特許第5962933号(P5962933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962933
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
   A63F7/02 334
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-252317(P2014-252317)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-112131(P2016-112131A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(74)【代理人】
【識別番号】100167782
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 元治
(72)【発明者】
【氏名】小宮 誉
【審査官】 河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−200382(JP,A)
【文献】 特開2014−184080(JP,A)
【文献】 特開2011−229628(JP,A)
【文献】 特開2007−098027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに近接した状態となることが可能な第一演出部材および第二演出部材を備えた遊技機であって、
互いに近接した状態のまま前記第一演出部材および前記第二演出部材を所定方向に移動させる際、当該方向側に位置する前記第一演出部材を一時的に当該方向に移動させ、その後、両演出部材を当該方向に移動させるように構成され、
前記第二演出部材に近接した状態のまま所定方向に移動する前記第一演出部材は駆動源の制御により所定位置で停止させられる一方、
前記第一演出部材に近接した状態のまま所定方向に移動する前記第二演出部材はストッパ部材により所定位置で停止させられることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
互いに近接した状態のまま前記第一演出部材および前記第二演出部材が所定方向に移動し、所定位置に到達して停止したときにおける前記第一演出部材と前記第二演出部材の相対的な位置関係が、前記第一演出部材と前記第二演出部材の両方が移動を開始する前の状態での相対的な位置関係と同じになるように設定されていることを特徴とする請求項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに近接した状態となることが可能な第一演出部材および第二演出部材を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
それぞれが移動可能である二以上の演出部材(いわゆる役物)を備える遊技機では、演出部材同士が干渉しないようにする必要がある(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−34975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二以上の演出部材同士が近接した状態にあり、これらの演出部材を同時に移動させようとすると、わずかなタイミングのずれ等によって演出部材同士が接触し、破損してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、互いに近接した状態となることが可能な第一演出部材および第二演出部材を備えた遊技機において、演出部材同士の接触の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明にかかる遊技機は、互いに近接した状態となることが可能な第一演出部材および第二演出部材を備えた遊技機であって、互いに近接した状態のまま前記第一演出部材および前記第二演出部材を所定方向に移動させる際、当該方向側に位置する前記第一演出部材を一時的に当該方向に移動させ、その後、両演出部材を当該方向に移動させるように構成され、前記第二演出部材に近接した状態のまま所定方向に移動する前記第一演出部材は駆動源の制御により所定位置で停止させられる一方、前記第一演出部材に近接した状態のまま所定方向に移動する前記第二演出部材はストッパ部材により所定位置で停止させられることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の遊技機において、互いに近接した状態のまま前記第一演出部材および前記第二演出部材が所定方向に移動し、所定位置に到達して停止したときにおける前記第一演出部材と前記第二演出部材の相対的な位置関係が、前記第一演出部材と前記第二演出部材の両方が移動を開始する前の状態での相対的な位置関係と同じになるように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明では、互いに近接した状態のまま第一演出部材および第二演出部材を所定方向に移動させる際、当該方向側に位置する第一演出部材を一時的に当該方向に移動させるため、移動を開始するタイミングのずれ等によって演出部材同士が接触してしまう事態の発生を抑制することが可能である
また、第一演出部材が駆動源の制御によって停止させられる一方、第二演出部材がストッパ部材によって停止させられるようにすれば、停止時に演出部材同士が接触してしまう事態の発生を抑制することが可能である。
【0012】
請求項に記載の発明のように、所定位置に到達して停止したときにおける両演出部材の相対的な位置関係が、移動を開始する前の状態での相対的な位置関係と同じになるように設定されていれば(最初に一時的に移動させた第一演出部材が所定位置で停止した後、第二演出部材を第一演出部材が最初に一時的に移動した分だけ移動させれば)、両演出部材が所定位置に到達して停止したときに生ずる可能性がある違和感を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかる遊技機の正面図であり、演出部材が待機位置に位置した状態を示したものである(発射装置(発射ハンドル)等公知の部材は省略)。
図2】本発明の一実施形態にかかる遊技機の正面図であり、第一演出部材が第一演出位置に位置し、第二演出部材が第二演出位置に位置した状態を示したものである(発射装置(発射ハンドル)等公知の部材は省略)。
図3】ガイド軸に支持された第一演出部材および第二演出部材を示した模式図であって、両演出部材が待機位置に位置した状態を示したものである。
図4】ガイド軸に支持された第一演出部材および第二演出部材を示した模式図であって、両演出部材が待機位置に位置した状態から、第二演出部材が移動せずに第一演出部材が一時的に移動した状態を示したものである。
図5】ガイド軸に支持された第一演出部材および第二演出部材を示した模式図であって、両演出部材が演出位置に位置した状態を示したものである。
図6】ガイド軸に支持された第一演出部材および第二演出部材を示した模式図であって、両演出部材が演出位置に位置した状態から互いに離れる方向に移動した状態を示したものである。
図7】ガイド軸に支持された第一演出部材および第二演出部材を示した模式図であって、第二演出部材が移動せずに第一演出部材が一時的に移動した後、両演出部材が等距離移動し、第一演出部材が第一演出位置に位置した状態(第二演出部材は第二演出位置に到達していない状態)を示したものである。
図8】ガイド軸に支持された第一演出部材および第二演出部材を示した模式図であって、図7に示した状態から第一演出部材が第一演出位置に位置した状態のまま第二演出部材が移動し第二演出位置に位置した状態を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技領域902に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技領域902に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、左右方向(幅方向)とは図1の左右方向を、上下方向とは図1の上下方向をいうものとする。
【0016】
まず、図1および図2を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0017】
遊技領域902には、表示装置91、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置91の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置91の表示画面は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能である。
【0018】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0019】
このような遊技機1では、発射装置(図示省略)を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904、905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法や演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。なお、本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるぱちんこ遊技機であるが、スロットマシン等、他の種類の遊技機であってもよい。
【0020】
本実施形態にかかる遊技機1は、第一演出部材10および第二演出部材20を備える。本実施形態では、両演出部材とも幅方向に細長い形状を有し、それぞれの前面には演出効果を発現する装飾部が設けられている(第一演出部材10の前方には第一装飾部11が設けられている。第二演出部材20の前方には第二装飾部21が設けられている)。これら装飾部の装飾態様はどのようなものであってもよい。
【0021】
両演出部材は、表示装置91の表示領域の上方に位置する待機位置から下方に移動することが可能である。具体的には、第一演出部材10は、待機位置と終端位置との間を往復動作可能であり、第二演出部材20は待機位置と第二演出位置との間を往復動作可能である。また、第一演出部材10の待機位置と終端位置との間の所定位置が第一演出位置として設定されている。つまり、終端位置は、第一演出位置よりもさらに下方の位置である。詳細を後述するように、第一演出部材10が第一演出位置に位置し、第二演出部材20が第二演出位置に位置することにより、両演出部材が近接し(接触または小さな隙間を隔てて並び)、両演出部材が組み合わされたかのような一体的な演出形態が、表示装置91の表示領域の前方で(遊技盤90の開口901内で)構築される(図2参照)。
【0022】
このように第一演出部材10および第二演出部材20を移動させることができるものであれば、その駆動機構はどのようなものであってもよい。本実施形態では、両演出部材の幅方向両側に、上下方向に沿って設けられたガイド軸30に対し、両演出部材がスライド自在に接続されている。第一駆動源101(本実施形態ではモータ)からの動力が、図示されない動力伝達機構(歯車等)を介して第一演出部材10に伝達されることにより、第一演出部材10はガイド軸30に沿って上下方向にスライドする。ガイド軸30等の駆動機構を構成する各種部材は、遊技盤90の後方に設けられ、当該遊技盤90に覆われた状態にある。また、第二駆動源201(本実施形態ではモータ)からの動力が、図示されない動力伝達機構(歯車等)を介して第二演出部材20に伝達されることにより、第二演出部材20もガイド軸30に沿って上下方向にスライドする(第一駆動源101および第二駆動源201は、図3においてのみ模式的に図示する)。所定の方向(本実施形態では上下方向)に演出部材をスライド自在に支持するものであれば、ガイド軸30の構成や、それに対する演出部材の接続構造はどのようなものであってもよい。
【0023】
第二演出部材20は、ガイド軸30に支持された箇所よりも外側の部分が第一演出部材10よりも長く設定されている(図3等参照)。具体的には、第二演出部材20には、その移動方向(本実施形態では上下方向)に直交する方向(本実施形態では幅方向)において、第一演出部材10よりも外側に突出した突出部22が設けられている。本実施形態では、かかる突出部22は、第二演出部材20の幅方向一方側にのみ設けられているが、幅方向両方に設けられていてもよい。
【0024】
本実施形態では、ガイド軸30の外側(演出部材の移動方向と直交する方向における外側(本実施形態では幅方向外側))にストッパ部材40が設けられている(図3等参照)。ストッパ部材40は、ストッパ固定軸41に固定されている。ストッパ固定軸41およびそれに固定されたストッパ部材40は、遊技盤90の後方に設けられ、当該遊技盤90に覆われた状態にある。ストッパ固定軸41は、ガイド軸30に沿う、すなわち上下方向に沿う軸であり、ガイド軸30よりも幅方向外側に設けられている。かかるストッパ固定軸41における所定位置にストッパ部材40が動かないように固定されている。
【0025】
ストッパ部材40は、第二演出部材20の突出部22に接触可能な位置に位置する。具体的には、ストッパ部材40の少なくとも一部と、第二演出部材20の突出部22の少なくとも一部は、上下方向において重なる。したがって、第二演出部材20は、ストッパ部材40が設けられた位置よりも下方に移動することができない。当該ストッパ部材40に接触して停止する位置が、第二演出位置である。
【0026】
また、第二演出部材20の突出部22は、ストッパ固定軸41に対してスライド自在に接続されている。つまり、第二演出部材20は、ガイド軸30だけでなく、ストッパ固定軸41にも支持されている。よって、スライド動作が安定したものとなる。
【0027】
このように構成される第一演出部材10および第二演出部材20が、演出位置において一体的な演出形態を構築する演出を実行する際の動作制御(図示されない遊技機1の制御手段による両演出部材の制御)について説明する。
【0028】
待機位置に位置している両演出部材(図3参照)を演出位置に移動させる、すなわち下方に移動させる際には、まず下側に位置している第一演出部材10の駆動源(第一駆動源101)であるモータを一時的に駆動させる。つまり、第二演出部材20を移動させずに第一演出部材10を一時的に下方に移動させる(図4参照)。このように、第二演出部材20を移動させずに第一演出部材10を一時的に移動させた分、第一演出部材10と第二演出部材20の間の隙間はわずかに広がる。第一演出部材10の移動量は適宜設定することが可能である。好ましくは、隙間が広がったことを遊技者が明確に判別できない程度にするとよい。また、以下で説明する次のステップ(両演出部材を移動させるステップ)に進むかどうかの判断手法はどのようなものであってもよい。本実施形態では、所定時間第一駆動源101を駆動させた後、次のステップに進むように構成されている。センサ等によって第一演出部材10が所定距離進んだことが検出されたとき、次のステップに進むように構成されていてもよい。
【0029】
第二演出部材20を移動させずに第一演出部材10を一時的に移動させた後、第一駆動源101だけでなく、第二駆動源201を駆動する。つまり、両演出部材を下方に移動させる。本実施形態では両演出部材の移動速度は略同じに設定される。したがって、一時的に第一演出部材10が移動した状態での両演出部材の相対位置関係(両演出部材間の隙間)が維持されたまま、両演出部材が下方(演出位置)に向かって移動することとなる(図5参照)。
【0030】
待機位置からそのまま両演出部材が同時に移動を開始するよう制御すると、移動開始のタイミングのずれ等が生じてしまった場合(具体的には、第二演出部材20の移動開始タイミングが若干早くなってしまった場合)には、演出部材同士が接触してしまうおそれがある。これに対し、本実施形態では、互いに近接した状態にある第一演出部材10および第二演出部材20を下方に移動させる際、下側に位置する第一演出部材10を一時的に当該方向に移動させるため、移動を開始するタイミングのずれ等によって演出部材同士が接触してしまう事態の発生を抑制することが可能である。
【0031】
このようにして両演出部材は待機位置から下方に移動して演出位置(所定位置)に到達する。本実施形態では、第一演出部材10が第一演出位置に到達したとき、第一駆動源101が停止する。つまり、第一演出部材10は、駆動源の制御により第一演出位置で停止させられる。第一演出部材10が第一演出位置に到達したことを検出するセンサ50が設けられており、制御手段は、当該センサ50から信号を受けたときに第一駆動源101を停止させる。
【0032】
一方、第二演出部材20が第二演出位置に到達したとき、第二演出部材20の突出部22がストッパ部材40に接触し、それ以上下方に移動できなくなる。つまり、第二演出部材20は、ストッパ部材40によって物理的(機械的)に停止させられる。
【0033】
このように、本実施形態では、先(同時含む)に演出位置(第一演出位置)に到達する第一演出部材10は、駆動源の制御によって第一演出位置で停止させられる。その後(同時含む)に演出位置(第二演出位置)に到達する第二演出部材20は、ストッパ部材40によって物理的に第二演出位置で停止させられる。つまり、第一演出部材10に近づく第二演出部材20が種々の要因(製造誤差、部品の劣化等)で第一演出部材10に衝突してしまうことがあっても、先(同時含む)に第一演出位置に到達する第一演出部材10は、物理的に停止させられた状態にあるのではなく、動力の遮断によって停止させられた状態にあるため、衝撃を逃がす方向に移動することが可能である。したがって、第一演出部材10と第二演出部材20の衝突が発生したときの衝撃を小さく抑えることが可能である。また、例えば、第二演出部材20を、第一演出部材10と同様に駆動源の制御によって停止させられる構造とすれば、第二演出位置に向かって移動してきた第二演出部材20の慣性によって第一演出部材10に衝突してしまうおそれが高まることとなるが、第二演出部材20はストッパ部材40によって物理的に停止させられるため、当該衝突が発生してしまうおそれが低い。つまり、衝突自体が発生してしまうおそれを低減することが可能である。
【0034】
上述したように、第一演出部材10は、ストッパ部材40に接触することがないから、ストッパ部材40が設けられた位置よりも下方(終端位置に向かって)に移動することができる。本実施形態では、両演出部材を用いた演出の少なくとも一態様として、両演出部材が演出位置に到達した後、互いに離れる方向に移動する態様(両演出部材が第一演出位置や第二演出位置とは異なる別の演出位置に向かう態様)が設定されている。
【0035】
具体的には、両演出部材が演出位置に到達して一時的に停止した後、第一演出部材10は下方に、第二演出部材20は上方に移動する(図6参照)。本実施形態では、第一演出部材10が表示装置の表示領域の下側縁に沿うように位置し(終端位置に位置し)、第二演出部材20が表示領域の上側縁に沿うように位置する。上述したように、第一演出部材10は第一駆動源101の制御によって演出位置で停止させられるものであるため、演出位置からさらに下方に移動することができる。表示装置の表示領域における第一演出部材10と第二演出部材20の間に、所定の演出画像が表示されるようにしてもよい。
【0036】
このように、演出位置に到達して停止した後、両演出部材が互いに離れる方向に移動する演出態様とすれば、最初に一時的に第一演出部材10を移動させたことによって、両演出部材間の隙間が若干広がるとしても、演出位置に到達した後、両演出部材が互いに離れる方向に移動するため、隙間が若干広がったことによって違和感が生じてしまうのを抑制することが可能である。両演出部材が演出位置で停止している時間を短くすればするほど、演出位置における両演出部材の位置関係を遊技者が十分に認識することができなくなくなるから、当該効果に優れる。
【0037】
ここで、両演出部材の演出位置は、次のように設定することが可能である。上述したように、待機位置に位置する両演出部材を演出位置に向けて移動させる際には、第一演出部材10を先に一時的に移動させることとなるが、演出位置においても両演出部材の相対的な位置関係がそのまま維持されるような制御を実行してもよいし、待機位置における相対的な位置関係に戻すような制御を実行してもよい。
【0038】
演出位置においても両演出部材の相対的な位置関係がそのまま維持されるように設定する場合(図5に示した状態を両演出部材の演出位置として設定する場合)には、第一演出部材10を先に一時的に移動させた後の、第一演出部材10が第一演出位置まで移動する距離と第二演出部材20が第二演出位置まで移動する距離が等しくなるよう制御する。つまり、このような位置で第一演出部材10が停止するよう第一駆動源101を制御するとともに、第二演出部材20を停止させるストッパ部材40を設ける。
【0039】
演出位置における両演出部材の相対的な位置関係を待機位置と同じにする場合には、第一演出部材10を先に一時的に移動させた後の、第一演出部材10が第一演出位置まで移動する距離よりも、第二演出部材20が第二演出位置に移動する距離の方が、最初に第一演出部材10を一時的に移動させた分だけ長くなるよう制御する。第二演出部材20を移動させる前の第一演出部材10の移動距離がD(図4参照)であれば、第一演出部材10が第一演出位置に到達した後(図7参照)、そこから第一演出部材10が停止したまま第二演出部材20が距離D移動し、第二演出位置に到達するよう制御する(図8参照)。両演出部材が等速度で移動する場合において、第二演出部材20を移動させる前の第一演出部材10の移動時間がTであれば、第一演出部材10が第一演出位置に到達した後(図7参照)、そこから第一演出部材10が停止したまま第二演出部材20が時間T移動し、第二演出位置に到達するよう制御する(図8参照)。
【0040】
このように制御することにより、演出位置に到達して停止したときにおける両演出部材の相対的な位置関係が、移動を開始する前の状態である待機位置での相対的な位置関係と同じになるため、両演出部材が演出位置に到達して停止したときに生じる可能性がある違和感を低減することが可能である。
【0041】
なお、かかる制御態様は、両演出部材が演出位置に到達して一時的に停止した後、互いに離れる方向に移動する演出が実行される際にも適用することが可能である。短い時間であったとしても両演出部材は演出位置で停止するのであるから、当該演出位置で停止した際に生じる可能性がある違和感を低減することが可能である。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、第一演出部材10および第二演出部材20は上下方向に移動するものであることを説明したが、その他の方向、例えば、幅方向(左右方向)や前後方向に移動するものであっても同様の技術思想が適用可能である
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
手段1にかかる遊技機は、互いに近接した状態となることが可能な第一演出部材および第二演出部材を備えた遊技機であって、互いに近接した状態のまま前記第一演出部材および前記第二演出部材を所定方向に移動させる際、当該方向側に位置する前記第一演出部材を一時的に当該方向に移動させ、その後、両演出部材を当該方向に移動させることを特徴とする。
手段2にかかる遊技機は、手段1に記載の遊技機において、互いに近接した状態のまま前記第一演出部材および前記第二演出部材が所定方向に移動し、所定位置に到達して停止した後、両演出部材は、互いに離れる方向に移動することを特徴とする。
手段3にかかる遊技機は、手段1または手段2に記載の遊技機において、互いに近接した状態のまま前記第一演出部材および前記第二演出部材が所定方向に移動し、所定位置に到達して停止したときにおける前記第一演出部材と前記第二演出部材の相対的な位置関係が、前記第一演出部材と前記第二演出部材の両方が移動を開始する前の状態での相対的な位置関係と同じになるように設定されていることを特徴とする。
手段4にかかる遊技機は、手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機において、前記第二演出部材に近接した状態のまま所定方向に移動する前記第一演出部材は駆動源の制御により所定位置で停止させられる一方、前記第一演出部材に近接した状態のまま所定方向に移動する前記第二演出部材はストッパ部材により所定位置で停止させられることを特徴とする。
手段1にかかる遊技機では、互いに近接した状態のまま第一演出部材および第二演出部材を所定方向に移動させる際、当該方向側に位置する第一演出部材を一時的に当該方向に移動させるため、移動を開始するタイミングのずれ等によって演出部材同士が接触してしまう事態の発生を抑制することが可能である。
手段2にかかる遊技機のように、所定位置に到達して停止した後、両演出部材が互いに離れる方向に移動するように構成すれば、最初に一時的に第一演出部材を移動させたことによって、両演出部材間の隙間が若干広がるとしても、その後両演出部材が互いに離れる方向に移動するため、隙間が若干広がったことによって違和感が生じてしまうのを抑制することが可能である。
手段3にかかる遊技機のように、所定位置に到達して停止したときにおける両演出部材の相対的な位置関係が、移動を開始する前の状態での相対的な位置関係と同じになるように設定されていれば(最初に一時的に移動させた第一演出部材が所定位置で停止した後、第二演出部材を第一演出部材が最初に一時的に移動した分だけ移動させれば)、両演出部材が所定位置に到達して停止したときに生ずる可能性がある違和感を低減することが可能である。
手段4にかかる遊技機のように、第一演出部材が駆動源の制御によって停止させられる一方、第二演出部材がストッパ部材によって停止させられるようにすれば、停止時に演出部材同士が接触してしまう事態の発生を抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 遊技機
10 第一演出部材
101 第一駆動源
20 第二演出部材
201 第二駆動源
30 ガイド軸
40 ストッパ部材
41 ストッパ固定軸
50 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8