特許第5962832号(P5962832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5962832-フラックス 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5962832
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】フラックス
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/363 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   B23K35/363 D
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-185219(P2015-185219)
(22)【出願日】2015年9月18日
【審査請求日】2015年12月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶川 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】平岡 義紀
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 浩由
(72)【発明者】
【氏名】萩原 崇史
【審査官】 田口 裕健
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−090283(JP,A)
【文献】 特開平03−184695(JP,A)
【文献】 特開2002−301591(JP,A)
【文献】 特開2015−182125(JP,A)
【文献】 特開平07−169646(JP,A)
【文献】 特開2004−001030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/363
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性の樹脂と、
硬化剤と、
有機酸と
溶剤を含み、
前記有機酸は、下記の(1)〜(4)に示す組成の長鎖二塩基酸をそれぞれ所定の比率で混合した長鎖二塩基酸混合物で、
前記(1)〜(4)に示す前記長鎖二塩基酸の比率は、前記長鎖二塩基酸混合物全体の比率を100%とした場合、下記の通りであり、
前記樹脂を3質量%以上8質量%以下、
前記硬化剤を前記樹脂の添加量を超えない範囲で1質量%以上5質量%以下、
前記長鎖二塩基酸混合物を5質量%以上15質量%以下含み、残部を前記溶剤とした
ことを特徴とするフラックス。
(1)2−メチルノナン二酸を30〜60質量%
(2)4−(メトキシカルボニル)−2,4−ジメチルウンデカン二酸を8〜20質量%
(3)4,6−ビス(メトキシカルボニル)−2,4,6−トリメチルトリデカン二酸を8〜20質量%
(4)8,9−ビス(メトキシカルボニル) −8,9−ジメチルヘキサデカン二酸を15〜30質量%
【請求項2】
更に、チキソ剤とシランカップリング剤のうち少なくとも1種を含み、前記チキソ剤を0質量%超5質量%以下、前記シランカップリング剤を0質量%超1質量%以下添加した
ことを特徴とする請求項1に記載のフラックス。
【請求項3】
前記樹脂はエポキシ樹脂である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフラックス。
【請求項4】
前記硬化剤は酸無水物である
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のフラックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーフィルで接合対象箇所を固着するはんだ付けで使用されるフラックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、はんだ付けに用いられるフラックスは、はんだ合金及びはんだ付けの対象となる接合対象物の金属表面に存在する金属酸化物を化学的に除去し、両者の境界で金属元素の移動を可能にする効能を持つ。このため、フラックスを使用してはんだ付けを行うことで、はんだ合金と接合対象物の金属表面との間に金属間化合物が形成できるようになり、強固な接合が得られる。
【0003】
一方、フラックスの成分には、はんだ付けの加熱によって分解、蒸発しない成分が含まれており、はんだ付け後にフラックス残渣としてはんだ付け部位の周辺に残留する。
【0004】
さて、近年の電子部品の小型化の進展につれて、電子部品のはんだ付け部位である電極も小さくなってきている。そのため、はんだ合金で接合できる面積が小さくなり、はんだ合金だけでの接合強度では、接合信頼性に不十分な場合もある。
【0005】
そこで、はんだ付けによる接合を強化する部品固着手段として、アンダーフィル等の樹脂によって、はんだ付けの接合対象箇所に周囲を覆うことにより、電子部品等を固着する技術が提案されている。
【0006】
ここで、はんだ付けの接合対象箇所にフラックス残渣が残っていると、フラックス残渣が接合対象箇所と樹脂との固着を阻害するので、強度を確保することができない。このため、接合対象箇所の周囲を樹脂で覆うためには、フラックス残渣を洗浄する必要がある。しかし、フラックス残渣を洗浄するには、時間とコストが掛かる。
【0007】
そこで、フラックス中の熱硬化性樹脂を、リフロー後も未硬化状態を維持できるようにして、フラックス残渣中の樹脂とアンダーフィルを相溶できるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、フラックス中に含まれる樹脂に熱可塑性の特性を持たせて、フラックス残渣中の樹脂がアンダーフィル塗布時に液状となってアンダーフィルと相溶するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4757070号公報
【特許文献2】特開2013−91093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のフラックスでは、はんだ付け時の加熱で樹脂を硬化させないため、リフロー工程中及びリフロー後にフラックス残渣が流動性を持つ。フラックス残渣中の樹脂が硬化しないため、フラックス残渣の表面に粘着性があり、アンダーフィルの充填前に微細な異物がフラックス残渣の表面に付着する可能性があった
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、はんだ合金の濡れ性を阻害することなく、リフロー工程後のフラックス残渣の表面の粘着性を抑制し、かつ、アンダーフィルと相溶するフラックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
熱硬化性の樹脂が添加されたフラックスに所定量の硬化剤が添加されることで、はんだ付け時の加熱温度まで加熱されても、流れ出すような流動性は持たず、所定の粘度を保ち、かつ、はんだ付け後のフラックス残渣の表面の粘着性が抑制されることを見出した。
【0012】
そこで、本発明は、熱硬化性の樹脂と、硬化剤と、有機酸と、溶剤を含み、有機酸は、下記の(1)〜(4)に示す組成の長鎖二塩基酸をそれぞれ所定の比率で混合した長鎖二塩基酸混合物で、(1)〜(4)に示す長鎖二塩基酸の比率は、長鎖二塩基酸混合物全体の比率を100%とした場合、下記の通りであり、樹脂を3質量%以上8質量%以下、硬化剤を樹脂の添加量を超えない範囲で1質量%以上5質量%以下、長鎖二塩基酸混合物を5質量%以上15質量%以下含み、残部を溶剤としたフラックスである。
(1)2−メチルノナン二酸を30〜60%
(2)4−(メトキシカルボニル)−2,4−ジメチルウンデカン二酸を8〜20%
(3)4,6−ビス(メトキシカルボニル)−2,4,6−トリメチルトリデカン二酸を8〜20%
(4)8,9−ビス(メトキシカルボニル) −8,9−ジメチルヘキサデカン二酸を15〜30%
【0013】
本発明のフラックスでは、熱硬化性の樹脂に所定量の硬化剤が添加されることで、はんだ付け時の加熱温度まで加熱されても、流れ出すような流動性は持たず、所定の粘度を保ち、かつ、はんだ付け後のフラックス残渣の表面の粘着性が抑制される。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、リフロー後のフラックス残渣がアンダーフィルと相溶となるフラックスに、所定量の硬化剤が添加されることで、はんだ付け時の加熱でフラックス中の樹脂が流れ出すような流動性を持たず、フラックス残渣が接合対象箇所以外に付着することを抑制することができる。また、フラックス残渣の表面の粘着性を抑制することができるので、フラックス残渣の表面に微細な異物が付着することが抑制され、アンダーフィル中に異物が入り込むことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】アンダーフィル充填工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施の形態のフラックスは、樹脂と、硬化剤と、有機酸と、溶剤を含む。樹脂は、はんだ付け時の加熱温度で揮発せず、フラックス残渣となる。樹脂は、熱硬化性のエポキシ樹脂が添加される。
【0017】
エポキシ樹脂は、ビスフェノール型としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールAP型、ビスフェノールAF型、ビスフェノールB型、ビスフェノールBP型、ビスフェノールC型、ビスフェノールE型、ビスフェノールF型、ビスフェノールG型、ビスフェノールM型、ビスフェノールS型、ビスフェノールP型、ビスフェノールPH型、ビスフェノールTMC型、ビスフェノールZ型などが挙げられる。脂環式エポキシ樹脂としては、3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。本例ではビスフェノールA型を使用した。硬化剤としては、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、イミダゾール類、アミンアダクト系硬化剤、ビニルエーテルブロックカルボン酸、オニウム塩、ケチミン化合物、マイクロカプセル化イミダゾール、酸無水物、フェノール類などが挙げられる。酸無水物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロ無水フタル酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス アンヒドロトリメリテートモノアセテート、テトラプロペニル無水コハク酸が挙げられる。エポキシ樹脂は、以上に示す化合物の何れか、または、これら化合物の2つ以上を混合した混合物であっても良い。また、硬化剤は、以上に示す化合物の何れか、または、これら化合物の2つ以上を混合した混合物であっても良い。更に、エポキシ樹脂と硬化剤は、以上に示す組成を任意に組み合わせたものであれば良い。
【0018】
有機酸は、活性剤として機能させるため、例えばカルボン酸が添加される。また、有機酸は、樹脂によるフラックス残渣に熱で軟化する特性を持たせるため、炭素数が所定数以上の長鎖の有機酸であることが好ましく、例えば、長鎖のジカルボン酸が添加される。有機酸として長鎖のジカルボン酸を添加することにより、金属表面の酸化物を除去するフラックスの機能が、熱硬化性の樹脂の添加によって阻害されることがなく、また、はんだ付け時の加熱で活性が著しく低下することなく、はんだの濡れ性が向上する。
【0019】
長鎖のジカルボン酸は、側鎖にアルキル基を有する第1の長鎖二塩基酸と、側鎖にアルキル基とアルコキシカルボニル基とを有し、かつ両端カルボキシル基に挟まれた主鎖の炭素数が8以上の第2の長鎖二塩基酸を1種又はそれ以上含有する長鎖二塩基酸混合物である。長鎖二塩基酸混合物は、第2の長鎖二塩基酸として、アルコキシカルボニル基を2個又はそれ以上有する長鎖二塩基酸を1種又はそれ以上含有することが好ましい。
【0020】
このような長鎖二塩基酸混合物としては、以下の(1)、(2)、(3)あるいは(4)に示す組成の化合物の何れか、または、これら化合物の2つ以上を所定の比率で混合した混合物であることが好ましい。
【0021】
(1)2−メチルノナン二酸
(2)4−(メトキシカルボニル)−2,4−ジメチルウンデカン二酸
(3)4,6−ビス(メトキシカルボニル)−2,4,6−トリメチルトリデカン二酸
(4)8,9−ビス(メトキシカルボニル) −8,9−ジメチルヘキサデカン二酸
【0022】
更に、上述した(1)、(2)、(3)及び(4)に示す長鎖二塩基酸混合物の混合物として好ましい比率は、混合物全体の比率を100%とした場合、以下の通りである。
【0023】
(1)30〜60%
(2)8〜20%
(3)8〜20%
(4)15〜30%
【0024】
溶剤は、イソボニルシクロヘキサノール、ヘキシレングリコール、ジブチルジグリコール、ヘキシルジグリコール等が挙げられる。溶剤は、以上に示す化合物の何れか、または、これら化合物の2つ以上を混合した混合物であっても良い。
【0025】
更に、チキソ剤として、高級脂肪酸アマイド、ヒマシ硬化油を0質量%以上5質量%以下添加しても良い。また、シランカップリング剤を0質量%以上1質量%以下添加しても良い。チキソ剤を添加することで印刷性等の作業性を向上させることができ、シランカップリング剤を添加することで熱硬化性樹脂の密着性を向上させることができる。チキソ剤は、以上に示す化合物の何れか、または、これら化合物の2つ以上を混合した混合物であっても良い。
【0026】
本実施の形態では、フラックス中における樹脂の含有量を3質量%以上8質量%以下、硬化剤の含有量を、樹脂の含有量を超えない範囲で1質量%以上5質量%以下、有機酸の含有量を5質量%以上15質量%以下、残部を溶剤とした。
【0027】
熱硬化性の樹脂と硬化剤が混合された組成物は、加熱によって重合反応が進行して硬化する。重合の進行は、添加される硬化剤の量によって変わる。これに対し、熱硬化性の樹脂に長鎖のジカルボン酸が添加された組成物では、熱可塑性に類似する特性を持ち、樹脂が加熱によって軟化しやすくなる。樹脂を加熱によって軟化させることで、加熱後の組成物に流動性を持たせると、組成物の表面が粘着性を持つ。
【0028】
本実施の形態のフラックスは、熱硬化性の樹脂に硬化剤と長鎖のジカルボン酸が添加されることで、樹脂が軟化するガラス転移点が下がり、はんだ付け時の加熱温度より低い温度で所定の流動性を持つ。一方、所定量の硬化剤が添加されることで、はんだ付け時の加熱温度まで加熱されても、流れ出すような流動性は持たず、所定の粘度を保つ。また、はんだ付け後のフラックス残渣の表面の粘着性が抑制される
【0029】
本実施の形態のフラックスは、有機酸として長鎖のジカルボン酸が添加されることで、はんだ付け時の加熱で活性が著しく低下することなく、接合対象物である金属表面の酸化物を除去する。
【0030】
フラックスは、はんだ付け時の加熱温度で溶剤が揮発し、はんだ付け時の加熱温度で揮発しない成分がフラックス残渣となり、接合対象物及びその近傍を含む接合対象箇所に残る。
【0031】
本実施の形態のフラックスでは、熱硬化性の樹脂が残渣となる。かつ、硬化剤として酸無水物が添加されることで、はんだ付け時の加熱でフラックス中の樹脂が流れ出すような流動性は持たず、接合対象箇所以外に付着することが抑制される。更に、はんだ付け後の温度がフラックス残渣中の樹脂のガラス転移点以下に低下すると、樹脂は固体となる。
【0032】
図1は、アンダーフィル充填工程を示す説明図である。基板1の電極10及び半導体チップ2の電極20が、本実施の形態のフラックスを使用してはんだ合金3で接合されると、図1(a)に示すように、はんだ付けのリフロー工程後に、フラックス残渣4が接合対象箇所に残る。
【0033】
はんだ付け後に、図1(b)に示すように、アンダーフィル5として例えば熱硬化性の樹脂と硬化物が接合対象箇所に充填されて加熱され、フラックス残渣中の樹脂のガラス転移点を超えると、このフラックス残渣中の樹脂が軟化し、アンダーフィルと相溶な状態となる。
【0034】
これにより、図1(c)に示すように、フラックス残渣中の樹脂がアンダーフィルに混ざり込んだ状態で、アンダーフィル5が硬化する。従って、フラックス残渣を洗浄することなく、接合対象物である半導体チップ2の電極20と接合物である基板1の電極10がアンダーフィル5で固着される。
【実施例】
【0035】
以下の表1に示す組成で実施例と比較例のフラックスを調合し、はんだ濡れ性、粘着性及びアンダーフィル中のボイドの発生の有無について検証した。なお、表1における組成率は、フラックス組成物中の質量%である。まず、各検証の評価方法について説明する。
【0036】
(1)はんだ濡れ性の検証について
(a)評価方法
Cu板上にフラックスを塗布し、Cu板上に塗布したフラックス上にはんだボールを搭載し、リフローを行った後、はんだ濡れ広がり径を測定した。リフロー工程は、ピーク温度を250℃に設定したリフロー装置を用いて、35℃から1秒毎に1℃ずつ250℃まで温度を上昇させていき、250℃に達した後、30秒間加熱処理を行った。はんだボールの組成は96.5Sn−3.0Ag−0.5Cu、直径は0.3mmである。
(b)判定基準
○:はんだの広がり径が510μm以上
×:はんだの広がり径が510μm未満
【0037】
(2)粘着性の検証について
(a)評価方法
Cu板上にフラックスを塗布し、Cu板上に塗布したフラックスを300℃まで加熱し、リフローを行った状態にする。加熱後のフラックス残渣にφ100μmのはんだボールを散布させた。そして、フラックス残渣にはんだボールを散布させたCu板を30°傾け、はんだボールの動きを見た。
(b)判定基準
○:フラックス残渣が無いCuと同等程度にはんだボールが転がる
×:フラックス残渣の粘着性によりはんだボールが転がらない
【0038】
(3)アンダーフィル中のボイドの発生有無の検証について
(a)評価方法
Cu板にフラックスを塗布し、リフローを行った後、フラックス残渣を硬化させる工程の有無でアンダーフィル中のボイドの発生の有無を検証した。リフロー工程は、室温から1秒毎に3℃ずつ、250℃まで温度を上昇させていき、250℃に達した後、30秒間加熱処理を行った。実施例、比較例ともリフロー工程後の硬化工程は行わない。実施例、比較例とも、フラックス塗布位置の両側に高さ25μmのスペーサを置き、このスペーサにガラス板を載せ、Cu板とガラス板の間にアンダーフィルを充填した。アンダーフィルを充填した後、165℃で2時間加熱処理を行った。
(b)判定基準
○:ボイドの発生が見られなかった
×:ボイドの発生が見られた
【0039】
【表1】
【0040】
はんだのぬれ性について、表1に示すように、有機酸の一例であるジカルボン酸として、上述した含有量の範囲でグルタル酸が添加された実施例1のフラックス、有機酸の一例である長鎖のジカルボン酸として、上述した含有量の範囲でセバシン酸が添加された実施例2のフラックス、有機酸の一例である長鎖のジカルボン酸として、上述した含有量の範囲で長鎖二塩基酸混合物が添加された実施例3〜実施例7のフラックスは、何れも良好な濡れ性が得られた。これに対し、長鎖のジカルボン酸であっても、所定の含有量を下回る長鎖二塩基酸混合物が添加された比較例2は、良好な濡れ性が得られなかった。
【0041】
また、フラックス残渣の粘着性について、表1に示すように、硬化剤として上述した含有量の範囲で酸無水物が添加された実施例1〜実施例7のフラックスは、フラックス残渣の表面の粘着性が抑制されていた。これに対し、硬化剤が添加されていない比較例1のフラックスは、フラックス残渣の表面の粘着性が高いことが判った。
【0042】
更に、ボイドの発生の有無について、リフロー後に硬化工程を行わなければ、ボイドは発生しない、すなわち、フラックス残渣中の樹脂とアンダーフィルが相溶な状態となり、フラックス残渣中の樹脂がアンダーフィルに混ざり込んだ状態で、アンダーフィルが硬化することが判った。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、アンダーフィルで基板と電子部品等を固着する接合法で使用するフラックスに適用される。
【符号の説明】
【0044】
1・・・基板、10・・・電極、2・・・半導体チップ、20・・・電極、3・・・はんだ合金、4・・・フラックス残渣、5・・・アンダーフィル
【要約】
【課題】はんだ合金の濡れ性を阻害することなく、リフロー時及びリフロー工程後にフラックス残渣が所定の粘度を保ち、かつ、アンダーフィルの硬化工程でアンダーフィルと相溶になるフラックスを提供する。
【解決手段】フラックスは、熱硬化性の樹脂と、硬化剤と、有機酸と、溶剤を含み、樹脂を3質量%以上8質量%以下、硬化剤を樹脂の添加量を超えない範囲で1質量%以上5質量%以下、有機酸を5質量%以上15質量%以下含み、残部を溶剤とした。
【選択図】無し
図1