(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
全体が中空状であり、筒状のインナコラムと、筒状のコラム用部材とを備え、このコラム用部材の内側にこのインナコラムを軸方向に変位可能な状態で内嵌することにより構成されたテレスコピック機構を備えたステアリングコラムであって、
前記コラム用部材が、
軽合金製の本体部分と、
前記本体部分の一方側端部にその他方側端部を内嵌固定することにより、前記本体部分に対して軸方向に結合されており、その軸方向中間部の1箇所位置に、ステアリングロック装置を構成するロック用透孔が設けられると共に、その他方側端部の端面の内径が、その他方側端部のうち前記本体部分との結合部を構成する部分の内径よりも小さくなっている、鉄系合金製の円筒状部材とを備えており、
前記本体部分の前記一方側端部の内周面に凹部が設けられ、かつ、前記円筒状部材の前記他方側端部の外周面に、この凹部と軸方向及び周方向に係合する凸部が設けられている、
ステアリングコラム。
前記円筒状部材の他方側端部の先端部に絞り加工を施す以前の状態で、この円筒状部材の他方側端部の先端面に、他方に向かう程外径寸法が小さくなる方向に傾斜したテーパ面部を設けている、請求項1または2に記載のステアリングコラム。
【背景技術】
【0002】
操舵輪(フォークリフトなどの特殊車両を除き、通常は前輪)に舵角を付与するためのステアリング装置として、
図12に示すような構造が、広く知られている。このステアリング装置では、車体1に支持された円筒状のステアリングコラム2の内径側に、ステアリングシャフト3が回転可能に支持されている。ステアリングコラム2の後端開口よりも後方に突出した、ステアリングシャフト3の後端部に、ステアリングホイール4が固定される。ステアリングホイール4を回転させると、この回転が、ステアリングシャフト3、自在継手5a、中間シャフト6、自在継手5bを介して、ステアリングギヤユニット7の入力軸8に伝達される。入力軸8が回転すると、ステアリングギヤユニット7の両側に配置された1対のタイロッド9が押し引きされて、左右1対の操舵輪に、ステアリングホイール4の操作量に応じた舵角が付与される。
【0003】
図12に示した構造では、ステアリングホイール4の前後位置の調節を可能にするため、ステアリングコラム2およびステアリングシャフト3として、伸縮式のものを使用している。また、衝突事故の際に、自動車が他の自動車などにぶつかる一次衝突に続いて、運転者の身体がステアリングホイール4に衝突する二次衝突が発生するが、この二次衝突の際に、衝撃エネルギを吸収しつつ、ステアリングホイール4を前方に変位させて、運転者の保護を図るための構造が、ステアリングコラム2およびステアリングシャフト3に備えられる。具体的には、ステアリングホイール4を支持するステアリングシャフト3を、車体1に対して、二次衝突に伴う前方への衝撃荷重により前方に変位可能に支持する構造が採られる。
図12に示した構造では、ステアリングシャフト3を、アウタチューブ11とインナシャフトにより構成して、二次衝突の衝撃荷重により、アウタチューブ11がステアリングシャフト3の全長を縮めながら前方に変位できるようにするとともに、ステアリングシャフト3を支持するステアリングコラム2を、アウタコラム10とインナコラムにより構成し、アウタコラム10がステアリングコラム2の全長を縮めながら前方に変位できるように、このアウタコラム10を車体1に対して支持している。なお、このような伸縮式のステアリングコラムを構成するアウタコラムおよびインナコラム、並びに、ステアリングシャフトを構成するアウタチューブおよびインナシャフトの前後位置は、図示の構造と逆であってもよい。
【0004】
一方、自動車の盗難に対する対策として、自動車には各種の盗難防止装置が備えられている。その一種として、正規の鍵を使用しない限りステアリングホイールの操作を不能にするステアリングロック装置が、広く実施されている。
図13は、ステアリングロック装置の1例として、特開2008−265646号公報に開示された構造を示している。ステアリングロック装置12は、ステアリングコラム2aの一部にロックユニット13を設けるとともに、ステアリングシャフト3aの一部で、ロックユニット13と軸方向に関する位相が一致する位置に、周方向の少なくとも1箇所に係合凹部14を形成した、キーロックカラー15を外嵌固定している。そして、作動時(キーロック時)に、ロックユニット13を構成するロックピン16の先端部を、ステアリングコラム2aの軸方向中間部に形成されたロック用透孔17を通じて、ステアリングコラム2aの内径側に向けて変位させ、係合凹部14と係合させることで、ステアリングシャフト3aの回転を実質的に不能にする。
【0005】
このようなステアリングロック装置12を、ステアリング装置に組み込む場合には、ステアリングコラム2aの外径側にロックユニット13を、ステアリングコラム2aの内径側にキーロックカラー15を、それぞれ設ける。したがって、キーロックカラー15をステアリングコラム2aの内径側に回転可能に配置するとともに、ロックピン16のストロークを過大にすることなく、ロックピン16とキーロックカラー15とを確実に係脱させるためには、少なくともステアリングロック装置12を組み込んだ部分のステアリングコラム2aの外径を小さく、その内径を大きくして、この部分のステアリングコラム2aの厚さを薄くする必要がある。
【0006】
図14は、特開2007−223383号公報に開示された、ステアリングコラムを構成するアウタコラム10aを示している。アウタコラム10aの軸方向一端部(
図14の左端部)には、円筒状のインナコラムの他端部が、軸方向に相対変位可能な状態で内嵌される。アウタコラム10aは、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金などの軽合金製で、鋳造により一体に形成されており、軸方向中間部に、
図13に示すようなステアリングロック装置12を組み込むための、ロック用透孔17aが設けられている。このようなアウタコラム10aの厚さを薄くした場合、ステアリングロック装置12を作動した状態で必要とされる、アウタコラム10aの強度が十分に確保されない可能性がある。すなわち、ロック用透孔17aを通じてアウタコラム10aの内径側に突出させたロックピン16をキーロックカラー15の係合凹部14(
図13参照)に係合させた状態で、ステアリングホイール4(
図12参照)を大きな力で回転させようとした場合に、ロック用透孔17aの周縁部に、過度に大きな力が加わり、この周縁部が変形する可能性がある。これに対して、アウタコラム10aを鉄系合金により形成することも考えられるが、ステアリングコラム全体の重量が増大するなどの問題を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような事情に鑑みて、ステアリングコラムの一部の厚さを薄くしつつも、その全体の強度を確保することができる、ステアリングコラムの構造の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のステアリングコラムは、全体が円筒状であり、筒状のインナコラムと、筒状のコラム用部材とを備え、このコラム用部材の内側にこのインナコラムを軸方向に変位可能な状態で内嵌することにより構成されたテレスコピック機構を備えている。このコラム用部材は、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金などの軽合金製の本体部分と、鉄系合金製であって、この本体部分の一方側端部にその他方側端部を内嵌固定することにより、前記本体部分に対して軸方向に結合され、その軸方向中間部の1箇所位置に、ステアリングロック装置を構成するロック用透孔が設けられると共に、その他方側端部の先端部に絞り加工を施すことにより、この他方側端部の端面の内径が、その他方側端部のうち前記本体部分との結合部を構成する部分の内径よりも小さい、鉄系合金製の円筒状部材とを有する。なお、一方側は、ステアリングコラムの軸方向の一方側を意味し、他方側は、その軸方向の逆側を意味する。
【0010】
特に請求項1に記載したステアリングコラムにおいては、前記本体部分の前記一方側端部の内周面に設けた
凹部と、前記円筒状部材の前記他方側端部の外周面に設けた
凸部とを
軸方向及び周方向に係合させている。
一方、本発明の技術的範囲からは外れるが、前記本体部分の前記一方側端部の内周面に設けた凸部と、前記円筒状部材の前記他方側端部の外周面に設けた凹部とを係合させ
る構成を採用することもできる。
このような凹部は、周方向の少なくとも1箇所に設けられた軸方向に長い軸方向凹溝と、軸方向の少なくとも1箇所に設けられた周方向に長い周方向凹溝とにより構成
することができる。
【0011】
なお、前記凹部を、前記円筒状部材の前記他方側端部の外周面の軸方向一部で、かつ、その周方向一部に設けられた、径方向内方に凹んだ少なくとも1個の凹部により構成することもできる。
【0012】
上述のような本発明のステアリングコラムを実施する場合には、追加的に、請求項2に記載した発明のように、前記円筒状部材の前記他方側端部の内径を、前記本体部分のうち前記結合部から軸方向に外れた部分の内径以上とする
構成を採用できる。
また、
上述のような本発明のステアリングコラムを実施する場合には、追加的に、請求項3に記載した発明の
様に、前記円筒状部材の他方側端部の先端部に絞り加工を施す以前の状態で、この円筒状部材の他方側端部の先端面に、他方に向かう程外径寸法が小さくなる方向に傾斜したテーパ面部を設ける
構成を採用できる。
【0013】
なお、前記凹部を、前記円筒状部材の他方側端部の外周面にローレット加工を施すことにより形成されたローレット目により構成することもできる。
【0014】
上述のような本発明のステアリングコラムは、例えば、前記コラム用部材を次の工程によって得ることができる。具体的には、前記円筒状部材の前記他方側端部を、金型の一方側端面に開口する挿入孔に挿通し、この円筒状部材の前記他方側端部をこの金型内に突出させる工程、この円筒状部材の前記他方側端部に中子の一方側端部を挿通する工程、および、前記金型に溶湯を送り込み、前記本体部分を成形することにより、前記本体部分の前記一方側端部と前記円筒状部材の前記他方側端部とを前記結合部を介して軸方向に結合して、前記コラム用部材を得る工程を備える。なお、これらの工程は矛盾が生じない限り、その順番を入れ替えることは可能である。
【0015】
好ましくは、上述のようなステアリングコラムの製造方法は、前記円筒状部材の前記他方側端部の端面の内径が、前記本体部分のうち前記結合部から軸方向に外れた部分の内径よりも小さくなるように、この本体部分を成形するとともに、この本体部分を成形した後に、前記円筒状部材の前記他方側端部の先端部の内径側部分に切削加工を施して、この円筒状部材の前記他方側の端面の内径を、前記本体部分のうち前記結合部から軸方向に外れた部分の内径以上とする工程をさらに備えることもできる。
【0016】
上述のような
本発明の技術的範囲から外れる構造のステアリングコラムの製造方法の一態様では、前記円筒状部材の前記他方側端部の外周面に凹部を設け、前記本体部分を成形する際に、前記溶湯の一部を前記凹部に入り込ませて、この本体部分の前記一方側端部の内周面に前記凹部と係合する凸部を形成することができる。前記凹部が前記軸方向凹溝により構成される場合、この軸方向凹溝を切削加工により形成することが好ましく、また、前記凹部が前記周方向凹溝により構成される場合、この周方向凹溝を旋削加工により形成することが好ましい。一方、上述の
ような
本発明のステアリングコラムの製造方
法では、前記円筒状部材の前記他方側端部の外周面に凸部を設け、前記本体部分を成形する際に、前記溶湯の一部を前記凸部の周辺部分に入り込ませて、この本体部分の前記一方側端部の内周面に前記凸部の係合する凹部を形成することができる。
【0017】
さらに好ましくは、上述のようなステアリングコラムの製造方法は、前記円筒状部材の前記他方側端部を、前記金型の挿入孔に挿通する以前に、この円筒状部材の前記他方側端部の先端部に絞り加工を施して、この円筒状部材の前記他方側端面の内径を、この円筒状部材の前記他方側端部のうち前記本体部分との結合部を構成する部分の内径よりも小さくすると同時に、前記円筒状部材の前記他方側端部の外周面に前記軸方向凹溝を設ける工程をさらに備えることもできる。
【0018】
前記凹部が、特に、前記径方向内方に凹んだ少なくとも1個の凹部により構成される場合、前記円筒状部材の他方側端部外周面にプレス加工を施すことにより形成することもできる。
【0019】
上述のような本発明のステアリングコラムは、全体が中空円筒状であって、筒状のインナコラムと、筒状のコラム用部材とを備え、このコラム用部材の内側にこのインナコラムを軸方向に変位可能な状態で内嵌することにより構成されたテレスコピック機構を備えるステアリングコラムであって、前記コラム用部材が、軽合金製の本体部分と、前記本体部分の一方側端部にその他方側端部を内嵌固定することにより、前記本体部分に対して軸方向に結合されている、前記本体部分よりも厚さが薄い鉄系合金製の円筒状部材とを備え、前記円筒状部材の前記他方側端部の内径が、前記本体部分のうちこの本体部分と前記円筒状部材との結合部から軸方向に外れた部分の内径以上となっており、かつ、前記円筒状部材の前記前端部の先端部の内周縁およびその後端部で軸受を係止する部分を除き、この円筒状部材の厚さが実質的に一定であるように構成することもできる。
【0020】
本発明のステアリングコラムは、以下のようなステアリング装置に組み込むことができる。すなわち、このようなステアリング装置は、車体に支持されるステアリングコラムと、このステアリングコラムの内径側に回転可能に支持されたステアリングシャフトと、これらステアリングコラムとステアリングシャフトとの間に設けられ、作動時にこのステアリングシャフトがこのステアリングコラム内で回転することを実質的に阻止するステアリングロック装置とを備えるものであり、特に、このステアリングコラムとして、本発明のステアリングコラムを用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のステアリングコラムによれば、ステアリングコラムの一部の厚さを薄くしつつ、このステアリングコラムの強度を確保することができる。すなわち、このステアリングコラムを構成するコラム用部材の一方側寄り部分は、鉄系合金製の円筒状部材により構成されているため、この一方側寄り部分の厚さを薄くしても、この一方側寄り部分の強度を確保することができる。一方、前記コラム用部材の他方側寄り部分については、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金などの軽合金製の本体部分により構成されているため、ステアリングコラム全体の重量が過度に増大することはない。
【0022】
また、前記ステアリングコラムを構成するコラム用部材の前記一方側寄り部分を構成する前記円筒状部材のうち少なくとも他方側端部の内径を、この他方側端部の先端部を除き、前記本体部分のうち前記円筒状部材との結合部から軸方向に外れた部分の内径よりも大きくすることができる。さらに、これら本体部分と円筒状部材との結合部の内径を切削加工する際に、その他方側端部の先端部を除き、厚さの薄い円筒状部材を切削することがないため、前記円筒状部材の強度が低下することを防止できる。
【0023】
加えて、本発明のステアリングコラムは、複雑な構造を伴わないため、能率よく、かつ、低コストで工業的に生産することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[本発明に関連する参考例の第1例]
図1〜
図2は、本発明に関連する参考例の第1例を示している。なお、本参考例を含めて、本発明に関連する各参考例及び後述する実施の形態の各例の特徴は、ステアリングコラムを構成するコラム用部材である、アウタコラム10bの後半部(
図1の右側)の厚さを薄くしても、その強度の確保を図ることができる、ステアリングコラムの構造を工業的に実現している点にある。その他の部分の構造および作用は、従来のステアリングコラムおよびその製造方法と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略もしくは簡略にし、以下、本参考例の特徴部分を中心に説明する。
【0026】
本参考例の場合、アウタコラム10bは、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金などの軽合金製である本体部分18と、炭素鋼などの鉄系合金製の円筒状部材19とを軸方向に結合することにより構成されている。すなわち、本体部分18の一方側端部である後端部(
図1の右側)に、円筒状部材19の他方側端部である前端部20(
図1の左側)を内嵌して結合する。したがって、本体部分18がアウタコラム10bの前半部を構成し、円筒状部材19がアウタコラム10bの後半部を構成する。なお、本体部分18とは、ステアリングコラムもしくはアウタコラム10bのうち、車体に支持固定するための構造を備えた部分を意味する。また、一方側は、ステアリングコラムの軸方向の一方側を意味し、他方側は、その軸方向の逆側を意味し、図示の例では、車体後方側が一方側に相当し、車体前方側が他方側に相当する。ただし、本発明において、円筒状部材が本体部分の前方に結合される場合には、車体前方側が一方側となり、車体後方側が他方側となる。さらに、本体部分の両側に円筒状部材が結合される構造も、本発明に含められる。
【0027】
本参考例のステアリングコラムを製造するために、円筒状部材19の前端部20の先端部に絞り加工を施すことで、円筒状部材19の他方側端部の端面である前端面21の内径を、円筒状部材19の前端部20のうち本体部分18との結合部を構成する部分、すなわち、円筒状部材19の前端部20のうち前記絞り加工が施されなかった部分よりも小さくする。この部分には、円筒状部材19の前端部20のうち本体部分18の一方側端部の端面である後端面が形成される部分(後述する鋳造の際に、金型23の内側端面(
図1における金型23の先端部の左側面)が位置する部分)の内径側に位置する部分と、円筒状部材19の前端部20のうち、その外周面に凹部22が形成された部分が含まれる。本参考例では、円筒状部材19の前端部20の外周面の周方向の複数箇所(図示の例では4箇所)にプレス加工を施すことにより、凹部22が設けられる。円筒状部材19の前端部20を、
図1(A)に示すように、金型23の一方側端面である端面(
図1における金型23の先端部の右側面)24に開口した挿入孔25に挿通および内嵌し、円筒状部材19の前端部20を、金型23内に突出させる。なお、この金型23の挿入孔25を画定する内周面の形状は、本参考例の製造方法により得られる本体部分18の外形に一致する。
【0028】
そして、中子26を金型23の挿入孔25内に他方側(端面24とは軸方向逆側)から挿入して、中子26の一方側端部である先端部27を円筒状部材19の前端部20に挿通および内嵌させる。この際、中子26の先端部27と基端部28との間に設けた段差面29を、円筒状部材19の前端面21に突き当てる。したがって、金型23の内部空間は、金型23の内周面および内側側面、円筒状部材19の前端部20の前端面21および外周面、および中子26の外周面により画定される。なお、本参考例の場合、円筒状部材19の前端面21を、中子26の段差面29を突き当てる相手面とするため、
図2(A)に示すように、円筒状部材19の前端部に絞り加工を施す以前の状態で、円筒状部材19の前端部20の先端外周縁に、前端に向かう程外径寸法が小さくなる方向に傾斜したテーパ面部30を設けている。このようなテーパ面部30を設けた円筒状部材19の前端部20の先端部に絞り加工を施すことで、
図2(B)に示すように、円筒状部材19の前端面21を段差面29に平行な面とするとともに、前端部20の先端部の内周縁を径方向内方に突出させる(円筒状部材19の前端面21の内径を、円筒状部材19の前端部20のうち本体部分18の後端面が形成される部分の内径側に位置する部分の内径、および、その外周面に凹部22が形成された部分の内径よりも小さくする)。
【0029】
円筒状部材19の前端面21に中子26の段差面29を突き当てた状態で、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金などの軽合金の溶湯を、金型23内に送り込むことにより、本体部分18の後端部と円筒状部材19の前端部20とが軸方向に結合され、本体部分18が形成される。この時、円筒状部材19の凹部22に溶湯の一部が入り込むことで、本体部分18の後端部内周面に凸部31が形成される。なお、本参考例では、本体部分18の後端部と円筒状部材19の前端部との結合部は、これらの部分の嵌合および凹部22と凸部31の係合により形成される。なお、円筒状部材19の内径側に、インナシャフトを回転自在に挿通するために、円筒状部材19の後端部に転がり軸受33(
図13参照)が設置される。このため、本参考例では、円筒状部材19の後端部に絞り加工を施すことで小径部34を設け、この小径部34の内周面に切削加工を施すことで段差部38を設け、段差部38に転がり軸受33を構成する外輪を内嵌固定するようにしている。
【0030】
本体部分18の成形により得られたアウタコラム10bを、金型23から取り出した後に、円筒状部材19のうち本体部分18の内周面よりも径方向内方に突出した前端部20の先端部の内周縁に切削加工を施して、円筒状部材19の少なくとも前端寄り部分(アウタコラム10bの内径側にインナコラム32を回転自在に挿通するための、転がり軸受33の外輪を内嵌固定するために形成した小径部34を除いた部分)の内径を、本体部分18のうち本体部分18と円筒状部材19との結合部(円筒状部材19の前端部20に外嵌した部分)から軸方向に外れた部分の内径以上とする。なお、この結合部から軸方向に外れた部分における本体部分18の内径が、円筒状部材19の前端寄り部分の内径以下に収まる範囲で、本体部分18のうち結合部と軸方向に隣接する部分の内径側部分に、切削加工を施すこともできる。このような切削加工により、インナコラム32を挿通する本体部分18の内周面と円筒状部材19の前端縁との間に、前方に向いた段差面が存在しないようにして、二次衝突時にアウタコラム10bの前方への変位を円滑に行えるようにし、衝突事故の際における運転者の保護充実を図ることができる。また、本体部分18の後端部のうち結合部に隣接する部分の内径側部分にも切削加工を施すのは、加工を容易とするための便宜的なものであり、このような切削加工は、円筒状部材19の前端部内周縁にのみ切削加工を施したものと実質的に評価できるものである。なお、本参考例では、円筒状部材19の前端部20の内周面で、凹部22に対応する部分に存在する突起の内接円の直径は、あらかじめ本体部分18のうち本体部分18と円筒状部材19との結合部から軸方向に外れた部分の内径以上としているので、これらの突起に対する切削加工の有無にかかわらず、これらの突起の先端が、本体部分18の内周面よりも径方向内方に突出しないようにしている。
【0031】
本参考例のステアリングコラムの場合には、ステアリングコラムを構成するアウタコラム10bのうち、ステアリングロック装置12(
図13参照)を組み込む、後半部の厚さを薄くしつつ、強度を確保できる。すなわち、アウタコラム10bの後半部は、強度を確保しやすい、鉄系合金製の円筒状部材19により構成されている。このため、ロックユニット13やキーロックカラー15を取り付けるために、この後半部を構成する円筒状部材19の厚さを、本体部分18の厚さの0.4〜0.75倍程度まで、好ましくは0.5〜0.7倍程度まで薄くしたり、ロックピン16を挿通するために、ロック用透孔17を設けたりしても、円筒状部材19を含めた、アウタコラム10bの強度を確保できる。一方、コラム用部材を含むステアリングコラムのうち、円筒状部材19を除く部分(アウタコラム10bのうちの本体部分18およびインナコラム)は、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金などの軽合金製であること、および、円筒状部材19の厚さを薄くしていることから、ステアリングコラムの重量が過度に増大することはない。
【0032】
また、円筒状部材19の前端部20の外周面に形成した凹部22と、本体部分18の後端部の内周面に形成した凸部31とを係合させているため、本体部分18と円筒状部材19との軸方向の結合強度を確保できる。また、周方向についても、ロックピン16をキーロックカラー15の係合凹部14に係合させた状態で、ステアリングホイール4を大きな力で回転させようとしても、凹部22と凸部31との係合より、本体部分18と円筒状部材19との結合部の捩り剛性を向上させることができる。なお、
前述の構造に代えて、本発明の構造の様に、円筒状部材19の前端部20の外周面に径方向内方に凹んだ凹部22の代わりに、径方向外方に突出した凸部を設け、本体部分18の後端部の内周面に設けた凹部と係合させるように構成することもできる。
なお、前記凸部と前記凹部とを設ける対象を変更した点、並びにこの変更に伴う製造方法の変更点以外の構成に関しては同様である。
【0033】
また、円筒状部材19の前端部20の先端部に絞り加工を施し、円筒状部材19の前端面21の内径を、円筒状部材19の前端部20のうち本体部分18の後端面が形成される部分の内径側に位置する部分の内径よりも小さくした状態で、本体部分18を鋳造により形成している。このため、本体部分18と円筒状部材19との結合部の強度確保を有効に図ることができる。円筒状部材19の前端面21の内径を、円筒状部材19のうち本体部分18の後端面が形成される部分の内径側に位置する部分の内径寸法よりも小さくした状態で、本体部分18を形成することによる利点を、
図1に加えて
図3を用いて説明する。
図3は、円筒状部材19aの前端面の内径を、円筒状部材19aのうち本体部分18aの後端面が形成される部分の内径側に位置する部分の内径よりも小さくすることなく、本体部分18aと円筒状部材19aとを軸方向に結合し、さらに円筒状部材19aの内径を本体部分18aの内径以上にして、アウタコラム10cを製造する、参考例の別例を示している。
図1で説明したように、本体部分18、18aと鋳造する際に、溶湯が漏れ出すのを防止するためには、中子26の段差面29を突き当てるための相手面が必要となる。本参考例の場合、この相手面である円筒状部材19の前端面21の内径を、円筒状部材19のうち本体部分18の後端面が形成される部分の内径側に位置する部分の内径、および、その外周面に凹部22が形成された部分の内径よりも小さくしている。
【0034】
参考例の別例では、円筒状部材19aの前端面21aの内径を、円筒状部材19aのうち本体部分18aの後端面が形成される部分の内径側に位置する部分の内径と同じとしている。このような条件の下で、
図3(A)に示すように、円筒状部材19aの前端寄り部分の外周面に、本体部分18aの後端寄り部分の内周面を係合させつつ、本体部分18aを鋳造により成形する。次いで、円筒状部材19aの内径を、本体部分18aの内径以上とするため、
図3(B)に示すように、本体部分18aと円筒状部材19aとの結合部において、円筒状部材19aの前端部20aの内径側部分に切削加工を施す。このとき、円筒状部材19aの前端面21aの内径を、円筒状部材19aのうち本体部分18aの後端面が形成される部分の内径側に位置する部分の内径よりも小さくしていないため、円筒状部材19aのうち本体部分18aと円筒状部材19aとの結合部(本体部分18aの後端面が形成される部分)の内径側部分のみならず、この結合部よりも後端側に位置する部分の内径側部分も削られてしまう。円筒状部材19aの厚さは薄いので、その前端寄り部分の内径側部分が削られてしまうと、結合部および結合部よりも後端側に位置する部分において、円筒状部材19aの厚さが過度に薄くなってしまい、結合部の結合強度および結合部よりも後端側に位置する部分の捩り強度や曲げ強度を確保することができない。
【0035】
一方、本参考例の構造の場合、本体部分18と円筒状部材19との結合部の内径側部分に切削加工を施す場合に、この切削加工を施す部分は、円筒状部材19の前端部20の先端部の内周縁と、本体部分18の内径側部分のうち本体部分18と円筒状部材19との結合部に隣設する部分のみで済む。円筒状部材19のうち結合部よりも後端側に位置する部分を含め、結合部のうちで前端部20の先端部を除く部分を削る必要はない。このため、
図1(C)に示すように、円筒状部材19の前端部20の先端部の内周縁を切削した状態でも、本体部分18と円筒状部材19との結合部の強度および円筒状部材19の捩り強度や曲げ強度を十分に確保することができる。
【0036】
また、円筒状部材19の前端部20の先端部の内周縁に切削加工を施し、円筒状部材19の前端寄り部分の内径を、本体部分18のうち結合部から軸方向に外れた部分の内径以上としている。このようなアウタコラム10bの前端部(
図1の左端部)には、円筒状のインナコラム32を軸方向に変位可能な状態で内嵌して、伸縮式のステアリングコラムを構成する。アウタコラム10bの内径は、前側(
図1の左側)から、本体部分18、円筒状部材19の順に大きくなっているので、ステアリングホイールの前後位置調節や二次衝突に伴い、アウタコラム10bがインナコラム32に対して軸方向前方に相対変位する際に、インナコラム32の後端縁が、アウタコラム10bの内周面から突出した部分と干渉して、ステアリングホイールの前方への変位が阻害される可能性を抑えることができる。なお、小径部34の軸方向位置は、二次衝突が進行した状態でも、インナコラム32の後端縁が小径部34の内周面と干渉しないようにしている。
【0037】
また、製造時に、円筒状部材19の前端面21の内径を、円筒状部材19のうち本体部分18の後端面が形成される部分の内径側に位置する部分よりも小さくしているため、金型23に軽合金の溶湯を送り込んで本体部分18を成形する際に、溶湯が円筒状部材19の内周面側に入り込むことがなく、円筒状部材19の内周面が、軽合金の付着により粗面となることが防止される。
【0038】
[本発明に関連する参考例の第2例〜第4例]
図4は、本発明に関連する参考例の第2〜第4例を示している。なお、
図4(a)〜
図4(c)のいずれにおいても、(A)に前端部20の先端部に加工を施す以前の状態を、(B)にその加工後の状態を示している。これら各参考例の場合には、円筒状部材19b〜19dの形状が、前述した参考例の第1例の場合と異なっている。まず、
図4(a)に示す参考例の第2例の場合には、円筒状部材19bの前端部20の先端部に絞り加工を施す以前の状態で、参考例の第1例のようなテーパ面部30(
図2参照)を設けていない。このため、円筒状部材19bの前端部20の先端部に絞り加工を施すと、円筒状部材19bの前端縁が、径方向中間部が前方に向けて尖った形状となる。この場合であっても、中子26の段差面29(
図1参照)の径方向寸法が十分に大きい場合は特に問題は生じない。または、円筒状部材19bの前端部20の先端部に絞り加工を施した後に、この前端縁に切削加工を施して、円筒状部材19bの前端面を段差面29に平行な面とすることもできる。
【0039】
また、
図4(b)に示す参考例の第3例の場合には、円筒状部材19cの前端部20の先端部に絞り加工を施すことにより、前端部20の先端部に、円筒状部材19cのうち本体部分18の後端面が形成される部分の内径側に位置する部分よりも内径の小さい、小径部35を設けている。また、
図4(c)に示す参考例の第4例の場合には、円筒状部材19dの前端部20の先端部に曲げ加工を施すことにより、円筒状部材19dの前端縁に内向きフランジ状の円輪部36を設けている。円筒状部材19b〜19dの前端部20の先端部の形状が異なる点以外の構成および作用は、参考例の第1例と同様である。
【0040】
[本発明に関連する参考例の第5例]
図5は、本発明に関連する参考例の第5例を示している。本参考例の場合には、円筒状部材19eの前端縁を全周にわたり断面円弧状に曲げ成形することで、この円筒状部材19eの前端部20の先端部に、円筒状部材19eの前端部20のうち本体部分18(
図1参照)の後端面が形成される部分の内径側に位置する部分よりも内径が小さく、外径が大きい突片部37を設けている。また、突片部37の外径寄り部分の周方向の少なくとも1箇所に切り欠き部40を設けている。本体部分18を鋳造する際には、突片部37に中子26の段差面29(
図1参照)を突き当てる。突片部37の内径側半部は、本体部分18の鋳造後に削り取られる。本体部分18を鋳造した後の状態では、突片部37の外径側半部と本体部分18との係合により軸方向の結合強度が確保される。また、突片部37の外径側半部のうちで切り欠き部40と、切り欠き部40内に進入した本体部分18との係合により、周方向の結合強度を確保される。
【0041】
本参考例では、円筒状部材19eの内径側に、転がり軸受33(
図13参照)を構成する外輪を設置するために、円筒状部材19eの後端部の周方向複数箇所にプレス加工を施すことにより、円筒状部材19eの内周面に突出した係止部39を設け、係止部39に転がり軸受33を構成する外輪を係止するようにしている。その他の部分の構成および作用は、前述した参考例の第1例と同様である。
【0042】
[実施の形態の第1例]
図6は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合、円筒状部材19fの前端部20の外周面の軸方向複数箇所(図示の例では3箇所)に、全周にわたって周方向凹溝41を設けている。また、円筒状部材19fの前端部外周面の周方向複数箇所に、軸方向に長い軸方向凹溝42を設けている。円筒状部材19fの前端部20の先端部には絞り加工が施されており、剛性が高くなっているため、被加工部位である円筒状部材19fの前端部の外周面が大きく弾性変形することが抑えられる。このため、たとえば、円筒状部材19fの前端部外周面に、周方向凹溝41を旋削加工により、軸方向凹溝42を切削加工により形成する際に、周方向凹溝41および軸方向凹溝42を容易かつ高精度に形成することができる。または、周方向凹溝41を、円筒状部材19fを長尺なパイプ材を所定の長さに旋削加工で切断することにより造る際に、同一工程内で、途中でチャックを外すことなく、いわゆるワンチャクの旋削加工を施すことにより形成することもできる。この場合、製造工程の削減により、製造コストを削減することができる。
【0043】
円筒状部材19fを金型23に配置し、軽合金の溶湯を送り込んで本体部分18(
図1参照)を成形する際に、溶湯の一部を周方向凹溝41および軸方向凹溝42内に送り込んで、本体部分18の後端部内周面に周方向突条および軸方向突条を形成する。本例の場合、周方向凹溝41と周方向突条との係合により、本体部分18と円筒状部材19fとの軸方向の結合強度が確保され、軸方向凹溝42と軸方向突条との係合により、本体部分18と円筒状部材19fとの捩れ剛性が確保される(これらの部材の相対回転が防止される)。なお、本例を、前述した参考例の第2例〜第4例のうち何れか1つの構造と組み合わせて実施することもできる。その他の部分の構成および作用は、前述した参考例の第1例と同様である。
【0044】
[実施の形態の第2例]
図7は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、円筒状部材19gの前端部外周面のうち、周方向複数箇所に設けた軸方向凹溝42aの軸方向中間部1箇所位置に周方向凹溝41aを全周にわたって設けている。このような周方向凹溝41aは、円筒状部材19gの前端部20の外周面を径方向内方に向けて押圧し塑性変形させる、転造加工あるいはプレス加工により設けられる。また、軸方向凹溝42aは、円筒状部材19gの前端部20に転造加工あるいは絞り加工を施すことにより設けられる。周方向凹溝41aおよび軸方向凹溝42aを塑性変形により設けることで、被加工部位の板厚の減少を小さく抑えることができ、ファイバーフロー(繊維状金属組織)が切断されることが防止される。このため、円筒状部材19gの板厚を薄くしても、本体部分18(
図1参照)との結合部における円筒状部材19gの剛性が確保される。
【0045】
また、軸方向凹溝42aを、円筒状部材19gの前端部20の先端部に絞り加工を施す際に、同時に絞り加工により形成することもできる。この場合、製造工程の削減により、製造コストを削減することができる。なお、周方向凹溝41aをプレス加工により、軸方向凹溝42aを絞り加工により形成する場合、円筒状部材19fの前端部20の内周面で、周方向凹溝41aおよび軸方向凹溝42aに対応する部分に存在する突条の内接円の直径は、本体部分18のうち本体部分18と円筒状部材19との結合部から軸方向に外れた部分の内径以上として、これらの突条の先端部が、本体部分18の内周面よりも径方向内方に突出しないようにする。その他の部分の構成および作用は、実施の形態の第1例と同様である。
【0046】
[実施の形態の第3例]
図8は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、円筒状部材19hの前端部20の外周面のうち、周方向複数箇所に設けた軸方向凹溝42bとこの軸方向凹溝42bを形成した部分の軸方向後側に隣接する部分の1箇所位置に周方向凹溝41bを全周にわたって設けている。その他の部分の構成および作用は、実施の形態の第2例と同様である。
【0047】
[本発明に関連する参考例の第6例]
図9は、本発明に関連する参考例の第6例を示している。本参考例の場合、円筒状部材19iの前端部20の外周面にローレット加工を施すことで、この円筒状部材19iの前端部20の外周面に凹凸面部43を設けている。ローレット加工により形成するローレット目は、平目(ストレートパターン)や斜目(スパイラルパターン)とすることもできるが、
図9(C)に示すように、周方向および軸方向の何れに対しても傾斜(軸方向に対する傾斜角度が10°〜80°、好ましくは30°〜60°、最も好ましくは45°)した微小凹溝が網目状に交差する、綾目とすることが好ましい。すなわち、綾目ローレット目とすることで、円筒状部材19iと本体部分18(
図1参照)との捩れ剛性を大きくし、これらの円筒状部材19iと本体部分18との相対回転を防止できることに加え、円筒状部材19iと本体部分18との軸方向の結合強度を大きくして、円筒状部材19iが本体部分18から抜け落ちることを防止できる。
【0048】
また、ローレット目を転造加工により形成することもできるが、好ましくは、切削加工により形成する。すなわち、薄肉のパイプ材である円筒状部材19iの前端部外周面にローレット目を転造加工により形成する場合、転造工具の押し付けにより被加工部位である円筒状部材19iの前端部外周面が変形する(歪む)可能性がある。これに対し、ローレット目を切削加工により形成することで、加工時に被加工部位が変形することが防止され、凹凸面部43を容易かつ高精度に形成できる。このような切削加工によりローレット目を形成する方法として、たとえば山田エンジニアリング株式会社製のQuickナーリングツールを用いることができる。
【0049】
本参考例の場合、円筒状部材19iと本体部分18との相対回転の防止および円筒状部材19iの本体部分18からの抜け落ち防止を図るための凹凸面部43を、ローレット加工により形成しているため、本体部分18と円筒状部材19iとの結合部における円筒状部材19iの板厚を確保して、結合部の剛性を確保することができる。すなわち、実施の形態の第1例のように、周方向凹溝41を旋削加工により、軸方向凹溝42を切削加工により形成した場合、円筒状部材19の板厚が十分でないと、本体部分18との結合部における円筒状部材19の板厚が薄くなって、結合部の剛性を十分に確保できなくなる可能性がある。これに対し、本参考例の場合、円筒状部材19iの前端部外周面に、深さの浅い多数の微小凹溝により構成されるローレット目を形成することで、相対回転の防止および抜けの防止を図っている。このため、薄肉の円筒状部材19iであっても、結合部の剛性が低くなることを抑えられる。その他の部分の構成および作用は、前述した参考例の第1例と同様である。
【0050】
[本発明に関連する参考例の第7例]
図10および
図11は、本発明に関連する参考例の第7例を示している。本参考例は、ステアリング装置の1例である。このステアリング装置は、テレスコピック機構を備えた衝撃吸収式ステアリング装置となっている。このステアリング装置では、アウタコラム10dの前端部にインナコラム32aの後端部を、アウタコラム10dとインナコラム32aとが互いに軸方向に変位することを可能とした状態で、内嵌している。インナコラム32aの前端部には、電動式パワーステアリング装置を構成する減速機などを収納するためのハウジング44を結合固定している。このようなステアリングコラム2bは、アウタコラム10dを支持した後側ブラケット45と、ハウジング44の前端部左右両側に設けられた前側ブラケット46とを、車体に対し結合固定することにより、車体に対して支持されている。本参考例の場合、ステアリングコラム2bを構成するアウタコラム10dに、本発明の実施の形態の第1例〜第3例、あるいは参考例の第1〜6例のいずれかのコラム用部材を含むステアリングコラムが用いられている。
【0051】
本参考例のステアリング装置には、さらに、
図13に記載したようなステアリングロック装置が組み込まれる。ステアリングロック装置の作動時に、ステアリングシャフト3がステアリングコラム2b内で回転することが実質的に阻止される。なお、実質的に阻止されるとは、キーロック時に、係合凹部14とロックピン16(
図13参照)の先端部とを係合させた状態で、ステアリングホイール4(
図12参照)を所定以上の力、具体的には、キーロックレギュレーションにより規定された値を超える力で回転させた場合には、ステアリングシャフト3が、キーロックカラー15ひいてはステアリングコラム2bに対して、回転することが許容されることを意味する。ただし、操舵輪に、所望の舵角を付与するために、ステアリングホイール4を、通常の運転姿勢のまま操作する程度の力では、ステアリングシャフト3が回転することはない。また、本発明のコラム用部材は、上述したような、テレスコピック機構を有するステアリングコラムのアウタコラムに適用することができる。なお、本発明の技術的範囲からは外れるが、前述したようなコラム用部材の構造を、テレスコピック機構を有さないステアリングコラムに適用することも可能である。