特許第5962865号(P5962865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レ株式会社の特許一覧

特許5962865感光性着色組成物、それを用いた固体撮像素子の製造方法
<>
  • 特許5962865-感光性着色組成物、それを用いた固体撮像素子の製造方法 図000005
  • 特許5962865-感光性着色組成物、それを用いた固体撮像素子の製造方法 図000006
  • 特許5962865-感光性着色組成物、それを用いた固体撮像素子の製造方法 図000007
  • 特許5962865-感光性着色組成物、それを用いた固体撮像素子の製造方法 図000008
  • 特許5962865-感光性着色組成物、それを用いた固体撮像素子の製造方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5962865
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】感光性着色組成物、それを用いた固体撮像素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20160721BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20160721BHJP
   G03F 7/028 20060101ALI20160721BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20160721BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20160721BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20160721BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   G03F7/004 505
   G02B5/20 101
   G03F7/004 504
   G03F7/028
   G03F7/11 503
   C09B67/20 F
   C09B67/46 A
   C08F2/44 B
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-542068(P2015-542068)
(86)(22)【出願日】2015年8月18日
(86)【国際出願番号】JP2015073099
【審査請求日】2016年2月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-167326(P2014-167326)
(32)【優先日】2014年8月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 亮
(72)【発明者】
【氏名】日比野 利保
(72)【発明者】
【氏名】相原 涼介
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−146018(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/115268(WO,A1)
【文献】 特開2013−254126(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/208348(WO,A1)
【文献】 国際公開第2001/032577(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/004−7/06;7/075−7/115;
7/16−7/18
G02B5/20−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、光重合開始剤および光重合性成分を含有する感光性着色組成物であって、前記着色剤としてラクタム系顔料、および、フタロシアニン系顔料またはインダントロン系顔料を含有し、さらに高分子分散剤を含有し、前記高分子分散剤がアミノ基およびポリエーテル構造を含有し、前記高分子分散剤のアミン価が、10〜40mgKOH/gである感光性着色組成物。
【請求項2】
着色剤、光重合開始剤および光重合性成分を含有する感光性着色組成物であって、前記着色剤としてラクタム系顔料、および、フタロシアニン系顔料またはインダントロン系顔料を含有し、前記感光性着色組成物の全固形分中の前記着色剤の含有量が50〜80質量%である感光性着色組成物。
【請求項3】
着色剤、光重合開始剤および光重合性成分を含有する感光性着色組成物であって、前記着色剤としてラクタム系顔料、および、フタロシアニン系顔料またはインダントロン系顔料を含有し、前記感光性着色組成物を硬化して得られる厚さ1.0μmの膜において、波長400〜700nmにおける分光透過率の最大値が10%以下であり、波長850〜1200nmにおける分光透過率の最小値が85%以上である感光性着色組成物。
【請求項4】
さらに高分子分散剤を含有し、前記高分子分散剤がアミノ基およびポリエーテル構造を含有する請求項2または3に記載の感光性着色組成物。
【請求項5】
前記高分子分散剤のアミン価が、10〜40mgKOH/gである請求項に記載の感光性着色組成物。
【請求項6】
前記感光性着色組成物の全固形分中の前記着色剤の含有量が50〜80質量%である請求項1、3または4のいずれかに記載の感光性着色組成物。
【請求項7】
前記感光性着色組成物を硬化して得られる厚さ1.0μmの膜において、波長400〜700nmにおける分光透過率の最大値が10%以下であり、波長850〜1200nmにおける分光透過率の最小値が85%以上である請求項1、2、4または6のいずれかに記載の感光性着色組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の感光性着色組成物を用いて、基板上にパターンを形成する工程を含む固体撮像素子の製造方法。
【請求項9】
基板上に反射防止膜を形成した後に、前記パターンを形成する工程を含む請求項に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項10】
前記固体撮像素子が光電変換層、反射防止膜および画素をこの順に有し、前記画素が前記パターンを含む請求項9記載の固体撮像素子の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色組成物、それを用いた固体撮像素子の製造方法および固体撮像素子に関する。より詳しくは、可視光の遮光性および近赤外線光の透過性に優れた感光性着色組成物、それを用いた固体撮像素子の製造方法および固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子には通常、可視光を検出するための画素として赤画素、緑画素および青画素の各パターンを備えたカラーフィルターが形成されている。近年、これに加えて赤外光や近赤外光を検出するための画素を搭載した固体撮像素子が提案されている。
【0003】
近赤外光は、可視光と比較して波長が長いため散乱しにくい。その特長を利用して、近赤外光を用いて3次元計測などを精度よく行うことができる。また、近赤外線光は人間の眼には見えないため、防犯用センサーとしても適用することができる。
【0004】
固体撮像素子の解像度向上および混色防止を目的として、可視光検出用画素パターン同様に赤外光/近赤外光検出用画素パターンにおいても、微細化および画素膜厚の薄膜化が求められている。
【0005】
近赤外光を透過する固体撮像素子用の着色組成物として、アゾ系黄色顔料またはイソインドリン系黄色顔料の少なくとも1種と、ジオキサジン系紫顔料を含有する着色組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一方、液晶ディスプレイ(LCD)用のブラックマトリクス用組成物において、着色剤としてラクタム系化合物を用いることで波長430〜650nmの可視光を遮光する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、タッチパネル用前面板において、赤色顔料、青色顔料、黄色顔料の混合することで、波長400〜700nmの可視光を遮光し、波長850〜1200nmの近赤外光を透過する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−77009号公報
【特許文献2】特表2012−515233号公報
【特許文献3】国際公開第2012/157222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来提案されている着色組成物は可視光領域の遮光性が十分なものではなかった。例えば特許文献1や2に記載された着色組成物では、波長650〜700nmの可視光の遮光性が不十分であった。また、特許文献3に記載された着色組成物は、厚さ3.0μmの膜では波長400〜700nmの可視光の遮光性に優れるが、より薄い膜が必要とされる固体撮像素子用に展開しようとすると、その遮光性が不十分となる問題があった。
【0010】
本発明は、高解像度で残渣の無い近赤外光検出画素パターンを提供する固体撮像素子に好適に用いられる感光性着色組成物を提供することを目的とし、固体撮像素子の画質に優れる感光性着色組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
(1)着色剤、光重合開始剤および光重合性成分を含有する感光性着色組成物であって、前記着色剤としてラクタム系顔料、および、フタロシアニン系顔料またはインダントロン系顔料を含有し、さらに高分子分散剤を含有し、前記高分子分散剤がアミノ基およびポリエーテル構造を含有し、前記高分子分散剤のアミン価が、10〜40mgKOH/gである感光性着色組成物。
(2)着色剤、光重合開始剤および光重合性成分を含有する感光性着色組成物であって、前記着色剤としてラクタム系顔料、および、フタロシアニン系顔料またはインダントロン系顔料を含有し、前記感光性着色組成物の全固形分中の前記着色剤の含有量が50〜80質量%である感光性着色組成物。
(3)着色剤、光重合開始剤および光重合性成分を含有する感光性着色組成物であって、前記着色剤としてラクタム系顔料、および、フタロシアニン系顔料またはインダントロン系顔料を含有し、前記感光性着色組成物を硬化して得られる厚さ1.0μmの膜において、波長400〜700nmにおける分光透過率の最大値が10%以下であり、波長850〜1200nmにおける分光透過率の最小値が85%以上である感光性着色組成物。
)さらに高分子分散剤を含有し、前記高分子分散剤がアミノ基およびポリエーテル構造を含有する(2)または(3)に記載の感光性着色組成物。
)前記高分子分散剤のアミン価が、10〜40mgKOH/gである()に記載の感光性着色組成物。
)前記感光性着色組成物の全固形分中の前記着色剤の含有量が50〜80質量%である(1)、(3)または(4)のいずれかに記載の感光性着色組成物。
)該感光性着色組成物を硬化して得られる厚さ1.0μmの膜において、波長400〜700nmにおける分光透過率の最大値が10%以下であり、波長850〜1200nmにおける分光透過率の最小値が85%以上であることを特徴とする(1)、(2)、(4)または(6)のいずれかに記載の感光性着色組成物。
)(1)〜()のいずれかに記載の感光性着色組成物を用いて、基板上にパターンを形成する工程を含む固体撮像素子の製造方法。
)基板上に反射防止膜を形成した後に、前記パターンを形成する工程を含む()に記載の固体撮像素子の製造方法
(10前記固体撮像素子が光電変換層、反射防止膜および画素をこの順に有し、前記画素が前記パターンを含む(9)に記載の固体撮像素子の製造方法
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、波長400〜700nmにおける可視光領域の遮光性に優れ、波長850〜1200nmにおける近赤外光の透過率が高い、撮像素子に好適に用いられる感光性着色組成物を提供することができる。本発明の感光性着色組成物を用いて製造されるパターンを備える固体撮像素子は、高解像度で残渣の無い近赤外光検出画素パターンを得ることができ、固体撮像素子の画質に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の固体撮像素子の一例を示す模式断面図
図2】本発明の固体撮像素子の一例を示す模式断面図
図3】実施例2の感光性着色組成物から得られる膜の分光透過スペクトル
図4】比較例1の感光性着色組成物から得られる膜の分光透過スペクトル
図5】比較例2の感光性着色組成物から得られる膜の分光透過スペクトル
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の感光性着色組成物は、着色剤、光重合開始剤および光重合性成分を含有する感光性着色組成物であって、前記着色剤としてラクタム系顔料、および、フタロシアニン系顔料またはインダントロン系顔料を含有する感光性着色組成物である。これによって、波長400〜700nmにおける可視光領域の遮光性に優れ、波長850〜1200nmにおける近赤外光の透過率が高い、撮像素子に好適に用いられる感光性着色組成物を提供することができ、かかる感光性着色組成物を用いて製造される近赤外光検出用画素パターンを備える固体撮像素子は、高解像度で残渣の無い近赤外光検出画素パターンを得ることができ、これを用いて得られる固体撮像素子は画質に優れたものとなる。
【0015】
本発明において、波長400〜700nmにおける可視光領域の遮光性、および、波長850〜1200nmにおける近赤外光の透過率は、波長400〜1200nmの分光透過率の測定値を基準に判断する。透過率は、具体的には、次の手順で測定する。まず、ガラス基板上に本発明の感光性着色組成物を製膜して硬化させる。つぎに、紫外可視近赤外線分光光度計などの分光光度計を用いて、素ガラス基板(リファレンス基板)の400〜1200nmにおける透過率強度b、および、前述の膜が形成されたガラス基板の400〜1200nmにおける透過率強度aを測定する。このようにして得た透過光強度bと透過光強度aとの比から、分光透過率を求めることができる。
【0016】
本発明における波長400〜700nmにおける可視光領域の遮光性としては、前記感光性着色組成物を硬化して得られる厚さ1.0μmの膜において、波長400〜700nmにおける分光透過率の最大値が10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、6%以下であることが更に好ましい。また、本発明における波長850〜1200nmにおける近赤外光の透過率としては、前記感光性着色組成物を硬化して得られる厚さ1.0μmの膜において、波長850〜1200nmにおける分光透過率の最小値が85%以上であることが好ましく、86%以上であることがより好ましい。
【0017】
透過率の調整は、以下に詳しく説明する着色剤の種類や量を適宜調整することにより行うことができる。
【0018】
(着色剤)
本発明で用いられる着色剤としては、染料、顔料などが挙げられる。染料の例としては、フェロセン系染料、フルオレノン系染料、ペリレン系染料、トリフェニルメタン系染料、クマリン系染料、ジフェニルアミン系染料、キナクリドン系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、キサンテン系染料などが挙げられる。顔料の例としては、ラクタム系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、ジアミノアントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インダントロン系顔料などが挙げられる。
【0019】
耐熱性、可視光の遮光性、および近赤外光の透過性に優れることからラクタム系顔料を着色剤として含有することが好ましく、ラクタム系顔料が、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるものであることがより好ましい。
【0020】
【化1】
【0021】
一般式(1)〜(3)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、R11、OR11、SR11、COR11、CONR1213、NR12COR11、OCOR11、COOR11、SCOR11、OCSR11、COSR11、CSOR11、CN、ハロゲン原子又は水酸基を表し、R11、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基又は炭素原子数2〜20の複素環基を表し、aおよびbは、それぞれ独立して、0〜4の整数を表す。
【0022】
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、3−メチルブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ラウリル基などが挙げられる。
【0023】
アリール基の例としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
【0024】
アリールアルキル基の例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基などが挙げられる。
【0025】
複素環基の例としては、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基が挙げられ、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基などが挙げられる。
【0026】
本発明で用いられる着色剤としては、前記ラクタム系顔料に加えて、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、イソインドリン系顔料およびインダントロン系顔料からなる群より選択される1種類以上の顔料を含有することが好ましく、前記ラクタム系顔料に加えて、フタロシアニン系顔料またはインダントロン系顔料を含有することがより好ましい。これによって、可視光の遮光性および近赤外光の透過性をより向上させることができる。
【0027】
フタロシアニン系顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー(PB)15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:5、PB15:6、PB16、C.Iピグメントグリーン(PG)7、36、58などが挙げられる。
【0028】
ペリレン系顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド(PR)123、149、178、179、C.I.ピグメントブラック(PBk)32などが挙げられる。
【0029】
イソインドリン系顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー(PY)139、185などが挙げられる。
【0030】
インダントロン系顔料の例としては、PB60などが挙げられる。
【0031】
上記の中でも、ラクタム系顔料およびフタロシアニン系顔料を含有することが特に好ましい。このとき、ラクタム系顔料とフタロシアニン系顔料の質量混合比は、80:20〜45:55であることが好ましく、70:30〜52:48であることが更に好ましい。質量混合比を80:20〜45:55にすることによって、波長400〜700nmにおける可視光領域の遮光性を向上させることが容易となり、質量混合比を70:30〜52:48にすることによって、波長400〜700nmにおける可視光領域の遮光性をより向上させることが容易となる。
【0032】
本発明の感光性着色組成物において、全固形分中の着色剤の含有量は、50〜80質量%であることが好ましく、61〜70質量%であることがより好ましい。なお、本発明では、溶媒(後述する)を除く全成分の合計を全固形分とする。
【0033】
着色剤の含有量を50〜80質量%にすることによって、波長400〜700nmにおける可視光領域の遮光性を向上させることが容易となり、着色剤の含有量を61〜70質量%にすることによって、波長400〜700nmにおける可視光領域の遮光性をより向上させることが容易となる。
【0034】
また、波長400〜700nmにおける可視光の遮光性をさらに向上させるために、ラクタム系顔料およびフタロシアニン系顔料に加えて、ペリレン系顔料および/またはイソインドリン系顔料を少量含有することがさらに好ましい。かかる場合における着色剤中のペリレン系顔料とイソインドリン系顔料の合計量は、0〜10質量%であることが好ましい。ペリレン系顔料とイソインドリン系顔料の合計量が10質量%より多いと、波長400〜700nmにおける可視光の遮光性が逆に低下する場合がある。
【0035】
(分散剤)
本発明の感光性着色組成物は、着色剤の分散安定性を向上させるために、高分子分散剤を含有することもできる。高分子分散剤としては、アミノ基およびポリエーテル構造を含有するものが好ましく、例えば、ポリエチレンイミン系高分子分散剤、ポリウレタン系高分子分散剤又はポリアリルアミン系高分子分散剤が挙げられる。これらの高分子分散剤はパターン加工性を低下させない程度に添加することが望ましい。
【0036】
本発明では、ラクタム系顔料およびフタロシアニン系顔料の分散安定性およびアルカリ現像性が向上することから、前記高分子分散剤がアミノ基およびポリエーテル構造を含有することが好ましい。ポリエーテル構造としては、ポリオキシエチレン構造、ポリオキシプロピレン構造などが挙げられる。アミノ基としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミンなどが挙げられる。前記高分子分散剤のアミン価は、10〜40mgKOH/gであることが好ましい。アミン価を上記の範囲した場合に、顔料の分散安定性とアルカリ現像性を両立できることから特に好ましい。
【0037】
(光重合開始剤)
本発明で用いられる光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、オキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、オキシムエステル化合物、カルバゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物又はチタネート等の無機系光重合開始剤が挙げられる。
【0038】
(光重合性成分)
本発明で用いられる光重合性成分としては、アルカリ可溶性樹脂および光重合性化合物が挙げられる。
【0039】
アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基やスルホン酸基を樹脂中に含有するものが挙げられる。樹脂としては、エポキシ樹脂、カルド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂又はポリイミド樹脂が挙げられる。中でも、カルボキシル基が導入されたアクリル樹脂が好ましい。
【0040】
カルボキシル基が導入されたアクリル樹脂としては、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体などが好ましい。不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸又はビニル酢酸が挙げられる。エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピルが挙げられる。
【0041】
固体撮像素子のパターン加工性を向上させるために、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体の側鎖に、エチレン性不飽和基を有することが更に好ましい。この場合、側鎖が有するエチレン性不飽和基としては、アクリル基又はメタクリル基が好ましい。このようなアクリル樹脂は、カルボキシル基を有するアクリル樹脂のカルボキシル基に、グリシジル基又は脂環式エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物を付加反応させて得ることができる。
【0042】
光重合性化合物としては、多官能若しくは単官能のアクリル系モノマー又はオリゴマーを用いることができる。
【0043】
光重合性化合物の例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキシド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレート、フルオレンジ(メタ)アクリレート系オリゴマー、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]エーテル、4,4’−ビス[4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]シクロヘキサン、9,9−ビス[4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−メチル−4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−クロロ−4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、又はビスクレゾールフルオレンジ(メタ)アクリレートが挙げられるが、より感度を向上させるため、3以上の官能基を有するモノマーが好ましく、5以上の官能基を有するモノマーがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート又はジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。なお、上記の化合物中の「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方をまとめて表記したものである。
【0044】
本発明では、光重合性成分として、アルカリ可溶性樹脂および光重合性化合物を併用してもよく、単独で使用しても良い。アルカリ可溶性樹脂を単独で使用する場合は、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂中を使用することが好ましい。また、光重合性化合物を単独で使用する場合は、カルボキシル基やスルホン酸基を有する光重合性化合物を使用することが好ましい。
【0045】
(その他の成分)
本発明の感光性着色組成物は、溶媒を含有してもよい。溶媒は、着色剤の分散安定性および光重合性成分の溶解性等を考慮して、水又は有機溶媒を適宜選択すればよい。本発明で用いられる溶媒の例とてしては、エステル類、脂肪族アルコール類、(ポリ)アルキレングリコールエーテル系溶媒、ケトン類、アミド系極性溶媒又はラクトン系極性溶媒が挙げられる。
【0046】
本発明の感光性着色組成物は、塗布性および着色被膜の平滑性を向上させるために、界面活性剤を含有してもよい。
【0047】
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸アンモニウム若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等の陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート若しくはラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキシド等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル若しくはソルビタンモノステアレート等の非イオン界面活性剤、ポリジメチルシロキサン等を主骨格とするシリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0048】
本発明の感光性着色組成物は、着色剤、高分子分散剤、溶媒を混合し、分散機を用いて分散させた後、光重合性化合物、光重合性成分、界面活性剤などを添加することで製造することができる。分散機の例としては、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル又は高速度衝撃ミルが挙げられる。
【0049】
(固体撮像素子の製造方法)
次に、本発明の感光性着色組成物を用いた固体撮像素子の製造方法について説明する。
【0050】
本発明の固体撮像素子の製造方法においては、前記の感光性着色組成物を用いて、基板上にパターンを形成する工程が含まれる。さらに好ましくは、基板上に反射防止膜を形成した後に、前記パターンを形成することが好ましい。なお、基板上に反射防止膜を形成した後に、前記パターンを形成する場合においても、かかる工程は「基板上にパターンを形成する工程」と表現するものとする。前記反射防止膜は、後述する反射防止膜用組成物を用いて形成することが好ましい。
【0051】
本発明の固体撮像素子の製造方法の好ましい例について以下に説明する。
【0052】
シリコンウェハーや、アルミニウムで被覆したウェハー等の基板上に、後述する反射防止膜用組成物を塗布し、次いで塗布した反射防止膜用組成物を加熱硬化して反射防止膜を形成する。反射防止膜用組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、スピンコート法、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。加熱の温度は使用される反射防止膜用組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、通常、200℃〜300℃であり、好ましくは200℃〜250℃である。加熱時間は30〜1,200秒であり、好ましくは60〜600秒である。なお、前述のように反射防止膜の形成は必須ではないので、反射防止膜を形成する工程は省略される場合もある。
【0053】
次に、前記反射防止膜上に(反射防止膜を形成する工程を省略した場合は基板上に直接)、本発明の感光性着色組成物を塗布し、プリベークを行い膜を形成させる。塗布方法は特に限定されず、例えば、スピンコート法、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。プリベークの温度は通常、60℃〜150℃であり、好ましくは80℃〜120℃である。加熱時間は10〜300秒であり、好ましくは30〜180秒である。
【0054】
次に、ネガマスクを設置し、放射線により選択的に露光を行う。露光に用いられる放射線としては、用いられる光重合開始剤や光重合性成分に応じて選択することが可能であるが、紫外線、特にi線(365nm)が好ましい。
【0055】
次に、アルカリ性現像液で現像を行い、未露光部の感光性着色組成物を除去することで、パターンが得られる。この工程で用いられる現像液は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液が主に用いられる。さらに水溶性有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤を適量添加することもできる。
【0056】
最後に、ポストベークを行うことで、前記パターンを硬化させる。ポストベークの温度は通常、180℃〜300℃であり、好ましくは200℃〜250℃である。加熱時間は30〜1200秒であり、好ましくは60〜600秒である。なお、評価に用いるためパターンを形成せずに全面に感光性着色組成物の膜を形成して硬化した場合は、硬化膜と呼ぶものとする。
【0057】
(固体撮像素子)
固体撮像素子は、光電変換層、および画素を備え、当該画素が本発明の感光性着色組成物から得られる画素を含むものであれば特に制限はないが、さらに反射防止膜を備え、光電変換層、反射防止膜および画素をこの順に有し、当該画素が本発明の感光性着色組成物から得られる画素を含むものであることが好ましい。
【0058】
本発明の固体撮像素子の一例を図1に示す。これは、光電変換層(図示せず)を含む基板5上に、反射防止膜4、近赤外光検出用画素パターン3、赤画素パターン2R、緑画素パターン2G、青画素パターン2B、マイクロレンズ1を備える構成である。
【0059】
本発明の固体撮像素子の他の例を図2に示す。これは、光電変換層(図示せず)を含む基板5上に、反射防止膜4、近赤外線検出用画素パターン3、マイクロレンズ1を備える構成である。
【0060】
本発明の感光性着色組成物は、図1に示される近赤外光検出用画素パターンが可視光検出用パターンと同じ領域内に設けられている構成、図2に示される近赤外光検出用画素パターンが可視光検出用パターンとは独立に設けられている構成のいずれにも適用できる。
【0061】
本発明の感光性着色組成物のパターンの厚さは0.5〜1.5μmであることが好ましい。厚さを0.5〜1.5μmにすることによって、近赤外線検出用画素のパターン加工性と、固体撮像素子の画質を両立しやすくなる。
【0062】
また、本発明の感光性着色組成物により形成されるパターンは矩形であることが好ましく、正方形またはそれに近い形状であることがより好ましい。そのパターンの幅は、1.4μm以下であることが好ましく、1.1μm以下であることがより好ましい。なお、パターンの幅とは、パターンが矩形である場合には短辺の長さ、正方形である場合は1辺の長さ、それ以外の形状の場合は当該形状のパターンに外接し面積が最小となる矩形の短辺の長さとする。パターン幅を小さくするほど、固体撮像素子の高画質化と小型化を達成できる。
【0063】
本発明では、光電変換層を含む基板上に、反射防止膜を形成させた後に、本発明の感光性着色組成物によりパターンを形成させることで、幅1.1μm以下のパターンを形成しやすくなる。
【0064】
以下、本発明で用いられる反射防止膜用組成物について説明する。
【0065】
反射防止膜用組成物に含まれる樹脂の例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂をなどが挙げられ、ポリエーテルスルフォン樹脂が好ましい。ポリエーテルスルフォン樹脂を用いることで、上層の本発明の感光性着色組成物のパターンを形成する際、パターン解像度を向上でき、かつ現像残渣を抑制することができる。
【0066】
本発明で用いられるポリエーテルスルフォン樹脂の例としては、下記一般式(4)〜(6)からなる群より選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位を含むものが上げられる。
【0067】
(−Ar−SO−Ar−O−) (4)
(−Ar−V−Ar−O−Ar−SO−Ar−O−) (5)
(−Ar−SO−Ar−O−Ar−O−) (6)
式(4)中、ArおよびArはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数6〜20の芳香環を含む有機基である。式(5)中、Ar〜Arはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数6〜20の芳香環を含む有機基、Vは炭素数1〜15の二価の炭化水素基である。式(6)中、Ar〜Arはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数6〜20の芳香環を含む有機基である。
【0068】
本発明で用いる反射防止膜用組成物には、ポリエーテルスルフォン樹脂ともに、架橋剤、紫外線吸収剤、溶剤を含有することが好ましい。
【0069】
架橋剤としては、ポリエーテルスルフォン樹脂と架橋構造を形成する架橋剤が好ましく、特にアルコキシメチル基またはメチロール基を含有する化合物が好ましい。紫外線吸収化合物としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、π共役系化合物などが好ましい。
【0070】
溶剤の例としては、エステル類、脂肪族アルコール類、(ポリ)アルキレングリコールエーテル系溶媒、ケトン類、アミド系極性溶媒又はラクトン系極性溶媒が挙げられる。
【0071】
本発明で用いる反射防止膜の厚さは、30〜200nmであることが好ましい。厚さを30〜200nmにすることによって、近赤外線検出用画素のパターン加工性と、固体撮像素子の画質を両立しやすくなる。
【実施例】
【0072】
<測定および評価>
(1)感光性着色組成物の硬化膜の厚さ測定
ガラス基板またはシリコンウェハー基板に形成された硬化膜について、表面段差計(東京精密(株)製、サーフコム1400D)を用いて厚さの測定を行った。
【0073】
(2)感光性着色組成物の硬化膜の分光透過率測定および評価
ガラス基板上に形成された厚さ1.0μmの硬化膜について、分光光度計((株)日立ハイテク製、U4100)を用いて、波長400〜1200nmにおける分光透過率の測定を行った。波長400〜700nmにおける透過率の最大値と、波長850〜1200nmにおける透過率の最小値から、分光透過率の評価を行った。なお、透過率測定において、リファレンスは素ガラス基板とし、測定波長は1nm間隔とした。
【0074】
(3)感光性着色組成物のパターンの評価
・解像度
シリコンウェハー基板に形成された厚さ1.0μmのパターンについて、走査型電子顕微鏡FE−SEM(日立製、S−4800)を用いてパターン形状の観察を行った。パターン幅0.9μm、1.1μm、1.4μm、1.7μm、2.0μmの正方形パターンについて観察を行い、膜剥れが生じない最小のパターン幅を解像度とした。
【0075】
・残渣評価
シリコンウェハー基板に形成された厚さ1.0μmのパターンについて、走査型電子顕微鏡FE−SEMを用いてパターン形状の観察を行った。パターン幅0.9μm、1.1μmの正方形パターンの周辺に粒状の異物や樹脂の付着物が観察されなかった場合には残渣評価「A」(良好)、観察された場合には残渣評価「B」(不良)と評価した。
【0076】
(4)固体撮像素子の画質評価
波長900〜1100nmの近赤外発光するLEDを被写体に照射した。被写体からの反射光を本発明の固体撮像素子のパターンを透過させた後、フォトダイオードで光電変換し画像を表示させた。光電変換層としては、波長200〜1400nmに分光感度があるSi系の光電変換層を用いた。画像上で被写体をはっきり認識できた場合を「S」(きわめて良好)、画像上で被写体を認識できた場合を「A」(良好)、画像上でノイズが大きく、被写体を認識できなかった場合を「B」(不良)と評価した。
【0077】
(5)感光性着色組成物の粘度安定性の評価
円錐平板型粘度計(東機産業(株)製RE100L)を用いて、25℃での固体撮像素子用の粘度を測定した。感光性着色組成物の調製後1時間以内に測定した粘度と、当該測定後25℃で168時間保存後の粘度の変化率から、粘度安定性の測定を行った。すなわち1週間後の粘度が初期の粘度に対して増加した百分率(増粘、単位%)により、分散状態を評価した。
【0078】
(実施例1)
112.5gのラクタム系顔料(“Irgaphor”(登録商標)ブラックS0100CF;BASF社製、一般式(1)に含まれる)、37.5gのフタロシアニン系顔料PB15:6(“リオノール”(登録商標)ブルー7602;東洋インキ社製)、56.3gの高分子分散剤(BYK2000;樹脂濃度40質量%;ビックケミージャパン(株)製)、793.7gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、スラリーを調製した。スラリーを分散機ダイノーミルKDL−Aを用いて、直径0.3mmのジルコニアビーズを使用して、3200rpm、3時間の分散処理を行い、分散液を得た。
【0079】
この分散液73.20gに、5.70gのアルカリ可溶性樹脂(“サイクロマー”(登録商標)ACA250;樹脂濃度45質量%;ダイセル化学社製)、2.56gの光重合性化合物(“アロニックス”(登録商標)M520;東亜合成社製)、0.21gの光重合開始剤(“アデカ”(登録商標)クルーズNCI831;ADEKA社製)、0.04gのシリコーン系界面活性剤(BYK333;ビックケミージャパン(株)製)、18.29gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、を混合し感光性着色組成物1を得た。この感光性着色組成物における全固形分中の着色剤の含有量は61質量%であり、着色剤の質量比は、ラクタム系顔料:フタロシアニン系顔料=75:25であった。
【0080】
5cm×7cmのガラス基板上に、この感光性着色組成物をスピナーにより塗布した後、熱風オーブン中で、100℃で5分のプリベークを行った。その後、高圧水銀灯を用いてi線換算で200mJ/cmで塗膜を全面露光後、熱風オーブン中で220℃で30分のポストベークを行い、硬化膜を得た。なお、硬化膜のポストベーク後の厚さが1.0μmとなるようにスピナー回転数を調整した。
【0081】
次に、以下の手順で、シリコンウェハー基板に、反射防止膜を形成させた後、前述の感光性着色組成物1を用いてパターンを形成させた。
【0082】
まず、8.5gのポリエーテルスルフォン樹脂(スミカエクセル(登録商標)4100P;住友化学工業(株)製)、1.0gの熱架橋剤(ニカラック(登録商標)MX−270 ;(株)三和ケミカル製)、0.5gの紫外線吸収化合物(TINUVIN(登録商標)329;BASF製)、226gのシクロヘキサノン、97gのγ−ブチロラクトン、0.1gの界面活性剤(BYK352;ビックケミー・ジャパン(株)製)を添加し、反射防止膜用組成物を調製した。
【0083】
8インチシリコンウェハー基板上に、この反射防止膜用組成物をスピンコーターにより塗布した後、ホットプレートを用いて100℃で90秒間のプリベークを行った。その後、ホットプレートを用いて220℃で300秒間のポストベークを行い、反射防止膜を硬化させた。なお、硬化膜のポストベーク後の厚さが81nmとなるようにスピンコーターの回転数を調整した。
【0084】
次に、この反射防止膜上に、前述の感光性着色組成物1をスピンコーターにより塗布した後、100℃のホットプレート上で2分間のプリベークを行った。その後、(株)ニコン製i線ステッパーNSR2005iqc(波長365nm)を用いて、1.0μm幅のラインアンドスペースパターンを1対1の線幅で形成する露光時間(以下「最適露光時間」という。)だけ露光を行った。次いで、0.5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で90秒間現像し、水洗し、乾燥した後、ホットプレート上で220℃5分間ポストベークしてネガ型パターンを形成した。なお、感光性着色組成物のポストベーク後の厚さが1.0μmとなるようにスピンコーターの回転数を調整した。
【0085】
(実施例2)
97.5gのラクタム系顔料(S0100CF)、52.5gのフタロシアニン系顔料PB15:6(7602)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性着色組成物2を得た。この感光性着色組成物を用いて各種評価を行った。
【0086】
(実施例3)
75gのラクタム系顔料(S0100CF)、75gのフタロシアニン系顔料PB15:6(7602)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性着色組成物3を得た。この感光性着色組成物を用いて各種評価を行った。
【0087】
(実施例4)
75gのラクタム系顔料(S0100CF)、69gのフタロシアニン系顔料PB15:6(7602)、6gのペリレン系顔料PR179(“HOSTAPERM”(登録商標)レッドP2GL−WD;クラリアントジャパン社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性着色組成物4を得た。この感光性着色組成物を用いて各種評価を行った。
【0088】
(実施例5)
75gのラクタム系顔料(S0100CF)、69gのフタロシアニン系顔料PB15:6(7602)、6gのイソインドリン系顔料PY139(“HOSTAPERM”(登録商標)イエローP−M3R;クラリアントジャパン社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性着色組成物5を得た。この感光性着色組成物を用いて各種評価を行った。
【0089】
(実施例6)
105gのラクタム系顔料(S0100CF)、45gのインダントロン系顔料PB60(“パリオゲン”(登録商標)ブルーl6385;BASF社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性着色組成物6を得た。この感光性着色組成物を用いて各種評価を行った。
【0090】
(比較例1)
60gのフタロシアニン系顔料PB15:6(7602)、75gのイソインドリン系顔料PY139(P−M3R)、15gのジケトピロロピロール系顔料PR254(“Irgaphor”(登録商標)レッドBK−CF;BASF社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性着色組成物7を得た。この感光性着色組成物を用いて各種評価を行った。
【0091】
(比較例2)
150gのラクタム系顔料(S0100CF)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性着色組成物8を得た。この感光性着色組成物を用いて各種評価を行った。
【0092】
(実施例7)
実施例1で得られた分散液64.81gに、7.24gのアルカリ可溶性樹脂(ACA250)、3.26gの光重合性化合物(M520)、0.26gの光重合開始剤(NCI831)、0.04gのシリコーン系界面活性剤(BYK333)、24.39gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、を混合し感光性着色組成物9を得た。この感光性着色組成物を用いて各種評価を行った。
【0093】
(実施例8)
実施例1で得られた分散液83.97gに、3.71gのアルカリ可溶性樹脂(ACA250)、1.67gの光重合性化合物(M520)、0.13gの光重合開始剤(NCI831)、0.04gのシリコーン系界面活性剤(BYK333)、10.47gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、を混合し感光性着色組成物10を得た。この感光性着色組成物を用いて各種評価を行った。
【0094】
(実施例9)
実施例1で得られた分散液90.01gに、2.60gのアルカリ可溶性樹脂(ACA250)、1.17gの光重合性化合物(M520)、0.09gの光重合開始剤(NCI831)、0.04gのシリコーン系界面活性剤(BYK333)、6.01gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、を混合し感光性着色組成物11を得た。この感光性着色組成物を用いて各種評価を行った。
【0095】
(実施例10)
反射防止膜を形成させなかったこと以外は実施例2と同様にして、8インチシリコンウェハー基板上に、実施例2で得られた感光性着色組成物2を用いて各種評価を行った。
【0096】
実施例1〜10、比較例1〜2で得られた感光性着色組成物について、組成および評価結果を表1に示す。なお、高分子分散剤BYK2000はポリエーテル構造を含有し、アミン価は4mgKOH/gであった。
【0097】
【表1】
【0098】
実施例1〜6、比較例1〜2は、感光性着色組成物に含まれる着色剤の量及び種類を変えることで、分光透過率を変化させたものである。波長400〜700nmの透過率の最大値を10%以下とし、かつ、波長850〜1200nmの透過率の最小値を85%以上とした実施例1〜6では、近赤外線検出用画素のパターン加工性および固体撮像素子の画質が良好であった。
【0099】
一方、波長400〜700nmの透過率の最大値が10%よりも大きかった比較例1および2では、パターン加工性および固体撮像素子の画質が不良であった。
【0100】
実施例1〜13はいずれも、全固形分中の着色剤の着色剤の含有量が50〜80質量%であるため、いずれも良好なパターン加工性および固体撮像素子の画質を有しているが、全固形分中の着色剤の着色剤の含有量の効果について、実施例2、7〜9(全固形分中の着色剤の着色剤の含有量を変化させている)を見ると、着色剤の含有量を61〜70質量%とした実施例2および8が、パターン加工性および固体撮像素子の画質が特に良好であることが判った。
【0101】
実施例2、10は反射防止膜有無での、パターン加工性を比較したものである。いずれも良好な評価結果が得られているが、反射防止膜を形成させた実施例2のほうがパターン加工性が良好であった。
【0102】
図3〜5に、実施例2、比較例1、比較例2の波長400〜1200nmにおける分光透過スペクトルを示す。図3は、波長400〜700nmにおける透過率がいずれも10%以下であり、波長850〜1200nmにおける透過率がいずれも85%以上であり、実施例2に示すように評価結果が良好であった。一方、図4は、400〜439nm、および、660〜700nmの透過率が10%より大きく、比較例1に示すように評価結果が不良であった。図5は、687〜700nmの透過率が10%より大きく、比較例2に示すように評価結果が不良であった。
【0103】
(実施例11)
高分子分散剤(BYK2013;ビックケミージャパン(株)製)を用いたこと以外は、こと以外は実施例10と同様にして、感光性着色組成物12を得た。なお、BYK2013はポリエーテル構造を含有し、アミン価は18mgKOH/gであった。
【0104】
(実施例12)
高分子分散剤(SOLSPERS20000;ルーブリゾール社製)を用いたこと以外は実施例10と同様にして、感光性着色組成物13を得た。なお、SOLSPERS20000はポリエーテル構造を含有し、アミン価は32mgKOH/gであった。
【0105】
(実施例13)
高分子分散剤(BYK142;ビックケミージャパン(株)製)を用いたこと以外は実施例10と同様にして、感光性着色組成物14を得た。なお、BYK142はポリエーテル構造を含有し、アミン価は43mgKOH/gであった。
【0106】
実施例10〜13で得られた感光性着色組成物について、組成および評価結果を表2に示す。
【0107】
【表2】
【0108】
実施例11、12は、感光性着色組成物中の高分子分散剤がポリエーテル骨格を含有し、アミン価が10〜40mgKOH/gであったため、パターン加工性、固体撮像素子の画質、に加え粘度安定性も良好であった。実施例13は、高分子分散剤がポリエーテル骨格を含有するが、アミン価が40mgKOH/gよりも大きかったため、粘度安定性はやや劣るものであった。実施例10は、高分子分散剤のアミン価が10mgKOH/gより小さかったため、粘度安定性はやや劣るものであった。また、実施例10は、高分子分散剤がポリエーテルを含有しないため、実施例11、12と比較して固体撮像素子のパターン加工性と画質が悪化した。
【符号の説明】
【0109】
1 マイクロレンズ
2R 赤画素パターン
2G 緑画素パターン
2B 青画素パターン
3 近赤外光検出用画素パターン
4 反射防止膜
5 光電変換層を含む基板
【要約】
特定の組み合わせの着色剤、光重合開始剤および光重合性成分によりパターン加工性が良好で、固体撮像素子の画質に優れる感光性着色組成物を提供する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5