(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源からの光で照明された領域への1つ以上のユーザの接触を受信すること、前記ユーザの接触に応答してスイッチを作動させること、高機能モードにおいて、前記スイッチの作動に応答して前記除細動装置の動作を変更することをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書は、医療用体外除細動装置がBLSモードとALSモードの両方で対話を提供できる機構について説明する。ここで説明する技術は、比較的未熟な使用者も除細動装置を操作することができるように、便利なBLSモードでの動作を備えた技術である。例えば、ユーザが圧倒されたり困惑することがないよう、ALSモードで好適な機能をBLSモードでは隠すことができる。特定のこうした機能は、ユーザが除細動装置の動作に作用するように操作し得る物理的実体によって発現できるが、これらは物理的であるため、電子的に(例えば、画面上に表示しない)ではなく物理的に(例えば、上からカバーをかける)隠蔽する必要がある。
【0017】
1つの例として、除細動装置がBLSモードにある時には、特定の通知メッセージまたは警告メッセージを除細動装置のユーザから隠すことができる。これらのメッセージは単純に除細動装置の状態を示すものであってもよく、さらに、ALSモード時には、除細動装置を操作する上でユーザが選択できるボタンを表示し、BLSモード時にはこれを表示しないようにすることが可能である。また、除細動装置がBLSモードにある時には、ユーザが回すことで除細動装置が送出するエネルギーのレベルを調節できるノブ等の特定の物理的制御部にカバーをかけることができる。特に緊急生命維持の訓練を受けていない介護者にとっては、こういったノブは何の意味も持たない。ノブをカバーするドア用のラッチ機構を、除細動装置をBLSモードからALSモード(または、例えばALSモードにおけるペーシングモード)への切り替えに用いる機構に接続することで、ユーザ(例えば、経験の浅い介護者から処置を引き継いだ、高度の訓練を受けた介護者)が切り替え機構を移動させると、ラッチ機構がドアを「蹴り」開け、邪魔にならない場所にどける。これらの機構(電子的遷移と機械的遷移)は両方とも、便利で、部分的な機能のみのBLSモードから全ての機能を有するALSモードへの基本的に自動の遷移を提供するために使用できる。
【0018】
図1Aは、基本の生命維持モードにあるデュアルモード型の除細動装置102の前部を示す。
図1Bは、同じデュアルモード除細動装置102の前部を示すが、この場合、装置は高次生命維持モードにある。いずれの図面も、介護者が除細動装置102を操作する際に見ることができる多数の機能を備えた除細動装置102の前面を示している。ユーザは、除細動装置102が現在いずれの状態またはモードにあるかを、例えば
図1Aのインジケータ122で見ることができる。同図では、インジケータは装置がオン状態にあり、自動式体外除細動装置(またはAED)をBLSモードで使用できることを示している。
図1Bでは、ノブ116を反時計方向へ2目盛り回して「ペーサ(PACER)」に合わせることで、装置がペーサ付きALSモードに変更されて、さらに多くのインジケータおよび制御部が示されている。
【0019】
次に、除細動装置102の両モードで見られるアイテムをより詳細に参照すると、除細動装置102のユーザにテキストとグラフィックによる情報をダイナミックな方式で提供することが好ましい電子ディスプレイ104を示している。この電子ディスプレイ104は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、有機発光ダイオード(OLED)、または他の適切な電子ディスプレイ技術の形態であってもよい。BLSモードでは、例えば、ディスプレイ104をやや簡素にし、発症患者の生命維持を行う全工程にわたってユーザを案内するテキストを提供することができる。例えば、発症患者に胸部圧迫を施す場合には、ディスプレイ104は状況に応じ(例えば、組立品の内部に電極と共に設けられた、また、ハウジング内に格納され、ユーザによって発症患者の胸部に対し押圧される加速度計を介して検知した結果に従い)、患者に電極を取り付ける、CPR(心肺蘇生法)を施す、より強くまたはよりソフトに圧迫する、より速くまたはよりゆっくりと圧迫する、といった指示をテキストまたは簡単なグラフィックでユーザに対して提示することができる。ディスプレイ104上での、こうした指示に、除細動装置102に内蔵されたスピーカを通した口述指示を付け加えることも可能である。本ユニットは、起動時に自動的にBLSモードになり、その後、ユーザがALSモード(およびベーシングモード)に変更し得る。
【0020】
ALSモードでは、ディスプレイ104は追加の、場合によっては非常に詳細な情報をユーザに提供できる。例えば、ディスプレイは、患者のECG、過去に設定された期間にわたるCPR胸部圧迫のグラフ、CPR施術の総経過時間、発症患者の脈拍、および患者に取り付けた電極パッドに関する情報を表示できる。
【0021】
これに加え、ディスプレイ104の下方縁に、ディスプレイ104の下に1列に並んだ複数の選択キー114(ソフトキー)の列に対応したテキストまたはグラフィックによるラベルを提示してもよい。そのため、例えば、除細動装置102に関する追加の情報を見るか、あるいは除細動装置102を制御するパラメータを変更するために、この1列のラベルによりラベルに関連付けて整列しているキーをユーザが押すことで選択できるトピックのメニューが用意される。
【0022】
選択キー114の隣には非侵襲性血圧(NIBP)ボタン112がある。このボタン部を選択すると、除細動装置102が発症患者の血圧を測定し、その結果がディスプレイ104上に表示される。
【0023】
両モードにおいて、除細動装置102の頂部に沿って多数のさらなるインジケータが表示される。例えば、電池インジケータ106を、電池残量が低下した場合に点灯または点滅させることで、ユーザがこれに従って発症患者の処置を調整したり、除細動装置102用のAC電源を探せるようにしてもよい。携帯電話において広く用いられている技術で、電池が電池残量レベルに対応した度数にまで「充電」されている画像を示すことにより、電池レベルをアイコン上に表すこともできる。1つの実施において、定常点灯の黄色インジケータは電池が充電中であることを示し、定常点灯の緑色インジケータは充電完了を示し、黄色インジケータと緑色インジケータの交互の点灯は電池が設置されていないか、または充電不良の発生を示す。
【0024】
上述と類似の方式で、除細動装置102をAC電源につないだ際にAC電源インジケータ108を点灯させることができる。除細動装置102を電源につないでいない時には、インジケータを表示しても、点灯しないようにすることで、ユーザは除細動装置102を電源につなぐことが可能である旨を知ることができる。
【0025】
除細動装置102が動作の準備ができると、最新の自己診断運転に基づいて、コード準備度インジケータ110が点灯される。緑色のチェックマークは、本ユニットが治療への使用の準備ができたことを示し、赤い「×」は、除細動装置102の準備度が危うく、治療への使用の準備ができていない可能性のあることを示す。
【0026】
除細動装置102のユーザは、モード選択ノブ116を把持して回転させることで、除細動装置102の動作モードを選択できる。このノブは通常は「オフ」位置に合わせておいてもよい(ノブ116の背突起上の矢印インジケータが示すとおり)。
図1Aでは、ユーザがノブを時計方向に回して矢印インジケータが「オン」位置を指すように合わせる。「オン」位置に合わせることで、除細動装置102が、AEDインジケータ122によって示されるように半自動AEDとして動作する。
【0027】
図1Aに見られるように、このBLSモードでのユーザインターフェースは非常に厳密である。このようなモードでは、ユーザは、多くの訓練を積んでいて除細動装置102を精密に制御できるユーザとは期待されていない。そのため、ユーザへの十分な案内がディスプレイ104に表示され、恐らくはこれと組み合わせて音声による指示も提供される。また、この例では、除細動装置102を他モードに切り替えるオプションさえユーザに提示していない。
【0028】
図1Bでは、ユーザはノブ116を反時計方向へ回し、「オフ」位置を超えて、これまでは隠されていた「ペーサ」位置に合わせている。「ペーサ」は除細動装置102の手動ALSモードの一部であってもよい。ALSモードの使用を望むこととなろう、そしてこのモードを使用できるであろうユーザは、高度な訓練を受けており、除細動装置102に非常に精通しているので、このモードが利用できることを知っていると推測される(しかし、このモードを除細動装置102上に表示しておくことも可能である)。
【0029】
ユーザがモードをALSモードに切り替えると、それに対応して多数の変更が見られる。例えば、除細動装置102がBLSモードにある時には、ノブ116の上のディスプレイ領域は無表示になっている。しかし、次に除細動装置102をALSモードにすると、ディスプレイ領域に多数のラベルが現れるが、これはユーザがノブ116をALSモードに切り替えると、装置内のマイクロプロセッサおよび関連の回路が、高度の訓練を受けた救助員に関係あるが、そこまでの訓練を受けていない救助員には関係のない多数の機能を実行できるようにする。例えば、ディスプレイ領域(ユーザが選択できる領域を含む)には、除細動装置102の電極に印加された電力レベルに関するパラメータ、また、ECG関連の機能の読み出しおよび制御に関するパラメータについての情報を表示することができる。
【0030】
また、除細動装置102の下方隅にある2つの隣接するノブ134、136を予めカバーしたぺーサーカバー124を下方かつ除細動装置102ハウジングの下に旋回して、ノブ134、136が露出される。ノブ134は、除細動装置102に取り付けた電極がペーシング出力を提供する際に、その電力出力を制御する。ペーシングを選択すると、ノブ136によりペースメーカの動作速度(パルス/分)が設定される。次いで、選択したペーシング速度設定がディスプレイ104上に表示される。
【0031】
除細動装置102は、こうした前部を示す図では見られない更なるコンポーネントを設けていてもよい。例えば、パッケージ電極および関連するフィードバック機構(例えば加速度計ベースの変位測定システム)を除細動装置102の側部に物理的に取り付けたり、予め除細動装置102に電気的に取り付けておくことで、緊突然の状況で除細動装置102をより迅速に展開できるようになる。さらに、除細動装置102のハウジング内に記録紙レコーダを格納することもでき、これは例えばUSBポートやWiFi無線インターフェースなどの電子記録機構および電子データ伝送コンポーネントのようなものであってもよい。
【0032】
図2Aは、「オフ」位置にあるデュアルモード除細動装置の制御パネルを示す。
図2Bは、自動モードにあるデュアルモード除細動装置の制御パネルを示す。
図2Cは、手動ペーシングモードにあるデュアルモード除細動装置の制御パネルを示す。これらの図面は、概して、
図1A、
図1Bに示した、AEDまたはBLSモードにおけるオフ状態、及びペーシング付きの手動またはALSモードにある除細動装置102の制御パネル領域を示すものである。
【0033】
図2Aを参照すると、モード設定ノブ204は「オフ」位置206に向いている。除細動装置はこの位置では電源オフとなり、同装置の標準的な自動診断機能のみが有効となる。さらに、ノブ204の上のディスプレイ領域は無表示状態であり、除細動装置の前部においてペーシングカバー202が閉じている。
【0034】
図2Bでは、除細動装置のユーザによってノブ204が時計方向に回され、「オン」位置に合わされている。これによりディスプレイ領域上のインジケータが点灯することで、ディスプレイ領域の前面の裏に文字「AED」と印刷されたテキストが表示される。このようなテキストは、除細動装置がこの文字が示すモードで自動式体外除細動装置として動作中であることを伝えることを意図している。ペーシングカバー202は、AEDのユーザはこうした機能を利用する必要がなく、またその機能が提示されていても、その機能をどうしていいのか困惑してしまう可能性があるので、ここでも閉じたままである。こうして、BLSまたはAEDモードにある本装置のユーザにとって、この制御パネルの見かけがシンプルになることで、ユーザは、より高度な介護者が到着するまで、基礎的な治療の提供に集中することができる。
【0035】
図2Cでは、ユーザは除細動装置をペーシング付きのALSモードに切り替えている(同図では、ノブ204は「オン」位置を指した状態で示されているが、通常、ノブ204が「ペーサ」位置を指すようにユーザがノブ204を反時計方向に回した時にALSに切り替えられる)。
【0036】
このモードでは、「電力選択(ENERGY SELECT)」インジケータ216が、ユーザが選択できる2つの下層のボタンと共に初めて表示される。インジケータ216とこれらのボタンによって、ユーザは、電気ショックの伝達時に除細動装置が送出する電力レベルを制御できるようになる。電流レベルは、ディスプレイ104等の電子ディスプレイ上に反映される。ユーザは右手を除細動装置の縁に置いて装置を握り、親指を、電力レベルを上げるための上向き矢印、あるいは下げるための下向き矢印のいずれかの上に配置する。以降でさらに十分に説明するように、ユーザが押圧する領域の裏側にスイッチを設け、このスイッチの周囲に照明を提供することができる。このような照明により、インジケータ216が、除細動装置の前部に位置するユーザに対して基本的に不可視な状態から、照明時の十分に可視の状態へと移行する。
【0037】
インジケータ214は、インジケータ214の裏側の照明部が点灯すると現れる各長方形部分をユーザが押すことで選択される「分析(ANALYZE)」オプションと「充電(CHARGE)」オプションとを示している。ユーザが「充電」ボタンを押すと、除細動装置が、選択された電力値にまで充電される。除細動装置の主ハウジングから外れた場所、例えば電極パドルハンドル上に別の充電ボタンをも配置してもよい。ユーザが「分析」ボタンを押すと、発症患者に除細動可能なリズムが存在するかどうかを判断するために、除細動装置がECG分析を開始する。
【0038】
高度かつ広範囲な訓練を受けた介護者であろうユーザが、上記以外の4つのインジケータ212から成る列を使用することで、手動またはALSモードでのさらなる制御が可能になる。例えば、「導線(LEAD)」インジケータ/ボタンは、表示および印刷されるべきECGソースを選択する。このボタンを押すと、多種多様な導線構造から導出されるECG信号が表示のために順次選択される。「サイズ(SIZE)」インジケータ/ボタンは、除細動装置用の電子ディスプレイ上に表示されるECGの振幅スケールを選択する。利用可能なサイズには、例えばミルボルト毎に0.5、1、1.5、2、3センチメートル(cm/mV)が含まれる。
【0039】
「警告音保留(ALARM SUSPEND)」インジケータ/ボタンは、全ての警告音機能を作動、停止、音声一時停止させる。警告音機能が有効になると、除細動装置の電子ディスプレイ上にベル記号が現れる。警告音を音停止または常時停止のいずれかにした場合には、このベル記号の上に「×」が現れる。
【0040】
「レコーダ(RECORDER)」インジケータ/ボタンは、除細動装置に設けた記録紙レコーダを開始または停止させる。このボタンを押し続けることで、除細動装置を診断ECG帯域幅(0.05〜150Hz)に切り替えることができ、このような診断帯域幅が「レコーダ」インジケータ/ボタンを押下し続ける間維持される。このインジケータ/ボタンを解除すると、本ユニットは標準の監視帯域幅に戻る。
【0041】
したがって、本装置を始めて使用するユーザは、これらの機構により、ユニットをオン位置に切り替えるよう案内される。この理由は、初めてのユーザに対して最初に示される利用可能なオプションはこの案内のみであるからである。次に、より徹底した訓練を受けたユーザは、本装置を手動モード(およびペーシングモード)に切り替えることで、平坦なフロントパネルディスプレイの下に特別のインジケータを表示させ、また、入力に使用するために、各表示位置に対応した特定のスイッチまたはボタンが監視されるようにする。
【0042】
デュアルモード型の体外除細動装置用の制御およびディスプレイパネルの展開図を示す。この図は概して、
図1A、
図1B、
図2A〜
図2Cに示したディスプレイ領域の、除細動装置300の表面の裏側に採用されるコンポーネントを示す。このようなコンポーネントは、除細動装置300が第1モードにある時には、除細動装置300のユーザが特定のインジケータおよび関連するボタンを見ることができないようにするが、しかし、除細動装置300が第2モードにある時、および、除細動装置300のハウジングの内側からの照明光がディスプレイ領域の表面を通って除細動装置300の正面上に伝播されている時には、これらのインジケータを表示させるものである。
【0043】
次に、この組立品を構成する各々の関連層について、図の左側に示す除細動装置300の前部から右側に示す除細動装置300のハウジングの内部へ向かって説明してゆく。この例における第1コンポーネントはフロントパネルオーバレイ部302である。オーバレイ部302は、透明または半透明のプラスチック膜あるいはシート等の形態をした、薄く、比較的平坦なカバー層を含んだ多層組立品である。カバー層は、ビロード質感のポリエステルフィルム、または類似の選択的透過性材料で裏打ちしてもよい。この選択的透過性層の裏には、インク層または類似構造の層を設けることができる。このインク層は、照明されて区画部分が現れた際にユーザに対して表示されるテキストまたはグラフィックを画定している。この方式で、テキストまたはグラフィックを、裏側から照明されていない時には「デッドフロント」装置にて隠し、オーバレイ部302の裏側から照明されている時には見えるようにしてもよい。
【0044】
オーバレイ部302の後ろにはフロントパネル304がある。パネル304が可撓性のオーバレイ部を固定するように機能することで、オーバレイ部はユーザに比較的平坦な面として見えるが、オーバレイ部302の表面上で選択を行うために、ユーザがオーバレイ部の各領域を押し、軽く窪ませることが可能となる。パネル304は、特定の場所において貫通孔が形成された、射出成型による比較的硬質のプラスチック構造物であってもよい。貫通孔をオーバレイ部302のディスプレイ領域の表面上に現れるボタンに対応するように位置決めすることで、これらの領域で照明光がパネル304を通過でき、また、ユーザの入力が、この貫通孔を介して、後方のボタンまたは他の構造部に伝達され、さらに除細動装置300のハウジング内部へ伝達される。
【0045】
通常、パネル304の裏側にある1つ以上のシート上に多数の可撓性タイル306を設けることができるが、これらの可撓性タイルはパネルの貫通孔を通って前方へ延び、オーバレイ部302の裏面に接近するか、その裏面と接触してもよい。可撓性タイル306はシリコン等の光透過性材料からできていてもよい。さらにパネル304を、裏側から入来する光を拡散するように機能させることで、ユーザに対してオーバレイ部302の前面上に表示されるグラフィックまたはテキストがより均質に照明される。
【0046】
可撓性タイル306の裏側には可撓性回路基板308が取り付けられており、また、この基板上には複数の発光ダイオード314が搭載されていてもよい。除細動装置300に内蔵されたマイクロプロセッサ、メモリ、関連する回路、およびソフトウェアによって、ユーザが除細動装置300で設定したモードに応じ、ダイオード314を適時に照明するように制御できる。このような照明は、上で挙げた図面に示す基準に従って行われる。可撓性回路基板308は様々な適切な形状であってもよく、また基板に様々な開口部が形成されてもよい。ユーザがオーバレイ部302の前面に接触して加えた力は、この開口部を通り、除細動装置300のハウジング内の可撓性回路基板308よりもさらに後方に配置されている組立品内部のコンポーネントにまで容易に伝わることとなる。
【0047】
可撓性回路基板308の裏側には、フロントパネル304と同様、比較的可撓性の低い、射出成型されたプラスチック製のコンポーネントである内部枠310が設けられており、この内部枠310は可撓性回路基板308を裏側から支持し、また、様々な作動装置316を設けている。作動装置316は、伸長構造部であり、かつオーバレイ部302の前面にあるユーザが選択可能なボタンと整列した内部枠310の各穴の中に配置される。作動装置316は、ユーザがボタンの1つを押して加えた力を、組立品の後部に位置する回路基板320上に搭載されている押しボタンスイッチ318へと後方へ伝えるように働く。こうすることで、ユーザは好ましいフィードバックを得られ、またオーバレイ302上の選択部分を比較的長い時間押し続けることができ、さらに、特定の状況では、選択が確実に行われた時にカチッという音やその他の特定の触覚フィードバックを得ることができる。さらに、除細動装置300が選択を認識し、マイクロプロセッサがこの選択を登録するのに併せて、電子的フィードバック機構(例えば除細動装置300のスピーカに振動や可聴音を送る)を提供するようにしてもよい。
【0048】
回路基板320は、スイッチ318以外にも様々なコンポーネントを設けることができる。例えば、ディスプレイ領域の上の、除細動装置300の頂部に設けたインジケータ用の発光コンポーネントを、回路基板320上に設けてもよい。さらに、適切な実施において、様々な論理回路、メモリ、プロセッサを回路基板320上に搭載することができる。また、例えば、説明したところの様々な照明式ディスプレイの領域の周囲において、除細動装置300の前面から接触できるノブを位置決めできるように、回路基板320を様々な場所で遮断することも可能である。
【0049】
最後に、説明したところの調整ノブと組立品の隣にはフロントパネルディスプレイ312が配置されており、このフロントパネルディスプレイ312は、例えばLED、LCD、OLED、または類似のアクティブディスプレイの形態であってもよく、ユーザへの指示および除細動装置のリアルタイムパラメータを表すユーザ・カラー・グラフィックを提供できる。ディスプレイ312に表示される情報を選択された装置モードと連携させることで、例えばディスプレイ312が、除細動装置がBLSモードにある時には基本的な指示のみを、ALSモードにある時にはより完全なデータを示すようにすることが可能である。
【0050】
こうすることで、複合ユーザインターフェースを除細動装置のユーザに提供でき、この複合インターフェースは、アクティブディスプレイ(タッチスクリーンディスプレイであってもよい)、ユーザが把持することができるノブおよびスイッチのうちの少なくとも一つ、立体型のユーザが選択可能なボタン、そして、除細動装置が或るモードにある時にはユーザへの情報を表示するが、別のモード(1つ以上の)にある時にはユーザへの情報を表示しない、裏側から照明されるタイプのインジケータおよびボタンのうちの少なくとも一つ、のあらゆる適切な組み合わせであってもよい。
【0051】
図4は、医療装置のディスプレイのための照明機構400の断面図を示す。照明機構400は
図3に示したコンポーネントのサブセットを設けていてもよく、このコンポーネントのサブセットは除細動装置のハウジング内に格納されるため、ここではこれを上から見た断面図にて示している。
【0052】
同図の頂部における組立品400の前面から開始すると、フロントパネルオーバレイ部402が設けられている。オーバレイ部402は、オーバレイ部の裏側で光が発生していない時にはオーバレイ部の前面からは見えないが、光がオーバレイ402を通過すると表示を提供する複数の層を含む。例えば、第1層は、単純に透明またはほぼ透明のプラスチックシートであってもよく、このシートは、除細動装置や他の医療装置に設けられた機能部分を作動させるべく、オーバレイ部402を押圧するユーザに対し、適切な頑丈さと快く感じる手触りとを提供できるよう、フィルムのように薄いか、または比較的厚いものであってもよい。第1層は、ビロード質感のポリエステルフィルムまたは類似の選択的透過性材料で裏打ちされ、これによって医療装置には、特定の区画部分内に光が当たっていない時に「デッドフロント」が提供される。「デッドフロント」とは、区画部分内に光が当たっている時にはユーザが容易に見ることができるテキストまたはグラフィックの表示を、照明されていない時には最大でも非常にかすかにしか見えないようにするものである。
【0053】
選択的透過性層の後ろに、区画部分に光が当たるとユーザに対して表示されるテキストやグラフィックを画定するインク層または類似の構造の層を設けることができる。
例えば、この層は、除細動装置の状態またはパラメータを表すアイコンをユーザに対して示すことができる。この層はまた、ユーザが特定の領域を押すことでパラメータを変更できるとの表示を含むさらなる通知をユーザに提供するテキストを設けていてもよい。例えば、矢印形のアイコンは、このアイコン上を押すと、本装置上で動作しているマイクロプロセッサがアイコンに関連したパラメータを増減させるということをユーザに示す。
【0054】
オーバレイ部を支持するため、さらに、本装置の前面上に配置されたキーおよびインジケータ領域のうちの少なくとも一つにそれぞれ対応した複数の基本的に遮光性の区画部分を画定するために、フロントパネル404を設けている。これらの区画部分により、特に、ディスプレイ(例えば、
図3のフロントオーバレイ部302上にあるディスプレイ)のフロントパネル上の特定領域を、このディスプレイの裏側に設けた光源を選択的に作動させることで、選択的に可視化することができる。
【0055】
フロントパネル404の区画部分を対応するシリコンタイル412の各部分で充填し、光がタイル412を、そしてフロントパネル404に設けた開口部および区画部分を通過できるようにする。シリコンタイルの裏面の縁(
図4の底部)に反射層を設けてもよく、この反射層は、塗料や、シリコンに接着させた反射フィルム(例えば白色の「マイラー(Mylar)」)から成る。この反射層は、シリコンタイル412に入来する光を前方へ反射させて区画部分を通過させ、さらにオーバレイ部402を通過させて本装置の前面から放出させることで、オーバレイ部402上のテキストまたはグラフィックを本装置のユーザに見えるようにする。さらに、シリコンタイル412に塗料用顔料を付与することで、タイル412内における光の散乱をさらに拡張させて、区画部分に重ねられ、かつユーザが装置の前面から見ることができる様々な領域がより均質に照明されるようにしてもよい。
【0056】
LED照明406またはその他類似の光源をシリコンタイル412の両側部に設けることで、LED照明406を作動させると、その光が、反射層の前にあるタイル412両側部からタイル内部へ入射し、次に、光はオーバレイ部402を通過して前方へ向かうことにより、本装置のユーザが、印刷されたグラフィックおよびテキストを適宜見られるようにすることができる。照明406は、ユーザに適切なインターフェースを提供するように、区間部分間で共用されるか区間部分間でブロックされ、それによって装置上で現在使用できない機能(現在選択されている動作モードで)が、装置のユーザに示されない。この例では、LED照明406は、これに送電する回路基板408の前に直接取り付けられている。
【0057】
別の実施形態では、中央光源を設け、またライトパイプまたは他の類似する構造物を設けることで、光を適切な区画部分へ案内することができる。このような状況では、さらにライトバルブを設けて、受光する区画部分を制御することも可能である。本装置上のマイクロプロセッサは、こういったライトバルブの切り替えや照明406の作動を、除細動装置または他の医療装置での現在の機能設定と一致した適切なユーザインターフェースを提供するように調整することができる。
【0058】
シリコンタイル412の裏側に作動装置410が配置されており、本装置のユーザがオーバレイ部402の前面の、適切な区画部分の上に当たる位置を押すと、作動装置410が押し下げられる。作動装置410は、ユーザが適切な区域にて押し下げると作動するスイッチに直接接続しているか、またはスイッチと接触する。作動装置は、
図3に示す除細動装置300の内部枠310のような構造物によって案内され、適所に保持される。
【0059】
こうすることで、除細動装置等の医療装置の一部上に「デッドフロント」ディスプレイが提供される。デッドフロントは、本装置が第1モード(例えば、比較的未熟なユーザ向けの基本動作モード)にある時は停止状態にあり、本装置が第2モード(比較的高度の訓練を受けたユーザ向けのモード)にある時は、照明され作動状態となる。
【0060】
図5は、デュアルモード医療装置のための照明回路の概略図である。この例では、LEDは4つのグループに編成されている。第1グループは「AED」照明部512に関与し、除細動装置がAEDまたはBLSモードにある際に除細動装置の前面上にある単語「AED」を照明する。第2グループは「リード(LEAD)」照明部502、「サイズ(SIZE)」照明部504、「警告音一時停止(ALARM SUSPEND」照明部506、「レコーダ(RECORDER)」照明部508で構成されており、これらは一斉に作動または停止され、また、除細動装置が手動またはALSモードにある時に点灯する。第3グループは「分析(ANALYZE)」照明部510、「充電(CHARGE)」照明部514、「電力選択(ENERGY SELECT)」照明部516で構成されており、除細動装置が手動モードにある時に点灯する。第4グループは「ペーサ(PACER)」照明部518であり、本装置がペーサモードにある時に、第2および第3グループの照明部に加えて点灯する。照明部のセットの各々は、医療装置内で動作するマイクロプロセッサの制御下において作動されるが(メモリと協働し、指示はメモリに記憶され、マイクロプロセッサによって実行される)、これは、本装置が適切なモードにある時に照明部が作動する方式で行われる(この適切なモードは、機能部の点灯時には、この点灯した機能部に対応した入力または出力に応答し、機能部の消灯時にはこれらに応答しないようになっている)。
【0061】
照明部への給電時には、図示のように5ms刻みの交流給電が行われる。サブグループの特定のものは、切り替え機能と交互に組み合わせたLEDのサブグループを含み、制御電圧は人間の眼で切り替えを確認できない程迅速に切り替えられる。
【0062】
図6はコンピュータシステム600の概略図である。システム600は、例えば医療装置の電子モードを変更したり、電子装置のディスプレイ画面上に情報を表示する1つの実施に従い、先述のコンピュータに実装された方法のいずれかに関連して説明した動作に使用できる。システム600は図示にあるように様々な一般的形態であってもよいが、しかし、ここでの好適な形態は携帯型医療装置としてのものである。さらに、本システムに、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)フラッシュドライブ等の携帯型記憶媒体を設けることができる。例えば、USBフラッシュドライブは、オペレーティングシステムおよびその他のアプリケーションを記憶できる。USBフラッシュドライブは、別の計算装置のUSBポートに挿入できる入出力コンポーネント、例えば無線送信機やUSBコネクタを含む。
【0063】
システム600は、プロセッサ610、メモリ620、記憶装置630、入出力装置640を含む。コンポーネント610、620、630、640の各々は、システムバス650を用いて相互に接続している。プロセッサ610は、システム600内で実行される命令を処理することができる。プロセッサは、多数のアーキテクチャのいずれをも使用できるようにも設計できる。例えば、プロセッサ610はCISC(複合命令セットコンピュータ)プロセッサ、RISC(縮小命令セットコンピュータ)プロセッサ、またはMISC(最小命令セットコンピュータ)プロセッサであってもよい。
【0064】
1つの実施において、プロセッサ610はシングルスレッドタイプのプロセッサである。別の実施においては、プロセッサ610はマルチスレッドタイプのプロセッサである。プロセッサ610は、ユーザインターフェースのためのグラフィック情報を入出力装置640に表示するために、メモリ620または記憶装置630に記憶された命令を処理することができる。
【0065】
メモリ620は、システム600内に情報を記憶する。1つの実施において、メモリ620はコンピュータ可読媒体である。1つの実施において、メモリ620は揮発性メモリユニットである。別の実施において、メモリ620は不揮発性メモリユニットである。
【0066】
記憶装置630は、システム600に大容量記憶装置を提供し得る。1つの実施において、記憶装置630はコンピュータ可読媒体である。様々な異なる実施において、記憶装置630はフロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、またはテープ装置であってもよい。入出力装置640は、システムの入出力動作を提供する。1つの実施において、入出力装置640はキーボードおよびポインティング装置のうちの少なくとも一つを含む。別の実施において、入出力装置640は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを表示するためのディスプレイユニットを設けている。
【0067】
ここで挙げた機能は、デジタル電子回路、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせにおいて実施できる。本装置は、情報担体、例えばプログラム可能なプロセッサによって実行されるマシン可読記憶装置等の情報担体において、具体的に実施されるコンピュータプログラム製品であってもよく、また方法ステップは、プログラム可能なプロセッサが、入力データ上で動作し出力を生成することによって、既述の実施形態の機能を実行するべく命令のプログラムを実行することで実行される。既述の機能は、プログラム可能なシステム上で実行できる1つ以上のコンピュータプログラムにおいて有利に実施でき、ここでプログラム可能なシステムは、データ記憶システムと、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置との間でデータおよび命令を送受信するように接続された少なくとも1つのプログラム可能プロセッサを備える。コンピュータプログラムは、特定のアクティビティを実行するため、または特定の結果をもたらすために、コンピュータにおいて直接または間接的に使用できる命令のセットである。コンピュータプログラムは、コンパイル型言語またはインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、また、スタンドアロンのプログラムとして、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、または計算関係での使用に適したその他のユニットとしての形式を含む任意の形式にて展開することができる。
【0068】
命令のプログラムを実行するのに適したプロセッサには、単なる例として、汎用・専用両方のマイクロプロセッサ、あらゆるタイプのコンピュータの単独プロセッサまたは複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダム・アクセス・メモリ、あるいはこれらの両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの基本的な構成部分は、命令を実行するプロセッサと、命令およびデータを記憶する1つ以上のメモリである。一般に、コンピュータは、データファイルを記憶するための1つ以上の大容量記憶装置を備えるか、またはこれら装置と通信するべくこれら装置に動作可能に接続しており、このような大容量記憶装置には、内蔵型ハードディスクやリムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクを含む。コンピュータプログラム命令およびデータを具体的に実施するのに適した記憶装置には、単なる例として、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ装置等の半導体メモリ装置と、内蔵型ハードディスクやリムーバブルディスク等の磁気ディスクと、光磁気ディスクと、CD−ROMおよびDVD−ROMとを含む全ての形態の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサおよびメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)で補助するか、またはASICに組み込むことができる。
【0069】
ユーザにする情報を表示するためのCRT(ブラウン管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ等のディスプレイ装置と、ユーザがコンピュータに入力を行うための、キーボードや、マウスおよびトラックボール等のポインティング装置とを設けたコンピュータ上で機能を実施することで、ユーザとの対話を提供することができる。
【0070】
機能は、データサーバ等のバックエンドコンポーネントを含む、または、アプリケーションサーバやインターネットサーバ等のミドルウェアコンポーネントを含む、あるいは、グラフィカル・ユーザ・インターフェースやインターネットブラウザを実装したクライアントコンピュータ等のフロントエンドコンポーネントを含む、もしくはこれらのあらゆる組み合わせを含むコンピュータシステムにおいて実施される。こうしたシステムのコンポーネントは、任意の形式または媒体のデジタルデータ通信、例えば通信ネットワークによって接続することができる。通信ネットワークの例には、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)、ワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、ピア・ツー・ピア・ネットワーク(アドホックまたは静的メンバを有する)、グリッド計算インフラストラクチャ、インターネットが含まれる。
【0071】
計算システムにはクライアントとサーバが含まれる。一般にクライアントとサーバは互いに遠く離れており、通常は上で挙げたもののようなネットワークを介して対話する。対応するコンピュータ上において実行中で、相互に対してクライアント/サーバ関係を有するコンピュータプログラムのために、クライアントとサーバの関係が発生する。
【0072】
ここまで多数の実施形態について説明してきた。しかし、本発明の技術思想と範囲から逸脱しない限り様々な改良を加えることが可能であることが理解されるであろう。例えば、この明細書のほとんどは、医療装置としての除細動装置に関連して説明されているが、これ以外の医療装置もここで説明した機能を採用することができる。さらに、上述したモードは一般的に基本モードと高機能モードであるが、モードを言語別にして、第1モードではディスプレイの或る言語における部分が点灯するように、第2モードでは第2の言語における部分が点灯するようにすることも可能で、この場合、本装置のユーザはノブまたはタッチスクリーンインターフェース、またはその他の適切な入力機構を使用して所望のモードを選択できる。さらに、異なる数種類のテキストまたはグラフィックラベルを設けて装置内で取り換えることで、装置毎に言語を手動で適宜変更できるようにしてもよい。
【0073】
したがって、その他の実施形態は以下の特許請求の範囲内に包括される。