(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1Aは、プリーツ状トロカールシールドを含む手術用アクセスデバイス即ちトロカール1000の一実施例の分解斜視図である。
図1Bは、アクセスデバイス1000の長さ方向断面図である。アクセスデバイス1000は、長さ方向軸線、近位端1102、及び遠位端1104を含む細長い中空カニューレ1100を含む。近位端1102は、以下に更に詳細に説明するシールアッセンブリ即ちトロカールシール1200に連結される寸法及び形状を備えている。例示の実施例では、近位端1102は直径が比較的大きく、これによって、
図1Bで最もよくわかるように、シールアッセンブリ1200の構成要素が配置される容積を形成する。カニューレ1100は、所定範囲の器具、例えば所定直径及び/又は長さの器具を受け入れる寸法を有する。シールアッセンブリ1200の長さ方向軸線はカニューレ1100の長さ方向軸線とほぼ一致し、トロカール1000を通るアクセスチャンネルを形成する。幾つかの実施例では、シールアッセンブリ1200はカニューレ1100に取り外し自在に固定される。
【0023】
アクセスデバイス1000は、代表的には、様々な直径の、例えば直径が最大5mm、8mm、11mm、12mm、又は15mmの器具を受け入れるため、所定範囲の大きさで製造される。アクセスデバイス1000の幾つかの実施例は、所定範囲の大きさ、例えば約1mm乃至5mm、約1mm乃至16mm、約1mm乃至25mm、約5mm乃至15mm、約10mm乃至12mm、又は約10mm乃至16mmの器具を受け入れる。幾つかの実施例は、実質的に単一の大きさ、例えば約5mm又は約10mmの器具を受け入れるように設計されている。アクセスデバイスの実施例は、様々な長さのカニューレを含む。例えば、アクセスデバイス1000の幾つかの実施例の作用カニューレ長は、約55mm、75mm、100mm、又は150mmである。
【0024】
カニューレ1100は、例えば生体親和性材料等の任意の適当な材料で形成されている。幾つかの実施例では、カニューレ1100は、ポリマー、例えばポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオレフィン、ポリエーテルブロックアミド(ペバックス(PEBAX(PEBAXは登録商標である)))、ポリエポキシド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエーテル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスチレン、配合物、混合物、コポリマー、等で形成されている。幾つかの実施例では、カニューレ1100は、金属、ガラス、セラミック、及び/又はファイバで形成されている。幾つかの実施例では、カニューレ1100は、複合材料で形成されており、例えば、強化ファイバ、強化構造、層状構造、等を含む。アクセスデバイス1000の幾つかの実施例は、カニューレを含まない。
【0025】
シールアッセンブリ即ちトロカールシール1200の実施例は、ハウジング1210、カニューレシール1220、スペーサ1230、第1シール即ちゼロシール1240、第2シール即ち器具シール1250、トロカールシールド即ちシールシールド1260、及びキャップ1280を含む。シールアッセンブリ1200の構造は、
図1Bに示すトロカールシールアッセンブリの長さ方向断面図である
図1Cで最もよくわかる。
【0026】
例示の実施例では、ハウジング1210は、両端が開放した全体に中空の円筒体を含む。ハウジング1210は、長さ方向軸線、遠位端1212、近位端1214、内壁、及び外壁を含む。近位端1214は、カニューレシール1220、スペーサ1230、第1シール即ちゼロシール1240、第2シール即ち器具シール1250、トロカールシールド1260を受け入れる寸法を有する。カニューレシール1220と接触し及び/又は係合するほぼ円形の段即ちストップ1216が、ハウジング1210の内壁に周方向に延びるように配置されている。キャップ1280がハウジングの近位端1214と係合することにより、トロカールシールド1260、第2シール即ち器具シール1250、第1シール即ちゼロシール1240、スペーサ1230、及びカニューレシール1220をキャップ1280とストップ1216との間に捕捉する。
【0027】
図1Bで最もよくわかるように、ハウジングの遠位端1212は、カニューレの近位端1102を受け入れる寸法を備えている。例示の実施例では、カニューレの近位端1102は、カニューレシール1220と接触することにより、その間に気密シールを形成する。従って、幾つかの実施例では、カニューレシール1220は適当なエラストマー材料、例えばゴム、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPゴム)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン、エチレンビニルアセテート(EVA)ポリクロロプレン(ネオプレン(Neoprene(Neopreneは登録商標である)))、ペルフルオロエラストマー(カルレッツ(Kalrez(Kalrezは登録商標である)))、等で形成されている。
図1Bに示すように、第1シール即ちゼロシール1240、第2シール即ち器具シール1250、及びトロカールシールド1260はカニューレの近位端1102内に延びる。
【0028】
例示の実施例では、バルブを含むガス入口ポート1218がハウジング1210の外壁に、段1216の近くに配置されている。ガス入口ポート1218は、カニューレ1100の内部を、例えば二酸化炭素等の吹込みガスのガス源に流動学的に連結する。例示の実施例では、スペーサ1230は、ガス入口ポート1218とカニューレ1100の中空内部との間に流体流路を形成する少なくとも一つの開口部1232(
図1A参照)を含む。
【0029】
アクセスデバイス1000の幾つかの実施例は、別体のハウジングを備えていない。その代り、第1シール、第2シール、及びトロカールシールドがカニューレの近位端1102に配置される。これらの実施例では、カニューレ1100及びハウジング1210が一体化されている。
【0030】
第1シール即ちゼロシール1240は、このシールを通って延びる器具がない状態でガス注入状態を維持するのに十分なシールを形成し、例えば、一重又は二重のダックビルバルブを含む。例示の実施例では、第1シール1240は、近位端1242及び遠位端1244を含むチューブ状部材である。第1シール1240は、そのシール機能を損なうことなく、第2シール1250の一部をその中に受け入れる寸法を備えている。例示の実施例では、第1シール1240の近位端1242は第2シール1250に連結されている。従って、第1シール1240及び第2シール1250は、単一のユニットとして移動及び/又は浮動する。第1シール1240の遠位端1244は、例示の実施例では、二重ダックビルバルブ1246を含む。他の実施例では、当該技術分野で周知の他の種類のバルブが使用される。アクセスデバイス1000の幾つかの実施例は、例えばゼロシールを備えていない。こうした実施例は、器具シール1250がゼロシールを形成する場合、又はガスの喪失が問題でない場合である。
【0031】
第2シール即ち器具シール1250は、このシールを通って延びる器具がある状態でガス注入状態を維持するのに十分なシールを形成する。例示の実施例では、第2シール即ち器具シール1250は、近位端1252及び遠位端1254を含むチューブ状部材である。近位端1252は、ハウジングの内壁に向かって半径方向に延びるベローズ又は回旋体(convolution) を含む。ベローズ1256は、スペーサ1230とキャップ1280との間に捕捉され、これによって第2シール1250をシールアッセンブリ内に固定する。遠位端1254は、例示の実施例では、隔膜シール1258を含む。
【0032】
第1シール1240及び第2シール1250は、各々、適当なエラストマー材料で形成されている。例えば、幾つかの実施例では、第1シール1240及び第2シール1250は、各々、上文中に論じたカニューレシール1220の材料のうちの一つ又はそれ以上で形成されている。他の実施例では、第2シール1250は、例えば、オイル、及び結晶質又は非晶質のジブロックコポリマー及び/又はトリブロックコポリマー等のエラストマーゲル材料で形成されている。適当な結晶質ブロックの例は、例えばポリスチレンである。適当な非晶質ブロックの例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、水素化ポリイソプレン、水素化ブタジエン、等のうちの少なくとも一つが含まれる。適当なオイルには、鉱油、シリコーンオイル、及び脂肪酸エステルが含まれる。
【0033】
例示の実施例では、第1シール1240は、第2シール1250の遠位側にある。他の実施例では、第1シール1240は第2シールの近位側にある。
【0034】
図1Dは、トロカールシールド1260及び第2シール1250の一実施例の側断面図である。
図1Eは、
図1Dに示すトロカールシールド1260及び第2シール1250の平面図である。
図1Fは、
図1Dに示すトロカールシールド1260の側面図であり、
図1Gは、トロカールシールド1260の平面図である。
図1Dに示す実施例では、トロカールシールド1260は全体にチューブ状であり、近位端1262及び遠位端1264を含む。
図1Dで最もよくわかるように、トロカールシールド1260は、第2シール1250内にその作動を妨げないように受け入れられ、及び従って支持され、即ち取り付けられる寸法及び形状を備えている。従って、トロカールシールド1260は、第2シール1250と協働して移動し又は浮動する。例示の実施例では、トロカールシールド1260の近位端1262は、第2シール1250の対応する凹所1256と係合することによってトロカールシールド1260をここに固定する半径方向フランジ1266を含む。幾つかの実施例では、トロカールシールド1260は、フランジ1266及び凹所1256を含む構成に加えて、またはその代りに、接着剤の使用、溶接、機械的ファスニング、等を使用して第2シール1250に固定される。遠位端1264は截頭円錐形であり、テーパしており、及び/又は漏斗形状であり、第2シール1250の遠位部分1254に嵌着する寸法を備えている。遠位端1264の截頭円錐形部分は、以下に更に詳細に論じる複数の先細の長さ方向プリーツ1268を含む。これらのプリーツは、開口部1270で終端する。全体に円筒形の入口領域1272が近位端1262と遠位端1264との間を延びる。他の実施例では、入口領域1272は、別の適当な形状、例えば截頭円錐形、楕円形断面、多角柱、及び/又は四角錐等の形状を有する。幾つかの実施例は、入口領域1272を備えていない。
【0035】
トロカールシールド1260は、任意の適当な弾性材料、例えばポリマーで形成されている。適当なポリマーには、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(ナイロン(ナイロン(Nylon)は登録商標である))、デルリン(デルリン(Delrin)は登録商標である)、コポリマー、配合物、混合物、等が含まれる。トロカールシールド1260の幾つかの実施例は、ばね金属、例えば17−7ステンレス鋼で形成されている。幾つかの実施例では、トロカールシールド1260は複合材料で形成されている。幾つかの実施例では、トロカールシールド1260はモノリシックであり、及び/又は一体に製造されている。幾つかの実施例では、トロカールシールド1260は、非エラストマー材料で形成されている。例えば、幾つかの実施例では、開口部1270を取り囲む又はこの開口部を形成するトロカールシールド1260の少なくとも一部が、非エラストマー材料で形成されている。非エラストマー材料は、エラストマー材料と比較して、特に開口部を通して器具を引き抜くとき、器具に作用する抵抗を低減する。
【0036】
トロカールシールド1260は、トロカール1000のアクセスチャンネルを通して器具を挿入するときに第2シール1250及び第1シール1240が損傷しないように保護する。第2シール1250及び/又は第1シール1240の実施例が比較的軟質の材料で形成されているため、このような材料に押し付けられた器具の先端が材料を引き裂いたり損傷したりする場合がある。器具が第2シール1250の壁を貫通した場合、器具は、前進時に第1シール1240の壁と接触し易く、これによって第1シール1240を損傷する可能性が大きくなる。トロカールシールド1260は、器具を、第2シール1250の遠位端1254に配置された隔膜シール1258の開口部及び第1シール1240の遠位端1244に配置されたゼロシール1246に向かって差し向ける。トロカールシールド1260の近位端1262に所定角度で進入する器具について、器具の先端は入口領域1272と接触する。入口領域1272は、器具の先端が第2シール1250と接触しないようにし、その代り、先端をトロカールシールド1260の遠位端1264に向かって差し向ける。トロカールシールド1260の近位端1262に軸線からずれて進入する器具の先端もまた、トロカールシールド1260の遠位端1264と接触する。いずれの場合でも、器具の先端は、器具の前進時に、遠位端1264の截頭円錐形形状により、開口部1270に向かって差し向けられる。開口部1270が第2シール1250の隔膜シール1258の開口部及び第1シールのゼロシール1246の中心と整合し、及び/又はこれと同軸であるため、トロカールシールド1270は、器具の前進時に器具の先端を通して差し向け、これによって第2シール1250及び第1シール1240に対する損傷を小さくし又は最小にする。
【0037】
プリーツ1268のため、遠位端の開口部1270を通して器具を前進するとき、遠位端の開口部1270を拡げることができ、器具の周囲と接触させることができる。例示の実施例では、プリーツ1268は、弛緩状態で最小直径の開口部1270を形成する。この最小直径は、第2シール1250の遠位端1254に配置された隔膜シール1258の開口部と直径又は大きさが同じであるか或いはこれよりも小さい。これによって、器具の先端を隔膜シール1258の中心の開口部に向かって、及び第2シール1250のエラストマー材料から遠ざかる方向に差し向ける。器具の先端が開口部1270及び隔膜シール1258を越えた後、開口部1270を通して比較的大きな器具を前進するとき、プリーツ1268により開口部1270を拡げることができる。従って、幾つかの実施例では、遠位端1254のプリーツ状部分の拡げられた状態の周囲は、特にトロカールシールド1260が全体に非コンプライアント材料で形成されている実施例において、トロカール1000で使用しようとする最大の器具の周囲と少なくとも同じ大きさである。幾つかの実施例では、プリーツ1268は、その山及び谷のうちの少なくとも幾つかに、小孔、開口部、肉薄部分及び/又は肉厚部分を含み、これより、プリーツ1268の折り畳み及び折り畳んだ状態からの拡げることを容易にする。例示の実施例では、プリーツ1268の山及び谷は円弧状をなしており、これにより、プリーツを特に最大直径又は最大周囲まで拡げるのが容易になる。他の実施例では、山及び谷のうちの少なくとも一つが円弧状でなく角をなしている。
【0038】
他の実施例では、トロカールシールド1260の開口部1270の最小直径は、少なくとも、隔膜シール1258の開口部の直径と同じである。幾つかの実施例では、トロカールシールド1260の開口部1270の最小直径は、隔膜シール1258の開口部の直径よりも大きい。これらの実施例のうちの幾つかでは、開口部1270が比較的大きいため、特に器具を引っ込める場合に器具に作用する抵抗が減少する。例えば、不規則な形状又は突出部を含む幾つかの器具は、開口部1270の大きさが隔膜シール1258の開口部と同じであるか或いはそれ以上のトロカールシールド1260を通して引き出す方が、開口部1270が隔膜シール1258の開口部よりも小さいトロカールシールド1260と比べて容易である。
【0039】
トロカールシールド1260のプリーツ1268の数は、トロカールシールド1260を形成する材料の物理的特性、この材料の厚さ、及びトロカールシールド1260が受け入れるように設計された最大の器具の直径、弛緩状態の開口部1270の直径、及び截頭円錐形部分の円錐角度を含む要因で決まる。例えば、円錐角度が比較的大きいトロカールシールド1260は、代表的には、プリーツの数が少ない。トロカールシールド1260の実施例は、プリーツを約3個乃至約50個、約5個乃至約25個、又は約6個乃至約20個含む。一般的には、トロカールシールド1260は、直径が小さければ小さい程、プリーツ1268の数が少ない。例えば、5mmのトロカール用のトロカールシールド1260の実施例は、プリーツを約6個乃至約12個含む。12mmのトロカール用のトロカールシールド1260の実施例は、プリーツを約8個乃至約16個含む。18mmのトロカール用のトロカールシールド1260の実施例は、プリーツを約10個乃至約24個含む。
【0040】
幾つかの実施例では、トロカールシールド1260は、ほぼ最終形状で製造される。他の実施例では、トロカールシールド1260は別の形状で製造され、トロカール1000の組み立て時に最終的な形状をとる。例えば、幾つかの実施例では、トロカールシールド1260は、近位端1262及び遠位端1264を含む全体に円筒形のチューブとして製造される。トロカールシールド1260の遠位端1264を第2シール1250の截頭円錐形遠位端1254に押し付けると、遠位端1264は自然にプリーツ状形状に折り畳まれる。幾つかの実施例では、円筒形チューブの近位端1262及び円筒形チューブの遠位端1264は性質が異なる。例えば、近位端1262で剛性が高く、遠位端1264で可撓性が高い。例えば、幾つかの実施例では、近位端1262が一つ又はそれ以上の薄いポリマーフィルムでできた複数の層を含むのに対し、遠位端1264は層の数が少なく、又は場合によっては単層である。可撓性が異なるため、上文中に論じたプリーツ形成プロセスが容易になり、幾つかの実施例では、器具をトロカール1000から引き出す際に遠位端1264又はその少なくとも一部を返すことができる。このとき、近位部分1262が返るのに抵抗する、又はこれが起らないようにすることにより、トロカールシールド1260が完全には返らないようにする。器具の引き出し時に遠位端1264が返ることにより、抵抗を減少し、停止及び/又は障害が生じないようにする。
【0041】
シールの損傷を低減するための幾つかのトロカール設計には、スロット等の開口部によって離間された複数のフラップ及び/又はペタルを含む截頭円錐形遠位端が含まれる。幾つかの場合では、器具の先端は、これらのスロットの一つに入って第2シール1250の材料と接触でき、これによって、第2シール1250に対して損傷を加える可能性が高くなる。これとは対照的に、例示の実施例は截頭円錐形部分にスロット又は開口部を備えておらず、これによって、第2シール1250並びに第1シール1240に対して損傷を加える可能性を小さくする。更に、プリーツ1268と開口部1270を通って延びる器具との間の接触面積は、フラップを含む同様のトロカールシールドについての接触面積よりも小さく、これによって、器具を前進したり引き出したりするときの摩擦及び/又は抵抗が減少する。
【0042】
トロカールシールド1260の例示の実施例は、隔膜シール1258のところでの「キャットアイ(cat-eye)」漏洩を減少する。キャットアイ漏洩は、隔膜シール1258を通って延びる器具が横方向に変位するとき、隔膜シール1258の開口部が伸び、又は変形したりし、これによって横方向変位と逆側に器具と隔膜シールとの間に隙間を形成するときに生じる。トロカールシールド1260が第2シール1250に連結されているため、器具の横方向変位は、更に、トロカールシールド1260を変位し、これにより第2シール1250を同じ方向に押圧し、これによって開口部1270と隔膜シール1258との間の整合を維持する。器具、開口部1270、及び隔膜シール1258が協働して移動するため、キャットアイ漏洩の発生が減少する。
【0043】
トロカールシールド1260の実施例は、更に、器具をトロカール1000から引き出す際に第2シール1250が返る可能性を低減する。幾つかの実施例では、開口部1270の周囲のトロカールシールドの一部は返ることができ、これにより、器具を引っ込める際の器具の抵抗、停止、及び/又は障害を低減する。
【0044】
シールアッセンブリ1220の幾つかの実施例では、遠位プリーツ状トロカールシールド(図示せず)が、第2シール1250の遠位端に、トロカールシールド1260に加えて、又はトロカールシールド1260の代りに配置されている。第2シール1250の遠位端1254は、遠位トロカールシールド内に受け入れられる。これらの実施例の幾つかにおいて、遠位トロカールシールドは、第2シール1250を支持し及び/又は第2シール1250に対する支持体として作用し、これによって、器具の挿入中に器具の先端によって穿刺されたり破られたりする可能性を低減する。幾つかの実施例では、遠位トロカールシールドは、第1シール1240を器具の衝突による損傷から保護する。幾つかの実施例では、遠位トロカールシールドは、第1シール1240の返りが起こり難くする。
【0045】
幾つかの実施例では、遠位トロカールシールドは、上文中に説明したように第2シール1250に連結されている。これらの実施例の幾つかにおいて、第2シール1250のキャットアイ漏洩は、上文中に説明したように低減される。他の実施例では、遠位トロカールシールドは、第1シール1240に、例えば機械的に及び/又は接着剤を用いて固定される。適当な機械的固定の例には、例えば、フランジ及び溝、フィンガ及びノッチ、ねじ山、バヨネットマウント、機械的ファスナ、摩擦嵌め、等が含まれる。
幾つかの実施例は、更に、第2シール1250とトロカールシールド1260との間に配置された薄い保護フィルム(図示せず)を含む。この保護フィルムは、第2シール1250に対し、機械的損傷に対する追加の保護を提供する。保護フィルムは、例えば可撓性ポリマー等の任意の適当な材料で形成されている。幾つかの実施例では、保護フィルムは、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、PTFE、等のうちの少なくとも一つを含む。
図1Cを参照すると、キャップ1280は、カニューレシール1220、スペーサ1230、第1シール1240、第2シール1250、及びトロカールシールド1260をハウジング1210内に固定する。キャップ1280は、チューブ状入口1282と半径方向フランジ1284を含む。半径方向フランジ1284は、第2シール1250のベローズ1256と接触し、ハウジングの近位端1214に固定される。入口1282は、アクセスチャンネルの一部を形成し、アクセスデバイス1000の長さ方向軸線とほぼ整合している。
【0046】
図2Aは、プリーツ状トロカールシールドを含むアクセスデバイス2000の別の実施例の分解図である。
図2Bは、
図2Aに示すアクセスデバイス2000の長さ方向断面図である。
図2Cは、
図2Bに示すシールアッセンブリの長さ方向詳細断面図である。
図2A、
図2B、及び
図2Cに示す実施例は、
図1A、
図1B、及び
図1Cに示す実施例とほぼ同様であるため、適当な材料及び寸法は、特段の記載のない限り、両実施例について同じである。
【0047】
アクセスデバイス2000は、近位端、遠位端、及び近位端から遠位端までの器具アクセスチャンネルを形成する長さ方向軸線を含む。アクセスデバイス2000は、遠位端に配置された細長いカニューレ2100と、近位端に配置されたシールアッセンブリ2200とを含む。カニューレ2100は、長さ方向軸線、近位端2102、遠位端2104、及びカニューレの近位端に配置されたカニューレシール2130を含む。幾つかの実施例では、カニューレシール2130は、例えばO−リングである。例示の実施例では、カニューレ2100はシールアッセンブリ2200に取り外し自在に連結される。
図2Cで最もよくわかるように、シールアッセンブリ2200は、ハウジング2210、第1シール即ちゼロシール2240、第2シール即ち器具シール2250、トロカールシールド2260、及びキャップ2280を含む。
【0048】
ハウジング2210は、長さ方向軸線、近位端2212、及び遠位端2214を含む。ハウジング2210の全体に円筒形の本体は、内壁及び外壁を含む。遠位端2214は、カニューレの近位端2102をその中に受け入れる寸法を備えている。
図2Cで最もよくわかるように、カニューレシール2130は、ハウジング2210の内壁と接触することにより、カニューレ2100とハウジング2210との間に気密シールを形成する。
【0049】
ハウジング2210の近位端2212は、第1シール即ちゼロシール2240、第2シール即ち器具シール2250、及びトロカールシールド2260を受け入れる寸法を備えている。キャップ2280がハウジングの近位端2212を閉鎖する。全体に周方向に延びるストップ即ち段2216がハウジング2210の内壁に配置されており、この段2216は、キャップ2280とともに、第1シール即ちゼロシール2240、第2シール即ち器具シール2250、及びトロカールシールド2260をハウジング2210内に捕捉し、固定する。例示の実施例では、ストップ2216は第1シール2240と係合し、キャップ2280は第2シール2250と係合する。ガス入口ポート2218がハウジング2210の外壁に配置されている。
【0050】
第1シール即ちゼロシール2240は、長さ方向軸線、近位端2242、及び遠位端2244を含む。第1シール2240は、例示の実施例では全体にチューブ状であり、第2シール2250の一部をその近位端2242に受け入れる寸法を備えている。上文中に論じたように、第1バルブの近位端2242は、ハウジングの段2216と係合する寸法を備えている。遠位端2244は、例示の実施例では二重ダックビルバルブ2246を含むが、他の実施例では、一重ダックビルバルブ、フラップバルブ、等のこの他の種類のバルブを使用してもよいということは当業者には理解されよう。
【0051】
第2シール即ち器具シール2250は、長さ方向軸線、近位端2252、及び遠位端2254を含む。第2シール2250は全体にチューブ状であり、全体に半径方向外方に延びる回旋体又はベローズ2256が近位端2252のところに設けられている。ベローズ2256はハウジング2210の内壁に向かって延び、横方向自由度を提供し、即ち第2シール2250に対して浮動し、並びに長さ方向自由度を提供する。例示の実施例では、第2シール2250の遠位端2254は截頭円錐形をなして先細になっており、隔膜シール2258で終端する。例示の実施例では、ハウジング2210に対して近位側のベローズ2256の部分は、以下に更に詳細に論じるように、キャップ2280の一部と係合する。
【0052】
ここに例示した実施例では、
図1A、
図1B、及び
図1Cに示す実施例と異なり、第1シール2240は第2シール2250に連結されていない。従って、第1シール2240及び第2シール2250は互いに独立して自由に移動する。例示の実施例では、第1シールの近位端2242は、
図2Cで最もよくわかるように、第2シール2250の近位端2252と接触している。
【0053】
例示の実施例のプリーツ状トロカールシールド2260は、長さ方向軸線、近位端2262、及び遠位端2264を含む。トロカールシールド2260は全体にチューブ状であり、第2シール2250内に受け入れられる。トロカールシールド2260は半径方向フランジ2266を含む。この半径方向フランジ2266は第2シール2250の対応する凹所と係合し、これにより、ここにトロカールシールド2260を固定する。従って、トロカールシールド2260及び第2シール2250は、全体に協働して移動する。トロカールシールドの遠位端2264は、截頭円錐形をなして先細になっており、開口部2270で終端する。截頭円錐形部分は、複数の長さ方向プリーツを含む。全体に円筒形の入口領域2272が截頭円錐形部分から近位方向に延びている。
【0054】
上文中に論じたように、キャップ2280はハウジングの近位端2212に固定され、これによって、第1シール2240、第2シール2250、及びトロカールシールド2260をこの間に捕捉する。例示の実施例では、キャップ2280は、長さ方向軸線、近位端2282、遠位端2284を含む。キャップ2280は、近位端2282から遠位端2284まで延びる漏斗状入口2286を含む。漏斗状入口2286は、アクセスチャンネルの近位端を形成し、器具を通して案内する。入口2286の遠位端2284は、トロカールシールドの近位端2262と隣接した場所で終端し、これによって、トロカールシールド2260及びこれに連結された第2シール2250がトロカール2000の近位端に向かって長さ方向に移動することを制限し、これによって、例えば器具をトロカール2000から引っ込めるとき、第2シール2250が返らないようにする。キャップの近位端2282は、入口2286から半径方向に延びる。近位端2282の周囲部分は、ハウジングの近位端2212に固定される。全体に円筒形のフランジ2288が第2シールの近位端2252と接触し、これにより、第2シール2250をハウジングのストップ2216に向かって押圧する。
【0055】
図3は、上文中に説明し、
図1A乃至
図2Cに示すシールハウジングの実施例と同様のアクセスデバイスのシールアッセンブリ3200の部分の別の実施例の側断面図である。シールハウジング3200は、カニューレアッセンブリに上文中に論じたように連結でき、これによってアクセスデバイスを形成する。シールアッセンブリ3200はハウジング3210を含み、ここに第1シール即ちゼロシール3240、第2シール即ち器具シール3250、及びプリーツ状トロカールシールド3260が配置される。例示の実施例では、ゼロシール3240、器具シール3250、及びトロカールシールド3260は、ハウジング3210内に、ハウジング3210の内壁に配置された周囲ストップ即ち段3216と、ハウジングの近位端3212を閉鎖するキャップ3280との間に固定される。
【0056】
例示の実施例では、トロカールシールド3260は、器具シール3250内に、器具シール3250の内方に延びる半径方向フランジ3256と器具シール3250の遠位端3254との間に固定される。例示の実施例では、トロカールシールドの近位端3262の全体に円筒形の入口領域3272がフランジ3256と接触し、トロカールシールドの遠位端3264が器具シール3250の遠位端3254と接触し、又はその近くに配置される。従って、トロカールシールド3260及び器具シール3250は全体に協働して移動する。他の実施例では、トロカールシールド3260は、別の態様で、例えば
図1A乃至
図2Cに示した上文中に説明した方法で器具シール3250に連結される。
【0057】
例示の実施例では、キャップ3280の近位端3282に漏斗状入口3286が設けられている。この漏斗状入口3286は、器具アクセスチャンネルの近位端を形成する。器具チャンネルは、キャップの遠位端3284まで長さ方向に延び、トロカールシールド3260内に延びてこれと接触し、これによってトロカールシールド3260に対する支承面を形成する。例えば、器具アクセスチャンネルを通って延びる器具の、軸線からずれた移動を受け入れるとき、トロカールシールド3260がこの支承面に当たって枢動する。例示の実施例では、キャップの遠位端3284は全体に円筒形である。他の実施例では、遠位端3284は、支承体としてのその機能を容易にする形状を備えている。この形状は、例えば、半球状形状又は球状形状である。例示の実施例では、トロカールシールドに設けられたプリーツ3268により、トロカールシールド3260とキャップの遠位端3284との間の接触面積が減少し、これにより、この間の摩擦が減少する。
【0058】
幾つかの実施例では、キャップの遠位端3284とトロカールシールド3260との間の接触は、例えば器具を引っ込めるとき、例えばトロカールシールド3260が返る可能性を低減するといった追加の機能を提供する。器具を引っ込めるとき、キャップの遠位端3284とトロカールシールド3260との間の接触により、トロカールシールド3260を支持し、又は強化する。上文中に論じたように、トロカールシールド3260に設けられたプリーツ3268の実施例により、返りが生じる可能性を低減する。上文中に論じたように、器具を引っ込めるときに器具シール3250が返る可能性をトロカールシールド3260が低減するため、例示の実施例は、更に、器具シール3250が返る可能性を低減する。
【0059】
更に、幾つかの実施例では、トロカールシールド3260は、トロカールシールド3260がキャップ3280と接触しない同様のトロカールシールド3260よりも肉薄である。これは、上文中に論じた強化効果即ち支持効果のためである。トロカールシールド3260が比較的肉薄の実施例は、所定範囲の直径の器具に対して形態一致性が改善され、及び/又は例えば直径が比較的大きい器具を受け入れる。
【0060】
例示の実施例では、トロカールシールド3260はキャップの遠位端3284と接触する。器具シールの近位端3252にある回旋体即ちベローズ3256が器具シールの遠位端3254をシールハウジング3200の近位端に向かって押圧する。トロカールシールド3260が器具シールの遠位端3254内に支持されているため、トロカールシールド3260もまた近位方向に押圧され、これによってトロカールシールド3260をキャップの遠位端3284に押し付ける。器具シールの遠位端3254が器具チャンネルに沿って遠位方向に変位可能であるため、幾つかの場合では、トロカールシールド3260はキャップの遠位端3284と接触しない。例えば、シールアッセンブリ3200に器具を挿入すると、器具シールの遠位端3254及びトロカールシールド3260が遠位方向に押圧され、これによってキャップ3280とトロカールシールド3260とが接触した状態から離される。同様に、器具の特定の操作もまた、これらが接触した状態から離す。しかしながら、多くの他の条件では、例えば器具がない場合、器具を引っ込めるとき、及び/又は器具を軸線からずらして操作するとき、トロカールシールド3260はキャップ3280の遠位端3284と接触する。
【0061】
他の実施例では、トロカールシールド3260は、特定の条件、例えば器具がない場合、器具を引っ込めるとき、及び/又は器具を軸線からずらして操作するときにのみ、キャップ3280の遠位端3284と接触する。これらの実施例のうちの幾つかの実施例では、デフォルト状態では、トロカールシールド3260は、例えば器具が挿入されていない場合、キャップ3280と接触しない。
【0062】
図4Aは、
図3に示し且つ上文中に説明したシールアッセンブリ3200の実施例並びに
図1A乃至
図2Cに示し且つ上文中に説明した実施例とほぼ同様のシールアッセンブリ4200の別の実施例の側断面図である。シールアッセンブリ4200はシールハウジング4210を含み、このハウジング内に第1シール即ちゼロシール4240、第2シール即ち器具シール4250、及びプリーツ状トロカールシールド4260が配置される。キャップ4280がシールハウジングの近位端4212を閉鎖し、ゼロシール4240、器具シール4250、及びトロカールシールド4260をその中に固定する。例示の実施例では、シールハウジング4210、ゼロシール4240、及び器具シール4250は、
図3に示し且つ上文中に説明した実施例3200の対応する構成要素とほぼ同じである。
トロカールシールド4260の斜視図である
図4Bで最もよくわかるように、トロカールシールド4260は全体に截頭円錐形であり、近位端4262及び遠位端4264が開放しており、複数の長さ方向プリーツ4268を含む。トロカールシールド4260は、トロカールシールドの近位端4262に全体に円筒形の入口領域が設けられていないことを除くと、
図1A乃至
図1F、
図2A乃至
図2C、及び
図3に示し且つ上文中に説明した実施例とほぼ同じである。
図3に示す実施例と比較すると、入口領域を持たないトロカールシールドの実施例は、近位端のところで比較的大きなコンプライアンスを示し、これによって器具の挿入時にプリーツが容易に拡がる。
【0063】
図4Aに戻ると、例示の実施例のトロカールシールド4260は、器具シールに設けられた内方に延びる半径方向フランジ即ちリップ4256と、器具シールの遠位端4254との間で器具シール4250に連結されている。これは、
図3に示す構成と同様である。キャップの遠位端4284は、トロカールシールドの近位端4262を通って延び、トロカールシールドの内面と接触する。
図3に示す実施例と同様に、キャップの遠位端4284は支承体として作用し、例えばシールハウジング4200を通って延びる器具を枢動するとき、トロカールシールドがここに当たって枢動し、即ち揺れ動く。
図4A及び
図4Bに示すトロカールシールド4260の実施例は、
図1A乃至
図2Cに示すアクセスデバイスの実施例でも有用である、ということは当業者には理解されよう。
【0064】
図5Aは、カニューレ5100及び上文中に説明した実施例とほぼ同じシールアッセンブリ5200を含む、トロカール即ち手術用アクセスデバイス5000の別の実施例の分解図である。
【0065】
図5Bは、上文中に説明した実施例と比較して簡略化した、構成要素の数が少ないシールアッセンブリ5200の側断面図である。シールアッセンブリ5200は、第1シール即ちゼロシール5240、第2シール即ち器具シール5250、及びトロカールシールド5260、及びキャップ5280を含む。
【0066】
トロカールシールド5260の近位端5262は、トロカールシールド5260及びキャップ5280の側断面図である
図5Cで最もよくわかるように、キャップ5280の漏斗状入口部分5286に固定されている。従って、幾つかの実施例では、トロカールシールド5260は揺れ動いたり浮動しなりしない。他の実施例では、漏斗状入口部分5286は可撓性材料で形成されており、これによって、トロカールシールド5260は所定程度浮動できる。幾つかの実施例では、トロカールシールド5260及びキャップ5280は一体化されており、及び/又はモノリシックである。他の実施例では、トロカールシールド5260及びキャップ5280を別々に製作した後に連結する。
【0067】
図5Bを参照すると、第1シール即ちゼロシール5240及び第2シール即ち器具シール5250は、上文中に説明した実施例とほぼ同じである。第1シールの近位端5242及び第2シールの近位端5252は、例示の実施例では、キャップの近位端5282の一部に固定されている。幾つかの実施例では、第1シールの近位端5242及び第2シールの近位端5252は、例えば接着剤で連結されている。幾つかの実施例では、第1シールの近位端5242及び第2シールの近位端5252のうちの少なくとも一方が、例えば接着剤及び/又は機械的方法でキャップ5280に固定されている。シールアッセンブリ5200をカニューレ5100に連結するとき、第1シールの近位端5242及び第2シールの近位端5252がキャップ5280とカニューレ5100の近位端5102(
図5A参照)との間に捕捉され、これによって第1シール5240及び第2シール5250がその間に固定される。
【0068】
図5A及び
図5Bに示すように、キャップ5280は複数のスナップ5290を含む。これらのスナップは、カニューレの近位端5102に設けられた対応するフランジ5110(
図5A参照)と解放自在に係合し、これによってカニューレ5100をシールアッセンブリ5200に固定する。例示の実施例では、スナップ5290は手作業で係合解除でき、これによって、例えばカニューレ5100を通して試料を回収するとき、又はガスを急速に抜くため、シールアッセンブリ5200へのカニューレの組み立て及び取り外しを工具なしで行うことができる。同様のアクセスデバイスが2007年2月22日に出願された米国特許出願第11/677,994号に開示されている。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0069】
図6Aはトロカールシールド6260の別の実施例の平面図であり、
図6Bは側面図である。この実施例は、上文中に論じた実施例とほぼ同じであり、上文中に論じたアクセスデバイスで有用である。トロカールシールド6260は、近位端6262及び遠位端6264を含む。遠位端6264は全体に截頭円錐形であり、開口部6270まで先細になっている。近位端6262に又はその近くに配置された半径方向フランジ6266が、例えば
図1Dに示すように、及び上文中に説明したように器具シールの適合する溝と係合し、これによってトロカールシールド6260を器具シールに固定する。
【0070】
複数のプリーツ6268が開口部6270から全体に近位方向に延びている。これらのプリーツ6268は、これらのプリーツ6268の軸線が半径方向に延びているのでない、即ち、
図6Aで最もよくわかるように、プリーツ6268の山及び谷がトロカールシールド6260の半径方向軸線から角度をなしているように各プリーツ6268が角度をなしており即ち傾斜していることを除くと、上文中に論じた実施例と同様である。例示の実施例では、プリーツ6268の山は全て反時計廻り方向に角度をなしている。他の実施例は、時計廻り方向に角度をなした、又は両方向に角度をなしたプリーツ6268を含む。
【0071】
角度をなしており即ち傾斜しているため、開口部6270の最小直径は山の先端によって形成されるのでなく、山の先端と隣接した山の部分によって、及び/又は山と谷との間を延びるプリーツ6268の直線状部分によって形成される。このようなプリーツを、本明細書中、「接線方向プリーツ」と呼ぶ。これとは対照的に、例えば
図1A乃至
図5Cに示す、プリーツの軸線が半径方向に延びるプリーツを、本明細書中、「半径方向プリーツ」と呼ぶ。幾つかの実施例では、接線方向プリーツを持つトロカールシールドは、器具の出し入れ時の抵抗が、半径方向プリーツを持つ同様のトロカールシールドと比較して小さい。器具がプリーツのチップと接触しないようにプリーツの軸線を傾けることにより、プリーツを更に角度をなしたり即ち傾斜したりして開口部6270を拡げるのを容易にするレバーアームを形成する。
【0072】
図6A及び
図6Bを参照すると、プリーツ6268は、更に、螺旋状をなしている。例示の実施例では、螺旋は右巻きである。他の実施例では、プリーツ6268は左巻き螺旋であるか或いは螺旋をなしていない。
【0073】
図7A及び
図7Bは、上文中に説明した実施例とほぼ同様の、上文中に論じたアクセスデバイスで有用なトロカールシールド7260の別の実施例の平面図及び側面図である。トロカールシールド7260は全体に截頭円錐形であり、比較的広幅の近位端7262を有し、この近位端は比較的狭幅の遠位端7264までテーパしている。遠位端7264は開口部7270で終端する。複数の接線方向プリーツ7268が遠位端7262から全体に近位方向に延びている。トロカールシールド7260は、更に、保持部材即ち安定化部材を含む。この安定化部材は、例示の実施例では、プリーツ7268間に配置された、トロカールシールドの近位端7262に向かって半径方向に延びる複数の保持フィン即ち安定化フィン7274を含む。例示の実施例は、プリーツ7268の全ての対間に配置されたフィン7274を含む。他の実施例は、フィン7274の数がこれよりも多くてもよいし少なくてもよい。幾つかの実施例では、フィン7274の数及び/又は間隔は重要でない。他の実施例では保持部材即ち安定化部材は、別の構造、例えば周囲リングを含む。
【0074】
図7Cは、トロカールシールド7260及び器具シール7250を含むアクセスデバイスのサブアッセンブリの側断面図である。例示の実施例では、器具シール7250は、上文中に説明した実施例とほぼ同様の隔膜シールを含む。器具シール7250は全体にチューブ状であり、その近位端7252から遠位端7254まで延びる器具アクセスチャンネルを含む。近位端7252は第1部分7253を含み、遠位端7254は第2部分7255を含む。第1部分7253は、全体に円筒形又は円錐形であり、又は円筒形部分及び円錐形部分の両方を含む。第2部分7255は円錐形であり、遠位方向に先細になっており、開口部を持つ隔膜シール7258を含む。第1部分7253が円錐形部分を含む幾つかの実施例では、器具シール7250の第2部分7255は円錐角度が第1部分よりも大きく、即ち比較的急に先細になっている。従って、第2部分7255は「円錐形部分」とも呼ばれる。半径方向フランジ即ちリップ7256が第1部分7253から内方に延びている。
【0075】
図7Cに示すように、トロカールシールド7260は、トロカールシールドの近位端7262がフランジ7256と接触し且つトロカールシールドの遠位端7254が円錐形部分7255と接触した状態でフランジ7256と器具シール7250の円錐形部分7255との間に捕捉されている。従って、トロカールシールド7260は器具シール7250に取り付けられ、又は器具シール7250で支持されている。フィン7274が器具シール7250の第1部分7253の内面と接触し、トロカールシールド7260と器具シール7250との間に、例えば
図4Aに示す実施例と比較して、追加の接触点を形成する。フィン7274によって形成されたこれらの追加の接触点は、
図4Aに示す実施例と比較して、トロカールシールド7260を器具シール7250内で安定化し及び/又は保持する。例示の実施例では、フィン7274は、器具シール7250の第1部分7253と第2部分7255との間の境界まで延びる。他の実施例では、フィン7274は高さが異なり、例えば比較的短く及び/又は高い。
【0076】
例えば、幾つかの場合では、器具が
図4Aに示すトロカールシールド4260と軸線からずれて接触すると、トロカールシールド4260は、器具シール4250に対し、横方向軸線を中心として回転し、近位端4262の一方の側に突き当たってこれを上方に変位し且つ反対側を下方に変位し、これによって、トロカールシールド4260の開口部4270が器具シール4250の遠位端4254のところで開口部から不整合状態になる。フィン7274は、
図7Cに示すトロカールシールド7260の保持を改善し、これによって、器具シール7250に対するトロカールシールド7260の横方向回転に抵抗する。
幾つかの実施例では、器具を
図4Aに示すシールアッセンブリ4200から引っ込めると、トロカールシールド4260が器具シール4250から外れ、トロカールシールド4260がフランジ4256から完全に又は部分的にポンと外れる。
図7Cに示す実施例のフィン7274との追加の接触は、トロカールシールド7260を器具シール7250から外す力に抵抗する。
【0077】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、上文中に説明した実施例とほぼ同様の、上文中に論じたアクセスデバイスで有用なトロカールシールド8260の別の実施例の側面図、平面図、及び側断面図である。トロカールシールド8260は全体に截頭円錐形であり、広幅の近位端8262及び狭幅の遠位端8264を含む。複数の半径方向プリーツ8268が遠位端8264から近位方向に延びており、遠位端8264に開口部8270を形成する。半径方向に延びる複数のフィン8274がプリーツ8268と交互になっており、その近位端の近くに配置されている。
【0078】
図8B及び
図8Cに最もよく示すカム8276が、各プリーツ8268の遠位端のところでトロカールシールド8260の内面に配置されており、器具チャンネル内に延びる。従って、例示の実施例では、これらのカム8276は開口部8270の最小直径を形成する。幾つかの実施例は、カム8276の数が少ない。例示の実施例では、各カム8276は全体に三角形形状又はパイ形状であり、近位面8276aが比較的長く、遠位面8276bが比較的短い。例示の実施例では、カム8276の遠位端はプリーツ8286の遠位端と実質的に一致する。他の実施例では、少なくとも一つのカム8276が関連したプリーツ8286から遠位方向に延びており、又は関連したプリーツ8286程大きくは延びていない。例示の実施例では、近位面8276aが全体に直線状であるのに対し、遠位面8276bは全体に直線状及び/又は凸状(丸みがある)である。遠位面8276bは、出口漏斗を互いに形成し、これにより、抵抗を減少し及び/又は器具を引っ込めるときの器具のハングアップ(hang-up) を減少する。近位面8276aは、入口漏斗を形成する。
【0079】
トロカールシールドの他の実施例は、フィンを備えていない。他の実施例では、カムは、接線方向プリーツを含むトロカールシールドに配置されている。
【0080】
特定の実施例を特定的に図示し且つその例示の実施例を参照して説明したが、添付図面に定義した本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更を行ってもよいということは当業者には理解されよう。