特許第5962854号(P5962854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社島津製作所の特許一覧

<>
  • 特許5962854-電子捕獲検出器 図000002
  • 特許5962854-電子捕獲検出器 図000003
  • 特許5962854-電子捕獲検出器 図000004
  • 特許5962854-電子捕獲検出器 図000005
  • 特許5962854-電子捕獲検出器 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962854
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】電子捕獲検出器
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/64 20060101AFI20160721BHJP
   G01N 30/70 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   G01N27/64 A
   G01N30/70
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-516855(P2015-516855)
(86)(22)【出願日】2013年5月17日
(86)【国際出願番号】JP2013063775
(87)【国際公開番号】WO2014184947
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2015年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(72)【発明者】
【氏名】武守 佑典
(72)【発明者】
【氏名】古賀 聖規
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3143800(JP,U)
【文献】 特開2008−232783(JP,A)
【文献】 米国特許第4721858(US,A)
【文献】 里内 勝, 小島 次雄,「ハロゲン化アリルに対する電子捕獲型検出器の応答と分子構造の関係」,分析化学,社団法人日本分析化学会,1976年11月10日,Vol. 25, No. 11,p. 764-769
【文献】 R. J. MAGGS, P. L. JOYNES, A. J. DAVIES, and J. E. LOVELOOK,"The Electron Capture Detector − A New Mode of Operation",Analytical Chemistry,1971年12月,Vol. 43, No. 14,p. 1966-1971
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/64
G01N 30/70
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル室内に試料ガス及びメイクアップガスを供給し、前記セル室内の放射線源から放射線を照射することによりメイクアップガスから放出される電子を捕獲して検出を行う電子捕獲検出器であって、
前記セル室内にメイクアップガスを供給するメイクアップガス供給路と、
前記セル室内のガスを排気する排気路とを備え、
前記メイクアップガス供給路から前記セル室内にメイクアップガスを供給しているときに、前記セル室内のガスが加圧状態となるように構成されていることを特徴とする電子捕獲検出器。
【請求項2】
前記排気路が、前記メイクアップガス供給路よりも小さい断面積で形成されることにより、前記メイクアップガス供給路から前記セル室内にメイクアップガスを供給しているときに、前記セル室内のガスが加圧状態となることを特徴とする請求項1に記載の電子捕獲検出器。
【請求項3】
前記排気路内に、ガスの流れに対する抵抗となる抵抗部材が配置されることにより、前記メイクアップガス供給路から前記セル室内にメイクアップガスを供給しているときに、前記セル室内のガスが加圧状態となることを特徴とする請求項1に記載の電子捕獲検出器。
【請求項4】
前記メイクアップガス供給路から前記セル室内にメイクアップガスを供給しているときに、前記セル室内のガスのゲージ圧が5kPa以上となるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子捕獲検出器。
【請求項5】
前記メイクアップガス供給路から前記セル室内に3mL/min以上で連続的にメイクアップガスを供給しているときに、前記セル室内のガスのゲージ圧が5kPa以上となるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の電子捕獲検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セル室内に試料ガス及びメイクアップガスを供給し、前記セル室内の放射線源から放射線を照射することによりメイクアップガスから放出される電子を捕獲して検出を行う電子捕獲検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフなどの分析装置に用いられる検出器の一例として、電子捕獲検出器(ECD:Electron Capture Detector)が知られている。この種の検出器では、セル室内に試料ガス及びメイクアップガスを供給することにより、試料ガスに含まれる成分の検出を行うことができるようになっている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
図5は、従来の電子捕獲検出器の構成例を示した断面図である。この電子捕獲検出器には、内部にセル室111が形成された検出器本体101が備えられており、当該検出器本体101に対して、例えばキャピラリカラムからなるカラム102の先端部が取り付けられている。
【0004】
検出器本体101内のセル室111には、カラム102の先端から試料ガスが供給される。また、検出器本体101内には、メイクアップガス供給路112が連通しており、当該メイクアップガス供給路112から供給されるメイクアップガスが、試料ガスとともにセル室111内に導入されるようになっている。
【0005】
メイクアップガスとしては、例えば窒素が用いられる。セル室111の内面には、63Niなどの放射性同位元素の放射線源113が形成されており、メイクアップガスとしての窒素に放射線源113からβ線などの放射線が照射されることにより、電子を放出させることができる。
【0006】
このようにして放出された電子をセル室111内に挿入されたコレクタ電極114で捕獲することにより、基準電圧を得ることができるとともに、親電子性物質を試料成分として含む試料ガスがセル室111内に供給された際には、親電子性物質に電子が取り込まれることに起因する電圧変動を検出することができる。すなわち、親電子性物質に取り込まれる電子数の分だけ高い電圧をコレクタ電極114に印加して、電流を一定に保つようにすれば、親電子性物質の濃度に比例する電圧変動に基づいて、親電子性物質の濃度を検出することができる。
【0007】
セル室111内の試料ガス及びメイクアップガスは、排気路115から排気される。メイクアップガス供給路112には、例えば内径を縮小することにより構成される抵抗部(図示せず)が設けられているのに対して、排気路115には、このような抵抗部は設けられていない。そのため、セル室111内の試料ガス及びメイクアップガスは、排気路115からスムーズに排気され、セル室111内の圧力は大気圧(ゲージ圧は0)に保たれるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−128171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来の構成において、親電子性物質の濃度が高い試料ガスがセル室111内に供給された場合には、多くの電子が親電子性物質に取り込まれることになる。このような場合には、より多くの電子をセル室111内に放出させなければ、高濃度範囲における検量線の直線性が低下し、正確に分析を行うことができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、親電子性物質の濃度が高い試料ガスであっても正確に分析を行うことができる電子捕獲検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電子捕獲検出器は、セル室内に試料ガス及びメイクアップガスを供給し、前記セル室内の放射線源から放射線を照射することによりメイクアップガスから放出される電子を捕獲して検出を行う電子捕獲検出器であって、前記セル室内にメイクアップガスを供給するメイクアップガス供給路と、前記セル室内のガスを排気する排気路とを備え、前記メイクアップガス供給路から前記セル室内にメイクアップガスを供給しているときに、前記セル室内のガスが加圧状態となるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、メイクアップガス供給路からセル室内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室内のガスが加圧状態となることにより、セル室内におけるメイクアップガスと放射線との接触確率が高くなり、セル室内で放出される電子を増加させることができる。これにより、親電子性物質の濃度が高い試料ガスであっても、十分な量の電子を放出させることができ、電子が飽和するのを防止することができるため、正確に分析を行うことができる。
【0013】
前記排気路が、前記メイクアップガス供給路よりも小さい断面積で形成されることにより、前記メイクアップガス供給路から前記セル室内にメイクアップガスを供給しているときに、前記セル室内のガスが加圧状態となってもよい。
【0014】
このような構成によれば、メイクアップガス供給路よりも小さい断面積で排気路を形成するという簡単な構成で、メイクアップガス供給路からセル室内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室内のガスを加圧状態とすることができる。
【0015】
前記セル室を有する検出器本体に、前記メイクアップガス供給路の一部を構成する入口管と、前記排気路の一部を構成する出口管とが形成されていてもよい。この場合、前記入口管よりも小さい内径で前記出口管が形成されてもよいし、前記入口管よりも小さい内径を有する接続管が前記出口管に接続、又は、前記出口管内に挿入されてもよい。
【0016】
前記排気路内に、ガスの流れに対する抵抗となる抵抗部材が配置されることにより、前記メイクアップガス供給路から前記セル室内にメイクアップガスを供給しているときに、前記セル室内のガスが加圧状態となってもよい。
【0017】
このような構成によれば、ガスの流れに対する抵抗となる抵抗部材を排気路内に配置するという簡単な構成で、メイクアップガス供給路からセル室内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室内のガスを加圧状態とすることができる。
【0018】
この場合、金属フィルタ又は細かい粒子などの装填物が前記抵抗部材として前記排気路内に装填されてもよいし、前記排気路を開閉可能なバルブが前記抵抗部材として前記排気路内に設けられてもよい。
【0019】
前記メイクアップガス供給路から前記セル室内にメイクアップガスを供給しているときに、前記セル室内のガスのゲージ圧が5kPa以上となるように構成されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、メイクアップガス供給路からセル室内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室内のガスのゲージ圧を5kPa以上とすることにより、セル室内で放出される電子を好適に増加させることができるため、親電子性物質の濃度が高い試料ガスであっても、より正確に分析を行うことができる。
【0021】
前記メイクアップガス供給路から前記セル室内に3mL/min以上で連続的にメイクアップガスを供給しているときに、前記セル室内のガスのゲージ圧が5kPa以上となるように構成されていることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、メイクアップガス供給路からセル室内に3mL/min以上で連続的にメイクアップガスを供給しているときに、セル室内のガスのゲージ圧を5kPa以上とすることにより、セル室内で放出される電子をさらに好適に増加させることができるため、親電子性物質の濃度が高い試料ガスであっても、さらに正確に分析を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、セル室内で放出される電子を増加させることができるため、親電子性物質の濃度が高い試料ガスであっても正確に分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係る電子捕獲検出器の構成例を示した断面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る電子捕獲検出器の構成例を示した断面図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る電子捕獲検出器の構成例を示した断面図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る電子捕獲検出器の構成例を示した断面図である。
図5】従来の電子捕獲検出器の構成例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子捕獲検出器の構成例を示した断面図である。この電子捕獲検出器は、例えばガスクロマトグラフなどの各種分析装置に用いることができる検出器であり、例えば内部にセル室11が形成された円筒状の検出器本体1を備えている。
【0026】
検出器本体1には、軸線L方向の一端部に、カラム2の先端部が取り付けられている。カラム2が検出器本体1に取り付けられた状態では、カラム2の端部が軸線Lに沿って一直線上に延びており、先端がセル室11側を向いている。カラム2としては、例えばキャピラリカラムが用いられ、ヘリウムなどのキャリアガスに試料成分を含む試料ガスが、カラム2の先端からセル室11へと供給されるようになっている。ただし、カラム2は、キャピラリカラムに限られるものではなく、例えばパックドカラムであってもよい。
【0027】
検出器本体1内には、メイクアップガスを供給するためのメイクアップガス供給路12が連通している。この例では、検出器本体1から径方向(軸線Lに直交する方向)に延びるように形成された入口管121により、メイクアップガス供給路12の一部が構成されている。入口管121には、メイクアップガスの供給源(図示せず)が接続されている。このメイクアップガス供給路12は、セル室11に連通しており、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給することができる。
【0028】
メイクアップガスとしては、例えば窒素などの不活性ガスが用いられる。セル室11の内面には、63Niなどの放射性同位元素の放射線源13が形成されており、メイクアップガスとしての窒素に放射線源13からβ線などの放射線が照射されることにより、電子を放出させることができるようになっている。このようにして放出される電子は、セル室11内に挿入されたコレクタ電極14により捕獲することができる。ただし、メイクアップガスは、窒素に限られるものではなく、他の不活性ガスを用いることもできる。
【0029】
コレクタ電極14は、検出器本体1の軸線L方向の他端部(カラム2が挿入される側とは反対側)から検出器本体1の内部へと軸線Lに沿って一直線上に延びており、その先端がセル室11内に位置している。これにより、カラム2の先端と、コレクタ電極14の先端とが、軸線L上で互いに間隔を隔てて対向するように配置されている。
【0030】
上記のようにして放出された電子をセル室11内に挿入されたコレクタ電極14で捕獲することにより、基準電圧を得ることができるとともに、親電子性物質を試料成分として含む試料ガスがセル室11内に供給された際には、親電子性物質に電子が取り込まれることに起因する電圧変動を検出することができる。具体的には、親電子性物質に取り込まれる電子数の分だけ高い電圧をコレクタ電極14に印加して、電流を一定に保つようにすれば、親電子性物質の濃度に比例する電圧変動に基づいて、親電子性物質の濃度を検出することができる。
【0031】
すなわち、この電子捕獲検出器においては、セル室11内に試料ガス及びメイクアップガスを供給し、セル室11内の放射線源13から放射線を照射することによりメイクアップガスから放出される電子をコレクタ電極14で捕獲することにより、試料成分の検出を行うことができるようになっている。セル室11内のガス(試料ガス及びメイクアップガス)は、排気路15から排気される。この例では、検出器本体1から径方向に延びるように形成された出口管151により、排気路15の一部が構成されている。
【0032】
本実施形態では、入口管121よりも小さい内径で出口管151が形成されることにより、排気路15が、メイクアップガス供給路12よりも小さい断面積で形成されている。例えば、入口管121の内径は約1mmであるのに対して、出口管151の内径は約0.1mmとされている。これにより、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスが加圧状態となるように構成されている。なお、従来の電子捕獲検出器においてメイクアップガス供給路12側に設けられていたような抵抗部は、本実施形態に係る電子捕獲検出器には備えられていない。
【0033】
メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときには、セル室11内のガスのゲージ圧が5kPa以上となる。従来の電子捕獲検出器では、セル室内の圧力は大気圧(ゲージ圧は0)に保たれるような構成であったが、本実施形態に係る電子捕獲検出器では、メイクアップガス供給路12からセル室11内に3mL/min以上で連続的にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスのゲージ圧が5kPa以上となるように構成されている。
【0034】
本実施形態では、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスが加圧状態となることにより、セル室11内におけるメイクアップガスと放射線との接触確率が高くなり、セル室11内で放出される電子を増加させることができる。これにより、親電子性物質の濃度が高い試料ガスであっても、十分な量の電子を放出させ、電子が飽和するのを防止することができるため、正確に分析を行うことができる。
【0035】
特に、メイクアップガス供給路12よりも小さい断面積で排気路15を形成するという簡単な構成で、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスを加圧状態とすることができる。
【0036】
また、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスのゲージ圧を5kPa以上とすることにより、セル室11内で放出される電子を好適に増加させることができる。このとき、メイクアップガス供給路12からセル室11内に3mL/min以上で連続的にメイクアップガスを供給すれば、セル室11内で放出される電子をさらに好適に増加させることができる。これにより、親電子性物質の濃度が高い試料ガスであっても、より正確に分析を行うことができる。
【0037】
なお、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときのセル室11内のガスのゲージ圧が、10kPa以上となるように構成されていれば、より好ましい。
【0038】
図2は、本発明の第2実施形態に係る電子捕獲検出器の構成例を示した断面図である。この電子捕獲検出器は、排気路15の構成のみが第1実施形態とは異なっており、他の構成については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同様の構成については、図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
本実施形態では、入口管121よりも小さい内径を有する接続管152が出口管151内に挿入されることにより、排気路15が、メイクアップガス供給路12よりも小さい断面積で形成されている。例えば、入口管121の内径は約1mmであるのに対して、接続管152の内径は約0.1mmとされている。これにより、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスが加圧状態となるように構成されている。
【0040】
このような構成であっても、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスが加圧状態となることにより、セル室11内におけるメイクアップガスと放射線との接触確率が高くなり、セル室11内で放出される電子を増加させることができる。これにより、親電子性物質の濃度が高い試料ガスであっても、十分な量の電子を放出させることができ、電子が飽和するのを防止することができるため、正確に分析を行うことができる。
【0041】
特に、メイクアップガス供給路12よりも小さい断面積で排気路15を形成するという簡単な構成で、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスを加圧状態とすることができる。
【0042】
ただし、上記のような構成に限らず、例えば入口管121よりも小さい内径を有する接続管152が出口管151の外側に接続された構成であってもよい。このような構成であっても、排気路15がメイクアップガス供給路12よりも小さい断面積で形成されることにより、上記と同様の効果を奏することができる。
【0043】
図3は、本発明の第3実施形態に係る電子捕獲検出器の構成例を示した断面図である。この電子捕獲検出器は、排気路15の構成のみが第1実施形態とは異なっており、他の構成については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同様の構成については、図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、排気路15を構成する出口管151内に、ガスの流れに対する抵抗となる抵抗部材の一例として、金属フィルタ153が配置されている。このように、排気路15内に金属フィルタ153が配置されることにより、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスが加圧状態となるように構成されている。
【0045】
このような構成であっても、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスが加圧状態となることにより、セル室11内におけるメイクアップガスと放射線との接触確率が高くなり、セル室11内で放出される電子を増加させることができる。これにより、親電子性物質の濃度が高い試料ガスであっても、十分な量の電子を放出させることができ、電子が飽和するのを防止することができるため、正確に分析を行うことができる。
【0046】
特に、ガスの流れに対する抵抗となる抵抗部材として、金属フィルタ153を排気路15内に配置するという簡単な構成で、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスを加圧状態とすることができる。
【0047】
ただし、上記抵抗部材は、金属フィルタ153に限らず、例えば細かい粒子などの他の装填物により構成されていてもよい。また、上記抵抗部材は、出口管151内に設けられた構成に限らず、例えば排気路15における出口管151以外の部分に設けられた構成であってもよい。すなわち、ガスの流れに対する抵抗となるような各種装填物を排気路15内に装填することにより、上記と同様の効果を奏することができる。
【0048】
図4は、本発明の第4実施形態に係る電子捕獲検出器の構成例を示した断面図である。この電子捕獲検出器は、排気路15の構成のみが第1実施形態とは異なっており、他の構成については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同様の構成については、図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、排気路15を構成する出口管151に、バルブ154が接続されている。すなわち、排気路15を開閉可能なバルブ154が、ガスの流れに対する抵抗となる抵抗部材として排気路15内に設けられている。バルブ154は、手動で開閉されるような構成であってもよいし、自動で開閉されるような構成であってもよい。このように、排気路15内にバルブ154が配置されることにより、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、バルブ154で排気路15内のガスの流量を減少させ、セル室11内のガスを加圧状態とすることができる。
【0050】
このような構成であっても、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスが加圧状態となることにより、セル室11内におけるメイクアップガスと放射線との接触確率が高くなり、セル室11内で放出される電子を増加させることができる。これにより、親電子性物質の濃度が高い試料ガスであっても、十分な量の電子を放出させることができ、電子が飽和するのを防止することができるため、正確に分析を行うことができる。
【0051】
特に、ガスの流れに対する抵抗となる抵抗部材として、バルブ154を排気路15内に配置することにより、排気路15内のガスの流量を任意に調整することができる。そのため、メイクアップガス供給路12からセル室11内に供給しているメイクアップガスの流量に応じて、バルブ154の開閉状態を調整することにより、セル室11内のガスを良好に加圧状態とすることができる。
【0052】
以上の実施形態では、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスを加圧状態とする構成の一例として、排気路15がメイクアップガス供給路12よりも小さい断面積で形成された構成や、ガスの流れに対する抵抗となる抵抗部材が排気路15内に配置された構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、メイクアップガス供給路12からセル室11内にメイクアップガスを供給しているときに、セル室11内のガスを加圧状態とすることができるような構成であれば、例えばメイクアップガス供給路12の流量を増加させる構成など、他のあらゆる構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 検出器本体
2 カラム
11 セル室
12 メイクアップガス供給路
13 放射線源
14 コレクタ電極
15 排気路
121 入口管
151 出口管
152 接続管
153 金属フィルタ
154 バルブ
図1
図2
図3
図4
図5