(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の計測角速度信号、及び前記第1の角度検出信号又は前記第2の角度検出信号を入力して、前記第1の計測角速度信号を前記第1の角度に関する成分を含む1つ以上のオイラー角成分に変換し、前記第1の計測角速度信号に基づく信号を出力する第1座標変換手段
をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の空間安定装置。
前記第2の計測角速度信号、及び前記第2の角度検出信号を入力して、前記第2の計測角速度信号を前記第2の角度に関する成分を含む1つ以上のオイラー角成分に変換し、前記第2の計測角速度信号に基づく信号の1つ以上の成分を出力する第2の座標変換手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空間安定装置。
前記第1指令生成手段により出力された前記第1の角度の目標角度の信号が入力して、前記第1の目標角度へ至る角度軌道である第1の目標角度信号及び前記角度軌道に対応する角速度軌道である前記第1の角度の目標角度信号に基づく信号を出力する第1の軌道生成手段と、
前記角速度評価信号から前記第1の角度の目標角度信号に基づく信号を減算して偏差角速度信号を出力する第1の減算手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の空間安定装置。
移動体に対し、第1の回転軸の回りに回転自在に連結される第1の制御対象と、前記第1の制御対象に対し、第2の回転軸の回りに回転自在に連結される第2の制御対象と、を備えた空間安定装置が備えるコンピュータを、
前記移動体と前記第1の制御対象のいずれかの角速度を計測して前記移動体と前記第1の制御対象のいずれかに固定された直交座標系の3つの成分の1つ以上の成分を含む第1の計測角速度信号を出力する慣性検出手段と、
前記移動体に対する前記第1の制御対象の第1の角度に関する評価又は検出された角速度である角速度評価信号を出力する第1の角速度検出手段と、
前記第1の角度の目標角度信号を出力する第1指令生成手段と、
前記第1の制御対象に対する前記第2の制御対象の第2の角度の目標角度信号を出力する第2指令生成手段と、
前記角速度評価信号に基づく信号と前記第1の計測角速度信号に基づく信号とを加算して、第2の計測角速度信号を出力する第1の加算手段と、
前記第1の角度の目標角度信号に基づく信号と、前記第1の計測角速度信号に基づく信号とに基づいて、前記第1の角度を制御する第1の制御手段と、
前記第2の角度の目標角度信号に基づく信号と、前記第2の計測角速度信号に基づく信号とに基づいて、前記第2の角度を制御する第2の制御手段と、
して機能させるための空間安定プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における空間安定装置100の構成を示すブロック図である。尚、以下では、空間安定装置100を取り付ける固定部と最終的な空間安定化対象であるペイロードとの間が、2つの連結部を介して、それぞれ1本の回転軸の回りに回転自在に連結される場合について説明する。以降、固定部に近い側の連結部の回転軸を「第1回転軸」、ペイロードに近い側の連結部の回転軸を「第2回転軸」という。
【0020】
本実施形態の空間安定装置100は、第1制御対象103と、第1角度検出器104と、第1制御器105と、第1ドライバ106と、第1指令生成器107と、慣性センサ108と、第2制御対象113と、第2角度検出器114と、第2制御器115と、第2ドライバ116と、第2指令生成器117と、第1角速度検出器118と、第1加算器122と、第1座標変換器123と、第2座標変換器124と、第1軌道生成器125と、第1減算器126とを備える。
【0021】
第1制御対象103は、空間安定装置100が取り付けられる固定部(図示なし)に対し1本の回転軸(第1回転軸)の回りに回転自在に連結される。
【0022】
第1角度検出器104は、請求項内の第1の角度検出手段であり、固定部に対する第1制御対象103の第1回転軸の回りの角度(以降、「第1角度」という。)の信号を出力する。
【0023】
第1制御器105は、請求項内の第1の制御手段であり、目標角度、及び検出又は推定した、現在の角度又は角速度の信号を入力して、第1制御対象103を制御する信号を第1ドライバ106に出力する。
【0024】
第1ドライバ106は、第1角度を制御する信号を入力して、第1制御対象103の第1回転軸の回りの回転(第1角度)を駆動する。以降、固定部に固定された座標系を「固定部座標系」又は「座標系0」という。尚、固定部は、空間安定装置100が取り付けられる対象であり、固定部自体が不動物である必要はない。すなわち、固定部は、移動体、固定物、又は別の空間安定装置の制御対象であってもよい。
【0025】
尚、第1制御器105は、第1制御対象103を直接制御してもよい。第1制御器105が第1制御対象103を直接制御する場合には、第1制御器105は、目標角度、及び検出又は推定した、現在の角度又は角速度の信号を入力して、第1制御対象103を制御する。又、第1制御器105が第1制御対象103を直接制御する場合には、空間安定装置100には、第1ドライバ106は含まれない。
【0026】
第1指令生成器107は、請求項内の第1指令生成手段であり、第1角度の目標角度の信号を出力する。
【0027】
尚、第1指令生成器107が出力する第1角度の目標角度は、第1軌道生成器125により、あらかじめ保持されてもよい。第1角度の目標角度が第1軌道生成器125によりあらかじめ保持される場合には、第1軌道生成器125は、あらかじめ設定された目標角度に従い、目標角度へ至るための角度軌道及び角速度軌道の信号を出力する。又、第1角度の目標角度が第1軌道生成器125によりあらかじめ保持される場合には、空間安定装置100には、第1指令生成器107は含まれない。
【0028】
慣性センサ108は、請求項内の慣性検出手段であり、慣性センサ108に固定された直交座標系(以降、「慣性センサ座標系」という。)の3つの成分の角速度(以降、「動揺角速度」という。)信号を出力する。尚、慣性センサ108は、固定部に固定され、慣性センサ座標系は座標系0と一致するものとする。
【0029】
第2制御対象113は、第1制御対象103に対し1本の回転軸(第2回転軸)の回りに回転自在に連結される。尚、制御対象は、別の空間安定装置の固定部であってもよい。
【0030】
第2角度検出器114は、請求項内の第2の角度検出手段であり、第1制御対象103に対する第2制御対象113の第2回転軸の回りの角度(以降、「第2角度」という。)の信号を出力する。
【0031】
第2制御器115は、請求項内の第2の制御手段であり、目標角度、及び検出又は推定した、現在の角度又は角速度の信号を入力して、第2制御対象113を制御する信号を第2ドライバ116に出力する。
【0032】
第2ドライバ116は、第2角度を制御する角度の信号を入力して、第1制御対象103に対する第2制御対象113の第2回転軸の回りの回転(第2角度)を駆動する。
【0033】
尚、第2制御器115は、第2制御対象113を直接制御してもよい。第2制御器115が第2制御対象113を直接制御する場合には、第2制御器115は、目標角度、及び検出又は推定した、現在の角度又は角速度の信号を入力して、第2制御対象113を制御する。又、第2制御器115が第2制御対象113を直接制御する場合には、空間安定装置100には、第2ドライバ116は含まれない。
【0034】
第2指令生成器117は、請求項内の第2の指令生成手段であり、第2角度の目標角度の信号を出力する。
【0035】
尚、第2指令生成器117が出力する第2角度の目標角度は、第2制御器115により、あらかじめ保持されてもよい。第2角度の目標角度が第2制御器115によりあらかじめ保持される場合には、第2制御器115は、あらかじめ設定された目標角度に従い、検出又は推定した、現在の角度又は角速度の信号を入力して、第2制御対象113を制御する信号を第2ドライバ116に出力する。又、第2角度の目標角度が第2制御器115によりあらかじめ保持される場合には、空間安定装置100には、第2指令生成器117は含まれない。
【0036】
第1角速度検出器118は、請求項内の第1の角速度検出手段であり、第1角度の時間的変化率である制御対象角速度の信号を出力する。尚、第1角速度検出器118は、第1角度検出器104が出力する、第1角度の信号を入力して、第1角度の信号を時間微分して出力してもよい。又は、第1角速度検出器118は、第1制御器105の内部で状態推定器を構成して、第1角度と第1制御器105の出力である第1制御対象103を制御する信号から角速度の推定値の信号を生成し、角速度の推定値の信号を出力してもよい。
【0037】
第1加算器122は、請求項内の第1の加算手段であり、2つの入力信号を加算した信号を出力する。尚、第1加算器122は、入力信号の組が、それぞれ複数の成分を含むときは、成分毎に加算した信号を出力する。又、ある成分については、1つの入力信号しかなく、加算できない場合には、その成分については、第1加算器122は、入力信号をそのまま出力する。
【0038】
第1座標変換器123は、請求項内の第1座標変換手段であり、慣性センサ座標系における動揺角速度、第1角度及び第2角度の信号を入力する。そして、第1座標変換器123は、第1制御対象103に固定された座標系(以降、「第1座標系」又は「座標系1」という。)における動揺角速度の慣性センサ座標系から第1座標系への回転のオイラー角による3つの成分(以降、「第1座標系における動揺角速度のオイラー角成分」という。)の信号を出力する。尚、第1制御器105へフィードバックされる信号成分は、出力の3つの成分のうち、1つの第1角度の成分である。
【0039】
第2座標変換器124は、請求項内の第2座標変換手段であり、第1座標系における動揺角速度のオイラー角成分、及び第2角度の信号を入力する。そして、第2座標変換器124は、第2制御対象113に固定された座標系(以降、「第2座標系」又は「座標系2」という。)における動揺角速度の第1座標系から第2座標系への回転のオイラー角による3つの成分(以降、「第2座標系における動揺角速度のオイラー角成分」という。)の信号を出力する。尚、第2制御器115へフィードバックされる信号成分は、出力の3つの成分のうち、1つの第2角度の成分である。
【0040】
第1軌道生成器125は、請求項内の第1の軌道生成手段であり、目標角度の信号を入力して、目標角度へ至るための角度軌道及び角速度軌道の信号を出力する。尚、「軌道」とは、時間的な変化過程を意味する。
【0041】
第1減算器126は、請求項内の第1の減算手段であり、2つの入力信号の一方から他方を減算した信号を出力する。
【0042】
図2は、空間安定装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
空間安定装置100のコンピュータ907は、第1ドライバ106、第1角度検出器104、第2ドライバ116、第2角度検出器114、慣性センサ108、第1角速度検出器118とデータの送受信を行う。
【0044】
コンピュータ907は、記憶装置901と、CPU(Central Processing Unit)903と、キーボード904と、モニタ905と、I/O(Input/Output)908とを備え、これらが内部バス906で接続される。
【0045】
I/O908は、第1ドライバ106、第1角度検出器104、第2ドライバ116、第2角度検出器114、慣性センサ108、第1角速度検出器118に接続される。I/O908は、コンピュータ907と、第1ドライバ106、第1角度検出器104、第2ドライバ116、第2角度検出器114、慣性センサ108、第1角速度検出器118とデータの送受信を行う。
【0046】
記憶装置901は、CPU903の第1制御器105等の動作プログラム等を格納する。CPU903は、コンピュータ907全体を制御し、記憶装置901に格納された動作プログラムを実行し、I/O908を介して第1制御器105等のプログラムの実行やデータの送受信を行なう。
【0047】
なお、コンピュータ907は、CPU903のみを備え、外部に備えられた、記憶装置901、メモリ902、キーボード904、モニタ905、及びI/O908を用いて動作してもよい。
【0049】
第1制御器105は、第1角度に関し、第1軌道生成器125から目標角度軌道の信号を入力し、第1角度検出器104から第1角度の現在角度信号を入力する。
【0050】
又、第1制御器105は、慣性センサ108出力の第1座標系における動揺角速度のオイラー角成分の第1角度成分信号を入力する。
【0051】
第1制御器105は、目標角度軌道と現在角度の差分が0になるように、第1制御対象103を制御する信号を生成する。
【0052】
尚、第1制御器105は、負のフィードバックとして、第1座標変換器123から動揺角速度の第1角度成分を入力して目標角度軌道から減算し、動揺角度をキャンセルするように制御信号を出力する。その結果、第1制御対象103は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。
【0053】
第1座標変換器123は、慣性センサ108の角速度出力の慣性センサ座標系の3つの成分の信号を入力する。又、第1座標変換器123は、第1角度検出器104から第1角度の信号を、第2角度検出器114から第2角度の信号を入力する。第1座標変換器123は、慣性センサ108の角速度出力を第1座標系のオイラー角成分に変換した信号を出力する。尚、出力の成分のうち、第1角度の成分の出力が第1制御器105にフィードバックされる。
【0054】
第1減算器126は、第1角速度検出器118からの現在角速度の信号から、第1軌道生成器125からの目標角速度軌道の信号を減算して、第1角度の微分である現在角速度からの、目標角速度の偏差信号を出力する。
【0055】
第1加算器122は、第1減算器126からの第1角度の現在角速度偏差の信号と、第1座標変換器123からの動揺角速度を第1座標系のオイラー角成分に変換した信号とを加算して、第1角度回りに関する角速度(以降、「第1残留動揺角速度」という。)の第1座標系のオイラー角成分の信号を出力する。
【0056】
第2座標変換器124は、第1残留動揺角速度の第1座標系におけるオイラー角成分の信号を入力する。又、第2座標変換器124は、第2角度検出器114から第2角度の信号を入力する。第2座標変換器124は、第1残留動揺角速度を第2座標系のオイラー角成分に変換した信号を出力する。尚、出力の成分のうち、第2角度の成分の出力が第2制御器115にフィードバックされる。
【0057】
第2制御器115は、第2角度に関し、第2指令生成器117から目標角度の信号を入力し、第2角度検出器114から第2角度の現在角度信号を入力する。尚、目標角度は、角度軌道ではない。
【0058】
又、第2制御器115は、第1座標系における第1残留動揺角速度のオイラー角成分の第2角度成分信号を入力する。
【0059】
第2制御器115は、目標角度と現在角度の差分が0になるように、第2制御対象113を制御する信号を生成する。
【0060】
尚、第2制御器115は、負のフィードバックとして、第2座標変換器124から第1残留動揺角速度の第2角度成分を入力して目標角度から減算し、残留動揺角度をキャンセルするように制御信号を出力する。その結果、第2制御対象113は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。
【0061】
さて、以下では、座標系iから座標系kへの座標変換が行列
kC
iで表されるものとする。座標系iに対する座標系kの回転のオイラー角による表現の一つであるロール角、ピッチ角、ヨー角による表現はφ、θ、Ψで表されるものとする。以下では、ロール角、ピッチ角、ヨー角の回転軸をロール軸、ピッチ軸、ヨー軸という。
【0062】
座標系iから座標系kへの座標変換の一例を数1で表す。
[数1]
【0063】
又、座標系0に対する座標系1の回転のロール角、ピッチ角、ヨー角による表現はφ
1、θ
1、Ψ
1で、座標系1に対する座標系2の回転のロール角、ピッチ角、ヨー角による表現はφ
2、θ
2、Ψ
2で表されるものとする。座標系0から座標系1への座標変換、座標系1から座標系2への座標変換は、それぞれ数2、数3で表される。
[数2]
[数3]
【0064】
又、座標系0に対する座標系1の回転のヨー角の回転軸と、第1回転軸の方向とが一致し、第1角度はΨ
11で表されるものとする。又、座標系1を第1角度Ψ
11回転した結果が座標系2と一致するものとし、座標系2の回転のヨー角の回転軸と、第2回転軸の方向とが一致し、第2角度はΨ
22で表されるものとする。又、慣性センサ座標系における角速度は[ω
x ω
y ω
z]
Tで表されるものとする。又、第1座標変換器123の出力は[ω
x1 ω
y1 ω
z1]
Tで、第1加算器122の出力は[ω
xa1 ω
ya1 ω
za1]
Tで、第2座標変換器124の出力は[ω
x2 ω
y2 ω
z2]
Tで表されるものとする。
【0065】
第1座標変換器123は、数4−数5に従い、入力を出力に変換する。その結果、慣性センサ座標系における角速度は、座標系1における角速度に変換される。又、第2座標変換器124は、数6に従い、入力を出力に変換する。その結果、座標系1における角速度は、座標系2における角速度に変換される。尚、慣性センサ座標系の3軸のうちの1軸(z軸)を第1回転軸の方向に一致させる場合を示した。
[数4]
[数5]
[数6]
【0066】
第1座標変換器123、第2座標変換器124は、それぞれ、数4−数5、数6以外に1-2-3 Euler angle sequenceを用いたオイラー角の時間微分の関係式である以下の数7、数8を利用した座標変換を行ってもよい。尚、慣性センサ座標系の3軸のうちの1軸(z軸)を第1回転軸の方向に一致させる場合を示した。
[数7]
[数8]
【0067】
以上説明したように、本実施形態における空間安定装置100は、1つの慣性センサで高い空間安定性を実現できる。その理由は、以下のとおりである。第1制御器105と第2制御器115の両方が、慣性センサ108の出力を利用して、まず第1制御器105にて動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第1制御対象103は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。同時に、第2制御器115は、第1制御対象103では除去できなかった残留動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第2制御対象113は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。
【0068】
尚、空間安定装置100は、φ
1=θ
1=Ψ
1=0であるとき、慣性センサ座標系の3軸のうちの1軸(本実施形態ではz軸であるがz軸に限定されない)が第1回転軸及び第2回転軸の方向と一致していれば、慣性センサ座標系の3軸のうちの残り2軸の成分を0と置き換えた1成分の出力のみを利用して動作する。
【0069】
上記実施形態では、第1軌道生成器125の出力する角度軌道が目標角度である。そして、実施形態では、第1制御器105は、第1角度検出器104の出力である第1角度を現在角度として入力し、第1制御対象103の第1角度を制御する制御信号を生成するという角度制御を実施する。同様に、上記実施形態では、第2指令生成器117の出力が目標角度である。そして、第2制御器115は、第2角度検出器114の出力である第2角度を現在角度として入力し、第2制御対象113の第2角度を制御する制御信号を生成するという角度制御を実施する。
【0070】
しかしながら、上記実施形態は角度制御に限定されず、第1軌道生成器125の出力する角速度が目標角速度であってもよい。そして、第1制御器105は、第1角度検出器104の出力である第1角度を微分した角速度を現在角速度として入力し、第1制御対象103の第1角速度を制御する制御信号を生成するという角速度制御を行ってもよい。同様に第2指令生成器117の出力が目標角速度であってもよい。そして、第2制御器115は、第2角度検出器114の出力である第2角度を微分した角速度を現在角速度として入力し、第2制御対象113の第2角速度を制御する制御信号を生成するという角速度制御を行ってもよい。
【0071】
本発明に他の例である、縮減された構成を有する空間安定装置を
図3に示す。
【0072】
上述のように、第1指令生成器107が出力する第1角度の目標角度は、第1軌道生成器125により、あらかじめ保持されてもよい。第1角度の目標角度が第1軌道生成器125によりあらかじめ保持される場合には、第1軌道生成器125は、あらかじめ設定された目標角度に従い、目標角度へ至るための角度軌道及び角速度軌道の信号を出力する。又、第1角度の目標角度が第1軌道生成器125によりあらかじめ保持される場合には、空間安定装置には、第1指令生成器107が含まれない。
【0073】
尚、第2指令生成器117が出力する第2角度の目標角度は、第2制御器115により、あらかじめ保持されてもよい。第2角度の目標角度が第2制御器115によりあらかじめ保持される場合には、第2制御器115は、あらかじめ設定された目標角度に従い、検出又は推定した、現在の角度又は角速度の信号を入力して、第2制御対象113を制御する信号を第2ドライバ116に出力する。又、第2角度の目標角度が第2制御器115によりあらかじめ保持される場合には、空間安定装置には、第2指令生成器117が含まれない。
【0074】
又、第1制御器105は、第1制御対象103を直接制御してもよい。第1制御器105が第1制御対象103を直接制御する場合には、第1制御器105は、目標角度、及び検出又は推定した、現在の角度又は角速度の信号を入力して、第1制御対象103を制御する。又、第1制御器105が第1制御対象103を直接制御する場合には、空間安定装置には、第1ドライバ106が含まれない。
【0075】
又、第2制御器115は、第2制御対象113を直接制御してもよい。第2制御器115が第2制御対象113を直接制御する場合には、第2制御器115は、目標角度、及び検出又は推定した、現在の角度又は角速度の信号を入力して、第2制御対象113を制御する。又、第2制御器115が第2制御対象113を直接制御する場合には、空間安定装置には、第2ドライバ116が含まれない。
【0076】
更に、
図3の空間安定装置には、第1指令生成器107、第2指令生成器117、第1ドライバ106、又は第2ドライバ116が追加されてもよい。
【0077】
本発明に他の例である、最小限の構成を有する空間安定装置を
図8に示す。
【0078】
第1制御器105の出力信号が、第1角度の検出信号とみなせる場合には、第1ドライバ106及び第1角度検出器104は省略可能である。
【0079】
第2制御器115の出力信号が、第2角度の検出信号とみなせる場合には、第2ドライバ116及び第2角度検出器114は省略可能である。
【0080】
第1角度の目標角度へ至るための角度軌道又は角速度軌道のいずれも制御されず、第1角度が制御される場合には、第1軌道生成器125及び第1減算器は省略可能である。
【0081】
慣性センサ座標系と第1制御対象103に固定された第1座標系とが一致する場合には、第1座標変換器123は省略可能である。つまり、慣性センサ108がと第1制御対象103に固定される場合には、第1座標変換器123は省略可能である。
【0082】
第1制御対象103に固定された第1座標系と第2制御対象113に固定された第2座標系とが一致する場合には、第2座標変換器124は省略可能である。つまり、第1制御対象103が固定部に対し回転自在に連結される第1回転軸と、第2制御対象113が第1制御対象103に対し回転自在に連結される第2回転軸とが一致する場合には、第2座標変換器124は省略可能である。
【0083】
すなわち、本発明に最小限の構成を有する空間安定装置100は、第1の制御対象103と、第2の制御対象113と、慣性センサ108と、第1角速度検出器118と、第1指令生成器107と、第2指令生成器117と、第1加算器122と、第1制御器105と、第2制御器115と、を備える。
【0084】
第1の制御対象103は、移動体に対し、第1の回転軸の回りに回転自在に連結される。
【0085】
第2の制御対象113は、第1の制御対象103に対し、第2の回転軸の回りに回転自在に連結される。
【0086】
慣性センサ108は、移動体と第1の制御対象103のいずれかの角速度を計測して移動体と第1の制御対象103のいずれかに固定された直交座標系の3つの成分の1つ以上の成分を含む第1の計測角速度信号を出力する、請求項内の慣性検出手段である。
【0087】
第1角速度検出器118は、移動体に対する第1の制御対象103の第1の角度に関する評価又は検出された角速度である角速度評価信号を出力する、請求項内の第1の角速度検出手段である。
【0088】
第1指令生成器107は、第1の角度の目標角度信号を出力する、請求項内の第1指令生成手段である。
【0089】
第2指令生成器117は、第1の制御対象103に対する第2の制御対象113の第2の角度の目標角度信号を出力する、請求項内の第2指令生成手段である。
【0090】
第1加算器122は、角速度評価信号に基づく信号と第1の計測角速度信号に基づく信号とを加算して、第2の計測角速度信号を出力する、請求項内の第1の加算手段である。
【0091】
第1制御器105は、第1の角度の目標角度信号に基づく信号と、第1の計測角速度信号に基づく信号とに基づいて、第1の角度を制御する、請求項内の第1の制御手段である。
【0092】
第2制御器115は、第2の角度の目標角度信号に基づく信号と、第2の計測角速度信号に基づく信号とに基づいて、第2の角度を制御する、請求項内の第2の制御手段である。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態における空間安定装置の構成は、
図1に示した第1の実施形態における空間安定装置100の構成と同じである。第1の実施形態と本実施形態とで共通する説明は省略し、第1の実施形態に対する本実施形態の相違点のみについて説明する。
【0093】
本発明の第1の実施形態では、慣性センサ108は、固定部に固定されるが、本実施形態では、慣性センサ108は、第1制御対象103に固定される。そのため、第1制御器105は、慣性センサ108の出力である動揺角速度を、第1座標変換器123が第1座標系におけるオイラー角成分に変換した角速度の第1角度成分の信号を入力する。
【0094】
第1座標変換器123は、数9に従い、入力を出力に変換する。その結果、慣性センサ座標系における角速度は、座標系1における角速度に変換される。
[数9]
【0095】
尚、第1座標変換器123は、数9以外に1-2-3 Euler angle sequenceを用いたオイラー角の時間微分の関係式である以下の数10を利用した座標変換を行ってもよいが、数10は数9と同一である。
[数10]
【0096】
尚、空間安定装置は、慣性センサ座標系の3軸のうちの1軸(本実施形態ではz軸であるがz軸に限定されない)が第1回転軸及び第2回転軸の方向と一致していれば、慣性センサ座標系の3軸のうちの残り2軸の成分を0と置き換えた1成分の出力のみを利用して動作する。
【0097】
以上説明したように、本実施形態における空間安定装置は、1つの慣性センサで高い空間安定性を実現できる。その理由は、以下のとおりである。第1制御器105と第2制御器115の両方が、慣性センサ108の出力を利用して、まず第1制御器105にて動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第1制御対象103は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。同時に、第2制御器115は、第1制御対象103では除去できなかった残留動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第2制御対象113は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態における空間安定装置の構成は、
図1に示した第1の実施形態における空間安定装置の構成と同じである。第1の実施形態と本実施形態とで共通する説明は省略し、第1の実施形態に対する本実施形態の相違点のみについて説明する。
【0098】
本発明の第1の実施形態では、慣性センサ108は、固定部に固定されるが、本実施形態では、慣性センサ108は、第2制御対象113に固定される。そのため、第1制御器105は、慣性センサ座標系における動揺角速度を、第1座標変換器123が第1座標系におけるオイラー角成分に変換した角速度の信号を入力する。
【0099】
第1座標変換器123は、数11に従い、入力を出力に変換する。その結果、慣性センサ座標系における角速度は、座標系1における角速度に変換される。
【0100】
以上説明したように、本実施形態における空間安定装置は、1つの慣性センサで高い空間安定性を実現できる。その理由は、以下のとおりである。第1制御器105と第2制御器115の両方が、慣性センサ108の出力を利用して、まず第1制御器105にて動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第1制御対象103は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。同時に、第2制御器115は、第1制御対象103では除去できなかった残留動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第2制御対象113は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。
[数11]
【0101】
尚、第1座標変換器123は、数11以外に1-2-3 Euler angle sequenceを用いたオイラー角の時間微分の関係式である以下の数12を利用した座標変換を行ってもよい。
[数12]
【0102】
尚、空間安定装置は、慣性センサ座標系の3軸のうちの1軸(本実施形態ではz軸であるがz軸に限定されない)が第1回転軸及び第2回転軸の方向と一致していれば、φ
2=θ
2=Ψ
2=0として、慣性センサ座標系の3軸のうちの残り2軸の成分を0と置き換えた1成分の出力のみを利用して動作する。
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態における空間安定装置の構成を示すブロック図である。本発明の第1の実施形態と本実施形態とで共通する説明は省略し、本発明の第1の実施形態に対する本実施形態の相違点のみについて説明する。
【0103】
本実施形態の空間安定装置100は、
図1に示した第1の実施形態の構成に対して、第1積分器109と、第2積分器119と、を更に備える。
【0104】
第1積分器109は、入力信号を時間積分した信号を出力する。具体的には、後述の動揺角速度のオイラー角成分を積分し、動揺角度の第1角度成分信号に変換する。
【0105】
第2積分器119は、入力信号を時間積分した信号を出力する。
【0106】
第1制御器105は、慣性センサ108出力の第1座標系における動揺角速度のオイラー角成分を、第1積分器109が角度に変換した動揺角度の第1角度成分信号を入力する。
【0107】
尚、第1制御器105は、負のフィードバックとして、第1積分器109から動揺角度の第1角度成分を入力して目標角度軌道から減算し、動揺角度をキャンセルするように制御信号を出力する。その結果、第1制御対象103は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。
【0108】
又、第2制御器115は、第1座標系における第1残留動揺角速度のオイラー角成分を、第2積分器119で角度に変換した残留動揺角度の第2角度成分信号を入力する。
【0109】
尚、第2制御器115は、負のフィードバックとして、第2積分器119から残留動揺角度の第2角度成分を入力して目標角度から減算し、残留動揺角度をキャンセルするように制御信号を出力する。その結果、第2制御対象113は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。
【0110】
以上説明したように、本実施形態における空間安定装置は、1つの慣性センサで高い空間安定性を実現できる。その理由は、以下のとおりである。第1制御器105と第2制御器115の両方が、慣性センサ108の出力を、第1積分器109及び第2積分器119が角度に変換した出力を利用して、まず第1制御器105にて動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第1制御対象103は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。同時に、第2制御器115は、第1制御対象103では除去できなかった残留動揺角度をキャンセルするように第2制御器115から制御指令の信号を出力する。その結果、第2制御対象113は、慣性空間に対して空間安定化するように角度を制御される。
【0111】
尚、本実施形態では、第1の実施形態との相違点を説明した。しかしながら、本実施形態の慣性センサ108は、第1の実施形態と同様に固定部に固定されるものには限定されない。慣性センサ108は、角速度を出力するものであれば、第1積分器109又は第2積分器119はそれを時間積分して角度を出力できる。従って、本実施形態の慣性センサ108は、第2の実施形態と同様に第1制御対象103に固定されてもよいし、第3の実施形態と同様に第2制御対象113に固定されてもよい。
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態における空間安定装置の構成を示すブロック図である。本発明の第4の実施形態と本実施形態とで共通する説明は省略し、本発明の第4の実施形態に対する本実施形態の相違点のみについて説明する。
【0112】
本実施形態の空間安定装置100は、
図4に示した第4の実施形態の構成に対して、第1位相補償器110と、第2位相補償器120と、第3位相補償器127と、第4位相補償器129と、第1増幅器111と、第2増幅器121と、第3増幅器128と、第4増幅器130と、第1角度検出器104と、第1制御器105と、第1ドライバ106と、第1指令生成器107と、を更に備える。
【0113】
第1位相補償器110、第2位相補償器120、第3位相補償器127、第4位相補償器129は、それぞれの入力信号に、例えば、数13に示す伝達関数で示すフィルタ処理を施し(数13中のf
1、f
2はユーザーが任意に設定できる周波数を示す)、それぞれの入力信号の位相をあらかじめ設定された周波数値に従い変化させた信号を出力する。
[数13]
【0114】
尚、ある変換器の入力及び出力信号が時刻t≧0の関数x(t)及びy(t)であるとき、そのラプラス変換をX(s)及びY(s)とすると、Y(s)/X(s)を伝達関数という。時刻t≧0で定義される関数f(t)のラプラス変換は、複素数sの関数である数14で定義される。
[数14]
【0115】
第1増幅器111、第2増幅器121、第3増幅器128、第4増幅器130は、それぞれの入力信号のゲインを、それぞれにあらかじめ設定された値に従い変化させた信号を出力する。
【0116】
第1座標変換器123の出力と第1積分器109又は第1制御器105との間に、第1位相補償器110と第1増幅器111とが挿入される。そのため、慣性センサ108出力の第1座標系における動揺角速度のオイラー角成分または第1積分器109が角度に変換した動揺角度の第1角度成分信号の位相(慣性センサ108出力から第1角度までの遅延)とゲイン(動揺角度の第1角度成分の振幅と第1角度振幅の比)を調整することが可能である。第1位相補償器110が保持する位相特性と、第1増幅器111が保持するゲインの値とを変化させることにより、第1制御器105は遅延がなく最適なゲイン特性(ゲイン=1)の信号を受けることが可能となり空間安定の応答性が向上する。
【0117】
第2座標変換器124の出力と第2積分器119と第2制御器115の間に、第2位相補償器120と第2増幅器121とが挿入される。そのため、第1座標系における第1残留動揺角速度のオイラー角成分または残留動揺角度の第2角度成分信号の位相(慣性センサ108出力から第2角度までの遅延)とゲイン(動揺角度の第2角度成分の振幅と第2角度振幅の比)を調整することが可能である。第2位相補償器120が保持する位相特性と、第2増幅器121が保持するゲインの値とを変化させることにより、第2制御器115は遅延がなく最適なゲイン特性(ゲイン=1)の信号を受けることが可能となり空間安定の応答性が向上する。
【0118】
第1座標変換器123の出力と第1制御器105との間に、第3位相補償器127と第3増幅器128とが挿入される。そのため、慣性センサ108出力の第1座標系における動揺角速度のオイラー角成分信号の位相(遅延)とゲインを調整することが可能である。第1制御器105は、動揺角度の第1角度成分信号を目標とし検出角度信号のフィードバックを利用した制御(比例制御)を行う。第1制御器105は、更に、第1座標系における動揺角速度のオイラー角成分信号を目標とし検出角度の時間微分である検出角速度信号のフィードバックを利用した制御(微分制御)を行う。そのため、第1制御器105は、空間安定の応答性を向上できる。第3位相補償器127が保持する位相特性と、第3増幅器128が保持するゲインの値とを変化させることにより、第1制御器105は最適な位相およびゲイン特性の信号を受けることが可能である。
【0119】
第2座標変換器124の出力と第2制御器115との間に、第4位相補償器129と第4増幅器130とが挿入される。そのため、第2制御器115に対する第1座標系における第1残留動揺角速度のオイラー角成分信号の位相(遅延)とゲインを調整することが可能である。第2制御器115は、残留動揺角度の第2角度成分信号を目標とし検出角度信号のフィードバックを利用した制御(比例制御)を行う。第2制御器115は、更に、第1座標系における第1残留動揺角速度のオイラー角成分信号を目標とし検出角速度信号のフィードバックを利用して制御(微分制御)を行う。そのため、第2制御器115は、空間安定の応答性を向上できる。第4位相補償器129が保持する位相差の値と、第4増幅器130が保持するゲインの値とを変化させることにより、第2制御器115は最適な位相およびゲイン特性の信号を受けることが可能である。
【0120】
以上説明したように、本実施形態における空間安定装置は、第1の実施形態における効果に加えて、空間安定の応答性を向上できる。第1の理由は、第1制御器105と第2制御器115の両方が、第1位相補償器110及び第1増幅器111、又は、第2位相補償器120及び第2増幅器121を利用して、遅延がなく最適なゲインの動揺角度及び残留動揺角度信号を受けることが可能であるからである。第2の理由は、第1制御器105と第2制御器115の両方が、第3位相補償器127及び第3増幅器128、又は、第4位相補償器129及び第4増幅器130を利用して、遅延がなく最適なゲインの動揺角速度及び第1残留動揺角速度信号を受けることが可能であるからである。
【0121】
尚、本実施形態における空間安定装置は、第3位相補償器127及び第3増幅器128、第4位相補償器129及び第4増幅器130がない構成でもよい。この場合、第1制御器105と第2制御器115の両方が、遅延がなく最適なゲインの動揺角度及び残留動揺角度信号を受けることが可能である。また、本実施形態における空間安定装置は、第1位相補償器110及び第1増幅器111、第2位相補償器120及び第2増幅器121がない構成でもよい。この場合、第1制御器105と第2制御器115の両方が、遅延がなく最適なゲインの動揺角速度及び第1残留動揺角速度信号を受けることが可能である。
(第6の実施形態)
図6は、本発明の第6の実施形態における空間安定装置の構成を示すブロック図である。本発明の第1の実施形態及び本発明の第5の実施形態と本実施形態とで共通する説明は省略し、本実施形態の相違点のみについて説明する。
【0122】
本実施形態の空間安定装置100は、
図1に示した第1の実施形態の構成に対して、
図5に示した第5の実施形態の第3増幅器128、第3位相補償器127、第4増幅器130、第4位相補償器129と、を更に備える。
【0123】
第3増幅器128、第3位相補償器127、第4増幅器130、第4位相補償器129は、
図5に示した第5の実施形態の第3増幅器128、第3位相補償器127、第4増幅器130、第4位相補償器129と同等である。
【0124】
第1座標変換器123の出力と第1制御器105との間に、第3位相補償器127と第3増幅器128とが挿入される。そのため、慣性センサ108出力の第1座標系における動揺角速度のオイラー角成分信号の位相(遅延)とゲインを調整することが可能である。
【0125】
第1制御器105は、第1座標系における動揺角速度のオイラー角成分信号を目標とし、検出角度の時間微分である検出角速度信号のフィードバックを利用した制御(微分制御)を行うので、空間安定の応答性を向上できる。
【0126】
第3位相補償器127が保持する位相特性と、第3増幅器128が保持するゲインの値とを変化させることにより、第1制御器105は、最適な位相およびゲイン特性の信号を受けることが可能である。
【0127】
第2座標変換器124の出力と第2制御器115との間に、第4位相補償器129と第4増幅器130とが挿入される。そのため、第2制御器115に対する第1座標系における第1残留動揺角速度のオイラー角成分信号の位相(遅延)とゲインを調整することが可能である。
【0128】
第2制御器115は、第1座標系における第1残留動揺角速度のオイラー角成分信号を目標とし検出角速度信号のフィードバックを利用して制御(微分制御)を行うので、空間安定の応答性を向上できる。
【0129】
第4位相補償器129が保持する位相差の値と、第4増幅器130が保持するゲインの値とを変化させることにより、第2制御器115は、最適な位相およびゲイン特性の信号を受けることが可能である。
【0130】
以上説明したように、本実施形態における空間安定装置は、第1の実施形態における効果に加えて、空間安定の応答性を更に向上できる。その理由は、第1制御器105と第2制御器115の両方が、第3位相補償器127及び第3増幅器128、又は、第4位相補償器129及び第4増幅器130を利用して、遅延がなく最適なゲインの動揺角速度及び第1残留動揺角速度信号を受けることが可能であるからである。
【0131】
尚、本実施形態における空間安定装置100は、第3位相補償器127及び第3増幅器128または第4位相補償器129及び第4増幅器130がない構成も可能である。
【0132】
又、本実施形態では、第1の実施形態との相違点を説明した。しかしながら、本実施形態の慣性センサ108は、第1の実施形態と同様に固定部に固定されるものには限定されない。慣性センサ108は、角速度又は角度の信号を出力するものであれば、第3位相補償器127、第4位相補償器129、第3増幅器128又は第4増幅器130は、信号の位相(遅延)とゲインを調整できる。従って、本実施形態の慣性センサ108は、第2の実施形態と同様に第1制御対象103に固定されてもよいし、第3の実施形態と同様に第2制御対象113に固定されてもよい。
【0133】
更に、空間安定装置100は、第1の実施形態と同様に、第1積分器109、第2積分器119、第1増幅器111、第2増幅器121、第1位相補償器110、及び第2位相補償器120を含まない構成には限定されない。第1制御器105又は第2制御器115に対しフィードバック信号を出力する信号路は、角速度又は
角度を出力するものであれば、信号の位相(遅延)とゲインを調整できる。あるいは、第1制御器105又は第2制御器115に対しフィードバック信号を出力する信号路は、角速度の信号を入力するものであれば、第1積分器109又は第2積分器119を用いて角度の信号に変換できる。従って、本実施形態の空間安定装置100は、第5の実施形態と同様に、第1積分器109、第2積分器119、第1増幅器111、第2増幅器121、第1位相補償器110、又は第2位相補償器120を含んでもよい。
(第7の実施形態)
図7は、本発明の第7の実施形態における空間安定装置の構成を示すブロック図である。本発明の第1の実施形態と本実施形態とで共通する説明は省略し、本発明の第1の実施形態に対する本実施形態の相違点のみについて説明する。
【0134】
本実施形態の空間安定装置100は、
図1に示した第1の実施形態の構成に対して、第1制御対象103が他の物体に対し2軸に回転自在に連結され、第2制御対象113が第1制御対象103に対し2軸に回転自在に連結される。第1制御対象103の2軸の回転軸のうち1軸は「第1回転軸」で、もう1軸を「第3回転軸」という。第2制御対象113の2軸の回転軸のうち1軸は「第2回転軸」で、もう1軸を「第4回転軸」という。尚、第1回転軸及び第2回転軸の方向と、第3回転軸及び第4回転軸の方向とは必ずしも一致してなくてよい。
【0135】
本実施形態の空間安定装置100は、第1の実施形態の構成に対して、第1制御対象103の第3回転軸の制御系の一部である、第3角度検出器131、第3制御器132、第3ドライバ133、第3指令生成器134、第3軌道生成器135を更に備える。第3角度検出器131、第3制御器132、第3ドライバ133、第3指令生成器134、第3軌道生成器135は、それぞれ、第1制御対象103の第1回転軸の制御系の一部である、第1角度検出器104、第1制御器105、第1ドライバ106、第1指令生成器107、第1軌道生成器125と同じ機能を有する。
【0136】
本実施形態の空間安定装置100は、第1の実施形態の構成に対して、第3角速度検出器136、第2加算器141、第2減算器142を更に備える。
【0137】
第3角速度検出器136は、第3角度の時間的変化率である制御対象角速度の信号を出力する。尚、第3角速度検出器136は、第3角度検出器131が出力する、第3角度の信号を入力して、第3角度の信号を時間微分して出力してもよい。又、第3角速度検出器136は、第3制御器132の内部で状態推定器を構成して、第3角度と第3制御器132の出力である第1制御対象103を制御する信号から角速度の推定値の信号を生成し、角速度の推定値の信号を出力してもよい。
【0138】
第2減算器142は、第1減算器126と同じ機能を有する。第2減算器142は、第3角速度検出器136からの現在角速度の信号から、第3軌道生成器135からの目標角速度軌道の信号を減算して、第3角度の微分である現在角速度からの、目標角速度の偏差信号を出力する。
【0139】
第2加算器141は、第1加算器122と同じ機能を有し、第2減算器142からの第3角度の現在角速度偏差の信号と、第1座標変換器123からの動揺角速度を第1座標系のオイラー角成分に変換した信号とを加算して、第3角度回りに関する残留動揺角速度(以降、「第3残留動揺角速度」という。)の第1座標系のオイラー角成分の信号を出力する。
【0140】
本実施形態の空間安定装置100は、第1の実施形態の構成に対して、第2制御対象113の第4回転軸の制御系の一部である、第4角度検出器137、第4制御器138、第4ドライバ139、第4指令生成器140を更に備える。第4角度検出器137、第4制御器138、第4ドライバ139、第4指令生成器140は、それぞれ、第2制御対象113の第2回転軸の制御系の一部である、第2角度検出器114、第2制御器115、第2ドライバ116、第2指令生成器117と同じ機能を有する。
【0141】
慣性センサ108が第1の実施形態と同じく固定部に固定され、慣性センサ座標系は座標系0と一致するものとする。第1座標変換器123は、数15−数16に従い、入力を出力に変換する。第3角度はθ
11で表されるものとする。その結果、慣性センサ座標系における角速度は、座標系1における角速度に変換される。又、第2座標変換器124は、数17−数18に従い、入力を出力に変換する。第4角度はθ
22で表されるものとする。その結果、座標系1における角速度は、座標系2における角速度に変換される。
[数15]
[数16]
[数17]
[数18]
【0142】
第1座標変換器123、第2座標変換器124は、それぞれ、数15−数16、数17−数18以外に1-2-3 Euler angle sequenceを用いたオイラー角の時間微分の関係式である以下の数19、数20を利用した座標変換を行ってもよい。尚、慣性センサ座標系の3軸のうちの2軸(y軸、z軸)をそれぞれ第3回転軸、第1回転軸の方向に一致させる場合を示した。
[数19]
[数20]
【0143】
以上説明したように、本実施形態における空間安定装置は、1つの慣性センサで高い空間安定性を実現できる。その理由は、以下のとおりである。慣性センサ108の出力を利用して、まず第1制御器105と第3制御器132は、第1回転軸と第3回転軸それぞれの動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第1制御対象103は、慣性空間に対して空間安定化するように第1回転軸と第3回転軸それぞれの角度を制御される。それと同時に、第2制御器115および第4制御器138は、第1制御対象103では除去できなかった残留動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第2制御対象113は、慣性空間に対して空間安定化するように第2回転軸と第4回転軸それぞれの角度を制御される。
【0144】
上記実施形態では、第1制御器105は、第1軌道生成器125の出力する角度軌道が目標角度である。そして、実施形態では、第1制御器105は、第1角度検出器104の出力である第1角度を現在角度として入力し、第1制御対象103の第1角度を制御する制御信号を生成するという角度制御を実施する。同様に第2制御器115、第3制御器132、第4制御器138も角度制御を実施する。しかながら、上記実施形態は角度制御に限定されず、第1軌道生成器125の出力する角速度が目標角速度であってもよい。そして、第1制御器105は、第1角度検出器104の出力である第1角度を微分した角速度を現在角速度として入力し、第1制御対象103の第1角速度を制御する制御信号を生成するという角速度制御を行ってもよい。同様に第2制御器115、第3制御器132、第4制御器138も、角速度制御を実施してもよい。
【0145】
尚、本実施形態では、第1の実施形態との相違点を説明した。しかしながら、空間安定装置100は、第1の実施形態と同様に、第1積分器109、第2積分器119、第1増幅器111、第2増幅器121、第1位相補償器110、及び第2位相補償器120を含まない構成には限定されない。第1制御器105又は第2制御器115に対しフィードバック信号を出力する信号路は、角速度又は
角度を出力するものであれば、信号の位相(遅延)とゲインを調整できる。あるいは、第1制御器105又は第2制御器115に対しフィードバック信号を出力する信号路は、角速度の信号を入力するものであれば、第1積分器109又は第2積分器119を用いて角度の信号に変換できる。従って、本実施形態の空間安定装置100は、第5の実施形態と同様に、第1積分器109、第2積分器119、第1増幅器111、第2増幅器121、第1位相補償器110、又は第2位相補償器120を含んでもよい。本実施形態の空間安定装置100は、第3制御器132又は第4制御器138に対し、フィードバック信号を出力する信号路を構成するための、積分器、増幅器、又は位相補償器を含んでもよい。
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態における空間安定装置の構成は、以下に説明する構成を除いて、
図7に示した第7の実施形態における空間安定装置の構成と同じである。第7の実施形態と本実施形態とで共通する説明は省略し、第7の実施形態に対する本実施形態の相違点のみについて説明する。
【0146】
本発明の第8の実施形態では、
図7に示した構成において、第2角度検出器114から第1座標変換器123への信号と、第4角度検出器137から第1座標変換器123への信号と、第1角度検出器104から第1座標変換器123への信号とが不要である。
【0147】
本発明の第7の実施形態では、慣性センサ108は、固定部に固定されるが、本実施形態では、慣性センサ108は、第1制御対象103に固定される。そのため、第1制御器105は、慣性センサ108の出力である動揺角速度を、第1座標変換器123が第1座標系におけるオイラー角成分に変換した角速度の第1角度成分の信号を入力する。また、第3制御器132は、慣性センサ108の出力である動揺角速度を、第1座標変換器123が第1座標系におけるオイラー角成分に変換した角速度の第3角度成分の信号を入力する。第1座標変換器123は、数21に従い、入力を出力に変換する。その結果、慣性センサ座標系における角速度は、座標系1における角速度に変換される。
[数21]
【0148】
尚、第1座標変換器123は、数21以外に1-2-3 Euler angle sequenceを用いたオイラー角の時間微分の関係式である以下の数22を利用した座標変換を行ってもよいが、数22は数21と同一である。
[数22]
【0149】
以上説明したように、本実施形態における空間安定装置は、1つの慣性センサで高い空間安定性を実現できる。その理由は、以下のとおりである。第1制御器105と第3制御器132の両方が、慣性センサ108の出力を利用して、まず第1回転軸と第3回転軸それぞれの動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第1制御対象103は、慣性空間に対して空間安定化するように第1回転軸と第3回転軸それぞれの角度を制御される。同時に、第2制御器115および第4制御器138の両方が、第1制御対象103では除去できなかった残留動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第2制御対象113は、慣性空間に対して空間安定化するように第2回転軸と第4回転軸それぞれの角度を制御される。
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態における空間安定装置の構成は、
図7に示した第7の実施形態における空間安定装置の構成と同じである。第7の実施形態と本実施形態とで共通する説明は省略し、第7の実施形態に対する本実施形態の相違点のみについて説明する。
【0150】
本発明の第7の実施形態では、慣性センサ108は、固定部に固定されるが、本実施形態では、慣性センサ108は、第2制御対象113に固定される。そのため、第2制御器115は、慣性センサ108の出力である動揺角速度を、第2座標変換器124が第2座標系におけるオイラー角成分に変換した角速度の第2角度成分の信号を入力する。また、第4制御器138は、慣性センサ108の出力である動揺角速度を、第2座標変換器124が第2座標系におけるオイラー角成分に変換した角速度の第4角度成分の信号を入力する。第2座標変換器124は、数23に従い、入力を出力に変換する。その結果、慣性センサ座標系における角速度は、座標系2における角速度に変換される。
[数23]
【0151】
尚、第2座標変換器124は、数23以外に1-2-3 Euler angle sequenceを用いたオイラー角の時間微分の関係式である以下の数24を利用した座標変換を行ってもよい。
[数24]
【0152】
以上説明したように、本実施形態における空間安定装置は、1つの慣性センサで高い空間安定性を実現できる。その理由は、以下のとおりである。第1制御器105と第3制御器132の両方が、慣性センサ108の出力を利用して、まず第1回転軸と第3回転軸それぞれの動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第1制御対象103は、慣性空間に対して空間安定化するように第1回転軸と第3回転軸それぞれの角度を制御される。同時に、第2制御器115および第4制御器138の両方が、第1制御対象103では除去できなかった残留動揺角度をキャンセルするように制御指令の信号を出力する。その結果、第2制御対象113は、慣性空間に対して空間安定化するように第2回転軸と第4回転軸それぞれの角度を制御される。
【0153】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0154】
[付記1]
移動体に対し、第1の回転軸の回りに回転自在に連結される第1の制御対象と、
前記第1の制御対象に対し、第2の回転軸の回りに回転自在に連結される第2の制御対象と、
前記移動体と前記第1の制御対象のいずれかの角速度を計測して前記移動体と前記第1の制御対象のいずれかに固定され、第1の制御対象の第1の計測角速度信号を出力する慣性検出手段と、
前記移動体に対する前記第1の制御対象の第1の角度に関する評価又は検出された角速度である角速度評価信号を出力する第1の角速度検出手段と、
前記第1の角度の目標角度信号を出力する第1指令生成手段と、
前記第1の制御対象に対する前記第2の制御対象の第2の角度の目標角度信号を出力する第2指令生成手段と、
前記角速度評価信号に基づく信号と前記第1の計測角速度信号に基づく信号とを加算して、第2の計測角速度信号を出力する第1の加算手段と、
前記第1の角度の目標角度信号に基づく信号と、前記第1の計測角速度信号に基づく信号とに基づいて、前記第1の角度を制御する第1の制御手段と、
第2の角度の目標角度信号に基づく信号と、前記第2の計測角速度信号に基づく信号とに基づいて、前記第2の角度を制御する第2の制御手段と、
を備えることを特徴とする空間安定装置。
[付記2]
前記移動体に対する前記第1の制御対象の第1の角度を検出して、第1の角度検出信号を出力する第1の角度検出手段と、
前記第1の制御対象に対する前記第2の制御対象の第2の角度を検出して、第2の角度検出信号を出力する第2の角度検出手段と、
をさらに有することを特徴とする付記1に記載の空間安定装置。
[付記3]
前記第1の計測角速度信号、及び前記第1の角度検出信号又は前記第2の角度検出信号を入力して、前記第1の計測角速度信号を前記第1の角度に関する成分を含む1つ以上のオイラー角成分に変換し、前記第1の計測角速度信号に基づく信号を出力する第1座標変換手段を有することを特徴とする付記1または2に記載の空間安定装置。
【0155】
[付記4]
前記第2の計測角速度信号、及び前記第2の角度検出信号を入力して、前記第2の計測角速度信号を前記第2の角度に関する成分を含む1つ以上のオイラー角成分に変換し、前記第2の計測角速度信号に基づく信号の1つ以上の成分を出力する第2の座標変換手段と、を有することを特徴とする付記1から3
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
[付記5]
前記第1指令生成手段により出力された前記第1の角度の目標角度の信号が入力して、前記第1の目標角度へ至る角度軌道である第1の目標角度信号及び前記角度軌道に対応する角速度軌道である前記第1の角度の目標角度信号に基づく信号を出力する第1の軌道生成手段と、
前記角速度評価信号から前記第1の角度の目標角度信号に基づく信号を減算して偏差角速度信号を出力する第1の減算手段と、
を有することを特徴とする付記1から4
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
[付記6]
前記第1の計測角速度信号の1つの成分を時間積分して第1の計測角度信号の1つの成分を第1制御手段へ出力する第1の積分手段と、
前記第2の計測角速度信号の1つの成分を時間積分して第2の計測角度信号の1つの成分を第2制御手段へ出力する第2の積分手段と、
を更に有する、ことを特徴とする付記1から5
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
[付記7]
前記第1の計測角速度信号に基づく信号の1つの成分の位相をあらかじめ設定された第1の値に従い変化させた信号を出力する第1の位相補償手段と、
前記第1の位相補償手段が出力する信号のゲインをあらかじめ設定された第2の値に従い変化させた信号を前記第1の積分手段へ出力する第1の増幅手段と、
前記第2の計測角速度信号に基づく信号の1つの成分の位相をあらかじめ設定された第3の値に従い変化させた信号を出力する第2の位相補償手段と、
前記第2の位相補償手段が出力する信号のゲインをあらかじめ設定された第4の値に従い変化させた信号を前記第2の積分手段へ出力する第2の増幅手段と、
を更に備えることを特徴とする付記1から6
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
[付記8]
前記第1の計測角速度信号に基づく信号の1つの成分の位相をあらかじめ設定された第5の値に従い変化させた信号を出力する第3の位相補償手段と、
前記第3の位相補償手段が出力する信号のゲインをあらかじめ設定された第6の値に従い変化させた信号を前記第1の制御手段へ出力する第3の増幅手段と、
前記第2の計測角速度信号に基づく信号の1つの成分の位相をあらかじめ設定された第7の値に従い変化させた信号を出力する第4の位相補償手段と、
前記第4の位相補償手段が出力する信号のゲインをあらかじめ設定された第8の値に従い変化させた信号を前記第2の制御手段へ出力する第4の増幅手段と、
を更に備えることを特徴とする付記7に記載の空間安定装置。
[付記9]
移動体に対し、第1の回転軸の回りに回転自在に連結される第1の制御対象と、前記第1の制御対象に対し、第2の回転軸の回りに回転自在に連結される第2の制御対象と、を備える空間安定装置が備えるコンピュータを、
前記移動体と前記第1の制御対象のいずれかの角速度を計測して前記移動体と前記第1の制御対象のいずれかに固定された直交座標系の3つの成分の1つ以上の成分を含む第1の計測角速度信号を出力する慣性検出手段と、
前記移動体に対する前記第1の制御対象の第1の角度に関する評価又は検出された角速度である角速度評価信号を出力する第1の角速度検出手段と、
前記第1の角度の目標角度信号を出力する第1指令生成手段と、
前記第1の制御対象に対する前記第2の制御対象の第2の角度の目標角度信号を出力する第2指令生成手段と、
前記角速度評価信号に基づく信号と前記第1の計測角速度信号に基づく信号とを加算して、第2の計測角速度信号を出力する第1の加算手段と、
前記第1の角度の目標角度信号に基づく信号と、前記第1の計測角速度信号に基づく信号とに基づいて、前記第1の角度を制御する第1の制御手段と、
第2の角度の目標角度信号に基づく信号と、前記第2の計測角速度信号に基づく信号とに基づいて、前記第2の角度を制御する第2の制御手段と、
して機能させるための空間安定プログラムを格納した非一時的な記憶媒体。
[付記10]
移動体に対し第1の回転軸の回りに回転自在に連結される第1の制御対象の、前記他の物体に対する第1の角度を検出して、第1の角度検出信号を出力し、
前記第1の制御対象に対し第2の回転軸の回りに回転自在に連結される第2の制御対象の、前記第1の制御対象に対する第2の角度を検出して、第2の角度検出信号を出力し、
前記移動体と前記第1の制御対象のいずれかの角速度を計測して前記移動体と前記第1の制御対象のいずれかに固定された直交座標系の3つの成分の1つ以上の成分を含む第1の計測角速度信号を出力し、
前記移動体に対する前記第1の制御対象の第1の角度に関する評価又は検出された角速度である角速度評価信号を出力し、
前記第1の角度の目標角度信号を出力し、
前記第1の制御対象に対する前記第2の制御対象の第2の角度の目標角度信号を出力し、
前記角速度評価信号に基づく信号と前記第1の計測角速度信号に基づく信号とを加算して、第2の計測角速度信号を出力し、
前記第1の角度の目標角度信号に基づく信号と、前記第1の計測角速度信号に基づく信号とに基づいて、前記第1の角度を制御し、
第2の角度の目標角度信号に基づく信号と、前記第2の計測角速度信号に基づく信号とに基づいて、前記第2の角度を制御し、
を備えることを特徴とする空間安定方法。
[付記11]
前記慣性検出手段は、前記移動体に固定されたことを特徴とする付記1から8
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
[付記12]
前記慣性検出手段は、前記第1の制御対象に固定されたことを特徴とする付記1から8
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
[付記13]
前記慣性検出手段は、前記第2の制御対象に固定されたことを特徴とする付記1から8
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
[付記
14]
前
記移動体に対する前記第1の制御対象の第1の角度に関する評価とは、前記第1の角度を微分して算出した角速度に基づく信号であることを特徴とする付記1から8
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
【0156】
[付記
15]
前記第1の角速度検出手段は、第1の制御対象の第1の角度に関する角速度を推定する推定手段をさらに有し、
前
記移動体に対する前記第1の制御対象の第1の角度に関する評価とは、前記推定手段により推定された角速度に基づく信号であることを特徴とする付記1から8
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
【0157】
[付記
16]
前記第1の角速度検出手段は、第1の制御対象の第1の角度に関する角速度を推定する推定手段をさらに有し、
前記検出された角速度である角速度評価信号とは、前記推定手段により推定された角速度に基づく信号であることを特徴とする付記1から8
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
[付記
17]
付記1から8
のいずれか1項に記載の空間安定装置はさらに、前記第1の制御対象の第1の角度に対する角速度検出手段をさらに有し、
前記検出された角速度である角速度評価信号とは、前記角速度検出手段により算出された角速度であることを特徴とする付記1から8
のいずれか1項に記載の空間安定装置。
【0158】
この出願は、2013年2月20日に出願された日本出願特願2013−031235を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。