特許第5963118号(P5963118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963118
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】色素増感型太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/20 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   H01G9/20 119
   H01G9/20 111D
   H01G9/20 115B
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-14600(P2014-14600)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-142041(P2015-142041A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106862
【弁理士】
【氏名又は名称】五十畑 勉男
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 繁樹
【審査官】 植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/031098(WO,A1)
【文献】 特開2014−154413(JP,A)
【文献】 特開2009−252522(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/169488(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/111592(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/068058(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/20
H01M 14/00
H01L 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に封止部を有するガラス部材からなる管状容器の内部に、増感色素を担持する半導体層よりなる光電極と、導電性部材よりなる集電極と、が積層形成され、前記光電極及び前記集電極に対向電極が絶縁体を介して対向され、
前記管状容器の内部には電解液が充填されてなる色素増感型太陽電池において、
前記集電極および前記対向電極が、スリット又は重なり部を有する略円筒状に形成されて、半径方向に弾性復元力を有する弾性体からなり、
前記光電極は、前記集電極に積層されて、スリット又は重なり部を有する略円筒状に形成さてなり、
前記集電極の弾性復元力によって、前記光電極が前記管状容器の内面に当接され、
前記対向電極が、その弾性復元力によって前記絶縁体を介して前記集電極の内面に当接されていて、
前記集電極および前記対向電極のスリット又は重なり部が、互いに円周方向で異なる位置にある
ことを特徴とする色素増感型太陽電池。

【請求項2】
前記集電極および前記対向電極のスリット又は重なり部が、互いに円周方向で約180度ずれた位置にあることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項3】
前記絶縁体が、スリット又は重なり部を有する略円筒状に形成されて、半径方向に弾性復元力を有する弾性体からなり、その弾性復元力によって、前記集電極に当接されていて、
前記集電極および前記対向電極および前記絶縁体のスリット又は重なり部が、互いに円周方向で異なる位置にある
ことを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項4】
前記集電極および前記対向電極および前記絶縁体のスリット又は重なり部が、互いに円周方向で約120度ずれた位置にある
ことを特徴とする請求項3に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項5】
前記集電極と前記対向電極は、板状金属体からなり、
前記絶縁体は、シート状の樹脂体からなる
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の色素増感型太陽電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する色素増感型太陽電池に関するものであり、特に、透光性の管状容器内に、集電極、光電極および対向電極が配設され、電解液が封入された色素増感型太陽電池に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池は、環境にやさしく、クリーンなエネルギー源として積極的な研究開発が進められている。中でも、光電変換効率が高く、低コストの太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目されて、各種の提案がなされている。
【0003】
その一例がWO2013/031098(特許文献1)であり、この色素増感型太陽電池では、透光性の管状容器内に電解液を封入し、該容器の内面に形成された集電極と、これに積層形成されて色素を吸着させた多孔質半導体からなる光電極と、これに対向する対向電極とを配設し、前記光電極に太陽光を入射させてこれを励起して電子を放出させることによって電気エネルギーとして取り出すものである。
【0004】
図8にかかる太陽電池の概略構造が示されている。
図8において、色素増感型太陽電池は、透明なガラスよりなる管状容器21の内部に、集電極25と、該集電極25に当接する、増感色素が吸着された半導体層からなる光電極26とが設けられとともに、前記集電極25と絶縁層28を介して当接される対向電極27が設けられている。
【0005】
そして、前記対向電極27はスリットを有する略円筒状のバネ体で構成して、その半径方向への弾性復元力によって、絶縁層28を介して集電極25に押圧されて当接されている。これにより、対向電極27を絶縁層28によって一定の絶縁間隙をもって対向配置するとともに、集電極25および光電極26を環状容器21の内面に当接せしめようとするものである。
【0006】
しかして、前記従来技術に基づいて、対向電極27の弾性復元力を利用しようとしても、図9に示すように、対向電極27の弾性復元力は、円周方向で一様ではなく、スリットSが形成された近傍においては弾性復元力が大きいが、そのスリットSから円周方向に遠ざかるにつれて小さくなり、スリットSの反対側においては、弾性復元力が殆ど零になってしまう。
ところで、管状容器21をガラスにより構成した場合、ガラス製品の形状を均一な円筒状とすることは困難であって、例えば、長手方向において、管軸が偏芯してしまっている部分も多くある。
そのため、前記従来技術のバネ状の対向電極27では、光電極26を管状容器21の内面に一様に当接密着させることが困難であって、ある断面においては、光電極26と管状容器21とが密着しているが、長手方向に置ける別の断面においては密着していないという事態が生じる。
【0007】
上記のように、管状容器21と光電極26との間が密着していないと、その隙間に電解液が侵入してしまう。管状容器21内に充填される電解液は、着色されており、可視光を吸収してしまうので、管状容器21内に取り込まれた太陽光の一部が前記隙間に侵入した電解液によって吸収されてしまい、発電効率が低下してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2013/031098
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑みて、透光性の管状容器の内部に、増感色素を担持する半導体層よりなる光電極と、導電性部材よりなる集電極と、が積層形成され、前記光電極及び前記集電極に対向電極が絶縁体を介して対向され、前記管状容器の内部には電解液が充填されてなる色素増感型太陽電池において、光電極が管状容器の内面に一様に当接密着されて、その間に隙間が生じることがなく、電解液が光電極と管状容器内面の間に侵入することがない、発電効率の優れた色素増感型太陽電池の構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る色素増感型太陽電池は、集電極および対向電極が、スリット又は重なり部を有する略円筒状に形成されて、半径方向に弾性復元力を有する弾性体からなり、前記集電極の弾性復元力によって、前記光電極が前記管状容器の内面に当接され、前記対向電極が、その弾性復元力によって前記絶縁体を介して前記集電極の内面に当接されていて、前記集電極および前記対向電極のスリット又は重なり部が、互いに円周方向で異なる位置にあることを特徴とする。
また、前記前記集電極および前記対向電極のスリット又は重なり部が、互いに円周方向で約180度ずれた位置にあることを特徴とする。
【0011】
また、前記集電極および対向電極に加えて、絶縁体が、スリット又は重なり部を有する略円筒状に形成されて、半径方向に弾性復元力を有する弾性体からなり、その弾性復元力によって、前記集電極に当接されていて、前記集電極および前記対向電極および前記絶縁体のスリット又は重なり部が、互いに円周方向で異なる位置にあることを特徴とする。
また、前記集電極および前記対向電極および前記絶縁体のスリット又は重なり部が、互いに円周方向で約120度ずれた位置にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の色素増感型太陽電池によれば、集電極および対向電極のスリット又は重なり部が、互いに円周方向で異なる位置にあるようにしたことにより、集電極および対向電極の弾性復元力が一点に集中することなく、円周方向において一様となり、光電極が管状容器内面に一様に当接密着されるので、その間に隙間が生じることがなく、電解液が侵入することもない。
更には、上記に加えて絶縁体も、スリット又は重なり部を有する略円筒状に形成されて、半径方向に弾性復元力を有する弾性体からなり、前記集電極および前記対向電極および前記絶縁体のスリット又は重なり部が、互いに円周方向で異なる位置にあることにより、更に一層、これらの弾性復元力が円周方向で一様となり、光電極と管状容器の密着性が一層高まる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の色素増感型太陽電池の側断面図。
図2図1の横断面図(A)および部分拡大断面図(B)。
図3図2の断面を模式的に表した横断面図。
図4図2,4の集電極のみを取り出した斜視図。
図5】集電極の他の実施例の斜視図。
図6】他の実施例の横断面(A)および部分拡大断面図(B)。
図7図6の断面を模式的に表した横断面図。
図8】従来の色素増感型太陽電池の側断面図。
図9】その不具合を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の全体を示す側断面図である。
管状容器1の本体部2の内面には、集電極5の表面に積層形成された光電極6が当接されている。そして、集電極5の内部には対向電極7が絶縁体8を介在して当接配置されている。この管状容器1の内部には電解液10が充填される。
前記対向電極7および集電極5は、それぞれ、内部リード11、12から封止部3、4内の金属箔13、14を介して外部リード15、16に接続されている。
【0015】
図2(A)(B)に示されるように、前記集電極5は、多数の孔5aが形成されて透液性とされたSUSなどの金属多孔板や網状体からなり、該集電極5上に、増感色素が吸着された半導体層からなる光電極6が焼成されて積層形成されている。
図2(A)に示すように、集電極5は、軸方向に延在するスリットS5を有する略円筒形状に形成されていて、半径方向に弾性復元力を有する。この集電極5は、縮径された状態で管状容器1内に挿入され、この縮径拘束力が解除されたとき、その弾性復元力によって管状容器1の内面に当接する。これにより、光電極6が管状容器1の内面に当接密着するものである。
【0016】
また、管状容器1内の集電極5の更に内側には、金属板からなる対向電極7が配置されていて、この対向電極7も前記集電極5と同様に、軸方向に延在するスリットS7を有する略円筒形状に形成されていて、半径方向に弾性復元力を有する。
そして、図2(A)(B)に示すように、その表面にはシート状もしくは円筒状の絶縁体8が積層されている。ただし、円筒状である場合は、この絶縁体8は半径方向に伸縮可能な構造とされており、例えば、繊維状の樹脂材料やガラス材料を円筒状に編成又は織成した繊維布を用いることができる。
前記対向電極7は、集電極5の場合と同様に、絶縁体8とともに、縮径された状態で集電極5内に挿入され、この縮径拘束力が解除されたとき、その弾性復元力によって絶縁体8を介して集電極5の内面に当接する。
【0017】
図2で示されるように、また、これを模式的に表した図3で示したように、集電極5のスリットS5と、対向電極7のスリットS7とは、円周方向において互いに異なる位置に来るように配置される。もっとも好ましい配置は、これらスリットS5、S7が約180度ずれた位置にあることである。
こうすることで、集電極5と対向電極7の弾性復元力が管状容器1の内面に向けて一様に作用して、光電極6が一様に管状容器1の内面に当接密着する。
なお、図4には、集電極5(光電極6が積層形成される)のみの斜視図が示されていて、スリットS5が軸方向に延在している。
【0018】
なお、集電極5および対向電極7は、図4に示すようなスリットS5、S7を有するものに限られず、図5に示すように、シート状の弾性体を丸めて、その端部が重なり合うような略円筒状としてもよい。
【0019】
図6、7に他の実施例が示されていて、この例では、絶縁体8も弾性復元力を有するシート体により構成している。
この場合、絶縁体8としては、例えばポリテトラフルオロエチレンのような樹脂材料をシート状に形成したものを用いることができ、その場合、シート体に多数の孔部を形成して透液性として用いる。
そして、このシート体を略円筒形状にして管状容器1内に配置するものである。
即ち、図6に横断面として示され、また図7に模式的に示されるように、図2図3の実施例と同様に、集電極5及び対向電極7が弾性復元力を有する略円筒形状とされた上で、絶縁体8もスリットS8又は重なり部を有する略円筒形状に形成されて、半径方向に弾性復元力を有する弾性体からなり、その弾性復元力によって、前記集電極5に当接されている。
【0020】
そして、図7で最もよく示されているように、前記集電極5、対向電極7および絶縁体8の各スリットS5、S7、S8は、円周方向で互いに異なる位置に配置され、好ましくは、互いに約120度ずつずれた位置にあるのがよい。
このように、集電極5、対向電極7及び絶縁体8が弾性復元力を有し、そのスリットの位置がずれていることで、半径方向への弾性復元力がより一層、円周方向で一様となり、光電極6と管状容器1との密着がより一様となる。
【0021】
なお、本出願における図面においては、理解を助けるために光電極、集電極、対向電極、絶縁体等に関しては、特にその厚さは実際の寸法より誇張されて記載されている。
それらの一数値例および一材料例を挙げると以下のようである。
管状容器:外径10mm×内径8mm(×肉厚1mm) ソーダ石灰ガラス
集電極 :厚さ30μmm、400メッシュのステンレス網
光電極 :膜厚40μmのチタニア粒子焼結体
絶縁体 :厚さ40μmのPTFE製シート(メンブレンフィルター)
対向電極:厚さ20μmのチタンシート(表面白金コート)
【0022】
以上説明したように、本発明に係る色素増感型太陽電池は、管状容器内に配置される集電極および対向電極を、スリット又は重なり部を有する略円筒状に形成されて、半径方向に弾性復元力を有する弾性体(具体的には、金属板)から構成し、そのスリット又は重なり部を円周方向で異なる位置にあるようにしたことにより、集電極および対向電極の弾性復元力を円周方向で一様に作用させることができて、光電極と管状容器内面とを一様に当接密着させることができ、両者の間に隙間でできることがなく、電解液の侵入を防止できるものである。
さらに、上記集電極、対向電極に加えて、絶縁体も同様の構成を有する弾性体から構成し、これら三者のスリット又は重なり部の位置をずらせることで、更に一層、円周方向での一様な弾性復元力を得ることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 管状容器
2 本体部
3、4 封止部
5 集電極
5a 孔
6 光電極
7 対向電極
8 絶縁体
10 電解液
11、12 内部リード
13、14 金属箔
15、16 外部リード
S5 集電極のスリット
S7 対向電極のスリット
S8 絶縁体のスリット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9