(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、点光源から発せられる拡散光は、受光信号に含めたい反射光としてばかりではなく、散乱光や迷光としても受光素子に受光されて、受光素子におけるノイズを発生させてしまう。ノイズは、エンコーダの位置検出精度を低下させる要因となる。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、検出精度を向上させることが可能な、エンコーダ及びサーボモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ディスクに形成された反射スリットに光を照射する点光源、及び、上記点光源から照射され上記反射スリットで反射された光を受光する受光素子を備えた第1基板と、
上記第1基板が搭載された第2基板と、
上記第1基板と上記第2基板とを電気的に接続する、光沢を備えた接続部と、
上記点光源及び上記受光素子を露出させるように上記接続部を被覆する被覆材と、を有する、エンコーダが提供される。
【0007】
また、上記接続部は、
上記第1基板に設けられた第1端子と、
上記第2基板に設けられた第2端子と、
半田付けにより形成されて上記第1端子と上記第2端子を接合する接合部と、を有し、
上記被覆材は、
上記第1端子、上記第2端子及び上記接合部の少なくとも1つを被覆してもよい。
【0008】
また、上記接合部は、
手作業による半田付けにより形成されてもよい。
【0009】
また、上記被覆材は、
黒色の材質で構成されてもよい。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、シャフトを回転させるモータと、
上記シャフトの位置を検出するエンコーダと、を備え、
上記エンコーダは、
上記シャフトに連結されたディスクに形成された反射スリットに光を照射する点光源、及び、上記点光源から照射され上記反射スリットで反射された光を受光する受光素子を備えた第1基板と、
上記第1基板が搭載された第2基板と、
上記第1基板と上記第2基板とを電気的に接続する、光沢を備えた接続部と、
上記点光源及び上記受光素子を露出させるように上記接続部を被覆する被覆材と、を有する、サーボモータが提供される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明によれば、検出精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
<1.サーボモータ>
まず、
図1を参照しつつ、本実施形態に係るサーボモータの構成の概略について説明する。
図1に示すように、サーボモータSMは、エンコーダ100と、モータMとを有する。モータMは、エンコーダ100を含まない動力発生源の一例である。このモータM単体をサーボモータという場合もあるが、本実施形態では、エンコーダ100を含む構成をサーボモータSMということにする。モータMは、シャフトSHを回転軸心AX周りに回転させることにより、回転力を出力する。
【0015】
なお、モータMは、位置データに基づいて制御されるモータであれば特に限定されるものではない。すなわち、モータMは、動力源として電気を使用する電動式モータである場合に限られるものではなく、例えば、油圧式モータ、エア式モータ、蒸気式モータ等の他の動力源を使用したモータであってもよい。ただし、説明の便宜上、以下ではモータMが電動式モータである場合について説明する。
【0016】
エンコーダ100は、モータMのシャフトSHの回転力出力端とは反対側の端部に連結される。そして、このエンコーダ100は、シャフトSHの位置を検出することにより、モータMの回転対象(シャフトSH自体でもよい。)の位置を検出し、その位置を表す位置データを出力する。
【0017】
なお、エンコーダ100の配置位置は、本実施形態に示す例に特に限定されるものではない。例えば、エンコーダ100は、シャフトSHの出力端側に直接連結されるように配置されてもよく、また、減速機や回転方向変換機、ブレーキなどの他の機構を介してシャフトSH等に連結されてもよい。
【0018】
<2.エンコーダ>
次に、
図2〜
図5を用いてエンコーダ100の概略構成について説明する。なお、
図2は、
図3に示したエンコーダ100をA−A線で切断した断面図である。
【0019】
図2に示すように、本実施形態に係るエンコーダ100は、モータMのハウジング10(例えば反負荷側ブラケット)に設けられ、エンコーダカバー101により覆われている。
図2及び
図3に示すように、エンコーダ100は、シャフトSHに連結された円板状のディスク110と、ディスク110と対向して配置された光学モジュール120と、光学モジュール120をディスク110と対向する側の表面に搭載した基板130と、基板130を支持する円筒状の支持部材140とを有している。光学モジュール120は、ディスク110に光を照射する点光源121と、点光源121から照射されディスク110で反射された光を受光する受光アレイ122,123とを有しており、エンコーダ100はいわゆる反射型のエンコーダとして構成されている。
【0020】
(2−1.ディスク)
ディスク110は、シャフトSHの端部に連結される。なお、ディスク110を例えばハブ等を介してシャフトSHに連結してもよい。
図3に示すように、ディスク110の光学モジュール120に対向する側の面には、円周方向に沿ってディスク110の全周に亘り並べられた複数の反射スリット(図示せず)を有する3本の同心円状のスリットアレイSA1,SA2,SA3が形成されている。1つ1つの反射スリットは、点光源121から照射された光を反射する。スリットアレイSA1は、反射スリットがインクリメンタルパターンを有するように配置されて構成されている。インクリメンタルパターンは、所定のピッチで規則的に繰り返されるパターンである。このインクリメンタルパターンは、少なくとも1以上の受光素子による検出信号の和により、1ピッチ毎又は1ピッチ内のモータMの回転対象の位置を表す。
【0021】
スリットアレイSA2,SA3は、スリットアレイSA1の半径方向外側と内側にそれぞれ位置し、反射スリットがアブソリュートパターンを有するように配置されて構成されている。アブソリュートパターンとは、後述する光学モジュール120が対向する角度内における反射スリットの位置や割合等が、ディスク110の1回転内で一義に定まるようなパターンである。このようなアブソリュートパターンにより絶対位置を表させる場合、受光信号の検出又は未検出によるビットパターンの変わり目の領域において、絶対位置の検出精度が低下する。そのために、本実施形態では、同様のアブソリュートパターンを、円周方向で例えば1ビットの1/2の長さだけオフセットさせて、2つのスリットアレイSA2,SA3を形成している。
【0022】
ディスク110は、本実施形態では例えばガラスにより形成される。そして、スリットアレイSA1,SA2,SA3が有する反射スリットは、ガラスのディスク110の面に、光を反射する部材が塗布されることにより、形成可能である。なお、ディスク110の材質は、ガラスに限られるものではなく、金属や樹脂等を使用することも可能である。また、反射スリットは、例えば、反射率の高い金属をディスク110として使用し、光を反射させない部分を、スパッタリング等により粗面としたり反射率の低い材質を塗布したりすることで、反射率を低下させて、形成されてもよい。ただし、ディスク110の材質や製造方法等については特に限定されるものではない。
【0023】
(2−2.光学モジュール)
光学モジュール120は、
図2及び
図3に示すように、ディスク110のスリットアレイSA1,SA2,SA3の一部に対向するように、基板130のディスク110に対向する側の表面に搭載されている。
図2及び
図4に示すように、この光学モジュール120は、基板125を備えている。基板125のディスク110に対向する側の面には、ディスク110に形成された反射スリットに光を照射する点光源121と、点光源121から照射され反射スリットで反射された光を受光する受光アレイ122,123とが設けられている。受光アレイ122は、インクリメンタルパターンに対応する上記スリットアレイSA1からの反射光を受光する。受光アレイ123は、アブソリュートパターンに対応する上記スリットアレイSA2,SA3からの反射光を受光する。また、上記基板125が第1基板の一例に相当する。
【0024】
点光源121は、光学モジュール120の略中央位置に配置され、対向する位置を通過するスリットアレイSA1,SA2,SA3に光を照射する。この点光源121としては、照射領域に光を照射可能な光源であれば特に限定されるものではないが、例えば、LED(Light Emitting Diode)が使用可能である。そして、この点光源121は、特に光学レンズ等が配置されない点光源として形成され、発光部から拡散光を照射する。なお、点光源という場合、厳密な点である必要はなく、設計上や動作原理上、略点状の位置から拡散光が発せられるものとみなせる光源であれば、有限な面から光が発せられてもよいことは言うまでもない。このように点光源を使用することにより、光学素子による集光・拡散を行わないため、光学素子による誤差等が生じにくく、スリットアレイSA1,SA2,SA3への照射光の直進性を高める事が可能である。
【0025】
受光アレイ122,123は、点光源121の周囲に配置されている。
図4に示すように、受光アレイ122は点光源121を間に挟んでディスク110の円周方向両側に配置され、受光アレイ123は点光源121を間に挟んでディスク110の半径方向両側にそれぞれ配置されている。受光アレイ122,123は、複数の受光素子122a,123aを有する。これら受光素子122a,123aには、例えば薄膜状に形成されたフォトダイオード等が用いられる。
【0026】
なお、本実施形態では、光学モジュール120がエンコーダ100を薄型化したり製造を容易にすることが可能な基板状に形成される場合について説明するが、光学モジュール120は必ずしも基板状に構成される必要はない。また、上述した受光アレイ122,123の配置構成は一例であり、この構成に限定するものではない。例えばアブソリュートパターンに対応する受光アレイ123を設けずにインクリメンタルパターンに対応する受光アレイ122のみとしてもよく、この場合に受光アレイ122を光源121の半径方向外側及び内側の少なくとも一方に設けてもよい。
【0027】
(2−3.基板)
基板130は、円板状のプリント配線基板であり、ディスク110と対向する側の面及びその反対側の面には、光学モジュール120を含む複数の回路素子等が搭載され、それらの間に複数の配線が形成されている。なお、
図2〜
図4において、光学モジュール120以外の素子や配線については図示を省略している。
図2に示すように、基板130は、支持部材140とほぼ同じ直径となるように形成されており、その縁部が支持部材140の基板が載置される面141(以下適宜「基板載置面141」と記載する)に載置されている。基板130の縁部には、固定ネジ150が貫通する複数(本実施形態では3)の貫通孔131が設けられている。貫通孔131は、円周方向に略均等な間隔(本実施形態では120°間隔)で配置されている。また、基板130の縁部には、位置決めピン160が挿入される少なくとも2つ(本実施形態では2)のピン孔132が設けられている。ピン孔132は、基板130を貫通して設けられ、上記3つの貫通孔131のうちの2つに隣接して配置されている。また
図2及び
図4に示すように、光学モジュール120は、基板130の縁部近傍に搭載されている。なお、上記基板130が第2基板の一例に相当する。
【0028】
(2−4.支持部材)
支持部材140は、
図2及び
図3に示すように円筒状に形成されており、ディスク110を内部に収容しつつ、光学モジュール120がディスク110の反射スリットと対向するように基板130を支持する。支持部材140は、例えば金型を用いた樹脂モールド等により一体成型される。樹脂は、支持部材140の内部における光の散乱・反射を抑制できるように、黒色あるいは光を吸収し易い色彩の材質が好ましい。なお、それ以外の樹脂でも、成型後に内部を黒色あるいは光を吸収し易い色彩やパターンに塗装することで、使用することが可能である。
【0029】
支持部材140は、固定ネジ150が貫通する少なくとも2つ(本実施形態では3)の貫通孔142を有している。貫通孔142は、基板130の貫通孔131と対応するように、円周方向に略均等な間隔(本実施形態では120°間隔)で配置されている。少なくとも2つ(本実施形態では3)の固定ネジ150は、基板130の貫通孔131及び支持部材140の貫通孔142をシャフトSHの軸方向に貫通してハウジング10のネジ孔11に螺合する。これにより、基板130及び支持部材140がモータのハウジング10に固定される。
【0030】
図3に示すように、支持部材140の基板載置面141には、位置決めピン160が挿入される少なくとも2つ(本実施形態では2)のピン孔143が設けられている。ピン孔143は、基板130のピン孔132と対応するように、3つの貫通孔142のうちの2つに隣接して配置されている。位置決めピン160は、まず支持部材140のピン孔143に差し込まれ、立設された状態で、基板130のピン孔132に挿入される。このようにして基板130と支持部材140の両方に位置決めピン160が挿入されることで、基板130と支持部材140との回転軸心AXに垂直な面方向の相対位置が位置決めされる。
【0031】
なお、基板130を支持する支持部材は必ずしも円筒状とする必要はない。例えば円周方向に等間隔に設けられた複数の支柱状の支持部材としてもよい。但し、本実施形態は、外光の影響を受けやすい反射型エンコーダにおいて、外光を遮断した上で、さらに後述する接続部180による光の反射、散乱を抑制して受光アレイ122,123におけるノイズをより一層低減するものであるから、外光が入り込むことが可能な支柱状の支持部材よりも、外光を遮断可能な円筒状の支持部材140を用いる場合に、特に有効であると言える。
【0032】
(2−5.オイルシール)
ディスク110とハウジング10との間には、ハウジング10を覆うようにオイルシール170が設けられている。
図3に示すように、オイルシール170は、その中心部をシャフトSHが貫通しており、その外周部に半径方向外側に向けて突出した複数(本実施形態では3つ)の固定部171を有している。固定部171は、円周方向に略均等な間隔(本実施形態では120°間隔)で配置されており、各固定部171がビス161によりハウジング10に固定されている。オイルシール170とシャフトSHとは密着しており、ハウジング10に設けた軸受12のグリースがミスト化して飛散し、その一部がハウジング10とシャフトSHとの隙間からエンコーダ側に漏出しても、オイルシール170によりグリースの漏出を抑制し、エンコーダ100の信頼性を向上できる。
【0033】
また、オイルシール170は、
図2に示すように、少なくともディスク110を間に挟んで点光源122に対応する位置にまで形成されている。そして、オイルシール170は、例えば黒色のゴムや樹脂等の光を吸収する材質で構成されている。なお、光を吸収する材質以外でも、例えば黒色あるいは光を吸収し易い彩色・パターンで塗装すれば、使用することが可能である。これにより、オイルシール170は、点光源122からの照射光(ディスク110を透過した透過光や散乱・反射光を含む)の少なくとも一部を吸収し、支持部材140の内部におけるハウジング10での光の散乱・反射を抑制することができる。その結果、散乱・反射光の受光アレイ122への影響を抑制できるので、エンコーダ100の検出精度を向上できる。
【0034】
(2−6.接続部及び被覆材)
図4は、支持部材140に支持された状態の基板130の光学モジュール120搭載部分を、モータMのハウジング10側から見た図である。
図4に示すように、光学モジュール120の基板125とこれを搭載する基板130とは、基板125の周囲に配置された複数の接続部180を介して電気的に接続されている。
図4に示す例では、接続部180を基板125の円周方向両側と半径方向内側に配置しているが、さらに半径方向外側に配置してもよい。なお、基板125と基板130との機械的な接続は、図示しないネジ等により行われる。各接続部180は、基板125に設けられた端子181と、基板130に設けられた端子182と、半田付けにより形成されて端子181と端子182を接合する接合部183とを有している。端子181及び端子182は金属導体で構成されており、接合部183は半田で構成されるので、接続部180は全体として光沢を有し、光の反射率が高い。なお、端子181が第1端子の一例に相当し、端子182が第2端子の一例に相当する。
【0035】
端子181は、基板125の外周端面に複数設けられている。各端子181は、点光源121や受光素子122a,123aと基板125の内部においてリード線等を介して接続されている。また各端子181は、
図5に示すように、半円筒状の凹部184を有している。一方、端子182は、基板130の表面における端子181に対応する位置に薄膜状に形成されている。
図5に示すように、基板125の端子181が基板130の端子182上に載置された状態で、凹部184近傍において半田が溶融され、溶融した半田が凹部184により端子182上に導かれる。このようにして端子181の凹部184から端子182に亘って接合部183が形成され、端子181と端子182とが接合される。本実施形態では半田付けは例えば手作業により行われるが、この際に凹部184が溶融した半田をガイドする役割を果たすので、半田付けの作業性を向上できる。なお、
図5では半田付けにより形成された接合部183の図示を省略している。
【0036】
なお、上記接続部180の構成は一例であり、これに限定するものではない。例えば、基板125の外周端面よりアーム状の金属端子を外側に突出させ、当該金属端子と基板130の端子182とを半田付けにより接合してもよいし、基板125と基板130の端子同士をリード線等を用いて半田付けにより接続してもよい。また、例えば基板125における基板130に対向する面に複数の端子を形成しておき、基板130の端子182に形成したはんだバンプにより基板125側の端子と直接接続するフリップチップ接合方式としてもよい。さらに、半田付けを行わず、例えばコネクタ等を用いて基板125の端子と基板130の端子とを接続する構成としてもよい。なお、本実施形態では半田付けを手作業で行うようにしたが、半田付け装置を用いて自動で行ってもよい。
【0037】
また、
図4に示すように、基板125の円周方向両側と半径方向内側の外周端面近傍には、被覆材190が外周端面に沿って(
図4に示す例では略コの字状に)設けられている。被覆材190は、基板125に設けられた点光源121及び受光アレイ122,123を露出させつつ、複数の接続部180の全てについてその端子181,182及び接合部183を被覆する。
【0038】
被覆材190としては、例えば接着剤やシール剤、樹脂等の材質を用いることができる。被覆材190の色は、表面に光沢のない黒色等、光を吸収し易い色やパターンであることが好ましい。これにより、点光源121からの照射光(ディスク110で反射された反射光や散乱光を含む)の少なくとも一部を吸収し、被覆材190自身が光の散乱・反射を生じるのを防止できる。このような彩色は、予め接着剤等に顔料等を含有させることで行ってもよいし、被覆材190の表面を塗装することで行ってもよい。接着剤を用いる場合には、例えば紫外線照射等のエネルギー放射、加熱、空気中の水分等、外的要因によって硬化する接着剤を使用することで、硬化時間を短縮できると共に製造工程の自由度を向上できる。なお、被覆材190は必ずしも黒色である必要はない。黒色以外の暗い色(濃紺等)であってもよいし、例えば透明や明るい色の材質であっても、接続部180を覆うことでその反射率を下げることは可能であるため、接続部による光の反射、散乱の抑制に関し一定の効果を得ることができる。
【0039】
なお、本実施形態では被覆材190が複数の接続部180の全てについて被覆するようにしたが、一部の接続部180のみを被覆してもよい。例えば、比較的ノイズに対する耐性が低いアブソリュートパターンに対応する受光アレイ123に近い接続部180(基板125の半径方向内側の外周端面に設けた接続部180)のみを被覆し、比較的ノイズに対する耐性が高いインクリメンタルパターンに対応する受光アレイ122に近い接続部180(基板125の円周方向両側の外周端面に設けた接続部180)については被覆しない構成とすることもできる。この場合には、被覆材190の使用量を削減しつつ有効なノイズ対策を施すことが可能となる。
【0040】
また、本実施形態では被覆材190が各接続部180の構成要素の全部を被覆するようにしたが、接続部180の一部、すなわち端子181,182及び接合部183の少なくとも1つを被覆する構成としてもよい。例えば、最も受光アレイ122,123に近接する端子181のみを被覆したり、端子181,182及び接合部183のうち最も反射率の高い金属材料で構成されたもの、あるいは最も表面積の大きいもの等を被覆してもよい。この場合にも、被覆材190の使用量を削減しつつ有効なノイズ対策を施すことが可能となる。
【0041】
<3.実施形態の効果の例>
本実施形態のエンコーダ100では、点光源121及び受光アレイ122,123を備えた基板125とこれを搭載する基板130とが、光沢を備えた接続部180により電気的に接続される。接続部180は基板125の周囲に配置されるため、接続部180と受光アレイ122,123とは互いに近接した配置となる。したがって、点光源121から照射されディスク110のスリットアレイSA1,SA2,SA3で反射された光が接続部180で反射、散乱されてしまい、その結果生じる散乱光や迷光が受光アレイ122,123におけるノイズとなる可能性がある。
【0042】
そこで、被覆材190で接続部180を被覆することで、接続部180による光の反射、散乱を抑制することができ、受光アレイ122,123におけるノイズを低減できる。しかも、被覆材190は点光源121及び受光アレイ122,123については被覆せずに露出させる。仮に、点光源121及び受光アレイ122,123についても被覆した場合、たとえ被覆材190を透明な材質にしたとしても、被覆材190を透過する際の光の屈折や散乱により受光量の低下等の影響を招くと考えられる。本実施形態ではこれらを露出させるため、このような影響を及ぼすことがない。したがって、エンコーダの検出精度を向上させることができる。また、接続部180を外部の塵や埃、水分等から保護できるので、腐食等を抑制できる効果もある。
【0043】
また、本実施形態では特に、接続部180が、端子181,182とこれらを接合する接合部183を有する。金属製である端子181,182並びに半田付けにより形成される接合部183は、いずれも光沢を有し光の反射率が高いため、これらを被覆材190で被覆することで、光の反射、散乱を大幅に抑制して受光アレイ122,123におけるノイズを確実に低減できる。
【0044】
さらに、被覆材190で接合部183を被覆することで、次のような効果をも奏する。すなわち、半田は通常、ぬれ性向上等のためにフラックスを含有している。このフラックスの残渣が半田付け後に接合部183の表面に付着していると、モータ駆動時の熱等により活性化したフラックスが飛散してディスク110に付着する場合がある。このようなフラックスの付着は、透過型エンコーダと比較して反射スリットによる反射率の変動の影響を受け易い反射型エンコーダで特に問題となり易く、エンコーダの検出精度の低下を招く可能性がある。このため、通常は専用の洗浄液を使用してフラックスの残渣の除去が行われるが、本実施形態の基板125のように点光源121等の光学素子を搭載する場合、洗浄を行えない場合がある。本実施形態では、接合部183を被覆材190で被覆するため、フラックスの残渣が活性化してもそれを封止することが可能となり、フラックスの飛散を防止できる。したがって、洗浄が行えない場合でも、フラックスの飛散によりエンコーダ100の検出精度が低下するのを確実に防止できる。また、洗浄が可能な部位の場合でも、洗浄が不要となるというメリットがある。
【0045】
また、本実施形態では特に、接合部183が手作業による半田付けにより形成されている。このため、各接合部183の形状には差異が生じ、その表面形状は均一とならないため、接合部183が乱反射を生じ易い。したがって、このような接合部183を被覆材190で被覆することで、光の乱反射を抑制してノイズ低減効果を高めることができる。
【0046】
以上、添付図面を参照しながら本実施形態について詳細に説明した。しかしながら、これらの実施形態の例に限定されないことは言うまでもない。本実施形態の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、様々な変更や修正を行うことに想到できることは明らかである。従って、これらの変更後や修正後の技術も、当然に本実施形態の技術的範囲に属するものである。