体を支持すべく永久磁石の磁力に基づいて外側磁性体と一対の内側磁性体とが互いに引き合う力を生じさせるようになっており、軸受隙間は、スラスト方向のその一端で環状の隙間を介して外部に開口していると共に、スラスト方向のその他端で外部に開口しており、給気通路は、軸受体のラジアル軸受面に形成された第一の複数の環状通路と、この第一の複数の環状通路に夫々連通していると共に軸受体のスラスト方向の端面で開口して当該軸受体に形成されている連通路とを有しており、この連通路は、軸受体に転動方向に並んで配設されていると共にスラスト方向に伸びた複数の直通路と、この複数の直通路を互いに連通させている第二の環状通路と、複数の直通路を第一の複数の環状通路に連通させている複数の自成絞り通路とを具備しているカムフォロア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カム等の相手部材の作動を他の部材に伝達すべく相手部材に接触して用いられるカムフォロアに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1においては、外輪とスタッドとの間に複数のころが配置されてなるカムフォロアが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−120591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かるカムフォロアでは、外輪及びスタッドと複数のころとが接触しているために、回転摩擦の更なる低減、回転速度の更なる向上を図り難い。また、斯かるカムフォロアでは、外輪、スタッド及び複数のころが摩耗するため、カムフォロアの使用期間の長期化、ランニングコストの低減も図り難い。
【0005】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回転摩擦の低減、回転速度の向上に加えて、使用期間の長期化、ランニングコストの低減を図り得るカムフォロアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカムフォロアは、中空の転動体と、転動体の中空部に隙間をもって挿通されていると共に一端部が転動体から突出している軸体と、ラジアル方向に関して転動体を静圧気体によって支持すべく転動体と軸体との間に介在されている静圧気体軸受と、スラスト方向に関して転動体を磁力によって支持する磁性軸受とを具備しており、磁性軸受は、転動体の一端部に装着されている環状の外側磁性体と、外周面で外側磁性体の内周面に隙間をもって対面していると共に軸体に装着されている環状の一対の内側磁性体と、一対の内側磁性体間に介在されている永久磁石とを具備しており、スラスト方向に関して転動体を支持すべく永久磁石の磁力に基づいて外側磁性体と一対の内側磁性体とが互いに引き合う力を生じさせるようになっている。
【0007】
本発明のカムフォロアによれば、特に、ラジアル方向に関して転動体を静圧気体によって支持すべく転動体と軸体との間に介在されている静圧気体軸受と、スラスト方向に関して転動体を磁力によって支持する磁性軸受とを具備しているために、静圧気体軸受によって転動体をラジアル方向に関して非接触で支持する一方、磁性軸受によって転動体をスラスト方向に関して非接触で支持することができて、回転摩擦を低減させると共に回転速度を向上させることができ、しかも、カムフォロアの使用期間の長期化を図り得ると共にランニングコストをも低減させ得る。
【0008】
加えて、本発明のカムフォロアによれば、特に、磁性軸受は、転動体の一端部に装着されている環状の外側磁性体と、外周面で外側磁性体の内周面に隙間をもって対面していると共に軸体に装着されている環状の一対の内側磁性体と、一対の内側磁性体間に介在されている永久磁石とを具備しており、スラスト方向に関して転動体を支持すべく永久磁石の磁力に基づいて外側磁性体と一対の内側磁性体とが互いに引き合う力を生じさせるようになっているために、スラスト方向の非接触支持においてはエアを消費することがなく、而して、カムフォロアの更なる低廉化、エア消費量の削減を図り得る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転摩擦の低減、回転速度の向上に加えて、使用期間の長期化、ランニングコストの低減を図り得るカムフォロアを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態の例の一部省略断面説明図である。
図2図2は、図1に示す例の一部拡大説明図である。
図3図3は、図1に示す例のIII−III線断面矢視説明図である。
図4図4は、図1に示す例のIV−IV線断面矢視説明図である。
図5図5は、図1に示す例のV−V線断面矢視説明図である。
図6図6は、図1に示す例の一部の動作説明図である。
図7図7は、図4に示す例と異なる形態の磁性軸受の説明図である。
図8図8は、本発明の実施の形態の他の例の一部省略断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【実施例】
【0012】
図1から図6において、本例のカムフォロア1は、中空の転動体2と、転動体2の中空部に環状の隙間3をもって挿通されている軸体4と、ラジアル方向に関して転動体2を静圧気体によって支持すべく転動体2と軸体4との間に介在されている静圧気体軸受7と、スラスト方向に関して転動体2を磁力によって支持する磁性軸受9とを具備している。
【0013】
転動体2は、円筒状であり、その内周面12で静圧気体軸受7に対面しており、その外周面13でカム等の相手部材(図示せず)に接触するようになっている。転動体2のスラスト方向の一端部5には磁性軸受9の外側磁性体61が取り付けられている。
【0014】
軸体4は、円柱状若しくは円筒状、本例では円柱状であり、その一端部21が転動体2の一端部5から突出しており、当該一端部21で支持フレーム15等に固定支持されている。軸体4の外周面20には静圧気体軸受7及び磁性軸受9の内側磁性体65及び66が固着されている。外周面20及び内周面12は静圧気体軸受7を介して対面している。
【0015】
静圧気体軸受7は、転動体2の内周面12に対して環状の軸受隙間31をもって対面しているラジアル軸受面32を有していると共に軸体4に固着されている円筒状の軸受体36と、ラジアル軸受面32から軸受隙間31に供給すべき気体を給気することができるように、軸受体36に形成されている給気通路44とを具備している。
【0016】
軸受体36は、内周面51で軸体4の外周面20に固着されている円筒状の本体55と、本体55の外周面52に接合されている多孔質体としての円筒状の多孔質金属焼結層56とを具備している。
【0017】
多孔質金属焼結層56は、その全表面の無秩序な多数の部位で開口すると共に無秩序に互いに連通する多数の細孔を内部に有している。ラジアル軸受面32は、多孔質金属焼結層56の支持すべき転動体2の内周面12に対面して露出する外周面からなる。
【0018】
多孔質金属焼結層56は、4重量%以上10重量%以下の錫と、10重量%以上40重量%以下のニッケルと、0.1重量%以上0.5重量%未満の燐と、2重量%以上10重量%以下の無機物質粒子と、残部が銅とからなっていてもよい。多孔質金属焼結層に分散含有される無機物質粒子は、黒鉛、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、フッ化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び炭化ケイ素のうちの少なくとも一つからなっていてもよい。
【0019】
給気通路44は、本体55の外周面52に形成された複数の環状通路71、72及び73と、環状通路71、72及び73に連通していると共に本体55の面53で開口して当該本体55に形成されている連通路76とを具備している。面53における連通路76の開口には給気管取付具54が装着されている。斯かる給気通路44では、前記開口から吸気管取付具54を介して供給される気体(圧縮気体)を連通路76を介して環状通路71から73の夫々に流入させ、当該流入した気体を多孔質金属焼結層56に供給し、而して、軸受隙間31に気体を供給する。
【0020】
磁性軸受9は、転動体2の一端部5に装着されている環状の外側磁性体61と、外周面62で外側磁性体61の内周面63に環状の隙間64をもって対面していると共に軸体4のスラスト方向の一端部21に装着されている環状の一対の内側磁性体65及び66と、一対の内側磁性体65及び66間に介在されている永久磁石、本例では円周方向に等間隔をもって配された複数の永久磁石67とを具備している。環状の隙間64は、スラスト方向において軸受隙間31に隣接配置されている。 軸受隙間31は、スラスト方向のその一端で環状の隙間64を介してカムフォロア1の外部に開口していると共に、スラスト方向のその他端で同じくカムフォロア1の外部に開口している。
【0021】
外側磁性体61は、転動体2の一端部5における環状の端面19にボルトを介して連結された円筒状の磁性体本体81と、内側磁性体65に向かって突出して磁性体本体81の内周面63に形成された環状凸部82と、内側磁性体66に向かって突出して磁性体本体81の内周面63に形成された環状凸部83とを具備している。
【0022】
環状凸部82及び83は互いに同形状であり、環状凸部82は環状凸部83に対して一端部21側に位置している。本例の環状凸部82及び83には面取りを施した例を示しているが、この面取りはなくてもよい。環状凸部82及び83は、外周面62に夫々隙間64をもって対面する平坦面からなっていてもよい。
【0023】
内側磁性体65は、内側磁性体66に対して一端部21側に位置しており、内側磁性体65の外周面62は環状凸部82に、内側磁性体66の外周面62は環状凸部83に夫々隙間64をもって対面している。
【0024】
内側磁性体65及び66の夫々は、中空円板状であり、中空部において軸体4に夫々固着されている。内側磁性体65及び66の夫々の外周面62には面取りを施した例を示しているが、この面取りは前記環状凸部82及び83と同様、なくてもよい。内側磁性体65及び66の夫々の外周面62は、環状凸部82及び83の夫々に隙間64をもって対面する平坦面からなっていてもよい。尚、内側磁性体66は、環状スペーサ80を介して静圧気体軸受7の本体55の端面19に取り付けられている。
【0025】
複数の永久磁石67の夫々は、例えば図4に示すように円柱体85からなり、上述のように円周方向に等間隔をもって複数配されている。円柱体85の一端面86は内側磁性体65の環状面87に、円柱体85の他端面88は内側磁性体66の環状面89に夫々固着されている。
【0026】
複数の永久磁石67の夫々は、一端面86がN極、他端面88がS極となっている。内側磁性体65及び66は、当該複数の永久磁石67の磁力に基づいて磁性を帯び、これにより、内側磁性体65の外周面62がN極、内側磁性体66の外周面62がS極となる。外側磁性体61は、当該複数の永久磁石67の磁力に基づいて磁性を帯び、これにより、環状凸部82がS極、環状凸部83がN極となる。従って、磁性軸受9には、例えば図2に示すように磁束68が生じて、環状凸部82と内側磁性体65の外周面62との間に引き合い力が生じると共に環状凸部83と内側磁性体66の外周面62との間に引き合い力が生じる。斯かる引き合い力は、転動体2の軸体4に対する図6に示すスラスト方向の変位に伴って増大するため、転動体2はスラスト方向に関して磁力によって支持されることになる。このように、磁性軸受9は、スラスト方向に関して転動体2を支持すべく永久磁石67の磁力に基づいて外側磁性体61と一対の内側磁性体65及び66とが互いに引き合う力を生じさせるようになっている。
【0027】
磁性軸受9は、本例では複数の永久磁石67を具備しているが、これに代えて、例えば図7に示すように、一つの環状の永久磁石69を具備していてもよい。
【0028】
斯かるカムフォロア1では、給気通路44から多孔質金属焼結層56に給気されることによりラジアル軸受面32から軸受隙間31に気体が供給され、而して、静圧気体軸受7により転動体2を非接触にてR方向に回転自在に支持する。また、転動体2は、上述のように、磁性軸受9の磁力により横方向に関して非接触にてR方向に回転自在に支持され、これにより、転動体2の軸体4に対する横方向の位置ずれは禁止される。カムフォロア1では、スラスト方向に関する転動体2の支持におけるエア消費は生じないので、転動体2を支持する際のエア消費量を抑えることができる。
【0029】
本例のカムフォロア1によれば、中空の転動体2と、転動体2の中空部に隙間3をもって挿通されていると共に一端部21が転動体2から突出している軸体4と、ラジアル方向に関して転動体2を静圧気体によって支持すべく転動体2と軸体4との間に介在されている静圧気体軸受7と、スラスト方向に関して転動体2を磁力によって支持する磁性軸受9とを具備しているために、静圧気体軸受7によって転動体2をラジアル方向に関して非接触で支持する一方、磁性軸受9によって転動体2をスラスト方向に関して非接触で支持することができて、回転摩擦を低減させると共に回転速度を向上させることができ、しかも、カムフォロア1の使用期間の長期化を図り得ると共にランニングコストをも低減させ得、加えて、磁性軸受9は、転動体2の一端部5に装着されている環状の外側磁性体61と、外周面62で外側磁性体61の内周面63に隙間64をもって対面していると共に軸体4に装着されている環状の一対の内側磁性体65及び66と、内側磁性体65及び66間に介在されている永久磁石67とを具備しており、スラスト方向に関して転動体2を支持すべく永久磁石67の磁力に基づいて外側磁性体61と内側磁性体65及び66とが互いに引き合う力を生じさせるようになっているために、スラスト方向の非接触支持においてはエアを消費することがなく、而して、カムフォロア1の更なる低廉化、エア消費量の削減を図り得る。
【0030】
本例のカムフォロア1は、多孔質金属焼結層56を夫々有した静圧気体軸受7を具備しているが、これに代えて、例えば図8に示すように、自成絞り型の静圧気体軸受7aを具備していてもよい。
【0031】
静圧気体軸受7aは、多孔質金属焼結層56及び給気通路44を除いて静圧気体軸受7と同様に形成されているので、図に適宜同符号を付して前記同様に形成されている部分の詳細な説明を省略する。
【0032】
静圧気体軸受7aの軸受体36の外周面は、転動体2の内周面12に対して軸受隙間31をもって対面するラジアル軸受面32からなる。尚、静圧気体軸受7aは多孔質金属焼結層56を有していない。
【0033】
静圧気体軸受7aは、その軸受体36のラジアル軸受面32に形成された複数の環状通路71a、72a及び73a並びに環状通路71a、72a及び73aに連通していると共に軸受体36の面53で開口して当該軸受体36に形成されている連通路76aを有した給気通路44aを具備している。連通路76aは、軸受体36に円周方向に並んで配設された軸方向(軸体4の軸方向)に伸びた複数の直通路201と、複数の直通路201を互いに連通させている環状通路202と、複数の直通路201を環状通路71a、72a及び73aに連通させている複数の自成絞り通路71b、72b及び73bとを具備している。複数の直通路201のうちの一つの直通路201は、面53で開口して給気管取付具54に装着されている。斯かる静圧気体軸受7aでは、給気管取付具54を介して給気通路44aに圧縮気体が供給されると、当該圧縮気体は自成絞り通路71b、72b及び73bを通じて環状通路71a、72a及び73aに供給され、而して、軸受隙間31に静圧気体が供給されて転動体2をラジアル方向に関して非接触支持する。
【符号の説明】
【0034】
1 カムフォロア
2 転動体
4 軸体
7、7a 静圧気体軸受
9 磁性軸受
31 軸受隙間
32 ラジアル軸受面
44、44a 給気通路
61 外側磁性体
3、64 隙間
65、66 内側磁性体
67 永久磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8