(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5962989
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ディップはんだ付用フラックス
(51)【国際特許分類】
B23K 35/363 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
B23K35/363 C
B23K35/363 E
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-219170(P2012-219170)
(22)【出願日】2012年10月1日
(65)【公開番号】特開2014-69227(P2014-69227A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山永 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石賀 史男
【審査官】
川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−033196(JP,A)
【文献】
特開平04−066291(JP,A)
【文献】
特開2012−236224(JP,A)
【文献】
特開2013−139045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/00−35/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[1]:ph−X−(YO)m−H(式[1]中、Xは−O−または−CH2O−を、Yは−CH2CH2−、CH2CH2CH2−または−CH2CH(CH3)−からなる群より選ばれる1種を、mは1以上の整数を示す。)で表される化合物からなる高沸点第一級アルコール類(A)に、強活性剤として分子内にハロゲン原子と活性水素を有する有機化合物(B)および弱活性剤として分子内にハロゲン原子を有さない脂肪族カルボン酸類(C)、ならびにロジン類(D)を溶解させてなるディップはんだ付用フラックスであって、
(A)成分の含有量が80〜97重量%であり、
(B)成分の含有量が0.5〜6重量%であり、
(C)成分の含有量が1〜10重量%であり、
(D)成分の含有量が1〜10重量%であることを特徴とする、
フラックス。
【請求項2】
(A)成分の沸点が230℃以上である請求項1のディップはんだ付用フラックス。
【請求項3】
(B)成分がブロモアルコール類(b1)である請求項1又は2のディップはんだ付用フラックス。
【請求項4】
(b1)成分がtrans−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、cis−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、および2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のブロモジオールである請求項3のディップはんだ付用フラックス。
【請求項5】
(C)成分が、分子内に炭素数2〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基を有するジカルボン酸である、請求項1〜4のいずれかのディップはんだ付用フラックス。
【請求項6】
(D)成分が水添ロジン(d1)および/または不飽和カルボン酸変性ロジン(d2)である請求項5のディップはんだ付用フラックス。
【請求項7】
B型粘度計で測定した粘度が8mPa・s以上である請求項1〜6のいずれかのディップはんだ付用フラックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディップはんだ付の際に使用するフラックスに関する。
【背景技術】
【0002】
ディップはんだ付とは、プリント配線基板に接合する端子部品の電極(銅、鉄等)を熔融はんだ浴に浸して行うはんだ付をいい(JIS Z 3001参照。)、ソルダペーストを用いて端子部品をプリント配線基板に固着した後、リフロー下にプレヒート次いでメインヒート処理することにより接合するはんだ付(マイクロソルダリング)とは区別される。
【0003】
ディップはんだ付に用いる端子部品は通常、電極が酸化皮膜で覆われているため、そのままはんだ付けしても熔融はんだ金属が電極上に濡れ広がらない。そこで酸化皮膜を還元除去するために、電極には予めフラックスと呼ばれる組成物が塗布される。
【0004】
ディップはんだ付用のフラックスとしては従来、ロジンと活性剤をイソプロピルアルコールに溶解させたもの(以下、IPA系フラックスという。)が賞用されてきた。しかし、IPA系フラックスについては、例えば特許文献1に記載されているようにいくつかの問題が指摘されている。
【0005】
即ち、イソプロピルアルコールは沸点が低いため(約82℃)、はんだ付け温度(通常180〜300℃)で瞬時に蒸発し、電極上には活性作用のあるロジンと活性剤のみ残留する。そして活性剤として例えば有機アミンのような活性作用の強い化合物を用いると、電極の腐食や絶縁抵抗の低下等の問題が生じる。それゆえ、端子部品ははんだ付後に洗浄せねばならないが、洗浄効果に優れるフロン系の洗浄剤は、例えば特許文献1に記載されているように近年その利用が制限されており、また洗浄剤にかかる費用が最終製品である実装基板のコストに転嫁されるという別の問題も生ずる。一方、そうした強い活性剤の使用量を減らしたり、使用をやめたりすることも考えられるが、電極の酸化皮膜を除去することが困難となり、はんだ金属の濡れ性という所期の効果がそもそも得難くなる。
【0006】
そこで特許文献1においては、活性の強い化合物使用しない場合や、アジピン酸のような所謂弱活性剤を用いた場合においても濡れ性に優れるフラックスとして、特定の挙動を示す溶剤、即ち、はんだ付前には実質的に蒸発せずに電極を被覆し、はんだ付時に熱分解して電極表面の酸化皮膜を還元除去する活性を奏し、はんだ付後には徐々に揮発するような溶剤を用いることが提案されている。
【0007】
また、溶剤としては、例えば2メチルシクロヘキサノール(沸点約165℃)やベンジルアルコール(フェニルメタノールともいう。沸点205℃)のような高沸点第一級アルコール類が例示されているが、特にベンジルアルコールの場合にははんだ付時に自己分解して安息香酸となり、はんだ付後に徐々に揮発するため電極上に残渣が残らず、よって端子部品の洗浄が不要になるとされている。
【0008】
しかしながら本発明者は、特許文献1のフラックスによれば、ディップはんだ付をしたのち電極上に、ミクロンオーダーレベルの微細なハンダボールが多数生じる傾向にあることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−112692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、はんだ付時には熔融はんだ金属の濡れ性を良くし、はんだ付後にはハンダボールを発生させず、かつそれ自体も残渣として残留しないような新規な非IPA系のディップはんだ付用フラックス(以下、単にフラックスということがある。)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、特許文献1の発明のようにディップはんだ付用フラックスの溶剤として高沸点第一級アルコール類を用いることを前提にし、濡れ性や耐ハンダボール性に優れるフラックスを提供可能な材料について検討した結果、前記高沸点第一級アルコール類として特定構造の芳香族系モノアルコールを選択し、かつ特定の強活性剤と弱活性剤を組み合わせ、しかも特許文献1では任意成分とされるロジン類を必須使用することによって、前記課題を解決可能なフラックスを完成した。
【0012】
即ち本発明は、一般式[1]:ph−X−(YO)
m−H(式[1]中、Xは−O−または−CH
2O−を、Yは−CH
2CH
2−、CH
2CH
2CH
2−または−CH
2CH(CH
3)−からなる群より選ばれる1種を、mは1以上の整数を示す。)で表される化合物からなる高沸点第一級アルコール類(A)に、強活性剤として分子内にハロゲン原子と活性水素を有する有機化合物(B)および弱活性剤として分子内にハロゲン原子を有さない脂肪族カルボン酸類(C)、ならびにロジン類(D)を溶解させてなるディップはんだ付用フラックス
であって、(A)成分の含有量が80〜97重量%であり、(B)成分の含有量が0.5〜6重量%であり、(C)成分の含有量が1〜10重量%であり、(D)成分の含有量が1〜10重量%であることを特徴とするフラックス、に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフラックスによれば、ディップはんだ付時の熔融はんだ金属の濡れ性が良好となり、はんだ付後のハンダボールも低減する。また、本発明のフラックスははんだ付後に残渣として残留し難く、はんだ付後の端子部品を洗浄する必要が特にないため、無洗浄タイプのフラックスとして有用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のフラックスは、所定の高沸点第一級アルコール類(A)(以下、(A)成分という。)に、強活性剤として分子内にハロゲン原子と活性水素を有する有機化合物(B)(以下、(B)成分という。)および弱活性剤として分子内にハロゲン原子を有さない脂肪族カルボン酸類(C)(以下、(C)成分という。)ならびにロジン類(D)(以下、(D)成分とういう。)を溶解させてなるディップはんだ付用フラックスを溶解させてなる希釈溶液である。
【0015】
(A)成分は、一般式[1]:ph−X−(YO)
m−H(式[1]中、Xは−O−または−CH
2O−を、Yは−CH
2CH
2−、CH
2CH
2CH
2−または−CH
2CH(CH
3)−からなる群より選ばれる1種を、mは1以上、好ましくは1〜5の整数を示す。)で表される化合物であり、本発明のフラックスの主成分である。
【0016】
(A)成分は高沸点溶剤、具体的には沸点が通常230℃以上、好ましくは240〜340℃程度の溶剤であるため、従来のIPA系フラックスと比較して引火性や発火性等の問題が少なく、ケトンやエステル等を溶剤とするフラックスと比較して臭気の問題もあまりない。
【0017】
(A)成分の具体例としては、例えば、例えば、2−フェノキシエタノール(沸点約245℃;X=−O−、Y=−CH
2CH
2−、m=1)、2−(2−フェノキシエトキシ)エタノール(沸点約283℃;X=−O−、Y=−CH
2CH
2−、m=2 )、2−(ベンジルオキシ)エタノール(沸点約256℃;X=−CH
2O−、Y=−CH
2CH
2−、m=1)、2−(2−ベンジルオキシエトキシ)エタノール(沸点約302℃;X=−CH
2O−、Y=−CH
2CH
2−、m=2)、1−フェノキシプロパン−2−オール(沸点約243℃;X=−O−、Y=−CH
2CH(CH
3)−、m=1)などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも熔融はんだ金属の濡れ性や耐はんだボール性、そして特に臭気の点より2−(ベンジルオキシ)エタノールおよび/または2−(2−ベンジルオキシエトキシ)エタ
ノールが好ましい。
【0018】
本発明のフラックスは、マイクロソルダリングに用いるソルダペースト用のフラックスとは異なり、固形分濃度が非常に小さい。即ち、フラックス中の(A)成分の含有量が相対的に非常に大きく、通常80〜9
7重量
%、好ましくは85〜97重量%程度、いっそう好ましくは87〜95重量%である。
【0019】
なお、本発明では必要に応じ、(A)成分以外の溶剤を助溶剤として少量併用してもよい。具体的には、例えば、メチルグリコール、メチルジグリコール、イソプロピルグリコール、イソプロピルジグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、イソブチルグリコール、イソブチルジグリコール、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、2エチルヘキシルグリコール、2エチルヘキシルジグリコール等の脂肪族グリコールエーテル類や、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等の非エーテル系低分子アルコール類、酢酸イソプロピル、プロピオン酸エチル、安息香酸ブチル、アジピン酸ジエチル等のエステル類等が挙げられ、2種以上を組み合わせてもよい。但し、所期の効果の観点よりその使用量は(A)成分に対して通常20重量%未満、好ましくは10重量%未満に留めるのが好ましく、0重量%であってよい。
【0020】
(B)成分は、分子内に酸化皮膜の還元除去に寄与する活性水素と、その活性作用を強めるハロゲン原子を併有する化合物であって、所謂強活性剤として認識されているものであれば各種公知のものを特に制限なく使用することができる。なお、「活性水素」とは、カルボキシル基、水酸基、アミノ基に含まれる活性作用を示す水素をいう。
【0021】
(B)成分の具体例としては、例えば、1−ブロモ−2−ブタノール、1−ブロモ−2−プロパノール、3−ブロモ−1−プロパノール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール等のブロモモノオール類や、1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオール、3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、trans−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、cis−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、および2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール等のブロモジオール類といったブロモアルコール類(b1)(以下、(b1)成分という。)、2,3−ジブロモコハク酸、2−ブロモコハク酸、2,2−ジブロモアジピン酸等のブロモカルボン酸類(b2)(以下、(b2)成分ということがある。)、エチルアミン臭素酸塩、ジエチルアミン臭素酸塩、メチルアミン臭素酸塩、ジ等のブロモアミン類(b3)(以下、(b3)成分ということがある。)、アニリン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩、フェニルヒドラジン塩酸塩、テトラクロルナフタレン、メチルヒドラジン塩酸塩、メチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、ブチルアミン塩酸塩、シクロヘキシルアミン塩酸塩、ジエチルエタノールアミン塩酸塩等のクロロアミン類(b4)(以下、(b4)成分ということがある。)などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも濡れ性、耐ハンダボール性および低残渣性の点より(b1)成分が、特にtrans−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、cis−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、および2,3−ジブロモ−1,4−ブタンジオール等からなる群より選ばれる少なくとも1種のブロモジオールが好ましい。
【0022】
フラックス中の(B)成分の含有量は特に限定されないが、通常0.5〜6重量
%、好ましくは0.3〜5重量%程度、いっそう好ましくは1〜4重量%である。
【0023】
(C)成分は、分子内にハロゲン原子を有さない脂肪族カルボン酸類であって、所謂強活性剤として認識されているものであれば各種公知のものを特に制限なく使用することができる。具体的には、分子内に炭素数2〜20程度(好ましくは2〜10)のアルキレン基又は炭素数2〜20程度(好ましくは2〜10)のアルケニレン基を有するジカルボン酸が挙げられ、例えば、コハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸等からなる群より選ばれる少なくとも1種を例示できる。
【0024】
フラックス中の(C)成分の含有量は特に限定されないが、通常
1〜10重量%である。
【0025】
なお、本発明のフラックスには、必要に応じて(C)成分および(D)成分以外の活性剤を含めてもよい。具体的には、例えばN,N’−ビス(4−アミノブチル)−1,2−エタンジアミン、トリエチレンテトラミン、N,N’−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等)、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、ジブチルアミン等のハロゲン原子非含有アミン類;1,2,3,4−テトラブロモブタン、1,2−ジブロモ−1−フェニルエタン、1−ブロモ−3−メチル−1−ブテン、1,4−ジブロモブテン、1−ブロモ−1−プロペン、2,3−ジブロモプロペン、1,2−ジブロモスチレン、4−ステアロイルオキシベンジルブロマイド、4−ステアリルオキシベンジルブロマイド、4−ステアリルベンジルブロマイド、4−ブロモメチルベンジルステアレート、4−ステアロイルアミノベンジルブロマイド、2,4−ビスブロモメチルべンジルステアレート、4−パルミトイルオキシベンジルブロマイド、4−ミリストイルオキシベンジルブロマイド、4−ラウロイルオキシべンジルブロマイド、4−ウンデカノイルオキシベンジルブロマイド等の、分子内に活性水素を有しないブロモ化合物等が挙げられ、こららは2種以上を組み合わせることができる。また、これら活性剤の使用量は(C)成分および(D)成分の総量に対して通常20重量%未満、好ましくは10重量%未満に留めるのが好ましく、0重量%であってよい。
【0026】
(D)成分としては、各種公知のものを特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば、水添ロジン(d1)(以下、(d1)成分という。)、不飽和カルボン酸変性ロジン(d2)(以下、(d2)成分という。)、原料ロジン類を蒸留等の精製手段で処理してなる精製ロジン(d3)(以下、(D3)成分ということがある。)、不均化ロジン(d4)(以下、(d4)成分ということがある。)、ロジンエステル(d5)(以下、(d5)成分ということがある。)、およびその他ロジン類(重合ロジン等)(以下、(d6)成分ということがある。)等からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも濡れ性、耐ハンダボール性および低残渣性の点より前記(d1)成分および/または(d2)成分が好ましい。
【0027】
なお、前記(d1)成分は、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン類を各種公知の方法で水素化処理してなるものである。また、前記(d2)成分は、原料ロジン類とα,β不飽和カルボン酸類とから得られるディールス・アルダー反応物であり、α,β不飽和カルボン酸類としては(メタ)アクリル酸、フマル酸、および(無水)マレイン酸等が挙げられる。また、前記(d3)成分は、原料ロジン類を蒸留等の精製手段で処理してなるものである。また、前記(d4)成分は、原料ロジン類を各種公知の方法で不均化処理(脱水素化処理)してなるものである。また、前記(d5)成分は、(D)成分とポリオール類とから得られる反応物であり、ポリオール類としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の4価アルコール等が挙げられる。また、(d2)成分〜(d6)成分は更に精製処理、水添処理、不均化処理等がされていたものであってよい。
【0028】
フラックス中の(D)成分の含有量は通常1〜10重量%程度であるが、濡れ性、耐ハンダボール性および低残渣性の観点より、好ましくは2〜9重量%程度、いっそう好ましくは3〜8重量%である。
【0029】
また、本発明のフラックスには必要に応じて酸化防止剤、防黴剤、艶消し剤、粘度調整剤等の添加剤を配合することができる、その使用量は通常5重量%未満、好ましくは3重量%未満、いっそう好ましくは0.1〜2重量%程度である。なお、該粘度調製剤としては、例えば、分子内に一般式:−[−(OR)−]−(式中、Rはエチレン基、プロピレ基、およびイソプロピレン基から選ばれる1種を示す)で表わされる繰り返し単位構造を有するポリアルキレングリコールを例示できる。なお、本発明のフラックスには、ソルダペースト用フラックスにおいて利用される硬化ひまし油やステアリン酸アミド等の所謂チキソトロピック剤を含めなくてもよい。
【0030】
本発明のフラックスは(A)成分に(B)成分、(C)成分および(D)成分ならびに必要に応じて前記添加剤を溶解させたものであり、固形分濃度が通常5〜20重量%、好ましくは5〜10重量%程度の希釈溶液である。また、フラックスの物性は特に限定されないが、特に耐はんだボール性の観点より、B型粘度計で測定した粘度が8mPa・s以上、具体的には8〜400mPa・s、好ましくは20〜350mPa・sであるのがよい。なお、当該粘度はローターNo.19を使用し、25℃、回転数10ppmで測定した値である。
【0031】
本発明のフラックスを端子部品のはんだ付部位に塗布する方法は特に制限されず、例えば端子部品をそのまま浸漬する方法や、はんだ付け部位に各種フラクサー(スプレー等)によって塗工する方法が挙げられる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例および比較例をあげて詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって何ら限定されない。また、各例中、部および%はいずれも重量基準である。
【0033】
実施例1
2−(ベンジルオキシ)エタノール93.4部にトランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール(ワイケム(株)製、以下同様。)を0.1部、グルタル酸(東京化成工業(株)製、以下同様。)を1.5部、および市販の水添ロジン(商品名「CRW−300」、荒川化学工業(株)製、以下、CRW−300と略す。)を5.0部溶解させることによってフラックス溶液を調製した。なお、フラックス中に不溶物は認められなかった。
【0034】
実施例2
2−(ベンジルオキシ)エタノール93.4部にトランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオールを0.1部、セバシン酸(東京化成工業(株)製、以下同様。)を1.5部、およびCRW−300を5.0部溶解させることによってフラックス溶液を調製した。なお、フラックス中に不溶物は認められなかった。
【0035】
実施例3
2−(ベンジルオキシ)エタノール93.4部にトランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール(ワイケム(株))を0.1部、グルタル酸を1.5部、および市販のアクリル酸変性ロジン水素化物(商品名「KE−604」、荒川化学工業(株)製、以下、KE−604と略す。)を5.0部溶解させることによってフラックスを調製した。なお、フラックス中に不溶物は認められなかった。
【0036】
実施例4
2−(2−ベンジルオキシエトキシ)エタノール93.4部にトランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオールを0.1部、グルタル酸を1.5部、およびCRW−300を5.0部溶解させることによってフラックス溶液を調製した。なお、フラックス中に不溶物は認められなかった。
【0037】
実施例5
2−(2−ベンジルオキシエトキシ)エタノール93.4部にトランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオールを0.1部、セバシン酸を1.5部、およびKE−604を5.0部溶解させることによってフラックス溶液を調製した。なお、フラックス中に不溶物は認められなかった。
【0038】
比較例1
イソプロピルアルコール93.4部にトランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオールを0.1部、セバシン酸を1.5部、およびCRW−300を5.0部溶解させることによってフラックス溶液を調製した。なお、フラックス中に不溶物は認められなかった。
【0039】
比較例2
フェニルメタノール93.4部にトランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオールを0.1部、グルタル酸を1.5部、およびCRW−300を5.0部溶解させることによってフラックス溶液を調製した。なお、フラックス中に不溶物は認められなかった。
【0040】
<濡れ性の評価>
JIS Z 3197はんだ広がり率試験によってフラックスのはんだ濡れ性の評価を行った。なお、広がり率が85以上の場合は「良好」と、85未満の場合は「不良」と判定した。
【0041】
<耐ハンダボール性の評価>
実施例1に係るフラックスをフラスコに入れ、トランス部品(45mm×50mm×35mm)のはんだ付部位を浸漬した後引き上げた後、当該はんだ付部位を450℃のはんだ浴(金属種:Sn/Cu)に浸し、再び引き上げてから室温まで冷却させた。その後、はんだ付部位付近に発生したハンダボール(直径0.01mm〜0.4mm程度)の数を顕微鏡(倍率50倍)で計数した。また、他の実施例および比較例に係るフラックスについても同様にしてハンダボール数を計数した。なお、ハンダボール数が30未満の場合は「良好」と、30以上の場合は「不良」と判定した。
【0042】
<残渣の評価>
はんだ付後の電極を目視観察し、フラックス残渣(茶色、白色等の残留物)が認めらないものを残渣性良好と、フラックス残渣があるものを不良と認定した。他の実施例および比較例についても同様に評価した。
【0043】
<総合判定>
はんだ濡れ性、耐ハンダボール性、残渣性のすべての項目で良好だった場合は「良」とし、1つの項目でも不良がある場合を「不良」と判定した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】