(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963002
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】マルチビュー無眼鏡立体映像表示装置とその最適視聴距離の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 13/04 20060101AFI20160721BHJP
G03B 35/24 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
H04N13/04
G03B35/24
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-260167(P2013-260167)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2014-121097(P2014-121097A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2013年12月18日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0148695
(32)【優先日】2012年12月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ソンホ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ケオンジン
【審査官】
高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−317091(JP,A)
【文献】
特開2011−101366(JP,A)
【文献】
特許第5095851(JP,B2)
【文献】
特開2012−203050(JP,A)
【文献】
特開平10−174127(JP,A)
【文献】
特開2010−072626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00−13/04
G03B 35/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの画素アレイの前に配置されるレンズと、
センサによって感知された視聴者の位置情報に基づいて、前記視聴者の両眼で見えるサブ画素に表示される、第I(Iは正の整数)ビュー画像と第I+1ビュー画像をプライマリービュー画像に修正し、
前記プライマリービュー画像
以外の他のビュー画像を、一定間隔で分割されたビュー画像に自動修正して、ビューマップを生成する最適視聴距離の制御装置と、
前記最適視聴距離の制御装置から入力されたビューマップに基づいて、マルチビュー画像の画素データをマッピングする3Dフォーマッタと、
前記3Dフォーマッタから入力されたマルチビュー画像の画素データを前記表示パネルに書き込む表示パネル駆動回路を
含み、
前記最適視聴距離の制御装置は、
前記視聴者が眺めるサブ画素位置を計算する光経路逆追跡部と、
前記光経路逆追跡部によって算出されたサブ画素の位置に表示されるプライマリビュー画像を、前記第Iビュー画像と第I+1ビュー画像に設定するプライマリビューセッティング部と、
前記プライマリビュー画像以外の他のビュー画像を、前記プライマリビュー画像の間で、一定の間隔で分割されたビュー番号に設定して、前記ビューマップを生成するビューマップ調整部とを含み、
前記プライマリビューセッティング部は、
前記視聴者が眺めるサブ画素の位置が、そのサブ画素の中心位置から外れた距離(D)が小数値に反映されたプライマリビュー画像(Viewnew)を以下の式、
ここで、xnは前記視聴者が眺める前記サブ画素の位置、Pcは前記サブ画素の中心位置、View’は前記のプライマリビュー画像のビュー番号、
で計算することを特徴とする、マルチビュー無眼鏡立体映像表示装置。
【請求項2】
前記最適視聴距離の制御装置は、
前記表示パネルの画面と同じ平面上のx軸に沿って、前記視聴者が左右に移動したり、前記表示パネルの画面と視聴者の間のz軸距離に沿って、前後に移動するたびに前記ビューマップを更新することを特徴とする、請求項1に記載のマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置。
【請求項3】
前記光経路逆追跡部は、
屈折角(θ
n)と、前記視聴者が眺めるサブ画素の位置(x
n)を、θ
iは前記レンズの入射角、pは画素ピッチ、lは前記表示パネルの画素アレイの中心に基づいてレンズの位置を表す変数、Sは前記表示パネルと前記レンズとの間の背面距離であるとして、以下の式、
によって計算することを特徴とする、
請求項1に記載のマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置。
【請求項4】
前記ビューマップ調整部は、kは前記プライマリビュー画像間の他のビュー画像の中からk(kは正の整数)番目のビュー画像を表す変数、Nはビューの数、View1は第Iプライマリービュー画像のビュー番号、View2は前記第I+1プライマリビュー画像のビュー番号をそれぞれ示すとして、以下の式、
を用いて、前記プライマリビュー画像の中の他のビュー画像を一定間隔に分けて自動計算することを特徴とする、
請求項1に記載のマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置。
【請求項5】
前記3Dフォーマッタは、前記ビューマップのビュー番号が整数の場合、その整数
番目のビュー画像のデータを前記ビューマップのビュー番号が指示する画素位置にマッピングし、
前記ビューマップで定義されたビュー番号が少数を含むとき、R
resultは補間された画素データ、R
1は第1ビューの画素データ、R
2は第2ビューの画素データ、0.xで、xは小数部の正の整数をそれぞれ示すとして、以下の式、
のように補間して
、前記小数を含むビュー番号が指示する画素位置にマッピングすることを特徴とする、
請求項4に記載のマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置。
【請求項6】
表示パネルの画素アレイの前に配置されるレンズを含む
、マルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御方法において、
センサによって感知された視聴者の位置情報に基づいて、前記視聴者の両眼で見えるサブ画素に表示される
、第
I(Iは正の整数)ビュー画像と第I+1ビュー画像をプライマリービュー画像に修正するステップと、
前記プライマリビュー画像
以外の他のビュー画像を一定間隔で分割されたビュー画像に自動修正して、ビューマップを生成するステップと、
前記ビューマップに基づいてマルチビュー画像の画素データをマッピングするステップと、
前記マルチビュー画像の画素データを前記表示パネルに書き込むステップを含
み、
前記サブ画素の中心位置から眺めるサブ画素の位置まで外れた距離(D)が小数値に反映されたプライマリビュー画像(Viewnew)を以下の式、
ここで、xnは前記視聴者が眺める、前記サブ画素の位置、Pcは前記サブ画素の中心位置、View’は前記のプライマリビュー画像のビュー番号である、
によって計算することを特徴とする
、マルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御方法。
【請求項7】
前記プライマリビュー画像以外の他のビュー画像を一定間隔で分割されたビュー画像に自動修正して、ビューマップを生成するステップは、
前記表示パネルの画面と同じ平面上のx軸に沿って、前記視聴者が左右に移動したり、前記表示パネルの画面と視聴者の間のz軸距離に沿って前後に移動するたびに前記ビューマップを更新することを特徴とする、請求項6に記載のマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御方法。
【請求項8】
センサによって感知された視聴者の位置情報に基づいて、前記視聴者の両眼で見えるサブ画素に表示される、第I(Iは正の整数)ビュー画像と第I+1ビュー画像をプライマリビュー画像に修正するステップは、
屈折角(θn)と、前記視聴者が眺めるサブ画素の位置(xn)を、以下の式、
ここで、θiは前記レンズの入射角、pは画素ピッチ、lは、前記表示パネルの画素アレイの中心に基づいてレンズの位置を表す変数、Sは、前記表示パネルと前記レンズとの間の背面距離である、
で、計算することを特徴とする、請求項7記載のマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御方法。
【請求項9】
前記プライマリビュー画像以外の他のビュー画像を、一定間隔で分割されたビュー画像に自動修正して、ビューマップを生成するステップは、以下の式、
ここで、kは前記プライマリビュー画像間の他のビュー画像の中からk(kは正の整数)番目のビュー画像を表す変数、Nはビューの数、View1は第Iプライマリービュー画像のビュー番号、View2は前記第I+1プライマリビュー画像のビュー番号をそれぞれ示す、
を用いて、前記プライマリビュー画像の中の他のビュー画像を、一定間隔に分けて自動計算することを特徴とする、請求項7に記載のマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御方法。
【請求項10】
前記ビューマップに基づいて、マルチビュー画像の画素データをマッピングするステップは、
前記ビューマップのビュー番号が整数の場合、その整数番目のビュー画像のデータを前記ビューマップのビュー番号が指示する画素位置にマッピングし、
前記ビューマップで定義されたビュー番号が少数を含むとき、以下の式、
ここで、Rresultは補間された画素データ、R1は第1ビューの画素データ、R2は第2ビューの画素データ、0.xで、xは小数部の正の整数をそれぞれ示す、
のように補間して、前記小数を含むビュー番号が指示する画素位置にマッピングすることを特徴とする、請求項8に記載のマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチビュー(multi-view)無眼鏡立体映像表示装置とその最適視聴距離の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビやモニタのような表示装置に立体映像再現技術が適用され、家庭でも3D立体映像を鑑賞することができる時代が到来した。立体映像表示装置は、眼鏡方式と無眼鏡方式に分けられることができる。眼鏡方式は、偏光メガネまたは液晶シャッタメガネを使用し左目映像と右目映像を分離して立体映像を実現する。無眼鏡方式は、パララックスバリヤ(parallax barrier)、レンチキュラーレンズ(lenticular lens 、以下"レンズ"と称する)などの光学素子を表示画面の前または後に設置し左目映像と右目映像の光軸を分離して立体映像を実現する。
【0003】
無眼鏡立体映像表示装置は、
図1のように表示パネルの画素アレイ(PIX)とレンズ(LENS)の間の背面距離、レンズ(LENS)の焦点距離、画素ピッチ(pixel pitch Ppix)、レンズピッチ(lens pitch、P)、視聴者の左目と右目の間の距離などを考慮し、視聴者が正常的に立体映像を視聴することができる最適視聴距離(Optimal Viewing Distance 、OVD)が計算される。
図1で背面距離、レンズ(LENS)の焦点距離、画素ピッチ(Ppix)、レンズピッチ(Plens)、視聴者の左目と右目の間の距離などは、整数値に固定される。視聴者の左目と右目の間の距離は、大人の両眼の基準である65mmである。したがって、無眼鏡立体映像表示装置において最適視聴距離(OVD)は、
図1のように固定されており、最適視聴距離(OVD)を調整するには、背面距離やレンズの焦点距離を変更しなければならない。
図1においてレンズ(LENS)をバリアに交替した無眼鏡立体映像表示装置でも最適視聴距離(OVD)は、特定の位置に固定される。
【0004】
図1において、“REZ”は、右目映像が書き込まれた画素(以下、“右目画素”)(R)を見ることができる右目ビューイングゾーン(Viewing zone)であり、“LEZ”は、画素アレイ(PIX)で、左目映像が書き込まれた画素(以下、“左目画素”)(L)を見ることができる左目ビューイングゾーンである。“PSUBS”は、画素アレイ(PIX)とレンズ(LENS)の間の背面距離を確保するための透明基板である。
【0005】
視聴者が最適視聴距離(OVD)の前方または後方に移動すると、視聴者の単眼(右目または左目)に左目画素と右目画素が一緒に見られ視聴者は3Dクロストーク(crosstalk)を感じることができる。無眼鏡立体映像表示装置は、マルチビューシステムに実現することができる。マルチビューシステムは、最適視聴距離(OVD)で視聴者が複数の位置で立体映像を見ることができる画素アレイ(PIX)にマルチビュー画像を書き込む。このようなマルチビューシステムにおいて、視聴者が最適視聴距離(OVD)の前方または後方に移動すると、視聴者の単眼で見えるビュー画像が重畳され、視聴者は3Dクロストークを感じる。したがって、無眼鏡立体映像表示装置では、視聴者が最適視聴距離に位置する場合にのみ、正常の立体映像を鑑賞することができた。
【0006】
最近では、視聴者が最適視聴距離を外れたときに視聴者が移動した位置から眺める画素アレイのビュー(view)の画像を推定し、視聴者が眺めるビュー画像の画素データを修正する最適距離の制御方法が提案されている。最適距離制御方法で画素データの修正方法は、シフト(shifting)の方法とスケーリング(scaling)方法がある。シフト方法は、視聴者がx軸に沿って左右に移動すると、ビューマップ(view map)を左右に動かす方法であり、スケーリングの方法は、視聴者がz軸に沿って表示パネルとの距離が外れたり近づいたときにビューマップの割合を調整する方法である。x軸は表示パネルの画面に対して平行する軸であり、z軸は表示パネルの画面に対して垂直な軸である。しかし、現在までに知られている従来の最適距離の制御方法は、概念(concept)レベルに留まっており、実際の商用化技術レベルに至っていない。従来の最適距離の制御方法は、表示パネル全体で同じアルゴリズムを適用して、おおよそいずれの方向に画素データを修訂しければならないことだけを認識しており、実際の技術適用時に必ず必要なビューマップの設定方法を具体化していない。また、従来の最適距離の制御方法は、光学素子のレンズの屈折率を考慮していないので、不正確である。米国公開特許US 2009/0123030 A1(2009.05.14)は、最適距離の制御方法に関する従来技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、視聴者が最適視聴距離を外れて移動するときに最適な視聴距離で感じる立体感と画質を視聴者に提供することができるマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置とその最適視聴距離の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を果たすために、本発明に係るマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置は、表示パネルの画素アレイの前に配置されるレンズと、センサによって感知された視聴者の位置情報に基づいて前記視聴者の両眼で見えるプライマリビュー画像を第I(Iは正の整数)ビュー画像と第I+1ビュー画像に設定し、前記プライマリビュー画像の中の他のビュー画像を一定間隔で分割されたビュー画像に自動設定して、ビューマップを生成する最適視聴距離の制御装置と、前記最適視聴距離の制御装置から入力されたビューマップに基づいてマルチビュー画像の画素データをマッピングする3Dフォーマッタと、前記3Dフォーマッタから入力されたマルチビュー画像データの画素データを表示パネルに書き込む表示パネル駆動回路を含む。
【0009】
前記マルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御方法は、センサによって感知された視聴者の位置情報に基づいて前記視聴者の両眼で見えるプライマリビュー画像を第I(Iは正の整数)ビュー画像と第I+1ビュー画像に設定するステップと、前記プライマリビュー画像の中の他のビュー画像を一定間隔で分割されたビュー画像に自動設定して、ビューマップを生成するステップと、前記ビューマップに基づいてマルチビュー画像の画素データをマッピングするステップと、前記マルチビュー画像データの画素データを表示パネルに書き込むステップを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、光経路を逆追跡して、視聴者が眺めるサブ画素位置を計算し、そのサブ画素に書き込まれるプライマリビュー画像を設定し、残りの他のビュー画像を一定間隔で自動的に設定する。その結果、本発明は、視聴者が最適視聴距離を外れて移動するときに最適な視聴距離で感じる立体感と画質を視聴者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係るマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御装置を示すブロック図である。
【
図4】レンズと画素アレイに表示されたマルチビュー画像を示す図である。
【
図5】ビューイングジョンと最適視聴距離の例を示す図である。
【
図7】プライマリビューセッティング方法を示す図である。
【
図8】プライマリビューセッティング方法を示す図である。
【
図9】プライマリビュー以外の他のビューを修正する方法を示す図である。
【
図10】3Dフォーマッタから出力されるビューマップデータの一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係るマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置を示す図である。
【
図12】マルチビュー無眼鏡立体映像表示装置のレンズを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置は、液晶表示素子(Liquid Crystal Display、LCD)、電界放出表示素子(Field Emission Display:FED)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、有機発光ダイオード表示装置(Organic Light Emitting Display、OLED 、電気泳動表示素子(Electrophoresis、EPD)などの平板表示素子に基づいて実現することができる。本発明のマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置は、2Dモードで2D映像データを表示し、3Dモードで、マルチビュー3D映像データを表示する。3D光学素子は、レンズを用いて、表示パネルに表示されたマルチビュー画像の光軸を分離する。3D光学素子は、表示パネル上に接着することができる。3D光学素子は、液晶パネルを利用し電気的にレンズを制御するスイッチャブルレンズ(switchable lens)として実現することができる。本願出願人は、米国出願13/077565、米国出願13/325272、大韓民国出願10−2010−0030531、大韓民国出願10−2010−0130547などを通じてスイッチャブルレンズを提案した所がある。
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係るマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御方法を示すフローチャートである。
図3は、本発明の実施形態に係るマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置の最適視聴距離の制御装置を示すブロック図である。
【0015】
図2及び
図3を参照すると、本発明の最適視聴距離制御装置100は光経路逆追跡部102、プライマリビューセッティング部104、ビューマップ調整部106などを含む。最適視聴距離制御装置100は、視聴者の位置情報に基づいて、視聴者の両眼で見えるプライマリビュー画像を第I(Iは正の整数)ビュー画像と第I+1ビュー画像に設定し、プライマリビュー画像の中の他のビュー画像を一定間隔で分割されたビュー番号に自動計算してビューマップを生成する。最適視聴距離制御装置100は、x軸に沿って視聴者が左右に移動したり、視聴者がz軸距離に沿って前後に移動するたびにビューマップを更新する。
【0016】
光経路逆追跡部102は、カメラのような画像センサ、赤外線センサなどのセンサ手段を用いて、視聴者の位置をリアルタイムで感知(sensing)する。そして光経路逆追跡部102は、ADC(Analog-to-digital converter)を介してセンサ信号をデジタル信号に変換し、公知されたアイトラッキングアルゴリズム(eye tracking algorithm)またはフェイス・トラッキング・アルゴリズム(face tracking algorithm)を実行して、視聴者の左目と右目で見える表示パネルのサブ画素間の光経路を逆追跡することにより、視聴者が眺める画素アレイのサブ画素位置をリアルタイムで測定する。(S1及びS2)x軸上の距離の変化は、表示パネルの画面のような平面上で、視聴者が左右に移動するときに、その移動距離を示し、z軸上の距離の変化は、表示パネルの画面と視聴者の間の距離の変化を示す。
【0017】
プライマリビューセッティング部(Primary view setting unit)104は、視聴者が眺めるプライマリビュー画像を設定する(S3)プライマリビューは、視聴者の両眼で見えるサブ画素に表示されるビュー画像のビュー番号である。プライマリビューセッティング部104により視聴者の位置の変化時に視聴者の左目と右目が眺める左目映像と右目映像のビューの違いが正常に立体映像を感じることができるビューの違いに修正される。
【0018】
ビューマップ調整部106は、予め決定されたマルチビュー画像データの形式に合わせてプライマリビューセッティング部104によって修正されたプライマリビュー以外の他のビューを修正し、新しいビューマップ(view map)を生成する(S4)。ビューマップ調整部106から出力されたビューマップは3Dフォーマッタ108に供給する。3Dフォーマッタ(formatter)108は、ビューマップ調整部106から入力されたビューマップに基づいてマルチビュー画像データを生成する。
【0019】
図4は、レンズと画素アレイに表示されたマルチビュー画像を表示する図である。
図5は、ビューイングジョンと最適視聴距離の例を示す図である。
【0020】
図4および
図5を表示すると、表示パネル10の画素アレイには、ビューマップに基づいてマッピングされたマルチビュー画像データが表示される。
図4の例において、マルチビュー画像データは、 9ビュー画像データの例であるが、これに限定されない。たとえば、マルチビュー画像データは、N (Nは4以上の正の整数)の画像データで有り得る。9ビュー画像の場合、画素アレイ上には4.5つのビュー画像上にレンズの1ピッチ(P)が配置されるようレンズ20が配置される。レンズ20は、レンズ曲面によって異なる屈折角で4.5つのビュー画像のそれぞれの光軸を分離する。
【0021】
図4において、画素アレイのサブ画素に表示される数字は、マルチビュー画像から何番目のビュー画像かを示すビュー画像の番号である。たとえば、‘1’は、第1ビュー画像、‘2’は、第2ビュー画像、‘3’は、第3ビュー画像 ‘4’は、第4ビュー画像をそれぞれ示す。
図5において菱形の領域は、ビューイングゾーン(Viewing zone)を意味する。菱形の領域内の数字は、ビューイングゾーン内に見られるビュー画像を示す。一般的に、最適視聴距離(OVD)に視聴者が位置する際に、単一のビューイングゾーンに1つのビュー画像が認識されるため、立体映像を正常に鑑賞できる。例えば、視聴者が、
図5で最適視聴距離(OVD)に位置して表示パネル10の画面前方中央に位置する時視聴者は左目で第3ビュー画像だけを見るようになり、右目で第4ビュー画像だけを見るようになり両眼視差を感じる。最適視聴距離(OVD)を超えるビューイングゾーンで、1つのビューイングゾーンには、複数のビュー画像が一緒に見えるようになる。例えば、視聴者が最適視聴距離(OVD)を外れて表示パネル10からさらに外れると、
図5のビューイングゾーン‘43’と‘54’のように左目で、第3及び第4のビュー画像を一緒に見るようになり右目で第4及び第5ビュー画像を一緒に見るようになって3Dクロストークを感じて立体映像を正常に感じることができず、めまいや疲れを感じる。本発明の最適視聴距離の制御方法は、視聴者がx軸、z軸に移動する時、ビューマップを修正して、視聴者がどの位置に移動しても、正常な立体映像を鑑賞できるようにする。
【0022】
光経路逆追跡部102は、センサ手段によって感知された視聴者のx軸、z軸の位置の入力を受けて、視聴者の目とサブ画素間の光経路を逆追跡する。このため、光経路逆追跡部102は、
図6のようにスネルの法則(snell's law)を利用し、視聴者の目と表示パネルとの間の屈折角(θn)を計算し、その屈折角(θn)に基づいて、視聴者位置から見えるサブ画素の位置(xn)を計算する。数式1は、スネルの法則で計算される屈折角(θn)であり、数式2は、視聴者の位置(xp 、yp)で見られるサブ画素の位置(xn)である。光経路逆追跡部102は、公知された光経路逆追跡アルゴリズムを利用することができる。
【0023】
図6において、θiは、レンズ20の入射角である。(xt、zt)、(xp、zp)は、視聴者の目の位置である。xtとxpは、x軸上での視聴者の目の位置であり、ztとzpは、z軸上での視聴者の目の位置である。Kiは(Xp、Yp)を用いた視聴者の目とレンズの中心間の実際の距離である。Sは表示パネル10とレンズ20との間の背面距離である。KnはXnとSを用いて、視聴者が見るサブ画素の位置とレンズの中心との実際の距離である。Pは、レンズピッチであり、pは画素ピッチである。lは、表示パネル10の画素アレイの中心に基づいてレンズの位置を示す変数である。画素アレイの中心から遠くなる方向にレンズ変数lは1ずつ増加する。画素アレイの中心に基づいて左右のレンズ変数lの符号は異なる。
【0026】
プライマリービュー設定部104は光経路逆追跡部102によって計算された視聴者の目に見えるサブ画素の位置情報(xn)の入力を受ける。したがって、プライマリビューセッティング部104は、視聴者がx軸及びz軸方向に移動するときに、視聴者の左目と右目で眺める画素が画素アレイ上のどの位置に存在するサブ画素であるかわかる。プライマリビューセッティング部104は、視聴者の位置の変化に応じてオリジナルビューマップで視聴者の両眼で見えるプライマリビュー画像を設定する。たとえば、プライマリビューセッティング部104は、オリジナルビューマップで
図7のように視聴者の単眼(左目または右目)で見えるサブ画素に表示されるビュー画像を第I(Iは正の整数)ビューに変更し、視聴者の他の単眼(右目または左目)で見えるサブ画素に表示されるビュー画像を第I+1ビューに変更する。
図7において 、A:ビュー1は、視聴者の単眼(A)で見える第1プライマリビュー画像であり、B:ビュー2は、視聴者の他の単眼(B)で見える第2プライマリビュー画像である。
【0027】
プライマリービューセッティング部104は、視聴者が眺める画素に表示されるビュー画像をさらに正確に計算するために、次のようにプロセスを介してプライマリビュー画像を小数値のビューに変更することができる。以下の小数値のプライマリビュー画像修正方法は、プライマリビューが整数で表現されても、十分なシステムの場合に省略することができる。
【0028】
プライマリービュー設定部104は光経路逆追跡部102から入力されたサブ画素の位置情報(xn)と予め決められた画素ピッチに応じて視聴者が眺めるサブ画素の位置を1より小さい小数値で正確に認識することができる。プライマリビューセッティング部104は、数式3及び4を用いて、視聴者が眺めるサブ画素内の位置が、そのサブ画素の中心位置を外れると、中心位置からの距離が小数値に反映されたプライマリビュー画像を設定することができる。たとえば、θn=80°、p(pixel pitch )=125μm 、l=100、S=2940のとき数式2でxn=11981である。l=100である第100サブ画素の中心位置pcが11,944μmのとき、数式3においてxn−pcに計算されるサブ画素の中心位置から外れた位置D=37である。プライマリビューセッティング部104において既に整数値に修正された第100サブ画素のプライマリビュー画像のビュー番号をview’とする時、上で計算した値を数式3に代入すると、新しいビュー(View
new)は、View
new=1+0.21=1.21である。小数値のビュー画像データは、補間の方法を介して整数値のビュー番号を持つ画素データの値に計算される。
【0030】
ビューマップ調整部106は、
図9に示すように、プライマリビューセッティング部104によって設定されたプライマリビュー画像の以外の他のビュー画像を設定する。ビューマップは、視聴者の左目と右目のそれぞれに1つのビュー画像だけが見えることが理想的であるが、隣接する他のビュー画像がいくつか見えることができる。このため、ビューマップは、プライマリビュー画像のみ修正しなくプライマリビュー画像の以外の他のビュー画像もあらかじめ決められたオリジナルビューマップで定義されたビューの違いを維持することが望ましい。ビューマップ調整部106は、プライマリビュー画像の中の他のビュー画像をオリジナルのビュー画像で定義されたビューの違いで設定する。このため、ビューマップ調整部106は、数式4を用いてプライマリビュー画像の間の他のビュー画像のビュー番号を一定の間隔に分けて自動計算する。プライマリビュー画像が整数値に設定されると、
図9のビュー画像は、整数値のビュー画像で決められる。
【0032】
ここで、kはプライマリビュー画像間の他のビュー画像の中からk番目のビュー画像を示す変数である。Nはビューの数である。
図9の例において、、Nは5である。ビュー1は、第Iプライマリービュー画像のビュー番号であり、ビュー2は、第I+1プライマリビュー画像のビュー番号 である。
【0033】
図9において、プライマリビュー画像の間に配置された3つのビュー画像のkはk=1、k=2、k=3である。したがって、数式4によりプライマリビュー画像の以外の他のビュー画像はView
new_1=2.34+0.96=3.30、View
new_2=2.34+0.96*2=4.26、View
new_3=2.34+0.96*3=5.22に設定される。
【0034】
3Dフォーマッタ108は、最適視聴距離制御装置100から受信したビューマップに基づいて、表示パネル10の画素アレイに表示されるマルチビュー画像のデータを整列する。3Dフォーマッタ108は、ビューマップのビュー番号が整数であれば、その整数目の画像のデータを、そのビューマップのビュー番号が指示する画素位置にマッピングする。そして3Dフォーマッタ108は、ビューマップで定義されたビュー番号が小数を含むとき、以下の数式5のように補間(interpolation)して小数を含むビュー番号が指示する画素位置にマッピングする。一例として、ビューの値の小数部分が0.4であると、第1ビューの画素データ×0.4+第2ビューの画素データ(R2)×0.6で計算される。3Dフォーマッタ108から出力されたマルチビュー画像データフォーマットの画素データは、表示パネル駆動部に伝送される。
【0036】
ここで、R
resultは、補間された画素データ、R
1は、第1ビューの画素データ、R
2は、第2ビューの画素データ、0.xで、xは小数部の正の整数をそれぞれ示す。
【0037】
図11は、本発明の実施形態に係るマルチビュー無眼鏡立体映像表示装置を示す図である。
【0038】
図11を参照すると、表示パネル10、表示パネル駆動部、レンズ20、レンズ駆動部22、センサ手段32 、最適視聴距離制御装置100などを含む。
【0039】
表示パネル10には、データライン11とゲートライン(またはスキャンライン)12が直交し、画素がマトリクス形で配置された画素アレイを含む。画素アレイは、
図10のようなマルチビュー画像が表示される。画素の各々は、赤色、緑色、青色(RGB)のサブ画素に分割される。画素アレイ(PIX)は、2Dモードで2D映像を表示し、3Dモードで、左目映像と右目映像を表示する。
【0040】
表示パネル駆動部は、最適視聴距離制御装置100から受信されたマルチ画像データ形式の画素データを表示パネル10の画素アレイに書き込む。ここで、画素データはデジタルデータである。表示パネル10のデータライン11に2D/3D映像のデータ電圧を供給するためのデータ駆動回路32と、データ電圧に同期されるゲートパルス(またはスキャンパルス)を表示パネル10のゲートラインの12に順次供給するためのゲート駆動回路34、データ駆動回路32とゲート駆動回路34の動作タイミングを制御するためのタイミングコントローラ36を含む。
【0041】
データ駆動回路32は、タイミングコントローラ36から入力される画素データ(RGB)をアナログガンマ電圧に変換して、データ電圧を発生し、そのデータ電圧を表示パネル10のデータライン11に供給する。ゲート駆動回路34は、タイミングコントローラ36の制御下にデータライン11に供給されるデータ電圧と同期するゲートパルスをゲートライン12に供給し、そのスキャンパルスを順次シフトさせる。
【0042】
タイミングコントローラ36は、最適視聴距離制御装置100から入力される画素データをデータ駆動回路32に伝送する。タイミングコントローラ36は2D/3D入力映像のデジタルビデオデータ(RGB)と同期してホスト・システム110から入力された垂直同期信号、水平同期信号、データイネーブル信号、メインクロックなどのタイミング信号を受信する。タイミングコントローラ36は、受信したタイミング信号を用いて、データ駆動回路32とゲート駆動回路34の動作タイミングを制御するためのタイミング制御信号を発生する。タイミング制御信号は、データ駆動回路32の動作タイミングを制御するためのソースタイミング制御信号(DDC)、ゲート駆動回路34の動作タイミングを制御するためのゲートタイミング制御信号(GDC)を含む。タイミング制御信号は、レンズ20がスイッチャブルレンズに実現される場合に、スイッチャブルレンズ制御信号をさらに含むことができる。
【0043】
タイミングコントローラ36は、入力映像のフレームレート×N(Nは2以上の正の整数)Hzの周波数でフレームレートを上げて駆動回路(32、34)とレンズ駆動部22の動作周波数をN逓倍されたフレームレートで制御することができる。入力映像のフレームレート(frame rate)は、NTSC(National Television Standards Committee)方式で60Hzであり、PAL(Phase - Alternating Line)方式で50Hzである。
【0044】
最適視聴距離制御装置100は、センサ手段102により感知された視聴位置の変化時に、前述した方法でビューマップを更新する。3Dフォーマッタ108は、最適視聴距離制御装置100によって設定されたビューマップに基づいてホスト・システムから入力されるマルチビュー画像の画素データをマッピングしてタイミングコントローラ36に伝送する。
【0045】
レンズ20は、表示パネル10の前に配置され、マルチビュー画像のそれぞれの光軸を分離する。レンズ20は、液晶のような複屈折媒質、電極などを含み、レンズ駆動部22によって電気的に駆動され、ビュー画像の光軸を分離するスイッチャブルレンズに実現することができる。スイッチャブルレンズは、レンズ駆動部22から印加される電圧に応じて液晶分子を駆動させ、3Dモードで表示パネル10の画素アレイに書き込まれる画素データと同期して液晶層にレンズを実現し、2Dモードで、レンズを除去することができる。
【0046】
レンズ駆動部22は、タイミングコントローラ36の制御下にスイッチャブルレンズを駆動する。レンズ20が電気的に制御されないフィルムレンズの場合、レンズ駆動部22は省略される。
【0047】
ホストシステム110は、TV (Television)システム、セットトップボックス、ナビゲーションシステム、DVDプレーヤー、ブルーレイプレーヤー、パーソナルコンピュータ(PC)、ホームシアターシステム、携帯電話システム(Phone system)のうちいずれか1つに実現することができる。ホストシステム110は、スケーラー(scaler)を用いて、2D/3D入力映像のデジタルビデオデータを表示パネル(PNL、100)の解像度に合うフォーマットに変換し、そのデータと一緒にタイミング信号をタイミングコントローラ36に伝送する。
【0048】
ホストシステム110は、2Dモードで、 2D画像データを最適視聴距離制御装置100と3Dフォーマッタ108を介してタイミングコントローラ36に伝送するものの、3Dモードで、マルチビュー画像データを最適視聴距離制御装置100と3Dフォーマッタ108に伝送する。ホスト・システム110は、テレビシステム、ホームシアターシステム、ナビゲーションシステム、DVDプレーヤー、ブルーレイプレーヤー、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話システム(Phone system)のうちいずれか1つで実現することができる。
【0049】
以上説明した内容を通じて、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範囲で多様な変更及び修正が可能であることが分かる。したがって、本発明は詳細な説明に記載した内容に限定されるのではなく特許請求の範囲によって決められなければならない。