特許第5962971号(P5962971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5962971-給水加温システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962971
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】給水加温システム
(51)【国際特許分類】
   F22D 1/18 20060101AFI20160721BHJP
   F22D 1/12 20060101ALI20160721BHJP
   F24H 4/02 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   F22D1/18
   F22D1/12
   F24H4/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-107192(P2012-107192)
(22)【出願日】2012年5月9日
(65)【公開番号】特開2013-234791(P2013-234791A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 立樹
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和之
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−025431(JP,A)
【文献】 特開2001−041574(JP,A)
【文献】 特開2008−096064(JP,A)
【文献】 特開2010−164223(JP,A)
【文献】 特開平02−122152(JP,A)
【文献】 特開2009−236379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 1/18
F22D 1/12
F24H 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力を変更可能なヒートポンプと、
このヒートポンプの凝縮器を介して給水路により給水可能であると共に、前記凝縮器を介さずに補給水路により給水可能な給水タンクと、
この給水タンクから給水されるボイラとを備え、
前記ボイラの運転状態に基づき、前記給水路を介した前記給水タンクへの給水と、前記ヒートポンプの出力を制御する給水加温システムであって、
前記ヒートポンプは、少なくとも高負荷運転、低負荷運転および停止の三位置で制御され、
前記ボイラは、少なくとも高燃焼状態、低燃焼状態および停止の三位置で制御され、
前記ボイラが高燃焼状態の場合、前記ヒートポンプを高負荷運転し、
前記ボイラが低燃焼状態の場合、前記ヒートポンプを低負荷運転し、
前記ボイラが停止の場合、前記ヒートポンプを停止する
ことを特徴とする給水加温システム。
【請求項2】
前記ボイラは、段階的に燃焼量を調整されることに代えて、連続的に燃焼量を調整される比例制御ボイラであり、
前記ボイラの燃焼量に応じた蒸発量をまかなうように、前記ヒートポンプの出力を比例制御しつつ、前記給水路を介して前記給水タンクへ給水する
ことを特徴とする請求項1に記載の給水加温システム。
【請求項3】
出力を変更可能なヒートポンプと、
このヒートポンプの凝縮器を介して給水路により給水可能であると共に、前記凝縮器を介さずに補給水路により給水可能な給水タンクと、
この給水タンクから給水されるボイラとを備え、
記給水タンクから前記ボイラへの給水状態に基づき、前記給水路を介した前記給水タンクへの給水と、前記ヒートポンプの出力を制御する給水加温システムであって、
前記給水タンクから前記ボイラへの給水ポンプの運転状態、または、前記給水タンクから前記ボイラへの給水流量に基づき、前記ヒートポンプの出力を制御する
ことを特徴とする給水加温システム。
【請求項4】
前記ヒートポンプおよび前記ボイラを複数台備え、
前記ボイラの運転台数と各ボイラの燃焼量の増減に伴い、前記ヒートポンプの運転台数と各ヒートポンプの出力を増減する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システム。
【請求項5】
前記給水タンクの水位が設定を下回ると、前記補給水路を介しても前記給水タンクへ給水する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の給水加温システム。
【請求項6】
前記給水路を介した前記給水タンクへの給水中、前記ヒートポンプの凝縮器の出口側水温を設定温度に維持するように、前記凝縮器への通水量を調整する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の給水加温システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを用いた給水加温システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、ボイラ(24)の給水タンク(23)への給水を、ヒートポンプ(12)を用いて加温できるシステムが知られている。このシステムでは、給水タンク(23)は、給水源(21)から給水路を介して給水可能であると共に、給水路から分岐してヒートポンプ給湯器(12)を介しても給水可能である。そして、給水タンク(23)は、第1水位(52L)を下回ると、ヒートポンプ給湯機(12)からの給水が開始され、第1水位より高水位の第2水位(52H)を上回ると、ヒートポンプ給湯機(12)からの給水が停止される。また、第1水位より低水位の第3水位(32L)を下回ると、給水源(21)からの給水が開始され、第3水位より高水位であるが第1水位より低水位の第4水位(32H)を上回ると、給水源(21)からの給水が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−25431号公報(請求項4、図2−3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の発明では、給水タンク内の水位に応じて、ヒートポンプ経由で給水するか、それに加えて直接にも給水するか、あるいはすべての給水を停止するかが切り替えられる。
【0005】
しかしながら、ヒートポンプ経由で給水する場合、ヒートポンプの出力は一定であり、給水タンク内の貯留水の使用負荷に応じて、給水タンクへの給水を迅速に効率よく行うことができない。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ヒートポンプを用いた給水加温システムにおいて、給水タンク内の貯留水の使用負荷に応じて、給水タンクへの給水を迅速に効率よく行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、出力を変更可能なヒートポンプと、このヒートポンプの凝縮器を介して給水路により給水可能であると共に、前記凝縮器を介さずに補給水路により給水可能な給水タンクと、この給水タンクから給水されるボイラとを備え、前記ボイラの運転状態に基づき、前記給水路を介した前記給水タンクへの給水と、前記ヒートポンプの出力を制御する給水加温システムであって、前記ヒートポンプは、少なくとも高負荷運転、低負荷運転および停止の三位置で制御され、前記ボイラは、少なくとも高燃焼状態、低燃焼状態および停止の三位置で制御され、前記ボイラが高燃焼状態の場合、前記ヒートポンプを高負荷運転し、前記ボイラが低燃焼状態の場合、前記ヒートポンプを低負荷運転し、前記ボイラが停止の場合、前記ヒートポンプを停止することを特徴とする給水加温システムである。
【0008】
請求項1および後述の請求項3に記載の発明によれば、ボイラの運転状態またはボイラへの給水状態に基づき、給水路を介した給水タンクへの給水と、ヒートポンプの出力を制御することで、ボイラの負荷に応じた給水タンクへの給水が迅速に行える。
また、請求項1に記載の発明によれば、ボイラの蒸発量に対応した給水量を、ヒートポンプで加温しつつ給水路を介して給水タンクへ供給することができる。しかも、ボイラの燃焼状態とヒートポンプの作動状態とが対応するので、簡易な制御で実現することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記ボイラは、段階的に燃焼量を調整されることに代えて、連続的に燃焼量を調整される比例制御ボイラであり、前記ボイラの燃焼量に応じた蒸発量をまかなうように、前記ヒートポンプの出力を比例制御しつつ、前記給水路を介して前記給水タンクへ給水することを特徴とする請求項1に記載の給水加温システムである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、出力を変更可能なヒートポンプと、このヒートポンプの凝縮器を介して給水路により給水可能であると共に、前記凝縮器を介さずに補給水路により給水可能な給水タンクと、この給水タンクから給水されるボイラとを備え、前記給水タンクから前記ボイラへの給水状態に基づき、前記給水路を介した前記給水タンクへの給水と、前記ヒートポンプの出力を制御する給水加温システムであって、前記給水タンクから前記ボイラへの給水ポンプの運転状態、または、前記給水タンクから前記ボイラへの給水流量に基づき、前記ヒートポンプの出力を制御することを特徴とする給水加温システムである。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、ボイラの蒸発量に対応した給水量を、ヒートポンプで加温しつつ給水路を介して給水タンクへ供給することができる。しかも、ボイラが要求する給水状態とヒートポンプの作動状態とが対応するので、簡易な制御で実現することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記ヒートポンプおよび前記ボイラを複数台備え、前記ボイラの運転台数と各ボイラの燃焼量の増減に伴い、前記ヒートポンプの運転台数と各ヒートポンプの出力を増減することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システムである。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、ヒートポンプやボイラが複数台であっても、ボイラの運転台数と各ボイラの燃焼量の増減に伴い、ヒートポンプの運転台数と各ヒートポンプの出力を増減することで、ボイラの蒸発量に対応した給水量を、ヒートポンプで加温しつつ給水路を介して給水タンクへ供給することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記給水タンクの水位が設定を下回ると、前記補給水路を介しても前記給水タンクへ給水することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の給水加温システムである。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、万一、給水路経由の給水だけでは給水タンク内の水位を所望に維持できない場合には、補給水路を介しても給水タンクに給水することができる。
さらに、請求項6に記載の発明によれば、前記給水路を介した前記給水タンクへの給水中、前記ヒートポンプの凝縮器の出口側水温を設定温度に維持するように、前記凝縮器への通水量を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の給水加温システムである。
請求項6に記載の発明によれば、給水路を介した給水タンクへの給水中、ヒートポンプの凝縮器の出口側水温を設定温度に維持するように、凝縮器への通水量を調整することで、給水路経由の給水温度を所望に維持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ヒートポンプを用いた給水加温システムにおいて、給水タンク内の貯留水の使用負荷に応じて、給水タンクへの給水を迅速に効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の給水加温システムの一実施例を示す概略図である。
図2図1の給水加温システムの制御方法の一例を示す図である。
図3図1の給水加温システムの制御方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の給水加温システム1の一実施例を示す概略図である。
【0022】
本実施例の給水加温システム1は、ボイラ2の給水タンク3への給水をヒートポンプ4で加温できるシステムであり、ボイラ2への給水を貯留する給水タンク3と、この給水タンク3への給水を貯留する補給水タンク5と、この補給水タンク5から給水タンク3への給水を加温するヒートポンプ4と、このヒートポンプ4の熱源としての熱源水(たとえば廃温水)を貯留する熱源水タンク6とを備える。
【0023】
ボイラ2は、蒸気ボイラであり、給水タンク3からの給水を加熱して蒸気にする。ボイラ2からの蒸気は、各種の蒸気使用設備(図示省略)へ送られるが、蒸気使用設備からのドレン(蒸気の凝縮水)を給水タンク3へ戻してもよい。
【0024】
ボイラ2は、典型的には、蒸気の圧力を所望に維持するように、燃焼量が制御される。ここでは、高燃焼状態(100%燃焼)、低燃焼状態(50%燃焼)および停止の三位置で制御される。この制御は、ボイラ制御器(図示省略)が、蒸気使用設備への蒸気の圧力に基づき蒸気の使用負荷を把握して、ボイラ2のバーナの燃焼量を調整することで行われる。
【0025】
ボイラ2は、缶体内の水位を所望に維持するように、ボイラ2への給水が制御される。具体的には、給水タンク3からボイラ2への給水路に設けたポンプ7が、ボイラ制御器により缶体内の水位に基づき制御される。
【0026】
給水タンク3は、補給水タンク5から、ヒートポンプ4を介して給水路8により給水可能であると共に、ヒートポンプ4を介さずに補給水路9により給水可能である。給水路8に設けた給水ポンプ10と、補給水路9に設けた補給水ポンプ11との作動を制御することで、給水路8と補給水路9との内、いずれか一方または双方を介して、補給水タンク5から給水タンク3へ給水可能である。給水路8には、給水ポンプ10より下流に、廃熱回収熱交換器12とヒートポンプ4とが順に設けられている。
【0027】
給水ポンプ10は、本実施例では、インバータにより回転数を制御可能とされる。給水ポンプ10の回転数を変更することで、給水路8を介した給水タンク3への給水量を調整することができる。一方、補給水ポンプ11は、本実施例では、オンオフ制御される。
【0028】
補給水タンク5は、給水タンク3への給水を貯留する。補給水タンク5への給水として、本実施例では軟水が用いられる。すなわち、軟水器(図示省略)にて水中の硬度分を除去された軟水は、補給水タンク5に供給され貯留される。補給水タンク5の水位に基づき軟水器からの給水を制御することで、補給水タンク5の水位は所望に維持される。
【0029】
ヒートポンプ4は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、圧縮機13、凝縮器14、膨張弁15および蒸発器16が順次環状に接続されて構成される。そして、圧縮機13は、ガス冷媒を圧縮して高温高圧にする。また、凝縮器14は、圧縮機13からのガス冷媒を凝縮液化する。さらに、膨張弁15は、凝縮器14からの液冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器16は、膨張弁15からの冷媒の蒸発を図る。
【0030】
従って、ヒートポンプ4は、蒸発器16において、冷媒が外部から熱を奪って気化する一方、凝縮器14において、冷媒が外部へ放熱して凝縮することになる。これを利用して、本実施例では、ヒートポンプ4は、蒸発器16において、熱源としての熱源水から熱をくみ上げ、凝縮器14において、給水路8の水を加温する。
【0031】
ヒートポンプ4は、凝縮器14と膨張弁15との間に、所望により過冷却器17を設けてもよい。過冷却器17は、凝縮器14から膨張弁15への冷媒と、凝縮器14への給水との間接熱交換器である。過冷却器17により、凝縮器14への給水で、凝縮器14から膨張弁15への冷媒を過冷却することができると共に、凝縮器14から膨張弁15への冷媒で、凝縮器14への給水を加温することができる。ヒートポンプ4の冷媒は、凝縮器14において潜熱を放出し、過冷却器17において顕熱を放出する。
【0032】
その他、ヒートポンプ4には、圧縮機13の入口側にアキュムレータを設置したり、圧縮機13の出口側に油分離器を設置したり、凝縮器14の出口側(凝縮器14と過冷却器17との間)に受液器を設置したりしてもよい。
【0033】
ところで、ヒートポンプ4は、その出力(圧縮機13の容量)を段階的に変更可能とされている。本実施例では、圧縮機13のモータの回転数をインバータで変更することで、ヒートポンプ4は、低負荷運転とこれより高出力の高負荷運転とを切り替え可能とされている。たとえば、高負荷運転では全負荷運転(100%出力)され、低負荷運転では高負荷運転よりも低負荷運転(たとえば50%出力)される。
【0034】
熱源水タンク6は、ヒートポンプ4の熱源としての熱源水を貯留する。熱源水とは、たとえば廃温水(工場などから排出される温水)である。なお、熱源水タンク6には、熱源水の供給路18が設けられると共に、所定以上の水をあふれさせるオーバーフロー路19が設けられている。
【0035】
熱源水タンク6の水は、熱源供給路20を介して、ヒートポンプ4の蒸発器16を通された後、廃熱回収熱交換器12を通される。熱源供給路20には、蒸発器16より上流側に熱源供給ポンプ21が設けられており、この熱源供給ポンプ21を作動させることで、熱源水タンク6からの熱源水を、蒸発器16と廃熱回収熱交換器12とに順に通すことができる。
【0036】
なお、廃熱回収熱交換器12は、補給水タンク5から過冷却器17への給水と、蒸発器16からの熱源水との間接熱交換器である。本実施例の場合、補給水タンク5から給水路8を介した給水タンク3への給水は、補給水タンク5から、廃熱回収熱交換器12、過冷却器17および凝縮器14を順に通された後、給水タンク3へ供給される。
【0037】
給水路8には、凝縮器14の出口側に、水温センサ22が設けられる。この水温センサ22は、凝縮器14を通過後の水温を検出する。水温センサ22の検出温度に基づき、給水ポンプ10が制御される。ここでは、給水ポンプ10は、水温センサ22の検出温度を設定温度T1(たとえば75℃)に維持するようにインバータ制御される。つまり、給水路8を介した給水タンク3への給水は、水温センサ22の検出温度を設定温度T1に維持するように、流量が調整される。但し、場合により、このような水温センサ22による流量調整制御を省略することもできる。
【0038】
給水タンク3には、設定以上水位が下がったことを検知する水位検出器23が設けられている。水位検出器23の構成は特に問わないが、本実施例では電極式水位検出器とされる。つまり、給水タンク3には、低水位検出電極棒24が差し込まれており、給水タンク3内の水位が設定を下回っていないかを監視する。
【0039】
熱源水タンク6には、設定以上水位が下がったことを検知する水位検出器25が設けられている。水位検出器25の構成は特に問わないが、本実施例では電極式水位検出器とされる。つまり、熱源水タンク6には、低水位検出電極棒26が差し込まれており、熱源水タンク6内の水位が設定を下回っていないかを監視する。
【0040】
次に、本実施例の給水加温システム1の制御(運転方法)について説明する。以下に説明する一連の制御は、図示しない制御器を用いて自動でなされる。
【0041】
図2は、本実施例の給水加温システム1の制御方法の一例を示す図である。本実施例では、ボイラ2の運転状態に基づき、給水路8を介した給水タンク3への給水と、ヒートポンプ4の出力が制御される。すなわち、ボイラ制御器のボイラ運転信号に基づき、給水ポンプ10と、ヒートポンプ4(特にその圧縮機13)が制御される。
【0042】
前述したように、本実施例では、ボイラ2は、蒸気使用設備における蒸気の使用負荷に応じて、高燃焼状態(100%燃焼)、低燃焼状態(たとえば50%燃焼)および停止の三位置で燃料量が調整される。また、ヒートポンプ4は、その圧縮機13の作動の有無により運転と停止が切り替えられ、高負荷運転(全負荷運転=100%出力)、低負荷運転(たとえば50%出力)および停止(0%出力)の三位置で制御される。
【0043】
一方、給水ポンプ10は、ヒートポンプ4の作動に連動し、ヒートポンプ4の作動中は給水ポンプ10も作動し、ヒートポンプ4の停止中は給水ポンプ10も停止する。但し、厳密には、ヒートポンプ4の圧縮機13の始動時、給水ポンプ10を先に作動させている。また、前述したように、給水ポンプ10は、作動中、水温センサ22の検出温度を所望に維持するように、回転数をインバータ制御される。その結果、ヒートポンプ4の高負荷運転時は低負荷運転時よりも多い流量で、給水路8を介して給水タンク3へ給水可能となる。
【0044】
本実施例では、1台のボイラ2の蒸発量に対応する給水量を、1台のヒートポンプ4経由の給水でまかなうことができる。具体的には、ボイラ2の高燃焼状態における蒸発量に対応する給水量は、ヒートポンプ4を高負荷運転しつつ給水路8を介して給水することでまかなうことができ、ボイラ2の低燃焼状態における蒸発量に対応する給水量は、ヒートポンプ4を低負荷運転しつつ給水路8を介して給水することでまかなうことができる。
【0045】
従って、本実施例では、図2に示すように、ボイラ2が停止している場合には、それに応じてヒートポンプ4も停止して、給水路8を介しての給水タンク3への給水を停止すればよい。また、ボイラ2が低燃焼状態の場合には、それに応じてヒートポンプ4を低負荷運転しつつ、給水路8を介して給水タンク3へ給水すればよい。さらに、ボイラ2が高燃焼状態の場合には、それに応じてヒートポンプ4を高負荷運転しつつ、給水路8を介して給水タンク3へ給水すればよい。
【0046】
このようにして、ボイラ2の蒸発量に対応して給水タンク3からボイラ2へ供給される給水量をまかなうように、ボイラ2の運転信号(ボイラ制御器の高燃焼、低燃焼または停止の信号)に基づきヒートポンプ4を制御しつつ、補給水タンク5からヒートポンプ4を介して給水路8により給水タンク3へ給水することができる。
【0047】
ヒートポンプ4を運転して、補給水タンク5から給水路8を介して給水タンク3へ給水する際、補給水タンク5からの給水は、廃熱回収熱交換器12、過冷却器17および凝縮器14により徐々に加温されて、所定温度で給水タンク3へ供給される。給水タンク3とヒートポンプ4との間で水を循環させる場合と比較して、補給水タンク5から給水タンク3への一回の通過(ワンススルー)で給水を加温するので、ヒートポンプ4を通過する前後の給水の温度差を確保して、ヒートポンプ4の成績係数(COP)の向上を図ることができる。さらに、ヒートポンプ4と廃熱回収熱交換器12とにより、給水加温システム1のシステム効率の向上を図ることができる。
【0048】
ところで、万一、給水タンク3内の水位が下限水位を下回ると、補給水ポンプ11を作動させるのがよい。具体的には、給水タンク3内の水位が下がり、低水位検出電極棒24が水位を検知しなくなると、所定水位に戻るまで、または所定時間経過するまで、補給水ポンプ11を作動させて、給水タンク3内の水位の回復を図るのが好ましい。
【0049】
また、万一、熱源水タンク6内の水位が下限水位を下回ると、ヒートポンプ4を停止すると共に、熱源供給ポンプ21を停止するのがよい。具体的には、熱源水タンク6内の水位が下がり、低水位検出電極棒26が水位を検知しなくなると、ヒートポンプ4の運転を停止すると共に、熱源供給ポンプ21を停止して蒸発器16への熱源水の供給を停止するのがよい。
【0050】
さらに、ヒートポンプ4の運転中、つまり給水路8を介した給水タンク3への給水中、熱源水タンク6内の水温を熱源温度センサ(図示省略)で監視して、その温度に基づきヒートポンプ4の出力を調整(補正)してもよい。つまり、ヒートポンプ4の出力%を熱源温度センサの検出温度に応じて変更してもよい。ヒートポンプ4の熱源としての熱源水の温度が高温なほど、ヒートポンプ4の運転時の出力%を下げることができる。熱源水の温度を考慮してヒートポンプ4の運転時の出力を調整することで、熱源水の温度変化に拘わらず、給水路8を介した給水タンク3への給水流量を安定させることができる。
【0051】
図3は、本実施例の給水加温システム1の制御方法の変形例を示す図である。前記実施例では、ボイラ2およびヒートポンプ4はそれぞれ1台としたが、ボイラ2およびヒートポンプ4の内、一方または双方を複数台としてもよい。ボイラ2が複数台の場合、給水タンク3からの給水が各ボイラ2に分配され、ヒートポンプ4が複数台の場合、補給水タンク5と給水タンク3との間に給水路8が並列に設置され、その各給水路8の中途にそれぞれ別のヒートポンプ4の凝縮器14などが配置される。
【0052】
この場合、ボイラ2の運転台数と各ボイラ2の燃焼量の増減に伴い、ヒートポンプ4の運転台数と各ヒートポンプ4の出力を増減すればよい。たとえば、すべてのボイラ2が停止している場合、それに応じてすべてのヒートポンプ4も停止して、給水路8を介しての給水タンク3への給水を停止すればよい。また、1台のボイラ2が低燃焼状態の場合、それに応じて1台のヒートポンプ4を低負荷運転しつつ、給水路8を介して給水タンク3へ給水すればよい。さらに、1台のボイラ2が高燃焼状態か、2台のボイラ2が低燃焼状態の場合、それに応じて1台のヒートポンプ4を高負荷運転しつつ、給水路8を介して給水タンク3へ給水すればよい。以降も同様に、ボイラ2の運転台数や燃焼量の増加に伴い、ヒートポンプ4の稼働台数や出力を増加させればよい。逆に、ボイラ2の運転台数や燃焼量が減少する場合には、その減少に応じて、ヒートポンプ4の稼働台数や出力を減少させればよい。
【0053】
但し、ヒートポンプ4を複数台同時に運転する場合、低負荷運転の稼働台数を最大1台とするのが好ましい。たとえば、1台のボイラ2が高燃焼状態か、2台のボイラ2が低燃焼状態の場合、2台のヒートポンプ4を低負荷運転するのではなく、1台のヒートポンプ4を高負荷運転するのがよい。ヒートポンプ4をできるだけ高出力で運転することで、給水加温システム1の熱効率を向上することができる。
【0054】
ところで、前記実施例および変形例では、ボイラ2の運転状態に基づき、給水路8を介した給水タンク3への給水とヒートポンプ4の出力を制御したが、給水タンク3からボイラ2への給水状態に基づき、給水路8を介した給水タンク3への給水とヒートポンプ4の出力を制御してもよい。具体的には、給水タンク3からボイラ2への給水ポンプ7の運転状態、または、給水タンク3からボイラ2への給水流量に基づき、ヒートポンプ4の出力を制御してもよい。たとえば、給水タンク3からボイラ2への給水路に設けた給水ポンプ7の運転信号に基づき、ヒートポンプ4を制御すればよい。あるいは、図1において二点鎖線で示すように、給水タンク3からボイラ2への給水路にフロースイッチや流量センサ27などを設け、それに基づきヒートポンプ4を制御すればよい。
【0055】
本発明の給水加温システム1は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、ボイラ2の運転状態、または給水タンク3からボイラ2への給水状態に基づき、給水路8を介した給水タンク3への給水と、ヒートポンプ4の出力を制御できれば、その他の構成は適宜に変更可能である。要は、ボイラ2への給水要求を把握して、それに応じてヒートポンプ4で加温しつつ給水タンク3へ給水できればよい。
【0056】
また、前記実施例では、ボイラ2を三位置で制御することに伴い、ヒートポンプ4も高負荷運転、低負荷運転および停止の三位置で制御した例を示したが、ボイラ2を、高燃焼状態(100%燃焼)、中燃焼状態(たとえば80%燃焼)、低燃焼状態(たとえば50%燃焼)および停止の四位置で制御する場合、ヒートポンプ4も高負荷運転(典型的には全負荷運転=100%出力)、中負荷運転(たとえば80%出力)、低負荷運転(たとえば50%出力)および停止の四位置で制御するなど、ヒートポンプ4をボイラ2の制御に合わせて四位置以上で制御してもよい。そして、ボイラ2の各燃焼量での蒸発量に対応した給水をヒートポンプ4で加温しつつ実行できるように構成しておけばよい。
【0057】
また、ボイラ2の蒸発量と、ヒートポンプ4経由の給水量とは、1台のボイラ2と1台のヒートポンプ4とが対応する場合に限らず、1台のボイラ2と2台のヒートポンプ4、2台のボイラ2と1台のヒートポンプ4など、適宜に変更可能である。
【0058】
また、前記実施例では、ボイラ2は段階的に燃焼量を調整されが、連続的に燃焼量を調整される比例制御ボイラであってもよく、その場合、燃焼量に応じた蒸発量をまかなうように、ヒートポンプ4の出力を比例制御しつつ、給水路8を介して給水タンク3へ給水すればよい。さらに、前記実施例では、ボイラ2は、燃料焚きボイラとしたが、電気ボイラにも同様に適用可能である。
【0059】
また、ヒートポンプ4は、単段に限らず複数段とすることもできる。ヒートポンプ4を複数段にする場合、隣接する段のヒートポンプ同士は、間接熱交換器を用いて接続されてもよいし、直接熱交換器(中間冷却器)を用いて接続されてもよい。後者の場合、下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器とされる。このように、複数段(多段)のヒートポンプ4には、一元多段のヒートポンプの他、複数元(多元)のヒートポンプ、あるいはそれらの組合せのヒートポンプが含まれる。
【0060】
また、給水タンク3に、凝縮器14を介して給水路8により給水可能であると共に、凝縮器14を介さずに補給水路9により給水可能であれば、給水路8や補給水路9の具体的構成は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、給水路8と補給水路9とは、それぞれ補給水タンク5と給水タンク3とを接続するように並列に設けたが、給水路8と補給水路9との一端部(補給水タンク5側の端部)と他端部(給水タンク3側の端部)の一方または双方は、共通の管路としてもよい。言い換えれば、補給水路9の一端部は、補給水タンク5に接続するのではなく、給水路8から分岐するように設けてもよいし、補給水路9の他端部は、給水タンク3に接続するのではなく、給水タンク3の手前において給水路8に合流するように設けてもよい。補給水路9の一端部を、補給水タンク5に接続するのではなく、給水路8から分岐するように設ける場合、その分岐部より下流において、給水路8に給水ポンプ10を設ける一方、補給水路9に補給水ポンプ11を設ければよいが、分岐部よりも上流側の共通管路にのみポンプを設けて、分岐部より下流の給水路8および/または補給水路9に設けたバルブの開度を調整することで、給水路8や補給水路9を通る流量を調整してもよい。
【0061】
また、前記実施例では、給水タンク3への給水を貯留するために補給水タンク5を設置したが、場合により補給水タンク5の設置を省略して、給水源から直接に給水路8および補給水路9に水を通してもよい。
【0062】
また、前記実施例では、給水路8を介した給水タンク3への給水流量を調整するために、給水ポンプ10をインバータ制御したが、給水ポンプ10をオンオフ制御しつつ、給水路8に設けたバルブの開度を調整してもよい。つまり、水温センサ22の検出温度に基づき給水路8を介した給水の流量を調整可能であれば、その流量調整方法は適宜に変更可能である。
【0063】
また、前記実施例では、給水路8および/または補給水路9を介して、補給水タンク5から給水タンク3へ給水可能としたが、これら給水は、軟水器から直接に行ってもよい。たとえば、図1において、給水路8および補給水路9の基端部をまとめて軟水器に接続し、給水ポンプ10の設置を省略する代わりに給水路8に設けた電動弁(モータバルブ)の開度を調整し、補給水ポンプ11の設置を省略する代わりに補給水路9に設けた電磁弁の開閉を制御すればよい。
【0064】
さらに、前記実施例では、ヒートポンプ4の熱源として熱源水を用いた例について説明したが、ヒートポンプ4の熱源流体として、熱源水に限らず、空気や排ガスなど各種の流体を用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
1給水加温システム
2 ボイラ
3 給水タンク
4 ヒートポンプ
5 補給水タンク
6 熱源水タンク
7 ポンプ(給水タンクからボイラへの給水ポンプ)
8 給水路
9 補給水路
10 給水ポンプ
11 補給水ポンプ
12 廃熱回収熱交換器
13 圧縮機
14 凝縮器
15 膨張弁
16 蒸発器
17 過冷却器
18 供給路
19 オーバーフロー路
20 熱源供給路
21 熱源供給ポンプ
22 水温センサ
23 (給水タンクの)水位検出器
24 (給水タンクの)低水位検出電極棒
25 (熱源水タンクの)水位検出器
26 (熱源水タンクの)低水位検出電極棒
27 流量センサ
図1
図2
図3