【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題を解決するため、COセンサーが高濃度の一酸化炭素に相当する電圧信号等を出力することとなる原因を場合分けした。さらに、燃焼不能状態を解除することができる場合と、燃焼不能状態を維持すべき場合を場合分けして検討した。
COセンサーが高濃度の一酸化炭素に相当する電圧信号等を出力する場合について考えると、これはさらに吸湿によるセンサーの誤動作が原因である場合と、COセンサー自体は正常である場合とが考えられる。
COセンサーに誤動作が起こる原因は、前述した通りである。
【0012】
COセンサーが正常であって、且つ当該センサーが高濃度の一酸化炭素に相当する電圧信号等を出力する場合は、さらに給気自体に一酸化炭素が含まれている場合と、給気中の一酸化炭素濃度が正常である場合が考えられる。
【0013】
従って、COセンサーが高濃度の一酸化炭素に相当する電圧信号等を出力する場合は、次の表の様に、「COセンサーは正常であって給気中のCO濃度が低い場合」「COセンサーは正常であって給気中のCO濃度が高い場合」「COセンサーが異常であって給気中のCO濃度が低い場合」「COセンサーが異常であって給気中のCO濃度が高い場合」の4パターンの組み合わせが考えられる。
【0014】
【表1】
【0015】
ここで「COセンサーは正常であって給気中のCO濃度が低い」にも係わらずCOセンサーが高濃度の一酸化炭素を検知した場合は、不完全燃焼等が発生しており、燃焼状態が異常であることが原因であると予想される。例えば、排気閉塞等が発生して給気量が不足し、一酸化炭素の発生量が増加したと予想される。
この場合は、燃焼異常が発生しているから、燃焼を再開するべきではなく、燃焼不能状態を維持するべきである。
【0016】
「COセンサーは正常であって給気中のCO濃度が高く」、COセンサーが高濃度の一酸化炭素を検知した場合は、いわゆる自室汚染等が疑われる。即ちガスを燃料とする燃焼装置であって室内に設置するタイプのものは、燃焼部に対して給・排気するためのダクトを有している。そして燃焼部と、排気ダクトとは直接的に接続されており、排気ガスは室内に漏らすことなく屋外に排出される。
これに対して給気ダクトは、暖房熱源機等の筐体内に開口している。また送風機の吸気側は、筐体内で開放されており、筐体内の空気を吸入して燃焼部に送られる。そのためこのタイプの暖房熱源機等では、筺体に室内に通じる隙間などがあると室内の空気も送風機で吸入されて燃焼に供される。従って、排気経路の一部に損傷が生じると、排気ガスが暖房熱源機等が設置された室内に漏れ、当該室内の一酸化炭素濃度が上昇する。
この様な事態が発生すると、設置された室内において一酸化炭素が濃縮され、次第に室内の一酸化炭素濃度が上昇する。そして遂にはCOセンサーが燃焼を停止すべき濃度の一酸化炭素を検知することとなる。
また排気ダクトと吸気ダクトを同心状に配したダクトを採用している場合に、ダクトの一部が損傷すると、排気ガスの一部が給気中に混入する場合がある。この様な場合には、ダクト内等で一酸化炭素が濃縮され、遂にはCOセンサーが燃焼を停止すべき濃度の一酸化炭素を検知することとなる。
いずれにしても 「COセンサーは正常であって給気中のCO濃度が高い場合」は、給排気系統に異常がある可能性が高いので、燃焼を再開するべきではなく、燃焼不能状態を維持するべきである。
【0017】
「COセンサーが異常であって給気中のCO濃度が低い」状態で、COセンサーが高濃度の一酸化炭素を検知した場合は、単にCOセンサーが湿度の影響を受けて誤動作したものに過ぎない可能性が高い。
即ち給気中のCO濃度が低いので、給排気系統には異常は無い。そしてCOセンサーが異常であることが確認されるのであれば、COセンサーが高濃度の一酸化炭素を検知した理由として、単にCOセンサーが湿度の影響を受けて誤動作したものと考えるのが普通である。
唯一残る懸念としては、「COセンサーが異常であって、且つ排気閉塞等を併発した場合」であるが、この様な場合は稀である。
そのため「COセンサーが異常であって給気中のCO濃度が低い」状態で、COセンサーが高濃度の一酸化炭素を検知した場合は、燃焼不能状態を解除し得る条件を備えている。
【0018】
「COセンサーが異常であって給気中のCO濃度が高い場合」は、前記した自室汚染等が疑われるので、燃焼を再開するべきではなく、燃焼不能状態を維持するべきである。
【0019】
上記した考察に基づいて開発された請求項1に記載の発明は、バーナを備えた燃焼部と、送風機と、一酸化炭素センサーとを備え、送風機によって燃焼部に空気を供給しつつバーナで燃料を燃焼させて発生した熱を所望の用途に供し、排気ガスに含まれる一酸化炭素を一酸化炭素センサーで監視し、排気ガスに含まれる一酸化炭素が一定値以上の濃度及び/又は一定値以上の積算濃度に達した場合は、燃焼部の燃焼を停止させて燃焼不能状態とする燃焼装置において、前記一酸化炭素センサーは、周囲の一酸化炭素濃度に応じて検出値Pが変化するものであって、ゼロ基準Pstd との比較によって周囲の一酸化炭素濃度を検出するものであり、前記一酸化炭素センサーは、吸湿性を有していて吸湿することによって検出値Pが変動する特性を有し、前記一酸化炭素センサーを乾燥させる乾燥処理機能を備え、乾燥処理前であって非燃焼状態における処理前検出値Pbef と、乾燥処理後であって非燃焼状態における処理後検出値Paft とを検出し、処理前検出値Pbef と処理後検出値Paft との差が一定以上であり、且つ処理後検出値Paft とゼロ基準Pstd との差が所定以内であることを条件として、燃焼不能状態を解除することを特徴とする燃焼装置である。
【0020】
本発明は、「排気ガスに含まれる一酸化炭素を一酸化炭素センサーで監視し、排気ガスに含まれる一酸化炭素が一定値以上の濃度及び/又は一定値以上の積算濃度に達した場合は、燃焼部の燃焼を停止させて燃焼不能状態とする燃焼装置」を対象としている。
ここで「排気ガスに含まれる一酸化炭素が一定値以上の濃度に達した場合」とは、急激に燃焼状態が悪化して排気ガスに大量の一酸化炭素が含まれる様な状況を想定しており、この様な場合に燃焼不能状態とする機能を備えた燃焼装置を想定している。
【0021】
また「排気ガスに含まれる一酸化炭素が一定値以上の積算濃度に達した場合」とは、室内において一酸化炭素が濃縮される懸念を排除するための機能を備えた燃焼装置を想定している。
即ち万一、排気経路に腐食等があり、排気ガスが室内に漏れたと想定した場合、室内の一酸化炭素濃度は、排気ガスが排出された時間と、排気ガスの漏れ量と、排気ガス中の一酸化炭素濃度と、漏れた部屋の容積と、当該部屋の換気量によって決まる。そこで、排気ガスに含まれる一酸化炭素の積算濃度(積算量と同義)を監視し、これが一定の閾値を越えると、燃焼不能状態とする機能を備えた燃焼装置がある。本発明は、この構成を備えた燃焼装置も対象となる。実際には、「排気ガスに含まれる一酸化炭素が一定値以上の濃度に達した場合」と、「排気ガスに含まれる一酸化炭素が一定値以上の積算濃度に達した場合」の双方を監視している燃焼装置が多い。
【0022】
検出値Pは、前記した様な電圧出力等の信号出力そのものであってもよく、何らかの演算や処理を加えて、なんらかの数値として検出されるものであってもよい。例えば濃度を直接数値として出力するものであってよい。
【0023】
本発明の燃焼装置では、COセンサーを乾燥させる乾燥処理機能を備えている。COセンサーを乾燥させることによって、相対湿度(以下単に湿度という)に起因する誤動作は解消される。
そして本発明の燃焼装置では、乾燥処理前であって非燃焼状態における処理前検出値Pbef と、乾燥処理後であって非燃焼状態における処理後検出値Paft とを検出する。そして処理前検出値Pbef と処理後検出値Paft との差を見る。ここで、乾燥処理前であって非燃焼状態における処理前検出値Pbef は、湿度の影響を受けて誤動作した可能性がある検出値Pであり、処理後検出値Paft は、正常な検出値Pである。
【0024】
そのため処理前検出値Pbef と処理後検出値Paft の間に差がなければ、それまでの検出値Pは、燃焼中の一酸化炭素濃度を正確に反映していたものと考えられる。逆に、処理前検出値Pbef と処理後検出値Paft の間に差があるならば、COセンサーが湿度の影響を受けて誤動作しており、燃焼停止に至る前までの検出値Pは、湿度の影響を受けてCOセンサーが異常をきたし、本来の値よりも高めの濃度を示していたことになる。
【0025】
また前記した様に、処理後検出値Paft は湿度に起因する誤動作が無い状態の検出値であるから、現状の環境における一酸化炭素濃度を示している。即ち処理後検出値Paft は、現在の給気中の一酸化炭素濃度を反映している。
従って、処理後検出値Paft とゼロ基準出力Pstd との間に大きな差があるならば、給気中に一酸化炭素が含まれていることを示している。逆に、処理後検出値Paft とゼロ基準出力Pstd との間に差が無いならば、給気中の一酸化炭素が低いことを示している。
従って、「処理前検出値Pbef と処理後検出値Paft との差が一定以上であり、且つ処理後検出値Paft とゼロ基準出力Pstd との差が所定以内である」場合は、前記した4パターンの組み合わせの内、「COセンサーが異常であって給気中のCO濃度が低い」状態である。
本発明の燃焼装置は、「処理前検出値Pbef と処理後検出値Paft との差が一定以上であり、且つ処理後検出値Paft とゼロ基準出力Pstd との差が所定以内である」ことを確認することによって「COセンサーが異常であって給気中のCO濃度が低い」状態であったことを確認し、燃焼不能状態を解除する。
【0026】
請求項2に記載の発明は、燃焼停止直前又は燃焼停止直後における稼働時検出値Pdri
を検出し、燃焼を停止した後に送風機の運転を継続して燃焼部を掃気し、掃気後における一酸化炭素センサーの検出値を前記処理前検出値Pbef とし、稼働時検出値Pdri とゼロ基準Pstd との差Daと、前記処理前検出値Pbef と処理後検出値Paft との差Dbに関し、DaとDbの差Dcが規定値以内であることを追加条件として燃焼不能状態を解除することを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置である。
【0027】
本発明は、前記した唯一残る懸念を解消するものである。即ち、稀なことではあるが、「COセンサーが異常であって、且つ排気閉塞等を併発した場合」であっても、請求項1に記載の条件を満足する。しかしながら、「COセンサーが異常であって、且つ排気閉塞等を併発した場合」は、給気異常であるから燃焼不能状態を維持すべきである。
そこで本発明は、燃焼停止直前又は燃焼停止直後における稼働時検出値Pdri を検出し、稼働時検出値Pdri とゼロ基準出力Pstd との差Daを求めた。この差Daは、COセンサーの湿度影響に起因する誤動作による上乗せ分を含んだ一酸化炭素濃度を示している。即ち稼働時検出値Pdri とゼロ基準出力Pstd との差Daは、真実の濃度Crと、誤動作によって加算された濃度Cgとの合計である。
また本発明は、処理前検出値Pbef と処理後検出値Paft との差Dbを求めた。この差Dbは、湿度影響による誤動作によって加算された濃度Cgである。
従って、両者の差Dcは、真実の濃度Crを示している。真実の濃度Crの値が低いならば、排気閉塞等の懸念は無い。そこで本発明では、稼働時検出値Pdri とゼロ基準出力Pstd との差Daと、前記処理前検出値Pbef と処理後検出値Paft との差Dbに関し、両者の差Dcが規定値以内であることを追加条件として燃焼不能状態を解除する。そのため本発明では、真実の一酸化炭素濃度Crが規定値以内であることを追加条件として燃焼不能状態が解除される。
【0028】
請求項3に記載の発明は、処理後検出値Paft と処理前検出値Pbef との差が小さい場合には、燃焼不能状態を維持することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置である。
【0029】
「処理後検出値Paft と処理前検出値Pbef との差が小さい場合」は、COセンサーの湿度影響による誤動作は無かったと考えられる。「処理後検出値Paft と処理前検出値Pbef との差が小さい場合」は、前記した4パターンの組み合わせの内、「COセンサーは正常であって給気中のCO濃度が低い場合」に相当し、この状態でCOセンサーが高濃度の一酸化炭素を検知した場合であり、燃焼異常が発生しているから、燃焼を再開するべきではなく、燃焼不能状態を維持する。
【0030】
請求項4に記載の発明は、処理後検出値Paft とゼロ基準出力Pstd との差が大きい場合には、燃焼不能状態を維持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0031】
「処理後検出値Paft とゼロ基準出力Pstd との差が大きい場合」は、給気異常が疑われる場合である。「処理後検出値Paft とゼロ基準出力Pstd との差が大きい場合」は、前記した4パターンの組み合わせの内、「COセンサーは正常であって給気中のCO濃度が高い場合」と、「COセンサーが異常であって給気中のCO濃度が高い場合」の二つに相当し、給排気系統に異常がある可能性が高いので、燃焼を再開するべきではなく、燃焼不能状態を維持する。
【0032】
請求項5に記載の発明は、燃焼不能状態を解除する場合には、ゼロ基準出力Pstd を濃度の検出値が下がる方向に補正されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0033】
本発明では、燃焼不能状態を解除する場合には、ゼロ基準出力Pstd を濃度の検出値が下がる方向に補正される。即ちCOセンサーの誤動作を見越して、ゼロ基準出力Pstd を補正するので、以後の不必要な燃焼停止が減少する。
【0034】
請求項6に記載の発明は、乾燥処理は、一酸化炭素センサーを加熱することによって行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0035】
本発明の燃焼装置では、簡単な方法で、COセンサーの乾燥処理を行うことができる。
【0036】
請求項7に記載の発明は、検出値は、一酸化炭素センサーの信号出力であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0037】
信号出力には、電圧出力や電流出力等のアナログ出力と、パルス等のデジタル出力がある。本発明によると、回路構成が簡単であり、故障が少ない。
【0038】
請求項8に記載の発明は、バーナを備えた燃焼部と、送風機と、一酸化炭素センサーとを備え、送風機によって燃焼部に空気を供給しつつバーナで燃料を燃焼させて発生した熱を所望の用途に供し、排気ガスに含まれる一酸化炭素を一酸化炭素センサーで監視し、排気ガスに含まれる一酸化炭素が一定値以上の濃度及び/又は一定値以上の積算濃度に達した場合は、燃焼部の燃焼を停止させて燃焼不能状態とする燃焼装置の制御方法において、一酸化炭素センサーを乾燥させる乾燥処理工程を備え、乾燥処理前であって非燃焼状態における処理前検出値Pbef と、乾燥処理後であって非燃焼状態における処理後検出値Paft とを比較し、両者の差が一定以上であり、且つ処理後検出値Paft と一酸化炭素濃度が低い場合に想定される検出値とを比較して両者の差が所定以内であることを条件として、燃焼不能状態を解除することを特徴とする燃焼装置の制御方法である。
【0039】
本発明の燃焼装置の制御方法によると、適切な条件を確認した上で、燃焼不能状態を解除することができる。