(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962920
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ガスコック
(51)【国際特許分類】
F23K 5/00 20060101AFI20160721BHJP
F16K 5/00 20060101ALI20160721BHJP
F16K 31/524 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
F23K5/00 301C
F16K5/00 D
F16K31/524 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-43926(P2013-43926)
(22)【出願日】2013年3月6日
(65)【公開番号】特開2014-173749(P2014-173749A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2014年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】脇田 章義
【審査官】
鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−226673(JP,A)
【文献】
特開2004−012064(JP,A)
【文献】
特開2012−180978(JP,A)
【文献】
特開2007−327704(JP,A)
【文献】
特開2004−308976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00
F23N 5/26
F16K 5/00
F16K 31/524
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作軸を全閉位置から火力調節範囲にわたって回動することによりガスの流量を調節するガスコックであって、操作軸と共に回転するカム板とこのカム板の外周面によってオンオフされるマイクロスイッチとを設け、操作軸の回転位相をマイクロスイッチによって検知するものにおいて、上記カム板の内部に空洞を設け、カム板の内面に凹部を設けると共に、線材が円形に巻回され、その一部に係合部が突設された弾性部品を、カム板の内部空間内に位置し、上記凹部の軌跡上でカム板の内面に上記係合部が押接する状態で上記操作軸に対して回転しないように設け、この弾性部品が操作軸と共に回転する凹部に嵌まることによって操作軸の回動操作中にクリック感が生じるようにしたことを特徴とするガスコック。
【請求項2】
上記カム板の内面であって凹部の軌跡上に、左右両肩に傾斜面が連続する凸部を形成し、上記弾性部品がこの凸部に連続する傾斜面に押接している状態で操作軸が停止しないようにしたことを特徴とする請求項1に記載のガスコック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作軸を回動させてガスに供給されるガスの流量を調節するガスコックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のガスコックとして、操作軸の先端を外部に露出させ、操作つまみなどを装着して操作軸を回動操作できるようにしたものが知られている。この操作軸の基端には円錐台形状の閉子が取り付けられている。この閉子はテーパ穴形状の収納穴に回転自在に収納されており、閉子の周面に形成されたガス通路穴と収納穴の周面に形成されたガス通路穴との重なり面積を増減することにより両ガス通路穴を通ってガスバーナに供給されるガス流量を増減している。
【0003】
この操作軸にカム板を取り付け、カム板を操作軸と共に回動させると共に、このカム板の上面に凹部を設け、このカム板の上面にバネ板で押接された鋼球が凹部に嵌まり込むことによって、操作軸の回動操作中にクリック感が生じるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のものでは、鋼球をカム板の上面に押接させるバネ板をカム板の上方に取り付けなければならないため、操作軸が長くなり、ガスコック自体の上下寸法が大きくなるという不具合が生じる。また、鋼球が脱落しないように組み立てを行わなければならず、組み付け工程が煩雑になるばかりか、鋼球が脱落したまま組み立てラインの下流まで流れてガスコックが不良品となる比率が増加するおそれが生じる。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、操作軸の長さが長くならず、かつ鋼球を使うことなくクリック感を生じさせることのできるガスコックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明によるガスコックは、操作軸を全閉位置から火力調節範囲にわたって回動することによりガスの流量を調節するガスコックであって、操作軸と共に回転するカム板とこのカム板の外周面によってオンオフされるマイクロスイッチとを設け、操作軸の回転位相をマイクロスイッチによって検知するものにおいて、上記カム板の内部に空洞を設け、カム板の内面に凹部を設けると共に、
線材が円形に巻回され、その一部に係合部が突設された弾性部品を、カム板の内部空間内に位置し、
上記凹部の軌跡上でカム板の内面に
上記係合部が押接する
状態で上記操作軸に対して回転しないように設け、この弾性部品が操作軸と共に回転する凹部に嵌まることによって操作軸の回動操作中にクリック感が生じるようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明では、カム板の内部空間内に収納された弾性部品が、カム板に形成された凹部に嵌まることによってクリック感を出すように構成した。
【0009】
なお、火力調節範囲内においてガスバーナに失火が生じる操作領域が存在する場合、その操作領域で操作軸の回動を止めることは望ましくない。そのような場合には、上記カム板の内面であって凹部の軌跡上に、左右両肩に傾斜面が連続する凸部を形成し、上記弾性部品がこの凸部に連続する傾斜面に押接している状態で操作軸が停止しないようにできる。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明は、鋼球を凹部に嵌め込むことによりクリック感を出すのではなく、カム板に設けた凹部に弾性部品が嵌まることによってクリック感を出す構成を採用している。これにより、小さな鋼球を組み付ける必要がなくなるので組み立て工数の低減を図ることができる。また、この弾性部品をカム板の内部空間内に設けたので、操作軸の寸法を短くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から
図3を参照して、1は本発明によるガスコックの一例である。本ガスコック1は流入口からガスを導入し、導入されたガスを2系統に分岐して2個の流出口12,13からガスを流出させるものである。8は親子バーナであり、両流出口12,13から流出したガスは親バーナ81と子バーナ82に各々供給されるように配管されている。
【0013】
両流出口12,13からガスが流出していない消火状態、すなわち全閉状態から親子バーナ8に点火する際には、操作軸2を下方に押し込み、その押し込んだ状態を保持しながら左方向に回動させる。
【0014】
操作軸2には、操作軸2と共に上下移動する上下板3が取り付けられており、操作軸2を押し下げることにより上下板3が下方に移動してマイクロスイッチ72をオンさせる。すると、図外のコントローラは操作軸2が押し込まれたことを検知して、同じく図外のスパーカを作動させ親子バーナ8近傍に断続的な火花放電を発生させる。
【0015】
操作軸2には、同じく操作軸2と共に上下移動し、かつ操作軸2と共に回動するカム5が上下板3の上方に設けられている。操作軸2を押し込んだ状態で操作軸2を回動させると、カム5がマイクロスイッチ71をオンさせ、上記コントローラは操作軸2が回動されていることを検知することができる。また、操作軸2の下端には図示しない閉子が取り付けられており、操作軸2を回動させると閉子も共に回動し、流出口12,13から流出されるガスの流量が徐々に増加していき、少なくとも閉子の開度が全開に到達するまでには親子バーナ8には確実に点火が行われる。
【0016】
また、14に示す位置には電磁安全弁が内蔵されており、上記上下板3が下方に移動すると上記マイクロスイッチ72をオンさせると共に、揺動板17の突起17aを押し下げる。この揺動板17は揺動軸16を中心に揺動自在に保持されており、突起17aが押し下げられると揺動板17は後方に揺動して、ロッド15を後方に押すことになる。
【0017】
このロッド15が後方に押されると、上記電磁安全弁の弁体が電磁石に押接され、その状態で親子バーナ8への点火が完了すると、電磁石に保持電流が供給されて弁体が吸着されるように構成されている。従って、点火が完了して操作軸2から手を離すことによって操作軸2が上方に復帰して、揺動板17がロッド15を後方に押し込まなくなっても電磁安全弁は開弁状態を保持し続ける。
【0018】
図4を参照して、カム5の外周面は上記マイクロスイッチ71をオンさせるためのカム面51となっている。このカム5は中空になっており、内周面に2個の凹部52,53と1個の凸部54とが形成されている。
【0019】
一方、
図5に示すように、上下板3には1対の切り起こし状の突起31が形成されており、弾性部品である円形に巻回されたバネ4が突起31に係合している。バネ4を構成する線材の両端は内側に折り曲げられ、爪41が形成されている。この爪41は上記突起31に係合して上下板3に対してバネ4が回らないように構成されている。なお、両爪41を下方に折り曲げると共に、上下板3に突起31ではなく穴を設けておき、その穴に下方に折り曲げられた爪を差し込むことによって回り止めをしてもよい。
【0020】
また、上記凹部52,53に係合するように係合部42を外側に張り出すように形成しているが、上記凹部52,53や凸部54をカム5の天井面に形成した場合には、係合部42は上方に起立するように折り曲げて形成することになる。
【0021】
一方、上下板3は上述のように、操作軸2と共に上下移動するが、下方に移動した際にマイクロスイッチ72をオンにし、かつ突起17aを押し下げなければならない。ところが、マイクロスイッチ72や突起17aに押し下げ力を作用させる作用点34は操作軸2から離れているので、操作軸2に対して上下板3の取り付けにガタが生じていると、上下板3が傾いて作用点34が上方に逃げるため、ロッド15を十分に後方に押し込むことができず、またマイクロスイッチ72をオンにできないという不具合が生じる。そこで、操作軸2に、上下板3がほぼ隙間なく嵌まり、かつ嵌まった状態で操作軸2が回転できる幅寸法の溝22を形成し、他方、上下板3に、操作軸2の軸部21が通過できる大穴部32と直径が溝22の底部の直径に近い小孔部33とを連通させて形成し、操作軸2を大穴部32に通し、その後、小孔部33を溝22に嵌め込むことにより、上下板3を操作軸2に対してガタなく取り付けるようにした。なお、ガスコック1を組み上げると、ブラケット6が上下板3の水平方向の移動を規制するので、溝22が大穴部32側に移動することはない。
【0022】
図6を参照して、上述のように消火状態、すなわち全閉状態から点火を行う場合には、最初に操作軸2を下方に押し込む(a)。そして、その押し込んだままの状態で操作軸2を左方向に回転させる(b)。強火位置(全開位置)まで操作軸2を回動させると、バネ4の係合部42が凹部52に嵌まり込んでクリック感が生じ、かつ、操作軸2を回動するためのトルクが増加するので、操作者はその位置が全開位置であることを知ることができる。そのまま操作軸2を押し込んだ状態である程度の時間保持すると親子バーナ8の点火が完了し、電磁安全弁の弁体が電磁石に吸着される。その状態で手を離せば操作軸2は図示しないバネの付勢力で上方へと戻る。その全開状態から全閉状態までの間(c)で操作軸2を回動すれば親子バーナ8の火力が増減する。
【0023】
次に、子バーナ82だけ燃焼状態にする場合には、全開位置を越えて更に操作軸2を左方向に回動させる。dで示す範囲は両バーナ81,82共に強火状態のまま火力は変化しないが、係合部42が次の凹部53に嵌まることにより操作軸2を一旦停止させることになる。更に操作軸2を左方向に回動させると、親バーナ81のみの火力が絞られるが(e)、このeの範囲では親バーナ81に逆火現象が生じるおそれがあるため、操作軸2をeの範囲内で停止させたくない。そこで、凸部54が設けられている。
【0024】
バネ4の係合部42はdからeに移行する際に凹部53に嵌まっているが、更に左に回動させるためには係合部42が凸部54を越えなければならない。そのため、操作軸2を回動させ続けるのに大きなトルクを必要とする。凸部54の頂点を越えなければ操作軸2は右方向に逆戻りするが、凸部54を越えると急にトルクが小さくなるので一気にfの範囲まで操作軸2を回動してしまうことになる。
【0025】
fの範囲に入った時点では親バーナ81は消火しており、子バーナ82が強火状態で燃焼している。fの範囲内で更に左方向に回動すると、子バーナ82の火力を最小火力まで絞ることができる。この状態から親子バーナ8を消火するには、操作軸2を消火位置まで右方向に回動させればよい。その途中で再び凸部54を乗り越え、更に凹部53に嵌まったときに再び親バーナ81に着火する。そして、凹部53,52に順次嵌まることによってクリック感が生じる。
【0026】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0027】
1 ガスコック
2 操作軸
3 上下板
4 バネ
5 カム
6 ブラケット
8 親子バーナ
15 ロッド
17 揺動板
17a 突起
21 軸部
22 溝
32 大穴部
33 小孔部