(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962891
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】すべり軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 9/04 20060101AFI20160721BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20160721BHJP
F16C 33/08 20060101ALI20160721BHJP
F16C 33/10 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
F16C9/04
F16C17/02 Z
F16C33/08
F16C33/10 Z
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-30115(P2012-30115)
(22)【出願日】2012年2月15日
(65)【公開番号】特開2013-167280(P2013-167280A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年9月23日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207791
【氏名又は名称】大豊工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】関 大輔
【審査官】
中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−144932(JP,A)
【文献】
特開2002−266848(JP,A)
【文献】
特開2006−144913(JP,A)
【文献】
特開2010−285966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 9/04
F16C 17/02
F16C 33/08
F16C 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半円筒状をした一対の半割軸受を相互に抱き合わせて円筒状に形成されたすべり軸受において、
上記半割軸受は、円周方向における両端が最大の幅となり、円周方向の中央部が最小の幅となるように、円周方向の両端から中央部にわたって幅が徐々に小さくなり、かつ、当該幅方向で厚さが均一である形状となっていることを特徴とするすべり軸受。
【請求項2】
上記半割軸受の内周面には、円周方向の両端とその隣接位置にわたってクラッシリリーフが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のすべり軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はすべり軸受に関し、より詳しくは、例えば自動車用エンジンに用いる軸受として好適なすべり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用エンジンのクランク軸の軸受として、半円筒状をした一対の半割軸受を抱き合わせて円筒状に形成したすべり軸受は周知である。
こうした従来のすべり軸受は、裏金の表面にライニング層を形成したバイメタル構造となっており、表面側となるライニング層が回転軸と摺動する摺動面となっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−266848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、自動車用エンジンの燃費を低減させることが強く要求されており、すべり軸受に関しても低燃費化への対応が要求されている。
低燃費化の要求への具体的な対応策としては、例えば、すべり軸受の摺動面の摩擦抵抗を低減させてエンジンのエネルギロスを低減させることが考えられる。そのために、可能な限りすべり軸受の摺動面を小さくすること、つまり、すべり軸受を小型化することが考えられる。また、その他の対応策としては、すべり軸受の摺動面に供給された潤滑油が摺動面から洩れる際の洩れ量を低減させることですべり軸受で使用する潤滑油の量を低減し、それによってオイルポンプの小型化を図ることが考えられる。
従来一般的なすべり軸受の半割軸受は、
図3および
図4に示すように、円周方向全域において厚さと幅が同一寸法に設定されていたものである。このような構成を有する従来のすべり軸受においては、すべり軸受に対して要求される負荷容量を確保した上で、上述した低燃費化の要求に対応するのは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、半円筒状をした一対の半割軸受を相互に抱き合わせて円筒状に形成されたすべり軸受において、
上記半割軸受は、円周方向における両端が最大の幅となり、円周方向の中央部が最小の幅となるように、円周方向の両端から中央部にわたって幅が徐々に小さくな
り、かつ、当該幅方向で厚さが均一である形状となっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上述した構成によれば、半割軸受は、円周方向の中央部と比較して両端の幅が最大となっているので、半割軸受における円周方向の両端部の箇所において潤滑油が洩れる洩れ量を低減させることができる。そのため、すべり軸受の摺動面、つまり、半割軸受の内周面に潤滑油を供給するオイルポンプを小型化することが可能となり、それによって、エンジンの燃費の低下に貢献することができる。
また、半割軸受の円周方向中央部は、円周方向の両端部と比較すると幅が狭くなっているので、すべり軸受の摺動面(半割軸受の内周面)によって回転軸を軸支した際の摩擦抵抗を減少させることができる。この点においても、エンジンの燃費の低下に貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、
図1ないし
図2において、1は、半円筒状をした一対の半割軸受2、2を抱き合せて円筒状に形成されたすべり軸受である。
一対の半割軸受2、2の内周面2A、2Aが回転軸3を軸支する際の摺動面4となっている。半割軸受2、2の内周面2A、2Aの円周方向における両端2B、2B及びその隣接箇所にそれぞれクラッシリリーフ5、5および面取り6、6が形成されている。このクラッシリリーフ5、5および面取り6、6は、突合せ面2Cの内周縁から同一深さで内周面2Aを切り欠いて形成されている。このクラッシリリーフ5、5および面取り6、6が存在することにより、一対の半割軸受2、2を抱き合わせて円筒状に形成する際に、組付け時のミスアライメントや、両部材の突合せ面2C、2Cを含む半割軸受2の端部2Bが半径方向内方に動的変形や塑性変形するのが許容されるようになっており、それによって変形部分などが回転軸3の外周面と干渉しないようになっている。
このすべり軸受1によって回転軸3を回転自在に軸支している際には図示しない潤滑油通路と潤滑油溝を介して回転軸3の外周面と摺動面4との間に潤滑油が供給されるようになっている。その潤滑油によって摺動面4が潤滑されるようになっており、その際には、主に回転軸3の外周面とクラッシリリーフ5および面取り6との隙間Gから潤滑油がすべり軸受1の軸方向の前後へ漏れ出すようになっている。
【0009】
しかして、本実施例は、上述した構成を前提として
図2に示すように円周方向における半割軸受2の幅を異ならせたことが特徴である。より詳細には、半割軸受2は、円周方向における両端2B、2Bの幅が最大となり、円周方向における中央部2Dが最小となるように、両端2B、2Bから中央部2Dにわたって徐々に幅が狭くなる形状となっている。
換言すると、本実施例の半割軸受2は、上記クラッシリリーフ5、5が形成された領域の幅が実質的に最大となり、他方、両クラッシリリーフ5、5の間となる領域においては中央部2Dに近づく程幅が小さくなっている。なお、クラッシリリーフ5、5、が形成された領域について同一の幅(同一の軸方向長さ)としても良い。また、上記クラッシリリーフ5、5、面取り6、6およびオイルリリーフなどの箇所を除いて半割軸受2の円周方向
と幅方向全域における厚さは均一に設定されている(
図1、図3参照)。
また、図面上では省略しているが、半割軸受2は、鉄系の材料からなる裏金と、その内周面全域にわたって施されたCu合金やAl合金などからなるライニング層とを備えたバイメタル構造となっており、必要に応じてライニング層の内周面には軟質金属や樹脂などからなるコーティング層が設けられている。そして、これらライニング層もしくはコーティング層の表面が内周面2A(摺動面4)となっている。また、
図1に想像線で示した他方の半割軸受2も同様の構成を備えている。
【0010】
以上のように、すべり軸受1を構成する一対の半割軸受2は、円周方向の両端2B、2Bから中央部2Dにわたって徐々に幅が小さくなるように形成されている。
換言すると、クラッシリリーフ5、5が形成されている両端2B、2Bとその隣接部分は、中央部2Dよりも幅広に構成されている。そのため、半割軸受2は、クラッシリリーフを備えているにも拘らず、両端2B、2Bの箇所において上記隙間Gから洩れる潤滑油の洩れ量を低減させることができる。それにより、すべり軸受1の摺動面4に潤滑油を供給するオイルポンプを小型化することが可能となり、該オイルポンプを小型化した分だけエンジンの燃費を低減させることができる。
また、半割軸受2の円周方向の中央部2D及びその隣接領域、つまり両クラッシリリーフ5、5の間となる領域は両端2B、2Bよりも幅が狭くなっている。これにより、すべり軸受1に要求される負荷容量を確保した上で摺動面4の面積を低減させることができ、摺動面4によって回転軸3を軸支した際の摩擦抵抗を減少させることができる。この点においても、本実施例のすべり軸受1は、エンジンの燃費の低下に貢献することができる。
なお、上記実施例は、本発明を内周面2Aの両端2B、2Bの位置にクラッシリリーフ5、5を備えた半割軸受2に適用した場合を説明しているが、クラッシリリーフ5、5を備えていない半割軸受2にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0011】
1‥すべり軸受 2、2‥半割軸受
2B、2B‥端部 2D‥中央部